JP4457355B2 - 海藻の迅速塩漬方法および該塩漬方法により製造した塩蔵海藻 - Google Patents

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本発明は、ワカメ(メカブを含む)、コンブ、マツモ、ノリ、モズク、アカモク、ヒトエグサ、ヒジキ等の生海藻ないし加熱処理した海藻を塩漬する場合において、塩の浸透速度を向上させて塩漬時間を大幅に短縮させることを可能とする海藻の迅速塩漬方法および該塩漬方法により製造した塩蔵海藻に関する。
岩手県は養殖ワカメ生産量全国第1位であり、第2位の宮城県と合わせて、約3万トン程度が生産されて国内生産量の約半分を占め、肉厚で弾力がある三陸ワカメとしてブランド化されている。岩手県では、そのほとんどが湯通し塩蔵ワカメに加工されており、主力製品となっている。湯通し塩蔵加工は、昭和40年代から現在まで継続している伝統的な製法である。また、コンブの養殖が盛んになるとワカメと同様に乾燥品や生塩蔵品から湯通し塩蔵品が多く見られるようになった。
ワカメやコンブの湯通し塩蔵加工法は、海藻の長期保存には最適な方法であり、比較的簡易な方法で製造できることから、三陸沿岸では漁業者自ら加工する事例が多く見られる。
湯通し塩蔵ワカメおよびコンブの一般的な製造原理を説明すると、海藻を海水の湯(90℃程度)で30〜60秒間湯通しし、海水で速やかに10℃位まで冷却し、軽く脱水後、海藻重量の約40%の塩と海藻を塩からめ機でからめたものを、塩漬タンクに堆積させ、海藻から滲出する液中で12〜48時間程度(1〜2昼夜程度)塩漬し、その後、脱水することにより湯通し塩蔵品は製造されている。なお、ワカメの場合は、脱水後さらに芯抜き工程が追加される。
この塩漬方法では、海藻は塩分の浸透により海藻から脱水されて生じた滲出液に浸っている状態である。通常の塩漬タンクの内部は、塩をからめられた数百キロの海藻が重なっている状態であり、体積にして海藻と滲出液の割合は、8:2〜9:1程度となり、海藻の体積は滲出液よりも圧倒的に多いため、海藻全体を動かす攪拌等の作業は現状では不可能である。また、ワカメと塩をからめてから塩漬タンクに入れると、滲出液が生じるのは最低でも数十分かかり、塩粒が完全に溶けて海藻に浸透するには多くの時間を要している。さらに、塩漬時間が長いと海藻の緑色色素の日光等の影響による分解も懸念されている。
1990年代になると、塩漬後の海藻表面に付着した塩の粒子を洗い落とす作業をなくし、生産効率を向上させることを目的として、塩漬タンク内に溜まった滲出液を底部からポンプで汲み上げ、滲出液中に堆積している海藻の上面等に対してシャワー状に散布しながら塩漬する塩水の循環装置(例えば、特許文献1参照。)が登場した。
海藻を海水の湯で湯通しすることは、海藻中に存在する自己消化酵素等の酵素の働きを停止させるためである。また、その後、冷海水温度まで速やかに冷却させるのは、海藻中の緑色色素の分解を防止するためである。なお、湯通し・水切り後の海藻重量に対して40%程度の塩をからめて塩漬するのは、塩漬・脱水後の湯通し塩蔵海藻中の塩分濃度を18%以上にするためであり、湯通し塩蔵ワカメおよびコンブでは塩分が15%以下もしくは水分活性Awが0.8以上になると、貯蔵中に微生物の繁殖等のため海藻の緑色が黄褐色になる変色、藻体の軟化、カビの付着等の品質劣化が生じやすくなる。
漁業者による自家加工が多い三陸地域では、湯通し塩蔵ワカメやコンブの製品の中には水分が多いものや、塩分が少ないなど、製品によりバラツキが見られる。漁協等から出荷された後、製品を購入した加工業者等から褪色等のクレームがしばしば発生している。
変色の原因は、先に述べたように、湯通し温度または湯通し時間の過不足、湯通し後の冷却の不足、塩蔵製品の脱水不足、製品の塩分の不足、保管温度や保管場所等の問題に加え、生育場所の栄養塩の不足や水温異常による原藻の生理活性の低下や生育不良等が考えられている。しかし、基本的には塩分の不足が変色等の品質劣化の原因となる場合が多い。
現在の塩漬方法は、湯通し後に水切りした海藻と粉砕塩等の塩を塩からめ機でまぶしてから、タンク中で塩漬するのが一般的である。しかし、この時に用いる塩の量は漁業者や生産者によって異なっており、この塩からめ工程の部分で製品の塩分がある程度決定されてしまうため、現行の塩漬方法では塩分不足の製品が生じる危険性が高く、保存性に優れた満足のいく製品を安定的に製造することは出来なかった。
