JP4460761B2 - ヘテロ層状多層薄膜における電荷ジェネレータ - Google Patents

ヘテロ層状多層薄膜における電荷ジェネレータ Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、促進された光起電性組成物、より詳しくは多層ヘテロ層状薄膜およびこれを用いる方法に関するものである。
発明の背景
太陽エネルギーは、寿命の長い光誘導電荷分離−寿命の長いラジカル対の形成によって光合成システム中になされる状態−の効率的な製造によって使用及び貯蔵できる。効率的に光化学的電荷移動を受ける多くの人工的なシステムが報告されてきたが、残念なことに、熱による逆電子移動(thermal back electron transfer)がかなりの速度でしばしば起こり、これによりこれらのシステムの利用が制限される。非常に効率的な光誘導電荷移動を有し、空気中での寿命の長い電荷分離状態を形成するシステムが必要とされている。これらのシステムにおける電荷分離としては、具体的には、以下の式によって説明されるようなラジカルイオン対を生成する、光で励起されるドナーと適当なアクセプターとの間のレドックス反応が挙げられる:
【0001】
【数1】
Figure 0004460761
【0002】
このようにして生じる陽イオンと陰イオンは、中性点接地状態分子のものに比べて、それぞれ、より良好な酸化剤及び還元剤である。このシステムに入る光を集めるために、光形成物質(photo-generated species)の酸化及び還元力は、電子が逆に移動して(transfer back)(式2)出発材料を形成する前に使用されなければならない。光化学的に非生産的な熱高速逆電子移動反応(photochemically unproductive thermal fast back electron transfer reaction)を制御することが望ましい。1つの方法としては、ドナー及びアクセプターを固体マトリックス中に含ませるものであった。
【0003】
化学的に感受性のあるインターフェイス及び薄膜の設計及び特性決定は、生体系で観察される非常に効率のよいプロセスを模倣するという試みに集中しており、これらのうち多くは膜中または膜で起こるものである。したがって、この領域の鍵となる目標は、太陽エネルギーの化学的または電気的エネルギーへの変換用の人工的なシステムの作製である。このようなエネルギーの変換へのアプローチは、新規な光起電装置の設計から液状の水をガス状の水素及び酸素に光化学的に変換する効率的でかつ費用効果のある方法の探求まで、数多くの形態をとりうる。適切に設計されるシステムは光誘導電荷分離(photoinduced charge separation)を用いて、光電流を発生することができる。
【0004】
化学的エネルギーを生じさせるプロセスにおいて、D+及びA-は、それぞれ、水の酸化及び還元などの、アップヒルな(uphill)化学反応を誘導するのに使用される。電気的エネルギーを生じさせるためには、同様の物質を光電池のアノード及びカソードとして使用できる。これらのプロセスのいずれかを効率よくするためには、逆電子移動(back electron transfer)(式2)を阻害しなければならない。逆電子移動(back electron transfer)を遅延させるためには、システムの構造的な及び電子的な性質双方を制御することが重要である。本質的な反応中心では、このゴールは、膜内の電子ドナー、中間キャリア及び電子アクセプターの所定の幾何学的な配列によって達成される。人工的なシステムでは、選択されるレドックス電位を有する電子ドナー及びアクセプターは簡単な自己集合技術を用いて所定の形状寸法(geometry)に配置してもよい。
【0005】
電荷分離状態における個々の成分は水の還元及び酸化を行うのに適当な可能性を有する。残念なことに、これらの直接反応は、触媒が動的な障害を克服する必要があるなど、動力学的に制限される。コロイド白金粒子が水を還元してH2を得るのに理想的な触媒である。水の光還元に使用されるシステムにおいて、還元バイオロゲンからPt粒子への電子の移動が逆電子移動(back electron transfer)と効率的に競合しなければならないため、化合物及びPt粒子中に形成される高電位のラジカルが密接して接触することが好ましい。これらの白金粒子は、反応溶液中に存在していても、組成物の構造中に取り込まれていても、あるいは両方であってもよい。
【0006】
水素ガスを還元等価物として用いて、還元反応を行うことができる化合物は、水素と酸素の混合物を過酸化水素に変換するための触媒として有用である。過酸化水素は非常に多量に生産される化学物質である。アメリカ合衆国における年間の生産量は5億ポンドを超える。過酸化水素の製造に関する様々な方法が特許化されているが、これらは以下の2つの反応によるものである。すなわち、最後が以下の反応(3)を促進するものである及び以下の反応(4)を遅延させるものである:
【0007】
【数2】
Figure 0004460761
【0008】
均質な及び不均質な触媒を含む上記変換に関する数多くの触媒が報告されてきた。
【0009】
本発明の組成物は、当該組成物を太陽エネルギーの変換及び貯蔵に使用させる一定の光誘導電荷分離状態を作ることができる。ドナー及びアクセプター層から構成される本発明の多層薄膜は光を照射されると光電流を産する。さらに、本組成物で様々な金属イオンを還元することにより、組成物のマトリックス中に埋め込まれたコロイド形態を有するゼロ原子価の金属を製造できる。ゼロ原子価の金属を含む後者のマトリックスは、水を分解して水素ガスを得たり酸素を検出したり等、様々な用途を有する。加えて、ゼロ原子価の金属マトリックスは、例えば、過酸化水素の製造やメタンのオリゴマー化によるより高級な炭化水素の形成におけるなど、触媒中で使用できる。
発明の要約
本発明は、各層が各末端にホスホネート及びアルセナートを有する二価の電子アクセプターまたはドナー部分からなる複数の平行な「支柱(pillar)」を有する、多層組成物を提供するものである。平行な支柱の各層は、(IVA)、(IVB)、(IIIA)または(IIIB)族の金属またはランタニドの層によって分離される。
【0010】
この錯体(complex)は、錯体の各層内に埋め込まれたゼロ原子価の少なくとも1つのVIII族金属の粒子からさらになっていてもよい。また、この錯体に、各電子受容基周辺に一連の間隙を形成する支柱により点在するキャップドアルソナトまたはホスホナトリガンド(capped arsonato or phosphonato ligand)の「鍾乳石(stalactite)」および「石筍(stalagmite)」を含ませてもよい。
【0011】
各支柱層のドナーまたはアクセプター部分は他の層から独立して選択できる。これにより、膜は、各層のドナー/アクセプター部分が同一である、均一であっても;または一若しくはそれ以上の隣接する層が異なりうる、不均一であってもよい。電荷移動の効率は隣接するドナー層及びアクセプター層間に位置する電荷ジェネレータ層の添加で向上する。
【0012】
本錯体は、光電流の製造に、太陽エネルギーの変換及び貯蔵に、さらには、例えば、酸素と水素ガスから過酸化水素の製造、水からH2ガスの製造、及びケトンの還元によるアルコールの形成等の、還元反応の触媒として有用である。
詳細な説明
一般的には、本発明は、凝集層を形成する、少なくとも21の原子番号を有するIII、IVA、IVB族の二価、三価、または四価の金属原子またはランタニド原子から構成される、互いに独立して、2若しくはそれ以上の隣接する金属層からなる層状組成物に関するものである。金属層は、間隔をあけて隣接しており、相互に及び基材に対して実質的に平行である。金属層間には、及び金属層に対して実質的に垂直方向に、相互に独立して、2つの隣接する金属層に共有結合することにより支柱及び2つの隣接する金属層間に間隙を形成する有機支柱が配置される。この層状組成物は、例えば、薄膜または微結晶固体などの形態を有していてもよい。
【0013】
この有機支柱は以下の式によって表わされる:
【0014】
【化2】
Figure 0004460761
【0015】
1及びY2は、それぞれ互いに独立して、リンまたは砒素であり;
Zは、安定した還元形態及び安定した酸化形態の間を行き来することができる、共役ネットワーク(conjugated network)を含む電子を受容または供与する二価の基であり;
十分な数の陰イオンが、金属イオンが+1から+6、好ましくは+3または+4の有効原子価を有するように、金属層を形成する金属イオンに結合する。
【0016】
別の陰イオン群が、支柱及び金属原子によって格子内に存在して、組成物中の残りの電荷を補う。
【0017】
さらに、本組成物は、支柱と隣接する金属層との間の間隙中にトラップされたゼロ原子価の少なくとも1つのVIII族金属粒子からなってもよい。これらの粒子は、例えば、還元反応用の触媒して作用することによって、組成物の機能を向上させる。また、本組成物はまた、金属層間及び相互に独立して、金属層の一つに共有結合する支柱間に配置される有機リガンドを有していてもよい。このリガンドは、以下の式によって表わされる:
【0018】
【化3】
Figure 0004460761
【0019】
3は、リンまたは砒素であり、およびR3は、非還元性キャッピング基(capping group)である。
【0020】
第一の実施態様によると、本発明は、膜が支持基材上に配置される複合組成物に関するものである。このような形態では、基材に最も近い層が連結手段によって基材に結合する。基材は、例えば、金属、ガラス、シリカ、ポリマー、半導体(例えば、珪素、砒化ガリウム)、アルミニウムベース上の金層等のこれらの組み合わせなどである。この基材はどのような形態を有していてもよく、例えば、シート状、箔状、プレート状、フィルム状、電極状、懸濁液中のコロイド粒子状、ポリマー鋳型(polymer template)状、高表面積の支持材状などが挙げられる。基材の表面は均質(平滑)であってもあるいは不均質(粗面)であってもよい。膜は、それぞれが以下の式で表わされる、支柱のある(pillared)金属錯体から構成される:
【0021】
【化4】
Figure 0004460761
【0022】
ただし:
Lは、連結手段であり;
1及びY2はそれぞれ、互いに独立して、リンまたは砒素であり;
Zは、安定した還元形態及び安定した酸化形態を可逆的に形成する二価の基であり;
Xは、陰イオンであり;
MeYは、Me1 nmであり、この際、
Me1は、少なくとも21の原子番号を有するIII、IVA、若しくはIVB族の二価、三価、または四価の金属またはランタニドであり;
Wは、以下に制限されないが、ハロゲン化物若しくは疑似ハロゲン化物、または−OH等の陰イオンであり;
nは、1、2、または3であり;
mは、0、1、2、3、または4である;
kは、1から約250までの値を有し;
pは、0、1、2、または3の値を有し;および
qは、陰イオンの電荷であり、
この際、各追加のk値に関しては、他の層が膜に加えられる。
【0023】
Me1は、例えば、ゲルマニウム、錫、または鉛等の少なくとも21の原子番号を有するIVA族金属、チタン、ジルコニウム、またはハフニウム等のIVB族金属、ガリウム、インジウム、またはタリウム等の少なくとも21の原子番号を有するIIIA族金属、スカンジウム、イットリウム、またはランタン、セリウム、プラセオジムなどのランタニド等のIIIB族金属であってもよい。これらのうち、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ゲルマニウム、錫及び鉛が好ましく、ジルコニウムが特に有用である。
【0024】
1及びY2は、それぞれ、リンまたは砒素、好ましくはリンである、即ち、Y13及びY23はホスホナト基(phosphonato group)またはアルセナト基(arsenato group)である。
【0025】
Z基は二価であり、Y13及びY23によって規定されるホスホナト(phosphonato group)若しくはアルソナト基(arsonato group)のリンあるいは砒素原子に結合する。実際には、Z基の正確な構造はその電子特性に比べるとあまり重要ではない;Zは、安定した還元状態及び可逆的に酸化状態の両方で存在することができなければならない。
【0026】
一実施態様においては、Zは、双方ともがマイナスのE°red値;即ち、水素の還元電位より低い還元電位を有する2つの共役陽イオン核を有していてもよい。この2つの共役陽イオン核は、例えば、芳香環システム内の共役した環員である4価の窒素原子であってもよい。一実施態様においては、各4価の窒素原子はそれぞれの芳香環システムの環員であり、このような2つの環システムは、同様のまたは異なる構造を有していてもよいが、共有結合を介して直接相互に結合する。それぞれのこのような芳香環システムは、ピリジン、ピラジン、またはピリミジン等の単環であってもよい。または、各芳香環システムは、ピリジン、ピラジン、またはピリミジン環が、例えば、キノリウム、イソキノリウム、フェナントリジン、アクリジン、ベンズ[h]イソキノリン(benz[h]isoquinoline)等の、一若しくはそれ以上のベンゾあるいはナフト環システムに融合した融合多環であってもよい。
【0027】
または、これらの2つの芳香環システムは、同一のまたは異なる構造を有していてもよいが、例えば、ジアゾ(−N=N−)、イミノ(−CH=N−)、ビニレン、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル(buta-1,3-diene-1,4-diyl)、フェニレン、ビフェニレン等の、二価の共役システムを介して結合するものであってもよい。
【0028】
さらなる実施態様によると、これらの2つの共役陽イオン核は、フェナントロリン、1,10−ジアザアントレン(1,10-diazaanthrene)、及びフェナジン等の単一の芳香システム中に存在してもよい。
【0029】
Zとして使用される具体的なジカチオン構造物としては、2,2−ビピリジニウム(bipyridinium)、3,3−ビピリジニウム、4,4−ビピリジニウム、2,2−ビピラジニウム(bipyrazinium)、4,4−ビキノリニウム(biquinolinium)、4,4−ビイソキノリニウム(biisoquinolinium)、4−[2−(4−ピリジニウム)ビニル]ピリジニウム[4-[2-(4-pyridinium)vinyl]pyridinium]、4,4’−ビス−(4−ピリジニウム)ビフェニル[4,4'-bis(4-pyridinium)biphenyl]、及び4−[4−(4−ピリジニウム)フェニル]ピリジニウム[4-[4-(4-pyridinium)phenyl]pyridinium]が挙げられる。
