JP2001161350A - 造血細胞の新規増幅剤 - Google Patents

造血細胞の新規増幅剤

Info

Publication number
JP2001161350A
JP2001161350A JP35047399A JP35047399A JP2001161350A JP 2001161350 A JP2001161350 A JP 2001161350A JP 35047399 A JP35047399 A JP 35047399A JP 35047399 A JP35047399 A JP 35047399A JP 2001161350 A JP2001161350 A JP 2001161350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
culture
fusion protein
hematopoietic
amplifying
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP35047399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4453135B2 (ja
Inventor
Daisuke Miki
大輔 三木
Shigeo Tsuchiya
滋夫 土屋
Teiji Ekita
悌二 驛田
Kiyoshi Yasukawa
清 保川
Norihiko Ishiguro
敬彦 石黒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP35047399A priority Critical patent/JP4453135B2/ja
Publication of JP2001161350A publication Critical patent/JP2001161350A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4453135B2 publication Critical patent/JP4453135B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】造血細胞を生体外(ex vivo)培養する
際に、単一成分で造血細胞を効果的に増幅し得る増幅剤
を提供することにある。また本願発明の他の目的は、単
一成分の増幅剤を用いる造血細胞をex vivoで培
養して増幅する方法を提供すること。 【解決手段】IL−6レセプターとIL−6との融合蛋
白質からなる、造血細胞の生体外培養における増幅剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、IL−6レセプ
ター(以下IL−6Rと略記する)とIL−6との融合
蛋白質(以下IL−6R・IL−6融合蛋白質)からな
る造血細胞の増幅剤に関するものであり、更には前記増
幅剤を使用することを特徴とする造血細胞の生体外培養
(ex vivo)における増幅方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】造血幹細胞や前駆細胞(巨核球前駆細
胞、白血球前駆細胞、赤血球系前駆細胞)(本明細書で
はこれら細胞を集合的に造血細胞と略記する)の移植に
際して、臍帯血がそのソースとして使用される頻度が増
加してきている。しかし、一人の提供者から得られる臍
帯血は少量であり、造血細胞の移植に必要な大量の臍帯
血を恒常的に確保するのは極めて困難である。この課題
を解決するため、造血細胞の増殖及び分化(以下単に増
幅と略記する)を促進し得る種々の生理活性物質(ファ
クター)を用いて患者から得た骨髄、抹消血或いは臍帯
血画分中の造血細胞を増幅し、再び患者に戻すための、
造血細胞の生体外培養(ex vivo)が提案され、
臨床的な応用が試みられている(Bruggerら,
N.Engl.J.Med.,333,283頁,19
95年、Holyoakeら,BoneMarrow
Transplant,19,1059頁,1997
年、McNieceら,Hematol Cell T
her.,41,82頁,1999年)。
【0003】現在のところ造血細胞を生体外で培養して
増幅するには複数の生理活性物質を組み合わせて使用す
ることが必須であり、従来の研究もいかなる生理活性物
質の組み合わせが前記増幅に効果的であるかを解明しよ
うとするものである。例えば、インターロイキン−3
(以下IL−3と略記する)、IL−6及びヒト幹細胞
因子(以下SCFと略記する)の組み合わせや、この組
み合わせよりも造血細胞のex vivo培養時の増幅
効果の高い、IL−6Rの細胞外領域部分のみからなる
可溶性IL−6R(以下sIL−6Rと略記する)、I
L−6及びSCFの組み合わせ等が報告されている(S
