JP4453258B2 - 回転しごき加工性に優れた熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

回転しごき加工性に優れた熱延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、産業機械等の軸対称形状の部品に適用可能な回転しごき加工性に優れた熱延鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等の駆動系部品の中で、クラッチ、ハブ、キャリア等の軸対称形状の部品は、極めて複雑な形状を有している。従来、これらの部品は、鋳造、鍛造、もしくはプレス等により成形した部品、又は棒鋼を切削加工した部品等を、個別成形して電子ビーム溶接で一体化することによって製造されていた。そのため、部品点数および製造工程が多くなり、製造コストおよび在庫管理コストが膨大となっていた。
【0003】
近年、このような部品に対し、製造コストの低減を狙って、鋼板を用いた一体成形が積極的に行われ、ドライブプレート一体型リングギア等、比較的簡単な形状の部品においては、プレス成形により製造されている。
【0004】
このような、加工性向上を狙った熱延鋼板として、例えば、特許文献1には、鋼板としての機械的性質の低下を招くことなく、摺動性を向上させた、成形性に優れる熱延鋼板とその製造方法が提案されている。これは、鋼板の組織が再結晶フェライト相であって、かつ鋼板表層部におけるフェライト相の平均結晶粒径を10μm未満、鋼板内部のフェライト相の平均結晶粒径を10μm以上とする。また、この熱延鋼板を、粗圧延で得られたシートバーを表面温度(Ar3点+50〜200℃)から(Ar3点−20〜300℃)まで、0.1 秒以内で強制冷却し、引き続き仕上げ圧延を5秒以内に開始し、圧延終了温度:Ar3点〜(Ar3点+100℃)の450〜600℃で巻き取ることにより製造するというものである。
【0005】
また、特許文献2には、低炭素鋼における加工性の優れた熱延鋼板とその製造方法が提案されている。これは、低炭素鋼をAr3 点以下750℃の温度域で仕上圧延を終了した後、600〜750℃の温度域で巻き取り、中心層と表層における(222)面強度の比を2以内とすることを特徴とする加工性の優れた熱延鋼板とその製造方法というものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平9-137248号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平9-125195号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
最近では、従来は成形困難であった部品の中で、板厚を部分的に厚くしたりあるいは薄くする成形、さらにそれらを複数施すような極めて複雑な部品に対して、回転しごき加工技術の進歩により、一体成形化が可能となりつつある。このような加工は、極めて加工度が高く、極限での変形能が要求される。また、回転しごき加工では、部品形状に加工した後の部品の特性として、加工硬化による成形部分の強度上昇を見込むので、十分な加工硬化特性を有することも同時に要求される。
【0009】
しかしながら、上記の従来技術は、回転しごき加工のように強度の加工を受ける場合の局部変形能を考慮したものではなく、まして、回転しごき加工における加工硬化挙動について明確に開示するものでもない。
【0010】
例えば、特許文献1記載の技術は、プレス加工におけるプレス型と材料の摺動性の向上については記載されているが、しごき加工については記載されていない。
【0011】
特許文献2記載の技術は、均一伸びの向上について記載されているが、そのためには熱延の仕上温度をAr3以下とする必要がある。しかし、このような変態点以下の圧延は、強い集合組織を形成するため、面内異方性の増加が避けられないという問題がある。
【0012】
本発明は以上の問題点を解決し、回転しごき加工時の割れを防止し、加工後の製品パフォーマンスとして重要となる加工硬化特性を具備した、回転しごき加工性にすぐれた熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は次の発明により解決される。その発明は、化学成分として、質量%で、C:0.004〜0.015%、Si:0.3%以下、Mn:0.3〜2.5%、P:0.08%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.06%以下、N:0.007%以下、Nb:0.03〜0.15%、を含有し、かつ(Nb/93)/(C/12):0.5〜3であり、残部が鉄および不可避的不純物からなり、ミクロ組織がフェライト粒径10μm以下のフェライト単相組織からなり、引張強度TS(MPa)および化学成分が下記の関係を満たすことを特徴とする回転しごき加工性に優れた熱延鋼板である。
