JP4447351B2 - 利用者端末、配信端末、プログラム及び流通システム - Google Patents

利用者端末、配信端末、プログラム及び流通システム Download PDF

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本発明は、端末間での無線通信を利用して、情報を流通させる技術に関する。
ネットワーク技術の近代化に伴い、クライアント端末同士がサーバを介さず、対等な関係でデータのやり取りを行うP2P(Peer to Peer)などを利用したコンテンツ情報の流通システムが考えられている。ここで、コンテンツ情報とは、販売促進を目的として配信事業者が生成した広告情報などが挙げられる。
従来、P2Pなどを利用した流通システムにおいて、各端末は受信したコンテンツ情報をランダムに他の利用者端末へ配信していた。また、利用者は、端末を操作して、取得したコンテンツ情報の中から特に興味のあるコンテンツ情報のみを表示していた。このような流通システムにおいて、コンテンツ情報の配信事業者は、各コンテンツ情報を求めている利用者に適切に配信したいという要望があった。しかし、その場にたまたま存在した端末同士が1対1で情報を交換することが確率的に行われるP2Pなどを利用した流通システムでは、配信事業者が流通状況を制御することが困難であった。
このような問題を解決するため、コンテンツ情報に対して伝播範囲や生存時間を予め指定しておくことで配信事業者が流通状況を制御するという手法が設けられている。しかし、この手法では、時間の経過とともに変化するコンテンツ情報の流通状況に応じて、的確に流通するコンテンツ情報を制御することはできなかった。換言すると、サーバを介さず、クライアント端末間のやり取りによって形成されるコンテンツ情報の流通状況をリアルタイムで動的に制御することはできなかった。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、コンテンツ情報の配信優先順序を規定した流通ルールと、当該流通ルールを動的に変更することが可能な制御情報とに基づいて、コンテンツ情報の流通状況をリアルタイムで間接的に制御することができる流通システムを提供することを課題とする。
本発明の1つの観点では、情報を記憶するための記憶領域を備えており、他の利用者端末と通信可能な利用者端末であって、複数のコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段と、取得した前記コンテンツ情報を、前記記憶領域を構成するコンテンツ情報領域に記憶するコンテンツ情報記憶手段と、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記他の利用者端末へ優先して配信するコンテンツ情報に関する条件を規定している流通ルールを取得する流通ルール取得手段と、前記流通ルールを、前記記憶領域を構成する流通ルール領域に記憶する流通ルール記憶手段と、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記流通ルールに規定された条件に合致するコンテンツ情報を優先して他の利用者端末へ配信するコンテンツ情報配信手段と、前記流通ルールに対する制御を規定する制御情報を受信する制御情報受信手段と、前記制御情報を、前記記憶領域を構成する制御情報領域に記憶する制御情報記憶手段と、前記制御情報に基づいて、前記流通ルールの規定を再設定する流通ルール再設定手段と、前記流通ルール領域に記憶された流通ルールを、前記流通ルール再設定手段が再設定した流通ルールに更新する流通ルール更新手段と、前記制御情報領域に記憶された制御情報を、他の利用者端末に配信する制御情報配信手段と、を備える。
上記のように構成された利用者端末は、利用者端末間で流通する情報を記憶する記憶領域を保有している。当該記憶領域は、コンテンツ情報領域、流通ルール領域及び制御情報領域から構成されている。まず、利用者端末は、取得したコンテンツ情報をコンテンツ情報領域に、流通ルールを流通ルール領域に、制御情報を制御情報領域に記憶する。また、利用者端末は、流通ルールに従って、コンテンツ情報領域内に記憶されたコンテンツ情報の中から優先度の高いものを選択し、他の利用者端末へ配信している。
利用者端末は、制御情報領域に記憶された制御情報に基づいて、流通ルールを再設定し、再設定後の流通ルールを流通ルール領域に上書きして記憶する。よって、流通ルール領域内には常に制御情報によって再設定された最新の流通ルールが記憶されることになる。そして、利用者端末は、制御情報により再設定された最新の流通ルールに従って、コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報を通信可能エリア内に存在する他の利用者端末へ配信する。
これによれば、制御情報は、各利用者端末が記憶している流通ルールを変更するような再設定を行うため、制御情報が所定のエリアに伝播すると、そのエリア周辺では、制御情報に記述されたポリシーに基づいてコンテンツ情報が確率的に流通することになる。よって、各利用者端末に流通ルールを設定し、制御情報を流通させることで、コンテンツ情報の流通状況を間接的にではあるが、動的に制御することが可能となる。よって、特定のエリアや時間に応じた自律的なコンテンツ情報の流通を実現することができる。
上記利用者端末の一態様では、前記流通ルールは、複数のルールから構成されており、前記制御情報は、前記流通ルールの中で変更する変更ルール条件とその変更内容を規定するものであって、前記利用者端末は、前記流通ルール領域に記憶された流通ルールに含まれるルールの中に、前記制御情報が規定する変更ルール条件に合致するルールがあるか否かを判定するルール判定手段をさらに備え、前記流通ルール再設定手段は、前記ルール判定手段が前記変更ルール条件に合致するルールがあると判定した場合に、前記変更ルールを前記変更内容に基づいて変更することにより、前記流通ルールの規定を再設定する。
上記のように構成された利用者端末において、流通領域に記憶されている流通ルールは複数のルールから構成されている。また、制御情報は、変更ルール条件及び変更内容が規定されている。利用者端末は、流通ルール領域に記憶された流通ルールの中に変更ルール条件に合致するルールが存在する場合、当該ルールを変更内容に基づいて変更することにより、流通ルールを再設定する。これによれば、コンテンツ情報の配信事業者は、制御情報に任意の変更ルール条件及び変更内容を規定することにより各利用者端末が保有する流通ルールを容易に再設定することが可能となる。
上記利用者端末の他の一態様では、前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、前記利用者端末の位置に関する条件を規定しており、前記利用者端末は、当該利用者端末が存在する位置に関する位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、前記流通ルール再設定手段は、前記位置情報が前記適用条件として規定された位置に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定する。
上記のように構成された利用者端末は、自身が制御情報の適用条件として規定された位置に存在する場合にのみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。この場合、利用者端末は、所定のサーバや端末といった予め決まった場所に設置された端末、GPS(Global Positioning System)などから位置情報を取得する。そして、利用者端末は、取得した位置情報が制御情報の適用条件に合致する場合にのみ、ルールの再設定を行う。これによれば、コンテンツ情報の配信事業者は、利用者端末の位置に基づいて、利用者の要求に合った多くの情報を自動的に提供することが可能となる。
上記利用者端末の他の一態様では、前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、日時に関する条件を規定しており、前記利用者端末は、日時に関する時間情報を取得する時間情報取得手段をさらに備え、前記流通ルール再設定手段は、前記時間情報が前記適用条件として規定された日時に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定する。この場合、利用者端末は、適用条件として規定された日時においてのみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。なお、利用者端末は、時計機能などに基づいて常に日時に関する情報である時間情報を認識している。これによれば、コンテンツ情報の配信事業者は、日時に基づいて、利用者の要求に合った多くの情報を自動的に提供することが可能となる。
上記利用者端末の他の一態様では、前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、前記利用者端末を使用する利用者に関する条件を規定しており、前記利用者端末は、前記利用者に関する属性情報を取得する属性情報取得手段をさらに備え、前記流通ルール再設定手段は、前記属性情報が前記適用条件として規定された利用者に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定する。この場合、利用者端末は、当該利用者端末を使用する利用者が適用条件として規定された条件に合致する場合にのみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。なお、利用者は予め利用者端末に性別や年齢といった属性情報の登録等をしており、利用者端末は、利用者の属性情報を認識している。これによれば、コンテンツ情報の配信事業者は、利用者の属性情報に基づいて特定のターゲット層が多く集まる場所では、当該ターゲット層が興味のあるコンテンツ情報を自動的に提供することで、宣伝効果及び販売促進効果などを図ることができる。
