JP4450952B2 - ウインチ用クラッチ切換え装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧モータとウインチドラムとの間に介装した遊星歯車式減速機のリングギヤを固定・開放することでクラッチ機能を得るようにしたウインチ用クラッチ切換え装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、図15〜図17に示すように、油圧を利用したウインチAは、油圧モータ1、減速機2、ワイヤロープの巻取り作業を行うウインチドラム3、及び油圧モータ1からウインチドラム3へ伝達する動力を断続するクラッチ機構4を備えている。
【0003】
減速機2は、歯車を用いた減速機構で構成されており、遊星歯車式と外歯歯車式とがあるが、遊星歯車式は外歯歯車式に比し、小型であるため、比較的多く採用されている。
【0004】
このようなウインチAは、そのベース5をトラック等の車両の荷台前部等に固設して、荷物を積み込む際に利用される。すなわち、先ず、作業者はギヤケース6のクラッチ操作部本体6aから突出しているクラッチノブ7を引きながら回転させて、このクラッチノブ7を後端に軸着するクラッチ軸8に植設されているロールピン9を、クラッチ操作部本体6aに固設されているフックプレート10の下段溝10aから上段溝10bに掛け替える(図17参照)。
【0005】
すると、クラッチ軸8の先端が、ギヤケース6に収容されている遊星歯車式減速機2に設けたリングギヤ11の外周に穿設されているクラッチ凹部11aから離脱し、リングギヤ11とプラネタリギヤ13とが空転するクラッチ開放状態となる。
【0006】
この状態で、ウインチドラム3に巻き付けられているワイヤロープを車体の後方へ引出し、その先端を荷物に連結した後、作業者は、一旦荷物のある場所からウインチのある位置まで戻り、クラッチノブ7を再び引きながら逆方向へ回転させて、ロールピン9を上段溝10bから下段溝10aへ掛け替える。
【0007】
すると、クラッチ軸8の下端が遊星歯車式減速機2のリングギヤ11に穿設されているクラッチ凹部11aに係入して、リングギヤ11を固定するクラッチ係合状態となる。
【0008】
その後、図示しない駆動スイッチをONすると、油圧モータ1が回転し、その回転軸1aに形成したサンギヤ12とリングギヤ11との間に配設されているプラネタリギヤ13が自転すると共に公転し、公転による回転力がプラネタリキャリヤ14を介してウインチドラム3に伝達され、巻き上げが開始される。
【0009】
このように、従来、ウインチAを用いて荷物を荷台に積み込もうとした場合、作業者は荷物のある場所から、ウインチAのある位置まで一旦戻り、ウインチAのクラッチを係合させた後、駆動スイッチをONさせなければならず、巻き上げ開始までに手間を要し、作業効率が悪かった。
【0010】
そのため、最近では、ウインチAに設けたクラッチを遠隔操作により係合させることの可能な技術が種々提案されている。例えば、特開平11−139773号公報には、遊星歯車式減速機を構成するリングギヤの歯幅方向一側に油圧アクチュエータを対設し、油圧ウインチに作動油圧を供給すると、油圧モータが回転すると共に油圧アクチュエータが突出動作して、リングギヤを軸方向へスライドさせ、このリングギヤの外周に穿設したクラッチ凹部に対し、リングギヤの径方向に配設されているクラッチ軸を係合させて、リングギヤを固定する技術が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した先行技術では、リングギヤを油圧アクチュエータにより歯幅方向から押圧して、このリングギヤを軸方向へスライドさせるようにしているが、油圧アクチュエータにより、リングギヤを傾斜させることなく軸方向に対して平行な状態を維持したままスライドさせるためには、油圧アクチュエータの押圧力をリングギヤの側面に対して均等に印加させる等の機構が必要となり、油圧アクチュエータとリングギヤの側面との境界部分の部品構成が複雑化してしまう。
【0012】
又、クラッチ開放時には、リングギヤを初期位置に復帰させなければならないが、このリングギヤを初期位置に復帰させるリターンスプリングも、リングギヤを傾倒させることなく平行な状態を維持したままスライドさせる構造としなければならないため、大がかりな部品構成となってしまう。
【0013】
