JP4448510B2 - 廃プラスチックの処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、廃プラスチックの処理装置に関し、詳しくは、かさ比重の小さい粉体状、粒状、フィルム(フラフ)状の廃プラスチックを溶融・固化して成形品を得る処理装置、更に、溶融後に引き続いて熱分解及び脱塩素を行って成形品を得るに好適の廃プラスチックの処理装置に関するものである。
従来、かさ比重の小さい粉体状、粒状、フィルム(フラフ)状の廃プラスチックを原料とし、溶融・固化して成形品にする廃プラスチックの処理装置、或いは溶融後に更に熱分解及び脱塩素を行って成形品にする廃プラスチックの処理装置に原料を供給する手段として、原料を強制的に押し込むコンパクタ(圧縮機)が一般に用いられてきた。
例えば、特許文献1,2等で提案されているコンパクタは、スクリュ式押出機のシリンダ(ケーシング)に設けられた供給口に、下端を連結するコンパクタホッパを押出機のスクリュに対して鉛直上方向に設置し、その中心軸線部に外径寸法に変化のないスクリュを配して回転駆動可能にし、原料を下方に向けて押し込むように構成している。ホッパの形状は、上部が円錐形で次第に縮径し、下部はスクリュ径とほぼ同等な径の円筒形となっている。
また、特許文献3で提案されているコンパクタは、原料供給部の外形を円錐形状に大径としてその先端に小径とした圧縮部を連設し、谷の径は全長においてほぼ同じにすることによって、圧縮比が所要の大きさになるように構成した圧縮スクリュを、これによって圧縮した原料を押出スクリュに送り込むことが可能なように、押出スクリュの両側又は上側などの周囲部に傾斜角を与えて配置した構成となっている。
また、本発明者等も廃プラスチックを溶融・固化或いは更に熱分解及び脱塩素(脱塩化水素)を行う廃プラスチックの処理装置(特許文献4〜特許文献7(特開2002−317072、特開2004−83684、特開2005−349838、特開2006−63346))において、シリンダの供給口に、駆動手段による駆動により、送り込み量を調節しながら廃プラスチックを可塑化させることなく押し込む押し込み部材(スクリュ又はピストン)を有する押し込み手段を設け、廃プラスチックのかさ密度を大きくしてシリンダに供給することを提案している。
これらに共通する構成、機能としては、いずれもスクリュを付属するホッパが基本的に円錐形状をなし、その中心軸線部にスクリュが設置されており、軸対称な形状になっていること、ホッパの円筒(直胴)部に挿入されたスクリュ又は基部を大径部として先端に行くに従い小径部として更に圧縮効果を持たせたスクリュにより、強制的に押し込む作用を与えていることである。すなわち、ホッパ部では原料を有る程度貯留する機能を有し、コンパクタのスクリュ谷部では原料が圧縮されて充満しており、スクリュの回転数を変更することにより供給量を変更する(定量供給)機能を有している。
また、本発明者等は、廃プラスチックを溶融・固化或いは更に熱分解及び脱塩素(脱塩化水素)を行う廃プラスチックの処理装置として、特許文献8(特開2005−111847)に記載されるものについても提案している。
これは、廃プラスチックを供給口からシリンダ内に供給し、回転する二軸のスクリュによってシリンダ内を移送させながら、廃プラスチックを所定温度にまで昇温させて減容させると共に、シリンダの排出口から排出される廃プラスチックをペレット(成形品)にさせる廃プラスチックの処理装置において、シリンダの供給口に接続するホッパに、ホッパの底部側面に開口する筒状部材と、筒状部材内に回転自在に配設させるホッパスクリュと、ホッパスクリュを回転駆動する駆動手段とを有する押し込み装置を付属させ、駆動手段によるホッパスクリュの回転駆動により、廃プラスチックを可塑化させることなく、廃プラスチックの嵩密度を大きくして供給口からシリンダ内に供給すると共に、前記シリンダの供給口の付近に、該シリンダの内外を連通する通孔部を設け、ホッパスクリュによって押し込まれる廃プラスチックから分離される水分及び空気の内の少なくとも一方を通孔部から排出することを特徴とする廃プラスチックの処理装置である。
特許第3505095号公報 特開2000−290425号公報 特開昭47−43154号公報 特開2002−317072号公報 特開2004−83684号公報 特開2005−349838号公報 特開2006−63346号公報 特開2005−111847号公報
第一の課題は、コンパクタのホッパ内に原料つまり廃プラスチックが一時的に貯留するため、当該原料ではスクリュ上部でブリッジが発生し、押出機への連続的な原料供給ができなくなることがある。特に、かさ比重の小さなフィルム(フラフ)状のプラスチック、又は同様の形態を有する廃プラスチック等でブリッジが発生し易く、更には水分を含み、プラスチック以外の異物(紙、繊維、土砂等の吸水物質)が含まれる廃プラスチックでブリッジの発生が顕著である。これは、特許文献1,2に示される形態の装置で発生し易い。
第二の課題は、コンパクタのスクリュにより原料を圧縮するため、原料によってはスクリュ溝内に圧縮された原料が固化し易く、スクリュと共回りをすることにより、原料の供給ができなくなる問題が発生し易い。
第三の課題は、多量の原料をコンパクタのスクリュによって圧縮して押出機に押し込むため、スクリュのモータ動力を大きくする必要がある。
第四の課題は、コンパクタのホッパ内に原料が一時的に貯留すること、多量の原料を圧縮して押出機に押し込むことから、原料の定量供給機からコンパクタへの供給量と、コンパクタのスクリュの回転数と、押出機の回転数とのバランスを常に最適な状態に制御する必要があり、非常に煩雑である。これらのバランスが崩れた場合、ホッパからの原料漏れ、コンパクタ又は押出機の内の少なくとも一方のスクリュを駆動するモータのオーバーロードが発生する。
第五の課題は、円形断面のホッパの中心軸線部にスクリュの中心軸線部を合致させて配置する構造であり、ホッパの中心軸線部にスクリュ及び駆動手段であるモータを設置する必要があるため、原料の投入のためにホッパの形状が大きくならざるを得ない。また、コンパクタのスクリュにより原料圧縮効果を与えているため、圧縮スクリュに相応の強度が必要となり、装置コストが高くなる。
