JP4460680B2 - 石炭ガス化炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガス化炉に関し、石炭の熱分解過程において発生するNH3 やHCN,タール等の成分を分解して発生量を低減させ、環境条件を良くし、かつ、ガス精製設備の負担も軽減し、配管へのタールの付着による不具合も少くするものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は石炭ガス化炉の概念図と、その内部での反応、及びガス温度との関係を示す図である。図において、ガス化炉本体53は2段の炉で一段反応部と二段反応部とで構成され、ガス化炉炉壁51には一段反応部には石炭+搬送用ガス61、酸化剤(空気又は酸素富化空気)62、チャー+搬送用ガス63が供給されるバーナが、二段反応部には石炭+搬送用ガス60を投入するバーナ52が設けられている。炉内においては、一段反応部では、ガス化反応、揮発分・チャーの燃焼反応、石炭の熱分解がそれぞれ反応式で示すように行なわれ、又二段反応部においても、ガス化反応が同様に行なわれ、揮発分の熱分解反応、石炭の熱分解がそれぞれ反応式で示されるように行なわれ、石炭のガス化がなされる。
【0003】
図11は投入バーナ50の詳細を示す断面図であり、ガス化炉炉壁51には投入バーナ50が挿通して石炭+搬送用ガス60が投入バーナ50の内部を通り、ガス化炉本体内へ投入され、石炭の熱分解がなされる。
【0004】
上記の石炭ガス化炉においては、二段反応部の投入バーナから石炭+搬送用ガス60が供給されるが、二段反応部に投入する石炭の熱分解過程においてはNH3 ,HCN,タール等が発生する。同成分が大量に発生する場合、石炭ガス化ガスを利用する後流機器に於いてトラブルを発生するため、同発生量を低減する必要がある。トラブルの発生の例としては、まず(a)NH3 では、ガスタービン排ガス中のNOX排出量が増加し、環境制限のため脱硝設備容量の増加が必要となる。又、(b)HCNでは、ガス化ガス精製(脱硫)における吸収液劣化が起こり、ガス精製設備の容量・運転コスト増加の原因となる。又、ガスタービン排ガス中のNOXの排出量が増加し、環境制限のため脱硝設備容量の増加が必要となる。又、(c)タールについては、ガス化炉から後流設備配管へ付着し、グラファイト化が起こり、これが固体炭素化すると、弁の固着作動不良や検出配管・計測制御機器の管台内閉塞が発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来の石炭ガス化炉においては、二段反応部に投入する石炭の熱分解過程において、NH3 ,HCN,タールが発生し、上記に説明したように、(a)NH3 により、NOX量が増加し、脱硝設備の容量増加を伴い、(b)HCNにより、脱硫の吸収液が劣化し、又ガス精製設備の容量増加となり、(c)タールにより、配管や弁に固着してこれらの作動不良を起こす、等の不具合の発生が多くなる。従って、これら(a),(b),(c)の不具合を出来るだけ少くするような対策が強く望まれていた。
【0006】
そこで本発明では、ガス化炉の石炭の熱分解部分に酸素を投入するような構成とし、NH3 ,HCN,タールの熱分解を促進し、これらの発生量を低減して、上記の(a),(b),(c)の不具合の発生を少くすることを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために次の(1)、(2)の手段を提供する。
【0010】
(1)一段反応部と二段反応部とからなり、各反応部にはそれぞれ投入バーナを設け石炭及び搬送用ガスを送り石炭を熱分解してガス化する石炭ガス化炉において、前記二段反応部の投入バーナ先端部の内周壁面には前記石炭及び搬送用ガスに旋回流を与える旋回リボンを所定の長さに設けると共に、石炭投入口の近辺には同石炭投入口とは別に酸素含有ガスの投入口を設け、同投入口から所定比率の酸素を含むガスを投入して前記石炭及び搬送用ガスと予混合することを特徴とする石炭ガス化炉。
