JP4455334B2 - ポリヌクレオチド分子の融解温度(Tm)を推定するための方法および系 - Google Patents

ポリヌクレオチド分子の融解温度(Tm)を推定するための方法および系 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
米国特許法119(e)のもと、2002年9月12日に出願した米国仮特許出願第60/410,663号の優先権を主張し、その全内容はすべて参照として本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、核酸分子、特にオリゴヌクレオチド核酸(「オリゴマー」とも称される)の設計、解析、および/または評価に関する。本発明はまた、特定の使用または用途のための、核酸の設計、解析、および/または評価に関する。例えば、特定の態様において、本発明は、例えばPCRまたはマイクロアレイで使用するためのオリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーを設計する方法に関する。本発明はさらに、本発明の特定の方法を行うため、および/またはそのような方法を実施するためのコンピュータをプログラムするために使用し得るコンピュータシステムおよびコンピュータプログラム製品を含む系にも関する。
発明の背景
相補的な核酸間のハイブリダイゼーションは、DNA構造のワトソン-クリックモデルにおける絶対的特性であり、生物学的および生物医学的技術の多くの用途に利用されている。例えば、核酸分子を複製および/または増幅するための方法は実質的にすべて、相補的なオリゴヌクレオチド(典型的に「プライマー」と称される)が「標的」核酸分子のある部分にハイブリダイズする段階によって開始される。次いでポリメラーゼが、標的核酸を「鋳型」として使用し、プライマーから相補的核酸を合成する。Kleppeら、J. Mol. Biol. 1971, 56:341-361を参照されたい。
ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)として知られる1つの特定の用途は、様々な生物学的および医学的技術において広く用いられている。説明に関しては、Saikiら、Science 1985, 230:1350-1354を参照されたい。PCRでは、標的核酸およびその相補的配列の別の領域にハイブリダイズする2つまたはそれ以上のプライマーを使用する。次に、標的核酸およびその相補鎖の複製が複数回行われるように、試料を、相補鎖を繰り返しハイブリダイズし解離する複数サイクルの加熱および冷却に供する。結果として、初期量がごく微量の標的核酸であっても、次の使用(例えば、検出、配列決定等)のために莫大に増加または「増幅」され得る。
多重PCRとは、いくつかの異なるプライマーを用いて、試料中の複数の異なる核酸 - 通常10〜100個の異なる標的核酸を増幅および検出する特殊なPCRである。したがってこの技法により、単一の試料において、多くの異なる核酸を同時に増幅し、同時に評価することが可能になる。この技法により提供される高処理、高速、および高効率という膨大な利点によって、多重PCRは次第に普及した。しかし、PCRプライマーを選択および/または設計する既存のコンピュータプログラムには誤りがあるため、多重PCRの成功の達成は通常は実験的試験を含む。多重PCRでは、誤りが付加されていき、したがって若干の試行錯誤なしには良好な結果はほとんど達成されない。Markouatosら、J. Clin. Lab Anal. 2002, 16(1):47-51;Henegarinら、Biotechniques 1997, 23(3):504-11。
生物学的および医学的技術において広く用いられている他の技法では、試料中の標的核酸配列を検出するために、核酸ハイブリダイゼーションを利用する。例えば、Southern, J. Mol. Biol. 1975, 98:503-517;Denhardt, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1966, 23:641-646;MeinhothおよびWahl、Anal. Biochem. 1984, 138:267-284を参照されたい。例えば、試料中の核酸分子を固相表面または固相支持体(例えば、膜支持体)に固定化するサザンブロッティングおよび類似の技法が、長い間用いられている。次に、1つまたは複数の相補的核酸(核酸「プローブ」と称される場合が多い)を接触させ、表面または支持体上の核酸分子へのそのハイブリダイゼーションを検出することにより(例えば、プローブ上の何らかの検出可能な標識によって生じるシグナルを介して)、関心対照の標的核酸分子を検出し得る。
1つまたは複数の核酸プローブを固相表面または固相支持体に固定化し、核酸分子の試料をそれに対してハイブリダイズさせる同様の技法もまた周知である。例えば核酸アレイは周知であり、当技術分野において次第に普及している。例えば、DeRisiら、Science 1997, 278:680-686;Schenaら、Science 1995, 270:467-470;およびLockhartら、Nature Biotech. 1996, 14:1675を参照されたい。また、1996年4月23日に公表された、Fodorらの米国特許第5,510,270号も参照されたい。核酸アレイは典型的に、表面または支持体の所定の位置にそれぞれ固定化された、複数(多くの場合、数百ないしさらに何千)の異なるプローブを含む。次に、好ましくは検出可能に標識した核酸の試料(例えば、mRNA試料またはそれに由来するcDNAもしくはcRNAの試料)をアレイに接触し得り、例えばアレイ上のそれぞれのプローブの位置において標識核酸を検出することにより、異なるプローブへのそれら核酸のハイブリダイゼーションを評価し得る。したがって、核酸アレイを用いるハイブリダイゼーション技法は、アレイの異なるプローブに対する試料中の多くの異なる核酸分子のハイブリダイゼーションを同時に検出することにより、それらを同時に検出する可能性を有する。
核酸ハイブリダイゼーションを含む全技法(上記の例示的な技法を含む)の実施の成否は、関心対象の相補的核酸に特異的にハイブリダイズするが、それと同時に、存在し得る他の核酸分子との非特異的ハイブリダイゼーションを回避する核酸プローブおよびプライマーの使用に依存する。総説に関しては、Wetmur, Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biology 1991, 26:227-259を参照されたい。これらの特性は、好ましくはそれぞれが異なる標的核酸に特異的である、複数の異なるプローブまたはプライマーを使用する多重PCRおよびマイクロアレイハイブリダイゼーション等の技法において、さらに重要である。
相補的核酸分子間の二本鎖安定性は、二本鎖の「融解温度」(Tm)により示される場合が多い。概略を言えば、Tmは、二本鎖核酸が一本鎖核酸に解離する温度を示す。プローブまたはプライマーとその標的核酸との間のハイブリダイゼーションが最適化されると同時に、プローブまたはプライマーの他の非特異的核酸へのハイブリダイゼーションが最低限に抑えられるように、核酸ハイブリダイゼーションはTmよりもわずかに低い温度で行うことが好ましい。二本鎖安定性およびTmは、温度サイクルが関与し得るPCR等の用途においても重要である。そのような温度サイクル段階においては、標的核酸とその相補鎖との二本鎖が解離するように、試料の温度をTmよりも十分に上げることが重要である。次の再アニーリング段階では、温度を、非特異的ハイブリダイゼーション事象を回避するのに十分な程度になお高く維持しつつ、標的核酸とプライマーの二本鎖が形成され得るほど十分にTmよりも下げなければならない。総括に関しては、Rychlikら、Nucleic Acids Research 1990, 18:6409-6412を参照されたい。
従来から、特定の核酸の融解温度を予測または推定するために、二本鎖安定性をヌクレオチド配列に関連づける理論的または実験的モデルが使用されている。例えば、Breslauerら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1986, 83:3746-3750)は、「最近傍(nearest neighbor)モデル」として知られる、当技術分野で広く用いられている融解温度を予測するためのモデルについて記載している。また、SantaLuciaら、Biochemistry 1996, 35:3555-3562;およびSantaLucia, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1998, 95:1460-1465も参照されたい。そのようなモデルは、通常、特定の塩条件、典型的には1 M Na+に対して較正または最適化されている。しかし、核酸ハイブリダイゼーションを利用する用途は、典型的に陽イオン濃度が10〜100 mMのオーダーである様々な塩濃度で実施され得る。したがって、アッセイにおける特定のプローブまたはプライマーの融解温度は典型的に、最近傍または他のモデルを用いて最初の塩濃度における融解温度を予測し、次に別の理論的または実験的モデルを用いて特定のアッセイの塩条件が融解温度に対してどのような影響を及ぼすかを予測することにより、予測される。
Tmを推定するために使用されるすべてではないがほとんどの既存のモデルは、塩濃度の影響をヌクレオチド配列とは別に独立して扱っている。例えば、Schildkraut(Biopolymers 1965, 3:195-208)は、種々のナトリウムイオン濃度、[Na+]における核酸融解温度を推定するために、以下の式を提唱した:
Figure 0004455334
式中、Tm 0は1 MナトリウムイオンにおけるDNA二本鎖の融解温度である。上記の式1.1は、0.01〜0.2 M Na+の緩衝液中での大腸菌ゲノムDNAの特定の研究による実験データに基づいている。それにもかかわらず、この式の使用は、任意のDNA二本鎖オリゴマー対を設計するために当たり前のように一般化されている。例えば、Rychlikら、Nucleic Acids Res. 1990, 18:6409-6412、IvanovおよびAbouHaidar、Analytical Biochemistry 1995, 232:249-251;Wetmur, Critical Review in Biochemistry and Molecular Biology 1991, 26:227-259を参照されたい。
しかし、塩濃度が核酸二本鎖の融解温度に及ぼす影響は配列と無関係なのではなく、むしろ特定の核酸の配列組成に実質的に依存することを示す証拠が存在する。総説に関しては、Bloomfieldら、Nucleic Acids: Structure, Properties, and Functions (University Science Books, Sausalito California 2000):307〜308ページを参照されたい。例えば、Owenら(Biopolymers 1969, 7:503-516)は、長い重合DNAの融解温度(Tm)をlog[Na+]および核酸のG-C含量、f(G-C)と関連づける、細菌DNAの融解実験に基づいた1つの実験式を提唱した:
Figure 0004455334
他の研究者らも(Frank-Kamenetskii, Biopolymers 1971, 10:2623-2624)同じ実験データを再解析し、その称するところによればlog[Na+]への融解温度の一次従属を反映する、簡略化した式を提案した:
Figure 0004455334
Doktyczら(Biopolymers 1992, 32:849-864)は、DNA二本鎖中の平均G-C塩基対およびA-T塩基対に関してTmの塩依存性を推定するために上記の式1.3を応用し、依存性はそれぞれの種類の塩基対に関する異なる式によって規定されるという結論に達した。BlakeおよびDelcourt(Nucl. Acids Res. 1998, 26:3323-3332;Corrigendum, Nucl. Acids Res. 1999, 27, No.3)もまた、組換えpN/MCSプラスミド中の合成による直列反復核酸挿入物の融解曲線に基づいて、log[Na+]の一次関数としてTmが変化する比率がそれぞれの最近傍によって変化することを報告している。しかし、彼らの実験は、34 mM〜114 mMという狭い範囲のNa+濃度で行われたものであった。
RouzinaおよびBloomfield(Biophysical Journal 1999, 77:3242-3251)もまた、大きな重合DNA分子による融解データを解析し、融解温度の塩依存性の別の解釈を提案した。具体的には、その論文は、Tmの塩依存性が溶液中の二本鎖核酸分子の熱容量と一本鎖核酸分子の熱容量とのわずかな相違に起因し得るという、実験に基づくFrank-Kamenetskiiの関連性(式1.3)の新しい解釈を提案している。その論文は、この影響が少なくとも部分的に配列依存的であることを示唆している。しかし、核酸配列とその影響との新たな関連性は提唱も提案もされていない。
ようやく、Owczarzyら、Biopolymers 1997, 44:217-239が、様々なG-C含量、f(G-C)を有するオリゴヌクレオチド二本鎖の融解温度を評価する実験について記載した。しかし、融解温度は、1 Mおよび115 mMという2種類のナトリウムイオン濃度で評価されたにすぎなかった。その結果として、その論文は、それらの2つの濃度間でTm値を予測するだけの式を提供している。
そのようなデータが存在するにもかかわらず、塩補正融解温度を推定するために、当技術分野においては前記の式1.1等の配列非依存的な式がなお用いられている。例えば、つい1998年に、SantaLuciaら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1998, 95:1460-1465)は、その影響が配列非依存的であることを前提として、融解温度の塩依存性を推定する式を提唱した。したがって、核酸の融解温度に及ぼす塩の影響が核酸配列に依存することを示唆するデータが存在するにもかかわらず、利用できるデータは不完全であり、多くの場合、そのデータは核酸ハイブリダイゼーションを含む生物学的または生物医学的技法の条件からかけ離れた、最適な条件下で得られたものである。厳密に言えば、ナトリウムイオンのTmに及ぼす影響は、長いDNAポリマーおよびDNAダンベルに対してのみ系統的に研究されただけであった。BlakeおよびDelcourt、Nucl. Acids Res. 1998, 26:3323-3332、およびDoktyczら(Biopolymers 192, 32:849-864)を参照されたい。結果として、そのようなアッセイにおいて塩条件がプローブまたはプライマーの融解温度に及ぼすの正確な影響は、十分に特徴づけされておらずに未知のままである。したがって、ハイブリダイゼーションアッセイにおける特定のプローブまたはプライマー配列の融解温度を推定するために現在利用できる方法は、不正確であり信頼性に欠ける。
しかし、生物学的および生物医学的技法におけるそのようなアッセイの普及および重要性を考えると、より一層の精度を有する融解温度を推定および予測する方法の重要な必要性が存在する。特に、核酸ハイブリダイゼーションを含むPCRまたは他のアッセイ法における核酸、詳細にはオリゴヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー)の融解温度を予測または推定する方法の必要性が存在する。また、特定の核酸配列の融解温度に及ぼす塩濃度変化の影響を推定する、信頼性のある正確な方法の必要性が存在する。さらに、特定のハイブリダイゼーション、PCR、または他の方法のためにオリゴヌクレオチド、例えばプローブまたはプライマーを設計する方法であって、各オリゴヌクレオチドの融解温度が特定の方法またはアッセイのために最適化されている方法の必要性が存在する。
本明細書の本項または他項におけるいかなる参考文献の引用または考察も、本発明の説明を明らかにするためのみに行うものであり、そのような参考文献が本明細書に記載する発明に対する「先行技術」であることを認めるものではない。
発明の概要
本出願者らは、特定の塩濃度におけるポリヌクレオチドとその相補的配列の融解温度を推定する方法を発見した。本方法は、基準塩濃度における基準融解温度を得る段階、および次に基準温度からポリヌクレオチドのG-C含量に依存する方法で、新たな塩濃度依存的「補正」融解温度を算出する段階に関する。本発明により、所望の塩濃度におけるポリヌクレオチドの融解温度を確実に推定する新規な方法が提供される。本方法は容易であり、コンピュータで扱いやすい。
したがって、当業者は本方法を容易に使用して、特定の塩条件下におけるポリヌクレオチド融解温度を推定すること、および/またはアッセイのために塩濃度を調節することができる。さらに、当業者は本方法を容易に使用して、所望の塩条件下での様々なポリヌクレオチドプローブおよび/またはプライマーの融解温度を推定し、最適な融解温度を有するプローブおよび/またはプライマーを選択することができる。
したがって本方法により、基準塩濃度における特定の核酸の基準融解温度を得る段階が提供される。それに沿って、当業者は理論的、実験的、または半実験的方法を容易に使用し、正確なまたは信頼性のある基準融解温度を得ることができる。本発明により、所望の塩濃度もまた提供される。当業者は、当業者にとって関心対象のポリヌクレオチド融解条件に基づいて、所望の塩濃度を容易に得ると考えられる。より具体的には、本方法により、基準ポリヌクレオチド融解温度を用いて、ポリヌクレオチドのG-C含量に依存する方法で、塩依存的「補正」融解温度を推定または決定する段階が提供される。さらに、当業者がG-C含量を用いることにより、G-C含量値を決定し得ることも提供される。
本発明の方法により、本発明の方法を実施するために使用し得る式の使用が提供される。式により、塩「補正」融解温度の推定における基準融解温度、所望の塩濃度、およびG-C含量値の関連性が明らかにされる。したがって当業者は、本発明の方法を用いて、ポリヌクレオチドの所望の融解温度を容易に推定し得る。さらに、式に使用するための、実験的に測定したデータに由来する最適化係数が提供される。
ポリヌクレオチドの塩補正融解温度を推定する方法を含む、本発明の解析法を実施するために使用し得るコンピュータシステムもまた提供される。これらのコンピュータシステムは、1つまたは複数のソフトウェア成分を含むメモリと相互接続したプロセッサを含む。詳細には、1つまたは複数のソフトウェア成分は、本明細書に記載した解析法の段階をプロセッサに実行させるプログラムを含む。ソフトウェア成分は、例えばポリマーの配列または構造データベースを含む、さらなるプログラムおよび/またはファイルを含み得る。
コンピュータ可読形式でコード化された1つまたは複数のソフトウェア成分を有する、1つまたは複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク(例えば、CD-ROMまたはRW-CD)、DVD、データテープ等のコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品もさらに提供される。詳細には、ソフトウェア成分はコンピュータシステムのメモリにロードされ得り、次にコンピュータシステムのプロセッサに、本明細書に記載した解析法の段階を実行させ得る。ソフトウェア成分は、例えばポリマーの配列および/または構造のデータベースを含む、さらなるプログラムおよび/またはファイルを含み得る。
詳細な説明
定義
「融解特性」という用語は、二本鎖核酸から一本鎖核酸への(またはその逆)オリゴヌクレオチド分子の移行を示す、オリゴヌクレオチドとその相補鎖の測定値の収集物を指す。核酸の二本鎖から一本鎖への移行は、当技術分野において、その核酸分子の「融解」として示される場合が多い。移行は、核酸の「変性」または「解離」として示される場合もある。したがって、本発明の融解特性は、「解離特性」、「変性特性」、「融解曲線」、「解離曲線」等とも称し得る。
「塩濃度」という用語は「イオン濃度」という用語と互換的に用いられ、具体的には陽イオン(すなわち、試料中の正に荷電したイオン)の濃度を指す。イオンの種類には、リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム、およびフランシウムが含まれるが、これらに限定されない。イオンは1つまたは複数の電荷を保有してよい。本発明の好ましい態様は、一価のイオンの使用である。イオン濃度は約1 mM〜約5 Mであることが好ましい。しかし、イオン濃度は約5 mM〜約2 Mであることがより好ましい。特に好ましい態様においては、イオン濃度は約70 mM〜約1020 mMである。
核酸分子の「融解温度」または「Tm」は、一般に、ポリヌクレオチドがその相補的配列から解離する温度を指す。一般に、Tmは、二本鎖核酸分子内のワトソン-クリック塩基対の半分が切断されまたは解離し(すなわち「融解」し)、ワトソン-クリック塩基対のもう半分が二本鎖構造で元の状態のままである温度と定義され得る(すなわち、T=Tmの時点で切断塩基対の割合、θ(T)=0.5)。二本鎖核酸分子がオリゴヌクレオチドである好ましい態様において、および二本鎖核酸が2状態様式で解離する他の態様において、核酸のTmはまた、試料中の核酸分子の半分が一本鎖構造であり、試料中の核酸のもう半分が二本鎖構造である温度として定義され得る。したがってTmは、二本鎖核酸分子から一本鎖核酸分子への移行における(または、逆に一本鎖核酸分子から二本鎖核酸分子への移行における)中間点を規定する。
二本鎖核酸分子から一本鎖核酸分子への移行は単一の温度で起こるのではなく、むしろ温度の範囲にわたって起こることは、当技術分野において十分に理解されている。それにもかかわらず、Tmにより、試料中の核酸分子が一本鎖構造で存在するかまたは二本鎖構造で存在するかを見積もるための簡便な測定値が提供される。そのように、試料の融解特性を単に推定することにより、核酸試料の融解温度が容易に得られ得る。