特許文献8(特開2005−111847)に記載されるものにあっては、これらの技術的課題は一部改善されているが、ホッパスクリュのみを設置してホッパ内の原料をシリンダ内に供給する構造であるため、特に薄いフィルム(フラフ)状プラスチック、又は同様な形態を有するかさ比重の小さい廃プラスチックや、水分を含む廃プラスチックでホッパ内でブリッジが発生し易い。その結果、ホッパ内の原料がシリンダ内に安定的に供給され難くなる。
円形断面のホッパであり、ホッパの底部側面に開口する筒状部材の鉛直線に対する傾斜角が大きくなる傾向にあり、シリンダ内に廃プラスチックを供給する方向が鉛直線に対して大きく傾斜する傾向を呈し、二軸のスクリュによる送り作用に追従させてシリンダ内に廃プラスチックを円滑に供給することができない傾向にある。すなわち、ホッパの容積を大きく確保することと、二軸のスクリュによる送り作用に追従させてシリンダ内に廃プラスチックを円滑に供給することが両立し難い。
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は、次の通りである。
請求項1記載の発明は、比重分離された軽量物プラスチックからなる廃プラスチックPを供給口4aからシリンダ4内に供給し、回転する二軸の移送スクリュ6によってシリンダ4内を上流側から下流側に向けて移送させながら廃プラスチックPを所定温度にまで昇温させて可塑化させると共に、シリンダ4の排出口8から排出される廃プラスチックPを成形品にする廃プラスチックの処理装置において、
シリンダ4の供給口4aに接続するホッパ1と、ホッパ1の底部側面に開口し、鉛直線に対して傾斜配置される筒状部材2と、筒状部材2内に回転自在に配設され、下端部が供給口4aに位置して移送スクリュ6の上方での廃プラスチックPの噴き上げを押さえるホッパスクリュ23と、ホッパスクリュ23の回転軸23aを回転駆動する駆動手段21と、ホッパ1内に回転自在に配設され、下端部がホッパスクリュ23の下端部上方に臨む補助ホッパスクリュ25と、補助ホッパスクリュ25の回転軸25aを回転駆動する補助駆動手段26とを有するホッパ装置Aを設け、
駆動手段21及び補助駆動手段26によってホッパスクリュ23及び補助ホッパスクリュ25を回転駆動しながら、ホッパ1に投入する廃プラスチックPをシリンダ4の供給口4aから供給することを特徴とする廃プラスチックの処理装置である。
請求項2記載の発明は、前記ホッパスクリュ23の駆動手段21が、供給口4aからの廃プラスチックPの供給量の多少を問わずにホッパスクリュ23の回転軸23aを一定回転数で回転駆動することを特徴とする請求項1の廃プラスチックの処理装置である。
請求項3記載の発明は、前記ホッパ1が非円形断面形状をなし、供給口4aの鉛直線に対して、筒状部材2が配置されている側とは反対側に大きな収容空間1Aを形成していることを特徴とする請求項1又は2の廃プラスチックの処理装置である。
請求項4記載の発明は、前記補助ホッパスクリュ25の回転軸25aが鉛直線に対して傾斜角を有して、ホッパ1の移送スクリュ6による移送方向の上流側の内面と補助ホッパスクリュ25との間に空間1A’が形成され、且つ、ホッパスクリュ23の回転軸23a及び補助ホッパスクリュ25の回転軸25aが、平面視で二軸の移送スクリュ6の中心軸
線と平行をなすと共に、補助ホッパスクリュ25が、廃プラスチックPを移送スクリュ6による移送方向の下流側から上流側に向けて供給し、かつ、ホッパスクリュ23が、廃プラスチックPを前記上流側から下流側に向けて供給することを特徴とする請求項1,2又は3の廃プラスチックの処理装置である。
請求項5記載の発明は、比重分離された軽量物プラスチックからなる廃プラスチックPを供給口4aからシリンダ4内に供給し、回転する二軸の移送スクリュ6によってシリンダ4内を上流側から下流側に向けて移送させながら廃プラスチックPを所定温度にまで昇温させて可塑化させると共に、シリンダ4の排出口8から排出される廃プラスチックPを成形品にする廃プラスチックの処理装置において、
廃プラスチックPをホッパ1に定量供給する定量供給機28を備えると共に、
シリンダ4の供給口4aに接続するホッパ1と、ホッパ1の底部側面に開口し、鉛直線に対して傾斜配置される筒状部材2と、筒状部材2内に回転自在に配置され、下端部が供給口4aに位置して移送スクリュ6の上方での廃プラスチックPの噴き上げを押さえるホッパスクリュ23と、ホッパスクリュ23の回転軸23aを回転駆動する駆動手段21と、ホッパ1内に回転自在に配設され、下端部がホッパスクリュ23の下端部上方に臨む補助ホッパスクリュ25と、補助ホッパスクリュ25の回転軸25aを回転駆動する補助駆動手段26とを有するホッパ装置Aを設け、
駆動手段21及び補助駆動手段26によってホッパスクリュ23及び補助ホッパスクリュ25を回転駆動しながら、ホッパ1に投入する廃プラスチックPを供給口4aからシリンダ4内に供給するとき、ホッパスクリュ23の回転数を一定にしたまま、定量供給機28からの廃プラスチックPの供給量に合わせて移送スクリュ6の回転数を増減調節することを特徴とする廃プラスチックの処理装置である。
請求項6記載の発明は、前記シリンダ4の排出口8に脱塩素装置Cの供給口12aが接続され、シリンダ4において所定温度まで昇温させた溶融廃プラスチックを脱塩素装置Cに供給して更に加熱して、塩素系ポリマーを熱分解させて塩素化合物を発生させ、溶融廃プラスチックと塩素化合物とに分離させ、脱塩素装置Cの排出口16から排出される脱塩素後の廃プラスチックを成形品にすることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の廃プラスチックの処理装置である。
請求項1記載の発明によれば、ホッパスクリュは、ホッパの底部側面に開口する筒状部材内に回転自在に配設され、ホッパスクリュの下端部の上方がホッパ内に開放された状態にあり、ホッパ内面とホッパスクリュとの干渉が最小限に制御されているので、ホッパスクリュによって供給されるかさ比重の小さい廃プラスチックが容易にホッパ上方に向けて流出可能であり、原料である廃プラスチックを圧縮してシリンダ内に押し込む機能がないため、運転中も負荷変動がほとんど生じないと共に、ホッパスクリュの駆動手段の駆動力を小さくしながら、原料をシリンダ内に安定供給することができる。
