JP4458705B2 - 複動式ピストン過給機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一体に作動する一対のピストンをシリンダブロックに形成した共通のシリンダに摺動自在に支持し、シリンダブロックの両端に結合した一対のシリンダヘッドと一対のピストンとの間に形成した一対の圧縮室を過給バルブを介してエンジンの燃焼室に接続した複動式ピストン過給機に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる複動式ピストン過給機は、特開2000−87754号公報により公知である。またエアクリーナと吸気弁とを接続する吸気通路にスクリューポンプ式の過給機を備えたエンジンにおいて、過給機と吸気ポートとの間に蓄圧室(リザーバ)を配置するとにより過給圧の脈動を防止するものが、特公昭56−10451号公報により公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特開2000−87754号公報に記載されたものは、過給機のシリンダブロックの両端に形成した一対の圧縮室を180°の位相差をもって交互に作動させて過給圧の脈動を緩和しているが、圧縮室とエンジンとの間に蓄圧室を備えていないので過給圧の脈動を充分に防止することが難しかった。また上記特公昭56−10451号公報に記載されたものは、過給機のケーシングと蓄圧室とが別部材で構成されているため、部品点数が増加して吸気系をコンパクトに構成するのが難しくなるという問題があった。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、蓄圧室を備えた複動式ピストン過給機の部品点数をできるだけ削減することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、一体に作動する一対のピストンをシリンダブロックに形成した共通のシリンダに摺動自在に支持し、シリンダブロックの両端に結合した一対のシリンダヘッドと一対のピストンとの間に形成した一対の圧縮室を過給バルブを介してエンジンの燃焼室に接続した複動式ピストン過給機において、前記一対の圧縮室に連なる蓄圧室を、前記一対のシリンダヘッドの少なくとも一方の内部に形成したことを特徴とする複動式ピストン過給機が提案される。
【0006】
上記構成によれば、複動式ピストン過給機のシリンダブロックの端部に結合したシリンダヘッドの内部に蓄圧室を形成したので、蓄圧室を過給機本体に対して別体に設ける場合に比べて部品点数の削減および寸法の小型化が可能になるだけでなく、圧縮室および蓄圧室を過給機本体の外部に配置したパイプで連通させる必要がなくなるため、パイプそのものと該パイプのシール部材とが不要になって部品点数や組付工数が更に削減される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記一方のシリンダヘッドがアルミダイキャスト製であることを特徴とする複動式ピストン過給機が提案される。
【0008】
上記構成によれば、過給機のシリンダヘッドをアルミダイキャストで形成したので、生産性の向上およびコストの削減が可能になる。
【0009】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記蓄圧室を、前記一方のシリンダヘッドと該シリンダヘッドに結合したヘッドカバーとにより区画したことを特徴とする複動式ピストン過給機が提案される。
【0010】
上記構成によれば、蓄圧室をシリンダヘッドと該シリンダヘッドに結合したヘッドカバーとにより区画したので、簡単な構造で蓄圧室を構成することができる。
【0011】
尚、実施例の第2ヘッドカバー51Lは本発明のヘッドカバーに対応し、実施例の第1シリンダヘッド60Uおよび第2シリンダヘッド60Lは本発明のシリンダヘッドに対応し、実施例の第1ピストン62Uおよび第2ピストン62Lは本発明のピストンに対応し、実施例の第1圧縮室69Uおよび第2圧縮室69Lは本発明の圧縮室に対応する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図13は本発明の第1実施例を示すもので、図1はエンジンの縦断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図2の3−3線矢視図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図3の5−5線断面図、図6は図3の6−6線矢視図、図7は図3の7−7線矢視図、図8は図3の8−8線矢視図、図9は図4および図5の9−9線断面図、図10は図3の10−10線断面図、図11は弁板およびリード弁の分解斜視図、図12は過給機の作用を示す、前記図4に対応する図、図13は過給機の作用を示す、前記図5に対応する図である。