本発明の方法およびアルゴリズムは相補的核酸の推定融解温度を算出する段階を含み、一般に、DNA、RNA、mRNA、cDNA、およびcRNA、ならびに塩基をアミノ酸骨格に結合することによって形成される「タンパク質核酸」(PNA)を含む様々な種類の核酸のいずれにも適用することができる。本発明に従って使用し得るポリヌクレオチドには、二本鎖DNAおよびRNA二本鎖オリゴマー、一本鎖DNAおよびRNA、ならびにそれらの骨格修飾物(例えば、メチルホスホン酸結合)もまた含まれる。これにはまた、例えば「チオウラシル」、「チオグアニン」、およびフルオロウラシルといった修飾塩基を含む核酸も含まれる。
核酸はまた、当技術分野において周知の多くの手段によって修飾され得る。そのような修飾の限定されない例には、メチル化、「キャップ」、類似体による1つまたは複数の天然ヌクレオチドの置換、ならびに例えば非荷電結合(例えば、メチルスルホン酸、リン酸トリエステル、ホスホロアミダート、カルバメート等)によるおよび荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)による修飾等のヌクレオチド内修飾が含まれる。ポリヌクレオチドは、2〜3例を挙げるとタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジン等)、介入物(アクリジン、ソラレン等)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化金属等)およびアルキル化剤等の、共有結合している1つまたは複数のさらなる成分を含んでもよい。ポリヌクレオチドは、メチルもしくはエチルリン酸トリエステルまたはホスホルアミダイト結合の形成により誘導体化されてもよい。さらに、本明細書におけるポリヌクレオチドはまた、直接的または間接的に検出可能なシグナルを提供し得る標識で修飾され得る。例示的な標識には、放射性同位元素、蛍光分子、ビオチン等が含まれる。
本明細書で用いる「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は互換的であり、一般に、典型的に約500以下の塩基対を有する核酸ポリマーを表すために用いられる。好ましい態様においては、約5〜150ヌクレオチド長、より好ましくは約10〜30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを用いて本発明を実施する。本発明で使用するオリゴヌクレオチドは、ゲノムDNA、mRNA、cDNA、発現配列タグ(EST)、および化学合成した核酸を含むがこれらに限定されない、任意の供給源に由来する任意の種類の核酸にハイブリダイズし得る。本発明のオリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチド分子にもハイブリダイズし得る。
オリゴヌクレオチドおよび他のポリヌクレオチドは、例えば32Pヌクレオチド、またはビオチンまたは蛍光色素(例えば、Cy3またはCy5)等の標識が共有結合しているヌクレオチドを用いて標識され得る。一般にオリゴヌクレオチドは、好ましく核酸合成機で合成により調製される。したがって、オリゴヌクレオチドは、チオエステル結合等の非天然のリン酸エステル類似体結合により調製され得る。
ハイブリダイズした一対のポリヌクレオチドは、全長にわたって相補的である場合も、またはその配列の一部が相補的である場合もある。好ましい態様においては、ハイブリダイズした一対のオリゴヌクレオチドのヌクレオチドすべてが相補的である。しかし、相補的核酸間にミスマッチ塩基対が存在する場合もあり、したがってそのような核酸は100%未満の相補性であるといえる。詳細には、相補性の程度は通常、相補的ポリヌクレオチド中の全塩基対数のうちのミスマッチ塩基対の割合(例えば百分率)によって示される。ポリヌクレオチドとその相補的配列との間に少なくとも99%の相補性が存在することが非常に好ましい。しかし、それよりも低い相補性も許容可能であり、またはいくつかの態様においては実に望ましい場合もある。例えば、いくつかの態様においては、相補レベルが95%、85%、または75%程度に低い場合もある。
好ましい態様において、「約」および「およそ」という用語は、一般に、性質を考慮して測定した量または測定値の精度の誤差の許容できる程度を意味する。誤差の典型的な例示的な程度は所与の値または値域の20パーセント(%)以内であり、好ましくは10%以内であり、より好ましくは5%以内である。または、特に生物系において、「約」および「およそ」という用語は所与の値の1オーダー内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内の値を意味し得る。本明細書で示す数量は特記しない限り概算であり、明確に記載していない場合には、「約」および「およそ」という用語が推測され得る。
温度および溶液イオン強度の適切な条件下で一本鎖形態の核酸分子が他の核酸分子にアニールし得る場合に、核酸分子はcDNA、ゲノムDNA、またはRNA等の別の核酸分子に「ハイブリダイズし得る」(Sambrookら、前記を参照のこと)。温度およびイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を規定する。
ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的配列を含むことを必要とする。しかし、塩基間のミスマッチは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに依存する可能性がある。核酸をハイブリダイズするための適切なストリンジェンシーは、当技術分野で周知の変数である核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が高ければ高いほど、それらの配列を有する核酸の二本鎖のTm値は高くなる。100ヌクレオチド長を超える二本鎖に関しては、Tmを算出する式が導かれている(Sambrookら、前記、9.50〜9.51を参照のこと)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに関しては、ミスマッチの位置がより重要になり、オリゴヌクレオチドの長さによってその特異性が規定される(Sambrookら、前記、11.7〜11.8を参照のこと)。ハイブリダイズし得る核酸の最小長は少なくとも約10ヌクレオチド;好ましくは少なくとも約15ヌクレオチド;より好ましくは少なくとも約20ヌクレオチドである。他の条件を特記しない限り、「標準のハイブリダイゼーション条件」という用語は約55℃のTmを指し、上記の条件を利用する。好ましい態様においてTmは60℃;より好ましい態様においてTmは65℃である。特定の態様において、「高ストリンジェンシー」とは、0.2x SSCにおける68℃での、50%ホルムアミド、4x SSCにおける55℃での、またはこれら2つのいずれかの条件下で見られるハイブリダイゼーションレベルと同等のレベルを与える条件下でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を指す。
オリゴヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー)の適切なハイブリダイゼーション条件は、オリゴヌクレオチドの低い融解温度が理由で、典型的に全長核酸(例えば、全長cDNA)の条件とは若干異なる。オリゴヌクレオチドの融解温度は関連するオリゴヌクレオチド配列の長さに依存するため、適切なハイブリダイゼーション温度は用いるオリゴヌクレオチド分子に依存して変動することになる。例示的な温度は、37℃(14塩基オリゴヌクレオチドに対して)、48℃(17塩基オリゴヌクレオチドに対して)、55℃(20塩基オリゴヌクレオチドに対して)、および60℃(23塩基オリゴヌクレオチドに対して)であってよい。オリゴヌクレオチドの例示的な適切なハイブリダイゼーション条件には、6x SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中での洗浄、または同等のハイブリダイゼーションレベルを与える他の条件が含まれる。
核酸は、沈殿、クロマトグラフィー(分取固相クロマトグラフィーを含む)、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、超遠心、および他の手段により精製し得る。1つの方法では、ポリアクリルアミドゲル精製(PAGE)技法を用いて核酸を精製する。別の好ましい態様では、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて核酸を精製する。そのような精製法も、当技術分野で周知である。
一般的方法
本発明に従って、当技術分野の技術の範囲内の従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技法を使用し得る。そのような技法は、文献で十分に説明されている。例えば、Sambrook、Fitsch、およびManiatis、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版 (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク(本明細書では「Sambrookら、1989」と称する);DNA Cloning: A Practical Approach、第I巻および第II巻(D.N. Glover編、1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J. Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D. HamesおよびS.J. Higgins編、1984);Animal Cell Culture(R.I. Freshney編、1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press、1986);B.E. Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning (1984);F.M. Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons, Inc. (1994)を参照されたい。
本発明は、G-C含量を有する特定のポリヌクレオチドの、特定のイオン濃度における融解温度を予測する方法に関する。本発明は、オリゴヌクレオチドプローブの設計、ハイブリダイゼーションおよびPCR法、ならびにマイクロアレイハイブリダイゼーション法に適用することができる。
方法の概要
本発明に従って、ポリヌクレオチド、またはより詳細にはポリヌクレオチドおよびその相補的配列の融解温度(Tm)を予測する方法をここに提供する。そのような方法は、例えばPCRおよび核酸ハイブリダイゼーションアッセイ等の生物学的アッセイで使用するためのオリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーの設計に特に適している。本発明の方法は着実かつ簡便であり、本方法により、典型的にそのようなアッセイ法で使用される条件下での、ポリヌクレオチドの融解温度の信頼性のある予測または推測が提供される。詳細には、本発明の方法を用いて、当業者は特定の塩条件下におけるポリヌクレオチドの融解温度を容易に決定または推定することができ、および/またはそれに応じてアッセイの塩条件を調節することができる。または、本発明の方法を用いて、所望の塩条件下での様々なポリヌクレオチドプローブおよび/またはプライマーの融解温度を決定または推定することができ、次いでアッセイのために最適な融解温度を有するプローブおよび/またはプライマーの融解温度を選択することができる。