加えて、筒状部材及びホッパスクリュが鉛直線に対して傾斜配置され、ホッパスクリュがホッパの下部の供給口直上に傾斜角を有して配置され、ホッパスクリュによって供給されるかさ比重の小さい廃プラスチックが容易にホッパ上方に向けて流出可能であるので、廃プラスチックがホッパスクリュの溝部で圧縮固化されることが防止され、原料がスクリュと共回りして供給が不可能になることもない。ホッパ上方に向けて流出した廃プラスチックは、補助ホッパスクリュによってホッパスクリュに向けて供給される。
筒状部材及びホッパスクリュが鉛直線に対して傾斜配置され、ホッパスクリュがホッパの下部の供給口直上に傾斜角を有して配置され、ホッパ内面との干渉を最小限に抑制した構造であるので、原料がホッパ内に一時的に貯留し難く、ホッパスクリュの回転数を高速にして、ブリッジの発生を抑えることができる。また、補助ホッパスクリュを設置してホッパ内の原料をかき混ぜるので、特に薄いフィルム(フラフ)状プラスチック、又は同様な形態を有するかさ比重の小さい廃プラスチックや、水分を含む廃プラスチックでブリッジを発生させ易い原料において、ブリッジを防止することができる。
ホッパスクリュは、筒状部材内に回転自在に配設され、下端部が供給口に位置してスクリュの上方での廃プラスチックの噴き上げを押さえるので、シリンダ内の移送スクリュにより原料が安定的に移送される。加えて、回転駆動される補助ホッパスクリュの下端部がホッパスクリュの下端部上方に臨むので、ホッパ内の原料が自重を受けながら適当にホッパスクリュに向けて供給され、ひいては原料がシリンダ内に安定的に供給される。また、ホッパスクリュは原料圧縮効果を有しないため、強度を高める必要がなく、構造を簡素にし、コストを安く抑えることができる。
請求項2記載の発明によれば、ホッパスクリュを供給量の多少を問わずに、一定回転数にしたため、運転中はホッパスクリュの回転数を制御する必要がなく、運転操作が簡素化される。
請求項3記載の発明によれば、ホッパが非円形断面形状をなし、供給口の鉛直線に対して、筒状部材が配置されている側とは反対側に大きな収容空間を形成しているため、筒状部材の鉛直線に対する傾斜角を小さくすることが可能になり、シリンダ内に廃プラスチックを供給する方向が鉛直線に対して小さく傾斜することになり、二軸の移送スクリュによる送り作用に追従させてシリンダ内に廃プラスチックを円滑に供給することが可能になる。すなわち、ホッパの容積を大きく確保することと、二軸の移送スクリュによる送り作用に追従させてシリンダ内に廃プラスチックを円滑に供給することとが良好に両立する。
請求項4記載の発明によれば、補助ホッパスクリュの回転軸が鉛直線に対して傾斜角を有してホッパの上流側の内面と補助ホッパスクリュとの間に空間が形成されているので、補助ホッパスクリュによって供給されるかさ比重の小さい廃プラスチックが容易に空間に向けて流出し、補助ホッパスクリュの溝部で圧縮固化されてスクリュと共回りすることが防止される。また、ホッパスクリュは、ホッパの底部側面に開口する筒状部材内に回転自在に配設され、先端部の上方がホッパ内に開放されているので、ホッパスクリュによって供給されるかさ比重の小さい廃プラスチックが容易にホッパ上方に向けて流出することができ、ホッパスクリュの溝部で原料が圧縮固化されてスクリュと共回りすることも防止される。これにより、原料であるかさ比重の小さい廃プラスチックを供給口からシリンダ内に安定供給することが可能になる。
加えて、ホッパの中心軸線からずらせてホッパスクリュ及び駆動手段並びに補助ホッパスクリュ及び補助駆動手段を設置することになり、空間によってホッパの上部開口部を効率的に大きく確保し、ホッパ装置をコンパクトにしながらホッパへの原料投入を容易にすることが可能であると共に、ホッパ装置の製造コストも抑えられる。
また、補助ホッパスクリュが、廃プラスチックを下流側から上流側に向けて供給するので、シリンダ内での移送方向に合わせて廃プラスチックを上流側から下流側に向けて供給するホッパスクリュのスクリュ溝に向けて原料を円滑に供給することと、シリンダ内での原料移送とが良好に両立することになる。
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加え、次の効果を奏することができる。定量供給機からの廃プラスチックの供給量に合わせて移送スクリュの回転数を増減調節することで、所定量の廃プラスチックを補正に所定温度にまで昇温させて可塑化させると共に、シリンダの排出口から排出される廃プラスチックを成形品にすることができる。その結果、ホッパスクリュの回転数を一定に維持し、ホッパスクリュに移送スクリュの上方での廃プラスチックの噴き上げを押さえるための連続開閉する蓋としての機能を与えながら、ホッパ内に定量的に供給される廃プラスチックを操作の煩雑さをなくして連続的に送りながら成形品にすることができ、操作が著しく簡素化される。
図1、図2は、本発明に係る廃プラスチックの処理装置の1実施の形態を示し、廃プラスチックの処理装置は、図1に示すように加熱装置B、並びに必要により設ける脱塩素装置C及び排ガス処理装置Dを主構成要素とすると共に、加熱装置Bに廃プラスチックを供給するホッパ装置Aを付属させている。
加熱装置Bは、廃プラスチックPを、可塑化した後に所定温度まで昇温させ、溶融状態で排出させる機能を主として有し、供給口4a及び排出口8を有するシリンダ4、及び、シリンダ4内に回転自在に設けられ、駆動手段であるモータ5によって回転駆動される平行な二軸の移送スクリュ6を有する。また、シリンダ4の供給口4a付近の内底部には排水手段としてのスリット9が連通形成され、シリンダ4の排出口8寄りにはベント10が形成されていると共に、加熱手段であるヒータ7によってシリンダ4を適宜に加熱できるようになっている。供給口4aは、シリンダ4の上面に形成した開口部であり、移送スクリュ6による移送方向の上下流方向に長軸を一致させた楕円形状をなしている。スリット9は、廃プラスチックPの通過を阻止し、水を選択的に排出させるように複数の通孔(脱水スリット)を有している。なお、排出口8は、シリンダ4の断面積よりも小さい開口面積が与えられ、内部の廃プラスチックPを圧縮させることができる。ここで、原料である廃プラスチックPは、特に、かさ比重の小さい粉体状、粒状、フィルム(フラフ)状の廃プラスチックであり、例えば、比重分離された軽量物プラスチックである。また、通常、廃プラスチックPはPVC,PVDCなどの塩素系ポリマーを含有する。