uiら,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A.,92,2589頁,1995年)。またsIL−
6R、IL−6及びFlt3リガンド(以下FLと略記
する)の組み合わせ(Ebiharaら,Blood,
90,4363頁,1997年)も報告されている。こ
れらの報告においてsIL−6Rが必要とされたのは、
多様なコロニーを形成し得る造血細胞はgp130蛋白
質及びIL−6Rを発現している細胞ではなく、gp1
30蛋白質は発現しているもののIL−6Rは発現して
いない細胞であるという知見(Tajimaら,J.E
xp.Med.,184,1357頁,1996年)に
より説明された。近年になり、IL−3、IL−6、S
CF、FL、トロンボポエチン(以下TPOと略記す
る)、顆粒球コロニー刺激因子(以下G−CSFと略記
する)、エリスロポエチン(以下EPOと略記する)と
いった生理活性物質の3種以上を組み合わせることでも
造血細胞のex vivo培養が可能であることが報告
され(Mobestら,Biotech.Bioen
g.,60,341頁,1998年、Kobariら,
Bone Marrow Transplant,2
1,759頁,1998年)、その際の増幅効果はsI
L−6R、IL−6及びSCFの組み合わせと同等と考
えられている。
【0004】ところで、ヒトの造血細胞の生体内(in
vivo)での増幅を評価する方法はこれまで存在せ
ず、CD34陽性細胞の浮遊培養や半固定培養等の生体
外評価が行われてきた。これは、骨髄画分に含まれる造
血細胞がCD34蛋白質を細胞表面に発現しているとい
う知見に基づくものである。この評価によればIL−
3、IL−6、SCF、FL、TPO、G−CSF及び
EPOのうちの5種類以上の組み合わせは、造血細胞を
多様なコロニーに分化させ、その数を増やすことが可能
であるが、造血幹細胞の増殖に関しては効果的でないこ
とが示されている。
【0005】上記評価方法に加え、ヒト造血細胞のex
vivo培養した場合の増幅結果を、マウスを用いて
in vivoで評価する方法が提案された。この方法
は、ex vivo培養したヒト細胞を放射線照射した
免疫不全マウスであるNOD/SCIDマウスに移植
し、それらの再定着能を観察することからなる(Lar
ochellら,Nat.Med.2,1329頁,1
996年)。そしてこの評価方法を用い、FL、TP
O、SCF及びIL−6の組み合わせ(Piacibe
lloら,Blood,93,3736頁,1999
頁)やIL−6RとIL−6との融合蛋白質、SCF及
びFLの組み合わせ(Kolletら,Blood,9
4,923頁、1999年)により造血細胞をex v
ivo培養すると、上記免疫不全マウスに再定着する細
胞(以下該細胞をSRCと略記する)を増加させること
ができると報告された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これまでの知見では、
3種類以上の生理活性物質を用いることが造血細胞をe
x vivo培養により増幅させるための増幅剤として
必須であり、事実、いずれの報告においてもいかなる生
理活性物質を組み合わせて増幅効果を高めるかという点
に注力している。
【0007】しかし、3種類以上の生理活性物質を用い
ることになれば、生理活性物質間の比率によっても造血
細胞の増幅効果が変化する可能性を否定できない。また
生理活性物質は高価であり、3種類もの生理活性物質を
必須成分として使用するのではコスト的な負担が大き
い。更に各生理活性物質それぞれに純度や活性の均一化
が要求されるため、各生理活性物質の製造及び精製に多
大な労力を必要とするという課題がある。しかも、各生
理活性物質を製造する際には、それぞれの物質について
ロット間格差を生じさせないような厳密さも求められ
る。
【0008】そこで本願発明の目的は、造血細胞をex
vivo培養する際に、単一成分で造血細胞を効果的
に増幅し得る増幅剤を提供することにある。また本願発
明の他の目的は、単一成分の増幅剤を用いる造血細胞を
ex vivoで培養して増幅する方法を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
になされた本願請求項1の発明は、IL−6RとIL−
6との融合蛋白質からなる造血細胞の生体外培養におけ
る増幅剤である。本願請求項2の発明は、請求項1の発
明に係り、前記融合蛋白質がN末端側からIL−6R部
分、IL−6部分の順で融合されたものであることを特
徴とする。本願請求項3の発明は、本願請求項1の発明
に係り、前記融合蛋白質が天然のIL−6Rを構成する
アミノ酸残基のC末端側に天然のIL−6を構成するア
ミノ酸残基のN末端がペプチド結合されたものであるこ
とを特徴とする。
【0010】そして本願請求項4の発明は、造血細胞の