その最も簡潔な形態では、本発明の方法は、特定の塩濃度(すなわち、「基準」塩濃度)におけるポリヌクレオチドの「基準」融解温度を得るまたは決定する段階を含む。次いで、本発明に従って基準温度を用いて、それから「塩補正」融解温度を得るまたは推定することができる。より具体的には、塩補正融解温度は、ポリヌクレオチドのG-C配列含量に依存した関連性に従って、基準融解温度から導かれ得る。これらの方法のより詳細な説明は以下の通りである。
基準融解温度
典型的に本明細書で記号Tm 0によって示される基準融解温度は、特定の核酸に関して、融解温度を得るまたは決定する当技術分野で周知の任意の技法を用いて容易に得ることができる。例えば、ある標準的または基準の塩濃度における1つまたは複数のポリヌクレオチドの融解温度を実験により決定することができ(後の実施例で記載されているように)、次いで本発明に従って、これらの実験的に決定した融解温度を基準融解温度として使用することができる。しかし、基準融解温度はまた、ある塩濃度において、理論的、実験的、または半実験的モデルを用いて得られ得るまたは提供され得る。特に好ましい態様において、ポリヌクレオチドの基準融解温度は、当技術分野で周知の「最近傍モデル」を用いて得られる(例えば、Breslauerら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1986, 83:3746-3750;およびSantaLuciaら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1998, 95:1460を参照のこと)。しかし、当技術分野においては様々な他のモデルも周知であり、本発明に従ってそれらのモデルを使用することも可能である。
基準融解温度を得るために使用する正確な実験方法、モデル、または式は、本発明の実施に重要ではない。例えば上記の通り、基準融解温度は、例えばある基準塩濃度におけるポリヌクレオチド二本鎖の融解温度を用いることにより、実験的に決定することができる。しかし、融解温度は、ある理論的、実験的、または半実験的モデルを用いて算出してもよい。モデルにより、そのモデルが最適化されたある塩濃度における、融解温度の「正確な」または信頼性のある推定が提供されることが好ましい。例えば、最近傍モデルおよび融解温度を予測するための多くの他のモデルは、1 M濃度の一価の陽イオン(具体的には、1 M Na+)に対して特に最適化されたパラメータを用いる。したがって、そのようなモデルを用いて基準融解温度を得る態様においては、基準塩濃度が1 Mであることが好ましい。一般に当業者は、融解温度を得るための方法またはモデルがどのような塩濃度に対して最適化されているのかを容易に理解し、したがって、本発明の方法を実施するために「基準」塩濃度(本明細書では記号[X+]0によって示される)としてそれらの塩濃度を使用し得ると考えられる。
塩濃度
本発明の方法に従い、使用者にとって関心対象の特定の塩濃度([X+]で示される)に関して、ポリヌクレオチドの融解温度を容易に決定することができる。一般に、関心対象の塩濃度は、使用者にとって特に関心対象の生物学的アッセイ(例えば、PCRまたはハイブリダイゼーションアッセイ)のための塩濃度に相当することになる。本発明の好ましい態様において、関心対象の塩濃度はナトリウムイオン濃度である。しかし、ナトリウムの代わりに他の一価の陽イオン(例えば、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、およびフランシウム)を代用し得る。多くのハイブリダイゼーションアッセイでは、一価の陽イオンのみが存在する。しかし、マグネシウム等の二価の陽イオンが存在する場合もある。二価の陽イオンが存在する場合には、一価の陽イオンに関する以下に記載の方法を用いて融解温度を決定し、その後、例えば当技術分野で既に周知の技法を用いて、二価イオンの濃度に対して調整することができる。例えば、Ahsenら、Clinical Chemistry 2001, 47:1956-1961を参照されたい。また、Peyrot N. (2000) 「Prediction of Nucleic Acid Hybridization: Parameters and Algorithm」、ミシガン州、デトロイト、ウェイン州立大学、Ph.D.論文も参照されたい。
以下の実施例において実証するように、本発明は着実であり、広範な異なる塩条件に対して融解温度を確実に決定するために使用することができる。好ましい濃度は約5 mM〜約2 Mのいずれかであり、より好ましくは約50 mM〜1 Mである。特に好ましい態様において、関心対象の塩濃度は約70 mM〜約1020 mMである。しかし、以下の実施例で実証する実験的技法を用いて、当業者は、関心対象の任意の塩濃度または塩濃度の範囲に関して、本発明の式および方法を容易に最適化することができる。したがって、本明細書に記載する式および技法は、それらの実施例において使用される塩濃度の特定の範囲に限定される必要はない。
G-C含量値
本発明により、ポリヌクレオチドの融解温度に及ぼす塩の影響をより正確に推定する方法および式が提供される。詳細には、これらの方法は、ポリヌクレオチドの配列内容、特にポリヌクレオチドとその相補鎖との間に形成されるグアニン(G)およびシトシン(C)塩基対の含量に依存する様式で、「基準」融解温度Tm 0を調整する。したがって、本発明の系および方法はまた、本明細書で「G-C含量値」と称し記号f(G-C)で示される値を使用する。G-C含量値f(G-C)により、ポリヌクレオチドとその相補的配列との間に形成されるG-C塩基対の数を示す数値が提供される。好ましい態様において、ポリヌクレオチドのG-C含量は、ポリヌクレオチド二本鎖におけるG-C塩基対のモル比から得られ得るまたは提供され得る;すなわち、f(G-C)=(G-C塩基対数)/(全塩基対数)。
融解温度(T m )の塩依存効果の推定
本発明に従い、本出願者らは、ポリヌクレオチドの融解温度(Tm)、ポリヌクレオチドの解離(またはハイブリダイゼーション)が起こる塩濃度[X+]、およびポリヌクレオチドのG-C含量値f(G-C)の間の新規な関連性を見出した。したがって、本発明により、新たな関連性を用いて融解温度を推定する新規な方法が提供される。一般的に言えば、「基準」融解温度Tm 0は、上記のように、「基準」塩濃度[X+]0におけるポリヌクレオチドに関して得られるまたは提供される。次いで、基準融解温度を用いて、ポリヌクレオチドのG-C含量に対して最適化した関連性に従って塩補正Tmを算出する。
例えば1つの好ましい態様において、塩補正融解温度(Tm)は、式:
Figure 0004455334
を用いて、基準融解温度(Tm 0)から推定し得るまたは得られる。本発明において、係数kは好ましくはポリヌクレオチドのG-C含量値;すなわちf(G-C)の関数である。式5.1等の式、および融解温度の逆数(すなわち1/Tm)に基づく、本明細書にわたる他の式に関して、温度はケルビン単位で挿入すべきである。本明細書において提供されるTmを含む式(例えば式5.2)では、ケルビン単位と摂氏温度は互換的に使用され得る。当業者は、当技術分野において周知であり日常的に用いられる式(例えば、K=℃+273.15)により、ケルビン単位と温度を測定する他の尺度(例えば摂氏温度)を容易に変換し得ると考えられる。
多くの態様において、前記の式5.1に提供される関係は、基準融解温度の逆数(すなわち、1/Tm 0)の一次関数よりもむしろ基準融解温度(Tm 0)の一次関数により十分に概算し得る。そのような関係は式5.1に比べると計算的に徹底的ではなく、よって使用しやすいと考えられる。したがって、好ましくは約20〜80℃(すなわち、約293〜353 K)の、典型的に核酸の融解温度が考えられる;すなわち生理的温度の比較的狭い範囲の温度を特に考慮する場合、そのような線形近似が好ましい場合がある。
したがって、別の好ましい態様では、塩補正融解温度(Tm)は、前記の式5.1の線形近似である式:
Figure 0004455334
を用いて、基準融解温度(Tm 0)から推定し得るまたは得られ得る。この場合もやはり、係数k'はポリヌクレオチドのG-C含量;すなわちf(G-C)の関数であることが好ましい。
係数k(またはk')は、好ましくは一般的な公式の式:
Figure 0004455334
により得られるまたは提供される。
本式において、mおよびk0は、関心対象の塩濃度または塩濃度の範囲において、異なるG-C含量を有するポリヌクレオチドの融解温度を決定するために最適化され得る定数係数である。例えば以下の実施例では、複数のポリヌクレオチド配列の融解データの適合度を最適化することにより、これらの係数の適切な値を上記の式5.1および5.2に対して最適化する場合の実験を記載する。当業者は、係数mおよびk0の正確な値が、どの式(式5.1または5.2)を用いて塩補正融解温度を推定するまたは得るかに依存することを理解すると考えられる。したがって、それぞれの式に対して独立して係数を最適化することが好ましい。
塩補正融解温度を推定または提供するための式(例えば、上記の式5.1および5.2)は、1つまたは複数のより高次の多項式項を加えることにより、さらに最適化され得る。例えば、限定の目的ではないが、二次多項式項を加えることにより上記の式5.1を容易に修飾し、
Figure 0004455334
等の式を得ることができる。以前と同様に、係数kは、関心対象の特定の塩濃度における融解温度を評価するために最適化される、ポリヌクレオチドのG-C含量の関数であることが好ましい。前記のように(例えば、式5.1および5.2に関して)、係数kは好ましくは一般的な公式の式:
Figure 0004455334
により得られるまたは提供される。この場合もやはり、mおよびk0は、関心対象の塩濃度または塩濃度の範囲におけるポリヌクレオチドの融解温度を決定するために最適化され得る。先と同様に、これらの係数の正確な値は、どの式を用いて塩補正融解温度を推定するかに依存するはずである;すなわち、それぞれの式に対して独立して係数を最適化することが好ましい。
別の例として、上記の式5.2もまた二次多項式項を加えることにより容易に修飾し、
Figure 0004455334
等の式を得ることができる。他の式と同様に、係数kは、例えば前記の式5.3の係数mおよびk0を最適化することにより、関心対象の特定の塩濃度または塩濃度の範囲における融解温度を評価するために最適化される、ポリヌクレオチドのG-C含量値の関数であることが好ましい。この場合もやはり、本明細書に記載するそれぞれの式に対して係数を最適化することが好ましい。
