以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
まず、本願発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用灯具を示す正面図であり、図2は、その側断面図であり、図3は、図2の要部詳細図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、ハイビーム用配光パターンを形成するための光照射を行うヘッドランプユニットとして構成されており、図示しないランプボディ等に組み込まれた状態で用いられるようになっている。
この車両用灯具10は、灯具前後方向に延びる光軸Ax上に配置された光源バルブ12と、この光源バルブ12からの光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタ14とを備えてなり、その光軸Axが車両前後方向に延びるように配置された状態で用いられるようになっている。
光源バルブ12は、フィラメントを光源12aとするハロゲンバルブであって、その光源12aはバルブ中心軸に沿って延びる線分光源として構成されている。そして、この光源バルブ12は、リフレクタ14の後頂開口部14cに挿着されることにより、その光源12aが光軸Axに沿って配置されるようになっている。
リフレクタ14は、透明樹脂製の透光部材で構成されている。この透光部材を構成する透明樹脂としては、例えば無色透明のアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が採用可能である。
このリフレクタ14は、光軸Axを中心にして、中心角30°毎に12個の扇形反射領域14A、14B、14C、14D、14E、14F、14G、14H、14I、14J、14K、14Lに区分けされている。
これら各扇形反射領域14A〜14Lの内側表面14aは、単一曲面で構成されているが、その外側表面14bは、光軸Axに関して放射状に延びる3本の突条部20で構成されている。
これら各突条部20は、光軸Axと直交する平面に沿った断面形状(以下、単に「光軸直交断面形状」ともいう)が略V字形状に設定された全反射プリズムで構成されている。その際、各扇形反射領域14A〜14Lにおいて、その外側表面14bを構成する3本の突条部20は、互いに同一形状で構成されている。
図4は、図3のIV-IV 線断面詳細図である。また、図5は、光軸Axの真上に位置する扇形反射領域14Aの一部を取り出して、光源12aと共に示す斜視図である。
これらの図にも示すように、扇形反射領域14Aの内側表面14aは、光軸Axを中心とするとともに光源12aの発光中心を焦点とする回転放物面で構成されている。そしてこれにより、光源12aから扇形反射領域14Aに到達した光の一部を、その内側表面14aにおいて光軸Axと平行な方向へ反射させるようになっている。
一方、扇形反射領域14Aの外側表面14bを構成する各突条部20は、その1対の斜面がいずれも凸曲面で構成されている。その際、これら各突条部20を構成する1対の斜面の光軸直交断面形状は、略円弧状の凸曲線形状に設定されており、そのプリズム頂角は、内側表面14aに対して面直な断面内において約90°に設定されている。そしてこれにより、光源12aから扇形反射領域14Aの内側表面14aに到達してその内部に進入した光を、各突条部20で全反射させて、これを、灯具正面視において、扇形反射領域14Aへの入射方向と同じ方向へ出射させるようになっている。
この扇形反射領域14Aの外側表面14bにおける全反射の作用について詳述すると、以下のとおりである。
すなわち、図4に示すように、扇形反射領域14Aの内側表面14aは、その光軸直交断面形状が光軸Axを中心とする円弧形状になっているので、光源12aからの光は、光軸Axと直交する平面内において、内側表面14aに対して直角に入射し、各突条部20を構成する1対の斜面で2回全反射した後、内側表面14aから出射することとなる。
その際、同図において2点鎖線で示すように、仮に、各突条部20が直角プリズムで構成されているとした場合には、光源12aから扇形反射領域14Aに入射した光は、各突条部20を構成する1対の斜面で2回全反射した後、反射前と同じ方向へ戻る光となる。この光は、内側表面14aに到達したとき、その到達位置が入射位置から離れているため、内側表面14aに対して直角にはならず、この内側表面14aから出射する際に屈折する。したがって、扇形反射領域14Aからの出射光の方向は、扇形反射領域14Aへの入射方向とは異なる方向になってしまう。
これに対し、本実施形態においては、各突条部20を構成する1対の斜面の光軸直交断面形状が凸曲面形状に設定されているので、光源12aから扇形反射領域14Aに入射した光は、各突条部20を構成する1対の斜面で2回全反射した後、反射前と同じ方向ではなく、やや入射位置寄りの方向へ戻る光となる。この光も、内側表面14aに到達したとき、内側表面14aに対して直角にはならず、この内側表面14aから出射する際に屈折するが、この屈折により、その出射方向が扇形反射領域14Aへの入射方向と同じ方向になるようにすることができる。
図3および5に示すように、扇形反射領域14Aを構成する各突条部20は、その肉厚が扇形反射領域14Aの内周縁から外周縁へ向けて徐々に増大するとともに、その1対の斜面の曲率が徐々に変化するように形成されている。そしてこれにより、扇形反射領域14Aからの出射光を、その内側表面14aでの反射光と同様、光軸Axと平行な光とするようになっている。
この点について詳述すると、以下のとおりである。