【0014】
図1および図2に示すように、単気筒4サイクルエンジンEの外郭は、クランクケース11と、シリンダブロック12と、シリンダヘッド13と、ヘッドカバー14とで構成されており、クランクケース11に一対のボールベアリング15,15で支持したクランクシャフト16と、シリンダスリーブ17に摺動自在に嵌合するピストン18とが、コネクティングロッド19を介して相互に連結される。シリンダヘッド13に燃焼室20に連通する吸気ポート21、排気ポート22および過給ポート23が形成されており、それら吸気ポート21、排気ポート22および過給ポート23がそれぞれ吸気バルブ24、排気バルブ25および過給バルブ26により開閉される。
【0015】
シリンダヘッド13の中央部には1本のカムシャフト27が一対のボールベアリング28,28を介して支持されており、そのカムシャフト27の一端に固定した従動スプロケット29と、クランクシャフト16に固定した駆動スプロケット30とがタイミングチェーン31を介して接続される。クランクケース11には、タイミングチェーン31に張力を与えるためのテンションスプロケット32が設けられる。シリンダヘッド13に固定した吸気ロッカーシャフト33および排気ロッカーシャフト34に、それぞれ吸気ロッカーアーム35および排気ロッカーアーム36の中間部が揺動自在に支持される。吸気ロッカーアーム35の一端はカムシャフト27に設けた吸気カム37に当接し、他端に設けたアジャストスクリュー38が吸気バルブ24のステムエンドに当接する。また排気ロッカーアーム36の一端はカムシャフト27に設けた排気カム39に当接し、他端に設けたアジャストスクリュー40が排気バルブ25のステムエンドに当接する。また過給バルブ26は、カムシャフト27に設けた過給カム41により直接的に駆動される。
【0016】
而して、クランクシャフト16の回転が駆動スプロケット30、タイミングチェーン31および従動スプロケット29を介して伝達されるカムシャフト27がクランクシャフト16の2分の1の回転数で回転すると、カムシャフト27に設けた吸気カム37により吸気ロッカーアーム35を介して吸気バルブ24が開閉駆動されるとともに、カムシャフト27に設けた排気カム39により排気ロッカーアーム36を介して排気バルブ25が開閉駆動され、更にカムシャフト27に設けた過給カム41により過給バルブ26が開閉駆動される。過給バルブ26は例えば吸気行程の末期に短期間だけ開弁し、圧縮された空気を燃焼室20の供給してエンジンEの出力を向上させる。
【0017】
次に、燃焼室20に供給する空気を加圧するための過給機Cの構造を、図3〜図11を併せて参照しながら説明する。
【0018】
過給機CはエンジンEのシリンダヘッド13に支持したカムシャフト27の一端側の側面(従動スプロケット29と反対側の側面)に支持されるもので、カムシャフト27の一端に同軸にスプライン結合されたクランクシャフト52を備える。クランクシャフト52を一対のボールベアリング53,53を介して支持するシリンダブロック54は、クランクシャフト52の軸線を含む平面で上側の第1シリンダブロック半体55Uと、下側の第2シリンダブロック半体55Lとに分割されており、カムシャフト27寄りのボールベアリング53の外側にシール部材56(図4および図5参照)が挟持される。
【0019】
第1シリンダブロック半体55Uの上面に、薄い金属板で形成された第1吸入リードバルブ57Uと、金属板よりなる第1弁板58Uと、薄い金属板で形成された第1排出リードバルブ59Uと、第1シリンダヘッド60Uと、第1ヘッドカバー51Uとが積層され、第2シリンダブロック半体55Lの下面に、薄い金属板で形成された第2吸入リードバルブ57Lと、金属板よりなる第2弁板58Lと、薄い金属板で形成された第2排出リードバルブ59Lと、第2シリンダヘッド60Lと、第2ヘッドカバー51Lとが積層される。そして上方から挿入される4本のボルト61…で、第1ヘッドカバー51U、第1シリンダヘッド60U、第1排出リードバルブ59U、第1弁板58U、第1吸入リードバルブ57U、第1シリンダブロック半体55U、第2シリンダブロック半体55L、第2吸入リードバルブ57L、第2弁板58L、第2排出リードバルブ59L、第2シリンダヘッド60Lおよび第2ヘッドカバー51Lが共締めされる。第1シリンダヘッド60Uおよび第2シリンダヘッド60Lはアルミダイキャストにより成形される。
【0020】