【0014】
(Nb/93)/(C/12)≧1の場合:
TS≧10000[C-0.004]+130Si+30Mn+1150P+350 (1)
(Nb/93)/(C/12)<1の場合:
TS≧10000[(12/93)Nb-0.004]+130Si+30Mn+1150P+350 (2)
但し、式中の元素記号はそれぞれの質量%を表す。
【0015】
さらに、上記化学成分に加えて、B:0.0005〜0.003%を含有し、(Nb/93)/(C/12):0.9〜3としたことを特徴とする回転しごき加工性に優れた熱延鋼板とすることもできる。またさらに、上記化学成分に加えて、Ti:0.05%以下を含有することを特徴とする回転しごき加工性に優れた熱延鋼板とすることもできる。
【0016】
これらの発明は、優れた回転しごき加工性を有する鋼板を開発するため、特に化学成分および組織に着目して詳細な検討を行った結果なされた。検討の過程で次のことを見出し、本発明に至った。
【0017】
極限的な強加工下において、割れの発生を回避するため、ボイドの起点を極力低減する。複合組織の場合、相界面に歪が集中してボイドの起点となり好ましくないので、マルテンサイトやベイナイト等の硬質相によらず、フェライト単相組織とする。
【0018】
さらに、フェライト相を細粒化(粒径10μm以下)とすることで強加工時の粒界への歪集中によるボイドの発生を低減させる。そのために、Nbを添加し、組織微細化を図る。それと同時に、高強度を得るため、Nb添加による析出強化を積極的に活用する。その場合、加工硬化特性の観点からは、Nb析出物のサイズを10nm程度あるいはそれ以下に微細化しておく。
【0019】
以下、発明の個々の限定理由について説明する。
【0020】
C:0.004〜0.015%
Cは、NbCを析出させて所望の強度を確保するために必須の元素である。C量が0.004%未満では、NbCが十分に析出せず、この効果が得られない。一方、C量が0.015%を超えると、パーライトやセメンタイトが析出し易くなり、回転しごき加工時の割れの起点が増加するため成形性を劣化させる。従って、C量を0.004〜0.015%の範囲内とする。
【0021】
Si: 1.0%以下
Siは、固溶強化能が高いため、フェライト単相組織を維持したままで高強度化するのに有効な元素である。そのためにはSi量を0.05%超とすることが好ましい。一方、Si量が増加すると、表面性状が劣化し、スケール疵等が回転しごき加工時の割れの起点となり易くなる。更に、Siはフェライトフォーマー元素であり、1.0%を超えるとAr3変態点上昇のため、フェライト粒の微細化が困難となる。従って、Si量を1.0%以下とする。
【0022】
Mn: 0.3〜2.5%
Mnは、固溶強化元素であると同時に、オーステナイトフォーマー元素であり、Ar3変態点を低下させてフェライト粒の微細化に寄与する。この結晶粒微細化効果は、Mn量が0.3%未満では得られない。さらに結晶粒微細化効果を確実に得るには、0.7%以上とすることが好ましい。一方、Mn添加量が2.5%を超えると、ベイナイトやマルテンサイト等の低温変態相が生成しやすくなり、本発明の目的とするフェライト単相組織が得られなくなる。従って、Mn量は0.3〜2.5%とする。
【0023】
P: 0.08%以下
Pは、Siと同様に、固溶強化能が高く、フェライト単相組織のままで高強度化するのに有効な元素である。しかし、Pはフェライトフォーマー元素であり、0.08%を超えて添加すると、フェライト粒の微細化が困難となる。従って、P量を0.08%以下とする。
【0024】
S: 0.01%以下
Sは、不純物であり、含有量が高いとMnSの体積率が増加し、回転しごき加工時の割れの起点が増加する。そのためS量が0.01%を超えると、しごき加工性が劣化する。従って、S量を0.01%以下とする。なお、しごき加工性の劣化を完全に防止するには、S量を0.008%未満とすることが好ましい。
【0025】
Nb: 0.03〜0.15%
Nbは、フェライト粒を細粒化し、かつNbCの析出強化により所望の強度を得るために、極めて重要な元素である。この効果は、Nb量が0.03%以上で得られる。一方、0.15%を超えてNb を添加しても、析出強化の効果が飽和するばかりか、熱間圧延時の析出が著しくなり組織の不均一が生じやすくなる。そのため、加工性が劣化するのみならず、巻取り中に析出物が粗大化し、製品における所望の加工硬化特性が得られなくなる。従って、Nb量は0.03%〜0.15%の範囲内とする。
【0026】
NbとCの比:原子当量比で0.5〜3
