JP4453135B2 - 造血細胞の新規増幅剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、IL−6レセプター(以下IL−6Rと略記する)とIL−6との融合蛋白質(以下IL−6R・IL−6融合蛋白質)からなる造血細胞の増幅剤に関するものであり、更には前記増幅剤を使用することを特徴とする造血細胞の生体外培養(ex vivo)における増幅方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
造血幹細胞や前駆細胞(巨核球前駆細胞、白血球前駆細胞、赤血球系前駆細胞)(本明細書ではこれら細胞を集合的に造血細胞と略記する)の移植に際して、臍帯血がそのソースとして使用される頻度が増加してきている。しかし、一人の提供者から得られる臍帯血は少量であり、造血細胞の移植に必要な大量の臍帯血を恒常的に確保するのは極めて困難である。この課題を解決するため、造血細胞の増殖及び分化(以下単に増幅と略記する)を促進し得る種々の生理活性物質(ファクター)を用いて患者から得た骨髄、抹消血或いは臍帯血画分中の造血細胞を増幅し、再び患者に戻すための、造血細胞の生体外培養(ex vivo)が提案され、臨床的な応用が試みられている(Bruggerら,N.Engl.J.Med.,333,283頁,1995年、Holyoakeら,BoneMarrow Transplant,19,1059頁,1997年、McNieceら,Hematol Cell Ther.,41,82頁,1999年)。
【0003】
現在のところ造血細胞を生体外で培養して増幅するには複数の生理活性物質を組み合わせて使用することが必須であり、従来の研究もいかなる生理活性物質の組み合わせが前記増幅に効果的であるかを解明しようとするものである。例えば、インターロイキン−3(以下IL−3と略記する)、IL−6及びヒト幹細胞因子(以下SCFと略記する)の組み合わせや、この組み合わせよりも造血細胞のex vivo培養時の増幅効果の高い、IL−6Rの細胞外領域部分のみからなる可溶性IL−6R(以下sIL−6Rと略記する)、IL−6及びSCFの組み合わせ等が報告されている(Suiら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,92,2589頁,1995年)。またsIL−6R、IL−6及びFlt3リガンド(以下FLと略記する)の組み合わせ(Ebiharaら,Blood,90,4363頁,1997年)も報告されている。これらの報告においてsIL−6Rが必要とされたのは、多様なコロニーを形成し得る造血細胞はgp130蛋白質及びIL−6Rを発現している細胞ではなく、gp130蛋白質は発現しているもののIL−6Rは発現していない細胞であるという知見(Tajimaら,J.Exp.Med.,184,1357頁,1996年)により説明された。近年になり、IL−3、IL−6、SCF、FL、トロンボポエチン(以下TPOと略記する)、顆粒球コロニー刺激因子(以下G−CSFと略記する)、エリスロポエチン(以下EPOと略記する)といった生理活性物質の3種以上を組み合わせることでも造血細胞のex vivo培養が可能であることが報告され(Mobestら,Biotech.Bioeng.,60,341頁,1998年、Kobariら,Bone Marrow Transplant,21,759頁,1998年)、その際の増幅効果はsIL−6R、IL−6及びSCFの組み合わせと同等と考えられている。
【0004】
ところで、ヒトの造血細胞の生体内(in vivo)での増幅を評価する方法はこれまで存在せず、CD34陽性細胞の浮遊培養や半固定培養等の生体外評価が行われてきた。これは、骨髄画分に含まれる造血細胞がCD34蛋白質を細胞表面に発現しているという知見に基づくものである。この評価によればIL−3、IL−6、SCF、FL、TPO、G−CSF及びEPOのうちの5種類以上の組み合わせは、造血細胞を多様なコロニーに分化させ、その数を増やすことが可能であるが、造血幹細胞の増殖に関しては効果的でないことが示されている。
【0005】
