JP4446638B2 - 内燃機関のシリンダヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダヘッドに関し、詳細には、機関弁を開閉作動させるべく摺接するカムに従動して往復動するバルブリフタを保持するリフタホルダを備える動弁機構を収容する動弁室を形成する鋳造されたシリンダヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシリンダヘッドとして、特開平11−270403号公報に開示されたものがある。このDOHCエンジンのシリンダヘッドでは、カムにより昇降されるバルブリフタの昇降動作をガイドするバルブリフタガイドの一部を含むシリンダヘッド上部の母材形状が、上方に向かって鋳造時の抜け勾配を有する形状とされ、これによりバルブリフタの一部を含むシリンダヘッド上部の母材形状を形成する際に、中子が不要となる。さらに、バルブリフタガイドの内壁を円筒状に切削加工してバルブリフタの昇降のためのチャンバを形成することにより、バルブリフタガイドの下部が削り取られてチャンバとその外部とを連通させる換気孔が形成される。そして、該換気孔を通じてバルブリフタの下降によって圧縮された空気やカムシャフトやバルブリフタを潤滑したオイルが、チャンバからその外部に排出される。また、バルブリフタガイドの内壁を円筒状に切削加工して換気孔を形成する代わりに、複数のバルブリフタガイドの下部に、クランク軸に沿って貫通するように貫通孔が切削加工により形成され、該貫通孔を通じて空気やオイルが排出されることも開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術において、バルブリフタガイドの内壁(内面)を形成する切削加工により換気孔を形成するものでは、回転するカムがバルブリフタガイドに加わる力を主として受け止めるバルブリフタガイドの壁である、バルブリフタの中心を通りカム軸に直交する方向でのバルブリフタガイドの壁に換気孔が形成されるため、バルブリフタガイドの剛性が低下する難点があり、さらにバルブリフタガイドの外壁を、その上部ではバルブリフタの往復動の方向に沿うように、その下部では吸気弁(または排気弁)の中心軸に近づくように、すなわちシリンダ軸線の方向に沿うように形成する必要があって、バルブリフタガイドの外壁の形状、壁の肉厚さらにはシリンダ軸線に対する傾斜角度に制約が生じて、バルブリフタガイドの設計の自由度が小さくなる傾向があった。また、クランク軸に沿う貫通孔を形成するものでは、バルブリフタガイドの内壁(内面)の切削加工のほかに、さらに該貫通孔を形成するための切削加工が必要となる結果、加工工数が増えて、コストも高くなっていた。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜請求項4記載の発明は、型抜きのみで上部構造が成形される鋳造された内燃機関のシリンダヘッドにおいて、オイルの流通路を有するリフタホルダの成形を容易にすると共に、リフタホルダの所要の剛性を確保することを目的とする。そして、請求項2および請求項4記載の発明は、さらに、リフタホルダの剛性を高めることを目的とし、請求項3記載の発明は、さらに、シリンダヘッドを小型化し、ヘッドボルトの挿通孔の形成を容易にすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、回転駆動されるカム軸に設けられたカムと、機関弁を開閉作動させるべく摺接する前記カムに従動して往復動するバルブリフタと、該バルブリフタを摺動自在に保持する側壁を有すると共に該バルブリフタを収容する収容空間を形成するリフタホルダとを備える動弁機構を収容する動弁室を形成する上部構造を有する鋳造されたシリンダヘッドであって、該上部構造は鋳造時の抜け勾配を有し、該上部構造の一部を構成して前記シリンダヘッドと一体成形された前記リフタホルダは前記抜け勾配を有し、前記バルブリフタが摺接する前記側壁は機械加工が施された内面を有する内燃機関のシリンダヘッドにおいて、前記リフタホルダには、前記収容空間とその外部の前記動弁室との間でオイルを流通させる1対の切欠部が、前記リフタホルダの前記側壁の上端面を分断する形態で前記鋳造により形成され、前記切欠部の輪郭を規定する前記側壁の側端面は前記抜け勾配を有し、前記切欠部は、前記バルブリフタの中心を通りかつ前記カム軸の回転軸線に直交する仮想平面と交差する位置を避けて設けられることを特徴とする内燃機関のシリンダヘッドである。
【0006】