シリンダブロック54に形成したシリンダ54a内部に、スカート部62aを介して一体に形成された上側の第1ピストン62Uおよび下側の第2ピストン62Lが摺動自在に嵌合する。クランクシャフト52に設けたクランクピン63と第1ピストン62Uに支持したピストンピン64とがコネクティングロッド65を介して連結される。クランクピン63とコネクティングロッド65の大端部との間にはニードルベアリング66が配置され、ピストンピン64とコネクティングロッド65の小端部との間にはニードルベアリング67が配置される。第1ピストン62Uおよび第2ピストン62Lのスカート部62aが偏心回転するクランクピン63と干渉しないように、スカート部62aにはクランクピン63が貫通する開口68(図4および図5参照)が形成される。
【0021】
而して、カムシャフト27に直結された過給機Cのクランクシャフト52が回転すると、クランクピン63、コネクティングロッド65およびピストンピン64を介して第1ピストン62Uが駆動され、これと同時に第1ピストン62Uにスカート部62aを介して接続された第2ピストン62Lが駆動される。このとき、第1ピストン62Uおよび第2ピストン62Lは180°位相がずれた状態で同期して往復動する。
【0022】
第1ピストン62Uの頂面と第1弁板58Uとの間に第1圧縮室69U(図12および図13参照)が区画され、第2ピストン62Lの頂面と第2弁板58Lとの間に第2圧縮室69L(図4および図5参照)が区画される。また第1弁板58Uと第1ヘッドカバー51Uとに挟まれた第1シリンダヘッド60Uの内部に第1吸入室70Uおよび排出室71Uが区画され、第2弁板58Lと第2ヘッドカバー51Lとに挟まれた第2シリンダヘッド60Lの内部に第2吸入室70Lおよび蓄圧室71Lが区画される。第1吸入室70Uおよび排出室71Uは、第1弁板58Uおよび第1シリンダヘッド60U間に挟持されたシール部材72Uと、第1シリンダヘッド60Uおよび第1ヘッドカバー51U間に挟持されたシール部材73Uとによりシールされ、第2吸入室70Lおよび蓄圧室71Lは、第2弁板58Lおよび第2シリンダヘッド60L間に挟持されたシール部材72Lと、第2シリンダヘッド60Lおよび第2ヘッドカバー51L間に挟持されたシール部材73Lとによりシールされる。
【0023】
第1吸入室70Uおよび第2吸入室70Lはシリンダブロック54の外部に配置されたパイプよりなる吸入ポート74で相互に連通し、排出室71Uおよび蓄圧室71Lはシリンダブロック54の外部に配置されたパイプよりなる排出ポート75で相互に連通する。吸入ポート74が第1シリンダヘッド60Uおよび第2シリンダヘッド60Lに嵌合する部分は、それぞれシール部材76U,76Lでシールされ、排出ポート75が第1シリンダヘッド60Uおよび第2シリンダヘッド60Lに嵌合する部分は、それぞれシール部材77U,77Lでシールされる。
【0024】
第1シリンダヘッド60Uおよび第2シリンダヘッド60Lは実質的に同じ水平断面形状を有しているが、第2シリンダヘッド60Lの高さは第1シリンダヘッド60Uの高さよりも高いため、第2吸入室70Lの容積は第1吸入室70Uの容積よりも大きくなり、蓄圧室71Lの容積は排出室71Uの容積よりも大きくなる。第1吸入室70Uは継ぎ手78を介して図示せぬエアクリーナに連通し、また排出室71Uは継ぎ手79を介して過給ポート23(図2参照)に連通する。
【0025】
図11には第1吸入リードバルブ57U、第1弁板58Uおよび第1排出リードバルブ59Uの形状が示される。第1弁板58Uには、4本のボルト61…のうちの対角位置にある2本のボルト61,61が貫通する2個のボルト孔58a,58aと、対角位置にある他の2本のボルト61,61が貫通する2個のノックピン孔58a′,58a′と、吸入ポート連通孔58bと、排出ポート連通孔58cと、4個の吸入孔58d…と、6個の排出孔58e…とが形成される。第1吸入リードバルブ57Uには、4本のボルト61…のうちの対角位置にある2本のボルト61,61が貫通する2個のボルト孔57a,57aと、対角位置にある他2本のボルト61,61が貫通する2個のノックピン孔57a′,57a′と、半径方向内向きに延びる4個の吸入リード57b…とが形成される。第1排出リードバルブ59Uには、4本のボルト61…のうちの対角位置にある2本のボルト61,61が貫通する2個のボルト孔59a,59aと、対角位置にある他の2本のボルト61,61が貫通する2個のノックピン孔59a′,59a′と、円弧状に形成された2個の排出リード59b,59bとが形成される。
【0026】