上記利用者端末の他の一態様では、前記利用者端末は、情報を表示するための表示部を備え、前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、利用者の嗜好に関する条件を規定しており、操作信号に基づいて、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報から抽出した特定のコンテンツ情報を前記表示部に表示する表示手段と、前記表示手段が表示したコンテンツ情報に関するログを分析することにより、前記利用者の嗜好に関する嗜好情報を取得する嗜好情報取得手段をさらに備え、前記流通ルール再設定手段は、前記嗜好情報が前記適用条件として規定された利用者の嗜好に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定する。この場合、利用者端末は、適用条件として規定された嗜好に関する条件に対応するコンテンツ情報を表示している場合にのみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。なお、利用者端末は、表示部に表示したコンテンツ情報のログを表示ログとして認識しておき、当該表示ログを分析することにより利用者の嗜好情報を取得している。そして、利用者端末は取得した嗜好情報が適用条件に合致する場合にのみ、ルールの再設定を行う。これによれば、コンテンツ情報の配信事業者は、利用者の嗜好や興味に合致したコンテンツ情報を自動的に提供することが可能となる。
上記利用者端末の他の一態様では、前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、前記利用者端末が存在する環境に関する条件を規定しており、前記利用者端末は、前記利用者端末が存在する環境に関するプレゼンス情報を取得するプレゼンス情報取得手段と、前記流通ルール再設定手段は、前記プレゼンス情報が前記適用条件として規定された環境に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定する。この場合、利用者端末は、自身を取り巻く環境が適用条件として規定された環境と合致する場合のみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。なお、利用者端末は、プレゼンス情報を所定のサーバなどから取得する。これによれば、コンテンツ情報の配信事業者は、その日の記憶などに基づいて利用者の要求に合ったコンテンツ情報を自動的に提供することが可能となる。
上記利用者端末のさらに他の一態様では、前記利用者端末は、前記制御情報を配信する配信端末と通信可能であって、前記コンテンツ情報配信手段が配信したコンテンツ情報、前記コンテンツ情報記憶手段が記憶したコンテンツ情報、及び、前記コンテンツ情報取得手段が取得したコンテンツ情報のいずれか1つ以上に基づいて、前記コンテンツ情報の流通に関する流通情報を生成する流通情報生成手段と、前記流通情報生成手段が生成した流通情報を、前記配信端末へ配信する流通情報配信手段と、をさらに備える。
上記のように構成された利用者端末は、自身が他の利用者端末とやり取りしたコンテンツ情報に関する情報に基づいて、利用者端末間におけるコンテンツ情報の流通状況を表す流通情報を生成する。そして、利用者端末が生成した流通情報を配信端末へ配信することにより、当該配信端末はコンテンツ情報の流通状況に応じた制御情報を生成することができる。つまり、配信端末は、流通状況に基づいて、配信事業者が希望するようなコンテンツ情報の流通が行われるように、各利用者端末に設定された流通ルールを変更するような制御情報を生成する。よって、配信事業者は、流通情報に基づく制御情報を利用者端末間でやり取りさせることにより、動的にコンテンツ情報の流通を制御することが可能となる。
本発明の別の観点では、情報を記憶するための記憶領域を備えており、他のコンピュータと通信可能なコンピュータにより実行されるプログラムであって、複数のコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段、取得した前記コンテンツ情報を、前記記憶領域を構成するコンテンツ情報領域に記憶するコンテンツ情報記憶手段、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記他のコンピュータへ優先して配信するコンテンツ情報に関する条件を規定している流通ルールを取得する流通ルール取得手段、前記流通ルールを、前記記憶領域を構成する流通ルール領域に記憶する流通ルール記憶手段、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記流通ルールに規定された条件に合致するコンテンツ情報を優先して他のコンピュータへ配信するコンテンツ情報配信手段、前記流通ルールに対する制御を規定する制御情報を受信する制御情報受信手段、前記制御情報を、前記記憶領域を構成する制御情報領域に記憶する制御情報記憶手段、前記制御情報に基づいて、前記流通ルールの規定を再設定する流通ルール再設定手段、前記流通ルール領域に記憶された流通ルールを、前記流通ルール再設定手段が再設定した流通ルールに更新する流通ルール更新手段、前記制御情報領域に記憶された制御情報を、他のコンピュータに配信する制御情報配信手段、として前記コンピュータを機能させる。
上記プログラムをコンピュータにより実行することにより、上述の利用者端末及び配信端末を実現することができる。また、上述の利用者端末及び配信端末の各態様も同様に実現することができる。
本発明の別の観点では、相互に通信可能な利用者端末及び配信端末を使用する流通システムであって、前記利用者端末は、情報を記憶するための記憶領域を保有しており、複数のコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段と、取得した前記コンテンツ情報を、前記記憶領域を構成するコンテンツ情報領域に記憶するコンテンツ情報記憶手段と、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記他の利用者端末へ優先して配信するコンテンツ情報に関する条件を規定している流通ルールを取得する流通ルール取得手段と、前記流通ルールを、前記記憶領域を構成する流通ルール領域に記憶する流通ルール記憶手段と、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記流通ルールに規定された条件に合致するコンテンツ情報を優先して他の利用者端末へ配信するコンテンツ情報配信手段と、前記流通ルールに対する制御を規定する制御情報を受信する制御情報受信手段と、前記制御情報を、前記記憶領域を構成する制御情報領域に記憶する制御情報記憶手段と、前記制御情報に基づいて、前記流通ルールの規定を再設定する流通ルール再設定手段と、前記流通ルール領域に記憶された流通ルールを、前記流通ルール再設定手段が再設定した流通ルールに更新する流通ルール更新手段と、前記制御情報領域に記憶された制御情報を、他の利用者端末に配信する制御情報配信手段と、を備え、前記配信端末は、前記コンテンツ情報に関する複数の流通形態に対応付けて、前記制御情報を記憶する制御情報記憶手段と、特定の流通形態に基づいて前記制御情報記憶手段から抽出した制御情報を、前記利用者端末へ配信する制御情報配信手段と、を備える。
本発明のさらに別の観点では、相互に通信可能な利用者端末及び配信端末を使用する流通システムであって、前記利用者端末は、情報を記憶するための記憶領域を保有しており、複数のコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段と、取得した前記コンテンツ情報を、前記記憶領域を構成するコンテンツ情報領域に記憶するコンテンツ情報記憶手段と、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記他の利用者端末へ優先して配信するコンテンツ情報に関する条件を規定している流通ルールを取得する流通ルール取得手段と、前記流通ルールを、前記記憶領域を構成する流通ルール領域に記憶する流通ルール記憶手段と、前記流通ルールに基づいて、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報を他の利用者端末へ配信するコンテンツ情報配信手段と、前記流通ルールに対する制御を規定する制御情報を受信する制御情報受信手段と、前記制御情報を、前記記憶領域を構成する制御情報領域に記憶する制御情報記憶手段と、前記制御情報に基づいて、前記流通ルールの規定を再設定する流通ルール再設定手段と、前記流通ルール領域に記憶された流通ルールを、前記流通ルール再設定手段が再設定した流通ルールに更新する流通ルール更新手段と、前記制御情報領域に記憶された制御情報を、他の利用者端末に配信する制御情報配信手段と、前記コンテンツ情報配信手段が配信したコンテンツ情報、前記コンテンツ情報記憶手段が記憶したコンテンツ情報、及び、前記コンテンツ情報取得手段が取得したコンテンツ情報のいずれか1つ以上に基づいて、前記コンテンツ情報の流通に関する流通情報を生成する流通情報生成手段と、前記流通情報生成手段が生成した流通情報を、前記配信端末へ配信する流通情報配信手段と、を備え、前記配信端末は、前記コンテンツ情報の理想的な流通量を理想流通量として記憶する理想流通量記憶手段と、前記利用者端末から、前記コンテンツ情報の流通に関する流通情報を受信する流通情報受信手段と、前記流通情報に基づいて、前記コンテンツ情報の現在の流通量を解析する解析手段と、前記解析手段が解析した現在の流通量と、前記理想流通量記憶手段に記憶された理想流通量とに基づいて、前記制御情報を生成する制御情報生成手段と、前記制御情報生成手段が生成した制御情報を、前記利用者端末へ配信する制御情報配信手段と、を備える。
