JP4460042B2 - 光スイッチモジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信において使用される、経路切り替え用の光スイッチ、又は光アド/ドロップ多重化装置用の光スイッチモジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、MEMS(Micro Electro Mechanical system)技術を用いた小型の光スイッチが提案されており、その一例として、図5に示すような4×4型のマトリクススイッチがある。この光スイッチは、電子情報通信学会2000年総合大会の抄録C-3-105 に記載されているものである。
【0003】
同図の(a)に示すように、マトリクスチップ35の端面25には、4本の並設された入力側光ファイバ1が配置されており、入力側光ファイバ1と端面25との間にレンズアレイ26が設けられている。レンズアレイ26にはそれぞれの入力側光ファイバ1の接続端面に対応させてレンズ27が設けられている。マトリクスチップ35の他の端面28には、4本の並設された出力側光ファイバ2が対向配置されており、出射側光ファイバ2と端面28との間にレンズアレイ29が設けられている。レンズアレイ29には、それぞれの出力側光ファイバ2の接続端面に対応させてレンズ30が設けられている。
【0004】
マトリクスチップ35は16個(4×4=16)のマトリクスに区分されており、それぞれのマトリクスは、同図の(b)、(c)に示すように、固定電極基板21上にフレーム基板22を介して可動電極23を配置し、可動電極23上に可動ミラー24を設けて形成されている。
【0005】
同図に示す光スイッチは、スプリングで支持された可動電極23を静電駆動することにより、可動ミラー24を固定電極基板21の面と垂直な方向(図の上下方向)に可動させ、光路を切り替えるものである。
【0006】
すなわち、例えば同図の(a)の実線で示す可動ミラー24を同図の(b)、(c)に示すようにフレーム基板22の上面よりも上側に配置し、それ以外の、同図の(a)の破線に示す可動ミラー24を固定電極基板21側に引き付けてフレーム基板22の上面よりも下側に配置する。そうすると、同図の(a)の実線で示した可動ミラー24によって入力側光ファイバ1と出力側光ファイバ2が光結合される。
【0007】
この光スイッチにおいて、各可動ミラー24は固定電極基板21の面と垂直な方向に移動自在であるため、フレーム基板22の上面よりも上側に配置する可動ミラー24を可変することにより、光結合される入力側光ファイバ1と出力側光ファイバ2の組合せを可変できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示したようなマトリクススイッチは、例えばN×M(N、Mは正の整数)の光路切り替え可能なマトリクススイッチを構成するために、N×M個の可動ミラー24が必要となり、その構成が複雑になってしまうといった問題があった。
【0009】
また、図5に示した光スイッチは、波長多重化装置用として光スイッチに要求される機能、すなわち、複数の入力光を1の出力ファイバへ反射させる機能を有しないという問題がある。また、N×M光路の同時の切り替え可能な光スイッチを構成することができないといった問題があった。本発明は上記従来の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、簡単な構成で、N×Mの光路を同時に自在に切り替え可能な光スイッチモジュールを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。発明の第1の態様は、下記の構造を備えたことを特徴とする光スイッチモジュールである。
(a)平板状基板のX軸方向の端部にはN本の入力側光ファイバが列状に配列され、(b)前記入力光ファイバの光軸上に入力光ファイバの本数と同数の回転可能なミラーが基板上に前記他の各ミラーの光路を遮らないように列状に立設され、(c)前記基板のY軸方向端部には出力側のM本の光ファイバが列状に配列され、(d)前記入力光ファイバから入力された光信号を任意の前記出力側光ファイバへ反射するように前記ミラーを回転する駆動機構を備えている。
【0011】