特公平7−112423号 公報
岩手県や宮城県沿岸の三陸地域では、近年、ワカメやコンブ等の養殖漁家は、高齢化や後継者の不足等の影響により、経営体数は年々減少し、機械化や協業化、生産や販売方法、漁協や漁連等の様々な見直しが進められている。しかし、湯通し塩蔵ワカメやコンブの製造は、一部では漁協や加工業者による大規模な工業的生産が行われているものの、大半は漁業者とその家族等による小規模な自家加工によるものであり、労力を削減させる加工機械の開発は急務となっている。
湯通し塩蔵ワカメおよび生ワカメの芯除去装置や塩漬タンク内に生じた滲出液由来の塩水を循環させる塩水循環装置、海藻に塩を均一にからめる塩からめ機、コンブ表面に付着した異物を除去する洗浄機など、湯通し塩蔵ワカメやコンブの生産効率を向上させるために多くの機械が考案されたものの、塩漬工程の部分は、塩からめ機や塩水循環装置以外には類例がない。
塩水循環装置を用いた場合、塩漬タンク内の海藻は厚く堆積しているため、塩水循環装置の取水口および排出口付近の海藻の一部は、散布により生じた弱い水流に漂う程度であり、堆積している海藻の中心部に対して、その水流の影響はほとんど見られなかった。
よって、特許文献1に記載される塩水循環装置を用いても、堆積した海藻への塩分の浸透は早い部分と遅い部分が混在するため、塩分は不均一となり、均一に塩漬するには、塩が完全に溶解してからポンプを停止させ、最低でも6時間から1昼夜程度塩漬させる必要があるため、塩漬時間の大幅な短縮は実現していない。あくまでも塩水循環装置とは海藻に付着した塩粒を完全に溶解させるための補助装置と定義されるものであり、1トンのワカメを塩漬する場合、滲出液中の塩が完全に溶解するには、塩水循環装置を用いても2時間から3.5時間を要すると上記特許公報明細書に記載されている。このようなことから、上記記載の塩水循環装置は塩漬時間の迅速化を目的としたものではないことが明白であり、装置の普及率はあまり高くはない。
発明者は、ワカメの葉厚のほとんどが2ミリ以下で薄いにもかかわらず、芯付きワカメを塩水にただ静止状態で浸しておいても、葉には塩が浸透しにくいこと実験から明らかにした。
海藻の迅速塩漬方法の確立は、高齢化や後継者不足に悩む漁業者や低コスト化を追求する加工業者等に対しての貢献度および影響度は非常に大きくなるものと予測される。現行の生産システムでは、湯通し塩蔵ワカメ等は、その日のうちに最終製品まで連続的に生産することは不可能であったが、本発明により連続生産可能な新しい生産システムが構築される。
本発明は、上記のような社会情勢や加工現場における製造上の問題点等を鑑みて為されたもので、ワカメ(メカブを含む)、コンブ、マツモ、ノリ、モズク、アカモク、ヒトエグサ等の生海藻ないし加熱処理した海藻を塩漬する場合において、塩の浸透速度を向上させて塩漬時間を大幅に短縮させることを目的とする。さらに、海藻塩蔵品の塩分の均一化による品質と信頼性と保存性の向上、塩からめ機が不要になることと塩漬タンク数を減らせることによる低コスト化および加工施設の省スペース化を可能にすることを目的とすることである。
本発明の海藻の迅速塩漬方法にあっては、このような目的を達成するため、海藻を投入しても飽和状態が維持される飽和塩水を予め調製しておき、飽和塩水に海藻を投入し、水流、攪拌、振動、衝撃等の単独またはそれらの組み合わせによる物理的な力により、前記飽和塩水内で投入した前記海藻全体を強制的に運動させることで、迅速かつ均一に海藻に塩分を浸透させる構成としている。
前記海藻は、生ないし加熱処理した海藻であることを特徴としており、本発明の海藻の迅速塩漬方法により、塩分が均一なことを特徴とする塩蔵海藻を容易に製造することができる。
本発明では、海藻を滲出液の中に漬け込むのではなく、予め別途調製した海藻を投入しても飽和状態が維持される飽和塩水で海藻全体を強制的に運動させて塩漬することにより、海藻に塩分を均一かつ迅速に浸透させることが可能である。
本発明に用いる飽和塩水は、海藻を投入しても塩分濃度約26%の飽和状態が維持される飽和塩水であることを特徴としており、塩漬時間の加減により、海藻塩蔵品を好みの塩分に調整できる。