【0030】
これらの2つの共役陽イオン核が位置する芳香システムは、無置換でもあるいは、例えば、1から6炭素原子を有するアルキル若しくは1から6炭素原子を有するアルコキシ等で、置換されたものであってもよい。このような置換は、不活性であってもまたは立体的にまたは誘導を介して陽イオン核の還元電位に効果を有するものであってもよい。
【0031】
2つの陽イオン核は共役を介して結合していなければならないが、Zによって構成される全体のシステムは共役している(conjugate))必要はない。したがって、Zは、共役若しくは非共役ブリッジを介してY13及びY23のそれぞれに結合していてもよい。このため、Zに関する非常に望ましい構造の一つとしては以下の構造によって表わされるものがある:
【0032】
【化5】
Figure 0004460761
【0033】
ただし、Z’は、少なくとも2つの共役4価の窒素原子を含む二価の芳香族基であり;n及びmは、それぞれ、相互に独立して、0または1の値を有し;およびR1及びR2は、それぞれ、相互に独立して、二価の脂肪族または芳香族の炭化水素基である。好ましくは、n及びmはそれぞれ1であり、R1及びR2は、それぞれ、相互に独立して、例えば、メチレン、エタノ、トリメチレン、プロパン−1,2−ジイル(propane-1,2-diyl)、2−メチルプロパン−1,2−ジイル(2-methylpropane-1,2-diyl)、ブタン−1,2−ジイル(butane-1,2-diyl)、ブタン−1,3−ジイル(butane-1,3-diyl)、テトラメチレン等の、6以下の炭素原子を有する直鎖の若しくは枝分れした二価のアルカン鎖または例えば、ベンジル等の、置換若しくは非置換の二価のアリールである。
【0034】
Zの他の形態としては、1,4−ビス(4−ホスホノブチルアミノ)ベンゼン(PAPD);ポルフィリン誘導体及びフタロシアニン誘導体が挙げられる。環化Z部分を用いることによって、下記式で示される支柱が得られる:
【0035】
【化6】
Figure 0004460761
【0036】
ただし、Xは、Oまたは(CH2yであり、この際、yは1〜6である。
【0037】
X基は、陰イオン基であり、これらの1つまたはそれ以上(kの値及びXの電荷によって変化する)はZの陽イオンの電荷と釣り合い、これにより、MeYの正味のプラスの原子価が(4−p*q)と等しくなる。Xの正確な性質はあまり重要ではなく、Xは、例えば、塩化物、臭化物、沃化物等のハロゲンの陰イオン、疑似ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、ニトレート、カルボネート、カルボキシレートなどである。
【0038】
W基は、陰イオン基であり、これらの1つまたはそれ以上(使用される金属イオン、Me1によって変化する)によってMeYの正味のプラスの原子価が(4−(p*q))と等しくなる。Wの正確な性質は比較的重要ではなく、Wは、例えば、ハロゲン化物、疑似ハロゲン化物、ヒドロキシル等である。
【0039】
式IIIによって表わされる各錯体は、記載される連結手段;即ち、基材上の複数の−L−Y13−Z−Y23MeY単位、を介して基材に結合することにより、支柱状(pillared)構造を得る。各錯体は、1つのZ−含有単位(「支柱」)を含んでいてもよく、この場合にはkは1の値を有するが、kは、単位−(Y13−Z−Y23)MeY−がkが2から約250、好ましくは約5から約100の範囲である支柱状(pillared)ポリマー錯体のモノマーとなるように2を超える値を有することが好ましい。この多層構造は下記式によって表現される:
【0040】
【数3】
Figure 0004460761
【0041】
このような膜は、ロング(Rong)ら、コオーディネーション ケミストリー レビューズ(Coordination Chemistry Reviews)、97巻、頁237(1990年)に記載されているのに類似した順次吸着反応(sequential adsorption reaction)によって調製できる。この使用される合成方法及び化学量論によって、組成物の得られる配置及び形態を行い、決定することができる。
【0042】
図16は、連結手段を有する基材の一製造方法を示すものである。調製方法例は、例えば、金属(その表面は必ず金属酸化物を含む)、ガラス、シリカ、砒化ガリウム等の、好ましくはヒドロキシル末端である、基材で始まり、これをまず連結手段Lまたはこの連結手段の成分を導入するヒドロキシ反応試薬で誘導する(derivatize)。具体的には、Lの末端部分は、Me1、即ち、少なくとも21の原子番号を有するIII、IVA若しくはIVB族の二価、三価、または四価の金属、あるいはランタニドと類似の金属原子Me3で終わるため、最終的にはこの金属原子Me3を介してY13に結合する。
【0043】
したがって、例えば、基材は下記式の化合物で処理されていてもよい。
【0044】
【化7】
Figure 0004460761
【0045】
ただし、R1及びZは、上記と同様であり;Y3はリンまたは砒素であり;X’は、Xと類似の陰イオンであり(X’は、必ずしも以下のようである必要はないが、最終錯体中で見られるのと同様の陰イオンであってもよい);およびX”は、クロロ若しくはブロモ等の反応性ハロゲンである。これにより、以下のような中間体が製造される:
【0046】
【化8】
Figure 0004460761
【0047】
前記した反応は、第一に基材を式 X”−R1−Z・2X’の化合物で処理し、その後生成物をオキシ塩化リン若しくはオキシ臭化リン(phosphoryl bromide)等のホスホリルハロゲン化物(phosphoryl halide)または相当するアルソニルハロゲン化物(arsonyl halide)で処理することによる、2段階で行われる。
【0048】
本実施態様の各概念において、製造される連結手段は、−Z−Y33を含む限り、繰り返し単位と同様である。
【0049】
または、連結手段は繰り返し単位でなくてもよい。したがって、基材を、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノアルキルトリアルコキシシランなどのシランで処理し、さらにこの誘導基材をオキシ塩化リン若しくはオキシ臭化リン(phosphoryl bromide)等のホスホリルハロゲン化物(phosphoryl halide)または相当するアルソニルハロゲン化物(arsonyl halide)で処理することによって、以下を製造してもよい:
【0050】
【化9】
Figure 0004460761
【0051】
連結手段の他の例としては以下が挙げられる:
【0052】
【化10】
Figure 0004460761
【0053】
基材をチオールで処理して、連結手段を形成してもよい。このようなチオールによる連結は金基材で特に有用である。このようなチオール例としては、式:HS−(CH2n−PO32を有するチオホスホン酸または式:HS−(CH2n−Si(O−アルキル)3を有するチオアルキルシランが挙げられ、この際、nは1〜16であり、アルキルは1〜16炭素原子の直鎖または分岐鎖のアルキルである。このようなチオアルキルシランを使用することによって、金属層のアタッチメント用のヒドロキシル基を提示する連結手段中間体が得られる。
【0054】
他の実施態様によると、有機ポリマーの鋳型を組成物/膜を疎水性の基材(例えば、石英、珪素及び金属)の表面に結合する連結手段として使用する。これらのポリマー鋳型は、例えば、ポリマーの主鎖にぶる下がる(pentant)エポシキ基をリン酸で処理してペンダントホスフェート(pendant phosphate)を得ることによって、ホスホネートまたはアルソネート(arsonate)基で誘導される。
【0055】
疎水性ポリマー鋳型を、架橋を含まない親水性ホスホネート/アルソネート基が残された疎水性の基材の表面で吸着させる。これらのペンダントホスホネート若しくはアルソネート基を、少なくとも21の原子番号を有するIII、IVA、IVB族の二価、三価、若しくは四価の金属のまたはランタニドのイオンで架橋して第一の金属層を形成する。これらのポリマー鋳型は、基材表面に良好に接着し、(特に金属基材上では)かなり多孔性の構造物が得られる。
【0056】
ポリマーは、ホスホネートまたはアルソネート基で誘導されうる側鎖を有するポリマーであってもよい。好ましいポリマーは、ピリジル基の一部、好ましくは半分未満がX(CH2nPO32、ただし、Xは陰イオンであり、nは1から16、好ましくは2から4である、で予めアルキル化されたポリビニルピリジン(「PVP−CnP」と略する)である。ペンダントチオール基(pendant thiol group)を有するポリマーの主鎖はAu、Ag及びPt基材への結合を促進するため好ましい。
【0057】
他の実施態様では、基材はポリマー鋳型自体であってもよい。ポリマー鋳型上で成長した膜は溶液中で成長される。ポリマーの主鎖の疎水性によって、溶液中のポリマーはシート状に凝集し、親水性のペンダントホスホネートまたはアルソネート基は、脂質2層(lipid bilayer)のように、溶液中に伸張する(extend)。この構造は以下の式によって説明される:
【0058】
【数4】
Figure 0004460761
【0059】
VIII金属、好ましくは白金のコロイド粒子は、溶液中に存在していてもよい。ポリマー主鎖の凝集物の疎水特性は粒子を引き付ける。次に、粒子は、ポリマー主鎖間の疎水性環境中に取り込まれる。この構造は、下記式によって説明される:
【0060】
【数5】
Figure 0004460761
【0061】
どちらの場合でも、ホスホネートまたはアルソネート基を多く含む表面を有する、基材は、次に、Me3イオン、例えば、オキシ塩化ジルコニウムを提供する試薬で処理される。金属イオンは、ホスホネートまたはアルソネート基に結合し、効率良く架橋されて、次に、金属リッチな表面を有し「基材−L’−Me3(この際、L’−Me3は式IIIの連結手段Lに相当する)」として表わされる中間体が製造され、これにより、(i)一方は基材に結合し、および(ii)他方はさらに錯体を形成する(complexing)ために金属Me3を示す手段が得られる。
【0062】
層の形成
ドナー、アクセプター及び電荷ジェネレータの個々の層は、図4に示される仕組みに従って、調製された基材に塗布される。
【0063】
上記からプロセスを続けて、次に、基材−Lを、Me3イオンを提供する試薬から分離し、水で洗浄し、下記式のビスホスホン酸(bisphosphonic acid)またはビスアルソン酸(bisarsonic acid)の溶液で処理する:
【0064】
【化11】
Figure 0004460761
【0065】
ただし、Y1、Y2、Z及びX’は上記と同様である。この反応は数時間以内、例えば約4〜5時間以内で終了し、適度な熱、例えば約80〜約100℃の熱を用いて加速されてもよい。このような層の沈積は、約260〜約285nmの波長で分光光度計により容易に検出できる。ばらつきをなくすために、通常、280〜285nmの範囲が用いられる。−Y132及び−Y232基の一方は金属リッチな表面に結合し、他方は配位結合せずに残り、これにより、ホスホネートまたはアルソネート基に富んだ表面を有する中間体が製造される。この中間体は以下のように表わされる:
【0066】
【化12】
Figure 0004460761
【0067】
基材−L’−Me3−Y13−Z−Y232・2X’をビスホスホン酸(bisphosphonic acid)またはビスアルソン酸(bisarsonic acid)の溶液から取り出し、よく洗浄した後、Me1イオンを形成する試薬で処理することにより、kが1である式IIIの錯体を製造する。
【0068】
ビスホスホン酸またはビスアルソン酸で処理した後Me1イオンを形成する試薬で処理する、前記した最後の2合成段階を繰り返すことにより、よりk値の高い錯体が製造される。例えば280〜285nmでの吸光度は層の数に比例して直線的に増加すると考えられ、これにより、多層組成物の形成の簡便な検出方法が得られる。
【0069】
前記した方法は、錯体内の原子価がゼロの、白金、パラジウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、またはイリジウム等の、少なくとも1つのVIII族金属の原子を取り込まれるように容易に好ましく変更される。したがって、ビスホスホン酸またはビスアルソン酸で処理した後であってMe1イオンを形成する試薬で処理する前に、サンプルをVIII族金属の可溶性の陰イオン塩の水溶液中に浸漬する。短時間後、金属の陰イオンがサンプル中の塩化物陰イオンの一部と交換する。この交換の化学量論は2つの陰イオンの各原子価によって変化する。例えば、塩化白金(IV)及び塩化白金(VI)の陰イオンは、それぞれ、−2の原子価を有し、塩化物が出発陰イオンである際には、これらの金属陰イオンのうちいずれかの一つの陰イオンが2つの塩化物陰イオンと交換する。
【0070】
このような交換後、Me1イオンを形成する試薬による処理を上記したのと同様にして行う。同様にして、このような反応を、目的とするk値が得られるまで繰り返す。次に、錯体を金属陰イオンを還元する水素ガスに単に接触させて、錯体のマトリックス内に原子価ゼロでコロイド形態を有する金属を製造する。前述したように、このような材料は、過酸化水素を製造する、メタンをオリゴマー化してより高級な炭化水素を製造する、水を分解して水素ガスを得る、および酸素を検出する際の触媒として非常に有効である。また、本組成物は様々な有機物質を還元するのにも利用できる。
【0071】
基材としてのポリマー鋳型上に層状化合物を成長させる場合には、上記方法には通常従うが、一連の処理段階を透析段階によって分けて未使用の反応体を洗浄によってではなく除去する。
【0072】
一若しくはそれ以上の交換において様々なVIII族金属の可溶塩を用いる、または第一のVIII族金属との1若しくはそれ以上の交換を行った後さらに異なるVIII族金属との交換を行うことによって、サンプル中の1超のVIII族金属を利用することが可能である。したがって、異なる化学的及び電子特性を有する2種類のVIII族金属のコロイド粒子が単一のマトリックス中に取り込まれる単一の組成物が最終的な還元で作製される。
【0073】