上記評価方法に加え、ヒト造血細胞のex vivo培養した場合の増幅結果を、マウスを用いてin vivoで評価する方法が提案された。この方法は、ex vivo培養したヒト細胞を放射線照射した免疫不全マウスであるNOD/SCIDマウスに移植し、それらの再定着能を観察することからなる(Larochellら,Nat.Med.2,1329頁,1996年)。そしてこの評価方法を用い、FL、TPO、SCF及びIL−6の組み合わせ(Piacibelloら,Blood,93,3736頁,1999頁)やIL−6RとIL−6との融合蛋白質、SCF及びFLの組み合わせ(Kolletら,Blood,94,923頁、1999年)により造血細胞をex vivo培養すると、上記免疫不全マウスに再定着する細胞(以下該細胞をSRCと略記する)を増加させることができると報告された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これまでの知見では、3種類以上の生理活性物質を用いることが造血細胞をex vivo培養により増幅させるための増幅剤として必須であり、事実、いずれの報告においてもいかなる生理活性物質を組み合わせて増幅効果を高めるかという点に注力している。
【0007】
しかし、3種類以上の生理活性物質を用いることになれば、生理活性物質間の比率によっても造血細胞の増幅効果が変化する可能性を否定できない。また生理活性物質は高価であり、3種類もの生理活性物質を必須成分として使用するのではコスト的な負担が大きい。更に各生理活性物質それぞれに純度や活性の均一化が要求されるため、各生理活性物質の製造及び精製に多大な労力を必要とするという課題がある。しかも、各生理活性物質を製造する際には、それぞれの物質についてロット間格差を生じさせないような厳密さも求められる。
【0008】
そこで本願発明の目的は、造血細胞をex vivo培養する際に、単一成分で造血細胞を効果的に増幅し得る増幅剤を提供することにある。また本願発明の他の目的は、単一成分の増幅剤を用いる造血細胞をex vivoで培養して増幅する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するためになされた本願請求項1の発明は、IL−6RとIL−6との融合蛋白質からなる造血細胞の生体外培養における増幅剤である。本願請求項2の発明は、請求項1の発明に係り、前記融合蛋白質がN末端側からIL−6R部分、IL−6部分の順で融合されたものであることを特徴とする。本願請求項3の発明は、本願請求項1の発明に係り、前記融合蛋白質が天然のIL−6Rを構成するアミノ酸残基のC末端側に天然のIL−6を構成するアミノ酸残基のN末端がペプチド結合されたものであることを特徴とする。
【0010】
そして本願請求項4の発明は、造血細胞の生体外培養における増幅方法に関し、前記本願請求項1乃至3の増幅剤を使用することを特徴とする。以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
IL−6RとIL−6との融合蛋白質は、そのN末端側にIL−6Rが位置し、そのC末端側にIL−6が位置したものと、その逆にN末端側にIL−6が位置し、C末端側にIL−6Rが位置したもののいずれでも良い。IL−6RとIL−6とは、適当な長さのペプチドリンカーを介して融合されていても良いし、かかるペプチドリンカーを介することなく直接に融合されていても良い。前者の例としては文献に記載された蛋白質(Fisherら,Nature Biotech,15,142頁,1997年、Chebathら,Eur.Cytokine Netw.,8,359頁,1997年;特開平11−196897号)が例示でき、後者の例としては特願平11−21788号に記載されたものが例示できる。
【0012】
