JP4453279B2 - ガスケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスケットに関するもので、特に樹脂製のカムカバーやインテークマニホールド、その他取付溝形成面が樹脂製である場合に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、省スペース化、軽量化等を目的とし、ガスケットが取り付けられる相手部品の樹脂化、小型化が進んでいる。
【0003】
このため、樹脂化により相手部品の公差拡大が生じ、ガスケットのつぶし率を確保するようにガスケットの高さを高くする必要があり、小型化による取付溝の溝幅の制限が生じ、取付溝に装着されるガスケットの幅を狭くする必要がある。
【0004】
よって、近年、図4に示すように、ガスケット101は、幅よりも高さが大きくなる縦長断面形状とすることで対応することが増加している(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、縦長断面形状のガスケット101では、姿勢が不安定で強度が弱いため、相手部材に対向面102が突き合わされると、倒れ(図5)や座屈(図6)の懸念があった。
【0006】
そのガスケットの倒れや座屈の対策として、図7に示すように、ガスケット101に所定間隔おきに倒れ防止突起103を設けることがなされていた(特許文献2参照)。
【0007】
また、ガスケットの倒れや座屈を防止してしまうために、図8に示すように、ガスケット201を自己修復性を有する形状とすることも考えられた(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
実開平6−65662号公報
【特許文献2】
特許3346099号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の相手部品の溝の小型化はさらに進んでおり、図7に示す倒れ防止突起103を有するガスケット101でも、ガスケット101の断面積が小さくなり過ぎ、倒れ防止突起103に剛性がなく、倒れを防止できなくなってきた。
【0010】
また、図8に示す自己修復性を有する形状のガスケット201とすることは、近年の相手部品が樹脂製で相手部品の取付溝に大きな公差が生じていると、高さが小さ過ぎて要求されるガスケットのつぶし率を満たすことができないものであり、形状も近年要求されるものから乖離してしまっていた。さらに、図8に示す自己修復性を有する形状のガスケット201は、ガスケットの高さ方向で非対称となっており、小型化された断面積が小さいものでは、装着方向の判別がし難く、取付溝への装着間違いが起こり易いという問題があった。
【0011】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたもので、その目的は、縦長断面形状のガスケットの倒れや座屈を防止するガスケットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明者は、取付溝の直線状の部分に装着された両側に隙間のある縦長断面形状のガスケットには倒れや座屈が生じるが、取付溝の曲線状の部分については縦長断面形状のガスケット自身も曲がって配置されていることで、耐圧縮性が向上し、倒れや座屈がないことに着目した。そして、取付溝が直線状である場合にも、ガスケットを曲げて配置してしまうことで倒れや座屈を防止できるという着想を得た。特に、直線状の取付溝でガスケットを曲げるという着想を、ガスケットを取付溝の幅方向で蛇行させることで発明を具現化した。
【0013】
具体的には、本発明のガスケットは、2対向面のいずれか一方に形成された取付溝内に装着される溝深さ方向に縦長断面形状のガスケットであって、直線状に延びる取付溝に対して溝幅方向蛇行した状態で装着され、かつ取付前の状態における蛇行幅が取付溝の溝幅と略等しくなるように構成されることを特徴とする。
【0015】
したがって、取付溝が直線状に延びる範囲でガスケットが溝幅方向で蛇行しているため、直線状に延びる取付溝内でガスケットを曲げて配置でき、ガスケットの耐圧縮性を向上し、縦長断面形状のガスケットの倒れや座屈を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0017】
図1〜図3を参照して、実施形態に係るガスケットについて説明する。図1は実施形態に係るガスケットを示す平面図である。図2は実施形態に係るガスケットが取付溝内に嵌め込まれた時の状態を示す断面図である。図3は実施形態の他の例に係るガスケットを示す平面図である。
【0018】
本実施形態のガスケット1は、取付溝2が形成された樹脂製のハウジングとしての樹脂製インテークマニホールドの表面と、この樹脂製インテークマニホールド表面に対向する不図示のヘッドカバー部の対向面と、の2対向面を突き合わせた状態で使用するものである。
【0019】
ここで、樹脂製インテークマニホールドは、射出成型により作成され、その後の加工もない。このため、射出成形時に、取付溝2も形成されるが、その溝平面度は悪く、公差も大きい。また、近年の小型化要求によって、溝幅は制限されている。
【0020】
よって、この取付溝2に装着される本実施形態のガスケット1は、悪い溝平面度や大きな公差を吸収するためつぶし率を確保するように高さを高くし、取付溝2の溝幅制限に対応してガスケット1の幅を狭くして、幅よりも高さが大きくなる縦長断面形状、具体的には取付溝2の底面と対向面とに挟まれた方向(溝深さ方向)を長軸とする楕円型断面形状である(図2参照)。