本発明では、NbCの析出状態を制御するため、上記NbとCの含有量の比を所定の範囲内とする。NbとCの比が、原子当量比(Nb/93)/(C/12)で0.5未満であると、NbCの析出の駆動力が低下して析出量が不十分となる。そのため、残存するC量が多くなり、セメンタイトやパーライトが生成して加工性が劣化する。一方、この原子当量比で3を超えてNb を添加しても、析出強化の効果が飽和し、過剰な添加は組織の不均一を招いて加工性を劣化させる。
【0027】
B:0.0005〜0.003%
本発明では、上記NbとCの原子当量比が高い場合、Bを添加することもできる。フェライト単相組織で(Nb/93)/(C/12)が0.9以上になると、フェライト粒界の固溶Cが減少し、それに伴い粒界の強度が低下する。そのため、加工度が高い場合に粒界が割れの起点となり易くなる。そこで、これを回避するため、Bを添加することにより粒界の強度低下を防止する。この効果は、B量が0.0005%以上で得られる。一方、0.003%を超えてBを添加してもこの効果が飽和する。従って、Bを添加する場合は、(Nb/93)/(C/12)を0.9以上とし、B量を0.0005〜0.003%の範囲内とする。
【0028】
sol.Al: 好ましくは0.06%以下
sol.Alは通常の鋼に含有される量、即ち0.06%までであれば、本発明の効果を損なわない。従って、sol.Al量を0.06%以下とすることが好ましい。
【0029】
N: 好ましくは0.007%以下
Nは通常の鋼に含有される量、即ち0.007%までであれば、本発明の効果を損なわない。従って、N量を0.007%以下とすることが好ましい。
【0030】
上記以外のその他の元素については、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。例えば、鋼の高強度化を目的として、Tiを添加する場合は0.05%以下、Cr,Mo等の固溶強化元素は0.5%以下、とすれば特に問題ない。一方、Sn,Sb,Cu等のいわゆるトランプエレメントについては、0.05%以下とすることが望ましい。なお、以上の説明において「残部が実質的に鉄」とは、発明の効果を損なわない限り、不可避的不純物をはじめ、他の微量元素を含有するものが本発明の範囲に含まれることを意味する。
【0031】
化学成分については上述の限定に加えて、本発明では、化学成分と引張強度の関係を規定する。それは、前記の式(1)および(2)のように、
(Nb/93)/(C/12)≧1の場合:
TS≧10000[C-0.004]+130Si+30Mn+1150P+350 (1)
(Nb/93)/(C/12)<1の場合:
TS≧10000[(12/93)Nb-0.004]+130Si+30Mn+1150P+350 (2)
を満足させることである。
【0032】
これらの式は、化学成分から算出されるNbCによる析出強化量とSi,Mn,Pによる固溶強化量に対して、実際の引張強度が高いことを示している。すなわち、Nbが原子当量比でCより多い場合は、NbCの析出量(体積率)がC量により決まるので、析出強化量は式(1)のようになり、逆の場合は析出量がNb量により決まるので、Nb量をC当量に換算した式 (2)のようになる。
【0033】
いずれの場合も、式(1)又は(2)はNbCによる析出強化量を大きくすることにより満足される。逆に、これらの式を満足しない場合は、NbCの析出量(体積率)に比べて析出強化量が小さいこと、即ちNbCが粗大かつ粗に分布していることを意味している。そのような場合は、成形の際の加工硬化特性が低く、成形部の硬度が不十分となる。
【0034】
次に、ミクロ組織について説明する。
【0035】
フェライト粒径: 10μm以下
フェライト相の平均粒径は、回転しごき加工性に大きな影響を及ぼす。後述のように、フェライト粒径を小さくすることにより、回転しごき加工の際の割れの発生を抑制することが可能であり、逆に10μmを超えると割れが発生し易くなる。従って、フェライト粒径を10μm以下とする。
【0036】
上述の熱延鋼板を得ることが可能な製造方法の発明は、次のようになる。その発明は、上述の発明の化学成分からなる鋼を鋳造後、仕上圧延温度Ar3以上で熱間圧延後、少なくとも750℃までの冷却速度CR(℃/sec)を、下記の不等式の範囲内で冷却し、その後450〜650℃で巻取ることを特徴とする回転しごき加工性に優れた熱延鋼板の製造方法である。
【0037】
CR≧-1.43+0.643/(Nb+0.02Mn) (3)
但し、式中の元素記号はそれぞれの含有量の質量%を表す。
【0038】
この発明は、上記の発明の熱延鋼板を得ることが可能な製造条件について検討した結果なされたものであり、以下、その詳細について説明する。
【0039】
仕上圧延温度:Ar3以上