IL−6Rは、天然には468アミノ酸残基で構成された膜蛋白質で、シグナル領域、細胞外領域、膜貫通領域及び細胞内領域からなる(Yamasakiら,Science,241,825頁,1988年)。ヒトIL−6Rでは、前記シグナル領域はN末端1番目のメチオニン残基付近から19番目のアラニン残基付近まで、前記細胞外領域は20番目のロイシン残基付近から358番目のアスパラギン酸残基付近まで、前記膜貫通領域は359番目のセリン残基付近から386番目のロイシン残基付近まで、そして前記細胞内領域は387番目のアルギニン残基付近から468番目のアルギニン残基付近までと考えられている。前記細胞外領域はイムノグロブリン様領域とサイトカインレセプター領域に分けられ、イムノグロブリン様領域は20番目のロイシン残基付近から111番目のアスパラギン酸残基付近まで、サイトカインレセプター領域は112番目のバリン残基付近から323番目のアラニン残基付近までと考えられている。IL−6Rにおいて、IL−6との結合、即ちIL−6が有する生理活性を細胞に伝達するために必須なのはサイトカインレセプター領域であり、イムノグロブリン様領域は不要であることが知られている。従ってIL−6R・IL−6融合蛋白質を構成するIL−6Rとしては、全長のIL−6Rはもちろんのこと、その細胞外領域の全部又は細胞外領域のサイトカインレセプター領域のいずれかのみからなる、部分的IL−6Rを用いることもできる。
【0013】
IL−6R・IL−6融合蛋白質中のIL−6は、4つのαヘリックスから構成される全長212アミノ酸残基の分泌型蛋白質である(Hiranoら,Nature,324,731巻、1986年)。IL−6が活性を示すためには、これら4つのαヘリックス全てが必要であることが知られている。従って、本発明で使用するIL−6としては、4つのαヘリックスすべてを有するものであれば良い。
【0014】
IL−6R・IL−6融合蛋白質は、これをコードする遺伝子を用いて遺伝子組換え操作を行うで容易に作製することができる。IL−6R及びIL−6をコードする遺伝子は既に単離されており、その塩基配列も既に知られている。IL−6R・IL−6融合蛋白質を遺伝子組換えで作製する場合に使用する宿主には特に制限がなく、大腸菌や、CHO細胞等に代表される動物細胞等の通常の遺伝子組換えで使用されているものを使用することが可能である。中でも特に、ピキア・パストリス種の酵母(Pichia pastoris)は、メタノールを唯一の炭素源として生育できる酵母であることや、CHO細胞等のような動物細胞と比較して安価に培養できることから、IL−6R・IL−6融合蛋白質を製造するにあたり、特に好ましい宿主として例示できる。
【0015】
本発明の造血細胞のex vivo増幅剤は、IL−6R・IL−6融合蛋白質からなり、他の生理活性物質、例えばSCF、IL−3、FL、TPO、G−CSF、EPO等を必要としない増幅剤である。本願発明は、CD34を発現しているか否かを指標として臍帯血、末梢血又は骨髄から選択した造血細胞を含む画分を、ex vivo(生体外)にて前記増幅剤を含む培地中で培養して造血幹細胞を増殖し、造血前駆細胞を増殖、分化させることを含む。IL−6R・IL−6融合蛋白質は、培地成分とは別個の試薬として提供することもできるし、予め培地成分に添加した状態で提供することもできる。例えばα−MEM培地に添加して使用するのであれば、250μg/ml程度使用すれば良い。
【0016】
ex vivo増幅は、例えばプラスチックバッグのような容器の中で、例えばIL−6R・IL−6融合蛋白質を添加した無血清培地中で前記造血細胞含有画分を37℃、数日〜3週間培養することにより実施できる。なお本願発明により増幅された造血細胞を患者に戻す操作は、現行の末梢血幹細胞移植と同じ方法を採用すれば良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
本願発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本願発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1 各種ファクターのCD34陽性細胞に対するコロニー形成誘導効果
CD34陽性細胞(商品名;Cord Blood CD34+ Cells、宝酒造(株)製)2000個を、40%メチルセルロース(信越化学(株)製)、30%ウシ胎児血清アルブミン(Hyclone Laboratories Inc.製)、1%ウシ血清アルブミン(以下BSAと略する)(Sigma社製)、0.01mM2−メルカプトエタノール(Sigma社製)、及び以下の1から4のいずれかを含むα−MEM(Flow社製)1mlを分注した35mm浮遊培養用プラスチック培養皿(Nunc社製)に加え、37℃、5%CO2、湿度100%の条件で半固定培養した。