すなわち、扇形反射領域14Aの外側表面14bにおける全反射の作用について説明するため、図4においては、光軸Axと直交する平面内において入射から出射までが行われるものとして説明したが、図3および5に示すように、実際には、光源12aからの光は、扇形反射領域14Aの各位置に対して直角に入射するわけではなく、また、扇形反射領域14Aへの入射位置よりも光軸Axから離れた位置において扇形反射領域14Aから出射する。そこで、各突条部20の肉厚を扇形反射領域14Aの内周縁から外周縁へ向けて徐々に増大させるとともに、その1対の斜面の曲率を徐々に変化させることにより、扇形反射領域14Aからの出射光を光軸Axと平行に出射させるようにしている。
リフレクタ14を構成する扇形反射領域14A以外の11個の扇形反射領域14B〜14Lのうち、光軸Axの真下に位置する扇形反射領域14Gは、扇形反射領域14Aと全く同様の構成を有している。残り10個の扇形反射領域14B〜14Fおよび14H〜14Lも、扇形反射領域14Aと略同様の構成を有しているが、その内側表面14aの光軸Axを含む平面に沿った断面形状が、扇形反射領域14Aの場合と異なっている。
図6は、リフレクタ14を構成する各扇形反射領域14A〜14Lの内側表面14aの、光軸Axを含む平面に沿った断面形状を示す図である。
同図において、光軸Axの真上に位置する扇形反射領域14Aの内側表面14aの、光軸Axを含む平面に沿った断面形状(以下、単に「含軸断面形状」ともいう)は、光軸Axを軸とするとともに光源12aの発光中心を焦点とする放物線P(すなわち上記回転放物面におけるその中心軸を含む断面形状)で構成されている。光軸Axの真下に位置する扇形反射領域14Gも同様である。
扇形反射領域14Aの左右両側に隣接する扇形反射領域14B、14Lおよび扇形反射領域14Gの左右両側に隣接する扇形反射領域14F、14Hの内側表面14aの含軸断面形状は、放物線Pを光軸Axから離れる方向へやや拡げた双曲線H1で構成されており、その焦点は光源12aの発光中心に位置設定されている。これにより、これら扇形反射領域14B、14Lおよび14F、14Hは、光源12aからの光を光軸Axから離れる方向へ僅かに拡散反射させるようになっている。
扇形反射領域14B、14Lの左右両側に隣接する扇形反射領域14C、14Kおよび扇形反射領域14F、14Hの左右両側に隣接する扇形反射領域14E、14Iの内側表面14aの含軸断面形状は、放物線Pを光軸Axから離れる方向へ双曲線H1よりもやや拡げた双曲線H2で構成されており、その焦点は光源12aの発光中心に位置設定されている。これにより、これら扇形反射領域14C、14Kおよび14E、14Iは、光源12aからの光を光軸Axから離れる方向へ扇形反射領域14B、14Lおよび14F、14Hよりも僅かに大きい角度で拡散反射させるようになっている。
光軸Axの真横に位置する左右1対の扇形反射領域14D、14Jの含軸断面形状は、放物線Pを光軸Axから離れる方向へ双曲線H2よりもある程度拡げた双曲線H3で構成されており、その焦点は光源12aの発光中心に位置設定されている。これにより、これら扇形反射領域14D、14Jは、光源12aからの光を光軸Axから離れる方向へ扇形反射領域14C、14Kおよび14E、14Iよりもある程度大きい角度で拡散反射させるようになっている。
図7は、本実施形態に係る車両用灯具10から前方へ照射される光により灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるハイビーム用配光パターンを透視的に示す図である。
このハイビーム用配光パターンPH1は、灯具正面方向の消点であるH−Vを中心にして左右方向に拡がる横長の配光パターンとして形成されており、その中心部に高光度領域であるホットゾーンHZを有している。
このハイビーム用配光パターンPH1は、リフレクタ14を構成する12個の扇形反射領域14A〜14Lからの反射光によって形成される12個の配光パターンPa〜Plを重畳させた合成配光パターンとして形成されるようになっている。
図8は、リフレクタ14を構成する各扇形反射領域14A〜14Lと、ハイビーム用配光パターンPH1を構成する各配光パターンPa〜Plとの対応関係を、リフレクタ14の後方側から見て示す図である。
同図に示すように、これら各配光パターンPa〜Plは、H−Vに対して、各扇形反射領域14A〜14Lの光軸Axに対する角度位置関係と同じ角度位置関係で形成されている。
扇形反射領域14A、14Gは、その内側表面14aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているので、配光パターンPa、Pgは、H−Vを中心とするスポット状の配光パターンとなっている。その際、これら配光パターンPa、Pgは、光源12aが光軸Axに沿って配置された線分光源として構成されていることから、やや縦長の略長円形に形成されている。
扇形反射領域14B、14F、14H、14Lは、その内側表面14aの含軸断面形状が、放物線Pを光軸Axから離れる方向へやや拡げた双曲線H1で構成されているので、配光パターンPb、Pf、Ph、Plは、その内側表面14aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿ってH−Vから離れる方向へ僅かに拡散させた配光パターンとなっている。
扇形反射領域14C、14E、14I、14Kは、その内側表面14aの含軸断面形状が、放物線Pを光軸Axから離れる方向へ双曲線H1よりもやや拡げた双曲線H2で構成されているので、配光パターンPc、Pe、Pi、Pkは、その内側表面14aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿ってH−Vから離れる方向へ、配光パターンPb、Pf、Ph、Plよりも僅かに大きい角度で拡散させた配光パターンとなっている。
扇形反射領域14D、14Jは、その内側表面14aの含軸断面形状が、放物線Pを光軸Axから離れる方向へ双曲線H2よりもある程度拡げた双曲線H3で構成されているので、配光パターンPd、Pjは、その内側表面14aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿ってH−Vから離れる方向へ、配光パターンPc、Pe、Pi、Pkよりもさらにある程度大きい角度で拡散させた配光パターンとなっている。その際、これら各配光パターンPd、Pjは、H−H線に沿って左右方向に拡がる横長配光パターンとなっている。
