JP4449136B2 - エアバッグ内蔵ピラーのトリムカバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグを内蔵する自動車のフロントピラーやこれに連続するルーフサイドレール(ピラー等)の室内側を覆って配設されるトリムカバーに係り、特に、エアバッグ作動時においてエアバッグの円滑膨出を行わせるように変形すべく形成される簡便構造のエアバッグ内蔵ピラーのトリムカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5,図6に示すように、自動車の車室内にはハンドル14や図略のメータ類等の配置されるインストルメントパネル15等があり、フロントガラス7とサイドガラス8との境目の左右のコーナ部にはフロントピラー6が配置され、その上部端には図5に示すようにルーフサイドレール16等が配置される。このフロントピラー6やルーフサイドレール16はドライバー17のドライバーの頭部18の比較的近傍に配置されているため、衝突時等におけるドライバー17のドライバーの頭部18まわりの保護のために図5に示すようにエアバッグ11を内蔵するものがある。また、フロントピラー6やルーフサイドレール16はトリムカバー1′(図7)により覆われて室内側からの美観向上を図るようにしている。
【0003】
すなわち、図7に示すように、例えば、インナフロントピラー6aとアウタフロントピラー6bとを合体して形成されるフロントピラー6の室内側には図示のようなトリムカバー1′が配置され、トリムカバー1′とフロントピラー6との間にはエアバッグ11が配設される。なお、このエアバッグ11は図5,図7に示すようにインフレータ12と連結される。図7は図5のA−A断面におけるフロントピラー6やトリムカバー1′等を示したものであり、ほぼ同様のものがルーフサイドパネル16の部分にも配設されるがこの部分の説明は省略する。
【0004】
エアバッグ11の作動時において膨出したエアバッグ11がドライバー17のドライバーの頭部18等に当ってこれ等を保護することが必要のため、トリムカバー1′はエアバッグ11の膨出力により変形し開口部を形成する必要がある。このため、図7に示すように、従来のトリムカバー1′にはノッチ式の凹溝3′が長手方向に沿って凹設されるものもある。すなわち、エアバッグ11の作動時にはこの凹溝3′の部分がヒンジとして機能し、この部分を基点としてトリムカバー1′が開口変形し、その開口部5′からエアバッグ11を膨出させるようにしていた。なお、従来のトリムカバー1′は凹溝3′の形成によるトリムカバー1′の強度不足を補完するためと凹溝3′によるトリムカバー1′の表面の“ヒケ”を防止するため表皮13を設けた二重構造のものから形成されていた。
【0005】
エアバッグ作動時等における膨出力等により膨出を円滑に行わせるための公知技術としては各種のものがある。例えば、米国特許第5382047号明細書,特開平11−105659号公報,特開平11−34777号公報等が挙げられる。前記の米国特許第5382047号明細書は、ダイヤモンド型の空隙部を開口形成するもので外力作用時にはその空隙部に亀裂が生じて内部のエアバッグ等の膨出物の膨出の円滑化を図るものである。特開平11−105659号公報の“エアバッグ内蔵ピラーガーニッシュ”はフロントピラーとルーフサイドレールを覆って配設されるフロントピラーガーニッシュ部とルーフサイドガーニッシュ部との接合部がエアバッグの作動時において円滑に変形せず、このため内蔵されているエアバッグの膨出が不円滑になるのを防止するものであり、具体的には前記接合部に破断容易部を形成したものである。また、特開平11−34777号公報の「エアバッグモジュールのカバーキャップ」はエアバッグモジュールを覆うカバー壁に多数個の打抜き孔を設け、エアバッグの作動時にはこの打抜き孔の部分が破断され、両側のヒンジを基点としてカバー壁の中間部が2つ開きに開口し、エアバッグの膨出を容易にするようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示した従来のトリムカバー1′は前記のように凹溝3′を基点として開口するが、この凹溝3′の部分に力が集中するため凹溝3′の形状によっては図8に示すようにトリムカバー1′の下端側が変形時に破断されて破片等が飛びちる問題点がある。また、これを防止すべく表皮13を設けるとその分だけコスト高となる問題点がある。
【0007】
一方、前記した公知技術もそれぞれ特徴を有するものであるが、エアバッグ作動時における変形の安定性が不十分であり、フロントピラーやルーフサイドレールのすべての部分にわたってエアバッグを円滑に膨出させることが難しい。