これにより、動弁室を形成するシリンダヘッドの上部構造は、型抜きのみで成形されるように、抜け勾配を有するため、シリンダヘッドの鋳造の際に、該上部構造を成形するための中子が不要になる。回転するカムがバルブリフタに加える力は、カムの回転方向で、かつ仮想平面とほぼ平行な向きであり、その結果、その力を受けるバルブリフタが側壁に加える力は、仮想平面と交差する位置にあって切欠部が形成されない側壁により受け止められる。
【0007】
それゆえ、この請求項1記載の発明によれば次の効果が奏される。すなわち、シリンダヘッドと一体成形されるリフタホルダが抜け勾配を有することにより、さらにオイルを流通させる切欠部が、側壁の上端面を分断する形態で、切欠部の輪郭を規定する側壁の側端面が抜け勾配を有するようにリフタホルダに形成されることにより、切欠部がシリンダヘッドを鋳造する際の型抜きのみで形成されるので、リフタホルダの収容空間とその外部の動弁室との間でのオイルの流通路を形成するための加工工数が削減されて、該流通路を有するリフタホルダを、容易に、しかも低コストで形成することができ、そのうえ側壁の肉厚やシリンダ軸線に対する側壁の傾斜角度などに制約を生じさせることもないことから、リフタホルダの設計の自由度が大きくなる。また、切欠部が、仮想平面と交差する位置を避けて設けられることにより、仮想平面と交差する位置には切欠部がない側壁が設けられるので、バルブリフタから受ける力が大きい箇所である仮想平面と交差する位置での側壁の剛性を確保したうえで、切欠部が形成されることによりリフタホルダを軽量化することができる。そして、リフタホルダの軽量化により、シリンダヘッドが軽量化される。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関のシリンダヘッドにおいて、前記側壁の前記抜け勾配を有する外面には、前記仮想平面に沿うと共に前記抜け勾配を有するリブが形成されているものである。
【0009】
これにより、回転するカムがバルブリフタに加える力により、バルブリフタから最も大きな力を受ける側壁が、リブにより補強される。それゆえ、この請求項2記載の発明によれば請求項1記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、外面には、仮想平面に沿うと共に抜け勾配を有するリブが形成されていることにより、回転するカムがバルブリフタに加える力により、バルブリフタから大きな力を受ける側壁の剛性を高めることができるうえ、リブ自体およびリブが形成されるリフタホルダの外面が、いずれも抜け勾配を有することにより、型抜きのみでリブを容易に形成することができると共に、必要に応じて多様な形状のリブを容易に形成することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の内燃機関のシリンダヘッドにおいて、前記シリンダヘッドには、該シリンダヘッドをシリンダに締結するヘッドボルトが挿通される挿通孔が形成され、該挿通孔は、前記ヘッドボルトの締結方向から見て、前記切欠部と重なるものである。
【0011】
これにより、切欠部が形成されるスペースを利用してヘッドボルトの挿通孔が形成される。それゆえ、この請求項3記載の発明によれば引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、ヘッドボルトの挿通孔が、ヘッドボルトの締結方向から見て切欠部と重なるように形成されることにより、切欠部が形成されるスペースを利用して挿通孔が形成されるので、リフタホルダと挿通孔とを近接させて設けることができて、シリンダヘッドを小型化することができるうえ、リフタホルダと挿通孔が重なるにも拘わらず、切欠部に挿通孔が形成されるので、挿通孔の加工が容易であり、またヘッドボルトの締付け工具の移動も切欠部を利用することで容易になる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関のシリンダヘッドにおいて、前記上部構造の一部を構成して前記抜け勾配を有すると共に前記カム軸を回転自在に支持するカムホルダが、前記側壁を兼ねて前記シリンダヘッドと一体成形され、前記切欠部は、前記リフタホルダにおいて前記仮想平面に対して前記カムホルダとは反対側に位置するものである。
【0013】