【0011】
(2)一段反応部と二段反応部とからなり、各反応部にはそれぞれ投入バーナを設け石炭及び搬送用ガスを送り石炭を熱分解してガス化する石炭ガス化炉において、前記二段反応部の投入バーナは前記石炭及び搬送用ガスを送る内側バーナと、同内側バーナ周囲に所定の隙間を保って外側を覆う外筒とからなり、前記内側バーナの前記外筒で覆われる部分は多孔質材料からなる多孔性管とし、前記内側バーナは前記外筒の途中で前記隙間を閉塞し、前記隙間は同閉塞部には孔を設けずに密封構造とし、前記隙間には所定比率の酸素を含むガスが投入され、前記酸素を含むガスは前記多孔性管から前記内側バーナ内に流出して前記石炭及び搬送用ガスと予混合することを特徴とする石炭ガス化炉。
【0016】
本発明の(1)においては、酸素含有ガスは石炭及び搬送用ガスとは別の投入口から投入バーナ内に投入され、投入バーナ内で予混合され、その後旋回リボンにより旋回流が与えられて炉内に噴出するので、炉内に石炭と酸素が均一に混合され、石炭は炉内の高温ガスにより熱分解され、熱分解により生ずるNH3,HCNは酸素により分解が促進され、又タールは炉内の熱分解部分の高温度により発生が抑制される。
【0017】
本発明の(2)では、酸素含有ガスは、外筒と内側バーナとで形成される隙間に投入され、多孔性管を通り、内側バーナ内に流出し、内側バーナを流れてきた石炭及び搬送用ガスと予混合し、炉内に噴出する。この場合、本発明の(2)では、酸素含有ガスは隙間から多孔性管の全周囲を通って内側バーナに混入し酸素含有ガスが均一に混合するので、炉内での反応が良好となる利点がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、参考のために検討した参考例と共に、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。本発明では図10に示す現状の石炭ガス化炉において、二段反応部の石炭投入部に酸素又は酸素含有ガスを投入するものである。そのねらいは、二段反応部に投入する石炭の熱分解過程において発生するNH3,HCN,タールの分解、反応を促進し、発生量を低減するものであり、その基本となる反応について、まず説明する。
【0020】
NH3 の分解で、酸素との反応:4NH3 +3O2 →2N2 +6H2 O;4NH3 +5O2 →4NO+6H2 O;4NH3 +6NO→5N2 +6H2 O;NH3 +NO+C(チャー)→N2 +H2 +CO;これらの反応でNH3 が分解される。
【0021】
NH3 の分解で、加熱分解(温度が高いほど反応速度大):2NH3 →N2 +3H2 ;この反応式によりNH3 が加熱分解される。
【0022】
HCNの分解・平衡(温度が高いほど左側に進行);NH3 +CO⇔HCN+H2 O;この反応式でHCNは高温で分解し、NH3 となりNH3 は上記の反応で分解される。
【0023】
タールの分解:ガス化ガス中に想定されるタール成分は沸点200〜400℃程度の芳香族化合物であり、ナフタレン(C10H8:A2 )からピレン(C16H10: A4 )の範囲にわたる。同タールの生成は、一段反応部出口に二段反応部用の石炭を投入した部分での石炭の熱分解により揮発分が放出され、同揮発分の熱分解反応による分解過程にてCO又はCO2 ,H2 ,CH4 に分解されなかったものがガス中に残留するものである。この、揮発分の熱分解反応を促進するものは、▲1▼熱分解部分の温度が高く、▲2▼CO2 ,H2 Oの濃度が高い、の2点であるが、石炭ガス化炉に於ける転換効率の面からは、生成ガス発熱量が高いこと、すなわち、ガス濃度が低く、CO,H2 の濃度が高い(CO2 ,H2 Oの濃度がひくい)ことが好ましくあり、上記タールの生成とは相反する傾向を示す。この相反する反応を解決するための方法として、特に同熱分解部分のみへ酸素含有ガスを投入することを特徴とするガス化炉運転方法を提供するものである。