上記の式5.1〜5.2および5.4〜5.5等の式は、例えば式5.4および5.5に例証される二次多項式項を超えて、さらなる多項式項を加えることにより、さらに精緻化することができる。したがって、例えば本発明の態様は、例えば三次、四次、および/またはさらに五次多項式項を使用することもまた意図する。当業者は、例えば数学の技術分野において周知である日常的な式および方法を用いて、本発明で使用する式を修飾し、さらに高次の多項式項を組み込むことができると考えられる。
実施のシステムおよび方法
コンピュータシステム
本明細書に記載する解析法は、1つまたは複数のコンピュータシステムを使用することにより実行することができる。図2は、本発明の解析法の実行に適した例示的なコンピュータシステムを図解したものである。コンピュータシステム201の成分には、メインメモリ203と相互接続したプロセッサ202が含まれる。コンピュータシステムは、大容量記憶装置204、ならびに例えばモニター、キーボード、および/またはマウスもしくは他の図形入力装置のような位置決め装置206を含むユーザー・インターフェース機器205等の他の成分を含み得る。コンピュータシステム201はネットワーク207に連結され得り、ネットワーク207は、イーサネット、ローカル・コンピュータシステム(例えば、ローカルエリア・ネットワークまたはLANの一部として)、および/またはインターネット等の広域通信網(WAN)の一部であってよい。
典型的に、1つまたは複数のソフトウェア成分は、コンピュータシステム201の動作中にメインメモリ203にロードされる。ソフトウェア成分210は、コンピュータシステム201およびそのネットワーク接続の管理を担うオペレーティングシステムに相当する。ソフトウェア成分211は、本発明に特異的な方法を実行するプログラムを支援するための、システム内の共通言語および機能に相当する。本発明の方法を実施するための式は、任意のプログラム可能なスプレッドシート・ソフトウェアプログラムを用いて、プログラムし実行することもできる。プログラム可能なデータベースシステム(例えば、SQLデータベース)を用いて、本発明の式および方法をプログラムおよび/または実行することができる。したがって、ソフトウェア成分212は、適切な手続き型言語、記号パッケージ等でプログラムされたような本発明の解析法に相当する。
コンピュータプログラム製品
本発明はまた、例えば本発明の解析法を実行するためのコンピュータシステムをプログラムまたは設定するために使用し得るコンピュータ製品を提供する。本発明のコンピュータプログラム製品には、2〜3例を挙げると1つもしくは複数のコンパクトディスク(例えば、1つまたは複数の「CD」であり、これはCD-ROMまたはRW-CDであってよい)、1つもしくは複数のDVD、1つもしくは複数のフロッピーディスク(例えば、1つまたは複数のZIP(商標)ディスクを含む)、または1つもしくは複数のDAT等のコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体はコンピュータ可読形式でコード化された1つまたは複数のソフトウェア成分212を有し、このソフトウェア成分は、それがコンピュータシステム201のメモリ203にロードされた場合に、本発明の解析法をコンピュータに実行させる。コンピュータ可読媒体はまた、コンピュータ可読形式でコードされた他のソフトウェア成分を含んでもよい。そのような他のソフトウェア成分には、例えば、機能的言語211またはオペレーティングシステム210が含まれ得る。
システムの実行
例示的な実行においては、本発明の方法を実施するために、G-C含量および/または陽イオン濃度をコンピュータシステム201にロードし得る。例えばG-C含量値は、モニターおよびキーボード205から数字(例えば、G-C含量値)を示す一続きの記号を直接タイプすることにより、使用者によって直接入力され得る。または、使用者は、例えばモニター上に表示された候補イオン濃度のメニューからイオン濃度を選択することにより、またはデータベース中のイオン濃度のアクセッション番号を入力することにより基準イオン濃度を指定してもよく、コンピュータシステムは、例えばメモリ203内のデータベースにアクセスすることにより、またはネットワーク接続上、例えばインターネット上のデータベースから配列にアクセスすることにより、データベースから選択されたイオン濃度にアクセスし得る。
最終的に、コンピュータシステムのソフトウェア成分が、メモリ203にロードされた場合に、好ましくはコンピュータシステムに、本明細書に記載する方法に従って融解温度を推定させる。例えばソフトウェア成分は、コンピュータシステムに、特定の基準イオン濃度におけるポリヌクレオチドの基準融解温度を取得させ、次いで基準融解温度を用いて本明細書に記載する方法を利用してポリヌクレオチドの修正された融解温度を算出させ得る。
これらの解析法の実行において、コンピュータシステムは好ましくは次に、例えば所望のイオン濃度におけるポリヌクレオチドの融解温度を出力する。出力は、モニターに出力され得る、プリンター(図示せず)で印刷され得る、大容量記憶204に記載され得る、またはコンピュータネットワーク(例えば、インターネットまたはローカルエリア・ネットワーク)で1つもしくは複数のコンピュータに送信され得る。
本発明の解析法を実行するための別のシステムおよび方法も、添付の特許請求の範囲内に包含されることを意図する。特に、添付の特許請求の範囲は、当業者に容易に明らかであると考えられる本発明の方法を実行するための別のプログラム構造を含むことが意図される。
実施例
また、以下の実施例を用いて本発明を説明する。しかし、これらの実施例または本明細書のいずれの箇所にある他の実施例も一例に過ぎず、本発明または任意の例証的な項目の範囲および意味を限定するものではない。同様に、本発明は本明細書に記載する任意の特定の好ましい態様に限定されない。実際に、本明細書を読むことにより、当業者には本発明の多くの修正および変更が明白であると考えられ、その精神および範囲から逸脱することなく、そのような修正および変更がなされ得る。したがって、本発明は、特許請求の範囲の権利が与えられる同等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ限定される。
実施例1:
種々の塩条件で測定した様々なオリゴマーの融解温度
本実施例は、様々な塩濃度において、少なくとも92種類の種々の例示的なオリゴヌクレオチド分子に関して融解特性を測定した実験について記載する。各塩濃度において各オリゴヌクレオチドに関して観察されたそれらの特性から融解温度を抽出し、それらの融解温度を以下の結果に提供する。例示的なオリゴヌクレオチドのそれぞれの配列情報もまた提供する。
材料および方法
オリゴヌクレオチドの合成および精製
日常的な技法に従い(Caruthersら、Methods Enzymol. 1992, 211:3-20)、固相ホスホルアミダイト化学によりDNAオリゴヌクレオチド(配列番号:1〜92)を合成し、脱保護し、NAP-5カラム(Amersham Pharmacia Biotech、ニュージャージー州、ピスカタウェイ)で脱塩した。1x TBE緩衝液(50 mM Tris、50 mMホウ酸、1 mM Na2EDTA)中で20%ポリアクリルアミドゲル電気泳動することにより、オリゴマーを精製した。各オリゴマーの精度は、Beckman PACE 5000(Beckman Coulter, Inc. カリフォルニア州、フラートン)でキャピラリー電気泳動(CE)することにより決定した。CEキャピラリーは100μm内径を有し、ssDNA 100Rゲル(Beckman- Coulter)を含んだ。典型的に、約0.6 nモルのオリゴヌクレオチドをキャピラリーに注入し、444 V/cmの電場で泳動し、260 nmでのUV吸光度により検出した。変性Tris-ホウ酸-7 M尿素泳動緩衝液は、Beckman-Coulterから購入した。
Voyager DE(商標) Biospectometry(商標)ワークステーション(Applied Biosystems、カリフォルニア州、フォスター)において、製造業者の推奨する手順に従い、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析を行うことにより、化合物の同一性を確認した。
DNAの調製
融解実験は、3.87 mM NaH2PO4、6.13 mM Na2HPO4、1 mM Na2EDTA、および50、100、200、600、または1000 mM NaClのいずれかを含む緩衝液中で行った。各溶液をpH 7.0に調整するために、1M NaOHを使用した。全ナトリウム濃度は、68.9、119、220、621、および1020 mMであった。
DNA試料は、製造業者の推奨する手順に従い、28ウェル微量透析系(Invitation Corp.、カリフォルニア州、カールズバッド)中、融解緩衝液に対して十分に透析した。DNAオリゴマーの濃度は、吸光係数を算出する最近傍モデルにより推定した各オリゴヌクレオチドの吸光係数を用いて、分光光度計(Beckman Coulter, Inc. カリフォルニア州、フラートン)での260 nmにおける試料のUV吸光度から推定した(Warshawら、J. Mol. Biol. 1996, 20:29-38を参照のこと;また、http://www.idtdna.com/program/techbulletins/calculating_Molar_Extinction_Coefficient.aspも参照のこと)。オリゴマー濃度は、各試料に対して少なくとも2回推定した。任意の試料に関して推定した濃度が4%を超えて異なった場合には、結果を廃棄し、新たに吸光度測定を行った。
オリゴヌクレオチド二本鎖を調製するため、1:1モル比で相補的なDNAオリゴマーを混合し、367 K(すなわち94℃)に加熱して、外界温度までゆっくりと冷却した。二本鎖DNAの各溶液を、全DNA濃度(CT)が2μMになるように融解緩衝液で希釈した。
融解曲線の測定
融解実験は、微量Tm解析付属物、(温度を制御するための)Beckman高性能ペルチェ制御装置、および1 cmまたは1 mm光路長キュベットを備えたシングルビームBeckman DU 650分光光度計(Beckman-Coulter)で実施した。融解データは、分光光度計にインターフェースで接続したPCを用いて記録した。383〜368 K(すなわち、10〜95℃)の温度範囲において、0.1度増加するごとに268 nm波長でのUV吸光度値を測定した。制御した速度の温度変化で(時間当たり24.9±0.3ケルビン)、各試料について加熱(すなわち「変性」)および冷却(すなわち「再生」)の遷移曲線を記録した。ペルチェホルダー内の内部測定用電極から試料温度を収集し、各試料のUV吸光度データとともに記録した。緩衝液のみ(オリゴヌクレオチドなし)の試料についても融解特性を記録し、DNA試料の融解曲線からこれらの「ブランク」特性をコンピュータにより減算した。系統誤差を最小限に抑えるため、別のキュベットでかつペルチェホルダー内の別の位置で、各試料について少なくとも2つの融解曲線を収集した。
融解温度の決定