生体外培養における増幅方法に関し、前記本願請求項1
乃至3の増幅剤を使用することを特徴とする。以下、本
発明を詳細に説明する。
【0011】IL−6RとIL−6との融合蛋白質は、
そのN末端側にIL−6Rが位置し、そのC末端側にI
L−6が位置したものと、その逆にN末端側にIL−6
が位置し、C末端側にIL−6Rが位置したもののいず
れでも良い。IL−6RとIL−6とは、適当な長さの
ペプチドリンカーを介して融合されていても良いし、か
かるペプチドリンカーを介することなく直接に融合され
ていても良い。前者の例としては文献に記載された蛋白
質(Fisherら,Nature Biotech,
15,142頁,1997年、Chebathら,Eu
r.Cytokine Netw.,8,359頁,1
997年;特開平11−196897号)が例示でき、
後者の例としては特願平11−21788号に記載され
たものが例示できる。
【0012】IL−6Rは、天然には468アミノ酸残
基で構成された膜蛋白質で、シグナル領域、細胞外領
域、膜貫通領域及び細胞内領域からなる(Yamasa
kiら,Science,241,825頁,1988
年)。ヒトIL−6Rでは、前記シグナル領域はN末端
1番目のメチオニン残基付近から19番目のアラニン残
基付近まで、前記細胞外領域は20番目のロイシン残基
付近から358番目のアスパラギン酸残基付近まで、前
記膜貫通領域は359番目のセリン残基付近から386
番目のロイシン残基付近まで、そして前記細胞内領域は
387番目のアルギニン残基付近から468番目のアル
ギニン残基付近までと考えられている。前記細胞外領域
はイムノグロブリン様領域とサイトカインレセプター領
域に分けられ、イムノグロブリン様領域は20番目のロ
イシン残基付近から111番目のアスパラギン酸残基付
近まで、サイトカインレセプター領域は112番目のバ
リン残基付近から323番目のアラニン残基付近までと
考えられている。IL−6Rにおいて、IL−6との結
合、即ちIL−6が有する生理活性を細胞に伝達するた
めに必須なのはサイトカインレセプター領域であり、イ
ムノグロブリン様領域は不要であることが知られてい
る。従ってIL−6R・IL−6融合蛋白質を構成する
IL−6Rとしては、全長のIL−6Rはもちろんのこ
と、その細胞外領域の全部又は細胞外領域のサイトカイ
ンレセプター領域のいずれかのみからなる、部分的IL
−6Rを用いることもできる。
【0013】IL−6R・IL−6融合蛋白質中のIL
−6は、4つのαヘリックスから構成される全長212
アミノ酸残基の分泌型蛋白質である(Hiranoら,
Nature,324,731巻、1986年)。IL
−6が活性を示すためには、これら4つのαヘリックス
全てが必要であることが知られている。従って、本発明
で使用するIL−6としては、4つのαヘリックスすべ
てを有するものであれば良い。
【0014】IL−6R・IL−6融合蛋白質は、これ
をコードする遺伝子を用いて遺伝子組換え操作を行うで
容易に作製することができる。IL−6R及びIL−6
をコードする遺伝子は既に単離されており、その塩基配
列も既に知られている。IL−6R・IL−6融合蛋白
質を遺伝子組換えで作製する場合に使用する宿主には特
に制限がなく、大腸菌や、CHO細胞等に代表される動
物細胞等の通常の遺伝子組換えで使用されているものを
使用することが可能である。中でも特に、ピキア・パス
トリス種の酵母(Pichia pastoris)
は、メタノールを唯一の炭素源として生育できる酵母で
あることや、CHO細胞等のような動物細胞と比較して
安価に培養できることから、IL−6R・IL−6融合
蛋白質を製造するにあたり、特に好ましい宿主として例
示できる。
【0015】本発明の造血細胞のex vivo増幅剤
は、IL−6R・IL−6融合蛋白質からなり、他の生
理活性物質、例えばSCF、IL−3、FL、TPO、
G−CSF、EPO等を必要としない増幅剤である。本
願発明は、CD34を発現しているか否かを指標として
臍帯血、末梢血又は骨髄から選択した造血細胞を含む画
分を、ex vivo(生体外)にて前記増幅剤を含む
培地中で培養して造血幹細胞を増殖し、造血前駆細胞を
増殖、分化させることを含む。IL−6R・IL−6融
合蛋白質は、培地成分とは別個の試薬として提供するこ
ともできるし、予め培地成分に添加した状態で提供する
こともできる。例えばα−MEM培地に添加して使用す
るのであれば、250μg/ml程度使用すれば良い。
【0016】ex vivo増幅は、例えばプラスチッ
クバッグのような容器の中で、例えばIL−6R・IL
−6融合蛋白質を添加した無血清培地中で前記造血細胞
含有画分を37℃、数日〜3週間培養することにより実
施できる。なお本願発明により増幅された造血細胞を患
者に戻す操作は、現行の末梢血幹細胞移植と同じ方法を