これにより、カムホルダにより補強されたリフタホルダにおいて、切欠部の形成位置およびオイルの流通機能がカムホルダにより制約を受けることが少なくなる。それゆえ、この請求項4記載の発明によれば引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、カムホルダがリフタホルダの側壁を兼ねることにより、リフタホルダがカムホルダにより補強されて、その剛性が高められると共に、切欠部が仮想平面に対してカムホルダとは反対側に位置することにより、切欠部の形成位置およびオイルの流通機能がカムホルダにより制約を受けることが少なくなり、オイル流通の観点およびリフタホルダの軽量化の観点から、好適な切欠部を形成することができる。そのうえ、カムホルダも上部構造の一部を構成して抜け勾配を有することにより、シリンダヘッドを鋳造する際の型抜きのみで、一体化されたリフタホルダおよびカムホルダを容易に、しかも低コストで形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1〜図8を参照して説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施例を示すものである。図1を参照すると、内燃機関Eは、車両に搭載される直列4気筒の水冷式内燃機関であり、4つのシリンダ2(図1にはそのうちの1つのシリンダ2が示されている。)を有するシリンダブロック1の上端面に、シリンダヘッド3が結合され、シリンダヘッド3の上端面にはヘッドカバー4が結合される。シリンダブロック1の各シリンダ2のシリンダ孔2aにはピストン(図示されず)が往復動自在に嵌合され、それらピストンは、コンロッド(図示されず)を介して、シリンダブロック1に回転自在に支持されたクランク軸(図示されず)を回転駆動する。
【0015】
シリンダヘッド3の上壁であるアッパデッキ3aよりも下方には、各シリンダ孔2aに対向して位置する凹部により形成される燃焼室5と、燃焼室5に1対の吸気弁口6aで連通し、シリンダヘッド3の一方の側壁3bの側面で吸気マニホルドに連通する吸気ポート6と、燃焼室5に1対の排気弁口(図示されず)で連通し、シリンダヘッド3の他方の側壁3cの側面で排気マニホルドに連通する排気ポート7とが形成され、さらに燃焼室5のほぼ中央部に臨む点火栓8が螺合される。
【0016】
シリンダヘッド3は、アルミニウム合金等の軽金属を成形材料として鋳造により成形され、そのうちアッパデッキ3aの上部に成形される上部構造は、中子を使用することなく、シリンダ軸線L1の方向A1で上方への型抜きのみにより成形されるように、前記上部構造を構成する構成部分において、該構成部分の表面が型抜き方向A0と略平行になるなど、型抜きのみで該構成部分を成形するうえで、必要な表面には抜け勾配が付けられる。前記構成部分は、後述するように下部挿入筒17a、ホルダ取付部25,26、リフタホルダ30などである。
【0017】
各燃焼室5の1対の吸気弁口6aは、機関弁としての1対の吸気弁9によりそれぞれ開閉される。各吸気弁9の弁ステム9aは、アッパデッキ3aと一体成形される後述する底壁32に切削加工により形成された貫通孔11に圧入により固定される円筒状の弁ガイド12に、吸気弁口6aの軸線L2INと同軸となるように摺動自在に嵌合され、吸気弁9を閉弁方向に付勢する弁バネ13が、該弁ステム9aの先端部に設けられて後述するバルブリフタ22内に収容される上部リテーナ14と、底壁32の平面状の壁面32aに、後述する収容空間31内で載置される下部リテーナ15との間に設けられる。また、各燃焼室5の前記1対の排気弁口は、機関弁としての1対の排気弁10によりそれぞれ開閉される。そして、排気弁10の弁ステム10aが排気弁口の軸線L2EXと同軸となるように弁ガイド12に摺動自在に嵌合されること、および排気弁10を閉弁方向に付勢する弁バネ13が上部リテーナ14と下部リテーナ15との間に設けられることは、吸気弁9と同様である。また、吸気弁9と排気弁10とは、所定の挟み角を形成するように、後述する回転軸線方向A3から見て、シリンダ軸線L1に対して所定の角度でそれぞれ傾斜している。
【0018】
シリンダヘッド3の前記上部構造およびヘッドカバー4により形成される動弁室16には、各吸気弁9を開閉駆動する吸気側動弁機構VINと、各排気弁10を開閉駆動する排気側動弁機構VEXとが収容される。
【0019】
図2を併せて参照すると、動弁室16内にあって、シリンダヘッド3には、各燃焼室5のほぼ中央部に対応する部分で吸気側動弁機構VINおよび排気側動弁機構VEXの間に、円筒状の下部挿入筒17aがシリンダ軸線L1に沿ってアッパデッキ3aの下方から上方に延びて成形され、アッパデッキ3aよりも上方の下部挿入筒17aの外面および内面は抜け勾配を有する。一方、ヘッドカバー4には、シリンダヘッド3にヘッドカバー4が結合されたとき、下部挿入筒17aの上端面に整合する位置に、円筒状の上部挿入筒17bが形成され、下部および上部挿入筒17a,17bにより構成される挿入筒17に点火栓8が挿入される。