第1吸入リードバルブ57U、第1弁板58Uおよび第1排出リードバルブ59Uを積層したとき、第1吸入リードバルブ57Uの4個の吸入リード57b…の先端部が第1弁板58Uの4個の吸入孔58d…の下面に当接可能に対向し、第1排出リードバルブ59Uの2個の排出リード59d,59dが第1弁板58Uの6個の排出孔58e…のうちの各3個の上面にそれぞれ当接可能に対向する。排出リード59b,59bが上方に撓んで排出孔58e…を開放したとき、排出リード59b,59bの中間部は第1シリンダヘッド60Uのストッパ60a,60a(図5参照)に当接する。
【0027】
尚、第2吸入リードバルブ57L、第2弁板58Lおよび第2排出リードバルブ59Lの形状は、第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lの結合面に対して、第1吸入リードバルブ57U、第1弁板58Uおよび第1排出リードバルブ59Uの形状と面対称であるため、重複する説明は省略する。但し、第2吸入リードバルブ57L、第2弁板58Lおよび第2排出リードバルブ59Lは、各2個のノックピン孔57a′,57a′;58a′,58a′;59a′,59a′を備えておらず、各4個のボルト孔57a…,58a…,59a…を備えている点で異なっている。
【0028】
過給機Cを組み立てる4本のボルト61…のうち、対角位置にある2本のボルト61,61の外周には後述するノックピンが嵌合する。前記対角位置にある2本のボルト61,61のうちの1本が図10に示される。該ボルト61は、第1ヘッドカバー51Uのボルト孔51aと、第1シリンダヘッド60Uのボルト孔60bと、第1排出リードバルブ59Uのノックピン孔59a′と、第1弁板58Uのノックピン孔58a′と、第1吸入リードバルブ57Uのノックピン57a′と、第1シリンダブロック半体55Uのボルト孔55aと、第2シリンダブロック半体55Lのボルト孔55aと、第2吸入リードバルブ57Lのボルト孔57aと、第2弁板58Lのボルト孔58aと、第2排出リードバルブ59Lのボルト孔59aと、第2シリンダヘッド60Lのボルト孔60bと、第2ヘッドカバー51Lのボルト孔51aとを貫通してナット80で締結される。
【0029】
第1シリンダブロック半体55Uのボルト孔55aの下端および上端のそれぞれに、該ボルト孔55aよりも大径のノックピン孔55b,55cが形成される。また第1シリンダヘッド60Uのボルト孔60bの下端に該ボルト孔60bよりも大径のノックピン孔60cが形成される。更に第2シリンダブロック半体55Lのボルト孔55aは前記第1シリンダブロック55Uのノックピン孔55bよりも大径であり、その上端に該ボルト孔55aよりも小径のノックピン孔55bが形成される。
【0030】
そして第1シリンダブロック半体55Uの下端のノックピン孔55bと、第2シリンダブロック半体55Lの上端のノックピン孔55bとにノックピン81が圧入により嵌合し、第1シリンダヘッド60Uの下端のノックピン孔60cと、第1排気リードバルブ59Uのノックピン孔59a′と、第1弁板58Uのノックピン孔58a′と、第1吸気リードバルブ57Uのノックピン孔57a′と、第1シリンダブロック半体55Uの上端のノックピン孔55cとにノックピン82が圧入により嵌合する。
【0031】
第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lのノックピン孔55b,55bは、それら第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lを結合した状態で、第2シリンダブロック半体55Lの大径のボルト孔55aを通して同時加工される。このとき第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lに跨がるシリンダ54aも同時加工される。また第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lを位置決めするノックピン81は、第2シリンダブロック半体55Lの大径のボルト孔55aの下端から挿入されてノックピン孔55b,55bに圧入される。
【0032】
次に、上記構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0033】