【0019】
1;IL−6R・IL−6融合蛋白質(FP6;特願平11−123411号に112VADとして記載した、IL−6RのN末端112番目のバリン残基から333番目のアラニン残基のC末端側に、IL−6のN末端38番目のアスパラギン酸残基から212番目のメチオニン残基が直接ペプチド結合した融合蛋白質)(250ng/ml)
2;IL−6(Yasukawaら,Biotech.Lett.,12,419頁,1990年)(100ng/ml)
3;IL−11(Peprotech社製)(100ng/ml)
4;TPO(Peprotech社製)(100ng/ml)
2週間後、倒立顕微鏡下の観察でコロニーの同定を行い、顆粒球コロニー(G)、マクロファージコロニー(M)、顆粒球・マクロファージの混合コロニー(GM)、芽球コロニー(Blast)、顆粒球・マクロファージ・赤芽球の混合コロニー(Mix)、赤芽球コロニー(BFU−E)、巨核球コロニー(Mk)の7種類に分類した。結果を図1に示す。
【0020】
図1から明らかなように、1を加えた場合では、2、3又は4を加えた場合を大きく上回る数のコロニーが形成された。このことは、FP6はIL−6、IL−11、TPOと比較して非常に造血細胞の増幅効果(コロニー形成効果)を有することを示す。
【0021】
実施例2 各種ファクターのCD34陽性細胞に対するコロニー形成細胞増幅効果
CD34陽性細胞6000個を、30%ウシ胎児血清アルブミン、1%BSA、0.01mM 2−メルカプトエタノール、以下の1から5のいずれかを含むα−MEM(Flow社製)3mlを分注した12穴ウエル(Nunc社製)に加え、37℃、5%CO2、湿度100%の条件で浮遊培養した。
【0022】
1;FP6(250ng/ml)
2;FP6(100ng/ml)
3;IL−6(100ng/ml)
4;IL−11(100ng/ml)
5;TPO(100ng/ml)
1週間後、細胞数を計測した。上記のようにして培養した細胞それぞれ1000個及び浮遊培養に使用しなかった前記細胞2000個を、40%メチルセルロース、30%ウシ胎児血清アルブミン(Hyclone Laboratories Inc.製)、1%ウシ血清アルブミン(以下BSAと略する)(Sigma社製)、0.01mM 2−メルカプトエタノール(Sigma社製)、SCF(100ng/ml)(Peprotech社製)、TPO(4ng/ml)、EPO(2U/ml)、IL−3(Peprotech社)(200U/ml)、IL−6(100ng/ml)、G−CSF(Peprotech社)(10ng/ml)を含むα−MEM(Flow社製)1mlを分注した35mm浮遊培養用プラスチック培養皿に加え、37℃、5%CO2、湿度100%の条件で半固定培養した。結果を図2に示す。
【0023】
2週間後、倒立顕微鏡下の観察でコロニーの同定を行い全コロニー数およびMixコロニー数の計測を行った。コロニー形成細胞の増加率は以下の式1により求めた。Mixコロニー形成細胞の増加率を以下の式2により求めた。
【0024】
式1;(A×B)/C
ただし、A=一週間浮遊培養した後の全コロニー数
B=一週間浮遊培養した後の全細胞数/(1000×(6000/2000))。
【0025】
C=浮遊培養する前の全部コロニー数。
【0026】
式2;(A×B)/C
ただし、A=一週間浮遊培養した後のMixコロニー数
B=一週間浮遊培養した後の全細胞数/(1000×(6000/2000))。
【0027】
C=浮遊培養する前のMixコロニー数。
【0028】
図2から明らかなように、1又は2を加えた場合は、3、4又は5を加えた場合を上回るコロニー形成細胞の増幅率とMixコロニー形成細胞の増幅率が認められた。このことは、FP6がIL−6、IL−11、TPOと比較して非常に強いコロニー形成細胞増幅効果および未成熟な造血前駆細胞の増幅効果を有することを示す。
【0029】
実施例3 FP6のCD34陽性細胞に対するMixコロニー形成細胞増幅効果
CD34陽性細胞6000個を、30%ウシ胎児血清アルブミン、1%BSA、0.01mM 2−メルカプトエタノール、FP6(250ng/ml)を含むα−MEM1mlを分注した24穴ウエル(Nunc社製)に加え、37℃、5%CO2、湿度100%の条件で浮遊培養した。