その結果、クラッチ機構が複雑化、大型化し、必然的に、それらを収納するギヤケースが大型化してしまう不都合がある。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑み、既存のギヤケースに収容する部品構成を大幅に変更することなく、装置全体が大型化せず、簡単な構造で、ウインチ巻き上げ開始までの手間を軽減させることの可能なウインチ用クラッチ切換え装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明によるウインチ用クラッチ切換え装置は、油圧モータを遊星歯車式減速機を介してウインチドラムに連設し、上記遊星歯車式減速機に設けたリングギヤの外周にクラッチ凹部を形成し、上記クラッチ凹部に径方向から係脱自在なクラッチ軸を上記遊星歯車式減速機を収容するギヤケースに進退自在に支持し、上記クラッチ軸に該クラッチ軸の回転運動を上記リングギヤに対する径方向への直線運動に変換させるカム機構を連設し、上記クラッチ軸の径方向に該クラッチ軸に回転運動を付与する油圧アクチュエータを配設したことを特徴とする。
【0016】
このような構成では、油圧モータに圧油を供給すると油圧モータが駆動し、又、油圧アクチュエータに圧油を供給すると、この油圧アクチュエータがクラッチ軸に回転力を付与する。すると、クラッチ軸が所定角度回転し、このクラッチ軸に連設するカム機構が、クラッチ軸を遊星歯車式減速機に設けられているリングギヤに対し径方向へ直線動作させる。
【0017】
この場合、上記油圧アクチュエータは上記油圧モータを動作させる圧油で作動すると共に、上記油圧アクチュエータの作動により上記クラッチ軸が回転すると該クラッチ軸は上記リングギヤに形成した上記クラッチ凹部に近接係合する方向へ直線動作することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図14の図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1にはウインチの側面断面図が示されている。尚、本実施の形態で採用するウインチBの構成は、クラッチ機構以外は、基本的に従来のウインチAと同じである。従って、従来と同様の構成部品については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0019】
同図の符号21はクラッチ機構を構成するクラッチ操作部本体で、ギヤケース6の上部に設けられている。又、ギヤケース6の左側面に油圧モータ1が固設され、右側面に、ウインチドラム3を軸支するドラム軸3aの一端が枢支され、このドラム軸3aの他端がベース5に立設されたブラケット22に枢支されている。
【0020】
ギヤケース6に収容された遊星歯車式減速機2のサンギヤ12は油圧モータ1の回転軸1aに一体形成され、プラネタリキャリヤ14がドラム軸3aにスプライン係合されている。
【0021】
リングギヤ11は、ギヤケース6の内壁に形成された案内溝6bに嵌入されて、回動自在に支持されている。クラッチ凹部11aは、リングギヤ11から歯幅方向一側に一体形成されているフランジ部11bの外周に所定間隔毎に複数穿設されている。
【0022】
又、クラッチ操作部本体21の、リングギヤ11に穿設したクラッチ凹部11aに対して径方向へ延出する軸線上に、クラッチ軸23とクラッチシリンダ24とが回動自在に挿通されている。クラッチシリンダ24の上部はクラッチ操作部本体21から外部へ突出されており、この突出した軸部の径方向に操作レバー25が植設されている。
【0023】
図3、図4に示すように、クラッチ軸23は、下部から上部方向へ大径軸部23a、中径軸部23b、細径軸部23cの3段階の太さに形成されており、大径軸部23aの下端に、リングギヤ11に穿設したクラッチ凹部11aに係脱自在なクラッチ凸部23dが突設され、更に、中径軸部23bの上部と細径軸部23cとがクラッチシリンダ24の軸心部に進退自在に挿通されている。
【0024】
細径軸部23cの外周に予圧ばね26が遊挿され、この予圧ばね26の上下端がクラッチシリンダ24の内壁上面と中径軸部23bの上端とに当接されて、クラッチ軸23をリングギヤ11方向へ常時付勢している。
【0025】
クラッチ軸23の中径軸部23bには係合ピン27が軸直交方向に装着され、この係合ピン27の両端が、クラッチシリンダ24に形成されている縦溝24aに係入されている。クラッチ軸23とクラッチシリンダ24とは、係合ピン27により軸方向への移動が許容された状態で連設されている。
【0026】
