JP4452423B2 - 粒状無機繊維綿およびその製造方法 - Google Patents

粒状無機繊維綿およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱材、充填材、吸音材などの建築・産業資材用として好適で、特に軽量化の必要とされる住宅の天井裏、壁等に施工される吹き込み工法に好適な粒状無機繊維綿およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅用軽量断熱材施工方法として、ブローイングマシンを用いた吹き込み工法により、小片化した無機繊維綿を天井裏に堆積させるか、壁に充填する軽量断熱施工が行われている。小片化した無機繊維綿を吹き込み施工すれば、従来のロックウールマットの施工による隙間などの問題を回避することができる。
上記のような吹き込み施工用の小片化無機繊維綿として、ロックウールマットを裁断・粉砕等により小片化して使用することができるが、ロックウールマットはロックウールに熱硬化性樹脂を吹き付け、加熱炉で熱硬化させ、板状、マット状に成形したものであり、特に熱硬化のための加熱工程を必要とするなどして製造コストがかかる。
【0003】
これに対し、吹き込み施工に求められる嵩密度の低い小片化無機繊維綿として、粒状無機繊維綿が知られている。粒状無機繊維綿は、高炉スラグや天然岩石などの無機溶融物を遠心力と気流の作用で繊維化して無機繊維とし、これを集綿した後、小片化し、さらに粒状化成形して製造される。
吹き込み施工用の無機繊維に望まれる嵩密度は、断熱性能、材料コストおよび建築物への重量負荷などのバランスから20〜40kg/m3 程度であるが、上記粒状無機繊維綿の製法によれば、このような嵩密度のものを製造することは可能である。
【0004】
ところが、製造された粒状無機繊維綿を保管あるいは輸送するため、一旦200kg/m3 程度に圧縮梱包すると、梱包を解いても圧縮状態から復元せず、嵩密度は60〜200kg/m3 程度に高密度化されたままとなってしまう。
このような圧縮梱包による高密度化を防止するためには、接着剤により繊維間を保型する方法が有効である。たとえば特開昭64−37431号(特公平6−47479号)公報には、高温の無機質溶融体を繊維化する際に、繊維が冷却される前に少量の接着剤を吹き付けることにより、加熱、圧縮を加えることなく繊維の保有する熱により接着剤を硬化または脱溶剤させ、繊維同士を部分的に接着して粒状またはマット状にする方法が開示されている。
上記では、接着剤としてフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂あるいは水溶性ではない熱可塑性樹脂を使用している。また該公報には、接着剤は、0.1〜1%付着させることが好ましい旨記載されており、該公報の実施例には、バルク状繊維の吹き込み施工により密度19〜20kg/m3 の断熱層が得られた旨記載されている。
【0005】
しかしながら上記公報の方法では、一旦圧縮梱した後に元の嵩密度に戻る粒状無機繊維綿を得ることは困難である。本発明者らが該公報に提案される接着剤を使用して、試験したところ、輸送時に通常行なわれる200kg/m3 程度に圧縮梱包した後の嵩密度は40kg/m3 を超え、80kg/m3 程度の高い嵩密度のままのものもあった。またフェノール樹脂の場合は、加熱しないと硬化膜は得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このため本発明は、軽量化の求められる吹き込み工法に好適な嵩密度を有し、圧縮梱包して搬送可能であり、特に施工時には低嵩密度に復元しうる粒状無機繊維綿およびそのような粒状無機繊維綿を低コストで製造しうる粒状無機繊維綿の製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような情況に鑑みて吹き込み工法に好適な軽量化粒状無機繊維綿を得るべく検討したところ、樹脂エマルションであって、最低造膜温度(MFT)が低く、無機繊維自体のもつ余熱あるいは集綿工程の温度で造膜しうるとともに特定のガラス転移点(Tg)を有する樹脂膜を形成しうるものを接着剤(集綿剤)として用いれば、一旦圧縮を加えても解放時には元の低密度に戻り40kg/m3 