以上詳述したように、本実施形態に係る車両用灯具10は、灯具前後方向に延びる光軸Ax上に配置された光源12aからの光を、透光部材からなるリフレクタ14により灯具前方へ向けて反射させるように構成されているが、そのリフレクタ14の外側表面14bは、光軸Axに関して放射状に延びる複数の突条部20で構成されており、これら各突条部20は、光軸Axと直交する平面に沿った断面形状が略V字形状に設定された全反射プリズムで構成されているので、リフレクタ14の略全領域にわたってその外側表面14bでの全反射を実現することができ、また、その外側表面14bでの全反射光の向きを内側表面14aでの反射光の向きと同じ向きに揃えることも可能となり、これにより光源12aからの光の多くを灯具前方への照射光として有効に利用することができる。
その際、上記リフレクタ14は、3本の突条部20毎に12個の扇形反射領域14A〜14Lに区分けされており、これら12個の扇形反射領域14A〜14Lのうち、光軸Axの左右方向に位置する扇形反射領域14D、14Jが、光軸Axの上下方向に位置する扇形反射領域14A、14Gよりも、光源12aからの光を、光軸Axを含む平面内において光軸Axに沿った方向から離れる方向へ反射させるように構成されているので、このリフレクタ14からの反射光により、ハイビーム用配光パターンPH1を横長の配光パターンとして形成することができる。
具体的には、扇形反射領域14A、14Gの内側表面14aの含軸断面形状が、光軸Axを軸とするとともに光源12aの発光中心を焦点とする放物線Pで構成されており、一方、扇形反射領域14D、14Jの内側表面14aの含軸断面形状が、放物線Pを変形させた曲線である双曲線H3で構成されているので、これら扇形反射領域14D、14Jからの反射光により形成される配光パターンPd、Pjを、含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される配光パターンに比して、これを左右方向に引き伸ばしたような横長の配光パターンとすることができる。そしてこれにより、灯具全体からの光照射により形成されるハイビーム用配光パターンPH1についても横長の配光パターンとすることができる。
このように本実施形態によれば、透光部材からなるリフレクタ14を備えた車両用灯具10において、光源12aからの光の多くを灯具前方への照射光として有効に利用可能とした上で、横長の配光パターンを形成することができる。
しかも本実施形態においては、扇形反射領域14A、14Gの左右両側に隣接する扇形反射領域14B、14F、14H、14Lからの反射光により形成される2点鎖線で示す配光パターンPb、Pf、Ph、Plが、2点鎖線で示す配光パターンをH−Vから離れる方向へ僅かに拡散させたものとなっており、また、扇形反射領域14C、14E、14I、14Kからの反射光により形成される配光パターンPc、Pe、Pi、Pkが、2点鎖線で示す配光パターンを配光パターンPb、Pf、Ph、Plよりも僅かに大きい角度でH−Vから離れる方向へ拡散させたものとなっているので、ハイビーム用配光パターンPH1を滑らかな光度分布を有するものとすることができる。
また本実施形態においては、各扇形反射領域14A〜14Lの内側表面14aの光軸直交断面形状が、光軸Axを中心とする円弧形状に設定されており、また、各突条部20を構成する1対の斜面の光軸直交断面形状が、いずれも凸曲線形状に設定されているので、これらを直線で構成した場合に比して、各扇形反射領域14A〜14Lに入射する光源12aからの光を、灯具正面視において、該扇形反射領域14A〜14Lへの入射方向と同じ方向へ向けて精度良く反射させることができる。そしてこれにより、各扇形反射領域14A〜14Lからの出射光を、その内側表面14aでの反射光と共に、精度良く制御することができる。
なお、上記第1実施形態においては、そのリフレクタ14が、同一中心角で12個の扇形反射領域14A〜14Lに区分けされているものとして説明したが、これ以外の個数で区分けされた構成あるいは互いに異なる中心角で区分けされた構成とすることも可能である。また、上記第1実施形態においては、各扇形反射領域14A〜14Lの外側表面14bが同一形状の3本の突条部20で構成されているものとして説明したが、これ以外の本数あるいは互いに異なる形状で構成されたものすることも可能である。
次に、本願発明の第2実施形態について説明する。
図9、10および11は、本実施形態に係る車両用灯具およびその作用を示す、図6、7および8と同様の図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具は、その基本的構成は上記第1実施形態と同様であるが、そのリフレクタ114の反射面形状が、上記第1実施形態のリフレクタ14と一部異なっている。
すなわち、本実施形態のリフレクタ114も、上記第1実施形態のリフレクタ14と同様、光軸Axを中心にして、中心角30°毎に12個の扇形反射領域114A、114B、114C、114D、114E、114F、114G、114H、114I、114J、114K、114Lに区分けされているが、これら各扇形反射領域114A〜114Lの内側表面114aの含軸断面形状が上記第1実施形態の場合と異なっている。なお、これら各扇形反射領域114A〜114Lの外側表面の構成については、上記第1実施形態の場合と同様である。
光軸Axの真上に位置する扇形反射領域114Aは、上記第1実施形態の扇形反射領域14Aと全く同様の構成であり、その内側表面114aの含軸断面形状は、光軸Axを軸とするとともに光源12aの発光中心を焦点とする放物線Pで構成されている。光軸Axの真下に位置する扇形反射領域114Gも同様である。