採用すれば良い。
【0017】
【発明の実施の形態】本願発明を更に詳細に説明するた
めに実施例を示すが、本願発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。
【0018】実施例1 各種ファクターのCD34陽性
細胞に対するコロニー形成誘導効果 CD34陽性細胞(商品名;Cord Blood C
D34+ Cells、宝酒造(株)製)2000個
を、40%メチルセルロース(信越化学(株)製)、3
0%ウシ胎児血清アルブミン(Hyclone Lab
oratories Inc.製)、1%ウシ血清アル
ブミン(以下BSAと略する)(Sigma社製)、
0.01mM2−メルカプトエタノール(Sigma社
製)、及び以下の1から4のいずれかを含むα−MEM
(Flow社製)1mlを分注した35mm浮遊培養用
プラスチック培養皿(Nunc社製)に加え、37℃、
5%CO2、湿度100%の条件で半固定培養した。
【0019】1;IL−6R・IL−6融合蛋白質(F
P6;特願平11−123411号に112VADとし
て記載した、IL−6RのN末端112番目のバリン残
基から333番目のアラニン残基のC末端側に、IL−
6のN末端38番目のアスパラギン酸残基から212番
目のメチオニン残基が直接ペプチド結合した融合蛋白
質)(250ng/ml) 2;IL−6(Yasukawaら,Biotech.
Lett.,12,419頁,1990年)(100n
g/ml) 3;IL−11(Peprotech社製)(100n
g/ml) 4;TPO(Peprotech社製)(100ng/
ml) 2週間後、倒立顕微鏡下の観察でコロニーの同定を行
い、顆粒球コロニー(G)、マクロファージコロニー
(M)、顆粒球・マクロファージの混合コロニー(G
M)、芽球コロニー(Blast)、顆粒球・マクロフ
ァージ・赤芽球の混合コロニー(Mix)、赤芽球コロ
ニー(BFU−E)、巨核球コロニー(Mk)の7種類
に分類した。結果を図1に示す。
【0020】図1から明らかなように、1を加えた場合
では、2、3又は4を加えた場合を大きく上回る数のコ
ロニーが形成された。このことは、FP6はIL−6、
IL−11、TPOと比較して非常に造血細胞の増幅効
果(コロニー形成効果)を有することを示す。
【0021】実施例2 各種ファクターのCD34陽性
細胞に対するコロニー形成細胞増幅効果 CD34陽性細胞6000個を、30%ウシ胎児血清ア
ルブミン、1%BSA、0.01mM 2−メルカプトエ
タノール、以下の1から5のいずれかを含むα−MEM
(Flow社製)3mlを分注した12穴ウエル(Nu
nc社製)に加え、37℃、5%CO2、湿度100%の
条件で浮遊培養した。
【0022】1;FP6(250ng/ml) 2;FP6(100ng/ml) 3;IL−6(100ng/ml) 4;IL−11(100ng/ml) 5;TPO(100ng/ml) 1週間後、細胞数を計測した。上記のようにして培養し
た細胞それぞれ1000個及び浮遊培養に使用しなかっ
た前記細胞2000個を、40%メチルセルロース、3
0%ウシ胎児血清アルブミン(Hyclone Lab
oratories Inc.製)、1%ウシ血清アル
ブミン(以下BSAと略する)(Sigma社製)、
0.01mM 2−メルカプトエタノール(Sigma社
製)、SCF(100ng/ml)(Peprotec
h社製)、TPO(4ng/ml)、EPO(2U/m
l)、IL−3(Peprotech社)(200U/
ml)、IL−6(100ng/ml)、G−CSF
(Peprotech社)(10ng/ml)を含むα
−MEM(Flow社製)1mlを分注した35mm浮
遊培養用プラスチック培養皿に加え、37℃、5%CO
2、湿度100%の条件で半固定培養した。結果を図2
に示す。
【0023】2週間後、倒立顕微鏡下の観察でコロニー
の同定を行い全コロニー数およびMixコロニー数の計
測を行った。コロニー形成細胞の増加率は以下の式1に
より求めた。Mixコロニー形成細胞の増加率を以下の
式2により求めた。
【0024】式1;(A×B)/C ただし、A=一週間浮遊培養した後の全コロニー数 B=一週間浮遊培養した後の全細胞数/(1000×
(6000/2000))。
【0025】C=浮遊培養する前の全部コロニー数。
【0026】式2;(A×B)/C ただし、A=一週間浮遊培養した後のMixコロニー数 B=一週間浮遊培養した後の全細胞数/(1000×
(6000/2000))。
【0027】C=浮遊培養する前のMixコロニー数。
【0028】図2から明らかなように、1又は2を加え
た場合は、3、4又は5を加えた場合を上回るコロニー
形成細胞の増幅率とMixコロニー形成細胞の増幅率が
認められた。このことは、FP6がIL−6、IL−1
1、TPOと比較して非常に強いコロニー形成細胞増幅