【0024】
図1は参考のために検討した参考例1に係る石炭ガス化炉の断面図である。図において、投入バーナ50は図11に示す二段反応部のものと同じである。投入バーナ50の先端部分には石炭分散噴出用旋回リボン1が取付けられている。この旋回リボン1は投入バーナ50の貫通穴50aの壁面周囲に沿って所定の長さで螺旋状に取付けられている。
【0025】
上記構成の石炭ガス化炉において、石炭+搬送用ガス60が二段反応部の投入バーナ50へ投入されるが、搬送用ガスは不活性ガスN2 に所定比率の酸素を混入したガスが用いられる。このような酸素を含む搬送用ガスを微粉石炭と共に投入し、石炭分散噴出用旋回リボン1により旋回を与えて石炭の粉末にも旋回流を与え、炉内に噴射して、酸素と石炭を攪拌し、均一な酸化反応により温度を上げ、NH3 やHCNの分解を促進し、又搬送用ガス中の適切な酸素量により二段反応部での高温化を促進し、ガスの転換効率を保ちつつ、タールの生成を抑えるものである。
【0026】
図2は参考のために検討した参考例2に係る石炭ガス化炉の断面図である。図において、本参考例2においては、酸素含有ガスの二段投入方式であり、図1に示す構成に更に投入バーナ50の下流側に投入バーナ2を設け、投入バーナ2から酸素含有ガス12を炉内へ投入するものである。酸素含有ガス12は、N2ガスに酸素濃度を1〜100vol%の任意の比率で選び混入する構成である。又、投入バーナ50に設けられた石炭分散噴出用旋回リボン1はなくても良いが装備した方がより好ましいものである。
【0027】
上記構成の参考例2において、図1の構成と同じく、投入バーナ50より石炭+搬送用ガス60が炉内に投入され、搬送用ガスには所定比率の酸素が混入されており、NH3やHCNの分解を促進し、又タールの発生を抑えるように作用するが、更に、その反応後のガスの下流側には投入バーナ2から酸素含有ガスが投入され、投入バーナ50からの石炭と酸素含有搬送用ガスで分解せずに残留して下流側へ流れるNH3やHCN,タールを酸素により反応させ、分解を促進させるようにする。
【0028】
図3は本発明の実施の第1形態に係る石炭ガス化炉の断面図である。図において本実施の第1形態においては、酸素含有ガス燃料管予混合投入方式であり、投入バーナ3には先端部の内部に石炭分散噴出用旋回リボン1が設けられ、石炭+搬送用ガス60が投入される。本実施の第1形態の投入バーナ3では、更にバーナ側面に酸素含有ガス投入管4を接続し、酸素含有ガス12を投入し、石炭+搬送用ガス60に酸素含有ガス12を混合する構成である。
【0029】
酸素含有ガス12はN2ガスに酸素を1〜100vol%の任意の比率で混合し、石炭+搬送用ガス60に混合して炉内に供給するもので、炉内に投入される前に石炭の粉末と必要な比率の酸素が混入されたガスが先端部で旋回流が与えられ炉内に均一に混合して噴射される。これにより、図1に示す参考例1と同様に酸素と石炭を攪拌し、均一な燃焼により燃焼温度を上げ、NH3やHCNの分離を促進し、又搬送用ガス中の適切な酸素量によりガスの転換効率を保ちつつ、タールの生成を抑えるものである。なお、本実施の第1形態においては、参考例1のものと比べると、酸素の含有量を調整することができ、NH3,HCN,タールの発生状況に応じて酸素を適切な量に調整することができる。
【0030】
図4は参考のために検討した参考例3に係る石炭ガス化炉の断面図であり、酸素含有ガスのバーナ内予混合投入方式を採用した構造である。図において、投入バーナ5の外周には投入バーナ5の外径よりもやや大径の外筒7が途中から設けられ、ガス化炉炉壁51を貫通して炉内に開口している。
【0031】