以下の嵩密度に復元することができる軽量化された粒状無機繊維綿を得ることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明に係る粒状無機繊維綿の製造方法では、溶融した無機物を繊維化し、集綿して粒状化するに際して、繊維化された無機繊維のもつ余熱が常温に降温する間に、最低造膜温度が50℃以下で、ガラス転移点が10℃以上の樹脂膜を形成する樹脂エマルションを、上記無機繊維に対してエマルション固形分換算で1質量%超の量で付着させる。
前記樹脂エマルションは、通常、熱可塑性樹脂のエマルションである。
上記において、集綿時の無機繊維に上記樹脂エマルションが付着していれば、集綿工程において、無機繊維自体のもつ余熱あるいは集綿工程の温度により、容易に造膜・乾燥することができ、好ましい。またこれにより特に造膜・乾燥のための加熱工程を別途に加える必要もなくなり、低コストで製造することができる。
【0009】
上記により軽量化施工に好適な40kg/m3 以下の嵩密度の粒状無機繊維綿を得ることができる。さらに該粒状無機繊維綿は、嵩密度60kg/m3 以上、好ましくは200kg/m3 程度に圧縮可能であるとともに、圧縮解放時にはほぼ嵩密度に復元して、上記40kg/m3 以下の嵩密度を確保することができる。
したがって本発明では、最低造膜温度が50℃以下であり、かつガラス転移点が10℃以上の樹脂膜を形成する樹脂エマルションの固形分が、無機繊維に対し1質量%超の量で付着してなる粒状無機繊維綿が提供される。
該粒状無機繊維綿の嵩密度は40kg/m3 以下であることが望ましい。またこの40kg/m3 以下の嵩密度は、嵩密度60kg/m3 以上とする圧縮の解放時に復元される嵩密度である。
本発明では60kg/m3 以上の嵩密度に圧縮された上記粒状無機繊維綿の圧縮物も提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1に示すプロセスフローを参照しながら本発明を説明する。なお図1は、粒状無機繊維綿プロセスフローの一例を模式的に示すものであり、本発明の粒状無機繊維綿の製造プロセスは、この図に記載された工程に限定されるものではない。
図1に示すように、炉1で溶融された無機物をスピナー2で繊維化し、集綿室3で集綿(綿状化)し、続いてビッカー4で小片化した後、グラニュレータ5で小片をある程度粒状にまとめた後、トロンメル6でさらに粒状化して、粒状無機繊維綿(粒状化無機繊維集合体)7とする。
【0011】
炉1で溶融される原料の無機物としては、製鉄所から発生する高炉スラグ、安山岩、玄武岩などの天然岩石、シリカ、アルミナ、ガラス、珪砂などが用いられる。これらを適宜混合して用いることもできる。
炉1で溶融された無機物は、たとえばスピナー2により、遠心力、エアあるいは水蒸気などの気体でブローされることにより繊維化される。
このような無機繊維としては、たとえばロックウール、ガラスウール、セラミックファイバーなどがある。これらのうちでもロックウールが好ましい。これはロックウールの融点が高いため、充分な余熱を有することが可能となり、エマルションを造膜、乾燥しやすいからである。ロックウールは、玄武岩などの天然岩石、高炉スラグを主成分とし、必要に応じて珪砂等で成分を調整した無機物溶融体を原料とするものである。
無機繊維の直径は、1〜10μm程度が好ましい。
【0012】
本発明では、上記において、溶融後、繊維化された無機繊維が余熱を持つ間に、熱可塑性樹脂のエマルションを添加して付着させる。具体的には、スピナー2に導入された溶融状態の無機物は、繊維化工程(スピナー2)から無機繊維の粒状化工程(トロンメル6)を経る間に熱を失い、特に繊維化時には急激に冷却されるが、集綿室3に導入された無機繊維は余熱を持っている。
集綿室3の室温は、通常70〜50℃程度である。余熱をもって集綿室3内に導入された無機繊維は、集綿される間に、集綿室3の室温とほぼ同等になると考えられる。この集綿時の無機繊維に上記樹脂エマルションが付着していれば、集綿工程において、無機繊維自体のもつ余熱あるいは集綿工程の温度により、容易に造膜・乾燥することができる。