【0020】
吸気側動弁機構VINは、前記クランク軸の回転軸線と平行な回転軸線L3INを有するようにシリンダヘッド3に回転自在に支持された吸気カム軸20INと、各吸気弁9に対応して吸気カム軸20INに設けられた吸気カム21INと、吸気カム21INと吸気弁9との間に設けられて、頂壁22aINで一端が閉塞される閉塞端を有する円筒状のバルブリフタ22INと、シリンダヘッド3に一体成形されてバルブリフタ22INを摺動自在に保持すると共にバルブリフタ22INを収容する収容空間31INを形成するリフタホルダ30INとを備える。排気側動弁機構VEXは、回転軸線L3INに平行な回転軸線L3EXを有する排気カム軸20EXに設けられた排気カム21EXなど基本的に吸気側動弁機構VINと同様の構造を有しているので、以下の説明では、必要に応じて排気側動弁機構VEXの構造を援用しつつ、主に吸気側動弁機構VINについて説明する。なお、両動弁機構VIN,VEXの構成部材および関連部材に対して、区別を要しない場合は同一符号を使用し、区別を要する場合は、吸気側の部材については添字「IN」を付し、排気側の部材については添字「EX」を付した。
【0021】
伝動機構(図示されず)を介して伝達される前記クランク軸の動力により、図1で矢印の回転方向に、該クランク軸の1/2の回転数で回転駆動されるカム軸20は、それぞれ、回転軸線方向A3でのシリンダヘッド3の両端部にそれぞれ配置された1対の端部カムホルダ23と、回転軸線方向A3で隣接するシリンダ孔2aの間に配置される3つの中間カムホルダ24とにより、シリンダヘッド3に回転自在に支持される。各カムホルダ23,24は、下部および上部ホルダとからなり、各カム軸20が上部ホルダおよび下部ホルダで形成される軸受部に挟持された状態でボルトによりシリンダヘッド3に締結される。具体的には、各端部カムホルダ23では、シリンダヘッド3に一体成形された両カム軸20側の2つのホルダ取付部25のボス25a(図2には1つのみ示されている)のネジ孔25bに、下部ホルダ(図示されず)と上部ホルダ23bとに挿通されるボルトB1が螺合し、中央のホルダ取付部(図示されず)のボス(図示されず)のネジ孔に、上部ホルダ23bに挿通されるボルトB2が螺合する。また、各中間カムホルダ24では、シリンダヘッド3に一体成形された各ホルダ取付部26の1対のボス26aのネジ孔26bに、下部ホルダ24aと上部ホルダ24b(図1参照)とに挿通されるボルトB3が螺合する。そして、これらホルダ取付部25,26は、前記上部構造の一部を構成するもので、所要の表面に抜き勾配が付けられている。
【0022】
ホルダ取付部25のボス25aに隣接して成形された凹部25c、および各ホルダ取付部26の1対のボス26aの間に形成された凹部26cに形成された挿通孔27は、ヘッドボルト28の頭部を収容可能な大径部27aとヘッドボルト28の軸部が挿通される小径部(図示されず)とを有し、該挿通孔27に挿通されるヘッドボルト28がシリンダブロック1のネジ孔に螺合することで、シリンダヘッド3がシリンダブロック1に締結される。
【0023】
バルブリフタ22INの頂壁22aINの外面には吸気カム軸20INと一体に回転する吸気カム21INが摺接し、バルブリフタ22INの頂壁22aINの内側では、吸気弁9がバルブリフタ22INと一体に往復動するように、弁ステム9aの先端部が、頂壁22aINに嵌め込まれたシムに当接する。そして、吸気カム21INのカムプロフィルに対応して、バルブリフタ22INがリフタホルダ30INの収容空間31IN内で軸線L2INの方向A2INに往復動し(図1参照)、吸気弁9が、開閉方向としての該軸線方向A2INに往復動して吸気弁口6aが開閉される。この構造は、排気カム21EXが摺接するバルブリフタ22EXを介して、軸線L2EXの方向A2EXに往復動させられる排気弁10についても同様である。
【0024】
各リフタホルダ30は、アッパデッキ3aの上部にシリンダヘッド3と共に鋳造により一体成形される。そして、これらリフタホルダ30は、前記上部構造の一部を構成し、シリンダ軸線方向A1で上方への型抜きのみにより成形されるように、後述する所要の表面が抜け勾配を有する。
【0025】