【0008】
本発明は、以上の事情に鑑みて発明されたものであり、簡便構造で安価に実施でき、変形時におけるトリムカバーの破断もなく、エアバッグの円滑な膨出が安定して行われるエアバッグ内蔵ピラーのトリムカバーを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、エアバッグを配置した車体のフロントピラーやルーフサイドレール(ピラー等という)の室内側を覆うと共に前記エアバッグの膨出力によって変形し前記エアバッグを室内側に膨出せしめるべく形成されるトリムカバーであって、該トリムカバーは、可撓性を有すると共に、その内壁面に、前記ピラー等の長手方向に沿って複数個、楕円形状の凹溝をそれぞれ間隔を空けて配置される凹溝列が複数列形成され、前記凹溝列は、前記エアバッグの膨出力により前記トリムカバーの少なくとも各凹溝列の間に亘って一体的に可撓変形するように互いに隣接しているエアバッグ内蔵ピラーのトリムカバーを構成するものである。
【0010】
また、本発明は、エアバッグを配置した車体のフロントピラーやルーフサイドレール(ピラー等という)の室内側を覆うと共に前記エアバッグの膨出力によって変形し前記エアバッグを室内側に膨出せしめるべく形成されるトリムカバーであって、該トリムカバーは、可撓性を有すると共に、その内壁面に、前記ピラー等の長手方向に沿って複数個の凹溝をそれぞれ間隔を空けて配置される凹溝列が複数列形成され、それぞれの凹溝列は、前記エアバッグの膨出力により前記トリムカバーの少なくとも各凹溝列の間を含む領域が一体的に可撓変形するように隣接し、かつ前記凹溝列の凹溝は、隣接する凹溝列の凹溝と位相を違えて配置されることを特徴とするものである。
【0011】
トリムカバーにはその長手方向に沿って複数個の凹溝をそれぞれ間隔を空けて並べた凹溝列が複数列隣接して形成される。エアバッグの作動時においてトリムカバーにエアバッグの膨出力が作用するとトリムカバーは複数列の凹溝列の部分が広範囲な基点として変形しエアバッグを室内側に膨出させて開口部を形成する。この場合、凹溝は従来技術のようにノッチ式のものでなく、かつ複数列の凹溝列の場合には特に基点位置が特定されず部分集中力が凹溝側に作用しない。このためトリムカバーの開口変形が柔軟に、かつ無理なく行われる。以上によりトリムカバーは破断されずに変形し、エアバッグを円滑に室内側に膨出せしめることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエアバッグ内蔵ピラーのトリムカバーの実施の形態を図面を参照して詳述する。図1は前記の図5におけるフロントピラー6のA−A断面の部分における本実施の形態の全体形状を示す断面図である。すなわち、フロントピラー6はインナフロントピラー6aとアウタフロントピラー6bを合体結合したものからなり、フロントガラス7やサイドガラス8等がシール部材9,10を介して取り付けられている。このフロントピラー6の室内側にはフロントピラー6の内面側と適宜間隔を介してトリムカバー1がフロントピラー6の全体を覆って配設される。すなわち、トリムカバー1は平状部材をやや弧状に屈曲せしめた横断面形状を有するものからなり、フロントピラー6の長手方向に沿って伸延して配設される。
【0013】
トリムカバー1はその中間部をウエルドナット・ボルト19等によりフロントピラー6側に固定され、上方側はフロントガラス7側に近接して配置され、下方側はサイドガラス8側のシール部材10の近傍にまで伸びて配設される。このトリムカバー1の下方側の内壁面1aとインナフロントピラー6aとの外面との間にはエアバッグ11が配設される。なお、このエアバッグ11はインフレータ12(図5)に連結される。
【0014】
トリムカバー1の内壁面1aには、図1乃至図3に示すように凹溝列2が、エアバッグの膨出力により前記トリムカバーの少なくとも各凹溝列の間に亘って一体的に可撓変形するように互いに隣接して形成される。なお、本実施の形態では複数列(図示では3列)の凹溝列2が形成されているがこれに限定するものではない。それぞれの凹溝列2には複数個の凹溝3が凹設される。この凹溝3は比較的浅い溝深さを有するものからなり、その形状は任意のものでよいが、例えば、図示のように楕円形の輪郭形状を有するものが適用される。この凹溝3は互いに適宜間隔で配置され、その上下端の部分は図3等に示すようにトリムカバー1の端部から開放して配設される。この複数列の凹溝列2の形成されるトリムカバー1の範囲4(図3の2点鎖線で示す)は、凹溝列2の形成されていないトリムカバー1の部分よりも低剛性になるため、トリムカバー1に外力が作用するとトリムカバー1はこの範囲を基点として変形する。すなわち、この範囲を基点としてその下方側の部分が変形し開口部5(図4)を形成することになる。