【0013】
したがって上記工程のうちでも、余熱を効率よく利用できる工程で無機繊維に熱可塑性樹脂のエマルションを付着させることが好ましく、無機溶融物をスピナー2で繊維化された直後に付着させることが好ましい。付着方法は特に限定されないが、通常、吹き付けであり、具体的には溶融無機物を繊維化しているスピナー2に熱可塑性樹脂のエマルションを吹きつけるような状態で行なわれる。
この際、本発明では、後述するような最低造膜温度が50℃以下で、ガラス転移点が10℃以上の樹脂膜を形成する樹脂エマルションが用いられる。上記工程においてこのようなエマルションを用いれば、製造工程にエマルション造膜・乾燥のための加熱工程を別途に設けなくても、粒状無機繊維綿を乾燥物を得ることができ、これら工程の付加による製造コストの上昇を避けることができる。なお樹脂エマルションの造膜、乾燥は無機繊維の余熱を用いるので、乾燥工程は必ずしも必要ではないが、製造工程中に乾燥炉等による乾燥工程を加えても何らかまわない。
【0014】
本発明で用いられる樹脂エマルションは、繊維表面に好ましくは部分的に付着して繊維間接着剤として機能するものである。このため最終的に嵩密度40kg/m3 以下の軽量化構造の粒状無機繊維綿を得るには、接着剤の造膜性により無機繊維の粒状綿構造を形成し、これを保持する必要がある。接着剤の最低造膜温度(MFT)が集綿室温度よりも高いと軽量化構造を形成するための接着剤として充分に機能することができず、嵩密度の低い粒状無機繊維綿を得ることが困難となる。本発明では、樹脂エマルションの最低造膜温度は、無機繊維の余熱以下であることが好ましく、具体的には50℃以下である。この最低造膜温度(50℃以下)は、実質的に集綿室温度以下であることを意味する。
【0015】
なお上記最低造膜温度は、JIS K6828で規定される造膜性に基づいて、エマルションから水分が蒸発して粒子が互いに融着して連続した皮膜ができる温度として測定される。具体的には、エマルションをスライドガラスの上に塗布し、所定の温湿度に保って乾燥し、厚さ0.1〜0.3mmの均一な皮膜を作り、一様な連続皮膜であるか、白濁しているかどうかを肉眼で観察して測定される。温度勾配熱板形最低造膜温度測定器など市販の装置を用いて測定することができる。
【0016】
また上記のような粒状無機繊維綿の軽量化構造を形成し、圧縮から解放した際にもこの構造を復元させるために、樹脂エマルションから得られる樹脂膜は、ある程度の硬さを有する必要がある。樹脂は、ガラス転移点(Tg)以下の温度では硬いガラス状態で繊維間を接着し、かつ保型する効果が大きいが、ガラス転移点以上の温度では樹脂はゴム状となる。本発明では、樹脂が常温でガラス状態に近く、接着性・保型性をもつために、10℃以上のガラス転移点を有する樹脂膜を形成する必要がある。ここで、このガラス転移点は、本質的に多くの分子の平均値として求められる測定値である。したがって実際には、樹脂膜のガラス転移点測定値より20℃程度高い温度でも、接着性・保型性を維持することができ、ガラス転移点測定値が最低10℃であれば、通常使用される温度条件下では接着性・保型性を維持することができる。
【0017】
上記のように本発明の目的を達成するために、ガラス転移点は10℃以上であればよく、必ずしも室温以上でなくてもよいが、ガラス転移点が10℃よりも低いと、常温でも接着剤(樹脂膜)が軟化しやすく、接着性・保型性を維持することが困難となる。このため、製造直後には低嵩密度が可能であっても、接着剤が軟化した状態で長い間保存することにより、特に圧縮梱包して保存すると、梱包を解いた後に軽量構造を復元しにくく、低嵩密度に戻すことが困難となる。樹脂皮膜のガラス転移点は、主として熱機械測定(TMA)、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量計(DSC)などで測定することができる。
【0018】