扇形反射領域114Aの左右両側に隣接する扇形反射領域114B、114Lおよび扇形反射領域114Gの左右両側に隣接する扇形反射領域114F、114Hの内側表面114aの含軸断面形状は、放物線Pをその焦点を中心にして光軸Axから離れる方向へ僅かに傾斜させた曲線(具体的には光軸Axから僅かに傾斜した軸線を軸Ax1とする放物線P1)で構成されている。これにより、これら扇形反射領域114B、114Lおよび114F、114Hは、光源12aからの光を光軸Axから離れる方向へ僅かに偏向反射させるようになっている。
扇形反射領域114B、114Lの左右両側に隣接する扇形反射領域114C、114Kおよび扇形反射領域114F、114Hの左右両側に隣接する扇形反射領域114E、114Iの内側表面114aの含軸断面形状は、放物線Pをその焦点を中心にして光軸Axから離れる方向へ放物線P1よりも僅かに傾斜させた曲線(すなわち軸Ax1よりも僅かに傾斜した軸線を軸Ax2とする放物線P2)で構成されている。これにより、これら扇形反射領域114C、114Kおよび114E、114Iは、光源12aからの光を光軸Axから離れる方向へ扇形反射領域114B、114Lおよび114F、114Hよりも僅かに大きい角度で偏向反射させるようになっている。
光軸Axの真横に位置する左右1対の扇形反射領域114D、114Jの含軸断面形状は、放物線Pをその焦点を中心にして光軸Axから離れる方向へ放物線P2よりもある程度傾斜させた曲線(すなわち軸Ax2よりもある程度傾斜した軸線を軸Ax3とする放物線P3)で構成されており、その焦点は光源12aの発光中心に位置設定されている。これにより、これら扇形反射領域114D、114Jは、光源12aからの光を光軸Axから離れる方向へ扇形反射領域114C、114Kおよび114E、114Iよりもある程度大きい角度で偏向反射させるようになっている。
図10に示すように、本実施形態に係る車両用灯具から前方へ照射される光により形成されるハイビーム用配光パターンPH2は、H−Vを中心にして左右方向に拡がる横長の配光パターンとして形成されており、その中心部にホットゾーンHZを有している。
このハイビーム用配光パターンPH2は、リフレクタ114を構成する12個の扇形反射領域114A〜114Lからの反射光によって形成される12個の配光パターンPa〜Plを重畳させた合成配光パターンとして形成されるようになっている。
図11に示すように、これら各配光パターンPa〜Plは、H−Vに対して、各扇形反射領域114A〜114Lの光軸Axに対する角度位置関係と同じ角度位置関係で形成されている。
扇形反射領域114A、114Gは、その内側表面114aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているので、配光パターンPa、PgはH−Vを中心とするスポット状の配光パターンとなっている。
扇形反射領域114B、114F、114H、114Lは、その内側表面114aの含軸断面形状が、放物線Pを僅かに傾斜させた放物線P1で構成されているので、配光パターンPb、Pf、Ph、Plは、その内側表面114aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿ってH−Vから離れる方向へ僅かに移動させたスポット状の配光パターンとなっている。
扇形反射領域114C、114E、114I、114Kは、その内側表面114aの含軸断面形状が、放物線P1をさらに僅かに傾斜させた放物線P2で構成されているので、配光パターンPc、Pe、Pi、Pkは、その内側表面114aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿ってH−Vから離れる方向へ、配光パターンPb、Pf、Ph、Plよりもさらに僅かに移動させたスポット状の配光パターンとなっている。
扇形反射領域114D、114Jは、その内側表面114aの含軸断面形状が、放物線P2をさらにある程度傾斜させた放物線P3で構成されているので、配光パターンPd、Pjは、その内側表面114aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿ってH−Vから離れる方向へ、配光パターンPc、Pe、Pi、Pkよりもさらにある程度移動させたスポット状の配光パターンとなっている。
本実施形態においては、各扇形反射領域114A〜114Lからの反射光によって形成される配光パターンPa〜Plは、いずれもスポット状の配光パターンとなっているが、その際、光軸Axの真上および真下に位置する上下1対の扇形反射領域114A、114Gからの反射光により形成される配光パターンPa、PgがH−Vを中心として形成されるのに対して、光軸Axの真横に位置する左右1対の114D、114Jからの反射光により形成される配光パターンPd、PjはH−Vから左右両方向へ移動した位置に形成されるようになっているので、その合成配光パターンとして形成されるハイビーム用配光パターンPH2を横長の配光パターンとすることができる。
したがって、本実施形態の構成を採用した場合においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
しかも本実施形態においては、扇形反射領域114A、114Gの左右両側に隣接する扇形反射領域114B、114F、114H、114Lからの反射光により形成される配光パターンPb、Pf、Ph、Plが、2点鎖線で示す配光パターンをH−Vから離れる方向へ僅かに移動させたものとなっており、また、扇形反射領域114C、114E、114I、114Kからの反射光により形成される配光パターンPc、Pe、Pi、Pkが、2点鎖線で示す配光パターンを配光パターンPb、Pf、Ph、Plよりも僅かに大きい角度でH−Vから離れる方向へ移動させたものとなっているので、ハイビーム用配光パターンPH3を滑らかな光度分布を有するものとすることができる。
次に、本願発明の第3実施形態について説明する。