塩素系ポリマーの含有量の少ない廃プラスチックPの処理の場合には、シリンダ4の排出口8から排出される廃プラスチックPを冷却固化・形成し、ペレットを含む成形品となすことも可能である。その場合、脱塩素装置C及び排ガス処理装置Dは省略され、排出口8はダイスになる。従って、加熱装置Bは、特にかさ比重の小さい廃プラスチックPを供給口4aからシリンダ4内に供給し、回転する二軸の移送スクリュ6によってシリンダ4内を上流側から下流側に向けて移送させながら廃プラスチックPを所定温度にまで昇温させて可塑化させると共に、シリンダ4の排出口8から排出される廃プラスチックPを成形品にするものである。また、加熱装置Bのベント10は複数装備することができ、最下流側のベント10に真空ポンプを接続し、水蒸気や低沸点化合物等の気体を吸引除去することも可能である。
脱塩素装置Cは、加熱装置Bにおいて所定温度まで昇温させた溶融廃プラスチックを更に加熱して、塩素系ポリマーを熱分解させて塩素化合物を発生させ、溶融廃プラスチックと塩素化合物とに分離させる機能を主として有し、供給口12a及び排出口16を有するシリンダ12、及び、シリンダ12内に回転自在に設けられ、駆動手段であるモータ13によって回転駆動されるスクリュ14を有する。また、シリンダ12の排出口16寄りにはベント17が形成されていると共に、加熱手段であるヒータ15によってシリンダ12を適宜に加熱できるようになっている。ベント17には、排ガス配管18を介して排ガス処理装置Dが接続されている。
この脱塩素装置Cの供給口12aと加熱装置Bの排出口8とは、ポリマー配管11によって連通されている。なお、脱塩素装置Cの排出口16には、図示を省略した冷却手段及びカッターが設けられ、排出口16から排出される廃プラスチックPをペレットを含む成形品にすることができる。
そして、加熱装置Bの供給口4aの上には、廃プラスチックPをシリンダ4内に供給が可能なホッパ装置Aを設ける。このホッパ装置Aは、廃プラスチックPの圧縮機能を有さず、従って嵩密度を大きくして供給する機能も有しておらず、勿論、廃プラスチックPを可塑化・溶融させる機能は有していない。
すなわち、ホッパ装置Aは、シリンダ4の楕円形状をなす供給口4aに下端部を接続させて設置する漏斗状のホッパ1と、ホッパ1の底部側面に開口する筒状部材2と、筒状部材2内に回転自在に配設させるホッパスクリュ23と、ホッパスクリュ23を回転駆動する駆動手段21とを有する。筒状部材2が開口するホッパ1の底部側面は、供給口4aの上流側に位置する側面であり、筒状部材2の中心軸線は、鉛直線に対して傾斜配置され、平面視でシリンダ4の中心軸線と合致している。筒状部材2は円筒形をなし、ホッパスクリュ23の外径とほぼ同等な内径を有している。
図1に示すホッパ1は、図2(A),(B)に示すもののいずれかを採用することができる。図2(A)に示す構造例1に係るものは、水平断面が矩形状をなして供給口4aに向けて次第に縮小し、下端部が楕円形状の供給口4aにホッパ変曲点部が可及的小さくなるように滑らかに接続している。図2(B)に示す構造例2に係るものは、水平断面が一部を切除した楕円形状をなして供給口4aに向けて次第に縮小し、下端部が楕円形状の供給口4aにホッパ変曲点部が可及的小さくなるように滑らかに接続している。これらのホッパ1の下開口部と楕円形状の供給口4aとの形状の違いに起因して、若干のホッパ変曲点部が段差状に生ずることは免れ得ない。図2(C)は、構造例2に係るホッパ1に後記する補助ホッパスクリュ25を装備する状態を示す。
なお、図2(A),(B),(C)は、ホッパ1を所定高さ位置から見た図であるため、上流側の内面が三角形状をなすように示されているが、実際には上流側の内側面は図1に示されるように鉛直に立ち上がっている。しかして、ホッパ1が水平断面で非円形断面形状をなし、供給口4aの鉛直中心線に対して、筒状部材2が配置されている側とは反対側に大きな収容空間1Aを形成している。実際には、ホッパ1の大きな収容空間1Aは、供給口4aに対して下流側に形成され、筒状部材2が、ホッパ1の上流側に配置されている。但し、下流側とは、移送スクリュ6による送り方向の下流側で、図上で右側であり、上流側とは、移送スクリュ6による送り方向の上流側で図上で左側である。
ホッパスクリュ23は、1個の回転軸23aに取付けて、ホッパ1の底部側面に開口する筒状部材2内に回転自在に配設させてあり、下端部が供給口4aに位置している。この回転軸23a及びホッパスクリュ23をモータ等からなる駆動手段22によって回転駆動することにより、ホッパ1内の廃プラスチックPが供給口4aからシリンダ4内に自重を受けつつ供給可能になる。従って、ホッパスクリュ23の回転軸23aと直交方向の下流側一側面は、筒状部材2が開放されてホッパ1内に開放されている。
ホッパスクリュ23は、外径が一定で、かつ、単一ピッチ、単一深さが与えられ、高速かつ一定回転数とすることで、廃プラスチックPのかさ密度を大きくすることなくシリンダ4内に供給する。かくして、ホッパスクリュ23は、ホッパ1に定量的に供給させる廃プラスチックPを回転数操作の煩雑さをなくして連続的に送り、押出機の移送スクリュ6の上方での廃プラスチックPの噴き上げを押さえるための連続開閉する蓋としての機能を果たす。従って、モータ容量(駆動手段21の容量)は小さくてよい。
なお、ホッパスクリュ23の先端位置は、図7(C)に示すようにシリンダ4の肉厚の中間位置つまりシリンダ4の外表面よりも下方であってシリンダ4の肉厚の上方から2/3以内に設定し、ブリッジを防止する。図7(A)に示すようにスクリュ23の先端位置がシリンダ4の外部にあるときは上過ぎて原料が滞留しブリッジし易くなる。また、図7(B)に示すようにホッパスクリュ23の先端位置がシリンダ4の肉厚の2/3を超えて内方にあるときは下過ぎて原料がホッパスクリュ23の先端部のフライトが磨耗し易く、ブリッジし易くなる。