効果および未成熟な造血前駆細胞の増幅効果を有するこ
とを示す。
【0029】実施例3 FP6のCD34陽性細胞に対
するMixコロニー形成細胞増幅効果 CD34陽性細胞6000個を、30%ウシ胎児血清ア
ルブミン、1%BSA、0.01mM 2−メルカプトエ
タノール、FP6(250ng/ml)を含むα−ME
M1mlを分注した24穴ウエル(Nunc社製)に加
え、37℃、5%CO2、湿度100%の条件で浮遊培
養した。
【0030】培養開始後3、6、10、14日目に細胞
数を計測した。各計測後に、培養した細胞のうちの50
0個を、40%メチルセルロース、30%ウシ胎児血清
アルブミン、1%BSA、0.01mM 2−メルカプト
エタノール、SCF(100ng/ml)、TPO(4
ng/ml)、EPO(2U/ml)、IL−3(20
0U/ml)、IL−6(100ng/ml)、G−C
SF(10ng/ml)を含むα−MEM(Flow
社)1mlを分注した35mm浮遊培養用プラスチック
培養皿に加え、37℃、5%CO2、湿度100%の条
件で半固定培養した。
【0031】比較のために、浮遊培養する前のCD34
陽性細胞2000個についても、同様に半固定培養し
た。
【0032】それぞれ2週間後に、倒立顕微鏡下の観察
でコロニーの同定を行い、Mixコロニー数の計測を行
った。更に、CD34陽性細胞2000個を浮遊培養せ
ずに、直ぐに半固定培養した場合(1)、及び、3日間
培養した後に半固定培養した場合(2)、6日間培養し
た後に半固定培養した場合(3)、10日間培養した後
に半固定培養した場合(4)、14日間培養した後に半
固定培養した場合(5)のMixコロニー形成数を下記
式3により算出した。結果を図3に示す。
【0033】式3;[浮遊培養した後のMixコロニー
数×(浮遊培養した後の全細胞数/500/(6000
/2000))] 図3から明らかなように、2〜3では1と比較して、顆
粒球・マクロファージ・赤芽球の混合コロニーの増加が
認められた。このことは、FP6はより未分化な造血幹
細胞の増幅を誘導し、ex vivo増幅に適している
ことを示す。
【0034】
【発明の効果】本願発明により提供されるIL−6R・
IL−6融合蛋白質からなる増幅剤は、他の生理活性物
質を併用する必要なしに、それ単独で造血幹細胞や造血
前駆細胞を分化、増殖するための増幅剤としての効果を
有する。この結果、従来の3種類以上の生理活性物質を
用いる増幅剤と比較して、増幅効果に影響を与える生理
活性物質間の比率を考える必要がないという効果があ
る。
【0035】また、高価な生理活性物質を複数種類使用
する必要がないため、安価に増幅剤を提供し得るという
効果もある。
【0036】そして更には、複数種類の生理活性物質を
使用する場合、各生理活性物質それぞれに要求される純
度や活性の均一化についても、本願発明ではIL−6R
・IL−6融合蛋白質一種類しか使用しないため、その
製造及び精製は比較的容易に行い得るという効果があ
り、しかも、IL−6R・IL−6融合蛋白質を製造す
る際には、比較的容易にロット間格差を生じさせないよ
うに管理することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1に示す方法で、1;FP6
(250ng/ml)、2;IL−6(100ng/m
l)、3;IL−11(100ng/ml)、4;TP
O(100ng/ml)存在下でCD34陽性細胞20
00個を培養し、各種コロニー数を計測した結果を示す
図である。図中、Gは顆粒球コロニーを、Mはマクロフ
ァージコロニーを、GMは顆粒球・マクロファージの混
合コロニーを、Blastは芽球コロニーを、Mixは
顆粒球・マクロファージ・赤芽球の混合コロニーを、B
FU−Eは赤芽球コロニーを、Mkは巨核球コロニーを
それぞれ示す。
【図2】図2は、実施例2に示す方法で、1;FP6
(250ng/ml)、2;FP6(100ng/m
l)、3;IL−6(100ng/ml)、4;IL−
11(100ng/ml)、5;TPO(100ng/
ml)存在下でのCD34陽性細胞を1週間培養した後
のコロニー形成細胞の増加率とMixコロニー形成細胞
の増加率を求めた図である。
【図3】図3は、実施例3に示す方法で、CD34陽性
細胞を、1;0日間、2;3日間、3;6日間、4;1
0日間、5;14日間培養した後のMixコロニー形成
数を求めた図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 保川 清 神奈川県川崎市麻生区上麻生3−22−11− 107 (72)発明者 石黒 敬彦 神奈川県横浜市港北区岸根町490−17 Fターム(参考) 4B065 AA93X BB19 BB34 4H045 AA10 BA41 CA40 DA02 DA51 EA28 FA74