又、図7、図10、図12に示すように、クラッチ軸23に形成した大径軸部23aの外周にカム溝28が形成されている。このカム溝28は三角形状に形成されており、このカム溝28にローラピン29が係入されている。図2に示すように、このローラピン29はボルト30の先端に突設されており、このボルト30はクラッチ操作部本体21に対して一側から螺入されている。
【0027】
図7に示すように、ローラピン29がカム溝28の頂部28aに位置しているとき、クラッチ軸23は予圧ばね26の付勢力を受けて下方へ突出され、下端に形成したクラッチ凸部23dがリングギヤ11に穿設されているクラッチ凹部11aに係合して、このリングギヤ11を固定するクラッチ係合状態となる(図1、図2参照)。
【0028】
又、図10、或いは図12に示すように、ローラピン29がカム溝28の裾部28b,28cに位置しているとき、クラッチ軸23は上方へ後退し、下端に形成したクラッチ凸部23dがリングギヤ11に穿設されているクラッチ凹部11aから離間されたクラッチ開放状態となる(図8参照)。
【0029】
又、クラッチ軸23のカム溝28に設けた頂部28aと、軸心を挟んで反対側にデテント機構31が配設されている。このデテント機構31は、ローラピン29がカム溝28の頂部28aに達したときの位置決めを行うためのもので、クラッチ軸23の大径軸部23aに軸方向に沿って形成した位置決め溝31aと、クラッチ操作部本体21に出没自在に配設されたボール31bと、このボール31bの背面を押圧する予圧ばね31cと、クラッチ操作部本体21に螺入されて予圧ばね31cの背面を押圧するボルト31dとで構成されている。
【0030】
又、クラッチシリンダ24の外周に横溝24bが形成され、この横溝24bにピストンピン32の先端が臨まされている。図6、図9に示すように、ピストンピン32はクラッチシリンダ24の軸心に対して一方へ偏倚した位置に径方向から臨まされており、このピストンピン32を突出動作させると、その先端がコ字状に開口された横溝24bの底部外縁を押圧し、クラッチシリンダ24を、図の時計回り方向へ回動させる。
【0031】
ピストンピン32の後部は、クラッチ操作部本体21の一側に固設された油圧アクチュエータ33に挿通され、この油圧アクチュエータ33の油室33aに供給される油圧により突出動作され、油圧がドレーンされるとリターンスプリング33bの付勢力で初期位置に戻される。
【0032】
上述したように、クラッチシリンダ24とクラッチ軸23とは係合ピン27を介して、回転方向へ一体動作するため、クラッチシリンダ24が回転すると、クラッチ軸23が同方向へ回転する。その際、クラッチ軸23は、カム溝28に沿って相対移動するローラピン29に支持されながら下降動作する。
【0033】
ピストンピン32が突出端に達したとき、ローラピン29がカム溝28の頂部28aに達するように設定されており、このとき、デテント機構31のボール31bが位置決め溝31aに係入して位置決めされる。
【0034】
従って、クラッチ軸23は、カム溝28の両裾28b,28cの範囲で回動可能であり、その丁度中間の位置で、クラッチ軸23の下端に突設したクラッチ凸部23dがリングギヤ11に穿設したクラッチ凹部11aに係入される。
【0035】
このカム溝28とローラピン29との関係を、図5に示す操作レバー25の位置で示せば、ローラピン29がカム溝28の一方の裾部28bに係合しているとき、操作レバー25は図面右側の一点鎖線で示す自動クラッチ開放位置にあり、ローラピン29が他方の裾部28cに係合しているとき、操作レバー25は図面左側の二点鎖線で示す手動クラッチ開放位置にあり、又、ローラピン29が頂部28aに係合しているとき、操作レバー25は図面中央のクラッチ係合位置にある。
【0036】
図12に示すように、ローラピン29が他方の裾部28cに係合している手動クラッチ開放状態のとき、クラッチシリンダ24に形成されている横溝24bの底部外縁は、ピストンピン32との干渉を回避する位置まで回動されている(図11参照)。
【0037】
次に、図13に基づき、油圧モータ1、油圧アクチュエータ33に対して油圧を供給する油圧回路の基本構成を説明する。油圧モータ1には2つの入出力通路36a,36bが接続されており、正転時は一方の入出力通路36aが入力通路として機能し、他方の入出力通路36bが出力通路として機能する。又、逆転時は、他方の入出力通路36bが入力通路として機能し、一方の入出力通路36aが出力通路として機能する。
【0038】