各試料の融解温度を決定するため、以前に記載された方法を用いて融解特性を解析した(Doktyczら、Biopolymers 1992, 32:849-864;Owczarzyら、Biopolymers 1997, 44:217-239を参照のこと)。簡潔に説明すると、デジタルフィルターを用いて各試料の実験データを平滑化し、温度の関数として試料のUV吸光度のプロットを得た。次いで、そのプロットから一本鎖オリゴヌクレオチド分子の割合、θを算出した。試料の「融解温度」または「Tm」を、θ=0.5の場合の温度と定義した。
結果
オリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)に及ぼす塩濃度変化の影響を検討するため、複数の異なるオリゴヌクレオチド分子(「オリゴマー」とも称する)を合成し、種々の塩条件下で各オリゴマーについて融解特性を取得した。「融解特性」という用語は、オリゴヌクレオチド分子の二本鎖核酸から一本鎖核酸への(またはその逆)移行を示すオリゴヌクレオチドとその相補鎖の測定値の収集物を指す。二本鎖から一本鎖への核酸の移行は、当技術分野において、その核酸分子の「融解」として示される場合が多い。移行は、核酸の「変性」または「解離」として示される場合もある。したがって、本発明の融解特性はまた、「解離特性」、「変性特性」、「融解曲線」、「解離曲線」等と称し得る。
当技術分野において、二本鎖核酸分子の試料が一本鎖核酸分子の同等の試料よりもUV光を吸収しないことは周知である。したがって、1つの好ましい態様において、融解特性は、温度の範囲にわたって核酸試料のUV吸収を示す測定値の収集物を含み得る。前記の項6.1.1に記載の手順に従い、本実施例の融解特性のために、そのような測定値の収集物を取得した。そのような融解特性においては、温度の上昇に伴うUV吸収の増加は、試料中の二本鎖核酸分子の塩基対がより多く解離する程度、および一本鎖構造で存在する分子の割合、θの増加を示すことになる。逆に、温度の低下に伴うUV吸収の減少は、試料中でより多くの塩基対が形成され、その結果試料中の二本鎖核酸分子の割合(1-θ)が上昇し、その一方で一本鎖核酸分子の割合(θ)が減少することを示す。
核酸分子の「融解温度」または「Tm」という用語は、それよりも高い場合に核酸が一本鎖構造で存在すると一般に見なされ得り、かつそれよりも低い場合に核酸が二本鎖構造で存在すると一般に見なされ得る温度を指す。二本鎖核酸分子から一本鎖核酸分子への移行は単一の温度で起こるのではなく、むしろ温度の範囲にわたって起こることは(例えば、典型的に約5〜15℃の範囲)、当技術分野において十分に理解されている。それでもなお、Tmにより、試料中の核酸分子が一本鎖構造で存在するかまたは二本鎖構造で存在するかを見積もるための簡便な測定値が提供される。
例として、図1Aは、68.9 mM Na+緩衝液中に溶解したオリゴヌクレオチド
Figure 0004455334
とその相補鎖の2μM溶液についての例示的な「UV融解曲線」を示す。「融解曲線」は、前記の材料および方法の項に記載した通りに取得した。核酸分子が二本鎖構造にある場合よりも一本鎖構造にある場合に、溶液はより多くのUV光(260 nm)を吸収するため、図1AのUV融解曲線は実際に、オリゴヌクレオチドの二本鎖構造から一本鎖構造への移行をモニターする。UV融解曲線の観察から、二本鎖構造から一本鎖構造への移行は単一の温度で完全に起こるのではなく、むしろ温度の範囲にわたって起こることが示される。しかし、この範囲は非常に狭い(例えば、約5〜15℃)。したがって、この移行の中間点よりも高い(例えば、約56.5℃または329.7 Kよりも高い)温度において、この試料中のオリゴヌクレオチドは一般に一本鎖構造で存在すると見なされ得り、一方この「融解温度」よりも低い温度において、試料中のオリゴヌクレオチドは一般に二本鎖構造で(すなわち「二本鎖」オリゴヌクレオチドとして)存在すると見なされる。
図1Bは、より高い濃度(配列番号:45の90μM溶液、68.9 mM Na+緩衝液中Ct=180μM)の同じオリゴヌクレオチドの試料に関する示差走査熱量測定(DSC)実験のデータを示す。この実験技法の詳細な説明に関しては、例えばCooper, Curr. Opinion Chem. Biol., 1999, 3:557-563;およびPlumおよびBreslauer、Curr. Opinion Struct. Biol., 1995, 5:682-690を参照されたい。
図1Bのプロットは、温度を約293 Kから363 Kに(すなわち20℃から約90℃に)上げた場合の、試料の過剰熱容量(ΔCp)を示す。試料の熱容量は、試料中のオリゴヌクレオチド二本鎖が二本鎖構造から一本鎖構造に移行する際に増加する。この場合もやはり、この図を検討することにより、熱吸収が最大である約63℃を中心とする限られた狭い範囲(例えば、約5〜15度)の温度で移行が起こることが示される。したがって、先と同様に、約63℃(336 K)よりも高い温度において、この試料内のオリゴヌクレオチドは一般に一本鎖構造で存在すると見なされ得り、一方約63℃よりも低い温度において、オリゴヌクレオチドは一般に二本鎖構造で存在すると見なされ得る。
この移行(二本鎖DNAから一本鎖DNAへの)が図1A(56.5℃)の試料よりも図1Bの試料(約63℃)に関してより高い温度で起こるという観察は、当技術分野で周知のように、平衡を二本鎖核酸構造に向けて駆動する、図1Bにおけるより高いオリゴヌクレオチド濃度(180μM対2μM)に容易に起因し得る。
一般に、核酸のTmは、二本鎖核酸分子内のワトソン-クリック塩基対の半分が切断されまたは解離し(すなわち「融解」し)、ワトソン-クリック塩基対のもう半分が元の状態のままである温度である;すなわち、T=Tmの時点で切断塩基対の割合、θ(T)=0.5であると定義され得る。しかし、多くの場合、オリゴヌクレオチドおよび本発明で考慮する他の核酸の移行は、個々の核酸分子が、その塩基対がすべて元の状態のままである二本鎖核酸として、または核酸とその相補的配列間にワトソン-クリック塩基対がない一本鎖核酸として存在する「2状態」過程と考えられるまたは考えられ得る。任意の所与の温度における部分的に融解した分子の割合は、無視できるほど小さい。したがって、割合θ(T)は関心対象の試料中の一本鎖核酸分子の割合と見なされ得り、1-θ(T)は試料中の二本鎖核酸分子の割合と見なされる。そのような態様では、Tmは、核酸分子の半分が一本鎖構造であり、かつ核酸分子の半分が二本鎖構造である温度と同等に定義され得る。図1Aおよび1Bにそれぞれ示される例示的な融解曲線およびDSC曲線から、オリゴヌクレオチド(配列番号:45)の移行が、2つの構造状態:二本鎖DNAおよび一本鎖DNAの間の単一の移行を含む2状態過程であることが示される。Tmは、その移行の中間の温度である。したがって、図1Aに示したUV融解曲線または図1Bに示したDSC曲線等の試料の融解特性を検討することによって、核酸試料の融解温度が容易に得られ得る。前記の材料および方法の項も参照されたい。
前記の材料および方法の項に記載した方法に従って、配列番号:1〜92に記載の配列のそれぞれに相当するオリゴヌクレオチドおよびその相補的配列を合成し、精製した。キャピラリー電気泳動アッセイにより、試料はすべて90%を超える純度であることが確認され、質量分析により、各オリゴマーの実験上のモル質量は予測されるモル質量の0.4%以内であることが確認された。融解実験のため、前記の材料および方法の項に記載した通り、以下の表1に記載したオリゴヌクレオチド(配列番号:1〜92)のそれぞれを、その100%相補的配列と1:1モル比で混合した。次いで、68.9、119、220、621、および1020 mM Na+中の各オリゴマーについて融解特性を記録し、各特性から融解温度を抽出した。各試料の実験的に決定したTm値は、0.3 C以内で再現性があった。
各オリゴマーについて得られたTm値を以下の表1に提供する。便宜上、表1に明記する融解温度は、本発明の実施において好ましく用いられるケルビン(K)単位で記載してある。しかし当業者は、当技術分野において周知であり日常的に用いられる式(例えば、K=℃+273.15)を用いて、ケルビン単位と温度を測定する他の尺度または単位(例えば摂氏温度)を容易に変換し得ると考えられる。各オリゴマーについて、塩基の総数(N)およびG-C含量を含む配列情報もまた記録した。特に、ここではオリゴマーのG-C含量f(G-C)をグアニンまたはシトシンの塩基の割合と定義する。したがって、例えば、配列番号:1に記載のオリゴヌクレオチドは全部で15塩基対を含み(すなわちN=15)、そのうちの3つがグアニンまたはシトシンである。したがって、特定のオリゴマーのG-C含量は、f(G-C)=3/15=0.2によって得られ得るまたは提供され得る。各オリゴマーのヌクレオチド配列、塩基対の総数、およびG-C含量を、対応する配列番号と共に表1に提供する。
(表1)様々な[Na+]濃度で測定した融解温度
Figure 0004455334
Figure 0004455334
Figure 0004455334
Figure 0004455334
実施例2:
T m に及ぼす配列依存的な塩の影響
配列の組成および長さが核酸の融解温度Tmに及ぼし得る影響の最初の評価として、前記表1中の各オリゴヌクレオチドの実験的に決定した融解温度を、最小二乗解析の以下の直線回帰のいずれかに当てはめた:
Figure 0004455334
形式上、式6.1および6.2に類似している式は当技術分野において周知であり、特定の塩濃度に関する核酸融解温度を予測するために使用されている。しかし、これまでに記載されているこれらの式の種類は、一定であって核酸の長さまたは塩基組成に依存しない(すなわち、これらの影響を受けない)係数(すなわちm)を使用する。例えば、Schildrautら(Biopolymers 1965, 3:195-208)は、ナトリウムイオン濃度の関数として核酸の融解温度を推定するための、上記の式6.1に類似した式について記載している:
Figure 0004455334
Rychlikら、Nucl. Acids Res. 1990, 18:6409;IvanovおよびAbouHaidar、Analytical Biochemistry 1995, 232:249-251;およびWetmur, Critical Review in Biochemistry and Molecular Biology 1991, 26:227-259もまた参照されたい。上記の式6.3では、1 Mナトリウム塩中のオリゴマーの融解温度を基準融解温度として使用する(すなわち、Tm 0=Tm(1M))。この基準温度は測定してもよいし(例えば上記のように)、または例えばBreslaulerら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1986, 83:3746-3750の最近傍モデルにより、算出もしくは予測してもよい。SantaLuciaら、Biochemistry 1996, 35:3555-3562;およびSanta Lucia Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1998, 95:1460-1465もまた参照されたい。
他の研究者らは、上記の式6.3に類似しているが、m=16.6ではなくm=12.5という値を用いた式を使用した(SantaLuciaら、Biochemistry 1996, 35:3555-3562を参照のこと)。