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】IL−6レセプターとIL−6との融合蛋
    白質からなる、造血細胞の生体外培養における増幅剤。
  2. 【請求項2】前記融合蛋白質は、N末端側からIL−6
    レセプター部分、IL−6部分の順で融合されたもので
    あることを特徴とする、請求項1の増幅剤。
  3. 【請求項3】前記融合蛋白質は、天然のIL−6レセプ
    ターを構成するアミノ酸残基のC末端側に天然のIL−
    6を構成するアミノ酸残基のN末端がペプチド結合され
    たものであることを特徴とする、請求項1の増幅剤。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3の造血幹細胞の増幅剤を使
    用することを特徴とする、造血幹細胞の生体外培養にお
    ける増幅方法。
JP35047399A 1999-12-09 1999-12-09 造血細胞の新規増幅剤 Expired - Lifetime JP4453135B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35047399A JP4453135B2 (ja) 1999-12-09 1999-12-09 造血細胞の新規増幅剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35047399A JP4453135B2 (ja) 1999-12-09 1999-12-09 造血細胞の新規増幅剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001161350A true JP2001161350A (ja) 2001-06-19
JP4453135B2 JP4453135B2 (ja) 2010-04-21

Family

ID=18410739

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35047399A Expired - Lifetime JP4453135B2 (ja) 1999-12-09 1999-12-09 造血細胞の新規増幅剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4453135B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009072635A1 (ja) 2007-12-06 2009-06-11 Nissan Chemical Industries, Ltd. ヘテロ環化合物による造血幹細胞の増幅方法
WO2009113595A1 (ja) 2008-03-11 2009-09-17 独立行政法人理化学研究所 造血幹/前駆細胞の特性を有する細胞の製造方法
WO2011158806A1 (ja) 2010-06-14 2011-12-22 日産化学工業株式会社 造血幹細胞の製造方法
US9212348B2 (en) 2010-12-01 2015-12-15 Nissan Chemical Industries, Ltd. Method for producing hematopoietic stem cells using pyrazole compounds
US9328085B2 (en) 2009-06-04 2016-05-03 Nissan Chemical Industries, Ltd. Heterocyclic compounds and expansion agents for hematopoietic stem cells