更に、図1、図2(C)に示すようにホッパ1内にホッパ1内面の傾斜に沿う連続フライトスクリュからなる補助ホッパスクリュ25を配設する。補助ホッパスクリュ25は、外径が変化しない連続フライトスクリュによって構成し、ホッパスクリュ23の先端部上方に先端が位置してホッパスクリュ23の中心軸線と空間で交差する状態とする。補助ホッパスクリュ25は、1個の回転軸25aに取付けて、ホッパ1の上方には、回転軸25a及び補助ホッパスクリュ25を回転駆動するモータからなる補助駆動手段26を配設する。回転軸25aは、平面視で押出機スクリュと重なるようにホッパの下流側から上流側に向かうように鉛直線に対して傾斜角を有している。従って、補助ホッパスクリュ25の一側面はホッパ1の内面に近接することなく開放され、ホッパ1の上流側(図1上で左側)の内面と補助ホッパスクリュ25との間に収容空間1Aの一部となる空間1A’が形成されている。すなわち、ホッパスクリュ23の回転軸23a及び補助ホッパスクリュ25の回転軸25aが、平面視で二軸の移送スクリュ6の中心軸線と平行をなすと共に、補助ホッパスクリュ25が、廃プラスチックPを下流側から上流側に向けて供給し、且つ、ホッパスクリュ23が、廃プラスチックPを上流側から下流側に向けて供給する。
このように、補助ホッパスクリュ25の下面をホッパスクリュ23の直上に非接触で位置させることにより、かさ比重の小さな原料がホッパ1の変曲部で引っ掛かってブリッジを起こすことなく、ホッパ1の下面にまで原料を落下させることが可能である。
このホッパ1には定量供給機28から原料Pを定量供給するが、原料Pのかさ比重が小さいため、定量供給機28からの供給口を大きいことが望まれる。しかして、補助ホッパスクリュ25を設ける場合であっても、ホッパ1の上部開口を空間1A’として大きく確保することができる。
次に、1実施の形態の作用について説明する。
廃プラスチックPは、定量供給機28から定量的に連続供給されてホッパ1を通じて加熱装置Bに投入される。投入の際の廃プラスチックPは、廃棄形状のままでも差支えはほとんどないが、投入量を多くするために所定の大きさ、具体的には50mm角以下、好ましくは20mm角以下の大きさに破砕させてあれば、ホッパ装置Aの負荷を低減させながら供給量が増大する。また、予め、アルミニウム、鉄等の金属、カラスなどの異物を除去させれば、ホッパ装置Aのスクリュ23,25、ホッパ1、加熱装置Bのシリンダ4及び移送スクリュ6の損傷が少なくなるので好ましい。更に、破砕、異物除去を行なった後に水で洗浄した廃プラスチックPを使用すれば、食塩由来の塩素を除去できるため、脱塩素後の廃プラスチック中の残留塩素濃度を低減できるのみならず、廃プラスチックPに付着している汚れ、砂などを除去できるので、ホッパ装置Aのスクリュ23,25、ホッパ1、加熱装置Bのシリンダ4及び移送スクリュ6の損傷が少なくなる。
定量供給機28からホッパ1に投入された廃プラスチックPは、ブリッジを生ずることなく供給口4aからシリンダ4内に円滑に供給され、回転駆動される移送スクリュ6によって下流に向けて移送される。
ここで、ホッパ装置Aの作用について詳述する。
本発明者等は、従来のコンパクタの技術的課題の検討から、次のような結論を得た。かさ比重の小さい原料Pを二軸スクリュ押出機からなる加熱装置Bに供給する場合、一般に、上部が開口している供給口4aの個所において、移送スクリュ6の上部で原料Pが踊るために処理量を大きくできない。このため、従来のコンパクタにあっては、原料を圧縮し、かさ密度を上げて供給する傾向になる。他方、従来例のようにホッパ1内でコンパクタスクリュにより原料を圧縮し、かさ密度を上げて供給しなくても、押出機の移送スクリュ6の上部の開口部(供給口4a)を実質的に閉じれば、移送スクリュ6により原料Pの送りが十分可能となる。すなわち、無理にコンパクタにより負荷をかけて原料Pを圧縮しなくとも、連続的に原料を供給できるように供給口4aのふたを開閉させれば、十分に処理量が大きくなることを見出した。
このため、ホッパ装置Aは、ホッパ1の上流側側面から傾斜角をつけてホッパスクリュ23を設置し、ホッパ1下部の供給口4aの直上にホッパスクリュ23の先端部を位置させてある。従って、このホッパスクリュ23により供給口4aをほぼ覆っているが、ホッパスクリュ23の1〜4ピッチの部分のみが原料Pに接するように配置され、原料Pの圧縮作用は有していない。また、補助ホッパスクリュ25は、ホッパスクリュ23の下端部上方に、ホッパ1内に原料Pが通過する収容空間1Aの一部となる大きな空間1A’を有して配置され、原料Pの自重によるホッパスクリュ23上への落下を促す作用を有してはいるが圧縮作用は有していない。
このホッパスクリュ23は高速で回転しており、連続的に落下する原料Pの通過を連続的に許容させながら供給口4aを実質的に塞ぐふたのような機能を有している。すなわち、従来技術とは異なり、十分な供給能力を確保するためにホッパスクリュ23の回転数は高速回転とすることが望ましく、高速回転しながら供給口4aを開閉するように機能させる。しかして、ホッパ1には原料Pを一時的に貯留する機能は有しておらず(これを行うと逆にブリッジを起こし、連続運転が不可となる)、定量供給機28から連続的に供給される原料Pは、速やかに供給口4aへと自重により落ち込む。従って、ホッパ装置Aにはホッパスクリュ23及び補助ホッパスクリュ25による定量供給機能はなく、定量供給機28によるホッパ1への廃プラスチックPの単位時間当たりの供給量と移送スクリュ6の回転数ひいては廃プラスチックPの単位時間当たりの送り速度のみの関係を設定すればよく、ホッパスクリュ23及び補助ホッパスクリュ25は供給量の増減に関わらず一定回転でよい。すなわち、駆動手段21及び補助駆動手段26によってホッパスクリュ23及び補助ホッパスクリュ25を回転駆動しながら、ホッパ1に投入する廃プラスチックPを供給口4aからシリンダ4内に供給するとき、ホッパスクリュ23及び補助ホッパスクリュ25の回転数を一定にしたまま、定量供給機28からの廃プラスチックPの変化させる供給量に合わせて移送スクリュ6の回転数を増減調節することで、所定量の廃プラスチックPを適正に所定温度にまで昇温させて連続的に可塑化させると共に、シリンダ4の排出口8から排出され廃プラスチックPを成形品にすることができる。移送スクリュ6による原料Pの送りは、原料Pのホッパ装置Aによる供給口4aへの供給量よりも大きく、ホッパ1内では自重での圧縮状態を超える圧縮状態にはならず、供給口4aから供給されたシリンダ4内の原料Pは飢餓状態にある。ホッパスクリュ23及び補助ホッパスクリュ25は、原料Pの落下による供給口4aへの供給を阻害しない回転速度で、かつ、ホッパスクリュ23よりも補助ホッパスクリュ25の方が低い速度、例えばホッパスクリュ23が300rpm、補助ホッパスクリュ25が200rpm程度で回転させる。