本発明での樹脂エマルションは、最低造膜温度が50℃以下で、ガラス転移点が10℃以上であれば特にエマルション樹脂は特に限定されない。一般的に熱硬化性樹脂のエマルションの場合、熱硬化により造膜するため、最低造膜温度は50℃よりも高く、上記条件を満たすものは少ない。このため、通常は熱可塑性樹脂のエマルションが用いられる。
熱可塑性樹脂は、上記条件を満たし、水溶性でなければ特に制限なく使用することができる。一般的に乳化重合により得られる樹脂エマルションを使用することができ、たとえばポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル(VEOVA TM)共重合体などの酢酸ビニル系共重合体、アクリル樹脂、アクリル/スチレン共重合体、アクリル/バーサチック酸ビニル(VEOVA TM)共重合体などのアクリル系共重合体などのエマルションを挙げることができる。さらに分散による樹脂エマルションを使用することもでき、たとえばポリエステルエマルションなどを挙げることができる。
上記各エマルションを併用してもよい。
【0019】
また本発明で用いられる樹脂エマルションは、最低造膜温度およびガラス転移点が上記条件を満たせばよく、主成分樹脂の化学的種類で規定されるのではない。したがってたとえば自身の最低造膜温度は50℃を超えるものである熱硬化性樹脂であっても、他成分の添加あるいは他のエマルションとの混合により最低造膜温度を低下させることもできる。また一般的にエマルションに含まれる乳化剤、可塑剤など種々の添加剤を適宜に含むことができる。エマルションに含まれる樹脂の分子量なども特に限定されない。
エマルションは、通常水溶媒であるが、必要に応じて水と相溶性の溶媒を少量含んでいても構わない。
なお水溶性樹脂は、製品を水と接触することにより接着能力が低下するため好ましくない。また有機溶媒系の樹脂溶液は、溶融無機物との接触により発火の危険性がある。
2種以上の熱可塑性樹脂のエマルションを用いる場合には、予め混合して用いても、また別々に吹き付けてもよい。
【0020】
本発明では、上記のような樹脂エマルションを、無機繊維に対し、固形分換算で1質量%を超える量で付着させる。
樹脂エマルションを用いて軽量化を図る場合、この付着量が1質量%以下であると、綿構造を保型しにくく、特に圧縮梱包すると解放した後も復元せず、嵩密度が高くなったままで軽量化が困難となる。なお過度に接着剤を付着してもそれによる軽量化は望めず、コスト高をまねき、さらには綿状化が困難になりかえって嵩密度が高くなることもある。熱可塑性樹脂のエマルションの場合には、付着量は、通常、1.5〜2.0質量%程度である。
【0021】
なお上記接着剤として、メチロールフェノール水溶液などの熱硬化性樹脂を形成するモノマーの水溶液を用いた場合には、硬化に充分な熱を得ることができないため、繊維間が接着できず、粒状無機繊維綿の低嵩密度化は望めない。
【0022】
エマルション濃度は、樹脂の種類によっても異なることがあり、特に限定されないが、エマルションの水分が繊維の余熱で蒸発し、乾燥することが望ましい。このためエマルション吹き付け量が多いと梱包時に水分が残存し、保型効果が得られず、粒状無機繊維綿の嵩密度を小さくできなくなるおそれがある。樹脂エマルションを、固形分換算で1質量%超の量で付着させ、かつ水分の残存しない製品を得るために、樹脂エマルションは、固形分濃度20〜40質量%程度で用いることが好ましい。固形分濃度は、一般に水で希釈して調整する。
【0023】
上記のような本発明によれば、嵩密度が小さく、圧縮後に復元性のある軽量化粒状無機繊維綿を得ることができる。すなわち本発明では、最低造膜温度が50℃以下であり、ガラス転移点が10℃以上の樹脂膜を形成する樹脂エマルションの固形物が無機繊維に対し1質量%以上の量で付着してなる粒状無機繊維綿が提供される。
該粒状無機繊維綿の嵩密度は、40kg/m3 以下であることが好ましく、特に20〜40kg/m3 であることが好ましい。嵩密度20〜40kg/m3 の粒状無機繊維綿は、特に吹き込み工法用断熱材として有用であり、嵩密度の小さいことから住宅の天井裏等に施される断熱材などとしての価値が高い。
粒状無機繊維綿の寸法は、1〜5cm程度であることが望ましい。