図4に示される方法は、金属ホスホナト/アルソナト薄膜層の成長を伴うものである;しかしながら、他の化学を用いて薄膜層を作製してもよい。例えば、チオールを、ホスホナト/アルソナト基の代わりに使用してもよい。この結果、金属スルフィド[M(S−R−S)n]薄膜が得られる。同種の化学を電荷ジェネレータと共に使用して、電荷ジェネレータの良好な配列を確保する必要があるかもしれない。このような別の化学の一例を図17に示す。このアプローチは、ドナー、アクセプター、及び電荷ジェネレータ薄膜層を成長させるのに使用できる。これらの新規な成長化学(即ち、金属チオレート(metal thiolate))の利点は、これらが有意に高い伝導率を有する材料を製造し、これにより装置の性能が向上するということである。
【0074】
Zがバイオロゲンである、これらの層状化合物の一つの好ましい実施態様は、太陽光線を集めこれを貯蔵される化学エネルギーに変換するのに非常に有効であることが分かった。上記方法に関する活性波長は紫外線スペクトル部分内である。エネルギーの貯蔵反応は固体中で深青色への発色によって証明され、この色は空気中で長期間維持される。この青色は還元バイオロゲン化合物によるものである。還元バイオロゲンは、溶液中で調製されると、酸素と速やかに反応するが、密な固体中にトラップされるため固体中では反応性を有さない。酸素及び他の外部物質は固体の反応性内層へ近づくことができない。
【0075】
これらの層状化合物の他の好ましい実施態様としては、ヘテロ層構造を有するものがある。主に各層でのZを変えることによって、支柱層の組成を変えることにより、光電流を産することができる組成物を製造する。基本的な構造は、電子ドナー組成物の一層および電子アクセプター組成を物の第二の層を有するものであろう;その順序、即ち、基材−ドナー−アクセプターまたは基材−アクセプター−ドナー、は電流の流れの方向を決定する。基本的な構造に関する一つの変更としては、特により厚いドナー及びアクセプター層を産する、いくつかのドナー(またはアクセプター)層および次にいくつかのアクセプター(またはドナー)層を有するものがあろう。このような変更は、光の吸収量を増加することによって光起電性を向上する。他の変更は、一またはそれ以上のドナー層および一またはそれ以上のアクセプター層(または反対の順序)、例えば、基材−ドナー−アクセプター−ドナー−アクセプター−etc.(または基材−アクセプター−ドナー−アクセプター−ドナー−etc.)の繰り返しの、別の層を有するものがある。これらの組成物において、各層の電子ドナー/アクセプター特性は相対的であり、絶対的ではない。したがって、組成物は、すべてが独立して見るとアクセプター特性を有すると通常考えられる層を有していてもよい;しかしながら、層が、例えば、アクセプター強度が勾配をもって(in a gradient order)形成される際には、第一の層は第二の層に比してドナーとして作用し;第二の層は第三の層に比してドナーとしてなど挙動する。このような勾配変更を用いた組成物は、例えば、下記式によって示される:
【0076】
【化13】
Figure 0004460761
【0077】
勾配層は逆電子移動(back electron transfer)を妨げ、膜の、及びやがては膜からの、電流の流れを促進するであろう。
【0078】
好ましい実施態様において、ドナー及びアクセプター間の電荷移動の効率は、ドナー及びアクセプター層間に電荷ジェネレータ層を取り込むことによって向上する。電荷ジェネレータの取り込みは薄膜材料における電荷分離の量子収量を増加する。好ましい薄膜は、電荷ジェネレータ層を有する一またはそれ以上のアクセプター層の領域に連結される一またはそれ以上のドナー層の領域から構成される。この薄膜の構造は図14に示される。
【0079】
電荷ジェネレータ層は、「支柱」が、その励起状態が、電子移動を容易にする大きな局所場を作製する、大きなダイポールモーメントを有する点で特徴を有する、支柱−置換金属ホスホネート/アルソネートから構成されるドナー/アクセプター層と同様の構造を有する。この電荷ジェネレータは、直接光を吸収することによって励起されてもあるいは励起を励起されたドナーまたはアクセプターから電荷ジェネレータに移動させてもよい(図15)。多層薄膜に電荷ジェネレータとして使用できる材料の例としては、以下に制限されるものではないが、スティバゾリウム(stibazolium)化合物、非対称ジアゾ化合物及び他の材料が挙げられる。電荷ジェネレータとして使用できるいくつかの好ましい材料としては、下記式によって示されるものがある:
【0080】
【化14】
Figure 0004460761
【0081】
ただし、R1及びR2は、−PO32、−AsO32、−SH、−NH2等の安定した反応性を有する。
【0082】
好ましい非対称ジアゾ電荷ジェネレータ材料の合成方法の例は、下記プロセスに従う:
【0083】
【化15】
Figure 0004460761
【0084】
このましいスティバゾール(stibazole)電荷ジェネレータ材料の合成方法の例は、下記プロセスに従う:
【0085】
【化16】
Figure 0004460761
【0086】
これらの材料は、2種の共鳴形態を有する;非荷電形態は基底状態の基本(dominant)形態であると予想され、また、両性イオン性のものは励起状態の形態であるべきである。例えば、好ましいスティバゾリウム(stibazolium)化合物のフェノキシド類似体のダイポールモーメントの方向及び大きさを下記で説明する:
荷電共鳴形態のダイポールモーメントは大きく、非荷電形態の方向と反対方向であることが好ましい。電荷ジェネレータ材料を多層構造のドナー及びアクセプター領域間の界面におくと、高ダイポール領域形態(即ち、高電界)が、図15に示されるように、ドナーからアクセプター領域への電荷移動を誘導するであろう。
【0087】
好ましい電荷ジェネレータ材料は高延伸薄膜の成長を容易にするであろう非対称化合物として好ましい;これらの電荷ジェネレータ「支柱」の層は多層薄膜においてドナー層及びアクセプター層の順で形成される。電荷ジェネレータ(例えば、スティバゾリウム(stibazolium)化合物)の膜層を成長させるために、「支柱」をよく配列されたように沈積することが好ましい。これは、化学的に異なる末端を有する電荷ジェネレータ化合物を用いることによって達成できる。例えば、電荷ジェネレータ「支柱」の一端のホスホネート(phosphonate)基を用いて、分子の一端を最後に形成されたドナー/アクセプター膜層の暴露された金属表面に結合する。次に、電荷ジェネレータ「支柱」の他端で使用されたアミン基(amine group)を、POCl3またはAsOCl3及びルチジンで処理することによってホスホネート/アルソネートに変換する。さらに、表面をZrX4等の金属錯体で処理することによって、金属リッチな表面を得る。このプロセスを図18に示す。これにより、電荷ジェネレータ層を形成する方法は、アミン基をホスホネート/アルソネートに変換するさらなる段階を付加する以外は、図4に示されるのと同様である。この方法を用いることにより、図14に示されるようなドナー/電荷ジェネレータ/アクセプター膜を調製できる。電荷ジェネレータの励起状態は、ドナー及びアクセプター膜に、それぞれ、ホール及び電子を注入するであろう。図14は電荷ジェネレータの一方向のみを示すものであるが、膜をまずアクセプター層で成長させる際には、電荷ジェネレータを、イミン末端のホスホネート/アルソネート及びジビニルアミノ末端の遊離アミン基で電荷ジェネレータ化合物を調製することによって反対方向で成長させてもよい。
固体錯体
上記化合物内の貯蔵される化学エネルギーの利用を可能にするために、第二の実施態様はより開放性構造からなる。外部試薬が光生成化学エネルギーに容易に接近できることが開放性構造の長所である。これらの固体は、さらに支柱中に点在する他のより小さいリガンドからなる第一の実施態様の支柱の混合物から構成される。これらのより小さい部材は上記した新たな固体中に開放スペースを残す。様々な特性及び大きさを有する広範な様々なより小さい部材がこれらの固体を調製するのに用いることができ、これにより非常に多様な固体群が得られる。この第二の実施態様の物質に関する一般式は以下の通りである:
【0088】
【化17】
Figure 0004460761
【0089】
ただし、
1、Y2、Z、X、MeY、p及びqは、上記定義と同様であり;
3は、リンあるいは砒素であり;
nは、0.1から0.8までの値を有し;および
3は、非還元性キャッピング基(capping group)である。
【0090】
基材上の膜として好ましく製造される第一の実施態様の材料に対して、第二の実施態様の材料は結晶または非晶質固体として好ましく製造される。しかしながら、第一の実施態様の膜と同様、ゼロ原子価のVIII族金属をこれらのマトリックス中に含ませてもよい。
【0091】
式XVから明らかなように、2つの異なるリガンドは金属Me1及びMe2と錯体を形成する(complex)。これらのうち第一のリガンドは式III、即ち、Y13−Z−Y23で使用されるものに類似しており、このようなリガンドはそれぞれ2つの錯体を形成する(complex)ことができる。第二のリガンド、Y333、は、たった一つの金属原子と錯体を形成する(complex)ことができる。したがって、全体の構造は、支柱として機能するY13−Z−Y23基と金属Me1及びMe2との一連の平行した層として見なされる。Y333基は、これらの支柱間の金属層から伸張し、支柱間の一連の「鍾乳石(stakactite)」および「石筍(stalagmite)」であるのと同様に形成する。このようにして得られる構造は各−Z−基周辺に一連の間隙を有する。これらの間隙の寸法及びこれらが規定する表面の疎水性はR3の選択によって制御できる。したがって、メチル等の比較的小さいR3基を選択してより大きな間隙を作製することも、またはフェニル若しくはベンジル等の比較的大きいR3基を選択して比較的より小さな間隙を作製することもできる。同様にして、R3にプロピル等の炭化水素基を使用することによって間隙の規定表面に疎水特性を付与することも可能であり、またはカルボキシ等の親水基で置換されるR3基を用いることによって疎水性を減少させことも可能である。適当なR3基の例としては、以下に制限されないが、H、CH3、CH2Cl、CH2CH3、CH2CH2CH3、OH、O-、及びOCH3が挙げられる。
【0092】
これらの間隙があるため、各段階の後ではなく、錯体の形成後にVIII族金属を導入し、さらに前記したようにしてこれらを原子価ゼロにまで還元することも可能である。この際、式XVの錯体をVIII族金属の可溶性陰イオン塩の水溶液で処理し、得られた組成物を水素で処理することによって、コロイド形態のVIII族金属を製造する。これらの組成物は前記したのと同様に触媒として使用できる。
【0093】
さらに、これらの間隙によって、錯体中に様々な分子が通過できる。例えば、酸素をマトリックス中に入れた後、−Z−基を酸化させることができる。還元状態の−Z−基は着色するが、酸化状態の−Z−基は白色あるいは黄色であるため、このような現象を用いて非常に低レベルの酸素を検出できる。
【0094】
加えて、間隙の寸法を制御できることによって、これらの材料を目的とする反応に使用することができる。例えば、間隙の寸法をアセトフェノン(acetophenone)分子は通過できるがより嵩高の3,5−ジ−t−ブチルアセトフェノン(3,5-di-tert.butylacetophenone)分子は通過できないように選択すると、アセトフェノン(acetophenone)及び3,5−ジ−t−ブチルアセトフェノン(3,5-di-tert.butylacetophenone)の混合物においてアセトフェノンを選択的に還元することが可能である。
【0095】
本錯体は、所定のモル比のR3332及びH213□Z□Y232の混合物を金属イオン源で処理することによって調製される。この反応は、還流によってまたは熱水により行われ、生成物は容易に単離、精製できる。
【0096】
これらの多孔性固体は、酸素を固体内部に容易に拡散させるため空気中で光化学活性を示さない。多孔性固体に嫌気性条件下で紫外線を照射すると、密な固体で観察されるのと同様の活性物質、即ち、還元電子アクセプターが形成される。興味深いことに、これらの開放性固体の光化学効率は密な物質よりもかなり大きい。嫌気条件下で照射された開放性固体を空気で処理すると、速やかに漂白される。酸素は固体中を自由に拡散し、光生成した還元電子アクセプターと反応できる。還元電子アクセプターと酸素との反応生成物は過酸化水素である。したがって、これらの材料は過酸化水素の光化学的な製造用触媒として使用できる。
【0097】
固体から拡散する可動性の高エネルギー化学物質を生成することによって光化学的に貯蔵されたエネルギーを抽出することが望ましい。最終的には、コロイド金属粒子を好ましいバイオロゲンを含む固体中に導入する。これらの金属は、還元バイオロゲンを水と反応させて水素ガスを生成するための触媒として作用することが公知である。実験によって、第二の実施態様の物質を用いることにより太陽エネルギーを水素ガスの形態の化学エネルギーに変換することができることが良好に示された。上記方法としては以下を含む:1)還元バイオロゲンの光生成、2)還元バイオロゲンからコロイド金属粒子への電子の移動、3)金属粒子のプロトン化、および4)水素ガスの除去。真の触媒であれば、これらの材料は反応を前にも後ろにも同等に加速するため、「金属化(metallized)」材料を水素で処理すると、いくらかの量の還元バイオロゲンが生成する。これを基礎として、これらの材料は還元剤として使用できる。光化学エネルギーは還元バイオロゲンを生成する必要はない:水素を用いて同様の結果が得られる。上記還元バイオロゲンの化学的な生成方法は以下の通りである:1)水素の金属粒子への添加、2)金属粒子から還元バイオロゲンを形成するバイオロゲン分子への電子の移動、および3)金属コロイドの脱プロトン化。実験によって、これらの材料のバイオロゲン分子が大気圧下で水素ガスによって定量的に還元されることが示された。
【0098】
これらの多孔性固体の概略図を図2および図3に示す。
【0099】
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、実施例によって本発明の概念が制限されることはなく、本発明の概念は添付された請求の範囲にのみ規定されると考えられる。
【0100】
実施例1