図12、13および14は、本実施形態に係る車両用灯具およびその作用を示す、図6、7および8と同様の図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具は、その基本的構成は上記第1実施形態と同様であるが、そのリフレクタ214の反射面形状が、上記第1実施形態のリフレクタ14と一部異なっている。
すなわち、本実施形態のリフレクタ214も、上記第1実施形態のリフレクタ14と同様、光軸Axを中心にして、中心角30°毎に12個の扇形反射領域214A、214B、214C、214D、214E、214F、214G、214H、214I、214J、214K、214Lに区分けされているが、これら各扇形反射領域214A〜214Lの内側表面214aの含軸断面形状が上記第1実施形態の場合と異なっている。なお、これら各扇形反射領域214A〜214Lの外側表面の構成については、上記第1実施形態の場合と同様である。
光軸Axの真上に位置する扇形反射領域214Aは、上記第1実施形態の扇形反射領域14Aと全く同様の構成であり、その内側表面214aの含軸断面形状は、光軸Axを軸とするとともに光源12aの発光中心を焦点とする放物線Pで構成されている。光軸Axの真下に位置する扇形反射領域214Gも同様である。
扇形反射領域214Aの左右両側に隣接する扇形反射領域214B、214Lおよび扇形反射領域214Gの左右両側に隣接する扇形反射領域214F、214Hの内側表面214aの含軸断面形状は、放物線Pを光軸Axから離れる方向へ僅かに平行移動させた曲線(すなわち光軸Axと平行な軸線を軸Ax4とする放物線P4)で構成されている。これにより、これら扇形反射領域214B、214Lおよび214F、214Hは、光源12aからの光を光軸Axに沿った方向から離れる方向へ僅かに拡散反射させるようになっている。その際、光源12aからの光は、内側表面214aの内周縁寄りの位置では、光軸Axから離れる方向へ反射する一方、内側表面214aの外周縁寄りの位置では、光軸Axに近づく方向へ反射する。これは、放物線P4の焦点が放物線Pの焦点に対して光軸Axから離れる方向へずれた位置にあることによるものである。
扇形反射領域214B、214Lの左右両側に隣接する扇形反射領域214C、214Kおよび扇形反射領域214F、214Hの左右両側に隣接する扇形反射領域214E、214Iの内側表面214aの含軸断面形状は、放物線Pを光軸Axから離れる方向へ放物線P4よりも僅かに平行移動させた曲線(すなわち光軸Axと平行な軸線を軸Ax5とする放物線P5)で構成されている。これにより、これら扇形反射領域214C、214Kおよび214E、214Iは、光源12aからの光を光軸Axに沿った方向から離れる方向へ扇形反射領域214B、214Lおよび214F、214Hよりも僅かに大きい角度で拡散反射させるようになっている。
光軸Axの真横に位置する左右1対の扇形反射領域214D、214Jの含軸断面形状は、放物線Pを光軸Axから離れる方向へ放物線P5よりもある程度平行移動させた曲線(すなわち光軸Axと平行な軸線を軸Ax6とする放物線P6)で構成されている。これにより、これら扇形反射領域214C、214Kおよび扇形反射領域214F、214Hは、光源12aからの光を光軸Axに沿った方向から離れる方向へ扇形反射領域214B、214Lおよび214F、214Hよりもある程度大きい角度で拡散反射させるようになっている。
図13に示すように、本実施形態に係る車両用灯具から前方へ照射される光により形成されるハイビーム用配光パターンPH3は、H−Vを中心にして左右方向に拡がる横長の配光パターンとして形成されており、その中心部にホットゾーンHZを有している。
このハイビーム用配光パターンPH3は、リフレクタ214を構成する12個の扇形反射領域214A〜214Lからの反射光によって形成される12個の配光パターンPa〜Plを重畳させた合成配光パターンとして形成されるようになっている。
図14に示すように、これら各配光パターンPa〜Plは、H−Vに対して、各扇形反射領域214A〜214Lの光軸Axに対する角度位置関係と同じ角度位置関係で形成されている。
扇形反射領域214A、214Gは、その内側表面214aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているので、配光パターンPa、PgはH−Vを中心とするスポット状の配光パターンとなっている。
扇形反射領域214B、214F、214H、214Lは、その内側表面214aの含軸断面形状が、放物線Pを僅かに平行移動させた放物線P4で構成されているので、配光パターンPb、Pf、Ph、Plは、その内側表面214aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向両側へ僅かに拡散させたスポット状の配光パターンとなっている。
扇形反射領域214C、214E、214I、214Kは、その内側表面214aの含軸断面形状が、放物線P4をさらに僅かに平行移動させた放物線P5で構成されているので、配光パターンPc、Pe、Pi、Pkは、その内側表面214aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向両側へ配光パターンPb、Pf、Ph、Plよりもさらに僅かに拡散させた配光パターンとなっている。
扇形反射領域214D、214Jは、その内側表面214aの含軸断面形状が、放物線P5をさらにある程度傾斜させた放物線P6で構成されているので、配光パターンPd、Pjはその内側表面214aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向両側へ配光パターンPc、Pe、Pi、Pkよりもさらにある程度拡散させた配光パターンとなっている。