【0024】
本発明の粒状無機繊維綿は、嵩密度60kg/m3 以上、好ましくは200kg/m3 程度に圧縮することができ、また圧縮の解放時には元の保型構造を復元して圧縮前の嵩密度に戻ることができる。
このような復元構造を有していると、圧縮梱包して搬送を省力化することができ、施工現場では上記軽量化吹き込み工法による低嵩密度を達成することができる。
したがって本発明では、上記粒状無機繊維綿の嵩密度60kg/m3 以上の圧縮物も提供される。
【0025】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す工程で粒状無機繊維綿を製造した。
高炉スラグ(87質量%)および珪砂(13質量%)を電気炉1で溶融した。溶融物を4連の高速回転(6000rpm )ホイールからなるスピナー2のホイール側面に連続的に供給するとともにホイールの背面から風速100m/秒(吹き出し口速度)でエアを送り込み繊維化すると同時に、最低造膜温度48℃、ガラス転移点45℃の水系アクリルエマルション(大日本インキ化学工業(株)製ボンコート9404)の固形分濃度を30質量%に調整し、スピナー2の脇から吹き付け、集綿室3(58℃)内に導入して集綿した。次いで集綿体をビッカー4で小分けし、グラニュレータ5とトロンメル6を用いて粒状化した。
【0026】
上記得られた粒状化無機繊維綿の固形分付着量は1.75質量%であった。
得られた粒状無機繊維綿(嵩密度20kg/m3 )を嵩密度100kg/m3 となる程度に圧縮してポリエチレン製袋で梱包し、倉庫内に静置した。1ケ月後梱包を解いて、嵩密度を測定したところ25kg/m3 であった。
結果を表1に示す。
【0027】
固形分付着量は、粒状無機繊維綿(乾燥物)を、マッフル炉で550℃に加熱したときの重量減少分から、無機繊維に対する質量%として求めた。
嵩密度は、内径15cm、高さ30cmの円筒形容器に、サンプルを無荷重で容器いっぱいになるように充填して、サンプル質量と容器の体積から嵩密度を求めた。
【0028】
(実施例2)
実施例1において、固形分付着量を表1に示す量で付着させた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。実施例1と同様の方法で粒状無機繊維綿の嵩密度を測定した。結果を表1に示す。
【0029】
(実施例3)
実施例1において、接着剤として最低造膜温度18℃、ガラス転移点14℃の水系酢酸ビニルエマルション(クラリアントポリマー社製モビニール350)を用い、表1に示す固形分付着量で付着させた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。実施例1と同様の方法で粒状無機繊維綿の嵩密度を測定した。結果を表1に示す。
【0030】
(実施例4)
実施例1において、接着剤として最低造膜温度40℃、ガラス転移点35℃の水系アクリル−スチレン共重合体エマルション(クラリアントポリマー社製モビニール749Eを用い、表1に示す固形分付着量で付着させた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。実施例1と同様の方法で粒状無機繊維綿の嵩密度を測定した。結果を表1に示す。
【0031】
(実施例5)
実施例1において、接着剤として最低造膜温度48℃、ガラス転移点35℃の水系アクリルエマルション(クラリアントポリマー社製モビニール)を用い、表1に示す固形分付着量で付着させた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。実施例1と同様の方法で粒状無機繊維綿の嵩密度を測定した。結果を表1に示す。
【0032】
(比較例1)
実施例1において、固形分付着量を表1に示す量で付着させた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。実施例1と同様の方法で粒状無機繊維綿の嵩密度を測定した。結果を表1に示す。
【0033】
(比較例2)