発明の第2の態様は、前記基板のX軸とY軸が直交していることを特徴とする光スイッチモジュールである。
【0012】
発明の第3の態様は、前記ミラーの列は前記X軸またはY軸に対して30〜60度傾斜していることを特徴とする光スイッチモジュールである。
【0013】
発明の第4の態様は、前記入力側の光ファイバの本数Nと前記出力側の光ファイバの本数Mとが同数又は異なることを特徴とする光スイッチモジュールである。
【0014】
発明の第5の態様は、前記入力側の光ファイバの本数Nと前記出力側の光ファイバの本数Mは、それぞれ2から10の何れかの整数であることを特徴とする光スイッチモジュールである。
【0015】
発明の第6の態様は、前記入力側光ファイバ、又は出力側光ファイバの端部にはコリメートレンズを備えていることを特徴とする光スイッチモジュールである。
【0016】
発明の第7の態様は、前記入力側光ファイバ、又は出力側光ファイバの端部にはコリメート作用があるマルチモードファイバを備えていることを特徴とする光スイッチモジュールである。
【0017】
発明の第8の態様は、前記ミラーを回転する駆動機構は、静電モータであることを特徴とする光スイッチモジュールである。
【0018】
発明の第9の態様は、前記平板状の基板は四角形の半導体基板であることを特徴とする光スイッチモジュールである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下において本実施形態を説明するが、本発明を限定するものでなく、説明した実施形態を当業者が任意に組み合わせることができる発明の態様を含むものと理解すべきである。また、説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。図1には、本発明に係る光スイッチの一実施形態例の要部構成が模式的に示されている。
【0020】
同図に示すように、四角形の半導体基板3の端面25に複数(同図では8本)の入力側光ファイバ1(1a〜1h)が、例えば250μmピッチで列状に配置されている。また、複数(同図では8本)の出力側光ファイバ2(2a〜2h)が例えば250μmピッチで直角方向の端面28に配置されている。半導体基板3としては、例えば厚み625から1000μmのSi基板を用いることができる。
【0021】
なお、本実施形態例において、入力側光ファイバ1a〜1hと出力側光ファイバ2a〜2hの配列ピッチが上記各値であるため、入力側光ファイバ1a〜1hと出力側光ファイバ2a〜2hの配設幅は共に約1.75mmである。また、入力側光ファイバ1aから端面28までの距離は3mm、出力側光ファイバ2hから端面39とまでの距離は1mmである。従って、半導体基板のX方向端面の長さ25は約5mm,Y方向端面の長さ28は約3mmである。
【0022】
本実施形態例では、前記それぞれの入力側光ファイバ1a〜1hに1つずつ対応させて、半導体基板3の光軸上に回転ミラー4a〜4hを立設状態で配置しており、前記出力側光ファイバ2は、上記回転ミラー4の光反射方向に設けられている。このミラー4の寸法は例えば巾約150μm、高さ約300μmのマイクロミラーである。
【0023】
また、前記それぞれの入力側光ファイバ1a〜1hに対応する回転ミラー4a〜4hは対応する入力側光ファイバ1a〜1hの光軸上に設けられており、かつ、それぞれの回転ミラー4a〜4hは互いに入力側光ファイバ1a〜1hの長手方向(Y方向)に位置をずらして設けられている。例えば回転ミラー4a〜4hのY方向の配列ピッチは350μmである。
【0024】
回転ミラー4aの回転角度は最大35°であり、回転ミラー4aの回転角度は0、5、10、15、20、25、30、35度の8段階に切り替え制御可能としている。なお、各回転ミラー4a〜4hの回転角度0°は、それぞれのミラーが反射した光が出力側光ファイバ2aに入射される場合の角度である。
【0025】
また、回転ミラー4bの回転角度は最大33°であり、回転ミラー4bの回転角度は4.7°ごとに8段階に切り替え制御可能と成している。同様に、回転ミラー4c〜4hの回転角度はそれぞれ8段階に切り替え制御可能であり、それぞれの回転角度が適宜設定されている。回転ミラー4hの回転角度は最大18°であり、回転ミラー4hの回転角度は2.6°ごとに8段階に切り替え制御可能となっている。
【0026】