【0030】
培養開始後3、6、10、14日目に細胞数を計測した。各計測後に、培養した細胞のうちの500個を、40%メチルセルロース、30%ウシ胎児血清アルブミン、1%BSA、0.01mM 2−メルカプトエタノール、SCF(100ng/ml)、TPO(4ng/ml)、EPO(2U/ml)、IL−3(200U/ml)、IL−6(100ng/ml)、G−CSF(10ng/ml)を含むα−MEM(Flow社)1mlを分注した35mm浮遊培養用プラスチック培養皿に加え、37℃、5%CO2、湿度100%の条件で半固定培養した。
【0031】
比較のために、浮遊培養する前のCD34陽性細胞2000個についても、同様に半固定培養した。
【0032】
それぞれ2週間後に、倒立顕微鏡下の観察でコロニーの同定を行い、Mixコロニー数の計測を行った。更に、CD34陽性細胞2000個を浮遊培養せずに、直ぐに半固定培養した場合(1)、及び、3日間培養した後に半固定培養した場合(2)、6日間培養した後に半固定培養した場合(3)、10日間培養した後に半固定培養した場合(4)、14日間培養した後に半固定培養した場合(5)のMixコロニー形成数を下記式3により算出した。結果を図3に示す。
【0033】
式3;[浮遊培養した後のMixコロニー数×(浮遊培養した後の全細胞数/500/(6000/2000))]
図3から明らかなように、2〜3では1と比較して、顆粒球・マクロファージ・赤芽球の混合コロニーの増加が認められた。このことは、FP6はより未分化な造血幹細胞の増幅を誘導し、ex vivo増幅に適していることを示す。
【0034】
【発明の効果】
本願発明により提供されるIL−6R・IL−6融合蛋白質からなる増幅剤は、他の生理活性物質を併用する必要なしに、それ単独で造血幹細胞や造血前駆細胞を分化、増殖するための増幅剤としての効果を有する。この結果、従来の3種類以上の生理活性物質を用いる増幅剤と比較して、増幅効果に影響を与える生理活性物質間の比率を考える必要がないという効果がある。
【0035】
また、高価な生理活性物質を複数種類使用する必要がないため、安価に増幅剤を提供し得るという効果もある。
【0036】
そして更には、複数種類の生理活性物質を使用する場合、各生理活性物質それぞれに要求される純度や活性の均一化についても、本願発明ではIL−6R・IL−6融合蛋白質一種類しか使用しないため、その製造及び精製は比較的容易に行い得るという効果があり、しかも、IL−6R・IL−6融合蛋白質を製造する際には、比較的容易にロット間格差を生じさせないように管理することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1に示す方法で、1;FP6(250ng/ml)、2;IL−6(100ng/ml)、3;IL−11(100ng/ml)、4;TPO(100ng/ml)存在下でCD34陽性細胞2000個を培養し、各種コロニー数を計測した結果を示す図である。図中、Gは顆粒球コロニーを、Mはマクロファージコロニーを、GMは顆粒球・マクロファージの混合コロニーを、Blastは芽球コロニーを、Mixは顆粒球・マクロファージ・赤芽球の混合コロニーを、BFU−Eは赤芽球コロニーを、Mkは巨核球コロニーをそれぞれ示す。
【図2】図2は、実施例2に示す方法で、1;FP6(250ng/ml)、2;FP6(100ng/ml)、3;IL−6(100ng/ml)、4;IL−11(100ng/ml)、5;TPO(100ng/ml)存在下でのCD34陽性細胞を1週間培養した後のコロニー形成細胞の増加率とMixコロニー形成細胞の増加率を求めた図である。
【図3】図3は、実施例3に示す方法で、CD34陽性細胞を、1;0日間、2;3日間、3;6日間、4;10日間、5;14日間培養した後のMixコロニー形成数を求めた図である。
Claims (1)
- IL−6レセプターのN末端112番目から333番目までのC末端側に、IL―6のN末端38番目から212番目までを直接ペプチド結合させた造血幹細胞の増幅剤を使用することを特徴とする、造血幹細胞の生体外培養における増幅方法。
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