仕上圧延においては、仕上温度が低いほどオーステナイト粒が微細化して、これにともない圧延後生成するフェライト相が細粒化する。しかし、仕上温度がAr3未満に低下すると、圧延中にフェライト変態が進行し、フェライト相が加工組織となるため回転しごき加工性が低下する。従って、均一なフェライト組織とするため、仕上圧延温度をAr3以上とする。
【0040】
熱間圧延後の冷却速度CR: 少なくとも750℃までCR≧-1.43+0.643/(Nb+0.02Mn)
熱間圧延後の冷却速度は、熱延鋼板の組織とりわけフェライト粒径に大きな影響を及ぼす。一般に、Nbを添加すると、熱間圧延過程におけるNbCの析出や固溶Nbによるsolute drugにより、相変態後のフェライト粒が微細化され、その効果は、Nb添加量が多いほど大きい。逆にNb添加量が少ない場合は、熱間圧延過程におけるその効果は不十分となり、フェライト粒を微細化するためには熱間圧延後の冷却速度を大きくする必要がある。
【0041】
また、組織の微細化については、Nb以外にも特にMn添加量が影響を及ぼし、Mn添加量が少ない場合、Ar3変態点が上昇するため組織が粗大化する。従って、フェライト粒を微細化するためには、Mn添加量の減少に伴い熱間圧延後の冷却速度を大きくする必要がある。
【0042】
このように、熱間圧延後の冷却速度CRはNb添加量およびMn添加量に応じて設定する必要がある。そこで、熱間圧延後の冷却速度CRとNb添加量およびMn添加量が満足すべき関係を、実験的に求めた。実験結果から、フェライト粒径が10μm以下となるときのNb,Mn添加量と冷却速度の関係を簡単な式の形でまとめ、前述の式(3)を得た。以上より、熱間圧延後の冷却速度CRを式(3)CR≧-1.43+0.643/(Nb+0.02Mn)を満たす範囲内とする。
【0043】
なお、冷却停止温度が750℃を超えると、その後高温域で徐冷されるため、フェライト変態が進行するとともに粒成長するので、フェライト粒が粗大化する。従って、少なくとも750℃までは上記式(3)の条件で冷却(急冷)する必要がある。
【0044】
巻取温度:450〜650℃
巻取温度は、NbCの析出形態に大きく影響を与える。巻取温度が650℃を超えると、NbCの析出物が粗大化する。一方、巻取温度が450℃以下では、NbCの析出が不十分となる。従って、巻取温度を450〜650℃とする。
【0045】
【発明の実施の形態】
この発明に用いる鋼は、上述の成分および引張強度の範囲内で、前述の金属組織となっていればよい。なお、本発明の熱延鋼板の成分調製には、転炉あるいは電気炉のどちらでも使用可能である。鋼の溶製後、造塊法あるいは連続鋳造法によりスラブに鋳造する。スラブの熱間圧延においては、連続鋳造後のスラブを一旦冷却せず直送で熱間圧延、あるいは一旦冷却して加熱炉で加熱してもよい。その際、スラブ加熱温度は通常の範囲1100〜1300℃であれば特に問題ない。
【0046】
熱間圧延の粗圧延においては、粗バー接続による連続圧延を行ってもよく、仕上圧延においては、仕上温度確保のため、インダクションヒータ等を利用した昇温(200℃以内)を行ってもよい。これらの方法は本発明の効果に対して影響を及ぼすものではない。
【0047】
熱間圧延後の冷却は、前述のように冷却速度の下限を規定しているが、上限については特に制限はない。検討の過程では、400℃/sec程度の急速冷却で所望の効果が得られており、特にNbやMnの添加量が少ない場合には数百℃/sec程度の高速冷却が有効である。なお、設備上は700℃/sec程度(板厚3mm)が限界となる。
【0048】
また、熱間圧延後に形状矯正や表面粗度調整を目的として2%程度の調質圧延を行ってもよく、成形時の工具との摩擦係数を低減させて成形性を更に向上させる目的から、表面に亜鉛めっきとリン酸塩被膜あるいは有機被膜を施してもよい。
【0049】
【実施例】
表1および表2に示す化学成分を有する本発明鋼A〜Sと比較鋼a〜qを、転炉で出鋼して連続鋳造でスラブとした。
【0050】
【表1】
Figure 0004453258
【0051】
【表2】
Figure 0004453258
【0052】
このスラブを用いて、表3および表4に示す熱延条件(加熱温度、熱延後の冷却速度、巻取り温度)で熱延鋼板を製造した。これらの鋼板を酸洗して、回転しごき成形試験を行った。
【0053】
【表3】
Figure 0004453258
【0054】
【表4】
Figure 0004453258
【0055】
回転しごき成形については、図1に示すように、ブランク径200mmφのサンプルを成形型に取り付け、主軸を回転させ、ロールを押し付けて成形型に沿って成形を行った。成形体の内径は、100mmφとした。初期板厚は4.0, 6.0, 10.0mmであるが、しごき成形によりそれぞれ2.0, 3.0, 5.0mmまで減少する(板厚減少率50%)。潤滑は、マシン油を用いた。ロール先端R=2mmとし、ロール送り速度は200mm/minとした。加工性の評価は、加工面の割れ発生状況についてA〜Dの4段階評点をつけて行った。