例えば、塩漬時の塩水の塩分濃度を常に過飽和状態にすることで、常に飽和塩水に海藻が漬け込まれることとなり、常に一定塩分の海藻塩蔵製品を迅速に製造できる。飽和塩水水中であれば、30分〜1時間程度で海藻に塩分を浸透させることができる。
塩漬時の海藻は、塩水中で静止状態、もしくは、自然の風や特許文献1に示した塩水循環装置等から生じる弱い水流に一部の海藻が漂う状態ではなく、水流、攪拌、振動、衝撃等の単独またはそれらの組み合わせによる物理的作用により、海藻全体を強制的に別途調製した海藻を投入しても飽和状態が維持される飽和塩水中で運動させて塩漬することにより、海藻への塩分の浸透速度が向上し、大幅に塩漬時間が短縮する。
上記の課題解決手段による作用は次の通りである。水流を発生させることにより海藻や飽和塩水を運動させたり、攪拌により海藻や飽和塩水を運動させたり、超音波などの振動や衝撃により海藻や飽和塩水を運動させたり、様々な物理的作用を与えることで、海藻全体は飽和塩水中で強制的に運動しながら塩漬されるため、塩は海藻内部に迅速かつ均一に浸透する。
本発明の海藻の迅速塩漬方法によれば、塩漬時間を従来の12〜48時間(ワカメの場合、特許文献1の塩水循環装置を用いても6〜12時間程度)から、予め調製した海藻を投入しても飽和状態が維持される飽和塩水中で海藻全体を強制的に運動させながら塩漬することにより、本発明では30分間〜1時間程度で迅速に塩分は浸透するので、従来の塩漬時間の6〜48分の1程度にまで大幅に確実に短縮され、従来製法では不可能であった原藻の収穫当日に最終製品まで製造することを可能とする。また、と湯通し後の海藻をからめる工程を省略でき、製造コストの大幅な削減を実現させる。
また、経験と勘による振り塩方式で海藻に塩を絡めることと、塩漬タンク中で海藻は静止状態で厚く堆積しているため滲出液の塩分濃度が不均一となることで、塩蔵海藻製品の塩分にバラツキを生じさせていたが、予め調製した海藻を投入しても飽和状態が維持される飽和塩水を用いることにより、塩蔵海藻製品の塩分は均一化され、塩分不足による製品の品質劣化を防止できるため、海藻塩蔵品の品質と信頼性と保存性を向上させることができる。
海藻全体を飽和塩水中で運動させるためには、塩水もしくは海藻、あるいはその両方に対して、水流、攪拌、振動、衝撃、圧力等の単独またはそれらの組み合わせによる様々な物理的作用を与えれば良い。
従来の製法では細心の注意を払いながら行われていた塩からめ機による塩からめ工程を省略することが可能となり、製造時間の短縮と製造コストを下げることができる。塩からめ機は不要となり、塩漬タンク数も大幅に減らすことができることから、製造施設の大幅な省スペース化を実現させる。
以下、本発明の実施の形態に係る海藻の迅速塩漬方法について、湯通し塩蔵ワカメおよびコンブの製造を例にして詳細に説明する。図1は、攪拌翼を付けた円形水槽中で海藻と塩水の両方を同時に攪拌する塩漬方法の工程を示す図であり、本発明における海藻の迅速塩漬方法の一例を示しており、海藻を全体的かつ強制的に運動させて塩漬していることを示している。また、本発明における海藻の迅速塩漬方法の例を模式図として図2、図3、図4に示している。これらの図は、攪拌、振動、衝撃等の物理的な力が海藻に作用していることを示している。図5は、従来の塩漬方法であり、海藻が静止状態で堆積しながら滲出液中で塩漬されていることを示しており、図6はその模式図である。図7は、特許文献1に記載の従来の塩水循環装置を用いた塩漬であり、海藻の一部は弱い水流に漂う程度であり、ほとんどの海藻は滲出液中でほぼ静止状態で塩漬されていることを示している。図8はその模式図である。
この場合、塩水中の塩分は常に過飽和状態が維持されていればよい。飽和塩水の塩分濃度は26%程度である。流通している湯通し塩蔵海藻の大半を占める塩分濃度18〜20%の製品にするには、この常に過飽和状態が維持されている飽和塩水を用いれば良い。製品の目標とする塩分より、塩漬に用いる塩水の濃度は高いほど塩漬時間は早くなるのは言うまでもない。
