JP4452308B2 - ボーリングピンの製造方法 - Google Patents
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Description
ボーリングに使用されるピンは、ボールやピンが衝突したときの倒れ易さが重要で、衝突時の衝突力や衝突角度等の条件が同じであれば均一に倒れなければならない。そのために、国際規格によって形状や重量が、高さ:38cm、最大径部:12cm、底面の直径:6cm、重さ:1417g以上1644g以下であって各レーンに並べられるピン10本における重さの差は113g未満、と厳密に規定されている。
例えば、特許文献1には、木材で形成したボーリングピン本体の最大径部において周りに適当な幅と深さの周溝を設け、その周溝に合成樹脂製の環帯を嵌合し、最小径部の中心に縦長の空洞を設け、その空洞に合成樹脂製の心棒を嵌合し、外表面を合成樹脂の外被膜で覆ったボーリングピンが開示されている。
しかし、特許文献1のボーリングピンは、本体が木材で構成されているので、いくつかの問題点がある。
例えば、ボールの重さは最大で約7.52kgもあり、ピンに衝突するときには投球による速度も加わってそのエネルギーは非常に大きく、ピンはその使用頻度にもよるが数カ月程度で新しいものと交換する必要があり、使用できる期間が比較的短いという問題がある。
そこで、ボーリングピンの芯材として、耐久性の優れた合成樹脂を使用することが提案されている(特許文献2)。
第1金型のキャビティに溶融樹脂を流し込み固化させて中芯部を形成し、
この中芯部の周りに表皮を成形するいわゆる2層樹脂ボーリングが提案されている。
表皮を形成する際に、中芯部を金型に固定するための上下に穴が設けられ、ボーリングピン製造の最終工程においてこの穴に樹脂製の蓋を圧入して完成するが、
この蓋は、しばしばボーリングゲーム中において繰り返し受ける強い衝突で、ボーリングピンから抜け落ちるという問題があった。
また、本発明は、衝撃や摩擦を受けてもキャップが抜け落ちることがない耐久性の高いボーリングピンの製造方法を提供することを目的とする。
ボーリングの外形より小さい形状を有する芯材を成形する芯材製造工程と、
その後、この芯材の外表面を被覆する表皮部形成工程とを有する、
ボーリングピンの製造方法であって、
芯材成形用金型21に、
上中子25、下中子23をセットし、
ゲート26を介してキャビティ27に溶融状態の合成樹脂を射出して、
上側に開口する上側開口7を有する上中空部5aと、
下側に開口する下側開口11を有する下中空部5bとを備えた
芯材3を成形し、
この芯材3に、上キャップ9、下キャップ13を取り付け、
上キャップ9の突起部37を上型39の凹部37aに嵌入させて上係止部とし、
下キャップ13の凹部13aに下型31のピン31aを嵌入させて下係止部とし、
芯材3の周囲に間隙28aを保持しつつキャビティ28内に上下方向で芯材3を固定し、
前記間隙28aに、ゲート51を介して溶融樹脂を射出して表皮部15を形成し、
上キャップ9及び下キャップ13を芯材3と一体的に被覆することを特徴とする。
ボーリングの外形より小さい形状を有する芯材を成形する芯材製造工程と、
その後、この芯材の外表面を被覆する表皮部形成工程とを有する、
ボーリングピンの製造方法であって、
芯材成形用金型21に、
上中子25、下中子23をセットし、
ゲート26を介してキャビティ27に溶融状態の合成樹脂を射出して、
上側に開口する上側開口7を有する上中空部5aと、
下側に開口する下側開口11を有する下中空部5bとを備えた芯材3を成形し、
この芯材3に、上キャップ9、下キャップ13、表示板109を取り付け、
上キャップ9の突起部37を上型39の凹部37aに嵌入させて上係止部とし、
下キャップ13の凹部13aに下型31のピン31aを嵌入させて下係止部とし、
芯材3の周囲に間隙28aを保持しつつキャビティ28内に上下方向で芯材3を固定し、
前記間隙28aに、ゲート51を介して溶融樹脂を射出して表皮部15を形成し、
上キャップ9及び下キャップ13を芯材3と一体的に被覆することを特徴とする。
上下に中空部を設け、この中空部を表皮部によって完全に被覆することすることによって、