ここで、図1,図2に加えて、鋳造されたリフタホルダ30の素材30´の部分概略斜視図である図3および該素材30´に機械加工としての切削加工を施した後の部分概略斜視図である図4を併せて参照して、リフタホルダ30について説明する。吸気弁9および排気弁10がシリンダ軸線L1に対して傾斜していることに対応して、燃焼室5からカム軸20に向かってシリンダ軸線L1から離れるように傾斜している各リフタホルダ30は、底壁32と、底壁32に連なると共に軸線方向A2に沿ってカム軸20に向かって延びる1対の側壁33,34とを有し、これら壁33,34によりバルブリフタ22を収容する収容空間31が形成される。各側壁33,34の表面は、型抜き方向A0への型抜きのみにより成形されるように、抜け勾配を有する。すなわち、図3に示されるように、素材30´においては、各側壁33´,34´の外面33´a,34´aおよび内面33´b,34´bは抜け勾配を有する。そのため、各側壁33´,34´は、その上端面33´c,34´cから底壁32(またはアッパデッキ3a)に近づくほど厚肉となっている。
【0026】
そのうち、側壁33´の内面33´b側には切削加工が施こされて、図4に示されるように、バルブリフタ22が摺接する内面33bが、軸線L2を中心線とする円柱面に成形され、さらに底壁32には、切削加工により弁ガイド12が圧入される貫通孔11が形成される。図3を参照すると、傾斜するリフタホルダ30´の上部に位置する側壁33´の外面33´aには側壁33´を補強するリブ35´が成形され、リブ35´の表面は抜き勾配を有し、仕上げ加工が施されることなく、そのまま仕上がり状態の側壁33の外面33aおよびリブ35になる。
【0027】
一方、側壁34´の外面34´aおよび内面34´bは、仕上げ加工が施されることなく、そのまま仕上がり状態の側壁34の外面34aおよび内面34bになる。なお、側壁34´の内面34´bは、バルブリフタ22が円滑に摺動できるようにするため、必要に応じて、側壁33´の内面33´bと共に研磨加工が施されてもよい。さらに、傾斜するリフタホルダ30の下部に位置する側壁34は、底壁32に近づくほど厚肉(肉厚が大)となるため、その内面34b側には、バルブリフタ22からの力を受け止めるのに必要な側壁34の剛性を確保したうえで、軽量化のために、バルブリフタ22が摺接する内面34bの上部34b1および周方向部分34b2(図2も参照)を残して、底壁32の壁面32aに達する肉抜き部36が型抜きにより成形される。なお、周方向とは、軸線L2を中心線としたとき、軸線方向A2から見たときの周方向を意味し、以下、単に「周方向」という。
【0028】
図1〜図4を参照すると、両側壁33,34の間には、側壁33,34をその上端面33c,34cから底壁32の壁面32aに至る範囲で分断する形態で、1対の切欠部37,38が、前記上部構造を成形するための鋳造の型抜きにより形成される。それゆえ、図3に示されるように、素材30´において、各切欠部37,38の輪郭を規定する両側壁33´,34´の周方向での側端面33´d,34´dは、図3に示されるように抜け勾配を有しおり、この抜け勾配が、そのまま仕上がり状態の側壁33,34の側端面33d,34dになる。そして、各切欠部37,38は、上端面33c,34cおよび壁面32aにおいて、それぞれ周方向での所定の間隔を形成して側壁33,34を分断しており、さらに図1,図2,図4に示されるように、底壁32の壁面32aは、各切欠部37,38を介してアッパデッキ3aの上面に、段差を有することなく傾斜面32bおよび同一の高さで滑らかに連続している。
【0029】
そして、1対の切欠部37,38は、図2にも示されるように、回転軸線方向A3に開放すると共に回転軸線方向A3で対向する位置にあり、収容空間31とその外部となる動弁室16との間でオイルの流通を可能とするオイルの流通路を構成する。そして、これら切欠部37,38を通じて、収容空間31のオイルが動弁室16に排出されるほかに、収容空間31の換気も行われる。さらに、切欠部37,38は、両動弁機構VIN,VEX、吸気弁9および排気弁10の摺動部を潤滑するために動弁室16に供給されたオイルが、該摺動部を潤滑した後、内燃機関Eのオイルパンに戻るように、該オイルパンに連通する戻り通路の動弁室16内での開口部にオイルを導くための流路の一部ともなる。なお、前記戻り通路の動弁室16内での開口部にオイルを導く流路の別の一部は、ホルダ取付部25,26の凹部25c,26cを利用して形成される。
【0030】