この各入出力通路36a,36bが方向切換弁37を介してメイン通路38とドレーン通路43とに選択的に接続自在にされている。メイン通路38の上流は油圧ポンプ40を介装する供給通路41に接続されており、更に、この供給通路41に上流側バイパス通路42aが接続され、下流側バイパス通路42bがドレーン通路43に接続され、この両バイパス通路42a,42b間が方向切換弁37を介して接続、遮断自在にされている。又、メイン通路38には、油圧モータ1側からの油圧の逆流を阻止する逆止弁44が介装されている。
【0039】
更に、油圧ポンプ40下流側の供給通路41とドレーン通路43とが、リリーフ通路45を介して連通されており、このリリーフ通路45に、油圧ポンプ40から突出される油圧を一定値以下に保持するリリーフ弁46が介装されている。尚、符号47は、オイルフィルタ、48はオイルパンである。又、油圧ポンプ40はエンジン(図示せず)の動力を利用して回転駆動される。
【0040】
方向切換弁37は正転動作ソレノイド49、逆転動作ソレノイド50を有しており、この各ソレノイド49,50が、図14に示す遠隔操作可能な駆動スイッチ51の正転側接点51aと逆転側接点51bとにそれぞれ接続されている。尚、符号52は車両に搭載されているバッテリである。
【0041】
又、図13に示す方向切換弁37は、駆動スイッチ51がOFFの中立位置にあり、このとき、両バイパス通路42a,42bが連通され、又、メイン通路38及び他方の入出力通路36bが遮断されると共に、一方の入出力通路36aがドレーン通路43に接続される。
【0042】
又、駆動スイッチ51の正転側接点51aをONさせると、正転動作ソレノイド49がON動作し、両バイパス通路42a,42b間が遮断され、メイン通路38が一方の入出力通路36aに連通されると共に、他方の入出力通路36bがドレーン通路43に連通される。
【0043】
一方、駆動スイッチ51の逆転側接点51bをONすると、逆転動作ソレノイド50がON動作し、両バイパス通路42a,42b間が遮断され、メイン通路38が他方の入出力通路36bに連通されると共に、一方の入出力通路36aがドレーン通路43に連通される。方向切換弁37のドレーン通路43側に接続する各通路には、オリフィスが介装されており、従って、油圧モータ1が正転、或いは逆転動作してるときオリフィスよりも上流側の通路には、所定の油圧が保持される。
【0044】
一方の入出力通路36aには、油圧アクチュエータ33の油室33aに連通するアクチュエータ作動通路53が分岐接続されている。上述したように、油圧モータ1が作動中のときはオリフィスよりも上流側の通路に、所定の油圧が保持されるため、油室33aには、油圧モータ1が正転のときは勿論のこと、逆転時においても油圧が印加され、ピストンピン32は突出した状態を維持する。
【0045】
次に、このように構成されたウインチBの作動を、操作手順に従って説明する。エンジンの駆動力を利用して油圧モータ1を回転させたとき、駆動スイッチ51がOFF状態にあり、従って、方向切換弁37が、図13に示すような中立位置にあるとき、油圧ポンプ40から突出する圧油は、方向切換弁37を介して連通されているバイパス通路42a,42bを通り、ドレーン通路43へ戻されるため、油圧モータ1に対する圧油の供給は遮断される。
【0046】
油圧モータ1に連通されている一方の入出力通路36aがドレーン通路43に連通されているため、油圧モータ1、及び油圧アクチュエータ33の油室33aに供給された圧油もドレーンされ、油圧モータ1の回転が停止し、又、油圧アクチュエータ33のピストンピン32はリターンスプリング33bの付勢力を受けて後退し、待機状態となる。
【0047】
この状態で、操作レバー25が、図5に一点鎖線で示す自動クラッチ開放位置にあるとき、クラッチシリンダ24に形成した横溝24bの底部外縁は、図9に示すように、後退した状態で待機されているピストンピン32に近接した位置にあり、又、このクラッチシリンダ24と一体回転されるクラッチ軸23に形成したカム溝28は、ローラピン29を、図10に示すように、一方の裾部28bへ導いているため、クラッチ軸23が、図8に示すように、上方へ予圧ばね26の付勢力に抗してリフトアップされ、下端に突設したクラッチ凸部23dが、遊星歯車式減速機2のリングギヤ11の外周に形成したクラッチ凹部11aから離脱された、クラッチ開放状態となっている。
【0048】