ボーリングゲーム中において繰り返し受ける強い衝突でも、ボーリングピンから抜け落ちることがない。
3 芯材
5a 上中空部
5b 下中空部
6 底部
7 上側開口
8,29 段部
9 キャップ
11 下側開口
13 下キャップ
13a 凹部
13b 傾斜面
13c 下部リブ
15 表皮部
17 ライン部
21 芯材成形用金型
23 下中子
24 凸部
25 上中子
25a 突出部
25b 凹部
26 ゲート
27 キャビティ
28 キャビティ
28a 間隙
31 下型
31a ピン
33 小穴
35 頭部
37 突起部
37a 凹部
39 上型
51 ゲート
52 凹部
104 文字や模様
109 表示部
202 ボス
204 表示体
206 透明プレート
図1は、ボーリングピン1の構成についての概略外観図である。
図1において、符号3は芯材を示し、この芯材3の上部には上中空部5aが、下部には下中空部5bが、それぞれ形成されている。
上中空部5aと下中空部5bとの間には、芯材3を構成する合成樹脂が介在しており、上中空部5aと下中空部5bは連通状態にはない。
上中空部5aは芯材3の上端に向かって開口した上側開口7を有し、
また下中空部5bは芯材3の下端に向かって開口した下側開口11を有している。
また、上中空部5aの上側開口7には変形防止材としての上キャップ9が、下中空部5bの下側開口11には下キャップ13が、それぞれ嵌合されている。
ポリプロピレン樹脂は、軽量であり、耐熱性・射出成形性が良く、剛性、衝撃強さ、硬さがあるので芯材として好適である。また、低価格、リサイクル性の点でも好適に用いられる。
芯材としてはその特性が、アイゾット衝撃強さ(ノッチ付き、20℃、ASTM D253)で200J/m以上、ロックウエルR硬度で80(20℃、ASTM D785)以上あることが望ましい。
また、ポリプロピレン樹脂は、その組成により、ホモポリマー(単独重合体)と、共重合体であるランダムコポリマー、ブロックコポリマーがあるが、芯材としては、耐衝撃強度に優れたブロックコポリマーを用いることが好ましい。市販のポリプロピレン樹脂としては、例えば、出光石油化学(社)製の商品名「J−750HP」などが挙げられる。
また、ポリプロピレン樹脂に他の樹脂をブレンドすることで、さらに優れた特性を付与することもできる。例えば、ポリプロピレン樹脂にポリアミド樹脂をブレンドした合成樹脂を挙げることができる。
アドマー(商標) 9〜15%(重量、以下同じ)
6ナイロン(商標) 0〜46%
666ナイロン(商標) 0〜33%
12ナイロン(商標) 0〜8%
EVOH樹脂 0〜21%
エバー(商標) 0〜39%
PE(ポリエチレン) 0〜53%
PP(ポリプロピレン) 0〜45%
これらは、トータル100%に調整されて配合される。
表皮部としてはその特性が、アイゾット衝撃強さ(ノッチ付き、23℃、ASTM D253)で600J/m以上、ロックウエルR硬度(23℃、ASTM D785)で110以上あることが望ましく、芯材よりも、耐摩擦摩耗性、耐衝撃性、硬度とも高いこと必要とされる。すなわち、表皮部は、ボーリングのボールによって直接衝撃を受け止める部分であり、少しでも割れや傷などが入ってはならず、極めて厳しい特性が要求されているからである。
さらに、ポリε−カプロアミド樹脂にエラストマーを微量ブレンドすることにより、外観に光沢性、柔軟性を付与させることができるので、表皮部の素材として更に好ましく用いることができる。
ポリε−カプロアミド樹脂にエラストマーを微量ブレンドした市販の樹脂としては、例えば、東レ(社)製の商品名「アミランU141」などが挙げられる。
また、ポリアミド樹脂に他の樹脂や顔料をブレンドすることで、さらに別の特性を付与することもできる。例えば、顔料をブレンドして表皮部をアイボリー系に着色することもできる。
図2は、本発明の実施の形態に係る表示部を説明するための平面図であり、図3は、図2のA−A断面図であり、図4は、図2のB−B断面図である。
図2〜図4に示すように、本実施の形態では、表示部109は、湾曲した透明プレート206及びその裏側に貼付された表示体204、ボス202によって構成されている。