同図に示すように、配光パターンPb〜PfおよびPh〜Plは、2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向だけでなく、これと直交する方向にも僅かに拡張した形状になっている。これは、放物線P4、P5、P6の焦点が放物線Pの焦点から外れた位置にあることによるものである。
本実施形態においては、各扇形反射領域214A〜214Lからの反射光によって形成される配光パターンPa〜Plのうち、光軸Axの真上および真下に位置する上下1対の扇形反射領域214A、214Gからの反射光により形成される配光パターンPa、PgがH−Vを中心として形成されるのに対して、光軸Axの真横に位置する左右1対の214D、214Jからの反射光により形成される配光パターンPd、PjはH−Vから左右両方向へ拡がる横長の配光パターンとなっているので、灯具全体からの光照射により形成されるハイビーム用配光パターンPH3についても横長の配光パターンとすることができる。
したがって、本実施形態の構成を採用した場合においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
しかも本実施形態においては、扇形反射領域214A、214Gの左右両側に隣接する扇形反射領域214B、214F、214H、214Lからの反射光により形成される配光パターンPb、Pf、Ph、Plが、2点鎖線で示す配光パターンをその長手方向両側へ僅かに拡散させたものとなっており、また、扇形反射領域214C、214E、214I、214Kからの反射光により形成される配光パターンPc、Pe、Pi、Pkが、2点鎖線で示す配光パターンを配光パターンPb、Pf、Ph、Plよりも僅かに大きい角度でその長手方向両側へ拡散させたものとなっているので、ハイビーム用配光パターンPH3を滑らかな光度分布を有するものとすることができる。
その際、配光パターンPb〜PfおよびPh〜Plは、2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向だけでなく、これと直交する方向にも僅かに拡張した形状になっているので、ハイビーム用配光パターンPH3を一層滑らかな光度分布を有するものとすることができる。
次に、本願発明の第4実施形態について説明する。
図15は、本実施形態に係る車両用灯具を示す、図1と同様の図であり、図16は、そのXVI-XVI 線断面詳細図である。また、図17および18は、本実施形態の作用を示す、図7および8と同様の図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具310は、その基本的構成は上記第1実施形態と同様であるが、そのリフレクタ314の反射面形状が、上記第1実施形態のリフレクタ14と一部異なっている。
すなわち、本実施形態のリフレクタ314も、上記第1実施形態のリフレクタ14と同様、光軸Axを中心にして、中心角30°毎に12個の扇形反射領域314A、314B、314C、314D、314E、314F、314G、314H、314I、314J、314K、314Lに区分けされているが、これら各扇形反射領域314A〜314Lの内側表面314aの含軸断面形状が上記第1実施形態の場合と異なっている。なお、これら各扇形反射領域314A〜314Lの外側表面314bは、上記第1実施形態の場合と同様、光軸Axに関して放射状に延びる3本の突条部20で構成されている。
光軸Axの真上に位置する扇形反射領域314Aは、上記第1実施形態の扇形反射領域14Aと全く同様の構成であり、その内側表面314aの含軸断面形状は、光軸Axを軸とするとともに光源12aの発光中心を焦点とする放物線Pで構成されている。この点、残り11個の扇形反射領域314B〜314Lについても、光軸Axの真横に位置する左右1対の扇形反射領域314D、314J以外は同様である。
扇形反射領域314D、314Jは、その内側表面314aの含軸断面形状が、放物線Pを基準線として凹凸状に形成された波形曲線で構成されており、光軸Axを中心として同心円状に延びる複数の拡散反射素子314sが滑らかに接続されるようにして形成されている。そして、これら扇形反射領域314D、314Jにおいては、光源12aからの光を光軸Axに関して径方向に拡散反射させるようになっている。
なお、図16においては、内側表面314aでの反射光の光路のみを示しているが、外側表面314bの各突条部20で全反射して内側表面314aから出射する光についても、光軸Axに沿った方向から離れる方向へ拡散するものとなる。
図17に示すように、本実施形態に係る車両用灯具から前方へ照射される光により形成されるハイビーム用配光パターンPH4は、H−Vを中心にして左右方向に拡がる横長の配光パターンとして形成されており、その中心部にホットゾーンHZを有している。
このハイビーム用配光パターンPH4は、リフレクタ314を構成する12個の扇形反射領域314A〜314Lからの反射光によって形成される12個の配光パターンPa〜Plを重畳させた合成配光パターンとして形成されるようになっている。
図18に示すように、これら各配光パターンPa〜Plは、H−Vに対して、各扇形反射領域314A〜314Lの光軸Axに対する角度位置関係と同じ角度位置関係で形成されている。
扇形反射領域314A、314B、314C、314E、314F、314G、314H、314I、314K、314Lは、その内側表面314aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているので、配光パターンPa、Pb、Pc、Pe、Pf、Pg、Ph、Pi、Pk、PlはH−Vを中心とするスポット状の配光パターンとなっている。
扇形反射領域314D、314Jは、その内側表面314aの含軸断面形状が、放物線Pを基準線として凹凸状に形成された波形曲線で構成されており、その複数の拡散反射素子314sにより光源12aからの光を、光軸Axに関して径方向に拡散反射させるようになっているので、配光パターンPd、Pjは、その内側表面314aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向両側へ拡散させた配光パターンとなっている。