投入バーナ5の先端部は拡大径部6を有して外筒7の途中の内壁に結合しており、拡大径部のフランジ面周囲には複数の孔8が設けられている。又、外筒7の側面には酸素含有ガス投入管9が設けられ、投入バーナ5の外周囲と外筒7の内周囲との隙間7aに酸素含有ガス12を投入する構成である。
【0032】
上記構成の参考例3の石炭ガス化炉において、石炭+搬送用ガス60は投入バーナ5より投入させ、投入バーナ5内を通り、拡大径部6の中心部から外筒7の先端部へ流出する。一方酸素含有ガス投入管9からは酸素含有ガス12が投入されるが、このガス12は図3に示す実施の第1形態と同じものであり、酸素濃度が1〜100vol%で必要な濃度に調整されて投入される。
【0033】
酸素含有ガス12は投入バーナ5の外表面と外筒7の内周面との隙間7aを通り、投入バーナ5の拡大径部6フランジ面の複数の孔8より外筒7の先端部に流出する。外筒7の先端部では中心部からは微粉炭が、周囲からN2+酸素含有ガス12が炉内に流出し、石炭の酸化反応による熱分解部分の温度を局部的に高くし、NH3,HCNの分解を促進し、タールの発生を抑える。本参考例3においては、酸素との反応は前流から後流に向かって徐々に行い、前流から後流にかけて広い範囲でNH3,HCNの分解促進を行い、タールの発生も抑える効果がある。
【0034】
図5は本発明の実施の第2形態に係る石炭ガス化炉の断面図であり、図4に示す参考例3と同じく酸素含有ガスバーナ内予混合投入方式であり、図4と異なる部分は投入バーナ25の部分にあり、その他の構成は図4と同じである。投入バーナ25は途中よりその外周囲が外筒7で覆われ、外筒7の先端部において拡大径部6を有して外筒7内周壁面に接続している構造は図4の投入バーナ5と同じであるが、拡大径部6のフランジ面には孔8を設けずに密封されており、かつ外筒7の内周面で覆われる主要部分に焼結金属等からなる多孔性管20を用いた構成である。
【0035】
本実施の第2形態において、石炭+搬送用ガス60は投入バーナ25の中心部より投入され、拡大径部6中心部から外筒7の先端部へ流出する。一方、酸素含有ガス12は酸素含有ガス投入管9より投入バーナ25外周面と外筒7内周壁面との隙間7aに供給され多孔性管20の周囲から微細な多孔を通って投入バーナ25内へ流入し、石炭+搬送用ガス60と混合する。従って、微粉炭と窒素及び酸素含有ガスの混合ガスは外筒7の先端部に流出し、酸素により炉内へ投入され、NH3,HCNの分解を促進し、タールの発生を抑える。本発明の実施の第2形態においては、外筒7の先端部において微粉炭と酸素が均一に混合されて炉内に噴出するので炉内での反応が良好となる利点がある。
【0036】
図6は参考のために検討した参考例4に係る石炭ガス化炉の断面図であり、酸素含有ガスバーナ外混合投入方式である。図において、投入バーナ3の外周囲には外筒7が隙間7aを有して取付けられ、ガス化炉炉壁51を貫通して挿入されている。投入バーナ3と外筒7との炉内に突出している先端部には、旋回翼等の酸素含有ガス12を拡散促進する拡散促進構造21が隙間7aに設けられている。外筒7には投入バーナ3外周囲と外筒7内周壁面との隙間7aに酸素含有ガス12を供給する酸素含有ガス投入管9が設けられている。
【0037】
上記構成の参考例4において、石炭+搬送用ガス60は投入バーナ3を通り、そのまま炉内に噴出する。一方、酸素含有ガス12は必要な濃度の酸素に調整され、酸素含有ガス投入管9より隙間7aに投入され、先端の拡散促進構造21により旋回流等の拡散流となり炉内に流出する。炉内のガスの流れを図中に示すが、石炭+搬送用ガス60は投入バーナ3の先端より点線60で示すように炉内へ流出し、炉内の高温の炉内ガス13を巻き込んで良好にさせ、熱分解を促進する。一方、酸素含有ガス12は隙間7aを通り、拡散促進構造21により旋回流等の拡散流が与えられ、図中の一点鎖線で示すように、点線で示す石炭+搬送用ガス60の周囲に流出し、石炭の熱分解に伴って発生するNH3,HCN,タールの分解を促進する。
【0038】