【0021】
また、ガスケット1の楕円型の断面は、反転装着が可能なように、取付溝2の底面と対向面とに挟まれた方向で、中央部を基準に対称形状をしている。
【0022】
なお、本実施形態では、ガスケット1の断面形状を図2に示す楕円型の断面としたが、これに限られず、楕円型の断面の他、取付溝2の底面と対向面とに挟まれる縦長断面形状であれば、特に断面形状は限定されるものではない。また、好ましくは反転装着が可能なように、取付溝2の底面と対向面とに挟まれた方向で、中央部を基準に対称形状であることがよい。
【0023】
そして、本実施形態のガスケット1は、図1に示すように、直線状に延びる取付溝2に装着したガスケット1が取付溝2の溝幅方向に蛇行している。ガスケット1の蛇行形状はガスケット1の成形時に形成され、ガスケット1は取付溝2に装着される前であっても蛇行している。
【0024】
このガスケットが蛇行する蛇行幅は、取付溝2の溝幅と略等しく、詳しくは、溝幅MIN(最小溝幅)=蛇行幅MAX(最大蛇行幅)となっている。このように、ガスケット1の蛇行幅が取付溝2の溝幅と略等しいと、取付溝2と干渉させずに済み、ガスケット1の取付溝2への装着を良好に行える。
【0025】
ここで、このガスケット1は、図1(a)に示すように、全体として環状をしており、使用状態では内周側を密封空間とする。
【0026】
ガスケット1は、図2に示すように、樹脂製インテークマニホールドに形成された取付溝2に嵌め込まれる。そして、樹脂製インテークマニホールドの取付溝2の開口した樹脂製インテークマニホールド表面と、それに対向するヘッドカバー部の対向面(不図示)とを突き合わせた際に、ガスケット1は取付溝2から突出した突出端部側からヘッドカバー部の対向面で圧縮されてシールを行う。
【0027】
ここで、図2(a)〜(c)は、ガスケット1の蛇行部分の異なる位置の断面を示している。図2(a)は図1(b)のD1位置でガスケット1の図示左側面を取付溝2に接触させた場合であり、図2(b)は図1(b)のD2位置でガスケット1を取付溝2の中央に位置させる場合であり、図2(c)は図1(b)のD3位置でガスケット1の図示右側面を取付溝2に接触させた場合である。即ち、蛇行によって、ガスケット1は、図2(a)〜(c)の断面状態をガスケット1の周方向で所定間隔おきに行って、ガスケット1の両側面を交互に一方づつほぼ等間隔に取付溝2に接触させる。
【0028】
ガスケット1は、上記の蛇行を取付溝2が直線状に延びる部分で行うため、直線状の取付溝2内でガスケット1を曲げて配置できるので、耐圧縮性が向上し、ガスケット1の倒れや座屈が防止できる。
【0029】
このガスケット1は、蛇行のピッチ(図1(b)のA)やRの大きさ(図1(b)のB)について、より細かくする方が倒れ防止効果は向上する。しかし、ガスケット1の周長が増加すると、ガスケット1の取付溝2内への体積充填率が増加するため、体積充填率を最大100%以内とするようにする必要がある。本実施形態では、体積充填率を約97%となるようにしている。
【0030】
なお、本実施形態では、ガスケット1の蛇行は円弧を描くように曲げて形成したが、これに限られず、円弧を描く曲げの他、図3に示すように角張って鋸歯のように角を持たせて曲げることでもよく、ガスケット1が取付溝2の溝幅方向で振られて曲がっている形状であれば、特に蛇行の種類は限定されるものではない。
【0031】
以上説明した本実施形態では、取付溝2が直線状に延びる範囲でガスケット1が溝幅方向で蛇行しているため、直線状に延びる取付溝2内でガスケット1を曲げて配置でき、ガスケット1の耐圧縮性を向上し、縦長断面形状のガスケット1の倒れや座屈を防止することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、縦長断面形状のガスケットの倒れや座屈を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施形態に係るガスケットの全体を示す平面図である。(b)は実施形態に係るガスケットの蛇行部分の1ピッチを示す平面図である。
【図2】(a)は実施形態に係るガスケットの図示左側面を取付溝に接触させた場合の断面図である。(b)は実施形態に係るガスケットを取付溝の中央に位置させる場合の断面図である。(c)は実施形態に係るガスケットの図示右側面を取付溝に接触させた場合の断面図である。
【図3】実施形態の他の例に係るガスケットの直線状の取付溝部分を示す平面図である。
【図4】従来技術の縦長断面形状のガスケットを示す断面図である。
【図5】従来技術のガスケットの倒れ状態を示す断面図である。
【図6】従来技術のガスケットの座屈状態を示す断面図である。
【図7】従来技術の倒れ防止突起を有するガスケットを示す断面図である。
【図8】従来技術の自己修復性を有する形状のガスケットを示す断面図である。
【符号の説明】
1 ガスケット
2 取付溝

Claims (2)

  1. 2対向面のいずれか一方に形成された取付溝内に装着される溝深さ方向に縦長断面形状のガスケットであって、
    直線状に延びる取付溝に対して溝幅方向蛇行した状態で装着され、かつ取付前の状態における蛇行幅が取付溝の溝幅と略等しくなるように構成されることを特徴とするガスケット。
  2. 2対向面間の高さ方向で対称形状であることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
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