本発明の効果を容易に得るには、例えば、予め調製した海藻を投入しても飽和状態が維持される飽和塩水を入れた自動洗濯機のごとく攪拌機能を有する塩漬装置に、加熱処理して軽く水切りしたワカメを一緒に入れて攪拌しながら塩漬すると良い。すなわち、海藻は飽和塩水中で強制的に運動させられ、従来の滲出液中に静止状態でただ放置した場合とは明白に塩分の浸透速度が向上する。一方、飽和塩水にワカメを静止状態かもしくは30分間毎に手で撹拌しながら塩漬させた場合、塩漬時間は10時間以内に短縮することはできなかった。よって、特許文献1の塩水循環装置を用いても、海藻のほとんどは厚く堆積し静止したままなので、塩漬時間の短縮化は困難であると考えられた。
藻を飽和塩水中で塩漬する場合、水流、攪拌、振動、衝撃等の単独またはそれらの組み合わせによる様々な物理的作用を与え、海藻全体を強制的に運動させて塩漬できる仕様であれば、どのような装置や手段を用いてもいっこうにかまわない。
次に、本発明の実施例に係る湯通し塩蔵ワカメおよびコンブ製造における塩の浸透速度を向上させる塩漬方法について説明する。
全長1.5〜2.0mの新鮮なワカメを準備し、先枯れした部分や元茎を除去した原藻を、約90℃の海水で30〜60秒間ボイルし、約10℃の冷海水で5分間冷却し、軽く水を切ったものを試料とした。
塩分濃度約26%の飽和塩水約200Lを入れた攪拌型の塩漬水槽に、試料約20kgをメッシュ袋に入れて、飽和塩水中に投入して、攪拌翼を毎分21.5回転で攪拌させ、常に海藻全体が運動するような状態で塩漬を行った。また、対照として上記水槽の攪拌しない場合の塩漬(無撹拌塩漬)を行った。これは従来の海藻を滲出液中で静止状態のまま全く運動させずに塩漬する方法を想定したものであり、海藻のほんの一部にしか水流による運動を生じさせない特許文献1の塩水循環装置を用いた塩漬方法についても包含されるものである。
所定時間の塩漬を行ったあと、海藻を圧搾袋に入れ、圧搾機で100kgf/cmの力で加圧しながら30〜60分間の脱水を行った。試作湯通し塩蔵海藻の水分量はワカメで56〜58%、コンブで66〜68%とほぼ均一になるように脱水時間を加減した。試作した湯通し塩蔵ワカメの塩分、水分活性を測定し、塩の浸透の程度と保存性を評価した。塩分はモール法、水分活性は市販の水分活性計を用い、各々5回測定した。
測定結果を図9と図10に示した。また、参考までに漁協から出荷された湯通し塩蔵ワカメおよびコンブの水分と塩分を図11と図12に示した。漁協から出荷された湯通し塩蔵ワカメの水分は49〜63%、塩分は12〜24%、同様に漁協から出荷された湯通し塩蔵コンブの水分は64〜71%、塩分は18〜26%であり、製品によりバラツキが大きいことを示している。湯通し塩蔵ワカメ製品の水分活性は、本願発明者の研究により、0.750の値に近づく程保存性が良くなることがわかっており、0.800以上では湯通し塩蔵ワカメおよびコンブは、冷蔵庫での貯蔵中に微生物の繁殖等により、変色・軟化等の品質劣化する危険性が高くなることがわかっている。また、湯通し塩蔵ワカメおよびコンブの水分と塩分の比は、水分活性と正の高い相関(相関係数はそれぞれ、r=0.9441、r=0.7974)が認められ、塩分が少ない製品や、水分が多い製品の水分活性は高くなることがわかっている(図13と図14)。そこで、水分活性の値を見ることにより、その製品の保存性を評価できることから、そのことを考慮しながら結果を見ると、ワカメの場合、無攪拌塩漬では、図10に示すように、水分活性が0.760付近になるまでに48時間程度を要した。この無攪拌塩漬試験の結果は、湯通し塩蔵ワカメおよびコンブの現行の製法において、湯通し後の海藻に塩をからめ、塩水中で2昼夜塩漬している場合が多いことと一致している。
図9に示すように、無攪拌塩漬と比較すると、攪拌の効果は明白であり、無攪拌の場合は塩水中で約48時間を要したのが、飽和塩水を高速で攪拌させて海藻を運動させることにより1時間以内で十分に塩分が浸透していることが分かる。
本発明の実施例1と同様に湯通ししたコンブを用いて試験を行った結果、攪拌翼の速度を毎分21.5回転で高速攪拌させ、海藻全体を強制的に運動させながら塩漬した場合は、30分間程度の塩漬で十分塩分が浸透することが分かる(図15)。無攪拌塩漬の場合は、約18時間で水分活性が0.750付近となることが分かる(図16)。
実施例1と2から、飽和塩水を攪拌させることにより、塩分の浸透が大幅に向上することがわかる。つまり、飽和塩水もしくは海藻、あるいはその両方に対して、水流、攪拌、振動、衝撃等の単独またはそれらの組み合わせによる様々な物理的作用を与え、海藻全体を、飽和塩水中で強制的に運動させて塩漬することが塩分の浸透を速めることに非常に有効である。