上述のように構成された流通システムによれば、流通ルールと、当該流通ルールを現在の流通状況に応じて変更することが可能な制御情報とに基づいて、コンテンツ情報の流通状況を動的に制御することができる。
本発明によれば、コンテンツ情報の配信優先順序を規定した流通ルールと、当該流通ルールを動的に変更することが可能な制御情報とに基づいて、コンテンツ情報の流通状況を動的に制御することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。本発明は、各端末が自律的に動作する流通システムにおいて、コンテンツ情報の流通を、流通ルールと制御情報とに基づいて制御することができるものである。具体的には、無線通信可能な複数の利用者端末が自律的に動作するような流通システムにおいて、本発明を利用することができる。
[流通システム]
まず、本発明に係る流通システムについて説明する。図1に流通システムの概略構成を示す。図1に示す流通システム100は、複数の利用者端末を自律的に動作させ、繰り返し無線通信を行わせることで多様なコンテンツ情報を広く一様に流通させるものである。
図1に示すように、流通システム100において、アクセスポイント3とコンテンツ情報サーバ4は、ネットワーク2を通じて通信可能に接続されている。ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。なお、コンテンツ情報サーバ4は、コンテンツ情報データベース(以下、「DB」と呼ぶ。)5に接続されている。また、流通システム100において、制御情報配信端末7と流通情報収集端末8は通信可能に接続されている。ここで、通信方法としては、インターネットをはじめとするネットワーク2を介する方法、データの送受信が可能な有線又は無線を介する方法など種々の方法が挙げられる。なお、本実施形態では、制御情報配信端末7と流通情報収集端末8は別々の端末であって、通信可能に接続されたものとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、制御情報配信端末7及び流通情報収集端末8双方の機能を有する1つの端末とすることもできる。
さらに、流通システム100において、アクセスポイント3、利用者端末20及び利用者端末21は、相互に無線通信可能に接続されている。また、制御情報配信端末7及び流通情報収集端末8と、利用者端末20及び利用者端末21とも、相互に無線通信可能に接続されている。なお、図1には便宜上、1つのアクセスポイント3、1つの制御情報配信端末7、1つの流通情報収集端末8及び2つの利用者端末20及び21がそれぞれ記載されているが、流通システム100はこれらに限られるものではなく、複数のアクセスポイント、制御情報配信端末、流通情報収集端末、利用者端末が構成要素として含まれているものとする。また、無線通信としては、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)を含む各種の方法が使用可能であり、本実施形態ではBluetoothを適用することとする。なお、本発明において無線通信が赤外線通信の場合はアクセスポイントが赤外線ポートとなり、無線通信がICタグの場合はアクセスポイントがICタグリーダライタとなることとする。
まず、本システムによるコンテンツ情報流通方法の概要を述べておく。流通システム100を構成するアクセスポイント3は、利用者の興味をひく広告などに付随して設置されており、当該広告に関連付けされたコンテンツ情報を複数の利用者端末に配信するコンテンツ情報の配信端末である。アクセスポイント3は、通信可能エリア内に利用者端末が存在することを確認した場合、当該利用者端末にコンテンツ情報を配信する。アクセスポイント3は複数設置されており、そこから各種コンテンツ情報が利用者端末へ配信されることとなる。なお、アクセスポイント3は、ネットワーク2を介してコンテンツ情報サーバ4から各種コンテンツ情報を取得している。コンテンツ情報サーバ4は、各アクセスポイント3に配信するコンテンツ情報をコンテンツ情報DB5に記憶し、管理している。
利用者端末20は、アクセスポイント3から取得したコンテンツ情報をコンテンツ情報領域へ記憶する。そして、当該利用者端末20を使用する利用者は、所定の操作を行うことにより、コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から抽出した特定のコンテンツ情報を利用者端末20上で自由に閲覧することができる。
なお、利用者端末20は、予めコンテンツ情報サーバ4又は他の利用者端末から流通ルールを取得し、流通ルール領域に記憶している。流通ルールは、詳細は後述するが、コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、他の利用者端末へ優先して配信するコンテンツ情報に関する条件を規定している。さらに、利用者端末20は、制御情報配信端末7から制御情報を取得し、制御情報領域に記憶している。制御情報は、詳細は後述するが、流通ルールに対する制御を規定している。
利用者端末20は、取得した流通ルールに従って、コンテンツ情報領域に記憶された全てのコンテンツ情報から他の利用者端末へ配信する配信コンテンツ情報を選択し、通信可能エリア内に存在する他の利用者端末へ配信する。また、利用者端末20は、制御情報配信端末7から取得した制御情報に基づいて、流通ルール領域に記憶された流通ルールの再設定を行う。この場合、流通ルール領域に記憶された流通ルールは、再設定後の流通ルールに更新される。即ち、流通ルール領域には常に最新の制御情報が反映された流通ルールが記憶されていることになる。利用者端末20は、流通ルール領域に記憶された流通ルール、及び、制御情報領域に記憶された制御情報を、通信可能エリア内に存在する他の利用者端末へ配信する。
また、利用者端末20は、他の利用者端末から受信したコンテンツ情報、コンテンツ情報領域に記憶されているコンテンツ情報、及び、他の利用者端末へ配信したコンテンツ情報に基づいて、コンテンツ情報の流通に関する流通情報を生成する。そして、利用者端末20は、生成した流通情報を流通情報収集端末8へ配信する。流通情報収集端末8は、受信した流通情報を解析することによりコンテンツ情報が配信事業者の希望通りに流通しているか否かを判定する。希望通りに流通している場合はその旨の情報を制御情報配信端末7へ配信し、当該制御情報配信端末7は今までどおりの制御情報を配信し続ける。一方、希望通りに流通していない場合は流通情報の解析結果情報を制御情報配信端末7へ配信し、当該制御情報配信端末7は、解析結果情報に基づいて新たな制御情報を生成し、配信する。
このようにして、利用者端末20は、アクセスポイント3及び他の利用者端末から各種コンテンツ情報及び流通ルールを取得する。また、利用者端末20は、制御情報配信端末7から制御情報を取得する。そして、利用者端末20は、コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報、流通ルール領域に記憶された流通ルール、及び、制御情報領域に記憶された制御情報をさらに他の利用者端末へ配信する。この繰り返しにより、流通システム100では、各種情報が利用者端末間でやり取りされることとなる。
この場合、利用者端末20は、流通ルールに従ってコンテンツ情報を配信しており、当該流通ルールは制御情報によって変更することが可能である。つまり、配信事業者は、制御情報によって各利用者端末が保有する流通ルールを変更することにより、コンテンツ情報の配信優先順位を調整することができる。換言すると、配信事業者は、制御情報によって時間の経過とともに変化するコンテンツ情報の流通状況を制御することが可能となる。なお、利用者端末20は、コンテンツ情報の流通に関する流通情報を生成し、流通情報収集端末8へ配信している。これにより、流通情報収集端末8はリアルタイムにコンテンツ情報の流通状況を認識することができ、制御情報配信端末7は流通状況と配信事業者が希望するコンテンツ情報の理想流通量とに基づいて適切な流通ルールとなるように規定した制御情報を生成・配信することができる。
[コンテンツ情報サーバ]
次に、コンテンツ情報サーバ4について詳しく説明する。コンテンツ情報サーバ4は、コンテンツ情報DB5に接続されており、当該コンテンツ情報DB5に記憶された各種コンテンツ情報を、アクセスポイント3を介して利用者端末へ配信する。図2は、コンテンツ情報DB5のデータ構造を模式的に示す図である。図2に示すように、コンテンツ情報DB5は、コンテンツ情報IDをキーとしてコンテンツデータ及び付加情報を記憶し、管理している。ここで、コンテンツデータとは、利用者端末上でコンテンツ情報を閲覧するために必要となるコンテンツ本体の情報である。また、付加情報とは、コンテンツデータに関連付けられた情報であり、詳細は後述する。
[利用者端末]
次に、利用者端末について詳しく説明する。まず、図3を参照し、利用者端末の内部構成について詳しく説明する。図3は、本発明の流通システム100における利用者端末20の内部構成を示したものである。なお、利用者端末21は、利用者端末20と同様の内部構成であるため、便宜上説明は省略する。
図3に示すように、利用者端末20は、記憶領域210、コンテンツ情報受信機能221、コンテンツ情報配信機能222、コンテンツ情報選択機能223、制御情報配信機能224、制御情報受信機能225、流通ルール再設定機能226、流通情報配信機能227、コンテンツ情報表示機能228及び通信機能230を保有している。なお、記憶領域210は、コンテンツ情報領域211、流通ルール領域212及び制御情報領域213から構成されている。
通信機能230は、アクセスポイント3、制御情報配信端末7、流通情報収集端末8及び他の利用者端末と相互にデータの送受信を行う機能である。具体的には、制御情報、流通情報及びコンテンツ情報の配信や、制御情報及びコンテンツ情報の受信などを行う機能である。また、通信機能230は、利用者端末20の通信可能エリア内に他の利用者端末が存在するか否かの検索である近隣検索を行う機能である。なお、流通ルールは、上述のように利用者端末間でやり取りされるものではなく、予め各利用者端末に設定されていることとしてもよい。また、流通ルールは、全ての利用者端末で同じものを設定してもよいし、利用者端末毎に異なるものを設定してもよい。