本実施形態においては、各扇形反射領域314A〜314Lからの反射光によって形成される配光パターンPa〜Plのうち、光軸Axの真上および真下に位置する上下1対の扇形反射領域314A、314Gからの反射光により形成される配光パターンPa、PgがH−Vを中心として形成されるのに対して、光軸Axの真横に位置する左右1対の314D、314Jからの反射光により形成される配光パターンPd、PjはH−Vから左右両方向へ拡がる横長の配光パターンとなっているので、灯具全体からの光照射により形成されるハイビーム用配光パターンPH4についても横長の配光パターンとすることができる。
したがって、本実施形態の構成を採用した場合においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
しかも、本実施形態においては、複数の拡散反射素子314sが、光源12aからの光を左右方向に拡散させるのではなく、光軸Axに関して径方向に拡散させる構成となっているので、配光パターンPd、Pjは、2点鎖線で示す配光パターンを、左右方向に拡張するだけでなく、上下方向にもやや拡張したものとなる。したがって、これら配光パターンPd、Pjを、それ以外の配光パターンPb〜PfおよびPh〜Plと滑らかに接続することができる。
なお、本実施形態においては、光軸Axの上方に位置する5個の扇形反射領域314A、314B、314C、314K、314Lが、いずれも同様の構成を有しているので、これらをその5個分の中心角を有する1つの扇形反射領域として認識することもでき、また、光軸Axの下方に位置する5個の扇形反射領域314E、314F、314G、314H、314Iについても、これらはいずれも同様の構成を有しているので、これらをその5個分の中心角を有する1つの扇形反射領域として認識することもできる。
次に、本願発明の第5実施形態について説明する。
図19、20、21および22は、本実施形態に係る車両用灯具およびその作用を示す、図1、6、7および8と同様の図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具410は、その基本的構成は上記第1実施形態と同様であるが、そのリフレクタ414の反射面形状が、上記第1実施形態のリフレクタ14と一部異なっている。
すなわち、本実施形態のリフレクタ414も、上記第1実施形態のリフレクタ14と同様、光軸Axを中心にして、中心角30°毎に12個の扇形反射領域414A、414B、414C、414D、414E、414F、414G、414H、414I、414J、414K、414Lに区分けされているが、これら各扇形反射領域414A〜414Lの内側表面414aの含軸断面形状が上記第1実施形態の場合と異なっている。なお、これら各扇形反射領域414A〜414Lの外側表面の構成については、上記第1実施形態の場合と同様である。
光軸Axの真上に位置する扇形反射領域414Aは、その内側表面414aが、上記第1実施形態の扇形反射領域14Aの内側表面14aの含軸断面形状を構成する放物線Pを、その焦点を中心にして光軸Axから離れる方向へ僅かに傾斜させた曲線(すなわち光軸Axから僅かに傾斜した軸線を軸Ax7とする放物線P7)で構成されている。これにより、この扇形反射領域414Aは、光源12aからの光を光軸Axから離れる方向へ僅かに偏向反射させるようになっている。扇形反射領域414Aの左右両側に隣接する扇形反射領域414B、414Lおよびその左右両側に隣接する扇形反射領域414C、414Kも同様である。
光軸Axの真下に位置する扇形反射領域414Gは、その内側表面414aが、放物線Pをその焦点を中心にして光軸Ax寄りの方向へ僅かに傾斜させた曲線(すなわち光軸Axから軸Ax7とは反対側へ僅かに傾斜した軸線を軸Ax8とする放物線P8)で構成されている。これにより、この扇形反射領域414Gは、光源12aからの光を、光軸Axと一旦交差させるようにした後に光軸Axから離れる方向へ僅かに偏向反射させるようになっている。扇形反射領域414Gの左右両側に隣接する扇形反射領域414F、414Hおよびその左右両側に隣接する扇形反射領域414E、414Iも同様である。
光軸Axの真横に位置する左右1対の扇形反射領域414D、414Jの含軸断面形状は、放物線Pをその焦点を中心にして光軸Axから離れる方向へ放物線P7よりもある程度傾斜させた曲線(すなわち軸Ax7よりもある程度傾斜した軸線を軸Ax9とする放物線P9)で構成されており、その焦点は光源12aの発光中心に位置設定されている。これにより、これら扇形反射領域414D、414Jは、光源12aからの光を光軸Axから離れる方向へ扇形反射領域414C、414Kおよび414E、414Iよりもある程度大きい角度で偏向反射させるようになっている。
図21に示すように、本実施形態に係る車両用灯具410は、その光照射により付加配光パターンPAを形成するようになっている。この付加配光パターンPAは、図示しない他の車両用灯具からの光照射により形成されるロービーム用配光パターンPLに対して付加的に形成されるものであって、その合成配光パターンとしてハイビーム用配光パターンPH5が形成されるようになっている。
ロービーム用配光パターンPLは、上端部にカットオフラインCLを有しており、その中心部にカットオフラインCLに沿ったホットゾーンHZLを有している。
付加配光パターンPAは、H−Vを中心にして左右方向に拡がる横長の配光パターンとして形成されており、その中心部にホットゾーンHZAを有している。その際、この付加配光パターンPAは、左右方向に拡がるとともに上方へもある程度拡がっているが、下方へはほとんど拡がらない配光パターンとなっている。これは、ハイビーム用配光パターンPH5の一部として形成されるロービーム用配光パターンPLにより、すでにH−Vよりも下方に位置する領域は十分明るく照射された状態にあるので、付加配光パターンPAの重畳により、車両前方路面の近距離から中距離の領域が明るくなり過ぎないようにするための配慮である。