また、ホッパスクリュ23及び駆動手段21のみならず、補助ホッパスクリュ25及び補助駆動手段26についても、ホッパ1及び供給口4aの中心軸線からずらせて設置しているため、空間1A’によってホッパ1の上端開口部を効率的に大きく確保することができ、原料Pの供給のためにホッパ1を大形化させる必要がなく、ホッパ装置Aの全体をコンパクトにすることができる。特に、かさ比重が小さい原料Pでは、定量供給機28からホッパ1に投入される際の体積が大きくなるため、ホッパ装置Aのサイズに比してホッパ1の上端開口部が大きくとれることは非常に有利である。
また、特によりかさ比重が小さい薄いフィルム状等のプラスチックの原料Pを処理する場合には、ホッパスクリュ23の先端部下方のホッパ変曲点部(ホッパ1の下端開口部と供給口4aとの大きさの相違に起因する段差部)でブリッジが発生し易いが、ホッパ1内に補助ホッパスクリュ25を設置することにより、原料Pの揉みほぐし機能が発揮され、ブリッジを防止し連続運転を可能にすることができる。この場合、補助ホッパスクリュ25は、ブリッジブレーカのような切欠きスクリュよりも連続フライトスクリュの方がより効果が大きい。
ホッパスクリュ23は供給口4aを覆い連続して開閉するふたの機能を有しているから、最下部のホッパスクリュ23のフライト下面では、原料Pとの摩擦が起こる。そのため、土砂等の異物を多く含む廃プラスチックPを処理する場合、当該摩擦部分が過度に摩耗することが考えられるが、この場合には当該摩擦部分に耐摩耗性のある溶射等を施工して耐摩耗性被覆を施せばよい。その場合の施工範囲は、ふたとしての機能部分に合わせて、ホッパスクリュ23の最下部の1/4巻き程度のフライト面でよく、その範囲は少なくて済む。
また、廃プラスチックの処理装置の加熱装置Bにおいて、図3に示すようにベント10を複数個所に形成し、最下流側のベント10に真空ポンプ30を接続し、水蒸気や低沸点化合物等の気体を除去することにより、減容効率を向上させることができる。これは、ペレットを含む成形品に含有される気体を脱気除去することにより、気体の膨張による膨化を防ぐためである。視空ポンプ30の接続は、特に高度の減容効率が求められるペレットを含む成形品を製造する廃プラスチックの処理装置に有用であり、脱塩素装置Cを設け、加熱装置Bに引き続き熱分解、脱塩化水素を行う廃プラスチックの処理装置では高度の減容効率は求められないため、真空ポンプは必要により設置するか、或いは大気圧よりも低い負圧状態で使用される熱分解ガス処理装置にベント10を配管することにより代用が可能である。
次に、連続的かつ自動的に加熱装置Bのシリンダ4に供給口4aから供給された廃プラスチックPは、モータ5によって回転駆動される移送スクリュ6に食い込まれていく。廃プラスチックPの供給量は、定量供給機28からの供給量の制御によって容易に増減調節することができるので、移送スクリュ6の搬送能力に合わせて容易に所定量を供給することができる。移送スクリュ6の搬送能力は、モータ5による回転数によって増減調節することができる。
ホッパ装置Aによってシリンダ4内に供給された廃プラスチックPは、移送スクリュ6によって排出口8に向けて移送される。原料となる廃プラスチックPに水分が含まれている場合や、予め水で洗浄した場合には、移送スクリュ6によって水分が絞り出され、スリット9から外部に排出される。これにより、シリンダ4の供給口4a付近に水が溜まり廃プラスチックPの移送スクリュ6への食い込み性が悪くなったり、ヒータ7の熱によって蒸発した水分がホッパ1の内面に付着して腐食の原因になることが良好に防止される。
シリンダ4内の廃プラスチックPは、ヒータ7によって加熱されながら移送スクリュ6によって混練・搬送されて可塑化され、所定の温度まで昇温して、小断面積をなす排出口8から溶融状態で排出される。スリット9から排出されずに残る水分は、供給口4aと排出口8との間に設けたベント10から蒸気となって系外へ排出される。
廃プラスチックPに塩素系ポリマーを含んでいないときは、加熱装置Bの排出口8から排出された溶融廃プラスチックを、ペレットを含む成形品に成形して燃料として活用することが可能である。この場合、排出口8をダイスによって構成する。
廃プラスチックPに塩素系ポリマーを含んでいるときは、加熱装置Bの排出口8から排出された溶融廃プラスチックを、更に脱塩素装置Cに導入し、引き続き熱分解、脱塩化水素を行うためにポリマー配管11を経由して脱塩素装置Cに送られる。脱塩素装置C内では、溶融廃プラスチックがヒータ15によって更に加熱されながらスクリュ14によって混練・搬送されることにより、廃プラスチックP中のPVC、PVDCなどの塩素系ポリマーが熱分解して塩素系化合物を発生し、溶融廃プラスチックと塩素化合物とに分離される。分離された塩素化合物は、ベント17から系外に排出され、排ガス配管18を経由して排ガス処理装置Dに送られ、そこで無害化される。塩素化合物の除去された溶融廃プラスチックは、脱塩素装置Cの排出口16から排出され、冷却・固化・カッティングされ、固形燃料(成形品)として種々の用途に供される。スクリュ14による搬送能力は、モータ13の回転数を調節することにより、ポリマー配管11から流入する溶融廃プラスチックの量に合わせることができる。
図3に示すように供給口4aにホッパスクリュ23及び補助ホッパスクリュ25を備えるホッパ装置Aを設置したプラスチック処理装置(日本製鋼所製二軸押出機TEX44α−31.5PW−2V)を用いて、廃プラスチックの減容化テストを実施した。このプラスチック処理装置(加熱装置B)には、シリンダ4の供給口4aに対応する下部に水分を除去するためのスリット9が連通形成され、水分が系外に排出される。また、処理装置内でプラスチックが溶融後に水蒸気となった水分を除去するためのベント10が形成され、最終のベント10には密度を向上させるために真空ポンプ30を設置している。脱塩素装置C及び排ガス処理装置Dは省略されている。原料Pは、一般廃プラスチックをφ30mm程度に破砕したもので、含水率は約25%である。原料のかさ密度は約0.03t/mである。