コンテンツ情報受信機能221は、通信可能エリア内に存在するアクセスポイント3や他の利用者端末から、通信機能230を介してコンテンツ情報を受信する機能である。また、コンテンツ情報受信機能221は、受信したコンテンツ情報を記憶領域210の構成要素であるコンテンツ情報領域211に記憶する。
コンテンツ情報配信機能222は、後述するコンテンツ情報選択機能223が選択したコンテンツ情報を配信コンテンツ情報として、通信可能エリア内に存在する他の利用者端末に通信機能230を介して配信する機能である。
コンテンツ情報選択機能223は、流通ルール領域212に記憶されている流通ルールに規定された優先順位に従って、コンテンツ情報領域211に記憶されたコンテンツ情報の中から他の利用者端末へ配信するコンテンツ情報を選択する機能である。
制御情報配信機能224は、制御情報領域213から抽出した制御情報を、通信可能エリア内に存在する他の利用者端末に通信機能230を介して配信する機能である。
制御情報受信機能225は、通信可能エリア内に存在する制御情報配信端末7から、通信機能230を介して制御情報を受信する機能である。また、制御情報受信機能225は、受信した制御情報を記憶領域210の構成要素である制御情報領域231に記憶する。このとき、既に制御情報領域213に所定の制御情報が記憶されている場合、制御情報受信機能225は、新たに受信した制御情報を上書きして記憶する。
流通ルール再設定機能226は、制御情報領域213に記憶された制御情報の規定に従って、流通ルール領域212に記憶された流通情報の再設定を行い、再設定後の流通ルールを上書きして記憶する機能である。ここで、流通情報の再設定とは、流通ルールの追加、削除、配信優先順位変更等であり、詳細は後述する。
流通情報配信機能227は、コンテンツ情報受信機能221が受信したコンテンツ情報のリスト、コンテンツ情報領域211に記憶されているコンテンツ情報のリスト、コンテンツ情報配信機能222が配信したコンテンツ情報のリスト、及び/又は、後述するコンテンツ情報表示機能228が表示したコンテンツ情報のログに基づいて、流通システム100内におけるコンテンツ情報の流通状況に関する流通情報を生成する機能である。また、流通情報配信機能227は、生成した流通情報を、流通情報収集端末8に通信機能230を介して配信する機能である。
コンテンツ情報表示機能228は、利用者の操作による操作信号に基づいて、コンテンツ情報領域211から特定のコンテンツ情報を抽出し、利用者端末の表示部に表示する機能である。ここで、コンテンツ情報表示機能228は、表示したコンテンツ情報に関するログをとっている。よって、利用者端末20は、当該ログを分析することにより利用者が閲覧したコンテンツ情報に関する情報、例えば利用者の嗜好情報などを認識することが可能である。
[制御情報配信端末及び流通情報収集端末]
次に、制御情報配信端末7及び流通情報収集端末8について詳しく説明する。まず、図3を参照し、制御情報配信端末7及び流通情報収集端末8の内部構成について詳しく説明する。
図3に示すように、流通情報収集端末8は、流通情報受信機能81、流通情報記憶領域82、流通量解析機能83、理想流通量記憶領域84及び流通量判定機能85を保有している。
流通情報受信機能81は、通信可能エリア内に存在する利用者端末から、流通システム100におけるコンテンツ情報の流通に関する流通情報を受信し、流通情報記憶領域82に記憶する機能である。
流通量解析機能83は、流通情報記憶機能82に記憶された流通情報を解析することにより、流通システム100におけるコンテンツ情報の流通量を算出し、流通状況を認識する機能である。
流通量判定機能84は、流通量解析機能83が算出した現在の流通量と、理想流通量記憶領域84に記憶された理想流通量とを比較することにより、現在の流通量が理想流通量の範囲に含まれているか否かを判定する機能である。なお、理想流通量記憶領域84は、配信事業者が希望するコンテンツ情報の流通量を予め記憶している。流通量判定機能84は、現在の流通量が理想流通量の範囲に含まれている場合、その旨を情報として制御情報配信端末7へ配信する。一方、現在の流通量が理想流通量の範囲に含まれていない場合、流通量解析機能83が解析したコンテンツ情報の流通状況を解析結果情報として制御情報配信端末7へ配信する。
図3に示すように、制御情報配信端末7は、制御情報配信機能71及び制御情報生成機能72を保有している。
制御情報生成機能72は、流通情報収集端末8から、現在の流通量が理想流通量の範囲に含まれていないために解析結果情報を受信した場合、当該解析結果情報に基づいて、コンテンツ情報を理想流通量に近づけるために流通ルールを変更する規定である新たな制御情報を生成する機能である。なお、制御情報生成機能72が生成した制御情報は、所定の記憶領域に記憶されるものとする。
制御情報配信機能71は、流通情報収集端末8から、現在の流通量が理想流通量の範囲に含まれている旨の情報を受信した場合、それまで配信していた制御情報を続けて通信可能エリア内に存在する利用者端末へ配信する機能である。一方、現在の流通量が理想流通量の範囲に含まれない場合、制御情報生成機能72が生成した制御情報を通信可能エリア内に存在する利用者端末へ配信する機能である。即ち、制御情報配信端末7は、所定の記憶領域に記憶された制御情報を利用者端末へ配信する。
[流通ルール]
次に、流通ルールについて図4を参照して説明する。利用者端末内において流通ルールは、図4(a)に示すように、流通ルール領域212に複数記憶されている。流通ルールは、利用者端末のコンテンツ情報領域211から抽出したコンテンツ情報を他の利用者端末に配信する際に、どのコンテンツ情報をどういう順番で配信するか等といった配信優先順位を規定している。そのため、利用者端末は、流通ルール領域212に記憶されている複数の流通ルールに基づいて、コンテンツ情報領域211に記憶されたコンテンツ情報を他の利用者端末へ配信する。なお、複数の流通ルールは同時に使用しても整合性が取れるものであるとする。また、上述では、流通ルールが複数である場合について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、流通ルールが1つである場合でにも適用することができる。
図4(b)に、流通ルールのデータ構成を模式的に示す。具体的に、流通ルールは、配信優先順位を示すものとしてコンテンツ抽出条件、配信並べ替え条件及び配信優先度が規定されている。ここで、コンテンツ抽出条件とは、優先して配信するコンテンツ情報をコンテンツ情報領域211から抽出する条件を規定しており、具体的には図示のように、「エリア情報:新宿」などが挙げられる。また、配信並べ替え条件とは、コンテンツ抽出条件に合致するコンテンツ情報の中でさらに優先的に配信するコンテンツ情報について規定しており、具体的には図示のように、「1:グルメ、2:映画、…」などが挙げられる。ここで、図4(b)に示すように、コンテンツ抽出条件及び配信並べ替え条件をまとめてコンテンツ属性とする。
配信優先度とは、コンテンツ属性に対応づけて設定されており、優先的に配信するコンテンツ属性ほど配信優先度は高くなる。具体的には図示のように、コンテンツ属性[α]は配信優先度「高」が設定されている。
これによれば、コンテンツ属性[α]の方がコンテンツ属性[β]よりも配信優先度が高く設定されている。よって、コンテンツ属性[α]に従って利用者端末はコンテンツ情報領域211に記憶されたコンテンツ情報を他の利用者端末に配信する。具体的に、利用者端末は、コンテンツ情報の付加情報に含まれるエリア情報が「新宿」のコンテンツ情報を優先的に配信し、エリア情報「新宿」のコンテンツ情報の中でもさらにジャンル情報が「グルメ」に関するコンテンツ情報を優先的に配信する。つまり、流通ルールは、コンテンツ抽出条件、配信並べ替え条件及び配信優先度により段階的にコンテンツ情報の配信優先順位を規定している。よって、同一の流通ルールが流通システム100内の全ての利用者端末に設定されていれば、流通ルールに記述されたポリシーに基づいてコンテンツ情報が確率的に配信されることとなる。
なお、コンテンツ情報の付加情報、エリア情報及びジャンル情報についての詳細は後述する。
[コンテンツ情報]
次に、コンテンツ情報について詳しく説明する。図5は、コンテンツ情報の構成を概念的に示したものである。図5に示すように、コンテンツ情報は、付加情報とコンテンツデータから構成されている。コンテンツデータは、利用者端末上でコンテンツ情報を閲覧する際に必要となるコンテンツ情報本体の情報である。一方、付加情報は、コンテンツデータに関連付いてタグ付けされた情報であり、コンテンツデータ内のキーワードから自動生成してもよいし、手動でコンテンツ情報サーバ4やコンテンツ情報作成者が設定してもよい。付加情報として設定される情報の具体例としては、コンテンツデータを識別するコンテンツ情報ID、コンテンツデータを表すキーワード情報、コンテンツデータのジャンル情報、コンテンツデータが関連するエリアを示すエリア情報、コンテンツデータの期限情報などが挙げられる。また、コンテンツ情報作成者の電子署名、改竄防止のためのハッシュ値など、コンテンツデータの原本性保証を行うためのデータを付加情報として設定してもよい。
なお、付加情報は、コンテンツ情報サーバ4やコンテンツ情報作成者が自動又は手動で設定する情報であり、コンテンツ情報に含ませるか否かは任意である。つまり、コンテンツ情報としては、図4に示すように、付加情報及びコンテンツデータから構成されるコンテンツ情報と、コンテンツデータのみから構成されるコンテンツ情報の2種類が考えられるが、本発明では、双方のコンテンツ情報を適用することが可能である。