このように回転ミラー4a〜4hは、それぞれ角度を8段階に切り替え可能とした。これは、入力側光ファイバ1a〜1hの8本と出力側光ファイバ2a〜2hの8本の光ファイバを任意に組み合わせることを可能とするためである。一般的に述べると、ミラーの個数は入力側光ファイバの本数と同数とし、その回転角度のステップ数は出力側の光ファイバの本数に合わせて切り替え可能に設計することを意味する。このように設計することにより、それぞれの入力側光ファイバを全ての出力側光ファイバとの結合が可能となる。
【0027】
それぞれの入力側光ファイバ1の接続端面にはコリメートレンズ9、ファイバ2の接続端面側には、コリメート10が設けられている。コリメートレンズに代えてマルチモードファイバを利用することもできる。
本実施形態例において、それぞれの入力側光ファイバ1の接続端面側に設けられたコリメートレンズ9は、対応する入力側光ファイバ1から入力される光を平行光として、対応する回転ミラー4側にほぼ100%導出する構成としている。
【0028】
また、それぞれの出力側光ファイバ2の接続端面側に設けられたコリメートレンズ10は、回転ミラー4による反射光を対応する出力側光ファイバ2にほぼ100%受光させる受光角度(ここでは最大受光角度θ=70°)を有している。なお、
本実施形態例においては、コリメートレンズ9、10を設けることにより、図1の斜線部分を除く位置に回転ミラー4を設ければ、回転ミラー4の反射光を全ての出力側光ファイバ2に光結合可能である。望ましくは、図示するように、ミラーの列は互いに直交するX軸又はY軸に対して30から60度の角度で直線的に配列することが製作上望ましい。
【0029】
基板の形状とミラーの配置については、上記実施例で長方形としたが、この形状と配置に限定されない。可能な形状と配置を図2(a)から(f)に示す。図2(a)は図1と同じ配置である。図2(b)はミラーの列の配置を図2(a)の配置に対して約90°回転した配置である。図2(c)から(f)は基板の形状を平行四辺形としたものであり、この場合にもミラーの列の配置は図2(a)と(b)と同様に配置できる。これらの基板形状とミラーの配置において、ミラーによる光の反射角度(α)ができる限り小さいほうが、ノイズが少ない点で望ましい。この点から図2(a),(b),(d)に示す配置はより望ましい。
【0030】
上記において、入力側の光ファイバの本数Nと出力側の光ファイバ本数Mはそれぞれ4であるが、NとMは限定されないが、2から10が実用的に利用できる光スイッチモジュールである。特にNとMが10以上では反射角度が広がるので、反射光束がブロードになるので望ましくない。NとMが共に2以下の場合にはこのような構造の光スイッチモジュールはやや複雑すぎる。また、NとMは同数である必要はなく、異なる整数でもよい。更に、X軸とY軸が直角の場合が一般的であるが、かららずしも限定されず、光の反射角度(α)が例えば150°以内であれば、X軸とY軸は直角である必要はない。
【0031】
図3には、回転ミラー4の回転駆動機構として静電モータ(静電アクチュエータとも言う)の斜視図を示す。ここで、この静電モータの概要を説明する。図3に示すように、ロータ7の上に回転ミラー4が固定されている。ロータ7の外周面には外側に突出する突起部8が互いに周方向に一定の間隔をおいて形成され、ロータ7の外周側の突起部8に対向する分割片からなるステータ5が互いに間隔を介して配置されている。
【0032】
なお、本実施形態における回転ミラー4の静電モータにおいて、ロータ7の直径は例えば250μm、分割されたステータ5の配列外周側の径が例えば500μmである。また、突起部8やステータ5の数は、回転角度に応じて設けられており、隣り合うステータ5は、例えばロータ7の中心を中心とした角度がそれぞれの回転ミラー4a〜4hの回転角度に対応する角度η(例えば回転ミラー4aの場合5°)となる間隔で配置されている。
【0033】
上記、静電モータのロータは、P型又はN型の半導体で構成され、正又は負の直流電気が供給される。他方、ステータにはパルス電流が供給されてロータをステップ状に回転させる。
【0034】
以下に、回転ミラー4の動作原理を図4で説明する。例えば、図4の突起部8a,8b,8cは正側に帯電させる。一方、ステータ5側は、ステータの分割片5a,5c,5e,・・・・を正側に帯電させ、分割片5b,5d,5f,・・・・は負側に帯電させるといったように、1つおきに正電気と負電気を交互に帯電させ、時間ごとに変化させる。