エンジンEの運転に伴ってクランクシャフト16によりタイミングチェーン31を介してカムシャフト27が駆動されると、カムシャフト27に直結した過給機Cのクランクシャフト52が回転する。クランクシャフト52が回転するとコネクティングロッド65を介して第1、第2ピストン62U,62Lがシリンダ54a内を一体に上下動する。図4に示すように、第1、第2ピストン62U,62Lが上動するとき、第1ピストン62Uにより第1圧縮室69Uの容積が減少して圧力が上昇するため、第1排出リードバルブ59Uの排出リード59b,59bが上方に撓み、第1圧縮室69U内の空気が排出室71Uおよび排出ポート75を経て蓄圧室71Lに供給される。図5に示すように、これと同時に第2ピストン62Lにより第2圧縮室69Lの容積が増加して圧力が低下するため、第2吸入リードバルブ57Lの吸入リード57b…が上方に撓み、第1吸入室70Uの空気が吸入ポート74および第2吸入室70Lを経て第2圧縮室69Lに供給される。
【0034】
クランクシャフト52が更に回転して第1、第2ピストン62U,62Lがシリンダ54a内を一体に下動するとき、図13に示すように、第1ピストン62Uにより第1圧縮室69Uの容積が増加して圧力が低下するため、第1吸入リードバルブ57Uの吸入リード57b…が下方に撓み、第1吸入室70U内の空気が第1圧縮室69Uに供給される。図12に示すように、これと同時に第2ピストン62Lにより第2圧縮室69Lの容積が減少して圧力が増加するため、第2排出リードバルブ59Lの排出リード59b,59bが下方に撓んで第2圧縮室69L内の空気が蓄圧室71Lに供給される。
【0035】
このようにして、第1、第2ピストン62U,62Lの往復動に伴って吸入された空気は第1、第2圧縮室69U,69Lで交互に圧縮されて蓄圧室71Lに蓄圧される。そして過給バルブ26が開弁した瞬間に、蓄圧室71Lの高圧の空気は、排気ポート75、排出室71U、過給ポート23および過給バルブ26を経て燃焼室20に供給され、エンジンEの出力を増加させる。第1、第2ピストン62U,62Lの位相が180°ずれているため、過給圧の脈動を減少させることができ、更に蓄圧室71Lが圧力緩衝作用を発揮することで、過給圧の脈動を更に効果的に減少させることができる。
【0036】
以上のように、過給機Cの第2シリンダヘッド60Lの内部に蓄圧室71Lを一体に形成したので、その蓄圧室71Lを過給機Cの本体部と別体に構成した場合に必要となるパイプの取りまわしやパイプの接続部のシールが不要になり、部品点数および組付工数を減少させることができる。また第1、第2吸入室70U,70L、排出室71Uおよび蓄圧室71Lを構成する第1、第2シリンダヘッド60U,60Lをアルミダイキャストで形成したので、生産性の向上およびコストの削減が可能になる。しかも前記第1、第2吸入室70U,70L、排出室71Uおよび蓄圧室71Lを、第1、第2シリンダヘッド60U,60Lに第1、第2ヘッドカバー51U,51Lを結合して閉塞したので、簡単な構造で第1、第2吸入室70U,70L、排出室71Uおよび蓄圧室71Lを区画することができる。
【0037】
ところで、本実施例の過給機Cはシリンダブロック54を第1シリンダブロック半体55Uおよび第2シリンダブロック半体55Lに2分割しているため、それら第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lを精度良く結合しないと、シリンダ54aの上部および下部の軸線にずれが生じて異常摩耗が発生する虞がある。しかしながら、図10に示すように、第1シリンダブロック半体55Uの下端のノックピン孔55bと第2シリンダブロック半体55Lの上端のノックピン孔55bとは、第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lを一体に結合した状態で、第2シリンダブロック半体55Lの大径のボルト孔55aからドリルを挿入して同時加工されるので、その加工精度が高められる。しかも前記両ノックピン孔55b,55bにノックピン81が圧入により嵌合するので、第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lを更に高い精度で組み立てることができる。
【0038】
更に、第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lの内部に形成されるシリンダ54aも、それら第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lを一体に結合した状態で同時加工されるので、第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lを組み立てたときにシリンダ54aの上部および下部の同軸性が確保され、第1、第2ピストン62U,62Lとの摺動部の異常摩耗を防止することができる。
【0039】