上述のように、利用者端末は、流通ルールに従ってコンテンツ情報を通信可能エリア内に存在する他の利用者端末へ配信する。このとき、流通ルールの規定に合致するコンテンツ情報及びファイルであるか否かを判別するための情報を図6に示す。
図示のとおり、コンテンツ情報に含まれるデータを判別するための情報は、条件と具体例により構成される。条件は、「付加情報が含まれていない場合」、「テキストデータの場合」、「標準フォーマットで作成されている場合」及び「付加情報が含まれている場合」が考えられる。
図6に示すように、付加情報が含まれていない場合、コンテンツ情報を判別するための情報の具体例としては、ファイル名、拡張子、サイズなどが挙げられる。
また、付加情報が含まれているか否かに関わらず、コンテンツ情報がテキストデータの場合、コンテンツ情報を判別するための情報の具体例としては、テキストデータに含まれる単語が挙げられる。例えば、流通ルールとして、基準「キーワード検索(キーワード:花火)」により、コンテンツ情報領域211に記憶された全てのコンテンツ情報の中から、キーワードとして「花火」を含むコンテンツ情報を優先して配信することが規定されていたとする。この場合、コンテンツ情報選択機能223は、コンテンツ情報のテキストデータに含まれる単語の中に、流通ルールとして規定されているキーワード「花火」が含まれているか否かの判定を行う。そして、コンテンツ情報選択223は、テキストデータに含まれる単語の中に「花火」があると判定した場合に、当該コンテンツ情報を優先して配信する配信コンテンツ情報として選択する。
また、付加情報が含まれているか否かに関わらず、コンテンツ情報等が標準フォーマットで作成されている場合、コンテンツ情報等を判別するための情報の具体例としては、作成者や編集時刻などが挙げられる。
また、付加情報が含まれている場合、コンテンツ情報等を判別するための情報の具体例として、付加情報等として含まれるジャンル情報やエリア情報等が挙げられる。
上記のようなコンテンツ情報を判別するための情報と、流通ルールとに基づいて、コンテンツ情報選択機能223は処理を行っているが、原則としてコンテンツ情報選択機能223は、コンテンツ情報が流通ルールの規定に合致するか否かを判定することにより優先して配信する配信コンテンツ情報を選択している。ここで合致とは、完全一致、部分一致、数値の大小関係の一致も含まれる広い概念である。なお、判定の対象となるコンテンツ情報は、コンテンツ情報全体の場合もあれば、コンテンツ情報の一部分(一要素)の場合も考えられる。また、コンテンツ情報を事前に分割して扱うような場合も考えられる。
[コンテンツ情報の配信制限]
ここで、コンテンツ情報の配信制限について説明する。まず、TTL(Time To Live)、即ち転送回数を表すホップ数を設定することにより、コンテンツ情報を配信する範囲を制限する方法について説明する。これは、コンテンツ情報に最大転送回数を表す値であるTTLを付加し、利用者端末は、当該コンテンツ情報を転送する度に当該TTLを減らす処理を行い、TTLが「0」になった場合に、それ以上はコンテンツ情報の転送を行わないという方法である。例えば、TTLが「2」と設定されていた場合、最初の利用者端末から2つ先の利用者端末までにはコンテンツ情報が100%到達する。一方、最初の利用者端末から3つ以上先の利用者端末にはコンテンツ情報が到達することはない。
次に、有効期限を設定することにより、コンテンツ情報を配信する範囲を制限する方法について説明する。これは、コンテンツ情報に有効期限を付加し、利用者端末は、コンテンツ情報を転送する際に有効期限を確認する処理を行い、当該有効期限が切れている場合に、それ以上はコンテンツ情報の転送を行わないという方法である。例えば、有効期限が「2003/03/01」と設定されていた場合、最初の利用者端末からいくつ先の利用者端末であるかに関わらず、「2003/03/02」以降であればコンテンツ情報が転送されることはない。
次に、配信回数を設定することにより、コンテンツ情報を配信する範囲を制限する方法について、図7を参照して説明する。図7は、配信回数を設定した場合におけるコンテンツ情報の配信制限について模式的に示す図である。これは、コンテンツ情報に配信回数を設定し、利用者端末は、当該コンテンツ情報を転送する度に当該配信回数を所定のルールで減らす処理を行い、配信回数が「0」又は「1以下の小数点」となった場合に、それ以上はコンテンツ情報の転送を行わないという方法である。
配信回数を減らす処理の1つのルールとしては、図7(a)に示すように、コンテンツ情報を転送する度に当該配信回数を半分にする処理を行うことが挙げられる。具体的に、利用者端末20が配信回数[64]が付加されたコンテンツ情報ID[C001]のコンテンツ情報を、他の利用者端末21へ配信した場合、当該利用者端末20の配信回数は半分となる。即ち、利用者端末20のコンテンツ情報には、配信回数[32]が設定される。また、他の利用者端末21は、利用者端末20の配信回数の半分を引き継ぐ。即ち、利用者端末21のコンテンツ情報にも、配信回数[32]が設定される。この場合、図7(d)に示すように、配信回数が1未満になった時点でコンテンツ情報の転送は終了となり、当該コンテンツ情報はコンテンツ情報領域から消去される。
なお、同一コンテンツ情報を受信した際には、図7(b)に示すように、数の大きい配信回数が採用される方法を行うことができる。具体的に、利用者端末20が配信回数[256]が設定されたコンテンツ情報を、他の利用者端末21へ配信した場合、当該利用者端末20の配信回数は半分となる。即ち、利用者端末20のコンテンツ情報には、配信回数[128]が設定される。また、他の利用者端末21は、利用者端末20の配信回数の半分を引き継ぐ。このとき、他の利用者端末21が、既に配信回数[2]が設定された同一のコンテンツ情報を保有している場合、自身が保有するコンテンツ情報に付加された配信回数[2]と、利用者端末20から引き継いだ配信回数[128]とを比較して大きい方の配信回数を採用する。つまり、図示のとおり、利用者端末20及び21のコンテンツ情報は共に、配信回数[128]が設定される。
また、同一コンテンツ情報を受信した際には、図7(c)に示すように、配信回数が加算される方法を行うこととしてもよい。具体的に、利用者端末20が配信回数[256]が設定されたコンテンツ情報を、他の利用者端末21へ配信した場合、当該利用者端末20の配信回数は半分となる。即ち、利用者端末20のコンテンツ情報には、配信回数[128]が設定される。また、他の利用者端末21は、利用者端末20の配信回数の半分を引き継ぐ。このとき、他の利用者端末21が、既に配信回数[2]が設定された同一のコンテンツ情報を保有している場合、自身が保有するコンテンツ情報に付加された配信回数[2]と、利用者端末20から引き継いだ配信回数[128]とを加算する。つまり、図示のとおり、利用者端末20のコンテンツ情報は配信回数[128]が設定され、利用者端末21のコンテンツ情報は配信回数[130]が設定される。
なお、コンテンツ情報のみならず、制御情報も上述のように配信される範囲を制限することとしてもよい。
[制御情報]
次に、制御情報について詳しく説明する。制御情報は、制御情報配信端末7が生成する情報であって、各利用者端末が記憶している流通ルールを制御するための情報である。利用者端末は、受信した制御情報に基づいて、流通ルールの再設定を行い、その結果として特定のコンテンツ情報が優先して流通するように流通システム100における流通状況の制御を行う。原則として、利用者は、制御情報を意識するものではなく、利用者により当該制御情報が操作されることはない。
ここで、制御情報に基づく流通ルールの再設定について、図8を参照して説明する。まず、図8(a)を参照して、流通ルール領域211に記憶されている複数の流通ルールの中の1つを、他の流通ルールに置換するような再設定を行う場合について説明する。具体的に、制御情報に基づいて、流通ルール領域211に記憶されている[流通ルールA]を[流通ルールD]に置換するような再設定を行うものとする。この場合、制御情報は、変更ルール条件と変更内容を規定している。変更ルール条件とは、図8(a)に示すように、[流通ルールA]が規定されている。また、変更内容は、[[流通ルールD]に置換]であり、[流通ルールD]のデータも規定されている。
利用者端末は、図8(a)に示すような制御情報を受信すると、まず、変更ルール条件と合致するルールが流通ルール領域211内に存在するか否かを判定する。そして、合致するルールが存在しない場合、流通ルールの再設定は行わない。一方、合致するルール、即ち[流通ルールA]が存在する場合、図示のように、当該[流通ルールA]を制御情報に規定された変更内容に従って[流通ルールD]に置換する。このように、利用者端末は、制御情報に基づいて流通ルールを再設定する。
次に、図8(b)を参照して、流通ルール領域211に記憶された流通ルール単位ではなく、流通ルールの内部構成を変更するような再設定を行う場合について説明する。具体的に、制御情報に基づいて、流通ルール領域211に記憶されている流通ルールAに、コンテンツ属性[θ]に関するルールを追加するような再設定を行うものとする。この場合、制御情報は、図8(b)に示すように、[流通ルールA]が規定されている。また、変更内容は、[コンテンツ属性[θ]…を追加]が規定されている。
利用者端末は、図8(b)に示すような制御情報を受信すると、まず、変更ルール条件と合致するルールが流通ルール領域211内に存在するか否かを判定する。そして、合致するルールが存在しない場合、流通ルールの再設定は行わない。一方、合致するルール、即ち[流通ルールA]が存在する場合、図示のように、当該[流通ルールA]を制御情報に規定された変更内容に従って[コンテンツ属性[θ]…を追加]する。このように、利用者端末は、制御情報に基づいて流通ルールを再設定する。
なお、制御情報配信端末7は、図8に記載した以外にも任意の制御内容により、流通ルールを再設定するように規定することができる。例えば流通ルールにおいてコンテンツ属性の追加や優先順位変更なども制御情報により行うことができる。