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009072635A1 (ja) 2007-12-06 2009-06-11 Nissan Chemical Industries, Ltd. ヘテロ環化合物による造血幹細胞の増幅方法
US9527828B2 (en) 2007-12-06 2016-12-27 Nissan Chemical Industries, Ltd. Method for expanding hematopoietic stem cells using heterocyclic compound
WO2009113595A1 (ja) 2008-03-11 2009-09-17 独立行政法人理化学研究所 造血幹/前駆細胞の特性を有する細胞の製造方法
US9328085B2 (en) 2009-06-04 2016-05-03 Nissan Chemical Industries, Ltd. Heterocyclic compounds and expansion agents for hematopoietic stem cells
WO2011158806A1 (ja) 2010-06-14 2011-12-22 日産化学工業株式会社 造血幹細胞の製造方法
US9187728B2 (en) 2010-06-14 2015-11-17 Nissan Chemical Industries, Ltd. Method for producing hematopoietic stem cells
US9212348B2 (en) 2010-12-01 2015-12-15 Nissan Chemical Industries, Ltd. Method for producing hematopoietic stem cells using pyrazole compounds

Also Published As

Publication number Publication date
JP4453135B2 (ja) 2010-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1424389A1 (en) Process for preparing hematopoietic stem cells
Hirayama et al. Clonal proliferation of murine lymphohemopoietic progenitors in culture.
Mayani et al. Biology of human umbilical cord blood-derived hematopoietic stem/progenitor cells
Lieber et al. The in vitro production and characterization of neutrophils from embryonic stem cells
AU717783B2 (en) Methods for use of Mpl ligands with primitive human stem cells
JP2000508885A (ja) 不死化造血細胞系、該細胞系とストロマ細胞との細胞システム、in vitro、ex vivo および in vivo における使用、ならびに樹状細胞およびマクロファージの in vitro 産生
Fernandez-Botran et al. Methods in cellular immunology
KR20020013480A (ko) 사람 뇌의 내피세포 및 성장배지 및 원시 cd34+cd38-골수 간세포의 증가방법
WO2002016556A1 (fr) Milieu de culture de cellule souche et procede de culture utilisant ce milieu
Ishii et al. Expression of stromal cell-derived factor-1/pre-B cell growth-stimulating factor receptor, CXC chemokine receptor 4, on CD34+ human bone marrow cells is a phenotypic alteration for committed lymphoid progenitors
Madlambayan et al. Controlling culture dynamics for the expansion of hematopoietic stem cells
RU2245887C2 (ru) Гемопоэтический белок (варианты), последовательность днк, способ получения гемопоэтического белка, способ селективной экспансии кроветворных клеток, способ продуцирования дендритных клеток, способ стимуляции продуцирования кроветворных клеток у пациента, фармацевтическая композиция, способ лечения
Bruno et al. Different growth factor requirements for the ex vivo amplification of transplantable human cord blood cells in a NOD/SCID mouse model
JP4453135B2 (ja) 造血細胞の新規増幅剤
Xie et al. Marrow mesenchymal stem cells transduced with TPO/FL genes as support for ex vivo expansion of hematopoietic stem/progenitor cells
Tohyama et al. A novel factor‐dependent human myelodysplastic cell line, MDS92, contains haemopoietic cells of several lineages
JP6695795B2 (ja) 造血細胞の増殖ペプチドおよびその用途
Ma et al. Development of human lymphohematopoietic stem and progenitor cells defined by expression of CD34 and CD81
JPWO2005054459A1 (ja) 造血幹細胞あるいは血管内皮前駆細胞の製造方法
Rebel et al. Culture of purified stem cells from fetal liver results in loss of in vivo repopulating potential
US20060084170A1 (en) Cytokine-free growth and maintenance of progenitor cells
Kaur-Bollinger et al. Role of secreted factors in the regulation of hematopoietic stem cells by the bone marrow microenvironment
Friel et al. Hierarchy of stroma-derived factors in supporting growth of stroma-dependent hemopoietic cells: membrane-bound SCF is sufficient to confer stroma competence to epithelial cells
Xiong et al. Ex vivo expansion of human umbilical cord blood hematopoietic progenitor cells in a novel three-dimensional culture system
JPWO2005056778A1 (ja) 造血幹細胞の分化抑制又は増殖方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091006

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100112

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100125

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130212

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4453135

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130212

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140212

Year of fee payment: 4

EXPY Cancellation because of completion of term