テスト結果を表1に示す。
Figure 0004448510
補助ホッパスクリュ25を設置した構成で実施したテストでは、原料供給量50kg/h(テスト開始時設定量)〜140kg/h(テスト条件最大値)において、連続的な運転が問題なく可能であった。後述する参考例2では、原料供給量が50kg/hを超えると、ホッパスクリュ23の直上部において原料Pのブリッジが発生し、連続運転が不可能となった。また、補助ホッパスクリュ25の形状は、不連続な切欠きスクリュよりも連続フライトを有するスクリュの方がブリッジ防止効果があった。
〔参考例1〕
供給口4aにホッパスクリュ23のみを備え補助ホッパスクリュ25を省略した図4に示すプラスチック処理装置(日本製鋼所製二軸押出機TEX44α−31.5PW−2V)を用いて、廃プラスチックPの減容化テストを実施した。このプラスチック処理装置には、シリンダの供給口4aに対応する下部に水分を除去するためのスリット9が連通形成され、水分が系外に排出される。また、処理装置内でプラスチックが溶融後に水蒸気となった水分を除去するためのベント10が形成され、最終のベント10には密度を向上させるために真空ポンプ30を設置している。脱塩素装置C及び排ガス処理装置Dは省略されている。原料Pは、一般廃プラスチックをφ30mm程度に破砕したもので、含水率は約15%である。原料のかさ密度は約0.08t/mである。
テスト結果を表2に示す。
Figure 0004448510
原料供給量の変更に対し、ホッパスクリュ23の回転数は一定であり、押出機の移送スクリュ6の回転数のみを変更して運転が可能であった。なお、原料供給量140kb/hがほぼ上限であったが、これはホッパスクリュ23の回転数による制限ではなく、押出機のモータ5容量及び押出機の移送スクリュ6の回転数の制限によるものであった。ホッパスクリュ23のモータ21電流値は、原料供給の有無に関わらずほぼ一定であった。減容成形品の外径スウェル(膨れ)(ダイス8径と成形品径との比)は、最大で1.16であった。
〔比較例1〕
供給口4aに従来技術であるコンパクタ40を設置した図5に示すプラスチック処理装置(日本製鋼所製二軸押出機TEX44α−31.5PW−2V)を用いて、廃プラスチックの減容化テストを実施した。このプラスチック処理装置には、シリンダ4の供給口4aに対応する下部に水分を除去するためのスリット9が連通形成され、水分が系外に排出される。また、処理装置内でプラスチックが溶融後に水蒸気となった水分を除去するためのベント10が形成され、最終のベント10には密度を向上させるために真空ポンプ30を設置している。原料は、一般廃プラスチックをφ30mm程度に破砕したもので、含水率は15%である。原料のかさ密度は約0.08t/mである。
テスト結果を表3に示す。
Figure 0004448510
原料供給量の変更に対し、コンパクタ40のスクリュ40aの回転数及び押出機の移送スクリュ6の回転数を変更し、運転が問題なく可能であった。コンパクタ40のスクリュ40aのモータ電流値は、原料供給により上昇した。原料供給量に対し、アンバランスなスクリュ40aの回転数を設定することにより、問題が発生し運転が停止した。すなわち、原料供給量に対し、コンパクタスクリュ40aの回転数が低かった場合、ホッパ41内に原料Pが滞留し、原料詰まりが発生した。また、原料供給量に対し、コンパクタスクリュ40aの回転数が高かった場合、コンパクタスクリュ40a部に原料が強固に圧縮され、スクリュ40aを駆動するモータが過負荷で停止した。
〔参考例2〕
供給口4aにホッパスクリュ23のみを備え補助ホッパスクリュ25を省略した参考例1(図4)と同様のプラスチック処理装置(日本製鋼所製二軸押出機TEX44α−31.5PW−2V)を用いて、廃プラスチックPの減容化テストを実施した。このプラスチック処理装置には、シリンダ4の供給口4aに対応する下部に水分を除去するためのスリット9が連通形成され、水分が系外に排出される。また、処理装置内でプラスチックが溶融後に水蒸気となった水分を除去するためのベント10が形成され、最終のベント10には密度を向上させるために真空ポンプ30を設置している。原料Pは、一般廃プラスチック比重分離軽量物をφ30mm程度に破砕したもので、含水率は約25%である。原料のかさ密度は約0.03t/mである。
テスト結果を表4に示す。
Figure 0004448510
補助ホッパスクリュ25を省略した構成で実施した本テストでは、原料供給量が50kg/hを超えると、ホッパスクリュ23の直上部において原料Pのブリッジが発生し、連続運転が不可能となった。原料のかさ密度が小さい(約0.03t/m)ためである。このブリッジは頻繁に発生し、ホッパ1の上部から圧縮エアーを導入しても防止することができなかった。
〔参考例3〕
図6に示すように供給口4aにホッパスクリュ23のみを備え補助ホッパスクリュ25を省略した参考例1(図4)と同様のプラスチック処理装置(日本製鋼所製二軸押出機TEX44α−31.5PW−2V)を用いて、廃プラスチックPの減容化テストを実施した。このプラスチック処理装置には、シリンダ4の供給口4aに対応する下部に水分を除去するためのスリット9が連通形成され、水分が系外に排出される。但し、図6に示すように処理装置内でプラスチックPが溶融後に水蒸気となった水分を除去するためのベント10が形成されているが、最終のベント10には密度を向上させるための真空ポンプを設置していない。原料Pは、一般廃プラスチックをφ30mm程度に破砕したもので、含水率は約15%である。原料のかさ密度は約0.08t/mである。
テスト結果を表5に示す。
Figure 0004448510
参考例1と同様のプラスチック処理装置から真空ポンプを省略した構成で実施した本テストでは、参考例1と比較していずれの原料供給量でもスウェルが大きくなった。これは、原料中に含まれる水分や低沸点化合物等の除去が不十分になったためである。