[制御情報の適用条件]
制御情報に規定された変更ルール条件と合致するルールが存在する場合、利用者端末は、上述のように強制的に当該ルールを再設定することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、適用条件に合致した場合においてのみ流通ルールを再設定することとしてもよい。この場合、制御情報には、図8に示すような変更ルール条件及び変更内容のみならず、さらに適用条件についても規定されることとなる。
ここで、適用条件について詳しく説明する。適用条件の1つの例としては、利用者端末の位置が挙げられる。つまり、利用者端末は、自身が制御情報の適用条件として規定された位置に存在する場合にのみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。この場合、利用者端末は、アクセスポイント3や制御情報配信端末7といった予め決まった場所に設置された端末、GPSなどから位置情報を取得する。そして、利用者端末は、所定の端末やGPSから取得した位置情報が制御情報の適用条件に合致する場合にのみ、ルールの再設定を行う。具体的に、制御情報の適用条件を「A駅の近辺」、変更内容を「A駅近辺の店舗情報を優先的に配信するルールに変更」と規定することで、A駅の近辺に存在する利用者端末間では近辺の店舗情報が優先的にやり取りされることになる。よって、配信事業者は、A駅の近辺にいる利用者の要求に合った多くの店舗情報を自動的に提供することが可能となる。
適用条件の他の例としては、日程や時刻が挙げられる。つまり、利用者端末は、適用条件として規定された日時においてのみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。具体的に、制御情報の適用条件を「金曜日の19時以降」、変更内容を「グルメ情報を優先的に配信するルールに変更」と規定することで、金曜の夜において利用者端末間ではグルメ情報が優先的にやり取りされることになる。よって、配信事業者は、金曜の夜に街にいる利用者の要求に合ったレストランなどに関する情報を自動的に提供することが可能となる。
適用条件の他の例としては、個人属性が挙げられる。つまり、利用者端末は、当該利用者端末を使用する利用者が適用条件として規定された個人属性に合致する場合にのみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。この場合、利用者は予め利用者端末に性別や年齢といった属性情報を登録しておく必要がある。そして、利用者端末は登録されている属性情報が制御情報の適用条件に合致する場合にのみ、ルールの再設定を行う。具体的に、制御情報の適用条件を「20代・女性」、変更内容を「コスメ情報を優先的に配信するルールに変更」と規定することで、20代の女性が多く集まる場所の利用者端末間ではコスメ情報が優先的にやり取りされることになる。よって、配信事業者は、化粧品など特定の商品を購買するターゲット層が多く集まる場所では、当該商品に関するコンテンツ情報を自動的に提供することが可能となり、宣伝効果及び販売促進効果を図ることができる。
適用条件のさらに他の例としては、表示ログに基づく利用者の嗜好が挙げられる。つまり、利用者端末は、適用条件として規定された嗜好に関する条件に対応するコンテンツ情報を表示している場合にのみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。この場合、利用者端末は、コンテンツ情報表示機能228が表示したコンテンツ情報のログを表示ログとして認識しておき、当該表示ログに基づいて利用者の嗜好情報を取得する必要がある。そして、利用者端末は取得した嗜好情報が適用条件に合致する場合にのみ、ルールの再設定を行う。具体的に、制御情報の適用条件を「映画に関するコンテンツ情報の表示」、変更内容を「映画情報を優先的に配信するルールに変更」と規定することで、映画に関するコンテンツ情報を頻繁に閲覧している利用者が多く集まる場所の利用者端末間では映画情報が優先的にやり取りされることになる。よって、配信事業者は、利用者の嗜好や興味に合致したコンテンツ情報を自動的に提供することが可能となる。
[コンテンツ情報配信処理]
次に、図9を参照して、上記流通システム100により実行される利用者端末間でのコンテンツ情報配信処理について説明する。図9は、コンテンツ情報配信処理のフローチャートである。
利用者端末20は、まず、通信可能エリア内に他の利用者端末が存在するか否かの検索である近隣検索を行う(ステップS1)。近隣に他の利用者端末が存在しない場合(ステップS2;NO)、利用者端末20は、存在するまで周期的に近隣検索を行う。一方、利用者の通信可能エリア内に他の利用者端末21が存在する場合(ステップS2:YES)、利用者端末20は、予め記憶してある流通ルールに基づいて、コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から最も配信優先順位の高いものを選択する(ステップS3)。そして、利用者端末20は、選択したコンテンツ情報を配信コンテンツ情報として通信可能エリア内に存在する他の利用者端末21へ配信する(ステップS4)。利用者端末21は、利用者端末20から配信コンテンツ情報としてコンテンツ情報を受信する(ステップS5)。そして、利用者端末21が、当該コンテンツ情報をコンテンツ情報領域に記憶することで、コンテンツ情報配信処理は完了する(ステップS6)。
このように、複数の利用者端末間で通信可能エリア内においてすれ違った他の利用者端末とコンテンツ情報の送受信を繰り返すことにより、P2P的にコンテンツ情報を流通させることが可能となる。また、各利用者端末に、他の利用者端末へどのようなコンテンツ情報を優先的に配信するかを示す配信優先順位を規定した流通ルールを設定することで、当該流通ルールにより流通システム全体の流通を制御することも可能となる。
[制御情報適用処理]
次に、図10を参照して、上記流通システム100により実行される制御情報適用処理について説明する。図10は、制御情報適用処理のフローチャートである。
利用者端末20は、まず、通信可能エリア内に存在する制御情報配信端末7から制御情報を受信する(ステップS11)。そして、利用者端末20は、当該制御情報を制御情報領域に記憶する(ステップS12)。さらに、利用者端末20は、流通ルール領域に記憶された流通ルールの中に、当該制御情報に規定された変更ルール条件に合致するものがあるか否かを判定する(ステップS13)。変更ルール条件に合致するものがない場合、利用者端末20は、ステップS16の処理へ進む。一方、変更ルール条件に合致するものがある場合、利用者端末20は、合致するルールに対し、当該制御情報に規定された変更内容を適用することで流通ルールの再設定を行う(ステップS14)。そして、利用者端末20は、再設定後の流通ルールを流通ルール領域に上書きして記憶する(ステップS15)。
次に、利用者端末20は、通信可能エリア内に他の利用者端末が存在するか否かの検索である近隣検索を行う(ステップS16)。近隣に他の利用者端末が存在しない場合(ステップS16;NO)、利用者端末20は、存在するまで周期的に近隣検索を行う。一方、利用者の通信可能エリア内に他の利用者端末21が存在する場合(ステップS16;YES)、利用者端末20は、流通ルール領域に記憶された流通ルールを抽出し、当該他の利用者端末21へ配信する(ステップS17)。即ち、制御情報に基づいて再設定された流通ルールを他の利用者端末21へ配信する。一方、流通ルールを受信した利用者端末21は、当該流通ルールを自身が保有する流通ルール領域に記憶する(ステップS18)。
また、利用者端末20は、流通ルール領域に記憶された流通ルールに基づいて、コンテンツ情報領域から他の利用者端末へ配信するコンテンツ情報を選択する(ステップS19)。即ち、制御情報に基づいて再設定された流通ルールに基づいてコンテンツ情報を選択する(ステップS20)。さらに、利用者端末20は、選択したコンテンツ情報を通信可能エリア内に存在する他の利用者端末21へ配信する(ステップS20)。そして、利用者端末21が、利用者端末20からコンテンツ情報を受信し、自身が保有するコンテンツ情報領域に記憶することで、制御情報適用処理は完了する(ステップS21)。
このように、制御情報は、各利用者端末に設定された流通ルールの再設定を行うため、制御情報が所定のエリアに伝播すると、そのエリア周辺では、制御情報に記述されたポリシーによって再設定された流通ルールに基づいてコンテンツ情報が流通することになる。つまり、制御情報に記述されたポリシーに基づいてコンテンツ情報が確率的に流通することになる。よって、流通システム100において、各利用者端末に流通ルールを設定し、制御情報を流通させることで、コンテンツ情報の流通を間接的にではあるが、動的制御することが可能となる。即ち、特定のエリアや時間に応じた自律的なコンテンツ情報の流通を実現することができる。
[制御情報配信処理]
次に、図11を参照して、上記流通システム100により実行される制御情報配信処理について説明する。図11は、制御情報配信処理のフローチャートである。
流通情報収集端末8は、まず、通信可能エリア内に存在する利用者端末20から流通情報を受信する(ステップS21)。そして、流通情報収集端末8は、理想流通量記憶領域から配信事業者が希望する理想流通量を抽出する(ステップS22)。さらに、流通情報収集端末8は、ステップS21において受信した流通情報を解析することにより、流通システム100におけるコンテンツ情報の現在の流通量や流通状況を表した解析情報を生成する(ステップS23)。そして、流通情報収集端末8は、生成した解析情報に基づいて、現在の流通量がステップS22において抽出した理想流通量の範囲に含まれているか否かを判定する(ステップS24)。現在の流通量が理想流通量の範囲に含まれている場合(ステップS24;YES)、流通情報収集端末8は、その旨の情報を制御情報配信端末7へ配信し、ステップS27の処理へ進む。一方、現在の流通量が理想流通量の範囲に含まれていない場合(ステップS24;NO)、流通情報収集端末8は、生成した解析情報を制御情報配信端末7へ配信する。