または、オリゴヌクレオチド解離のエントロピー変化、ΔS゜をナトリウムイオン濃度の変化に関連づける式も提唱されている(Santa Lucia Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1998, 95:1460-1465を参照のこと):
Figure 0004455334
式中、Nはヌクレオチド二本鎖中のリン酸の総数を2で割ったものであり、ΔS゜(1M)は1 M Na+中での解離のエントロピーであり、これは適切な最近傍モデル(上記)を用いて算出することが好ましい。当技術分野では、融解温度、Tmをオリゴヌクレオチド解離のエンタルピーおよびエントロピー(それぞれΔH゜およびΔS゜)ならびに全オリゴヌクレオチド鎖濃度、CTに関連づける式もまた周知である(例えば、Santa Lucia、前記を参照のこと):
Figure 0004455334
塩条件の変化においてポリヌクレオチド解離のエンタルピーが変動しないと仮定する場合、上記の式6.4および6.5を容易に組み合わせ、Tmを塩濃度に関連づける別の式を導くことができる:
Figure 0004455334
式中、標準転移エンタルピー、ΔH゜は、適切な最近傍モデルを用いて算出することが好ましい。
上記のどの式も、検討している特定のポリヌクレオチド配列の内容を説明していない。実際に、ポリヌクレオチド解離の既存のモデルは、陽イオンが、各鎖のリン酸バックグラウンドの負電荷を部分的に中和することにより、ポリヌクレオチド二本鎖を安定化すると仮定している。(Shildkrautら、Biopolymers 1965, 3:195-208;およびSantaLuciaら、Proc. Natl. Acad. Sci 1998, 95:1460-1465を参照されたい)。そのようなモデルから、ポリヌクレオチド解離に及ぼす塩の影響は配列非依存的であることが示唆される。
しかし、本出願者らは、核酸の融解温度に及ぼす塩濃度の影響がそれ自体ヌクレオチド配列に依存することを確定した。この知見は、本実施例に記載する予備解析から容易に明らかである。表1の各オリゴマーの測定された融解温度を式6.1に当てはめた場合に、各オリゴマーに対する係数値mが得られる。このようにして各オリゴヌクレオチドについて得られた係数mを、オリゴマーのG-C含量f(G-C)の関数として図3にプロットする。先行技術および式6.3によって示唆されるように、融解温度に及ぼす塩濃度変化の影響が実際に配列非依存的であるならば、すべてのオリゴマーに対して同じ係数mが得られ、図3にプロットしたデータが水平線を形成することになる。しかし、図3を検討することにより、G-C含量が増加するにつれて係数mが実際に減少することが明白である。
図3では、15、20、25、および30塩基対長のオリゴマーのデータポイントを区別して表示してある。これらの異なる長さのすべてのオリゴマーに関して、係数mは同様の割合で減少する。したがってこれらのデータから、塩濃度の変化の影響は核酸の配列組成に依存するものの、核酸の長さには実質的に依存しないことが実証される。
図4は、表2の各オリゴマーの測定された融解温度を前記の式6.2に当てはめた場合に各オリゴマーに対して得られる係数mを、オリゴマーのG-C含量f(G-C)の関数として示す。この場合もやはり、融解温度に及ぼす塩濃度変化の影響が実際に配列非依存的であるならば(先行技術で用いられる式により示唆されるように)、この図にプロットしたデータは水平線を形成することになる。しかし、実際には、係数mはオリゴマーのG-C含量に対して直線的に増加する。図3と同様に、異なる長さのオリゴマーに関して、係数mはG-C含量と共に同様の割合で変化する。したがって、図4からもまた、塩濃度の変化の影響は核酸の配列組成に依存するものの、核酸の長さには実質的に依存しないことが実証される。
実施例3:
種々の塩濃度に関してT m をより性能よく予測するための式
異なる塩濃度がオリゴヌクレオチドの融解温度に及ぼす影響を評価するため、前記の表1に記載の実験的に決定した融解温度を、(1)塩濃度(本実施例において、[Na+]、および(2)オリゴヌクレオチド配列内容(例えば、f(G-C))に基づいた、融解温度を予測する様々な異なる式に当てはめた。一般的に言えば、式は以下の形式のうちの1つであった:
Figure 0004455334
上記の式6.7および6.8において、Tmは、一価の陽イオンの特定濃度、[Na+]において核酸に対して決定される融解温度を示す。Tm 0は、一価の陽イオンのある
「基準」濃度 [Na+](0)における核酸の融解温度を示す。典型的に、基準濃度として1 Mの値が選択される(すなわち、[Na+](0)=1 M)。しかし、基準濃度には任意の値も選択され得り、本発明を実施する当業者は、いつ他の基準濃度値を使用し得るか、およびどのような他の基準濃度値を使用し得るかを容易に理解すると考えられる。
基準融解温度、Tm 0は、陽イオンの基準濃度、[Na+](0)において核酸について実験的に決定される(例えば、上記の項6.1に記載されるように)融解温度であってよい。しかし、Tm 0の値は、陽イオンのある濃度における核酸の融解温度を決定するための、当技術分野において周知であり日常的に用いられる最近傍モデル等の方法を用いて算出してもよい。例えば、基準融解温度Tm 0は、例えば、SantaLuciaら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1998, 95:1460;またはそれほど好ましくはないがBreslauerら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1986, 83:3746-3750により記載されているような最近傍モデルを用いて算出してよい(最近傍モデルと関連して先に引用した参考文献もまた参照のこと)。予測された融解温度Tmおよび基準融解温度Tm 0は、ケルビン(K)で定めることが好ましい。
基準融解温度を理論的モデルから算出する態様では、典型的に、そのモデルのパラメータを特定の陽イオン濃度に対して(例えば、1 M Na+に対して)較正、最適化、またはさもなくば選択しておく。したがって、本発明を実施する当業者は、そのような態様で使用する陽イオンの基準濃度(すなわち、前記の式6.7および6.8における値[Na+](0) )が、好ましくはそれに対して理論的モデルのパラメータが検討された値であることを、容易に理解すると考えられる。
本発明の本実施例および最も好ましい態様において、一価の陽イオンはナトリウム陽イオンである。しかし、上記の式におけるナトリウム陽イオンの記号(すなわちNa+)の使用は、本発明の説明を単に単純化するために本明細書において行うものである。本明細書に示した式およびそれらが表し明らかにするアルゴリズムは、2〜3例を挙げるとリチウム陽イオン(Li+)、カリウム陽イオン(K+)、ルビジウム陽イオン(Rb+)、セシウム陽イオン(Cs+)、およびフランシウム陽イオン(Fr+)を含む、任意の一価の陽イオンの種々の濃度における融解温度を推定または予測するために使用し得る。
上記の実施例2で実証したように、核酸の融解温度に及ぼす塩濃度の影響は、それ自体核酸配列に依存する。さらに、本出願者らは、本明細書において実証するように、Tm値を予測または推定する際のそのような配列依存的影響が、核酸配列内容の関数である係数kを単に用いることにより説明され得ることを確定した。本発明の特定のおよび好ましい態様において、係数kは核酸のG-C含量f(G-C)の関数であってよい。
本発明を説明するために本明細書で用いる核酸のG-C含量、f(G-C)とは、グアニン(G)またはシトシン(C)のいずれかである核酸のヌクレオチド塩基の割合を指す。したがって、例えば、配列番号:1(前記の表1もまた参照のこと)に記載のオリゴマーは全部で15塩基対を含み(すなわちn=15)、そのうちの3つがグアニンまたはシトシンである。したがって、そのオリゴマーのG-C含量は:f(G-C)=3/15=0.2によって得られ得るまたは提供され得る。
式6.7および6.8の2つめの項(すなわち、項:b x (ln2[Na+](1)-ln2[Na+](0)) )は、例示的な二次多項式項である。好ましい態様においては、適切に選択した係数値bを伴うこの項を使用することによって、特定の塩条件下での核酸の融解温度を推定する場合に、より優れた精度かつより高い信頼性が提供される。
さらに別の態様においては、精度および信頼性がさらに高い塩補正融解温度を推定するために、式6.7〜6.8においてさらなる高次の多項式項を用い得る。したがって本発明は、三次、四次、および/またはさらに五次多項式項を任意に使用することもまた意図する。当業者は、数学の技術分野において周知である日常的な式および方法を用いて、本発明で使用する式を修飾し、より高次の多項式項を組み込むことができると考えられる。
当業者はまた、これらの式においてより高次の多項式項を使用する場合、最適な結果を得るために係数を再度最適化する必要があることを認識すると考えられる。したがって、例えば、式6.7および/または6.8において二次多項式項を用いる場合(すなわち、b≠0)、そのような高次の多項式を使用しない場合に(すなわち、b=0)選択される値とは一般に異なる係数kの値を選択する必要がある可能性がある。
式6.7および6.8に提供される式が、陽イオン濃度または陽イオン濃度の比の「自然対数」(すなわち、底e=2.1718の対数)に関して記載されていることにも留意されたい。熟練した使用者が容易に理解するであろうように、例えば計算がより単純になるであろう異なる底の対数(例えば、底10または底2の対数)を用いて計算を行なうことが、多くの場合好ましいと考えられる。式6.7および6.8ならびに本書類に記載の他の式および方程式の対数項は、単に係数を適切に調整することにより;より具体的には係数に適切な因子をかけることにより、そのような他の形式に容易に適合化し得る。当業者は、適切な因子を容易に得るまたは決定することができ、対数の係数に必要な調節を行なうことができると考えられる。したがって、他の底の対数を用いるこれらの式の種類は、本明細書に記載の方程式および式と数学的に同等であり、本発明のアルゴリズムおよび計算方法の別の表示または記述が単に提供されるだけである。実際に、数学の技術分野の当業者は、本発明にわたって記載される方程式および式が、数学的に同等である多種多様な方法で記述され得るまたは表示され得ることを理解すると考えられる。そのような数学的に同等な表示は、それらの方法からの逸脱ではなく、それらが表す計算方法の別の表示または記述を単に表すだけである。
上記の式6.7および6.8に関して、実験的に決定したTm値(前記の表1を参照のこと)のそれらの式への適合を最適化する係数kおよびbの値を選択した。まず、任意の二次多項式項(すなわち、項b x (ln2[Na+](1)-ln2[Na+](0)) )を削除した形式の式に(すなわち、b=0)、実験的に決定したTm値を当てはめた。核酸のG-C含量の一次関数である係数kが選択された:
Figure 0004455334
適合度を最適化する係数mおよびk0の定数値が選択された。二次解析では、任意の二次項を含む形式の式6.7および6.8に(b≠0)、実験的に決定したTm値を当てはめた。式6.9に記載の係数kの線形形式をやはり用いて、適合度を最適化する係数m、k0、およびbの定数値が選択された。