【0056】
その他、熱延鋼板の組織解析および引張試験を行い、また、回転しごき成形後の表層近傍の断面硬度も測定して加工硬化特性を評価した。これらの試験結果を表3および表4に併せて示す。
【0057】
表3および表4に示すように、鋼種、熱延条件、および組織が本発明範囲である本発明例は、いずれも優れた回転しごき成形性(表ではフローフォーミング成形性の欄、評点A,B)を示している。これに対して、化学成分が本発明の範囲内(本発明鋼)であっても、熱延条件又は組織が本発明範囲にない比較例では、回転しごき成形性が低い(評点C,D)。特に、仕上げ圧延後の冷却速度が本発明の下限未満の場合、所望の組織が得られない場合が多く(鋼番21,24,25,26,29,30)、本発明の効果を確実に得るには、冷却速度を本発明の範囲内とすることが必要であることがわかる。
【0058】
また、巻取り温度が本発明の範囲を超える700℃とした例(鋼番9)では、引張強度TSが本発明の不等式を満たさない(下限未満)ため、加工硬化が不足し、十分な表面硬度が得られない。
【0059】
化学成分が本発明の範囲にない比較鋼を用いた場合は、熱延条件を本発明の範囲内に制御し、フェライト結晶粒径10μm以下としているにもかかわらず、成形時の割れが著しいか、表面硬度が不足しており、十分な回転しごき成形性が得られない。特に、組織がフェライト+ベイナイトやフェライト+パーライトのような複合組織鋼(鋼番36,40,43,44,45,48)では、割れの発生が著しい。
【0060】
図2は、表3および表4に示した化学成分が本発明の範囲内の例(本発明鋼)について、結晶粒径と回転しごき成形時の割れ発生状況の関係を示す図である。図より、本発明の化学成分を有し、結晶粒径を10μm以下に制御することにより、優れた回転しごき成形性を有する熱延鋼板が得られることがわかる。
【0061】
【発明の効果】
この発明は、化学成分および組織を適切に制御することにより、優れた回転しごき加工性を有する熱延鋼板の提供を可能とする。また、その製造においては、熱延後の冷却条件として化学成分に応じた冷却速度を用いることにより、フェライト粒を微細化させている。このような熱延鋼板を用いることにより、成形限界を最大限に拡大して、自動車の駆動系部品などの製造工程における省力化に大きく貢献することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転しごき加工の例を示す図。
【図2】結晶粒径と回転しごき成形性の関係を示す図。

Claims (4)

  1. 化学成分として、質量%で、C:0.004〜0.015%、Si:0.3%以下、Mn:0.3〜2.5%、P:0.08%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.06%以下、N:0.007%以下、Nb:0.03〜0.15%、を含有し、かつ(Nb/93)/(C/12):0.5〜3であり、残部が鉄および不可避的不純物からなり、ミクロ組織がフェライト粒径10μm以下のフェライト単相組織からなり、引張強度TS(MPa)および化学成分が下記の関係を満たすことを特徴とする回転しごき加工性に優れた熱延鋼板。
    (Nb/93)/(C/12)≧1の場合:
    TS≧10000[C−0.004]+130Si+30Mn+1150P+350
    (Nb/93)/(C/12)<1の場合:
    TS≧10000[(12/93)Nb−0.004]+130Si+30Mn+1150P+350
    但し、式中の元素記号はそれぞれの質量%を表す。
  2. 請求項1記載の熱延鋼板において、記載された化学成分に加えて、B:0.0005〜0.003%を含有するとともに、(Nb/93)/(C/12):0.9〜3としたことを特徴とする回転しごき加工性に優れた熱延鋼板。
  3. 請求項1または請求項2記載の熱延鋼板において、記載された化学成分に加えて、Ti:0.05%以下を含有することを特徴とする回転しごき加工性に優れた熱延鋼板。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化学成分からなる鋼を鋳造後、仕上圧延温度Ar3以上で熱間圧延後、少なくとも750℃までの冷却速度CR(℃/sec)を、下記の不等式の範囲内で冷却し、その後450〜650℃で巻取ることを特徴とする回転しごき加工性に優れた熱延鋼板の製造方法。
    CR≧−1.43+0.643/(Nb+0.02Mn)
    但し、式中の元素記号はそれぞれの含有量の質量%を表す。
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