制御情報配信端末7は、流通情報収集端末8から解析情報を受信する(ステップS25)。そして、制御情報配信端末7は、当該解析情報に基づいて、それまでの流通ルールを、コンテンツ情報を理想流通量に近づける流通ルールに再設定するように規定された制御情報を生成する(ステップS26)。さらに、制御情報配信端末7は、生成した制御情報を通信可能エリア内に存在する利用者端末20へ配信する(ステップS27)。なお、ステップS24において現在の流通量が理想流通量の範囲内であると判定された場合には、制御情報配信端末7は、新たな制御情報ではなく、それまでの制御情報を利用者端末20へ配信する。そして、利用者端末20が制御情報を受信することにより、制御情報配信処理は完了する(ステップS28)。
このように、流通情報収集端末8は、配信事業者が流通させたいコンテンツ情報が流通システム100において適切に流通しているか否かを判定し、規定の流通量に達していない場合に、制御情報配信端末7は、当該コンテンツ情報を優先して流通させるための制御情報を生成し、配信する。これによれば、配信事業者の希望する流通量に達していない場合には、制御情報を配信し、各利用者端末に設定された流通ルールを再設定することで、優先して流通させるコンテンツ情報をリアルタイムで間接的に指定することが可能となる。よって、利用者端末に設定された流通ルールと、流通システム100において流通する制御情報により、コンテンツ情報の流通状況を制御することが可能となる。
なお、上記の実施形態では、制御情報配信端末7と流通情報収集端末8とを専用の端末としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の機能を併せ持つ端末、例えばアクセスポイント3と併用の端末とすることも可能である。
また、上記の実施形態では、流通情報収集端末8が生成した解析結果情報に基づいて制御情報配信端末7が制御情報を生成することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御情報配信端末7が制御情報DBに接続されており、コンテンツ情報の様々な流通形態をキーとしてそれに対応する制御情報を当該制御情報DBに記憶しておくことも可能ある。この場合、制御情報配信端末7は、解析結果情報に基づいて制御情報を生成するのではなく、解析結果情報に基づいて最も適切と思われる流通形態に対応する制御情報を制御情報DBから抽出し、利用者端末に配信することになる。
P2Pを利用したコンテンツ情報の流通システムでは、ある利用者端末によって配信されたコンテンツ情報が広く伝播する確率は、利用者端末間がすれ違う回数と、すれ違った際に配信可能な情報量に依存し、配信可能な情報量は、通信範囲内に2つの利用者端末が存在して通信を確立している時間と通信速度の積で表現される。そのため、通信範囲半径が狭く、通信速度が遅い通信方式を用いる場合には伝播確率が低くなり、広がるコンテンツ情報に偏りが生じる可能性が高くなる。つまり、1回の通信時に利用者端末がコンテンツ情報領域に記憶している全てのコンテンツ情報が交換できない場合、流通するコンテンツ情報はそれ違う際の配信順序に依存するため、伝播確率が低い場合、各利用者端末が優先的に配信したコンテンツ情報が有利となる。よって、本発明のように、流通ルールによって配信優先順序を規定し、制御情報によって当該配信優先順序を自由に変更可能とすることで、流通システムにおけるコンテンツ情報の流通状況をリアルタイムに、間接的且つ動的に制御することが可能となる。
[変形例]
上記の実施形態では、制御情報の適用条件として位置、日時、個人属性及び表示ログといった個別的な情報を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、利用者端末が存在する環境に関する総合的な情報であるプレゼンス情報を採用することも可能である。
ここで、プレゼンス情報について詳しく説明する。プレゼンス情報の具体的な例としては、位置、高度、場所属性情報(商店街が近い、飲食店が近い等)、気象情報、交通情報、周辺利用者端末の台数、周辺の無線通信環境(ノイズが多い等)などが考えられる。なお、プレゼンス情報は、原則として利用者端末によってマージや修正が行われない情報である。
プレゼンス情報は、プレゼンス情報を管理する所定のサーバが利用者端末の存在する位置などに基づいて、各アクセスポイント3を介して利用者端末へ配信している。また、プレゼンス情報は、有効期限内であれば、利用者端末間で流通するものである。
ここで、プレゼンス情報が有している有効期限について説明する。有効期限は、具体的には所定のサーバによるプレゼンス情報の発行時刻及び当該発行時刻からの有効時間、ホップ数などである。プレゼンス情報は、アクセスポイント3や他の利用者端末から提供される情報であり、利用者端末が、自身が存在する環境に関する情報と擬制するものであるため、有効期限を設けることで当該プレゼンス情報の流通範囲を限定することとしている。流通範囲、即ち地域的制限を設けることによるプレゼンス情報の信頼性を高めるためには、発行時刻からの有効時間を短くしたり、ホップ数を少なくしたりすることが考えられる。
このようなプレゼンス情報を適用条件とした場合、利用者端末は、自身が保有するプレゼンス情報が適用条件として規定された環境と合致する場合のみ、変更ルール条件と合致するルールを再設定することになる。具体的に、制御情報の適用条件を「温度が30度以上」、変更内容を「ビアガーデン情報を優先的に配信するルールに変更」と規定することで、30度以上の真夏日に利用者端末間ではビアガーデンに関する情報が優先的にやり取りされることになる。よって、配信事業者は、真夏日に外にいる利用者の要求に合ったビアガーデンに関する情報を自動的に提供することが可能となる。
本発明の流通システムによれば、コンテンツ情報の配信優先順序を規定した流通ルールと、当該流通ルールを動的に変更することが可能な制御情報とに基づいて、コンテンツ情報の流通状況をリアルタイムで間接的に制御することができる。
本発明における流通システムの概略構成を示す図である。 コンテンツ情報DBのデータ構造を模式的に示す図である。 図1に示す流通システムに含まれる利用者端末等の機能ブロック図である。 流通ルールのデータ構造を模式的に示す図である。 コンテンツ情報のデータ構造を模式的に示す図である。 コンテンツ情報を判別するための情報を示す表である。 配信回数を設定した場合におけるコンテンツ情報の配信制限について模式的に示す図である。 制御情報に基づいて流通ルールを再設定する際のデータ構造を模式的に示す図である。 本発明におけるコンテンツ情報配信処理のフローチャートである。 本発明における制御情報適用処理のフローチャートである。 本発明における制御情報配信処理のフローチャートである。
符号の説明
2…ネットワーク
3…アクセスポイント
4…コンテンツ情報サーバ
5…コンテンツ情報DB
7…制御情報配信端末
8…流通情報収集端末
20…利用者端末
21…利用者端末
100…流通システム

Claims (11)

  1. 情報を記憶するための記憶領域を備えており、他の利用者端末と通信可能な利用者端末であって、
    複数のコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段と、
    取得した前記コンテンツ情報を、前記記憶領域を構成するコンテンツ情報領域に記憶するコンテンツ情報記憶手段と、
    前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記他の利用者端末へ優先して配信するコンテンツ情報に関する条件を規定している流通ルールを取得する流通ルール取得手段と、
    前記流通ルールを、前記記憶領域を構成する流通ルール領域に記憶する流通ルール記憶手段と、
    前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記流通ルールに規定された条件に合致するコンテンツ情報を優先して他の利用者端末へ配信するコンテンツ情報配信手段と、
    前記流通ルールに対する制御を規定する制御情報を受信する制御情報受信手段と、
    前記制御情報を、前記記憶領域を構成する制御情報領域に記憶する制御情報記憶手段と、
    前記制御情報に基づいて、前記流通ルールの規定を再設定する流通ルール再設定手段と、
    前記流通ルール領域に記憶された流通ルールを、前記流通ルール再設定手段が再設定した流通ルールに更新する流通ルール更新手段と、
    前記制御情報領域に記憶された制御情報を、他の利用者端末に配信する制御情報配信手段と、を備えることを特徴とする利用者端末。
  2. 前記流通ルールは、複数のルールから構成されており、
    前記制御情報は、前記流通ルールの中で変更する変更ルール条件とその変更内容を規定するものであって、
    前記利用者端末は、
    前記流通ルール領域に記憶された流通ルールに含まれるルールの中に、前記制御情報が規定する変更ルール条件に合致するルールがあるか否かを判定するルール判定手段をさらに備え、
    前記流通ルール再設定手段は、前記ルール判定手段が前記変更ルール条件に合致するルールがあると判定した場合に、前記変更ルールを前記変更内容に基づいて変更することにより、前記流通ルールの規定を再設定することを特徴とする請求項1に記載の利用者端末。
  3. 前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、前記利用者端末の位置に関する条件を規定しており、
    前記利用者端末は、
    当該利用者端末が存在する位置に関する位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