図7は参考のために検討した参考例5に係る石炭ガス化炉の断面図であり、図6に示す参考例4と同様の酸素含有ガスバーナ外混合投入方式である。図6と異なる部分は、図6の拡散促進構造21の代わりに酸素含有ガス12を中心方向に向かって噴出させる拡散促進構造22を設けた点にあり、その他の構造は図6に示す構造と同じである。
【0039】
図7における拡散促進構造22は外筒7の内周壁面と投入バーナ3外周面との隙間7aの先端に設けられ、周囲に複数のスリットか、又はノズル等の噴出手段を配列し、ガスの噴出方向が中心軸方向に向かって傾斜して設けられており、酸素含有ガス12がバーナの中心軸に向かって流出するようにしている。
【0040】
上記構成の参考例5において、石炭+搬送用ガス60は投入バーナ3より炉内に直接噴射される。一方、酸素含有ガス12は、酸素の濃度が必要濃度に調整されて酸素含有ガス投入管9より隙間7aに流入し、先端の拡散促進構造22からバーナ中心方向に炉内に噴出する。この噴出の状況は図中点線で示すように微粉炭がバーナ中心部に噴出し、その周囲に酸素含有ガス12が微粉炭を囲むように流出する。酸素含有ガス12の流れは周囲の高温の炉内ガス13を巻き込んで高温となり、中心部の微粉炭の熱分解により生ずるNH3,HCN,タールと反応して分解を促進する。
【0041】
上記に説明の図6に示す参考例4、図7に示す参考例5は同種の酸素含有ガスバーナ外混合投入方式であり、炉の大きさやバーナの数、配置等、により適する形式のものを適宜選択して適用することができ、炉の構造が異なり、炉内のガス流れ状況等を考慮して適する方式を採用すれば良いものである。
【0042】
図8は、本発明に係る石炭ガス化炉の二段反応部入口に酸素を投入してNH3 の分解の効果を電気炉で確認した基礎試験結果である。図において横軸は炉内の温度、縦軸はNH3 の濃度を%で示したものである。図示のように温度1100℃〜1600℃の範囲で温度を上昇させることによりNH3 の濃度が大幅に低下し、分解が促進されることがわかる。
【0043】
図9は実験装置によるタールの分解試験結果であり、横軸は温度、縦軸は石炭に対するタールの重量%である。この結果によれば、温度を700℃から1000℃に高めるに従って石炭からのタールの発生比率が減少しており、温度の上昇によりタールが分解されることがわかる。
【0044】
以上説明の参考例1〜5及び本発明の実施の第1形態、第2形態の石炭ガス化炉によれば、酸素含有ガスを石炭と共に炉の二段反応部に投入することにより、石炭の熱分解部温度を局所的に高くして、タール,NH3,HCNの発生量低減及び分解促進を行うことができる。又、反応の遅い揮発分の熱分解反応ではなく、酸化反応としてタール,NH3,HCNの発生量低減及び分解促進を行うことができる。
【0045】
特に、図3〜図5に示す本発明の実施の第1形態、参考例3、実施の第2形態においては、酸素含有ガスとの混合投入により、二段反応部投入石炭の部分燃焼による昇温と、一段反応部からの高温ガスとの混合促進により、熱分解放出揮発分の熱分解を促進し、また、NH3,HCNの発生量を低減させ、局部的な高温によりタールの発生を抑えることができる。
【0046】
又、図6に示す参考例4のように石炭のバーナ内に旋回流を与える拡散促進構造21を設けたり、又、図7に示す参考例5のようにスリット、ノズル等からなる拡散促進構造22を設ければ、石炭を一次反応部からの高温燃焼ガスと混合体積を増加させ、石炭の熱分解及び揮発分の熱分解反応部の温度を上昇させ、熱分解放出揮発分の熱分解を促進する。また、NH3,HCNの発生量、タールの低減・分解を促進する。
【0047】
【発明の効果】