そして、このハイビーム用配光パターンPH5においては、ホットゾーンHZLとホットゾーンHZAとが重畳されたものとしてホットゾーンが形成されるようになっている。
付加配光パターンPAは、リフレクタ414を構成する12個の扇形反射領域414A〜414Lからの反射光によって形成される12個の配光パターンPa〜Plを重畳させた合成配光パターンとして形成されるようになっている。
図22に示すように、これら各配光パターンPa〜Plは、H−Vに対して、各扇形反射領域414A〜414Lの光軸Axに対する角度位置関係と同じ角度位置関係で形成されている。
光軸Axの上方に位置する扇形反射領域414A、414B、414C、414K、414Lは、その内側表面414aの含軸断面形状が放物線Pを僅かに傾斜させた放物線P7で構成されているので、配光パターンPa、Pb、Pc、Pk、Plは、その内側表面414aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿って上方側へ多少移動させたスポット状の配光パターンとなっている。
光軸Axの下方に位置する扇形反射領域414E、414F、414G、414H、414Iは、その内側表面414aの含軸断面形状が放物線Pを放物線P7とは反対側へ僅かに傾斜させた放物線P8で構成されているので、配光パターンPe、Pf、Pg、Ph、Piは、その内側表面414aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿って上方側へ多少移動させたスポット状の配光パターンとなっている。
扇形反射領域414D、414Jは、その内側表面414aの含軸断面形状が、放物線P7をさらにある程度傾斜させた放物線P9で構成されているので、配光パターンPd、Pjは、その内側表面414aの含軸断面形状が放物線Pで構成されているとした場合に形成される2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿って左方向および右方向へある程度移動させたスポット状の配光パターンとなっている。
本実施形態においては、各扇形反射領域414A〜414Lからの反射光によって形成される配光パターンPa〜Plは、いずれもスポット状の配光パターンとなっているが、その形成位置が異なっているので、その合成配光パターンとして形成される付加配光パターンPAを横長でかつ上方へのみ突出する配光パターンとすることができる。
したがって、本実施形態の構成を採用した場合においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
しかも本実施形態においては、光軸Axの上方に位置する扇形反射領域414A、414B、414C、414K、414Lからの反射光によって形成される配光パターンPa、Pb、Pc、Pk、Pl、および光軸Axの下方に位置する扇形反射領域414E、414F、414G、414H、414Iからの反射光によって形成される配光パターンPe、Pf、Pg、Ph、Piのいずれもが、2点鎖線で示す配光パターンを、その長手方向に沿って上方側へ多少移動させたスポット状の配光パターンとなっているので、これらを、扇形反射領域414D、414Jからの反射光によって形成される配光パターンPd、Pjの下方側には拡がらない配光パターンとして形成することができる。そしてこれにより。付加配光パターンPAを、ハイビーム用配光パターンPH5を形成するためにロービーム用配光パターンPLに対して付加的に形成される配光パターンとして適したものとすることができる。
なお、本実施形態においては、光軸Axの上方に位置する5個の扇形反射領域414A、414B、414C、414K、414Lが、いずれも同様の構成を有しているので、これらをその5個分の中心角を有する1つの扇形反射領域として認識することもでき、また、光軸Axの下方に位置する5個の扇形反射領域414E、414F、414G、414H、414Iについても、これらはいずれも同様の構成を有しているので、これらをその5個分の中心角を有する1つの扇形反射領域として認識することもできる。
次に、上記第1実施形態に係る車両用灯具10が、ヘッドランプユニットとしてヘッドランプに組み込まれる場合の具体例について説明する。
図23は、上記第1実施形態に係る車両用灯具10がヘッドランプユニットとして組み込まれたヘッドランプ50を示す正面図である。
同図に示すように、このヘッドランプ50は、ランプボディ52とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー54とで形成される灯室内に、車両用灯具10が収容された構成となっている。また、上記灯室内には、透光カバー54に沿ってインナパネル56が設けられている。このインナパネル56には、リフレクタ14を囲む楕円形の開口部56aが形成されている。
このヘッドランプ50においては、車両用灯具10がエイミング機構30を介してランプボディ52に上下方向および左右方向に傾動可能に支持されている。
このエイミング機構30は、L字形に配置された3本のエイミングスクリュウ32を備えてなっている。これら各エイミングスクリュウ32は、その基端部がランプボディ52に回転可能に支持されており、その先端部がエイミングナット34を介して車両用灯具10のリフレクタ14に係合連結されている。このリフレクタ14には、その前端縁の3箇所に、光軸Axに関して放射状に延びるタブ14dが形成されており、これら各タブ14dにエイミングナット34が装着されている。
このようにリフレクタ14の前端縁にタブ14dが形成された構成とすることにより、その外側表面14bでの全反射機能を確保した上で、これをヘッドランプ50の一部として構成することができる。