さらに、図2に示されるように、各ホルダ取付部25,26に凹部25c,26cに形成された挿通孔27の大径部27aは、切欠部37,38の形成範囲の底壁32を切り欠いて形成されており、ヘッドボルト28の締結方向から見て、該挿通孔27の大径部27aが切欠部37,38と重なるように形成される。
【0031】
図1,図2を参照すると、切欠部37,38により分断された1対の側壁33,34は、バルブリフタ22の中心(頂壁22aの外面と軸線L2との交点)を通りかつカム軸20の回転軸線L3に直交する仮想平面Pと交差する位置に、バルブリフタ22を挟んで、かつ側壁33,34の上端面33c,34cから底壁32まで連続するように形成されている。したがって、切欠部37,38は、リフタホルダ30において仮想平面Pと交差する位置を避けた位置に設けられる。なお、仮想平面Pは、リフタホルダ30の中心線でもある軸線L2を含みかつ回転軸線L3に直交する平面でもある。そして、両側壁33,34は、周方向において、それぞれ設定された周方向長さを有する。この周方向長さは、摺接するカム21により力を受けるバルブリフタ22からの力を受け止めるための剛性を確保する観点、また切欠部37,38や肉抜き部36の形成によるバルブリフタ22の軽量化の観点、切削加工の容易性の観点などから適宜設定される。
【0032】
そこで、この実施例では、シリンダ軸線L1に近い側壁33は、カム21の回転軸線方向A3での幅とほぼ等しい幅となる周方向長さを有し、シリンダ軸線L1から遠い側壁34よりも短い周方向長さを有する。そして、底壁32に近づくほど厚肉となる側壁34とは異なり、切削加工が施されて、上端面33cから底壁32に向かって、すなわち軸線方向A2にほぼ均一の肉厚を有する側壁33には、その剛性を高めるために、その外面33aには、仮想平面Pに沿うと共に抜け勾配を有するリブ35が、外面33aから突出して、外面33aの回転軸線方向A3での中央部で上端面33cから底壁32まで、仮想平面Pと交差して延びて形成されている。
【0033】
さらに、図2に示されるように、各シリンダ2の1対のリフタホルダ30の側壁33,34間には、シリンダ軸線方向A1から見て、シリンダ軸線L1または下部挿入筒17aに近づくほど、下部挿入筒17aの一部を受け入れることができる程度に末広がりとなる凹所39が形成される。
【0034】
ところで、回転するカム21がバルブリフタ22に加える力は、それらカム21の回転方向で、かつ仮想平面Pとほぼ平行な向きであり、その結果、その力を受けるバルブリフタ22が側壁33,34に加える力は、仮想平面Pと交差する位置にある両側壁33,34により効果的に受け止められる。そして、この実施例では、これらカム21がバルブリフタ22に加える力に起因して、バルブリフタ22が側壁33,34に加える力の大部分は、排気側動弁機構VEXのリフタホルダ30EXでは側壁33により受け止められ、吸気側動弁機構VINのリフタホルダ30INでは側壁34により受け止められる。
【0035】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
【0036】
動弁室16を形成するシリンダヘッド3の前記上部構造は、型抜きのみで成形されるように、抜け勾配を有するため、シリンダヘッド3を鋳造する際に、該上部構造を成形するための中子が不要になるのでコストが削減される。また、回転するカム21がバルブリフタ22に加える力は、各カム21の回転方向で、かつ仮想平面Pとほぼ平行な向きであり、その結果、その力を受けるバルブリフタ22が側壁33,34に加える力は、仮想平面Pと交差する位置に対向して位置すると共に、上端面33c,34cから底壁32まで連続する側壁33,34により受け止められる。
【0037】
このように、シリンダヘッド3と一体成形されるリフタホルダ30が抜け勾配を有することにより、さらにオイルの流通路を構成する切欠部37,38が、側壁33,34の上端面33c,34cを分断する形態で、切欠部37,38の輪郭を規定する側壁33,34の側端面33d,34dが抜け勾配を有するようにリフタホルダ30に形成されることにより、切欠部37,38がシリンダヘッド3を鋳造する際の型抜きのみで形成されるので、リフタホルダ30の収容空間31とその外部の動弁室16との間でのオイルの流通路を形成するための加工工数が削減されて、該流通路を有するリフタホルダ30を、容易に、しかも低コストで形成することができ、そのうえ側壁33,34の肉厚やシリンダ軸線L1に対する側壁33,34の傾斜角度などに制約を生じさせることもないことから、リフタホルダ30の設計の自由度が大きくなる。また、切欠部37,38が、仮想平面Pと交差する位置を避けて設けられることにより、仮想平面Pと交差する位置には切欠部37,38がない側壁33,34が設けられるので、バルブリフタ22から受ける力が最も大きい箇所である仮想平面Pと交差する位置での側壁33,34の剛性を確保したうえで、切欠部37,38が形成されることによりリフタホルダ30を軽量化することができる。そして、リフタホルダ30の軽量化により、シリンダヘッド3が軽量化される。