透明プレート206は、ボーリングピンの円周方向に沿う形状になるように湾曲させて形成させてあり、その裏側には、文字や模様を印刷した表示体204が透明接着剤を介して貼付されている。
透明プレート206を形成する素材としては、ポリカーボネイトのような透明樹脂が挙げられる。
文字や模様を印刷した表示体204を形成する素材としては、プラスチックフィルムや紙などのシート状のものが挙げられる。
本実施の形態では、ボス202は、透明プレート206の裏側の上下にそれぞれ1本ずつ突起状に形成されていて、芯材3の小穴33にそれぞれ嵌合されて、表示部109を芯材3に固定するようにされる。
なお、透明プレート206の裏側に貼付されている表示体204に印刷されている文字や模様104を、透明プレート206の裏側に直接印刷することにより、表示体204を省略することもできる。
まず、第1段階として、芯材3を予め製造する。即ち、図5に示すように、芯材成形用金型21に、上中空部5a、下中空部5bを形成する上中子25、下中子23をセットし、
ゲート26を介してキャビティ27に溶融状態の合成樹脂を射出して芯材3を成形する。
下側に開口する下側開口11を有する下中空部5bとを備えており、
上中空部5a及び下中空部5bの内周には段部8,29が形成されている。
すなわち、
上中子25は、下端部に半球状の突出部25aを有する円筒形状であり、
その上端部分の径寸法D1が下端部分の径寸法D2より大きい寸法に形成されているので、上中空部5aの底部6には突出部25aに対応した凹部25bが形成され、周壁には径寸法の相違から段部8が形成される。
図5においては、底部6は上中空部5aの底周縁であり、段部8は上側開口7の近傍に形成されている。
その下端部分の径寸法D3がそれより上部の径寸法D4より大きい径寸法に形成されているので、下中空部5b周壁には径寸法の相違から段部29が形成される。
図5においては、段部29は下側開口11の近傍に形成されている。
図6において、芯材3には、上下に上中空部5a及び下中空部5bが形成されており、
この芯材3に、上キャップ9、下キャップ13、表示板109を取り付ける。
まず、上キャップ9を芯材3の上側開口7から上中空部5aへ打ち込むと、
上キャップ9の下端が上中空部5aの底部6に突接し、
上キャップ9の径寸法D1部分の下端が段部8と突接して、
上キャップ9が上中空部5a内に嵌入されるので、頭部35が芯材3の上側開口7の外面と面一状態になる。
なお、上キャップ9の上面は半球状の頭部35が設けられており、この頭部35の中心には上方に突起部37が形成され、この突起部37が後述する表皮部形成用金型への芯材3の上係止部となる。
下キャップ13の上端が下中空部5bの段部29と突接し、
下キャップ13が下中空部5b内に嵌合される。
なお、下キャップ13は全体として円筒形状であり、上部径D5は
下中空部5bの径寸法D3と略同寸であり、
下部リブ13cの外径寸法D6は芯材3下端の外径寸法D7と略同一寸法である。
また、下キャップ13の下部側壁は傾斜しており、下方ほど径寸法が小さくなっている傾斜面13bが形成されており、下中空部5bへ嵌入された場合に、芯材3の下端周縁と面一状態になる。
なお、下キャップ13の下面中央には底に開口した円筒形状の凹部13aが設けられており、この凹部13aが後述する表皮部形成用金型への芯材3の下側係止部となる。
なお、芯材成形用金型21には、芯材3の外周面には小穴33を形成するための凸部24がキャビティ27内に突出するように形成されている。
なお、小穴33の位置は、表示部109のボス202の上下位置に対応している。
そして、芯材3とキャビティ28とで形成される間隙28aに、ゲート51を介してポリアミド樹脂を射出して表皮部15を形成する(図1参照)。
このようにして、上キャップ9及び下キャップ13は、表皮部15によってほぼ完全に被覆され、芯材3のくびれ部分には表皮部15が薄い凹部52が上下2カ所形成される。
凹部52にゲート26を介して赤色のポリアミド樹脂を射出して、所謂2色成形により2本のライン部17を形成する。このライン部17は凹部52に充填された合成樹脂によって形成されるので、塗装によって形成したライン部のように磨耗して消えてしまうことはない。