【0035】
そうすると、クーロン力(静電力)が働き、また、突起部8aとステータの分割片5aは相対応し、突起部8bはステータ分割片5b,5cの間に位置するように設計されているので、作用する力は中心からずれて回転方向にトルクが働き、ロータ7が回転する。したがって、前記直流電気回路で回路に流す電流を時間的に制御すれば、任意の角度で回転ミラー4を回転させる(言い換えれば回転ミラー4の任意の回転角を得る)ことができる。
【0036】
なお、上記とは逆に、ロータの突起部8a,8b,8cは負側に帯電させてもよいし、突部5側は正と負が交互になればよい。この種の帯電は、例えば突起部8をまとめて1つの直流電気回路に接続し、分割片5は、1つずつ、独立に正側に帯電する直流回路と負側に帯電する直流回路に交互に接続することにより行なうことができる。
【0037】
そこで、例えば回転ミラー4aの回転角度が0°のときには、入力側光ファイバ1aから入力された光は、回転ミラー4aで出力側光ファイバ2a側に反射し、出力側光ファイバ2aを通って出力される。また、回転ミラー4aの回転角度が5°のときには、入力側光ファイバ1aから入力された光は、回転ミラー4aで出力側光ファイバ2b側に反射し、出力側光ファイバ2bを通って出力される。
【0038】
このように、回転ミラー4aの回転角度を5°ずつ可変することにより、入力側光ファイバ1aから入力された光は、回転ミラー4aで出力側光ファイバ2a〜2hの何れかの光ファイバ側に反射され、その光ファイバから出力される。
【0039】
また、同様に、回転ミラー4b〜4hの回転角度をそれぞれの回転ミラー4b〜4hに設定されている角度間隔ごとに可変することにより、入力側光ファイバ1b〜1hから入力された光は、回転ミラー4b〜4hで出力側光ファイバ2a〜2hの何れかの出力光ファイバ2側に反射されて、その光ファイバから出力される。
【0040】
以上のように、本実施形態例では、回転ミラー4a〜4hの回転角度を変化させることにより、入力側光ファイバ1a〜1hから入力された光を、出力側光ファイバ2a〜2hの何れかの光ファイバから出力することができるので、入力側光ファイバ1a〜1hと出力側光ファイバ2a〜2hの組合せを自在に可変制御できる8×8光スイッチ又は光アド/ドロップ多重化装置とすることができる。
【0041】
また、本実施形態例において、例えば回転ミラー4a〜4hの回転角度をすべて0°に設定すると、入力側光ファイバ1a〜1hから入力された光を全て多重化して、出力側光ファイバ2aから出力することができるといったように、本実施形態例の光スイッチは光の合波も自在にできる光スイッチモジュールとすることができる。
【0042】
さらに、本実施形態例は、回転ミラー4a〜4hを半導体加工技術を用いて半導体基板3上に形成した小型で巧みな構成であり、回転ミラー4a〜4hの数も入力側光ファイバ1a〜1hの本数だけ設ければよく、従来のようなマトリクススイッチに比べてミラーの数を格段に少なくできる。
【0043】
さらに、本実施形態例によれば、回転ミラー4a〜4hの回転角度を静電力によって容易に可変することができ、上記のような光路切り替えや光多重化を容易に行なうことができる。
【0044】
さらに、本実施形態によれば、基板は半導体基板3とし、回転ミラー4は半導体エッチング加工技術を用いて形成しているので、半導体の加工におけるように正確に回転ミラー4を形成でき、非常に小型で正確な光スイッチモジュールを構成することができる。ミラー4の反射面は金又はアルミニウムメッキすることは反射効率を高めるために望ましい。上記ミラーと静電モータを作成方法の詳細は、例えば、IEEE 1999年,Vol.5、No.1 第26〜31頁に詳細に開示されている。その概要は、目的とするミラーとモータを作成するように予めマスクを用意し、ホトレジストを使用して、エッチングを繰り返して、最終的にミラーを備えた静電モータを基板上に作成する。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、本発明の光スイッチに適用される回転ミラー4a〜4hの配列ピッチや各回転ミラー4a〜4hの回転角度は、上記実施形態の値に限定されるものではなく適宜設定されるものである。回転ミラー4a〜4hの配列ピッチは、例えば入力側光ファイバ1や出力側光ファイバ2の接続端面側に設けられるコリメートレンズ9、10の最大受光角度、コリメートレンズ9、10の集光後のビームウエスト、チップサイズ、回転ミラー4による反射光が別の回転ミラー4に遮られない幾何学的配置によって決定される。