【0038】
各切欠部37,38が、側壁33,34をその上端面33c,34cから底壁32の壁面32aに至る範囲で分断する形態で、形成され、しかも上端面33c,34cおよび壁面32aにおいて、それぞれ周方向での所定の間隔を形成して側壁33,34を分断していることにより、切欠部37,38を通じてのオイルの流通がスムーズに行われる。しかも、底壁32の壁面32aが、各切欠部37,38を介してアッパデッキ3aの上面に、段差を有することなく傾斜面32bおよび同一の高さで滑らかに連続していることにより、切欠部37,38を通じて収容空間31を経由するオイルの流出入がスムーズになるので、動弁室16での両動弁機構VIN,VEX、吸気弁9および排気弁10の摺動部を潤滑した後のオイルを、前記オイルパンに戻す戻り通路の動弁室16内での開口部にオイルを導くための流路としても利用できて、動弁室16でのオイルの流動性が向上する。
【0039】
リフタホルダ30の側壁33の外面33aには、仮想平面Pに沿うと共に抜け勾配を有するリブ35が形成されていることにより、カム21がバルブリフタ22に加える力により、バルブリフタ22から大きな力を受ける側壁33がリブ35により補強されるので、側壁33の剛性を高めることができるうえ、リブ35自体およびリブ35が形成されるリフタホルダ30の外面33aが、いずれも抜け勾配を有することにより、型抜きのみでリブ35を容易に形成することができると共に、必要に応じて多様な形状のリブ35を容易に形成することができる。しかも、リブ35は、側壁33においてバルブリフタ22から受ける力が最も大きい箇所である仮想平面Pと交差する位置に設けられることにより、効果的な補強ができる。
【0040】
側壁33の外面33aは、傾斜するリフタホルダ30の上部に位置して型抜き方向A0に面しているため、リブ35の形成に当たりその形状および形成位置の自由度が大きく、側壁33に加わる力の大きさおよび位置に対応して、その剛性上最も効果的な形状および位置にリブ35を形成できて、側壁33の剛性を確保するうえで有利である。
【0041】
ヘッドボルト28の挿通孔27が、ヘッドボルト28の締結方向から見て切欠部37,38と重なるように形成されることにより、切欠部37,38が形成されるスペースを利用して挿通孔27が形成されるので、リフタホルダ30と挿通孔27とを近接させて設けることができて、シリンダヘッド3を小型化することができるうえ、リフタホルダ30と挿通孔27が重なるにも拘わらず、切欠部37,38に挿通孔27が形成されることにより、挿通孔27を形成するために側壁33,34を加工する必要がないので、挿通孔27の加工が容易であり、またヘッドボルト28の締付け工具の移動も切欠部37,38を利用することで容易になる。
【0042】
傾斜するリフタホルダ30の下部に位置する側壁34は、抜け勾配が付けられることにより、底壁32に近づくほど厚肉となるため、バルブリフタ22から加わる力を受け止めるために必要な側壁34の剛性を確保するのが容易である。
【0043】
側壁34の周方向長さが、側壁33のそれよりも長くされることで、側壁34とバルブリフタ22との接触面積を大きくして、バルブリフタ22の往復動の安定性を高めることができると同時に、側壁34の内面34bが型抜き方向A0を向いているため、型抜きのみにより形成される肉抜き部36を利用して、リフタホルダ30の軽量化および前記接触面積の設定が容易にできる。一方、切削加工を要する側壁33の周方向長さを短くすることにより、加工量が減少して切削加工が容易になり、リフタホルダ30の形成が容易になる。
【0044】
末広がりの凹所39により、シリンダ軸線方向A1から見て、回転軸線L3INと直交する方向への配置スペースが広くなるので、凹所39を利用して、挿入筒17をシリンダ軸線L1に対して傾斜配置すること、および挿入筒17をリフタホルダ30に近接させて配置することが容易にできて、点火栓8の配置の自由度が大きくなる。
【0045】