なお、前述のように、表示部109はポリカーボネイトやウレタン系樹脂によって形成されているので、表皮部15の曲面に沿うように湾曲している。
前記したように表示部109の表示体104は、
透明プレート206によって覆われているので、塗装によって形成した表示部のように磨耗して消えてしまうことはない。
なお、上キャップ9及び下キャップ13は、芯材3と一体的に被覆された表皮部15によって、完全に鋳ぐるみされた状態となり、ボーリングピンの使用中に上キャップ9及び下キャップ13が抜ける落ちることはない(図1参照)。
芯材の上中空部には上キャップを嵌め込み、下中空部に下キャップを嵌め込み、
表皮部としてポリアミド樹脂を使用し、樹脂温度250℃以上の高温でキャビティ内に加圧して、芯材と一体的に鋳ぐるみされているので、
上下キャップが、芯材の上下の中空部に強固に固定され、芯材が変形することなく、
国際規格により規定されている所定の形状に長期に亘って維持することができる。
また、本発明のボーリングピンの製造方法は、芯材として用いる素材は、射出成形性が良く、剛性、衝撃強さ、硬さ、安価、リサイクル性に優れている合成樹脂を用い、表皮部として用いる素材は、芯材よりもさらに耐摩擦摩耗性、耐衝撃性、硬度とも優れている合成樹脂を用いる点に特徴があるので、極めて長期間用いることができる。
また、本発明のボーリングピンの製造方法は、表皮部の上層にはプライマーやクリア塗装などは施す必要がない。表皮部の合成樹脂が極めて硬質である上、耐傷つき性、耐摩擦摩耗性、耐衝撃性等に優れているので、表皮部の表面には何も施さなくても綺麗さが保たれる。
また、芯材がポリプロピレン樹脂、表皮部がポリアミド樹脂により形成されているので耐久性、リサイクル性に優れている。
本発明のボーリングピンの製造方法によれば、表皮部や表示部が衝撃や摩擦を受けても剥げることがなくなり、高い耐久性を得ることができ、ボーリングピンを使用する上でのコストを低減することが可能となる。
Claims (2)
- ボーリングの外形より小さい形状を有する芯材を成形する芯材製造工程と、
その後、この芯材の外表面を被覆する表皮部形成工程とを有する、
ボーリングピンの製造方法であって、
芯材成形用金型21に、
上中子25、下中子23をセットし、
ゲート26を介してキャビティ27に溶融状態の合成樹脂を射出して、
上側に開口する上側開口7を有する上中空部5aと、
下側に開口する下側開口11を有する下中空部5bとを備えた
芯材3を成形し、
この芯材3に、上キャップ9、下キャップ13を取り付け、
上キャップ9の突起部37を上型39の凹部37aに嵌入させて上係止部とし、
下キャップ13の凹部13aに下型31のピン31aを嵌入させて下係止部とし、
芯材3の周囲に間隙28aを保持しつつキャビティ28内に上下方向で芯材3を固定し、
前記間隙28aに、ゲート51を介して溶融樹脂を射出して表皮部15を形成し、
上キャップ9及び下キャップ13を芯材3と一体的に被覆することを特徴とするボーリングピンの製造方法。 - ボーリングの外形より小さい形状を有する芯材を成形する芯材製造工程と、
その後、この芯材の外表面を被覆する表皮部形成工程とを有する、
ボーリングピンの製造方法であって、
芯材成形用金型21に、
上中子25、下中子23をセットし、
ゲート26を介してキャビティ27に溶融状態の合成樹脂を射出して、
上側に開口する上側開口7を有する上中空部5aと、
下側に開口する下側開口11を有する下中空部5bとを備えた芯材3を成形し、
この芯材3に、上キャップ9、下キャップ13、表示板109を取り付け、
上キャップ9の突起部37を上型39の凹部37aに嵌入させて上係止部とし、
下キャップ13の凹部13aに下型31のピン31aを嵌入させて下係止部とし、
芯材3の周囲に間隙28aを保持しつつキャビティ28内に上下方向で芯材3を固定し、
前記間隙28aに、ゲート51を介して溶融樹脂を射出して表皮部15を形成し、
上キャップ9及び下キャップ13を芯材3と一体的に被覆することを特徴とするボーリングピンの製造方法。
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