125ml水におけるジエチル−2−ブロモエチルホスホネート(diethyl 2-bromoethylphosphonate)(25g)および4,4’−ビピリジン(7.35g)を3日間還流する。等容の濃塩酸を加え、数時間還流し続けた。この溶液を常圧蒸留によって120mlにまで濃縮し、混合物を氷浴中で冷却しながら550mlのイソプロパノールを攪拌しながら滴下する。形成した固体を真空濾過によって収集し、冷イソプロパノールで洗浄することによって、1,1’−ビスホスホノエチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド(1,1'-bisphosphonoethyl-4,4'-bipyridinium dichloride)が得られる。(1H NMR(D2O)9.1(d),8.5(d),4.2(m),2.0(m)ppm;13C NMR(D2O)151,147,128,58,30ppm;31P NMR(D2O)17.8(s)ppm;IR(KBr)3112,3014,1640,1555,1506,1443,1358,1281,1175,1112,1020,936,816,485cm-1。)
同様にして、2,2−ビピリジニウム(bipyridinium)、3,3−ビピリジニウム、2,2−ビピラジニウム(bipyrazinium)、4,4−ビキノリニウム(biquinolinium)、4,4−ビイソキノリニウム(biisoquinolinium)、4−[2−(4−ピリジニウム)ビニル]ピリジニウム[4-[2-(4-pyridinium)vinyl]pyridinium] 、及び4−[4−(4−ピリジニウム)フェニル]ピリジニウム[4-[4-(4-pyridinium)phenyl]pyridinium]を用いて、それぞれ、1,1’−ビスホスホノエチル−2,2−ビピリジニウムジクロライド(1,1'-bisphosphonoethyl-2,2-bipyridinium dichloride)、1,1’−ビスホスホノエチル−3,3−ビピリジニウムジクロライド(1,1'-bisphosphonoethyl-3,3-bipyridinium dichloride)、1,1’−ビスホスホノエチル−2,2−ビピラジニウムジクロライド(1,1'-bisphosphonoethyl-2,2-bipyrazinium dichloride)、1,1’−ビスホスホノエチル−4,4−ビキノリニウムジクロライド(1,1'-bisphosphonoethyl-4,4-biquinolinium dichloride)、1,1’−ビスホスホノエチル−4,4−ビイソキノリニウムジクロライド(1,1'-bisphosphonoethyl-4,4-biisoquinolinium dichloride)、1−ホスホノエチル−4−[2−(1−ホスホノエチル−4−ピリジニウム)ビニル]ピリジニウムジクロライド[1-phosphonoethyl-4-[2-(1-phosphonoethy-4-pyridinium)vinyl]pyridinium dichloride)、および1−ホスホノエチル−4−[4−(1−ホスホノエチル−4−ピリジニウム)フェニル]ピリジニウムジクロライド[1-phosphonoethyl-4-[4-(1-phosphonoethyl-4-pyridinium)phenyl]pyridinium dichloride]が得られる。
【0101】
相当するジブロミド(dibromide)またはジスルフェート(disulfate)等の他のカチオン種は、本実施例の方法において塩酸の代わりに濃臭化水素酸または硫酸等の相当する酸を使用することによって得られる。
【0102】
実施例2
融解シリカの平板基材(9×25mm)を30%過酸化水素及び濃硫酸の1:3溶液で清浄し、200℃で1時間乾燥した後、50mlのオクタンにおける2%(v/v)3−アミノプロピルトリエトキシシランの還流溶液で20分間処理する。
【0103】
基材をオクタン及びアセトニトリルで洗浄し、アセトニトリルにおける10mMの各オキシ塩化リン及び2,6−ルチジンの溶液で室温で12時間処理する。水でリンスした後、基材を65mMのオキシ塩化ジルコニウム溶液で室温で3時間処理する。
【0104】
前記方法を用いて、シリコンウェファーや蒸着金フィルム等の他の基材上に多層フィルムを調製できる。
【0105】
次に、この基材に順次以下の2段階を施す。
【0106】
A)オキシ塩化ジルコニウム溶液を除去した後、サンプルを脱イオン水でよくリンスし、6mMの1,1’−ビスホスホノエチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライドで80℃、4時間処理した後、脱イオン水でよくリンスする。(処理後、吸光度を284nmで測定したところ、4,4’−ビピリジニウムビスホスホネート(4,4'-bipyridinium bisphosphonate)に関する実測吸光係数は265nmで24,000M-1cm-1である。)
B)次に、サンプルを65mMのオキシ塩化ジルコニウム溶液で室温で1時間処理し、脱イオン水でよくリンスする。
【0107】
段階A及びBを1サイクル終了すると、kが1である式IIIの複数の金属錯体が平面上のシリカ支持基材上に得られる。段階A及びBを繰り返すことによって、kが1つずつ増加する。層の数、即ちサイクルの数は、以下に示されるように、284nmでの吸光度に相関する:
【0108】
【表1】
Figure 0004460761
【0109】
実施例3
実施例2の方法において1,1’−ビスホスホノエチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(1,1'-bisphosphonoethyl-4,4'-bipyridinium dibromide)を代わりに使用することによって、以下の吸光度を有する一連の多層組成物が得られる:
【0110】
【表2】
Figure 0004460761
【0111】
実施例4
高品質のフィルムは、以下の方法に示されるように、段階Bにおいてジルコニウムの代わりに、例えば、ハフニウム、チタン、錫、ガリウム等の他の金属を用いることによっても得られる。
【0112】
平板溶融シリカ基材(9×25mm)を実施例2と同様にして清浄し、3−アミノプロピルトリエトキシシランの層を、ハラー(Haller)、ジェー アム ケム ソク(J. Am. Chem. Soc.)、100巻、頁8050(1978年)の方法を用いて気相から沈着させた。基材を実施例2と同様にしてリン酸化して、洗浄し、オキシ塩化ハフニウム(hafnyl chloride)の65mM水溶液10mlで室温で3時間処理する。
【0113】
または、(A)6mMの1,1’−ビスホスホノエチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド及び20mMの塩化ナトリウムを含む水溶液で80℃、4時間処理ならびに(B)65mMのオキシ塩化ハフニウム水溶液で室温で1時間処理し、各段階後に脱イオン水でよくリンスすることによって、以下のような284nmでの分光光度計による特性を有する一連の多層組成物が製造される。
【0114】
【表3】
Figure 0004460761
【0115】
実施例5
1回以上段階Aを行った後であって相当する段階Bを行う前に、6mMのジポタシウムプラチナムテトラクロライド(dipotassium platinum tetrachloride)水溶液中にサンプルを0.5時間浸漬することにより1つの四塩化白金(platinum tetrachloride)を2つの塩化物陰イオンに交換することによって、実施例2を修飾する。次に、段階Bを実施例2と同様にして行う。
【0116】
段階A及びBの最終サイクルを終了した後、複合材料(composite)を水中に懸濁し、水素ガスを混合物中に2時間バブリングする。白金を、全体のマトリックス中に取り込まれたゼロ原子価のコロイド状態にまで還元する。
【0117】
実施例6
シリカ粒子(1g)を1時間乾燥器中で加熱した後、シリカ(1g)を含むオキシ塩化ジルコニウム水溶液(60mM)150mlと共に60℃で2日間攪拌する。固体を濾過または遠心によって単離し、150mlの脱イオン水で3回洗浄し、攪拌しながら150mlの1,1’−ビスホスホノエチル−4,4’−ビピリジニウムの20mM溶液で65℃で6時間処理する。固体を水溶液から分離し、脱イオン水で3回洗浄する。
【0118】
次に、固体を150mlのポタシウムプラチナムヘキサクロライド(potassium platinum hexachloride)の20mM溶液で室温で3時間処理することによって、1つの六塩化白金(platinum hexachloride)を2つの塩化物陰イオンに交換する。
【0119】
150mlのオキシ塩化ジルコニウムの60mM溶液を固体に加え、スラリーを室温で3時間攪拌し、脱イオン水で3回洗浄する。
【0120】
前記段階を4回繰り返し、白金陽イオンを含有する5層組成物を製造する。次に、含白金(platinized)材料の水性スラリーを水素で処理することによって、白金イオンをゼロ原子価のコロイド白金金属に変換する。
【0121】
実施例7
オキシ塩化ジルコニウム8水和物(1.444g、4.8ミリモル)を50mlの水に溶解し、50%弗化水素酸(0.756g、19ミリモル)を加える。これに、50mlの水における1,1’−ビスホスホノエチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド1g(2.2ミリモル)及び85%リン酸0.516g(4.5ミリモル)の溶液を添加する。この反応物を7日間還流し、白色結晶生成物を濾過し、水、メタノール、及びアセトンで洗浄し、空気乾燥することによって、以下の混合錯体を得る:
Zr(O3PCH2CH2-ビピリジニウム-CH2CH2PO3(Cl-)2)0.5・(O3POH)
X線回析分析によって、d=14Åであることが示される。赤外線分析は以下の通りである:(IR(cm-1),3126,3056,1633,1562,1499,1450,1217,1055,816,738,647,612,520,471)。31P NMR(ppm)は以下の通りである:3.0,−18.6,−24.5。
【0122】
実施例8
オキシ塩化ジルコニウム8水和物(0.21g、0.7ミリモル)を10mlの水に溶解し、50%弗化水素酸(0.11g、2.8ミリモル)を加える。これに、10mlの水における1,1’−ビスホスホノエチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド0.15g(0.35ミリモル)及び85%リン酸0.0686g(0.6ミリモル)の溶液を添加する。この溶液を45mlのテフロン製のボンベの中に置き、全容積を27mlに調節する。このボンベを密閉し、6日間150℃で加熱することによって、以下の混合錯体を得る:
Zr(O3PCH2CH2-ビピリジニウム-CH2CH2PO3(Cl-)2)0.5・(O3POH)
X線回析分析によって、d=14Åであることが示される。赤外線分析及び31P NMR(ppm)は実施例7の結果と同様である。
【0123】
実施例9
オキシ塩化ジルコニウム8水和物(0.36g、1.12ミリモル)を10mlの水に溶解し、50%弗化水素酸(0.179g、4.5ミリモル)を加える。これに、50mlの3N塩酸における1,1’−ビスホスホノエチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド1g(0.56ミリモル)及び85%リン酸0.129g(0.11ミリモル)の溶液を添加する。この反応物を7日間還流し、白色結晶生成物を濾過し、水、メタノール、及びアセトンで洗浄し、空気乾燥することによって、以下の混合錯体を得る:
Zr(O3PCH2CH2-ビピリジニウム-CH2CH2PO3(Cl-)2)0.5・(O3POH)
X線回析分析によって、d=18.5Åであることが示される。赤外線分析及び31P NMR(ppm)は実施例7の結果と同様である。
【0124】
実施例10
オキシ塩化ジルコニウム(8水和物)(0.361g、1.12ミリモル)を10mlの水に溶解し、50%弗化水素酸0.189g(4.8ミリモル)を加える。1,1’−ビスホスホノエチル−ビピリジニウムジクロライド(0.25g、0.56ミリモル)及び亜燐酸(0.092g、1.12ミリモル)を10mlの水に溶解し、この溶液をジルコニウム水溶液に添加する。この反応物を7日間還流し、白色結晶生成物を濾過し、水、メタノール、及びアセトンで洗浄し、空気乾燥することによって、以下の混合錯体を得る:
Zr(O3PCH2CH2-ビピリジニウム-CH2CH2PO3(Cl-)2)0.5・HPO3
X線回析分析によって、d=18.4Åであることが示される。赤外線分析は以下の通りである:3126,3056,2436,2358,2330,1633,1555,1499,1443,1386,1210,1161,1048,830,731,548。31P NMR(ppm)は以下の通りである:5.5,−9.5。
【0125】
実施例11
0.167g(0.38ミリモル)の1,1’−ビスホスホノエチル−ビピリジニウムジクロライド及び0.123g(1.5ミリモル)の亜燐酸を用いる以外は実施例10の方法に従って、以下の混合錯体を得る:
Zr(O3PCH2CH2-ジピリジニウム-CH2CH2PO3(Cl-)2)0.34・(HPO3)1.32
この物質は非晶質である。赤外線分析及び31P NMR(ppm)は実施例10の結果と同様である。
【0126】
実施例12
0.125g(0.28ミリモル)の1,1’−ビスホスホノエチル−ビピリジニウムジクロライド及び0.138g(1.68ミリモル)の亜燐酸を用いる以外は実施例10の方法に従って、以下の混合錯体を得る:
Zr(O3PCH2CH2-ビピリジニウム-CH2CH2PO3(Cl-)2)0.25・(HPO3)1.50
この物質は非晶質である。赤外線分析及び31P NMR(ppm)は実施例10の結果と同様である。
【0127】
実施例13
オキシ塩化ジルコニウム(8水和物)(0.151g、0.47ミリモル)を10mlの水に溶解し、50%弗化水素酸(0.079g、1.9ミリモル)を加える。1,1’−ビスホスホノエチル−ビピリジニウムジクロライド(0.105g、0.24ミリモル)及びメチルホスホン酸(0.045g、0.47ミリモル)を10mlの水に溶解し、この溶液をジルコニウム水溶液に添加する。この反応物を7日間還流し、白色結晶生成物を濾過し、水、メタノール、及びアセトンで洗浄し、空気乾燥することによって、以下の混合錯体を得る:
Zr(O3PCH2CH2-ビピリジニウム-CH2CH2PO3(Cl-)2)0.5・(CH3PO3)1.0
この物質は非晶質である。赤外線分析は以下の通りである:(IR(cm-1),3450,3133,3056,2922,1633,1555,1499,1450,1309,1168,1027,823,781,527)。
【0128】