【0046】
また、上記実施形態例では、回転ミラー4を静電モータにより回転させるようにしたが、回転ミラー4を電磁力を利用したステッピングモータにより回転させることも可能であり、静電力と電磁力により回転させる回転手段を設けてもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態例では入力側光ファイバ1の本数を8本、出力側光ファイバ2の本数を8本としたが、これらの光ファイバ1,2の本数は特に限定されるものではなく適宜設定され、限定されるものでないが、望ましくは2から10本である。
【0048】
例えば、出力側光ファイバ2の本数を入力側光ファイバ1の本数よりも多く形成し、それらの出力側光ファイバ2を通常は使用しない予備の出力側光ファイバ2としておけば、出力側光ファイバ2や出力側光ファイバ2の接続相手に支障が生じたり、電話回線などの回線の移動が行なわれたときに、上記予備の出力側光ファイバ2側に光路を切り替えて使用することもできる。
【0049】
また、多数の入力光を多重して用いる光スイッチの場合、入力側光ファイバ1の本数を出力側光ファイバ2の本数よりも多く形成すると都合がよい場合もあり、上記のように、入力側と出力側の光ファイバ1,2の本数は光スイッチの仕様等に応じて適宜設定されるものである。
【0050】
さらに、上記実施形態例では、入力側光ファイバ1を半導体基板3の端面25に列状に配置し、出力側光ファイバ2を半導体基板3の端面28に列状に配置したが、これらの光ファイバ2の配置態様は特に限定されるものでなく、入力側光ファイバ1と出力側光ファイバ2とが、基板上の回転ミラー4を介して光接続されるように適宜設定されるものである。
【0051】
さらに、上記実施形態例では、それぞれの入力側光ファイバ1(1a〜1h)に対応する回転ミラー4(4a〜4h)は対応する入力側光ファイバ1a〜1hの光軸上に設け、かつ、それぞれの回転ミラー4は互いに入力側光ファイバ1の長手方向(Y方向)に位置をずらして設けたが、回転ミラー4の配設態様は特に限定されるものではなく、それぞれの入力側光ファイバ1に1つずつ対応させて基板上に設け、反射光を出力側光ファイバ2側に反射されるように、適宜設定されるものである。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の入力側光ファイバのそれぞれに対応させて、それぞれの入力側光ファイバから入力される光を反射する回転ミラーを基板上に立設状態で配置し、回転ミラーの光反射側には複数の出力側光ファイバを設けたものであるから、回転ミラーの回転角度を可変することにより、入力側光ファイバから入力された光を、何れかの出力側光ファイバを通して出力させることができ、光路切り替えを自在に行なうことができる。
【0053】
また、上記光路切り替えに際し、回転ミラーの回転角度によっては、例えば複数の入力側光ファイバから入力される光を1つの出力側光ファイバ側に反射させて入力することもできるので、従来の光スイッチにおいては行われなかった光の多重化を行なうこともできる。
【0054】
また、複数の入力側光ファイバを並設し、回転ミラーをそれぞれ対応する入力側光ファイバの光軸上に設け、かつ、それぞれの回転ミラーを互いに入力側光ファイバの長手方向に位置をずらして設けた本発明によれば、本発明の光スイッチの設計を容易にできるし、入力側光ファイバと出力側光ファイバの結合効率も良好にできる。
【0055】
さらに、それぞれの入力側光ファイバの接続端面側とそれぞれの出力側光ファイバの接続端面側の少なくとも一方にコリメートレンズを設けた構成によれば、これらのレンズを介して、入力側光ファイバと出力側光ファイバとの光結合を確実に行なえるようにすることができる。
【0056】