本発明の1実施の形態に係る廃プラスチックの処理装置の全体を断面で示す概略図。 同じくホッパを示し、図2(A)は第1構造例を示す平面図、図2(B)は第2構造例を示す平面図、図2(C)は補助ホッパスクリュを備える第2構造例に係るホッパを示す平面図。 実施例1に係る廃プラスチックの処理装置の全体を断面で示す概略図。 参考例1に係る廃プラスチックの処理装置の全体を断面で示す概略図。 コンパクタを設置した比較例1に係る廃プラスチックの処理装置の全体を断面で示す概略図。 参考例3に係る廃プラスチックの処理装置の全体を断面で示す概略図。 ホッパスクリュの先端位置を示し、図7(A)はホッパスクリュの先端位置がシリンダの外部にある状態を示す説明図、図7(B)はホッパスクリュの先端位置がシリンダの内方にある状態を示す説明図、図7(C)はホッパスクリュの先端位置がシリンダの肉厚の中間位置にある状態を示す説明図。
1 ホッパ
2 筒状部材
4 シリンダ
4a 供給口
6 移送スクリュ
8 排出口
9 スリット(排水手段)
10 ベント
11 ポリマー配管
12 シリンダ
14 スクリュ
21 駆動手段
23 ホッパスクリュ
23a 回転軸
25 補助ホッパスクリュ
25a 回転軸
26 補助駆動手段
28 定量供給機
A ホッパ装置
B 加熱装置
C 脱塩素装置
D 排ガス処理装置
P 廃プラスチック

Claims (6)

  1. 比重分離された軽量物プラスチックからなる廃プラスチック(P)を供給口(4a)からシリンダ(4)内に供給し、回転する二軸の移送スクリュ(6)によってシリンダ(4)内を上流側から下流側に向けて移送させながら廃プラスチック(P)を所定温度にまで昇温させて可塑化させると共に、シリンダ(4)の排出口(8)から排出される廃プラスチック(P)を成形品にする廃プラスチックの処理装置において、
    シリンダ(4)の供給口(4a)に接続するホッパ(1)と、ホッパ(1)の底部側面に開口し、鉛直線に対して傾斜配置される筒状部材(2)と、筒状部材(2)内に回転自在に配設され、下端部が供給口(4a)に位置して移送スクリュ(6)の上方での廃プラスチック(P)の噴き上げを押さえるホッパスクリュ(23)と、ホッパスクリュ(23)の回転軸(23a)を回転駆動する駆動手段(21)と、ホッパ(1)内に回転自在に配設され、下端部がホッパスクリュ(23)の下端部上方に臨む補助ホッパスクリュ(25)と、補助ホッパスクリュ(25)の回転軸(25a)を回転駆動する補助駆動手段(26)とを有するホッパ装置(A)を設け、
    駆動手段(21)及び補助駆動手段(26)によってホッパスクリュ(23)及び補助ホッパスクリュ(25)を回転駆動しながら、ホッパ(1)に投入する廃プラスチック(P)をシリンダ(4)の供給口(4a)から供給することを特徴とする廃プラスチックの処理装置。
  2. 前記ホッパスクリュ(23)の駆動手段(21)が、供給口(4a)からの廃プラスチック(P)の供給量の多少を問わずにホッパスクリュ(23)の回転軸(23a)を一定回転数で回転駆動することを特徴とする請求項1の廃プラスチックの処理装置。
  3. 前記ホッパ(1)が非円形断面形状をなし、供給口(4a)の鉛直線に対して、筒状部材(2)が配置されている側とは反対側に大きな収容空間(1A)を形成していることを特徴とする請求項1又は2の廃プラスチックの処理装置。
  4. 前記補助ホッパスクリュ(25)の回転軸(25a)が鉛直線に対して傾斜角を有して、ホッパ(1)の移送スクリュ(6)による移送方向の上流側の内面と補助ホッパスクリュ(25)との間に空間(1A')が形成され、且つ、ホッパスクリュ(23)の回転軸(23a)及び補助ホッパスクリュ(25)の回転軸(25a)が、平面視で二軸の移送スクリュ(6)の中心軸線と平行をなすと共に、補助ホッパスクリュ(25)が、廃プラスチック(P)を移送スクリュ(6)による移送方向の下流側から上流側に向けて供給し、かつ、ホッパスクリュ(23)が、廃プラスチック(P)を前記上流側から下流側に向けて供給することを特徴とする請求項1,2又は3の廃プラスチックの処理装置。
  5. 比重分離された軽量物プラスチックからなる廃プラスチック(P)を供給口(4a)からシリンダ(4)内に供給し、回転する二軸の移送スクリュ(6)によってシリンダ(4)内を上流側から下流側に向けて移送させながら廃プラスチック(P)を所定温度にまで昇温させて可塑化させると共に、シリンダ(4)の排出口(8)から排出される廃プラスチック(P)を成形品にする廃プラスチックの処理装置において、
    廃プラスチック(P)をホッパ(1)に定量供給する定量供給機(28)を備えると共に、
    シリンダ(4)の供給口(4a)に接続するホッパ(1)と、ホッパ(1)の底部側面に開口し、鉛直線に対して傾斜配置される筒状部材(2)と、筒状部材(2)内に回転自在に配置され、下端部が供給口(4a)に位置して移送スクリュ(6)の上方での廃プラスチック(P)の噴き上げを押さえるホッパスクリュ(23)と、ホッパスクリュ(23)の回転軸(23a)を回転駆動する駆動手段(21)と、ホッパ(1)内に回転自在に配設され、下端部がホッパスクリュ(23)の下端部上方に臨む補助ホッパスクリュ(25)と、補助ホッパスクリュ(25)の回転軸(25a)を回転駆動する補助駆動手段(26)とを有するホッパ装置(A)を設け、
    駆動手段(21)及び補助駆動手段(26)によってホッパスクリュ(23)及び補助ホッパスクリュ(25)を回転駆動しながら、ホッパ(1)に投入する廃プラスチック(P)を供給口(4a)からシリンダ(4)内に供給するとき、ホッパスクリュ(23)の回転数を一定にしたまま、定量供給機(28)からの廃プラスチック(P)の供給量に合わせて移送スクリュ(6)の回転数を増減調節することを特徴とする廃プラスチックの処理装置。
  6. 前記シリンダ(4)の排出口(8)に脱塩素装置(C)の供給口(12a)が接続され、シリンダ(4)において所定温度まで昇温させた溶融廃プラスチックを脱塩素装置(C)に供給して更に加熱して、塩素系ポリマーを熱分解させて塩素化合物を発生させ、溶融廃プラスチックと塩素化合物とに分離させ、脱塩素装置(C)の排出口(16)から排出される脱塩素後の廃プラスチックを成形品にすることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の廃プラスチックの処理装置。
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