実施例14
実施例8に記載されたのと同様にして、0.93ミリモルのオキシ塩化ジルコニウム、0.34ミリモルの1,1’−ビスホスホノエチル−ビピリジニウムジクロライド、及び0.90ミリモルの3−アミノエチルホスホン酸をボンベ中で150℃に加熱する。同様にして単離すると、非晶質の混合錯体は以下のIRスペクトルを示す:(IR(cm-1),3500,3126,3055,1646,1548,1499,1443,1379,1154,1041,865,823,760,731,541,499)。
【0129】
実施例15
実施例7または実施例8のいずれかに記載された方法と同様にして、オキシ塩化ジルコニウム、1,1’−ビスホスホノエチル−ビピリジニウムジクロライド、及び以下の表に示されるリン含有コリガンド(co-ligand)を反応させた。
【0130】
【表4】
Figure 0004460761
【0131】
これによって、以下の式の混合錯体が製造される:
Zr(O3PCH2CH2-ビピリジニウム-CH2CH2PO3(Cl-)2)0.5・R3PO3
これらの生成物に関するデータは以下の通りである:
【0132】
【表5】
Figure 0004460761
【0133】
実施例16
実施例7で調製した錯体である、Zr(O3PCH2CH2−ビピリジニウム−CH2CH2PO3(Cl-20.5・(O3POH)(0.05g)をジポタシウムプラチナムテトラクロライド(dipotassium platinum tetrachloride)の10mM水溶液10mlと共に室温で2日間攪拌する。反応期間中で、固体は白色から黄色に変化する。次に、固体を瀘過により単離し、脱イオン水のみで洗浄し、空気乾燥する。固体を脱イオン水中に懸濁し、水素ガスで混合物を10時間バブリングする。固体は黄色から深い紫色に変化する。固体を瀘過により単離し、脱イオン水で洗浄し、空気乾燥すると、茶色の固体が得られる。
【0134】
実施例17
クロム金属フィルム上に沈着させさらにガラス上に沈着させた金の基材を、前記したのと同様にして、まず3−アミノプロピルトリエトキシシランで、次にオキシ塩化リンで処理した後、実施例2の工程を3回施して、kが3である式IIIの組成物を調製する。
【0135】
この組成物は、飽和カロメル電極に対して−0.74Vで可逆的な還元波を示す。水中では、同様の標準電極に対して−1.4V未満で不可逆的な還元を示す。
【0136】
実施例18
1cm2セル中に犠牲還元体としての5mlの0.1Mエチレンジアミン4酢酸2ナトリウム中における25mgの実施例6と同様にして調製された組成物に200ワットHg/Xeランプを照射する。水素レベルを、ガスクロマトグラフィーで測定する。18時間の光分解による水素生成速度は0.07ml/時間である。330nmカットオフフィルター(G>330nm)を介して光を通すと、1オーダー倍以上で水素の生成速度が減少する。フィルターを除くと、サンプルは前と同等に水素を光生成する。このシステムにおける水素形成に関する量子収率(2×H2のモル/G<330nmで入射する光量子のモル)は0.008である。
【0137】
第二の実施態様の好ましいクラスの組成物は、多孔性バイオロゲン金属ホスホネートマトリックスにおけるPt及びPdのコロイド粒子から構成される。これらの材料は他のPt+Pd触媒とは非常に異なる;バイオロゲン基は関連する化学において有意な相違を醸し出す。還元バイオロゲンによる酸素の還元率はコロイド金属粒子によるよりもかなり大きいので、酸素の還元を、(デュポン(DuPont)の特許の材料における場合と同様に)コロイド表面ではなく、還元バイオロゲンによって行われる。固体を調製する方法の性質によって、塩化物または臭化物の「促進剤(promoter)」を入れることは避けられない。広範な様々な物質が試験された。高活性の化合物はビスホスホン酸及びホスフェート(例えば、Me(O3P−OH)1(O3P−Z−PO30.5・nH2O・Pt/Pd)の混合物を含む。R3がOHであるホスフェートコリガンドを有する化合物は、R3がH、CH3、CH2Cl、CH2CH3、またはCH2CH2CH3である化合物に比べて10から100倍活性が高いことが分かった。広範な様々なPd:Ptの割合もまた試験された。触媒を試験して、均一性及び組成を決定した。サンプルをHFに溶かして、得られた溶液をICPで分析して全金属組成(Zr、Pt及びPdの重量%、表3を参照)を得た。単一の粒子を電子マイクロプローブで分析したところ、粒子全体に均一なZr:Pt:Pd率を有することが分かった。
【0138】
広範な様々な電子受容群が、水素による還元(コロイド金属粒子を介した)にさらには過酸化水素や他の還元物質の形成用触媒としての使用に供せる上記構造物に関連できる。
【0139】
以下に、同一条件下で行われた本発明の新規な触媒と他のPt+Pd触媒との並行した比較結果を示す。(表3を参照)。本発明の物質及び他の物質双方における貴金属(Pt+Pd)量を分析した後、これらの分析結果を用いて各場合における貴金属の等量を有する実験における触媒量を測定する。この比較を、大気圧下での水素及び酸素の混合物で行った。高圧力では、定常状態での過酸化水素の濃度(上記式1及び2の速度がH22の濃度が期間中一定であるように一致する)が上昇する。
【0140】
【表6】
Figure 0004460761
【0141】
本発明による数多くの様々な物質である、表面積の大きい支持体上に成長する多孔性バルク固体(bulk solid)及び薄膜の双方を調製及び研究した。
【0142】
バルク固体(bulk solid)は、まず、式XVの層状多孔性固体を調製することによって調製される;次に、ハロゲン化物イオンをポリハロメタル陰イオン(polyhalometal anion)(PtCl4 2-等)にイオン交換する;さらに、ポリハロメタルイオン(polyhalometal ion)を水素で還元して含浸金属粒子を含む多孔性固体を得る。
【0143】
イオン交換反応を行うにあたって、温度を上げることが必要であることが分かった。室温では、PtCl4 2-の方がPdCl4 2-に比べて優先的に処理されるため、調製される溶液よりPtを多く含む固体が得られる。イオン交換を高い温度で行う際には、交換は均一であり、固体の組成は溶液のものと完全に一致する。
【0144】
以下の実施例に関するZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Clを、上記実施例7、8及び9と同様にして調製した。次に、様々な割合の白金及びパラジウムを以下のようにして導入した:
実施例19
Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°Pt°Pd-58:
170mgのZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Clを、4.6mlのPdCl2(7.3×10-3M)及び2.8mlのK2PtCl4(6.1×10-3M)と混合した。この混合物を1時間一定に攪拌しながら60℃に加熱した。黄色の粉末を濾過し、水で3〜4回洗浄した。黄色の固体を水中に懸濁し、水素ガスを60℃で0.5時間バブリングした。灰色/黒色の固体を濾過し、まず水で、次にエタノールで洗浄した。次に、この固体を空気乾燥した。0.0072gの上記固体を濃HCl、数滴の濃硝酸及び数滴の59%HF中に溶解した。この溶液を100mlに希釈し、Zr、Pt、及びPdに関してICPによって分析した。溶液の分析結果(ppm)は、Zr=14.05;Pt=1.01;Pd=0.73である。
【0145】
実施例20
Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°Pt°Pd-32:
260mgのZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Clならびに0.11MのK2PdCl4と6.4×10-3MのK2PtCl4の溶液3mlを、一定に攪拌しながら30分間60℃に加熱した。このようにして得られた黄色の固体を濾過し、水の数回洗浄した。この固体を水中に再懸濁し、第一の合成において記載したのと同様にしてH2ガスで処理した。0.0136gの乾燥固体を溶解し、前記と同様にして分析した結果(ppm)は以下の通りである:Zr=24.72;Pt=0.69;Pd=1.5。
【0146】
実施例21
Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°Pt°Pd-00:
200mgのZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Clを、1mlの0.11MのK2PdCl4及び0.18mlの1.6×10-3MのK2PtCl4で処理し、前記実施例と同様にして水素化した。0.117gの最終黒色固体を濃HCl、数滴の濃硝酸及び数滴の50%HF中に溶解した。この溶液を25mlに希釈した。溶液を分析結果は以下の通りである:Zr(ppm)=48.92;Pt=検出されず;Pd(ppm)=6.75。
【0147】
実施例22
Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°Pt°Pd-30:
200mgのZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl、1mlの4.8×10-2MのK2PdCl4、及び0.275mlの4.7×10-2MのK2PtCl4を、20分間60℃で攪拌した。このようにして得られた黄色の固体を濾過し、水で洗浄して、前記と同様にして水素化した。0.0125gの固体を前記と同様にして溶解し、分析を目的として25mlに希釈したところ、Zr=49.91ppm、Pt=2.15ppm、Pd=4.92ppmであった。
【0148】
実施例23
Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°Pt°PD-11:
500mgのZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Clを、15mlの7.4×10-3MのK2PdCl4及び0.99mlの5.1×10-3MのK2PtCl4と共に6時間還流した。固体を、前記と同様にして、濾過、洗浄した。固体の水素化を、1時間行った以外は前記と同様にして行った。0.0172gの固体を前記と同様にして溶解し、分析を目的として25mlに希釈したところ、Zr=70.29ppm、Pt=1.18ppm、Pd=9.10ppmであった。
【0149】
実施例24
Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°Pt°Pd-093:
500mgのZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl、15mlの7.4×10-3MのPdCl2及び0.99mlの5.1×10-3MのK2PtCl4を、65時間還流した。前記実施例と同様にして、濾過、洗浄、及び水素化した。0.018gの固体を前記と同様にして溶解し、分析を目的として25mlに希釈したところ、Zr=127.98ppm、Pt=0.78ppm、Pd=7.72ppmであった。
【0150】
実施例25
Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°Pt:
200mgのZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Clを、K2PtCl4の5.1×10-3M溶液2mlで60℃で1時間処理した。前記実施例と同様にして、濾過、洗浄、及び水素化した。0.0162gの固体を用いて25mlの溶液を分析を目的として調製したところ、Zr=117.9ppm;Pt=20.01ppmであった。
【0151】
実施例26
Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°Pd:
100mgのZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl、及び1mlの6.3×10-2MのPdCl2を、60℃で4時間処理した。オレンジ色の固体を、前記実施例と同様にして、濾過、洗浄、及び水素化した。0.0131gの固体を前記と同様にして分析を目的として25mlに溶解したところ、Zr=92.96ppm;Pd=8.54ppmであった。
【0152】
この物質を、以下のようにして、多段階工程で表面積の大きい支持体上で成長させる。イオン交換は、フィルムを成長させながらまたはフィルムを調製した後に行ってもよい。
【0153】
実施例27
SiO2°Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°の合成:
1gのシリカゲル(セレクト,インコーポレイション(Selecto, inc.)製、カタログ番号162544、ロット番号216073)を200℃で1時間加熱した。これを150mlの65mMのZrOCl2で60℃で2日間処理した。この後、20mMの(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl、20mMのリン酸、及び60mMのNaClから構成される溶液150mlで60℃で18時間処理した。これらの処理を4回繰り返した。最終的には、薄黄色の固体を水で洗浄して乾燥した。
【0154】
実施例28
SiO2°Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl°Pt°Pd-21:
270mgのSiO2°Zr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Clを、0.12MのK2PdCl4及び6.4×10-3MのK2PtCl4の溶液3mlで60℃で1時間処理した。濾過及び洗浄した。前記実施例と同様にして、固体を水素化した。0.0494gの固体をHCl、HNO3、及び50%のHF中に溶かし、25mlに希釈した。分析結果は以下の通りである:Zr=166.8ppm、Pt=2.97ppm、Pd=10.89ppm。
【0155】
実施例29
サンプルを実施例19〜28の各化合物の合成方法に記載されたのと同様にして調製した。これらの溶液の金属含量をICPによって測定した。バイオロゲンの重量比(重量%)をZr値から評価したところ、1バイオロゲン分子当たり2個のZr原子が固体中に存在すると考えられた。バイオロゲン単位は、C1082であると求められた。得られた結果を下記表4に示す。
【0156】
【表7】
Figure 0004460761