海藻を強制的に運動させるには攪拌のみでも良いが、必要に応じ、上記のように飽和塩水もしくは海藻、あるいはその両方に対して、水流、振動、衝撃等の単独またはそれらの組み合わせにより、より一層効果的に塩分を海藻に浸透させる構成とした。塩分の浸透を確実に迅速化させることができ、湯通し塩蔵ワカメおよびコンブ等の各種海藻塩蔵製品を迅速にその日のうちに製造することができる。また、塩からめ機による塩からめ工程や塩漬後の海藻に付着した塩粒の洗い作業を省略できるので、製造時間の短縮と製造コストを下げることができる。さらに、塩漬タンクの数を大幅に減らせるので、製造施設の省スペース化も可能にする。
本発明の実施例1および2に係る海藻の迅速塩漬方法の工程を示す図である。 本発明による海藻を塩水中で攪拌させて塩漬したときの様子を上から見た模式図である。 本発明による海藻を塩水中で振動させて塩漬したときの様子を横から見た模式図である。 本発明による海藻を塩水中で不規則に運動させて塩漬する様子を横から見た模式図である。 従来の滲出液中で海藻を塩漬させる方法を示す図である。 従来の滲出液中で海藻を塩漬させる方法を横から見た模式図である。 従来の滲出液を循環させる塩水循環装置を用いた海藻の塩漬方法を示す図である。 従来の滲出液を循環させる塩水循環装置を用いた海藻の塩漬方法を横から見た模式図である。 本発明の実施例1に係る湯通ししたワカメを飽和塩水中で攪拌翼の回転数を毎分21.5回転で攪拌しながら塩漬した場合の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例1に係る湯通ししたワカメを飽和塩水中で攪拌せずに静止状態で塩漬した場合の結果を示すグラフ図である。 市販湯通し塩蔵ワカメ(漁協出荷品)の水分と塩分の測定結果を示すグラフ図である。 市販湯通し塩蔵コンブ(漁協出荷品)の水分と塩分の測定結果を示すグラフ図である。 従来の塩漬方法による市販湯通し塩蔵ワカメ(漁協出荷品)の水分/塩分の比と水分活性の測定結果を示すグラフ図である。 従来の塩漬方法による市販湯通し塩蔵コンブ(漁協出荷品)の水分/塩分の比と水分活性の測定結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例2に係る湯通ししたコンブを飽和塩水中で攪拌翼の回転数を毎分21.5回転で攪拌しながら塩漬した場合の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例2に係る湯通ししたコンブを飽和塩水中で攪拌せずに静止状態で塩漬した場合の結果を示すグラフ図である。
1 海藻
2 塩水
3 撹拌翼
4 脱水された海藻
5 重石
6 滲出液
7 板
8 滲出液の散布
9 循環ポンプ
10 吸水口

Claims (6)

  1. 海藻を投入しても飽和状態が維持される飽和塩水を予め調製しておき、前記飽和塩水に海藻を投入し、物理的な力により、前記飽和塩水内で投入した前記海藻全体を強制的に運動させることで、海藻へ塩浸透させることを特徴とする海藻の迅速塩漬方法。
  2. 前記塩漬する海藻が、生ないし加熱処理した海藻であることを特徴とする請求項1記載の海藻の迅速塩漬方法。
  3. 前記海藻を強制的に運動させる物理的な力は、水流、攪拌、振動、衝撃等の単独またはそれらの組み合わせであること特徴とする請求項1又は2記載の海藻の迅速塩漬方法。
  4. 塩漬時間が30分〜1時間程度であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の海藻の迅速塩漬方法。
  5. 前記海藻をメッシュ袋に入れてから前記飽和塩水中に投入して塩漬することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の海藻の迅速塩漬方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の塩漬方法により製造した塩蔵海藻。
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