    前記流通ルール再設定手段は、前記位置情報が前記適用条件として規定された位置に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の利用者端末。
  4. 前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、日時に関する条件を規定しており、
    前記利用者端末は、
    日時に関する時間情報を取得する時間情報取得手段をさらに備え、
    前記流通ルール再設定手段は、前記時間情報が前記適用条件として規定された日時に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の利用者端末。
  5. 前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、前記利用者端末を使用する利用者に関する条件を規定しており、
    前記利用者端末は、
    前記利用者に関する属性情報を取得する属性情報取得手段をさらに備え、
    前記流通ルール再設定手段は、前記属性情報が前記適用条件として規定された利用者に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の利用者端末。
  6. 前記利用者端末は、情報を表示するための表示部を備え、
    前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、利用者の嗜好に関する条件を規定しており、
    操作信号に基づいて、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報から抽出した特定のコンテンツ情報を前記表示部に表示する表示手段と、
    前記表示手段が表示したコンテンツ情報に関するログを分析することにより、前記利用者の嗜好に関する嗜好情報を取得する嗜好情報取得手段をさらに備え、
    前記流通ルール再設定手段は、前記嗜好情報が前記適用条件として規定された利用者の嗜好に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の利用者端末。
  7. 前記制御情報は、前記流通ルールを再設定する場合の適用条件として、前記利用者端末が存在する環境に関する条件を規定しており、
    前記利用者端末は、前記利用者端末が存在する環境に関するプレゼンス情報を取得するプレゼンス情報取得手段と、
    前記流通ルール再設定手段は、前記プレゼンス情報が前記適用条件として規定された環境に関する条件に合致する場合にのみ、前記制御情報に基づいて前記流通ルールの規定を再設定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の利用者端末。
  8. 前記利用者端末は、前記制御情報を配信する配信端末と通信可能であって、
    前記コンテンツ情報配信手段が配信したコンテンツ情報、前記コンテンツ情報記憶手段が記憶したコンテンツ情報、及び、前記コンテンツ情報取得手段が取得したコンテンツ情報のいずれか1つ以上に基づいて、前記コンテンツ情報の流通に関する流通情報を生成する流通情報生成手段と、
    前記流通情報生成手段が生成した流通情報を、前記配信端末へ配信する流通情報配信手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の利用者端末。
  9. 情報を記憶するための記憶領域を備えており、他のコンピュータと通信可能なコンピュータにより実行されるプログラムであって、
    複数のコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段、
    取得した前記コンテンツ情報を、前記記憶領域を構成するコンテンツ情報領域に記憶するコンテンツ情報記憶手段、
    前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記他のコンピュータへ優先して配信するコンテンツ情報に関する条件を規定している流通ルールを取得する流通ルール取得手段、
    前記流通ルールを、前記記憶領域を構成する流通ルール領域に記憶する流通ルール記憶手段、
    前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記流通ルールに規定された条件に合致するコンテンツ情報を優先して他のコンピュータへ配信するコンテンツ情報配信手段、
    前記流通ルールに対する制御を規定する制御情報を受信する制御情報受信手段、
    前記制御情報を、前記記憶領域を構成する制御情報領域に記憶する制御情報記憶手段、
    前記制御情報に基づいて、前記流通ルールの規定を再設定する流通ルール再設定手段、
    前記流通ルール領域に記憶された流通ルールを、前記流通ルール再設定手段が再設定し
    た流通ルールに更新する流通ルール更新手段、
    前記制御情報領域に記憶された制御情報を、他のコンピュータに配信する制御情報配信手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
  10. 相互に通信可能な利用者端末及び配信端末を使用する流通システムであって、
    前記利用者端末は、
    情報を記憶するための記憶領域を保有しており、
    複数のコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段と、
    取得した前記コンテンツ情報を、前記記憶領域を構成するコンテンツ情報領域に記憶するコンテンツ情報記憶手段と、
    前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記他の利用者端末へ優先して配信するコンテンツ情報に関する条件を規定している流通ルールを取得する流通ルール取得手段と、
    前記流通ルールを、前記記憶領域を構成する流通ルール領域に記憶する流通ルール記憶手段と、
    前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記流通ルールに規定された条件に合致するコンテンツ情報を優先して他の利用者端末へ配信するコンテンツ情報配信手段と、
    前記流通ルールに対する制御を規定する制御情報を受信する制御情報受信手段と、
    前記制御情報を、前記記憶領域を構成する制御情報領域に記憶する制御情報記憶手段と、
    前記制御情報に基づいて、前記流通ルールの規定を再設定する流通ルール再設定手段と、
    前記流通ルール領域に記憶された流通ルールを、前記流通ルール再設定手段が再設定した流通ルールに更新する流通ルール更新手段と、
    前記制御情報領域に記憶された制御情報を、他の利用者端末に配信する制御情報配信手段と、を備え、
    前記配信端末は、
    前記コンテンツ情報に関する複数の流通形態に対応付けて、前記制御情報を記憶する制御情報記憶手段と、
    特定の流通形態に基づいて前記制御情報記憶手段から抽出した制御情報を、前記利用者端末へ配信する制御情報配信手段と、を備えることを特徴とする流通システム。
  11. 相互に通信可能な利用者端末及び配信端末を使用する流通システムであって、
    前記利用者端末は、
    情報を記憶するための記憶領域を保有しており、
    複数のコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段と、
    取得した前記コンテンツ情報を、前記記憶領域を構成するコンテンツ情報領域に記憶するコンテンツ情報記憶手段と、
    前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報の中から、前記他の利用者端末へ優先して配信するコンテンツ情報に関する条件を規定している流通ルールを取得する流通ルール取得手段と、
    前記流通ルールを、前記記憶領域を構成する流通ルール領域に記憶する流通ルール記憶手段と、
    前記流通ルールに基づいて、前記コンテンツ情報領域に記憶されたコンテンツ情報を他の利用者端末へ配信するコンテンツ情報配信手段と、
    前記流通ルールに対する制御を規定する制御情報を受信する制御情報受信手段と、
    前記制御情報を、前記記憶領域を構成する制御情報領域に記憶する制御情報記憶手段と、
    前記制御情報に基づいて、前記流通ルールの規定を再設定する流通ルール再設定手段と、
    前記流通ルール領域に記憶された流通ルールを、前記流通ルール再設定手段が再設定した流通ルールに更新する流通ルール更新手段と、
    前記制御情報領域に記憶された制御情報を、他の利用者端末に配信する制御情報配信手段と、
    前記コンテンツ情報配信手段が配信したコンテンツ情報、前記コンテンツ情報記憶手段が記憶したコンテンツ情報、及び、前記コンテンツ情報取得手段が取得したコンテンツ情報のいずれか1つ以上に基づいて、前記コンテンツ情報の流通に関する流通情報を生成する流通情報生成手段と、
    前記流通情報生成手段が生成した流通情報を、前記配信端末へ配信する流通情報配信手段と、を備え、
    前記配信端末は、
    前記コンテンツ情報の理想的な流通量を理想流通量として記憶する理想流通量記憶手段と、
    前記利用者端末から、前記コンテンツ情報の流通に関する流通情報を受信する流通情報受信手段と、
    前記流通情報に基づいて、前記コンテンツ情報の現在の流通量を解析する解析手段と、
    前記解析手段が解析した現在の流通量と、前記理想流通量記憶手段に記憶された理想流通量とに基づいて、前記制御情報を生成する制御情報生成手段と、
    前記制御情報生成手段が生成した制御情報を、前記利用者端末へ配信する制御情報配信手段と、を備えることを特徴とする流通システム。
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