さらに、それぞれの入力側光ファイバの接続端面側に設けられたコリメートレンズは対応する入力側光ファイバから入力される光を対応する回転ミラー側にほぼ100%導出することができ、それぞれの出力側光ファイバの接続端面側に設けられたコリメートレンズは回転ミラーによる反射光を対応する出力側光ファイバにほぼ100%受光させる受光角度を有しているので、これらのレンズを介しての入力側光ファイバと出力側光ファイバとの光結合を非常に良好に行なえる。
【0057】
さらに、回転ミラーを静電力と電磁力の少なくとも一方の力で回転させる回転手段を設けた構成によれば、静電力や電磁力によって、回転ミラーを、容易に、かつ、正確に回転でき、上記優れた効果を奏することができる。
【0058】
さらに、基板と回転ミラーをSi等の半導体で作成するのが、この場合高度の発達した半導体加工技術を利用するため、非常に小型で正確な光スイッチを構成することができる。
【0059】
さらに、入力側光ファイバの本数と出力側光ファイバの本数を互いに異なる本数とした構成によれば、例えば出力側光ファイバの本数を多くすることにより支障移転時に対応しやすい光スイッチを構成したり、入力側光ファイバの本数を多くすることにより、波長多重化に都合のよい光スイッチモジュールを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光スイッチの一実施形態例を示す要部構成図である。
【図2】本発明における基板形状とミラー配置の種々の態様を示す図である。
【図3】上記実施形態例に適用される回転ミラーを回転する静電モータの概要を示す図である。
【図4】上記静電モータの回転機構を説明する図である。
【図5】従来のMEMS技術を用いた光スイッチの1例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 入力側光ファイバ
2 出力側光ファイバ
3 半導体基板
4 回転ミラー
5 ステータ
7 ロータ
8 突起部
9 コリメートレンズ
10 コリメートレンズ
25,28 基板の端面

Claims (9)

  1. 下記の構造を備えたことを特徴とする光スイッチモジュール。
    (a)平板状基板のX軸方向の端部にはN本の入力側光ファイバが列状に配列され、(b)前記入力光ファイバの光軸上に入力光ファイバの本数と同数の回転可能なミラーが基板上に前記他の各ミラーの光路を遮らないように列状に立設され、(c)前記基板のY軸方向端部には出力側のM本の光ファイバが列状に配列され、(d)前記入力光ファイバから入力された光信号を任意の前記出力側光ファイバへ反射するように前記ミラーを回転する駆動機構を備えている。
  2. 前記基板のX軸とY軸が直交していることを特徴とする請求項1記載の光スイッチモジュール。
  3. 前記ミラーの列は前記X軸またはY軸に対して30〜60度傾斜していることを特徴とする請求項1又は2記載の光スイッチモジュール。
  4. 前記入力側の光ファイバの本数Nと前記出力側の光ファイバの本数Mとが同数又は異なることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の光スイッチモジュール。
  5. 前記入力側の光ファイバの本数Nと前記出力側の光ファイバの本数Mは、それぞれ2から10の何れかの整数であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の光スイッチモジュール。
  6. 前記入力側光ファイバ、又は出力側光ファイバの端部にはコリメートレンズを備えていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の光スイッチモジュール。
  7. 前記入力側光ファイバ、又は出力側光ファイバの端部にはコリメート作用があるマルチモードファイバを備えていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の光スイッチモジュール。
  8. 前記ミラーを回転する駆動機構は、静電モータであることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の光スイッチモジュール。
  9. 前記平板状の基板は平行四辺形を含む四角形の半導体基板であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光スイッチモジュール。
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