【0157】
過酸化水素の形成:
本発明の材料は過酸化水素の製造用触媒として使用できる。方法は、触媒の水性懸濁液を酸素源及び水素源で処理することからなる。酸素源としては、純粋な酸素、空気、オゾンまたは窒素酸化物が挙げられる。懸濁液は、システムのpHを制御するために、酸または塩基を含ませてもよい。
【0158】
実施例30
一定量の各触媒をそれぞれ50mlのプラスチックチューブに入れた。0.1M HClにおける0.15mMアセトニトリル溶液10mlを各チューブに添加し、チューブをゴム栓で密閉した。酸素と水素の混合物を懸濁液にバブリングさせた。場合によっては、O2ではなく空気を使用した。1時間から開始して(約28時間まで)、順次間隔をあけて、蒸発による溶液の容積の損失を0.1M HClにおける0.15mMアセトニトリル溶液を添加することにより補い、一定量の反応混合物を抜き、あらかじめ硫酸中で調製された硫酸チタン溶液で5mlに希釈した。この溶液の410nmでの吸光度を記録した。比色分析を同様の溶液をKMnO4で滴定することによって調べたところ、非常に精度が高いことが分かった。表4は、合成されたおよび/または使用された化合物の元素分析結果を示すものである。データは、様々な段階での及びPdに対するPtの様々な割合などの様々な条件下での及び数多くのpHでの過酸化水素の製造における化合物の触媒特性を示すものである。
【0159】
表5に列挙されるデータは、本発明による2種の好ましい物質および他の触媒に関するH22産生量を表すものである。表6は、本発明による他の化合物及び他の化合物に関する同様の試験データを示すものである。表7は、様々なPdに対するPt比を有する数種の触媒に関して収集されたデータを示すものである。表8は、多くの異なるpHでのデータを示すものである。
【0160】
【表8】
Figure 0004460761
【0161】
【表9】
Figure 0004460761
【0162】
【表10】
Figure 0004460761
【0163】
【表11】
Figure 0004460761
【0164】
【表12】
Figure 0004460761
【0165】
【表13】
Figure 0004460761
【0166】
上記実施例はすべて、大気圧での反応に関するものである。2つのパラメーターが上記に関しては重要であり、これらは過酸化水素形成の初期速度及び過酸化水素の定常状態の濃度である。定常状態の濃度はシステムが過酸化物が形成されるのと同じ速度で過酸化物から水を生成する時の濃度を示し、初期速度は過酸化水素形成速度の指標である。観察された最良の定常値は140mMであった(表5)。定常状態では、酸素還元の速度(式3)と過酸化水素還元の速度(式4)が、過酸化水素濃度が一定であるため、等しい。上記実験における反応の初期速度は30回転数/時間(システムに存在するバイオロゲンのモルに対して)である。上記実験を、Rが0.093でありかつH2:O2が1:5の混合物を有する触媒を用いて行った。同様にして処理された最良のデュポン(DuPont)製の触媒(Du−D)は定常状態でたった77mMの過酸化水素しか製造しなかった。H2及びO2の混合物が酸素を多く含むように(即ち、H2:O2=1:10)作製されるので、過酸化水素の製造量は減少する。
【0167】
他の触媒は、非常に早く良好な活性画分を失う。これを試験するために、我々は、一触媒サンプルを用いていくつかの実験を逐次行った。結果を表9に示す。危険を最小限にするために、過酸化物濃度に関する定常値が上記数に比べて低くなるように、水素及び空気の混合物を上記実験で使用した。最初の3実験は、非常に類似する過酸化物の産生レベルを示す。4番目の実験は、最初の3実験にくらべて低い活性レベルを示す。この活性レベルは、同様の条件下でのデュポン(DuPont)製の触媒で観察されたものに比べると依然としてかなり高い。元素分析から、4番目のサイクルの後のPt及びPdの重量比(重量%)は若干増加したが、Zrの量は減少したことが示される。この観察結果から、活性の減少は金属ホスホネートの部分的な溶解に比例して起こらなければならないことが示唆される。
【0168】
【表14】
Figure 0004460761
【0169】
実施例31
高圧過酸化水素の形成:
数多くの実験を、70mlの圧力容器中で様々なガス圧(H2、O2、N2)の組み合わせで行った。5mlの0.1M HCl及び25mgのZr(O3POH)(O3PCH2CH2ビピリジニウムCH2CH2PO3)Cl*Pt*Pd*−14を容器に添加した。所定圧の酸素、水素、及び窒素の混合物を容器に加えた。反応を様々な時間行った。(表10)。H22濃度は、大気圧での実験で得られた濃度と同様である(上記参照)。データから、反応容器の容積が増加するかまたは圧力が増加するとより高いH22濃度が得られる、即ち、PH2及びPO2が5倍増加すると結果は1モルのH22であることが示される(例えば、表10における実施例2を参照)。
【0170】
【表15】
Figure 0004460761
【0171】
実施例32
ホスホネート誘導ポリマー鋳型の合成:
ジエチル−4−ブロモブチルホスホネートを、亜リン酸トリエチルによるBr(CH24Brのミカエリス−アルブゾフ転位(Michaelis-Arbuzov Rearrangement)によって作製した。1,4−ジブロモブタン(21.5g、100ミリモル)及び亜リン酸トリエチル(6.65g,40ミリモル)を6時間150℃に加熱した。未反応の1,4−ジブロモブタンを真空蒸発により除去した。
【0172】
ポリ(4−ビニルピリジン)(PVP)をジエチル−4−ブロモブチルホスホネートでアルキル化して、ポリマー(PVP−C4P)を得た。PVP(1g、9.5ミリモル)を、ジエチル−4−ブロモブチルホスホネート1.48g(5.4ミリモル)を含む60ml N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解した。この混合物を60℃で2時間撹拌し、DMFを真空下で除去した。残った固体をメタノールとエチルエーテルの1:4(v/v)の混合物で洗浄した後、エーテル中で2時間還流した。この固体サンプルを濾過し、乾燥した。次に、乾燥サンプルを30ml塩化メチレンに溶かし、12gのブロモトリメチルシランを加えて、この混合物をAr雰囲気下で6時間撹拌した。H2O(80ml)を加えて、溶液をさらに1時間撹拌した。水相を分離し、真空下で除去することにより、黄色−茶色の固体(PVP−C4P)を得た。PVP−C4PのCHN分析では、C:55.76、H:6.67、N:8.20であった。この分析結果は、25%のピリジル基がアルキル化されたものと一致する。[C77N]3[C1117NO3PBr]*3H2OのCHN分析は、C:55.57、H:6.41、N:8.10である。PVP−C4PのNMRスペクトルは、物質のポリマーの性質により、比較的広い線から構成される。3個のブロードが、8.2、6.6及び1.6ppmでd6−DMSO/D2Oの1H NMRスペクトルで認められ、この際、積分強度は1、1及び2.4である。2個のダウンフィールドピークがピリジル/ピリジニウム共振によるものであり、1.6ppmのピークが窒素に結合するもの以外はすべてのCH2基による(モデル化合物に基づいて、この後者のピークはHDO下で落ちると予想される)ものである場合には、1:1:2.3の割合でなければならないので、この割合は25%誘導と一致する。
【0173】
実施例33
白金コロイドを、クエン酸ナトリウムによるヘキサクロロ白金溶液の還元によって調製した。この還元は、均一な粒度を得るために温度を90℃に維持した以外は、ブラッガー(Brugger)らによって記載されるのと同様であった(ピー ブラッガー(P. Brugger)、ピー クエンデット(P. Cuendet)、エム ガゼル(M. Gatzel)、ジェー アム ケム ソク(J. Am. Chem. Soc.)、(1981年)、103巻、頁2923)。K2PtCl6(40mg)を300mlの蒸留水に溶解し、溶液を90℃に加熱した。クエン酸ナトリウム水溶液(30ml、1重量%クエン酸ナトリウム)を添加し、溶液を3時間撹拌した。コロイド懸濁液を室温まで冷却した後、アンバーライト−MB−1(Amberlite-MB-1)交換樹脂を加え、混合物を撹拌して、溶液の伝導率が5mS/cm未満になるまで過剰のクエン酸塩を除去した。
【0174】
実施例34
PVP−C4におけるジルコニウムバイオロゲン−ビスホスホネート(ZrVP)の成長
ポリマーPVP−C4P(5mg)を上記の50mlのPtコロイド懸濁液に溶解した。Pt:ポリマーの重量比は1:2.5である。混合物を1時間振盪して平衡に達した後、0.3gmのZrOCl2・8H2OをPVP−C4P/Pt懸濁液に溶解した。この混合物を、Zr4+イオンをポリマーのホスホネート基と完全に反応させるため、室温で一晩振盪した。次に、混合物を蒸留水で透析して、遊離イオンを除去した。使用した透析チューブの分子量カットは12,000〜15,000であった。
【0175】
透析を水の伝導率が5mS/cm未満になるまで行った。懸濁液をフラスコに注ぎ、0.04gのバイオロゲンビスホスホン酸を添加し、混合物を60℃で一晩振盪し、同様の透析プロセスを伝導率が5mS/cm未満になるまで行った。ZrVP材料の多層を成長させるために、ジルコニウム及びビスホスホネート処理を5回まで繰り返し行った。
【0176】
実施例35
光化学的水素生成:
光化学的水素生成を、EDTA溶液におけるPtコロイド(実施例34)上のポリマー鋳型ZrVPのサンプルに照射することによって行った。この懸濁液を光化学実験中20℃に維持される1cm四方のセル中に保持した。4mlのサンプル懸濁液及び1mlの0.1M NaEDTA(犠牲還元体)の混合物を、光分解する前に懸濁液にN2をバブリングすることによりよく脱ガスした。次に、サンプルに200ワットHg/Xeアークランプを照射した。水素レベルをGCで測定した。
【0177】
200ワットHg/Xeランプによって0.05M NaEDTAにおいて11mg ZrPV(Cl)を含む懸濁液サンプルを光分解すると、初めの1時間の間の水素の生成速度は0.25ml/時間であった。EDTAはシステムを転換する(turn over)ための犠牲還元体として使用する。水素の生成速度は照射時間が長くなるに従って徐々に減少する。これは、シリカ表面上で成長する多層薄膜に関する減少と類似する。
【0178】
260nmカットオフフィルターに光を通すと、水素の生成速度が約50%減少するが、より長期間約20%より多くの水素を生成する。このシステムにおける水素の光生成の波長の依存性は、ZrPV(Cl)の微結晶及び薄膜サンプル双方において電荷分離状態を形成する際に観察される波長の依存性とよく相関する。
【0179】
実施例36
サンプル及び基材の調製:
ポリマーPVP−C4P(分子量=100,000)を、実施例32に記載される方法によってポリ(4−ビニルピリジン)及びジエチル−1,4−ブロモブチルホスホネートから合成した。H23PCH2CH2(ビピリジニウム)CH2CH2PO32Cl2(V2P)を実施例1に記載されるのと同様にして調製した。単結晶磨きシリコンウェファー及び微視的溶融シリカ(水晶)スライド(〜1×3cm2)及び0.05〜0.1mm厚の金、白金及びパラジウム箔(〜1×0.5cm2)を、それぞれ、基材として使用した。これらを使用する前に濃H2SO4及び30%H22の混合物(3:1(v/v))で清浄して、蒸留水でよくリンスし、500℃で一晩加熱することにより脱ヒドロキシル化(dehydroxylated)表面を得た。
表面初期設定方法:
シリコンウェファー、水晶スライドまたは金属箔ストリップをPVP−C4Pの0.5%(w/w)水溶液中に浸漬した。5分間経過後、スライドを溶液から取り出し、純粋N2を吹き付けることにより乾燥した。ZrOCl2の80mM溶液の薄層をスライドの表面に塗布し、ポリマーのリン酸残基を架橋し、フィルムを空気乾燥した。ポリマーをZr4+イオンでよく架橋させるために、この工程を2回繰り返した。次に、スライドを蒸留水で洗浄し、余分なイオンを表面から除去した。
フィルムの成長:
ZrPV(Cl)化合物の多層を、初期設定された基材を10mM V2P水溶液中に80℃で4時間(段階1)、次に60mM ZrOCl2水溶液中に室温で2時間(段階2)繰り返し浸漬することによって、ジルコニウムを多く含む表面上に作製した。この表面を浸漬工程の間に蒸留水でよくリンスした(段階3)。段階1〜3を1処理サイクル続けた。様々なフィルムを15サイクルまで繰り返すことによって作製した。最終サイクルでは、段階2を通常省略した。
【0180】
実施例37
原子間力顕微鏡(AFM)画像をナノスコープIIIスキャニングプローブミクロスコープ(NanoScope III Scanning Probe Microscope)(ディジタル インスツルメント(Digital Instrument))を用いて得た。表面をシリコンカンチレバー(具体的に、F0 320〜360kHz)によるタッピングモードで画像をとった。サンプルのAFM画像(0.5×0.5μm2)からより細かい特徴が明らかになり、これから、同様にして調製されたフィルムの構造及び厚さは基材の性質に依存することが示される。すべてのサンプルにおいて、フィルムの成長に関してRMS粗さ(RMS roughness)が増加した。
【0181】
AFM画像を調べたところ、すべての場合において、表面上で成長する材料は微結晶から構成されることが示される。これは、表面の粗さを平滑にするZn及びCuアルカンビスホスホネート多層フィルムの成長に相反するものである(ヤング エッチシー(Yang, H.C.)、ケー アオキ(K. Aoki)、エッチジー ホング(H.G. Hong)、ディーディー サケット(D.D. Sackett)、エムエフ アレント(M.F. Arendt)、エスエル ヤウ(S.L. Yau)、シーエム ベル(C.M. Bell)、ティーイー マロウク(T.E. Mallouk)、ジェー アム ケム ソク(J. Am. Chem. Soc.)、1993年、115巻、頁11855〜11862)。結晶は水晶及びシリコン基材の場合ではより小さく、金属の場合ではより大きい。フィルムの全体の粗さと結晶の大きさとの間には、さらには裸基材の粗さとその上のフィルムの粗さとの間には、直接の相関関係はないと考えられる。水晶上のフィルムは、表面上に均一に配置される小さな結晶から構成される。金及び白金上のフィルムは、水晶の場合に比べて幾分より大きな結晶から作製されるが、金上には均一に配置されたままであり、白金上により大きなクラスター状に凝集しやすい。Pd上にフィルムを成長させることにより大きな結晶となり、これはより大きな島状にクラスターを形成する。これに対して、シリコン上のフィルムは非常に小さな粒子から構成され、これもまた大きな島状にクラスターを形成する。未処理及びPVP−C4P処理基材のAFM画像では相違は観察されなかった。