そして、操作者が、ウインチドラム3に巻き付けられているワイヤロープを引きほどき、その先端を荷物に連結した後、所定の場所に設置されている駆動スイッチ51を、正転側接点51a側に接続させてON動作させる。
【0049】
すると、正転動作ソレノイド49が動作し、方向切換弁37がバイパス通路42a,42b間を遮断し、メイン通路38と一方の入出力通路36aとが連通され、又、他方の入出力通路36bがドレーン通路43に連通される。
【0050】
油圧ポンプ40から供給される圧油は、メイン通路38、一方の入出力通路36aを経て油圧モータ1に供給されると共に、この一方の入出力通路36aに分岐接続するアクチュエータ作動通路53を通り、油圧アクチュエータ33の油室33aに供給され、油圧モータ1が正転すると共に油圧アクチュエータ33の油室33aに供給される圧油によりピストンピン32が突出動作する。
【0051】
ピストンピン32が突出動作すると、その先端がクラッチシリンダ24に形成した横溝24bの底部外縁を押圧し、クラッチシリンダ24を、図9の状態から図6に示す方向へ時計回りに回転させる。
【0052】
すると、このクラッチシリンダ24に軸着されている係合ピン27を介してクラッチ軸23が同方向へ回転し、クラッチ軸23の側面に形成したカム溝28と、これに係入するクラッチ操作部本体21から突出するローラピン29とのカム機構により回転運動が軸方向への直線運動に変換され、クラッチ軸23は、このクラッチ軸23を押圧する予圧ばね26の付勢力により、リングギヤ11に穿設したクラッチ凹部11aに径方向から近接する。
【0053】
そして、ローラピン29がカム溝28の頂部28aに達すると、デテント機構31を構成するボール31bが予圧ばね31cの付勢力を受けて、クラッチ軸23に形成した位置決め溝31aに係入し、クラッチ軸23の回転方向を位置決めすると共に、クラッチ軸23の下端に形成したクラッチ凸部23dがリングギヤ11に穿設したクラッチ凹部11aに係入し、このリングギヤ11を固定するクラッチ係合状態となる。
【0054】
クラッチ凸部23dがクラッチ凹部11aに係入すると、リングギヤ11が固定され、従来と同様、油圧モータ1の回転が遊星歯車式減速機2を介して、所定に減速された状態でドラム軸3aに伝達され、このドラム軸3aに軸着するウインチドラム3が回転し、ワイヤロープの巻き上げが開始される。
【0055】
そして、ワイヤロープに連結した荷物を車両の荷台に所定に載置した後等、ワイヤロープの巻き上げを停止する場合は、駆動スイッチ51をOFFさせ、メイン通路38と、一方の入出力通路36aとを遮断し、両バイパス通路42a,42b間を連通すると共に、他方の入出力通路36bをドレーン通路43に連通する。
【0056】
すると、油圧モータ1の回転が停止すると共に、油圧アクチュエータ33の油室33aに供給された圧油がドレーンされ、ピストンピン32はリターンスプリング33bの付勢力を受けて、徐々に後退し、初期位置に戻される。
【0057】
この状態で、作業者が操作レバー25を、図5に示すクラッチ係合位置からクラッチ開放位置へ回動させる。
【0058】
すると、この操作レバー25に連結するクラッチシリンダ24、係合ピン27を介してクラッチ軸23が同方向へ回動し、クラッチ軸23は、カム溝28とローラピン29との関係から回転運動が直線運動に変換され、予圧ばね26の付勢力に抗して上昇し、クラッチ軸23の下端に形成したクラッチ凸部23dがリングギヤ11に形成したクラッチ凹部11aから離間するクラッチ開放状態となる。そして、ローラピン29がカム溝28の裾部28bに係入して、クラッチ軸23のクラッチ開放姿勢が維持される。
【0059】
又、操作レバー25を、図5の二点鎖線で示す手動クラッチ開放位置に回動させると、図11に示すように、突出状態にあるピストンピン32に対し、横溝24bを回避する方向へクラッチシリンダ24が回動し、これに連動してクラッチ軸23が、図12に示すように、カム溝28とローラピン29との関係から上昇し、ローラピン29が他方の裾部28bに係入される。その結果、クラッチ軸23の下端に突設したクラッチ凸部23dをリングギヤ11に穿設したクラッチ凹部11aから離脱させて、油圧モータ1が回転しているにもかかわらず強制的にクラッチ開放状態とすることができる。
【0060】
尚、クラッチ操作部本体21には、操作レバー25がクラッチ係合位置から手動クラッチ開放側への回動を阻止するストッパ等の阻止部材が設けられている。従って、この阻止部材を操作者が外さない限り、操作レバー25をクラッチ開放側へ回動させることはできない。