実施例1において、接着剤として最低造膜温度4℃、ガラス転移点0℃の水系アクリルエマルション(大日本インキ化学工業(株)製ボンコート550)を用い、表1に示す固形分付着量で付着させた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。実施例1と同様の方法で粒状無機繊維綿の嵩密度を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
(比較例3)
実施例1において、接着剤として最低造膜温度66℃、ガラス転移点58℃の水系アクリルエマルション(大日本インキ化学工業(株)製ボンコート9470)を用い、表1に示す固形分付着量で付着させた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。実施例1と同様の方法で粒状無機繊維綿の嵩密度を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
(比較例4)
実施例1において、接着剤として、水溶性フェノール樹脂溶液を用い、表1に示す固形分付着量で付着させた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。実施例1と同様の方法で粒状無機繊維綿の嵩密度を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004452423
【0037】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、無機繊維の接着剤として、最低造膜温度とガラス転移点で特定される樹脂エマルションを選択し、これを従来の樹脂使用量よりも多量に無機繊維に付着させており、集綿時に過度の接着による不具合を生じにくく、軽量構造を形成して嵩密度の小さい粒状無機繊維綿を得ることができる。特に吹き込み工法に好適な20〜40kg/m3 の嵩密度の粒状無機繊維綿を得ることができる。
また特に乾燥のための加熱工程を別途に設けなくてもよく、この場合、低コストで粒状無機繊維綿を製造することができる。
【0038】
本発明の粒状無機繊維綿は、圧縮梱包して搬送することができ、しかも圧縮解放後には、ほぼもとの嵩密度に戻ることができる。
このような本発明の粒状無機繊維綿は、特に吹き込み工法用断熱材として有用であり、嵩密度の小さいことから住宅の天井裏、壁等に施工される軽量化断熱材などとしての価値が高い。なお耐熱性能、均質性・施工性、吸音・防音性能、断熱・保温性能などに優れることから、セメントスラリーとともに吹き付けるロックウール耐火被覆用断熱材として、酸素分離機などの充填材として、防火区画貫通部・スキ間の充填材として、吸音板、外装材、不燃紙などの産業資材などの広範な用途に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 粒状無機繊維綿のプロセス例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 炉
2 スピナー
3 集綿機
4 ビッカー
5 グラニュレータ
6 トロンメル
7 粒状無機繊維綿

Claims (5)

  1. 溶融した無機物を繊維化し、集綿して粒状化するに際して、繊維化された無機繊維のもつ余熱が常温まで降温する間に、最低造膜温度が50℃以下であり、ガラス転移点が10℃以上の樹脂膜を形成する樹脂エマルションを、上記無機繊維に対してエマルション固形分換算で1質量%超の量で付着させる粒状無機繊維綿の製造方法。
  2. 最低造膜温度が50℃以下であり、ガラス転移点が10℃以上の樹脂膜を形成する樹脂エマルションの固形分が、無機繊維に対し1質量%超の量で付着されてなる粒状無機繊維綿。
  3. 嵩密度が40kg/m3 以下である請求項2に記載の粒状無機繊維綿。
  4. 前記40kg/m3 以下の嵩密度が、嵩密度60kg/m3 以上とする圧縮の解放時の嵩密度である請求項3に記載の粒状無機繊維綿。
  5. 嵩密度が60kg/m3 以上である請求項2〜4のいずれかに記載の粒状無機繊維綿の圧縮物。
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