【0182】
実施例38
サイクリックボルタンモグラム(cyclic voltammogram)(CV)を、実施例36〜37で記載されたのと同様にしてZrPV(Cl)フィルムで被覆したAu、Pt及びPd電極(作動表面積:〜0.3cm2)で登録した。PARポテンシオスタット/ガルバノスタットモデル283(PAR Potentiostat/Galvanostat Model 283)を使用した。対極(Ptワイアー)を多孔性ガラスフリットによって作動0.1M KCl水溶液から分離した。飽和カロメル電極(SCE)を参照とした。酸素を高純度のアルゴンガスをバブリングさせることによって作動溶液から除去した。
【0183】
Au、Pt及びPd電極でのZrPV(Cl)フィルムのサイクリックボルタンモグラムでは、−0.77Vに近い還元電位(E°surf=(Ep,c+Ep,a)/2;但し、Ep,c及びEp,aは、それぞれ、陰極及び陽極のピーク電位である)を有するブロードなピークが示され、ピークピーク分離(peak-to-peak separation)(_E)は120〜200mVである。_Eは金及び白金の処理数によって若干影響を受けるが、パラジウムでは変化を示さない。このように実験時間スケールが(より高い電位スキャン速度で)短くなるに従って増加する大きな_Eは、陽極プロセスではおよびPtやPd電極ではより重大である電荷移動に関する動的制限を意味する。
【0184】
サイクリックボルタンモグラムの還元ピークの積分(integration)から、同処理回数後に表面に蓄積されるZrPV(Cl)の量は異なる基材では異なることが確認される。Auに比べるとPtやPdでの方がかなりより多くの材料が蓄積されている。これらの結果はAFMデータと一致するので、Pt及びPdでのフィルムはAuに比べるとより粗いことが示される。サイクリックボルタンモグラムから得られた積分に基づいた評価から、処理サイクル毎に単層被覆は生じず基材によっては3〜6層が付加されることが示される。
【0185】
E°surf値は、−0.67V(_E=70mV)であることが分かった水溶液中のV2Pの1電子還元に関してE°に比べて100mVよりネガティブであり、これはメチルバイオロゲンジカチオン/カチオンラジカルレドックスカップル(methylviologen dication/cation radical redox couple)について報告されたレドックス電位(−0.69V)に近いものである。溶液中のV2Pと比較してフィルム内でよりネガティブ値側へE°surfが100mVシフトすることは、基材がZr4+及びバイオロゲンビスホスホネートで処理される回数によって有意には影響を受けない。
【0186】
実施例39
サンプルを真空中であるいはN2下で200w Hg/Xeランプで光分解すると、光化学電荷分離による青色がポリソープ(polysoap)鋳型を含む層状ZrPV(Cl)上で観察される。5分間光分解することにより、還元バイオロゲンモノマー及びダイマーの双方が照射サンプル上に形成される。電子スペクトルから、270nmに漸減バンド(decreasing band)、及びそれぞれがモノマー及びダイマーに相当する、405、605nm及び380、540nmにバンドが出現する。ポリソープ(polysoap)鋳型を含むZrPV(Cl)の電子スペクトル、さらには光還元サンプルの空気感受性から、この多層化合物はZrPV(Cl)の微結晶サンプルほど密に充填されないことが示唆される。
【0187】
鋳型を含む層状ZrPV(Cl)の光還元懸濁液サンプルを空気で処理することにより、数秒以内に漂白し終わるが、微結晶サンプルは数時間から数日必要である。酸素は、化合物のより開放性のある格子を介して自由に拡散すると考えられる。これは、鋳型を含む材料の柔軟性のあるブランケット様の機構に関連すると考えられる。
【0188】
実施例40
1,4−ビス(4−ホスホノブチルアミノ)ベンゼン(PAPD)の合成
(H2O3P-(CH2)4-NHC6H4NH-(CH2)4-PO3 H2)
5.0g(0.046モル)のp−フェニレンジアミンと15.6g(0.114)のジエチル4−ブロモブチルホスホネートを、1.56gのNaHの存在下で50mlのTHF中で2日間還流した。冷却後、50mlのH2Oを反応混合液に徐々に加えた。その溶液を、100mlのCHCl3ずつで3回抽出した。TLCによると、目的とする生成物がCHCl3層中にあることが示された。脱色活性炭をCHCl3溶液に加え、1時間撹拌し、その後濾過した。CHCl3溶液を乾燥して褐色の油とした。1H NMR(D2O),6.9(4H,s),3.1(4H,t),1.5(12H,m)ppm。マススペクトル:E.I.,M+1実測値=492,M+1理論値=492;主要な画分:446,354,193,137,125。エステルを、6M HCl中で2日間還流して酸に加水分解した。酸を、アセトンを加えることにより上記溶液から沈降させた。
【0189】
実施例41
バイオロゲンビスホスホン酸塩[N,N’−ビス(2−ホスホノエチル)−4,4’−ジピリジン ジハライド](PV(X))の合成:
(H2O3P-(CH2)2-4,4'-ジピリジニウム-(CH2)2-PO3H2)
バイオロゲン二塩化物塩を、1.2g(6.0ミリモル)のジエチル(2−クロロエチル)ホスホネートを0.47g(3.0ミリモル)の4,4’−ジピリジンと、120mlのH2O中において110℃で40時間反応させることにより調製した。エステルを6M HCl中で還流することにより酸に転化した。バイオロゲン二臭化物塩は、ジエチル−2−ブロモエチルホスホネートを用いる以外は、上記と同様にして調製した。このエステルを真空で乾燥した後、乾燥アセトニトリル中で3倍過剰のブロモトリメチルシランを用い、一晩撹拌し、さらに水を加えることによって、酸に転化した。バイオロゲン二沃化物塩は、AgPF6をバイオロゲン二塩化物塩の溶液に添加してAgClを沈降させることにより調製した。バイオロゲンジヘキサフルオロホスフェート塩を単離する際には、過剰のKIをその溶液に加えた。得られた赤褐色固形物を濾過で単離した。バイオロゲン塩の全てを、最小量の水に溶解させて精製し、さらに徐々にイソプロピルアルコールを加えて沈降させた。全ての塩の1H NMR(D2O):9.1(4H,d),8.5(4H,d),4.2(4H,m),2.0(4H,m)ppm。
【0190】
実施例42
4,4’−ビス(2−ホスホノエチル)ビフェニル(EPB)の合成:
(H2O3P-(CH2)2-(4,4'-ビフェニル)-(CH2)2-PO3H2)
乾燥ガラス圧力管に、3.8g(9.4ミリモル)のジヨードビフェニル、3.23g(20ミリモル)のジエチルビニルホスホネート、0.05g(0.2ミリモル)の酢酸パラジウムおよび0.23g(0.7ミリモル)のトリトリルホスフィンを20mlの乾燥トリエチルアミンおよび30mlの乾燥トルエンに溶解したものを加えた。この混合物をArで10分間パージした後、密閉した。反応物を、24時間、撹拌しながら110℃に加熱した。4,4’−ビス(ジエチルビニルホスホネート)ビフェニルのおよその収率は30%であった。1H NMR(DMSO),7.8(8H,m),7.4(2H,d),6.5(2H,t),4.0(8H,m),1.2(12H,t)ppm。マススペクトル:E.I.,M+1実測値=478,M+1理論値=478;主要な画分:369,341,313,231,202。中間体をメタノール中のPd/Cで水素化した。このエステルに20mlの乾燥CH2CH2および1mlのブロモトリメチルシランを加えた。1H NMR(CDCl3),7.4(8H,d),2.9(4H,m),2.1(4H,m)ppm。
【0191】
実施例43
N,N’−ビス(2−ホスホノエチル)−4,4’−ビス(4−ビニルピリジン)ビフェニル二塩化物(VPB)の合成:
(H2O3P-(CH2)2-NC5H4-CH=CH-(4,4'-ビフェニル)-CH=CH-C5H4N-(CH2)2-PO3H2)
乾燥ガラス圧力管に、8mlの乾燥トリエチルアミンおよび20mlの乾燥アセトニトリルに溶解した1.04g(2.6ミリモル)のジヨードビフェニル、3.0ml(27ミリモル)のビニルピリジン、0.09g(0.36ミリモル)の酢酸パラジウムおよび0.2g(0.6ミリモル)のトリトリルホスフィンを加えた。この混合物をArで15分間パージした後、密閉した。反応物を、48時間、撹拌しながら110℃に加熱した。4,4’−ビス(4−ビニルピリジン)ビフェニルのおよその収率は30%であった。1H NMR(CDCl3),8.9(4H,d),8.2(4H,d),8.1(4H,d),7.9(4H,d),7.6(4H,d)ppm。マススペクトル:E.I.,M+1実測値=360,M+1理論値=360;主要な画分:266,180,91。丸底フラスコ中で、0.3g.(0.83ミリモル)のこのものを0.5g.(2.0ミリモル)のジエチル−2−ブロモエチルホスホネートと混合し、10mlのDMF中に溶解した。この混合物を、黄色の沈降物が観察されるまで、90℃で16時間加熱した。DMFを真空で蒸留し、黄色エステルを得た。このエステルに、10mlの乾燥CH2Cl2および1mlのブロモトリメチルシランを加えた。この混合物を12時間撹拌し、その後H2Oを加えてオレンジ色の沈降物を生じさせた。固形物を分離し、冷メタノールを徐々に加えてH2Oから再結晶化した。NMRによれば、エステルのピークが消失し、酸が形成されたことを示した。1H NMR(DMSO),8.42(4H,d),8.22(4H,d),7.55(8H,m),7.04(4H,d),4.26(4H,t),1.41(4H,t)ppm。
【0192】
実施例44
Au/4(ZrAV2P)光電極の調製:
金箔(0.1mm厚み)を2×50mm2の細片群に切断し、濃HNO3で10分間洗浄し、その後蒸留水および100%エタノールで完全に清浄した。
【0193】
(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(3−MPT)の自己集合型フィルムを、Au箔を100%エタノールの20mM 3−MPT溶液中に室温で2時間浸漬することにより形成した。(W.R.Thompson, J.E.Pemberton, Thin Sol-Gel Silica Films on (3-Mercaptopropyl) trimethoxysilane modified Ag and Au electrodes, Chem. Mater. 7, 130-136 (1995)を参照のこと)。その後、Auを100%エタノールで清浄し、空気乾燥させた。続いて、3−MPT変性表面の加水分解を、HClの0.1M水溶液に室温で12時間浸漬することにより達成した。表面を、その箔を室温で2時間、60mMのZrOCl2の水溶液に浸漬することによりジルコニア化させた。
【0194】
AV2P(H23P−(CH2)−C64−NC54−C54N−C64−(CH2)−PO32)を、標準的な文献に記載された方法で合成した。ZrAV2Pフィルムを、10mM AV2P溶液中で80℃、4時間、その後60mMのZrOCl2水溶液中で室温、2時間を交互に処理することによって、成長させた。これらの2段階をそれぞれ4回繰り返した(4サイクルの沈積)。
【0195】
実施例45
実施例44のフィルムの光化学
光電気化学測定は、0.1M NaClO4(支持電極)および10−2M Eu(NO3)3(電子アクセプター)を含む石英セル中で行った。暗電流および光電流は、M270クロノアンペロメトリー ソフトウエアーを用い、PAR M283ポテンシオスタット/ガルバノスタットで測定した。
【0196】
実施例44で調製したAu/4(ZrAV2P)電極を作用電極として使用し、この際、Ptを対電極として利用し(2電極回路)、別の測定においては、SCEを参照電極として、Ptを対電極として利用し(3電極回路)た。Au/4(ZrAV2P)電極を、360nm未満のUV光をカットするフィルターを備えた200ワットHg/Xeランプで照らした。その電極の照射領域は〜0.5cm2であった。
【0197】
これらのテストの結果は、図5のグラフに示される。
【0198】
実施例46
実施例44のフィルムの光化学
光電気化学測定は、0.1M NaClO4(支持電極)および10−2M Eu(NO3)3(電子アクセプター)を含む石英セル中で行った。暗電流および光電流は、M270クロノアンペロメトリー ソフトウエアーを用い、PAR M283ポテンシオスタット/ガルバノスタットで測定した。
【0199】
実施例44で調製したAu/4(ZrAV2P)電極を作用電極として使用し、この際、Ptを対電極として利用し(2電極回路)、別の測定においては、SCEを参照電極として、Ptを対電極として利用し(3電極回路)た。Au/4(ZrAV2P)電極を、200ワットHg/Xeランプで照らした。その電極の照射領域は〜0.5cm2であった。
【0200】
これらのテストの結果は、図6のグラフに示される。
【0201】
実施例47
Au/4(ZrDABP)/4(ZrAV2P)光電極の調製:
金箔(0.1mm厚み)を2×50mm2の細片群に切断し、濃HNO3で10分間洗浄し、その後蒸留水および100%エタノールで完全に清浄した。
【0202】
(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(3−MPT)の自己集合型フィルムを、Au箔を100%エタノールの20mM 3−MPT溶液中に室温で2時間浸漬することにより形成した。(W.R.Thompson, J.E.Pemberton, Thin Sol-Gel Silica Films on (3-Mercaptopropyl) trimethoxysilane modified Ag and Au electrodes, Chem. Mater. 7, 130-136 (1995)を参照のこと)。その後、Auを100%エタノールで清浄し、空気乾燥させた。続いて、3−MPT変性表面の加水分解を、HClの0.1M水溶液に室温で12時間浸漬することにより達成した。表面を、その箔を室温で2時間、60mMのZrOCl2の水溶液に浸漬することによりジルコニア化させた。
【0203】
