JP4453966B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
ところで、側面衝突対策用のエアバッグ装置は、古くは1つのエアバッグ全体を一様に膨張させるものであったが、この構成で側面衝突時におけるエネルギを十分に吸収しようとすると、この構造では、とくに腰部分のみを真っ先に保護するためには適当ではなく、側面衝突対策としては十分ではなかった。
この側面衝突用エアバッグ装置では、シートクッション側部から上下方向に展開した側面衝突用エアバッグは、まず、乗員の腰の高さまで膨らんで乗員の腰を保護し、それから胸部の高さへと展開していく。
したがって、この構成では側面衝突用エアバッグ膨張後において、その圧力を身体の部位に合わせた最適なものに調整することはできないという問題がある。
しかしながら、このエアバッグ装置では逆止弁を別途作成し、かつそれを取り付け可能な大きさの隔壁に固着しなければならず部品点数が増え、小さなガス通路を必要とする形状では連通部が確保できない等の問題がある。
また、第2の目的はこれらの機能を備えたエアバッグ装置を簡易な構成により得ることである。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたエアバッグ装置において、前記第1の気室のベントホールが第1の気室の前端に設けられていることを特徴とするエアバッグ装置である。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載されたエアバッグ装置において、インフレータからのガスを前記第2の気室に分配する第2の連通孔は、ディフューザの内圧が前記第2の気室の内圧よりも小さくなったとき、その圧力差により閉塞されることを特徴とするエアバッグ装置である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記第2の連通孔と前記第1のテザーとの間に、前記ガスの一部を第2の気室の前部に逃がす間隙が形成されていることを特徴とするエアバッグ装置である。
1.エアバッグ展開時に、第2の気室により多くのガスを流入し、ガスはテザーによって形成された管状の通路中を上昇し、頭部保護領域を後方から前方に回りこむように流れるから、第1のテザーがガスをガイドして、エアバッグが頭部後方から展開するため、乗員の頭部を迅速かつ確実に保護することができる。
また、エアバッグ展開時における第1の気室の圧力を外部に逃がすことで、乗員に与える衝撃を吸収するから、エアバッグによる乗員の損傷を防止することができる。
2.本発明では、エアバッグを縫製する際に、表裏の基布を互いに縫合してテザーを形成するから、エアバッグの縫合と同時にガス導入路が形成でき製造コストを抑制することができる。
図1は側面衝突用エアバッグ装置の全体構成を説明するための概略断面図である。
図示のように、側面衝突用エアバッグ装置1のエアバッグ10は、エアバッグ用に通常用いられる樹脂コーティングを施した例えばポリアミド、ポリエステル等の合成繊維織物で全体を表側及び裏側の基布10aと10bをその周縁部全体に沿った縫合線10cで縫合して形成されており、更に、前記表側及び裏側の基布10a及び10bを縫合する縫合線10cから分岐した別の縫合線10dにより横に延びた第1の気室である胸部(又は腰部)保護用の下部気室12とそれよりも細幅で縦に延びた頭部保護用の第2の気室である上部気室14とに分割されている。
図示のように、この部分には所定の幅及び長さを有する基布を折り返し、折り返し部分40aを上側、即ちインフレータ20の方向と反対向きにしてその下端部40c及び両側端部40bをエアバッグ10を構成する表側及び裏側の基布10a及び10bと共に縫合して形成した仕切部40が設けられている。
この仕切部40の前記折り返した上縁部分には、インフレータ20からのガスを上部気室14内に導入するための後述する第2の連通孔40e(例えば、図3A参照)がこの実施形態では並んで2個形成されている。
図3Aはインフレータ20の作動当初において、下部気室12内の圧力が上部気室14内のそれよりも高い状態を示しており、この状態では下部気室12側の圧力により仕切面は外側に膨張しようとする力が作用するから、仕切部40の第2の連通孔40eが開き、下部気室12から上部気室14に向かってガスが流入する。
なお、40dはテザーであって、仕切部40の前に折り返した上縁部分をエアバッグ10を構成する一方の基布に結合している。このテザー40dは上部気室の圧力が下部気室の圧力よりも高くなったときにその反転を防止するためのものであり、折り返し部以外の部分が全てエアバッグの基布に縫着されている本実施形態では省略することもできる。
本実施形態の側面衝突用エアバッグ装置1は、例えば車両のシートのクッション材等適宜の位置に収納されており、車両の側面に衝突による衝撃が加わると、これを衝撃センサ(図示せず)が検知して、インフレータに対してエアバッグを展開させるための起爆信号を送る。インフレータは起爆信号に応じてガスを噴出する。
上部気室内14に導入されたガスは、上述のように、上部気室14の管状の通路14aに沿って先ず上に向かって流れ、第1のテザー50とエアバッグ上端との間の間隙G1を通って、乗員の頭部の後ろ側から前方に回り込むように流れ、続いて前方から下方に向かって流れる。そのため上部気室14は、まず下部気室12に接する部分から乗員の腕に沿ってさらに肩から側頭部に沿って後方から前方に向かって順に膨張する。つまり側面衝突が発生すると先ず乗員の腰の部分を保護し、続いて腕に沿って肩さらに側頭部と順にその保護領域を拡大していくから、乗員の腰、腕、頭の順に固定して最も安全に保護することができる。
その結果、上部気室14内の圧力はほぼ所定の最高値に維持され、そのため腰部よりも軽く、従って長時間固定状態に保持する必要がある頭部を十分に保護することができる。
図1に示した側面衝突用エアバッグ装置との違いは、仕切部40’がディフューザ30’とを一体に形成し、それによって部品点数を一層減少するようにしていることである。
その他の構成は図1に示したものと同様であり、同様の部分には「’」を付した同様の番号を付与している。
なお、実際の製作に当たっては、仕切部40’とディフューザ30’を一体に作成するとエアバッグ装置1’の袋体の表裏両面に縫いつけることが不可能であるので、本実施形態ではディフューザ30’の上端部30’aを仕切部40’中に嵌合して一体化した構成を採っているが、本発明は、縫いつけ以外の固着手段、例えば接着等を用いることにより、エアバッグ装置の袋体の表裏両面に一体のまま取り付けることも包合している。
Claims (4)
- 腰部又は胸部保護用の第1の気室と、頭部保護用の第2の気室と、その間に介在しインフレータからのガスを前記第1と第2の気室にそれぞれ分配するディフューザと、ディフューザにより分配されたガスを第1及び第2の気室内へ導入する第1及び第2の連通孔とを有し、
前記第1の気室は、前記ディフューザの前部に設けられ、該第1の気室には、前記第1の連通孔から第1の気室内に導入されるガスによる圧力を緩和するベントホールが形成され、
前記第2の気室は、前記ディフューザの上部に設けられ、第2の連通孔から第2の気室に吹き出したガスを、エアバッグの頭部保護領域の後方から前方に回り込むように案内する第1のテザーを有し、前記第1の連通孔の開口面積は第2の連通孔の開口面積よりも小さく形成されていることを特徴とするエアバッグ装置。 - 請求項1に記載されたエアバッグ装置において、
前記第1の気室のベントホールが第1の気室の前端に設けられていることを特徴とするエアバッグ装置。 - 請求項1または2に記載されたエアバッグ装置において、
インフレータからのガスを前記第2の気室に分配する第2の連通孔は、ディフューザの内圧が前記第2の気室の内圧よりも小さくなったとき、その圧力差により閉塞されることを特徴とするエアバッグ装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
前記第2の連通孔と前記第1のテザーとの間に、前記ガスの一部を第2の気室の前部に逃がす間隙が形成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
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