また過給機Cの組み立てに際し、予め組み立てた第1、第2ピストン62U,62L、コネクティングロッド65およびクランクシャフト52を第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lの内部に組み込んだ後に、第2シリンダブロック半体55Lの大径のボルト孔55aからノックピン81を挿入して第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lのノックピン孔55b,55bに圧入することができる。これにより、第1、第2ピストン62U,62L、コネクティングロッド65およびクランクシャフト52を第1、第2シリンダブロック半体55U,55Lの内部に仮保持した状態で、ノックピン孔55b,55bにノックピン81の両端を嵌合させる面倒な作業が不要になり、組付作業性が大幅に向上する。
【0040】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0041】
例えば、実施例では第2シリンダヘッド60Lの高さを高くして内部に蓄圧室71Lを構成しているが、第1シリンダヘッド60Uの高さを高くして内部に蓄圧室を構成することができ、更に第1、第2シリンダヘッド60U,60Lの両方に蓄圧室を構成することもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、複動式ピストン過給機のシリンダブロックの端部に結合したシリンダヘッドの内部に蓄圧室を形成したので、蓄圧室を過給機本体に対して別体に設ける場合に比べて部品点数の削減および寸法の小型化が可能になるだけでなく、圧縮室および蓄圧室を過給機本体の外部に配置したパイプで連通させる必要がなくなるため、パイプそのものと該パイプのシール部材とが不要になって部品点数や組付工数が更に削減される。
【0043】
また請求項2に記載された発明によれば、過給機のシリンダヘッドをアルミダイキャストで形成したので、生産性の向上およびコストの削減が可能になる。
【0044】
また請求項3に記載された発明によれば、蓄圧室をシリンダヘッドと該シリンダヘッドに結合したヘッドカバーとにより区画したので、簡単な構造で蓄圧室を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの縦断面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3−3線矢視図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】図3の5−5線断面図
【図6】図3の6−6線矢視図
【図7】図3の7−7線矢視図
【図8】図3の8−8線矢視図
【図9】図4および図5の9−9線断面図
【図10】図3の10−10線断面図
【図11】弁板およびリード弁の分解斜視図
【図12】過給機の作用を示す、前記図4に対応する図
【図13】過給機の作用を示す、前記図5に対応する図
【符号の説明】
20 燃焼室
26 過給バルブ
51L 第2ヘッドカバー(ヘッドカバー)
54 シリンダブロック
54a シリンダ
60U 第1シリンダヘッド(シリンダヘッド)
60L 第2シリンダヘッド(シリンダヘッド)
62U 第1ピストン(ピストン)
62L 第2ピストン(ピストン)
69U 第1圧縮室(圧縮室)
69L 第2圧縮室(圧縮室)
71L 蓄圧室
Claims (3)
- 一体に作動する一対のピストン(62U,62L)をシリンダブロック(54)に形成した共通のシリンダ(54a)に摺動自在に支持し、シリンダブロック(54)の両端に結合した一対のシリンダヘッド(60U,60L)と一対のピストン(62U,62L)との間に形成した一対の圧縮室(69U,69L)を過給バルブ(26)を介してエンジン(E)の燃焼室(20)に接続した複動式ピストン過給機において、
前記一対の圧縮室(69U,69L)に連なる蓄圧室(71L)を、前記一対のシリンダヘッド(60U,60L)の少なくとも一方の内部に形成したことを特徴とする複動式ピストン過給機。 - 前記一方のシリンダヘッド(60L)がアルミダイキャスト製であることを特徴とする、請求項1に記載の複動式ピストン過給機。
- 前記蓄圧室(71L)を、前記一方のシリンダヘッド(60L)と該シリンダヘッド(60L)に結合したヘッドカバー(51L)とにより区画したことを特徴とする、請求項1に記載の複動式ピストン過給機。
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JP2001104125A JP4458705B2 (ja) | 2001-04-03 | 2001-04-03 | 複動式ピストン過給機 |
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