DABP(H23P−(CH2)−C64−N=N−C64−(CH2)−PO32)は、標準的な文献に記載された方法で合成した。ZrDABP/ZrAV2Pフィルムを、10mM DABP溶液中で80℃、4時間および60mMのZrOCl2水溶液中で室温、2時間の交互の処理(4サイクルの沈積)によって、さらに10mM AV2P溶液中で80℃、4時間および60mMのZrOCl2水溶液中で室温、2時間の交互の処理(次の4サイクルの沈積)によって、成長させた。
【0204】
実施例48
実施例47のフィルムの光化学
光電気化学測定は、0.1M NaClO4(支持電極)および10−2M Eu(NO3)3(電子アクセプター)を含む石英セル中で行った。暗電流および光電流は、M270クロノアンペロメトリー ソフトウエアーを用い、PAR M283ポテンシオスタット/ガルバノスタットで測定した。
【0205】
実施例47で調製したAu/4(ZrDABP)/4(ZrAV2P)電極を作用電極として使用し、この際、Ptを対電極として利用し(2電極回路)、別の測定においては、SCEを参照電極として、Ptを対電極として利用し(3電極回路)た。Au/4(ZrDABP)/4(ZrAV2P)電極を、420nm未満のUV光をカットするフィルターを備える200ワットHg/Xeランプで照らした。その電極の照射領域は〜0.5cm2であった。
【0206】
これらのテストの結果は、図7のグラフに示される。
【0207】
実施例49
実施例47のフィルムの光化学
光電気化学測定は、0.1M NaClO4(支持電極)および10−2M Eu(NO3)3(電子アクセプター)を含む石英セル中で行った。暗電流および光電流は、M270クロノアンペロメトリー ソフトウエアーを用い、PAR M283ポテンシオスタット/ガルバノスタットで測定した。
【0208】
実施例47で調製したAu/4(ZrDABP)/4(ZrAV2P)電極を作用電極として使用し、この際、Ptを対電極として利用し(2電極回路)、別の測定においては、SCEを参照電極として、Ptを対電極として利用し(3電極回路)た。Au/4(ZrDABP)/4(ZrAV2P)電極を、360nm未満のUV光をカットするフィルターを備える200ワットHg/Xeランプで照らした。その電極の照射領域は〜0.5cm2であった。
【0209】
これらのテストの結果は、図8のグラフに示される。
【0210】
実施例50
実施例47のフィルムの光化学
光電気化学測定は、0.1M NaClO4(支持電極)および10−2M Eu(NO3)3(電子アクセプター)を含む石英セル中で行った。暗電流および光電流は、M270クロノアンペロメトリー ソフトウエアーを用い、PAR M283ポテンシオスタット/ガルバノスタットで測定した。
【0211】
実施例47で調製したAu/4(ZrDABP)/4(ZrAV2P)電極を作用電極として使用し、この際、Ptを対電極として利用し(2電極回路)、別の測定においては、SCEを参照電極として、Ptを対電極として利用し(3電極回路)た。Au/4(ZrDABP)/4(ZrAV2P)電極を、200ワットHg/Xeランプで照らした。その電極の照射領域は〜0.5cm2であった。
【0212】
これらのテストの結果は、図9のグラフに示される。
【0213】
実施例51
Au/4(ZrPAPD)/4(ZrAV2P)電極に調製:
金箔(0.1mm厚み)を2×50mm2の細片群に切断し、濃HNO3で10分間洗浄し、その後蒸留水および100%エタノールで完全に清浄した。
【0214】
(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(3−MPT)の自己集合型フィルムを、Au箔を100%エタノールの20mM 3−MPT溶液中に室温で2時間浸漬することにより形成した。(W.R.Thompson, J.E.Pemberton, Thin Sol-Gel Silica Films on (3-Mercaptopropyl) trimethoxysilane modified Ag and Au electrodes, Chem. Mater. 7, 130-136 (1995)を参照のこと)。その後、Auを100%エタノールで清浄し、空気乾燥させた。続いて、3−MPT変性表面の加水分解を、HClの0.1M水溶液に室温で12時間浸漬することにより達成した。表面を、その箔を室温で2時間、60mMのZrOCl2の水溶液に浸漬することによりジルコニア化させた。
【0215】
ZrPAPD/ZrAV2Pフィルムを、10mM PAPD溶液中で80℃、4時間および60mMのZrOCl2水溶液中で室温、2時間の交互の処理(4サイクルの沈積)、さらに10mM AV2P溶液中で80℃、4時間および60mMのZrOCl2水溶液中で室温、2時間の交互の処理(次の4サイクルの沈積)により成長させた。
【0216】
実施例52
実施例51のフィルムの光化学
光電気化学測定は、0.1M NaClO4(支持電極)および10−2M Eu(NO3)3(電子アクセプター)を含む石英セル中で行った。暗電流および光電流は、M270クロノアンペロメトリー ソフトウエアーを用い、PAR M283ポテンシオスタット/ガルバノスタットで測定した。
【0217】
実施例51で調製したAu/4(ZrPAPD)/4(ZrAV2P)電極を作用電極として使用し、この際、Ptを対電極として利用し(2電極回路)、または、SCEを参照電極として、Ptを対電極として利用し(3電極回路)た。
【0218】
Au/4(ZrPAPD)/4(ZrAV2P)電極を、200ワットHg/Xeランプで照らした。その電極の照射領域は〜0.5cm2であった。
【0219】
これらのテストの結果は、図10のグラフに示される。
【0220】
実施例53
Au/4(PAPD)/4(PV)電極の調製:
金基材はチオホスホン酸(HS(CH2)4PO3H2)で処理した。その後、表面をジルコニア化した。(W.R.Thompson, J.E.Pemberton, Thin Sol-Gel Silica Films on (3-Mercaptopropyl) trimethoxysilane modified Ag and Au electrodes, Chem. Mater. 7, 130-136 (1995)を参照のこと)。
【0221】
ZrPAPD/ZrPVフィルムを、室温でPAPD溶液中でおよびZrOCl2水溶液中で交互に処理(4サイクルの沈積)することによって、その後、室温でPV溶液中でおよびZrOCl2水溶液中で交互に処理(次の4サイクルの沈積)することによって、成長させた。
【0222】
実施例54
実施例53の光化学
Au/4(PAPD)/4(PV)電極の時間に対する電流密度
ポテンシャルは、SCEに対して0.0Vにセットした。電流は0.1M NaClO4水溶液中で二つの電極セルを用いて得られた。暗電流は、光がサンプルに照射されないときに測定する。電流および時間は、系が安定するまで、通常3〜4分暗いなかで零ポテンシャルでモニターした。次に、Au°PAPD/PV電極に、およそ同時間光を照射し、その後、暗および光の暴露を繰り返した。
【0223】
光電流は、0.1M NaClO4水溶液中で2電極セルでPARポテンシオスタット/ガルバノスタット モデル683を用いて計量した。作用電極は実施例53のAu°PAPD/PVフィルムで被覆された金であり、参照電極(SCE)は同様に対電極としても機能した。また、測定を3電極セルを用いて繰り返したところ、信号−ノイズ比は減少したけれども、結果は同じであった。
【0224】
結果は図11のグラフに示される。
【0225】
実施例55
Au/4(PV)/4(PAPD)電極の調製:
金基材はチオホスホン酸(HS(CH2)4PO3H2)で処理した。その後、表面をジルコニア化した。(W.R.Thompson, J.E.Pemberton, Thin Sol-Gel Silica Films on (3-Mercaptopropyl) trimethoxysilane modified Ag and Au electrodes, Chem. Mater. 7, 130-136 (1995)を参照のこと)。
【0226】
ZrPV/ZrPAPDフィルムを、室温でPV溶液中でおよびZrOCl2水溶液中で交互に処理(4サイクルの沈積)することによって、その後、室温でPAPD溶液中でおよびZrOCl2水溶液中で交互に処理(次の4サイクルの沈積)することによって、成長させた。
【0227】
実施例56
実施例55の光化学
Au/4(PV)/4(PAPD)電極の時間に対する電流密度
ポテンシャルは、SCEに対して0.0Vにセットした。電流は、0.1M EDTA水溶液中、嫌気性条件で2電極セルを用いて得られた。暗電流は、光がサンプルに照射されないときに測定する。光電流はフィルターのない200ワットHg/Xeランプを用いて得られた。ポジティブな電流は、電子が金電極に流れることを示す。
【0228】
結果は図12のグラフに示される。
【0229】
実施例57
Au/4(PAPD)/4(VBP)電極の調製:
金基材はチオホスホン酸(HS(CH2)4PO3H2)で処理した。その後、表面をジルコニア化した。(W.R.Thompson, J.E.Pemberton, Thin Sol-Gel Silica Films on (3-Mercaptopropyl) trimethoxysilane modified Ag and Au electrodes, Chem. Mater. 7, 130-136 (1995)を参照のこと)。
【0230】
ZrPAPD/ZrVBPを、室温でPAPD溶液中でおよびZrOCl2水溶液中で交互に処理(4サイクルの沈積)することによって、その後、室温でVBP溶液中でおよびZrOCl2水溶液で交互に処理(次の4サイクルの沈積)することによって、成長させた。
【0231】
実施例58
実施例57の光化学
Au/4(PAPD)/4(VBP)電極の時間に対する電流密度
ポテンシャルは、SCEに対して0.0Vにセットした。電流は、0.1M NaClO4水溶液中で2電極セルを用いて得られた。暗電流は、光がサンプルに照射されないときに測定する。光電流はUVフィルター(>330nm)を備えた200ワットHg/Xeランプを用いて得られた。ネガティブな電流は、電子が金電極から流れることを示す。
【0232】
結果は図13のグラフに示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による基材及び膜の精密に配列された構造の概略図である。
【図2】 本発明による「鍾乳石」及び「石筍」状リガンドを含ませた固体組成物の概略図である。
【図3】 本発明による金属粒子ならびに「鍾乳石」及び「石筍」状リガンドを含ませた本発明の固体の概略図である。
【図4】 多層膜の製造に関する概略図である。
【図5】 実施例45の膜の光化学的測定のグラフである。
【図6】 実施例46の膜の光化学的測定のグラフである。
【図7】 実施例48の膜の光化学的測定のグラフである。
【図8】 実施例50の膜の光化学的測定のグラフである。
【図9】 実施例52の膜の光化学的測定のグラフである。
【図10】 実施例54の膜の光化学的測定のグラフである。
【図11】 実施例56の膜の光化学的測定のグラフである。
【図12】 実施例58の膜の光化学的測定のグラフである。
【図13】 実施例58の膜の光化学的測定のグラフである。
【図14】 電荷ジェネレータ層を有する多層薄膜の概略図である。
【図15】 可能性のある電荷移動システムの概略図である。
【図16】 連結手段を有する基材の製造に関する概略図である。
【図17】 別の化学方法の概略図である。
【図18】 電荷ジェネレータ層を調製する概略図である。

Claims (4)

  1. テロ層状膜を表面に有する支持基材からなる光起電装置であって、
    該膜が、一またはそれ以上の電荷供与層及び一またはそれ以上の電荷受容層を有し、
    該電荷供与層または該電荷受容層が
    数の下記式:
    Figure 0004460761
    ただし、
    及びYはそれぞれ、互いに独立して、リンまたは砒素であり;
    Zは、ピリジン、ピラジンもしくはピリミジンである単環、ピリジン、ピラジンもしくはピリミジンが一若しくはそれ以上のベンゾあるいはナフト環システムに融合した融合多環、1,4−ビス(4−ホスホノブチルアミノ)ベンゼン(PAPD)、ポルフィリン誘導体及びフタロシアニン誘導体から選ばれる芳香環システムを有する、二価の基であり;
    Xは、陰イオンであり;
    Meは、Me であり、この際、
    Meは、少なくとも21の原子番号を有するIII、IVA、若しくはIVB族の二価、三価、または四価の金属またはランタニドであり;
    Wは、陰イオンであり;
    nは、1、2、または3であり;
    mは、0、1、2、3、または4である;
    kは、1から250までの値を有し;
    pは、0、1、2、または3の値を有し;および
    qは、Xの電荷であり、
    この際、Y、Y、Z、及びMeは各層で異なっていてもよい、
    の錯体から構成され;
    一またはそれ以上の電荷ジェネレータ層が、該一またはそれ以上の電荷供与層及び一またはそれ以上の電荷受容層間に存在、該電荷ジェネレータ層はスティバゾールまたは非対称ジアから構成され;
    該膜が連結手段を介して該基材に結合する光起電装置。
  2. 膜はさらにMe原子によって錯体内に取り込まれる原子価ゼロの少なくとも一のVIII族金属のコロイド粒子からなる、請求項1に記載の光起電装置。
  3. 該電荷ジェネレータ層が、下記式のいずれか:
    Figure 0004460761
    ただし、R及びRは、−PO、−AsO、−SHまたは−NHである、から構成される、請求項1または2に記載の光起電装置。
  4. Zが、2,2−ビピリジニウム(bipyridinium)、3,3−ビピリジニウム、4,4−ビピリジニウム、2,2−ビピラジニウム(bipyrazinium)、4,4−ビキノリニウム(biquinolinium)、4,4−ビイソキノリニウム(biisoquinolinium)、4−[2−(4−ピリジニウム)ビニル]ピリジニウム[4−[2−(4−pyridinium)vinyl]pyridinium]、4,4’−ビス−(4−ピリジニウム)ビフェニル[4,4’−bis(4−pyridinium)biphenyl]、及び4−[4−(4−ピリジニウム)フェニル]ピリジニウム[4−[4−(4−pyridinium)phenyl]pyridinium]である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光起電装置。
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