各解析においては、[Na+](0)=1.02 Mの基準塩濃度を使用し、基準融解温度、Tm (0)を、その陽イオン濃度において実験的に決定したオリゴマーの融解温度とした。既約(reduced)カイ二乗(χr22/v)により、および測定したTm値と、式を用いて予測した対応するTm値との平均相違である<|ΔTm|>AVEにより、適合度を評価した。カイ二乗適合度は、理論的分布と試料の観察されたデータを比較する。(William H. Pressら、Numerical Recipes in C: The Art of Scientific Computing 659-61 (第2版、1992))。したがって、χr2および/または<|ΔTm|>AVEの値が小さいということは、使用した式またはモデルによって、種々の塩濃度に関して正確かつ確実に実際の融解温度が予測されることを示す。
実験データを式6.7および6.8にそれぞれ適合させるための係数値を、それぞれの適合の既約カイ二乗値および<|ΔTm|>AVE値と共に表2に提供する。
(表2)実験的Tm値の実験に基づいた適合度
Figure 0004455334
前記の表1のデータを、ポリヌクレオチド融解温度に及ぼす塩の影響を推定するための、以前に記載されている式にも当てはめた。それらの式はそれぞれ、実施例2において本明細書で上記してある。
より具体的には、表1のデータを、係数m=16.6を用いる形式の前記の式6.1(Schildkraut、Biopolymers 1965, 3:195-208によって記載される)に当てはめ、また同様に係数m=12.5を用いる形式のその式(SantaLuciaら、Biochemistry 1996, 35:3555-3562を参照のこと)に当てはめた。さらに、データを前記の式6.6にも当てはめた。
これまでのように、各解析では基準塩濃度[Na+](0)=1.02 Mを使用した。基準融解温度、Tm (0)を、実験的に決定したオリゴマーの融解温度とした。式6.6のエンタルピーの項(すなわちΔH゜)は、最近傍モデルおよび1 M Na+濃度に対して最適化したパラメータを用いて、各オリゴマーについて算出した(SantaLuciaら、Proc. Natl. Acad. Sci. 1998, 95:1460-1465)。
既約「カイ二乗」値(χr22/v)により、および測定したTm値と式を用いて予測した対応するTm値との平均相違である<|ΔTm|>AVEにより、適合度を評価した。式6.1および6.6についての既約カイ二乗値および<|ΔTm|>AVE値を以下の表3に提供する。
(表3)先行技術の式に対する実験的Tm値の実験に基づいた適合度
Figure 0004455334
これらの結果から、ポリヌクレオチドの融解温度は、ヌクレオチド内容に依存する上記の式6.7および6.8等の式を用いることにより、より正確にかつ確実に推定し得ることが確認される。
したがって、核酸の融解温度を核酸の変性を実際に行なう塩条件に関連づける4つの新たな式を本明細書に提供する:
Figure 0004455334
Figure 0004455334
本発明と共にこれらの式のいずれか1つを用いて、例えばある塩条件における特定の核酸の融解温度を予測することができる。実際に、前記の表2および表3に示したデータから、これらの式およびアルゴリズムによって、従来の方法よりも優れた精度かつ信頼性で特定の核酸の融解温度が予測または推定され得ることが示される。
引用文献
本発明の説明において、特許、特許出願、様々な出版物を含む多くの参考文献を引用し考察する。そのような参考文献の引用および考察は、本発明の説明を単に明白にするために提供するものであり、そのような参考文献が本明細書に記載する本発明の「先行技術」であることを認めるものではない。本明細書で引用および考察する参考文献はすべて、それぞれの参考文献が個々に参照として組み入れられる場合と同程度に、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
(図1A)68.9 mM Na+緩衝液中に溶解したオリゴヌクレオチド
Figure 0004455334
とその相補鎖の2μM溶液についてのUV融解曲線を示す。
(図1B)68.9 mM Na+緩衝液中に溶解したオリゴヌクレオチド
Figure 0004455334
とその相補鎖の90μM溶液についての示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す。
(図2)本発明の解析法を実行するために使用し得る例示的なコンピュータシステムを示す。
(図3)複数の異なるオリゴマー(配列番号:1〜80)のそれぞれの実験的に決定した融解温度(Tm)をlog[Na+]の一次関数に当てはめ、それらに関して得られた勾配を、各オリゴマーのG-C含量f(G-C)の関数としてプロットしたものを示す。各オリゴマーの融解温度を68.9、220、621、および1020 mMの推定ナトリウム陽イオン濃度中で測定したが、その融解温度を表1に記載する。
(図4)複数の異なるオリゴマー(配列番号:1〜80)のそれぞれについて実験的に決定した融解温度の逆数(すなわち1/Tm)をlog[Na+]の一次関数に当てはめた場合に得られる、G-C含量f(G-C)の関数としての勾配を示す。

Claims (31)

  1. 既知のG-C含量値、f(G-C)を有するポリヌクレオチドの、所望のイオン濃度[X+]における融解温度(Tm)を推定する方法であって:
    (a) 基準イオン濃度[X+]0におけるポリヌクレオチドに対して得られるかまたは提供される融解温度である、ポリヌクレオチドの基準融解温度(Tm 0)を得る段階;および
    (b) G-C含量値の関数である係数を掛けた、該基準イオン濃度に対する該所望イオン濃度の比の対数により、基準融解温度を修正する段階
    を含み、推定融解温度が基準融解温度を用いて算出される方法。
  2. 既知のG-C含量値、f(G-C)を有するポリヌクレオチドの、所望のイオン濃度[X+]における融解温度(Tm)を推定する方法であって:
    (a) 基準イオン濃度[X+]0におけるポリヌクレオチドに対して得られるかまたは提供される融解温度である、ポリヌクレオチドの基準融解温度(Tm 0)を得る段階;および
    (b) 量
    Figure 0004455334
    (式中、係数k(f(G-C))はG-C含量値f(G-C)の関数である)
    により、基準融解温度を修正する段階
    を含み、推定融解温度が基準融解温度を用いて算出される方法。
  3. 係数kが関係式
    Figure 0004455334
    (式中、第一係数mおよび第二係数k0は、ポリヌクレオチドの融解温度Tm 0を予測するために最適化される)
    によって決まる値を有する、請求項2記載の方法。
  4. 式:
    Figure 0004455334
    に従い、基準融解温度Tm 0を用いてTmを算出する、請求項2記載の方法。
  5. 係数kがk(f(G-C))= m・f(G-C)+k0であり;かつ第一係数mおよび第二係数k0が、ポリヌクレオチドの融解温度Tm 0を予測するために最適化される、請求項4記載の方法。
  6. 式:
    Figure 0004455334
    に従い、基準融解温度Tm 0を用いてTmを算出する、請求項2記載の方法。
  7. 係数kがm・f(G-C)+k0であり、かつ第一係数m、第二係数k0、および第三係数bがポリヌクレオチドの融解温度Tm 0を予測するために最適化される、請求項6記載の方法。
  8. mが-3.22であり、k0が6.39である、請求項5記載の方法。
  9. mが-4.62であり、k0が4.52であり、かつbが-0.985である、請求項7記載の方法。
  10. 式:
    Figure 0004455334
    に従い、基準融解温度Tm 0を用いてTmを算出する、請求項2記載の方法。
  11. 係数kが関係式kf(G-C))= m・f(G-C)+k0によって決まる値を有し、かつ第一係数mおよび第二係数k0がポリヌクレオチドの融解温度を予測するために最適化される、請求項10記載の方法。
  12. 式:
    Figure 0004455334
    を利用することにより、基準Tm 0から融解温度が得られる、請求項2記載の方法。
  13. 係数kがm・f(G-C)+k0であり、かつ第一係数mおよび第二係数k0および第三係数bがポリヌクレオチドの融解温度を予測するために最適化される、請求項10記載の方法。
  14. k0が-6.18 x 10-5であり;mが3.85 x 10-5である、請求項11記載の方法。
  15. k0が-3.95 x 10-5であり;mが4.29 x 10-5であり;かつbが9.40 x 10-6である、請求項13記載の方法。
  16. G-C含量値が、ポリヌクレオチドの、グアニンまたはシトシンのいずれかであるヌクレオチド塩基の割合である、請求項2記載の方法。
  17. ポリヌクレオチドがDNAである、請求項1記載の方法。
  18. ポリヌクレオチドの長さが2〜500塩基対の範囲である、請求項1記載の方法。
  19. ポリヌクレオチドの長さが5〜200塩基対の範囲である、請求項1記載の方法。
  20. ポリヌクレオチドの長さが10〜30塩基対の範囲である、請求項1記載の方法。
  21. 基準融解温度が実験的に決定される、請求項1記載の方法。
  22. 基準融解温度が理論的モデルから算出される、請求項1記載の方法。
  23. 基準融解温度が最近傍モデルを利用して得られる、請求項1記載の方法。
  24. 基準イオン濃度が1 Mである、請求項1記載の方法。
  25. イオンが一価のイオンである、請求項1記載の方法。
  26. イオンが、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびフランシウムの陽イオンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  27. 所望のイオン濃度が1 mM〜5 Mの範囲である、請求項1記載の方法。
  28. 所望のイオン濃度が10 mM〜2 Mの範囲である、請求項1記載の方法。
  29. 所望のイオン濃度が70 mM〜1021 mMの範囲である、請求項1記載の方法。
  30. (a) メモリ;および
    (b) 1つまたは複数のソフトウェア成分がロードされたメモリと相互接続されたプロセッサ
    を含み、1つまたは複数のソフトウェア成分が請求項1記載の方法の段階をプロセッサに実行させる、融解温度を予測するためのコンピュータシステム。
  31. コンピュータ可読形式でコード化された1つまたは複数のソフトウェア成分を有するコンピュータ可読媒体であって、1つまたは複数のソフトウェア成分が、コンピュータシステムのメモリにロードされ、かつ該メモリに相互接続されたプロセッサに請求項1記載の方法の段階を実行させ得る、コンピュータ可読媒体
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