本発明の石炭ガス化炉は、請求項1又は請求項2より構成され、一段反応部と二段反応部とからなり、各反応部にはそれぞれ投入バーナを設け石炭及び搬送用ガスを送り石炭を熱分解してガス化する石炭ガス化炉において、石炭ガス化炉の二段反応部の石炭投入バーナ近辺に酸素含有ガスを投入することを特徴としている。このような構成の石炭ガス化炉により石炭の熱分解部温度を局所的に高くして、タール,NH3,HCNの発生量低減及び分解促進を行うことができる。又、反応の遅い揮発分の熱分解反応ではなく、燃焼反応としてタール,NH3,HCNの発生量低減及び分解促進を行うことができる。
【0048】
又、特に、本発明のように酸素含有ガスと石炭との予混合投入により、二段反応部投入石炭の部分燃焼による昇温と、一段反応部からの高温ガスとの混合促進により、熱分解放出揮発分の熱分解を促進し、また、NH3,HCNの発生量を低減させ、局部的な高温によりタールの発生量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考のために検討した参考例1に係る石炭ガス化炉の二段反応部への石炭バーナ近辺の断面図である。
【図2】 参考のために検討した参考例2に係る石炭ガス化炉の二段反応部への石炭バーナ近辺の断面図である。
【図3】 本発明の実施の第1形態に係る石炭ガス化炉の二段反応部への石炭バーナ近辺の断面図である。
【図4】 参考のために検討した参考例3に係る石炭ガス化炉の二段反応部への石炭バーナ近辺の断面図である。
【図5】 本発明の実施の第2形態に係る石炭ガス化炉の二段反応部への石炭バーナ近辺の断面図である。
【図6】 参考のために検討した検討例4に係る石炭ガス化炉の二段反応部への石炭バーナ近辺の断面図である。
【図7】 参考のために検討した検討例5に係る石炭ガス化炉の二段反応部への石炭バーナ近辺の断面図である。
【図8】 本発明の効果を示す図で、温度上昇によるNH3の濃度の減少を示す試験結果である。
【図9】 本発明の効果を示す図で、温度上昇によるタールの発生量の減少を示す試験結果である。
【図10】 石炭ガス化炉の一般的な全体概略図と主反応及び温度を示す図である。
【図11】 従来の石炭ガス化炉の二段反応部への石炭バーナ近辺の断面図である。
【符号の説明】
1 石炭分散噴出用旋回リボン
2,3,5 投入バーナ
4,9 酸素含有ガス投入管
6 拡大径部
7 外筒
7a 隙間
8 孔
12 酸素含有ガス
13 炉内ガス
20 多孔性管
21,22 拡散促進構造
25,50 投入バーナ
50a 貫通穴
51 ガス化炉炉壁
52 バーナ
53 ガス化炉本体
60,61 石炭+搬送用ガス
62 酸化剤(空気又は酸素富化空気)
63 チャー+搬送用ガス
Claims (2)
- 一段反応部と1100℃〜1600℃の範囲で温度を上昇させる二段反応部とからなり、各反応部にはそれぞれ投入バーナを設け石炭及び搬送用ガスを送り石炭を熱分解してガス化する石炭ガス化炉において、前記二段反応部の投入バーナ先端部の内周壁面には前記石炭及び搬送用ガスに旋回流を与える旋回リボンを所定の長さに設けると共に、石炭投入口の近辺には同石炭投入口とは別に酸素含有ガスの投入口を設け、同投入口から所定比率の酸素を含むガスを投入して前記石炭及び搬送用ガスと予混合することを特徴とする石炭ガス化炉。
- 一段反応部と1100℃〜1600℃の範囲で温度を上昇させる二段反応部とからなり、各反応部にはそれぞれ投入バーナを設け石炭及び搬送用ガスを送り石炭を熱分解してガス化する石炭ガス化炉において、前記二段反応部の投入バーナは前記石炭及び搬送用ガスを送る内側バーナと、同内側バーナ周囲に所定の隙間を保って外側を覆う外筒とからなり、前記内側バーナの前記外筒で覆われる部分は多孔質材料からなる多孔性管とし、前記内側バーナは前記外筒の途中で前記隙間を閉塞し、前記隙間は同閉塞部には孔を設けずに密封構造とし、前記隙間には所定比率の酸素を含むガスが投入され、前記酸素を含むガスは前記多孔性管から前記内側バーナ内に流出して前記石炭及び搬送用ガスと予混合することを特徴とする石炭ガス化炉。
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