【0015】
図3に示すように、凹溝列2の凹溝3は前記のように適宜間隔で配設されるが、互いに隣接する凹溝列2,2の凹溝3,3は互いに位相違いの状態で千鳥状に配置されるが、それに限定するものではない。但し、千鳥状に配置することにより範囲4の集中基点としての機能が薄れ、基点が広範囲となり無理のない変形を行うことができる。
【0016】
図4はエアバッグ11の作動時におけるトリムカバー1の変形状態を模式的に表現したものである。エアバッグ11の膨出力によりトリムカバー1は前記の範囲4の部分を基点としてその下方側が変形し、開口部5を形成する。この場合、前記のようにトリムカバー1の変形は極端でなく、円滑に、かつ無理なく行われる。以上により、図示のようにエアバッグ11が円滑に膨出され、図略のドライバーの頭部を保護する。
【0017】
本実施の形態におけるトリムカバー1の材質は特に限定するものではないが、可撓性を有することが必要であり、合成樹脂材から形成されることが望ましい。また、本実施の形態のトリムカバー1は従来技術のように表皮13を必要とせず、その分だけコストダウンが図れる。また、凹溝3の形状もトリムカバー1の樹脂成形時に同時に形成されるものであり、特別の加工を必要としない。
【0018】
【発明の効果】
本発明のエアバッグ内蔵ピラーのトリムカバーによれば、エアバッグ作動時におけるトリムカバーの変形が円滑に、かつ無理なく行われ、エアバッグの室内側への膨出を円滑に行わせることができると共に、変形による破断等もなく、安全性の向上が図れると共に構造簡便で安価に実施できる効果が上げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトリムカバーを設けたフロントピラーまわりの概要構造を示す断面図。
【図2】図1におけるトリムカバーの立体形状を示す部分斜視図。
【図3】凹溝列を示すための図2のB矢視における平面図。
【図4】本発明のトリムカバーのエアバッグ作動時の変形状態を示す模式図。
【図5】車体のフロントピラー,ルーフサイドレールまわりの概要構造を示す部分側面図。
【図6】車体内のフロントピラーまわりの各構成要素の配置を示すための部分斜視図。
【図7】従来のトリムカバーの構造を示す断面図。
【図8】従来のトリムカバーのエアバッグの作動時の変形状態を示す模式図。
【符号の説明】
1 トリムカバー
1a 内壁面
2 凹溝列
3 凹溝
4 範囲
5 開口部
6 フロントピラー
6a インナフロントピラー
6b アウタフロントピラー
7 フロントガラス
8 サイドガラス
9 シール部材
10 シール部材
11 エアバッグ
12 インフレータ
13 表皮
16 ルーフサイドレール
17 ドライバー
18 ドライバーの頭部
19 ウエルドナット・ボルト
Claims (2)
- エアバッグを配置した車体のフロントピラーやルーフサイドレール(ピラー等という)の室内側を覆うと共に前記エアバッグの膨出力によって変形し前記エアバッグを室内側に膨出せしめるべく形成されるトリムカバーであって、該トリムカバーは、可撓性を有すると共に、その内壁面に、前記ピラー等の長手方向に沿って複数個、楕円形状の凹溝をそれぞれ間隔を空けて配置される凹溝列が複数列形成され、前記凹溝列は、前記エアバッグの膨出力により前記トリムカバーの少なくとも各凹溝列の間に亘って一体的に可撓変形するように互いに隣接していることを特徴とするエアバッグ内蔵ピラーのトリムカバー。
- エアバッグを配置した車体のフロントピラーやルーフサイドレール(ピラー等という)の室内側を覆うと共に前記エアバッグの膨出力によって変形し前記エアバッグを室内側に膨出せしめるべく形成されるトリムカバーであって、該トリムカバーは、可撓性を有すると共に、その内壁面に、前記ピラー等の長手方向に沿って複数個の凹溝をそれぞれ間隔を空けて配置される凹溝列が複数列形成され、それぞれの凹溝列は、前記エアバッグの膨出力により前記トリムカバーの少なくとも各凹溝列の間を含む領域が一体的に可撓変形するように隣接し、かつ前記凹溝列の凹溝は、隣接する凹溝列の凹溝と位相を違えて配置されることを特徴とするエアバッグ内蔵ピラーのトリムカバー。
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