【0061】
油圧モータ1の回転中に、手動にてクラッチ開放状態とすることができるので、例えば、ウインチBを車両に取付ける際の初期セット時に、ウインチドラム3を回転させることなく、油圧ポンプ40、各動作ソレノイド49,50等の試験運転を行うことができる。又、長年の使用により、例えば、各動作ソレノイド49,50にコンタミネーション等が混入し、各動作ソレノイド49,50の一方がON状態のまま戻らなくなってしまった場合、エンジンを始動して、油圧ポンプ40から圧油の供給が開始されたとき、駆動スイッチ51のON/OFFに拘わらず、油圧モータ1が駆動してしまうため、このような場合には、操作レバー25を手動クラッチ開放方向へ回動させることで、油圧モータ1とウインチドラム3との間の動力伝達を強制的に遮断することができる。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、ウインチBは、クラッチ機構以外は基本的に従来の構成と同じであるため、従来の構成部品を大幅に変更することなく、適用することができ、製品コストの高騰を抑制することができる。
【0063】
又、遊星歯車式減速機2のリングギヤ11に穿設したクラッチ凹部11aに対してクラッチ軸23の下端に形成したクラッチ凸部23dを係脱させる手段として、クラッチシリンダ24の回転運動をクラッチ軸23の直線運動に変換する機構を採用したので、大がかりな部品構成を必要とせず、クラッチ構造の簡素化、小型化が実現できる。
【0064】
更に、クラッチ係合時のクラッチシリンダ24の回転運動を、油圧モータ1へ供給する圧油を利用して動作する油圧アクチュエータにより行うようにしたので、油圧モータ1の回転とクラッチ機構の係合動作とを、駆動スイッチ51をONすることで同時に開始させることができ、従って、クラッチ係合を遠隔操作することができるようになり、ウインチ巻き上げ開始までの手間が軽減され、作業効率が向上する。
【0065】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、既存のギヤケースに収容する部品構成を大幅に変更することなく、装置全体が大型化せず、簡単な構造で、ウインチ巻き上げ開始までの手間を軽減することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クラッチ係合時のウインチの側面断面図
【図2】図1のII部拡大図
【図3】図2のIII部拡大図
【図4】図3のIV-IV断面図
【図5】図1のV矢視図
【図6】図2のVI-VI断面図
【図7】(a)図2のVII−VII断面図、(b)(a)の左側面展開図
【図8】クラッチ開放時の図1の要部側面断面図
【図9】図8のIX-IX断面図
【図10】(a)図8のX-X断面図、(b)(a)の左側面展開図
【図11】手動クラッチ開放時の図9相当の断面図
【図12】(a)手動クラッチ開放時の図10に相当する断面図、(b)(a)の左側面展開図
【図13】ウインチの油圧回路図
【図14】駆動スイッチの回路図
【図15】従来のウインチの側面断面図
【図16】同、図15のXVI部拡大図
【図17】同、図16のXVII矢視側面図
【符号の説明】
B ウインチ
1 油圧モータ
2 遊星歯車式減速機
3 ウインチドラム
6 ギヤケース
11 リングギヤ
11a クラッチ凹部
23 クラッチ軸
28,29 カム機構(カム溝、ローラピン)
33 油圧アクチュエータ
Claims (2)
- 油圧モータを遊星歯車式減速機を介してウインチドラムに連設し、
上記遊星歯車式減速機に設けたリングギヤの外周にクラッチ凹部を形成し、
上記クラッチ凹部に径方向から係脱自在なクラッチ軸を上記遊星歯車式減速機を収容するギヤケースに進退自在に支持し、
上記クラッチ軸に該クラッチ軸の回転運動を上記リングギヤに対する径方向への直線運動に変換させるカム機構を連設し、
上記クラッチ軸の径方向に該クラッチ軸に回転運動を付与する油圧アクチュエータを配設したことを特徴とするウインチ用クラッチ切換え装置。 - 上記油圧アクチュエータは上記油圧モータを動作させる圧油で作動すると共に、
上記油圧アクチュエータの作動により上記クラッチ軸が回転すると該クラッチ軸は上記リングギヤに形成した上記クラッチ凹部に近接係合する方向へ直線動作することを特徴とする請求項1記載のウインチ用クラッチ切換え装置。
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