次に、図5,図6を参照して、本発明の第2実施例を説明する。この第2実施例は、第1実施例とはリフタホルダおよびカムホルダが主に相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、第1実施例の部材と同一の部材または対応する部材については、同一の符号を使用した。
【0046】
第2実施例では、吸気カム軸20INおよび排気カム軸20EXは、回転軸線方向A3でのシリンダヘッド3の両端部にそれぞれ配置された1対の端部カムホルダ50と、各カム軸20において、シリンダ軸線方向A1から見て(図6参照)、シリンダ軸線L1を通り回転軸線L3に直交する平面を対称面とする4つの中間カムホルダ51とにより回転自在に支持される。各カムホルダ50,51は、下部ホルダおよび上部ホルダとからなり、下部ホルダはシリンダヘッド3と一体成形される。そして、各カム軸20が上部ホルダおよび下部ホルダで形成される軸受部に挟持された状態でボルトによりシリンダヘッド3に締結される。具体的には、各端部カムホルダ50では、下部ホルダ50aのボス50a1(図6には1つのみ示されている)のネジ孔50a2に上部ホルダ50bに挿通されるボルトB1が螺合し、中央のホルダ取付部(図示されず)のボス(図示されず)のネジ孔に上部ホルダ50bに挿通されるボルトB2が螺合する。また、シリンダ2毎に1対のリフタホルダ60の回転軸線方向A3での間に位置する各中間カムホルダ51では、下部ホルダ51aの1対のボス51a1のネジ孔51a2に上部ホルダ51bに挿通されるボルトB3が螺合する。そして、これら下部ホルダ50a,51aは、第1実施例と同様にシリンダヘッド3の前記上部構造の一部を構成するもので、所要の表面に抜き勾配が付けられている。
【0047】
シリンダヘッド3をシリンダブロック1に締結するためのヘッドボルト28は、吸気側および排気側動弁機構側VIN,VEXにおいて、それぞれ、回転軸線方向A3での端部に位置するシリンダ孔2aの外側、および隣接するシリンダ孔2aの間であって、隣接するシリンダ孔2aのリフタホルダ60IN;60EXの間に位置する挿通孔52に挿通されて、シリンダブロック1のネジ孔に螺合する。挿通孔52は、ヘッドボルト28の頭部を収容可能な大径部52aとヘッドボルト28の軸部が挿通される小径部(図示されず)とを有し、大径部52aは、各リフタホルダ60において第1実施例と同様に型抜きにより形成された1つの切欠部62の形成範囲の底壁32を切り欠いて形成されており、ヘッドボルト28の締結方向から見て、該挿通孔52の大径部52aが切欠部62と重なるように形成される。
【0048】
各シリンダ2において、下部ホルダ51aは、リフタホルダ60の側壁61の一部を兼ねており、バルブリフタ22が摺動する内面31bが下部ホルダ51aの回転軸線方向A3での両面に形成される。したがって、第2実施例では、シリンダヘッド3の鋳造後の素材においては、側壁61のシリンダ軸線L1寄りの部分および下部ホルダ51aのシリンダ軸線L1寄りの部分は、抜け勾配が付けられることから、底壁32に近づくほど厚肉になるため、第1実施例における側壁33の内面33bと同様に、切削加工が施されて、リフタホルダ60が摺接する仕上げ状態の内面61bに形成される。
【0049】
第1実施例の切欠部37または切欠部38と同様に形成され、回転軸線方向A3に開放する切欠部62は、仮想平面Pと交差する位置を避けた位置に設けられて、各リフタホルダ60において下部ホルダ51aとは仮想平面Pに対して反対側に位置し、第1実施例と同様に、オイルの流通路を構成する。そして、この第2実施例では、内燃機関Eは、シリンダ軸線L1が鉛直線に対して傾斜して、吸気ポート6が開口するシリンダヘッド3の側壁3bの側面が斜め上方を向くように、車両に対して傾斜した状態で搭載され、しかも動弁室16において、各下部ホルダ51aが、図5に示されるように、シリンダヘッド3の両側壁3b,3cに連結されるため、両動弁機構VIN,VEX、吸気弁9および排気弁10の摺動部を潤滑した後のオイルを、内燃機関Eのオイルパンに戻すための戻り通路の動弁室16内での開口部にオイルを導くため十分な流路を確保するために、貫通孔からなる連通路53が、下部ホルダ51aにおいて動弁室16の最下部の近傍に位置する部分に、切削加工により形成される。
【0050】
さらに、切欠部62により分断された側壁61は、切欠部62の輪郭を規定する側端面61dが抜け勾配を有するよう型抜きにより成形され、しかも第1実施例と同様の仮想平面Pと交差する位置に、バルブリフタ22を挟んで、かつ側壁61の上端面61cから底壁32まで連続するように成形される。そして、側壁61のシリンダ軸線L1寄りの部分の外面61aには、第1実施例と同様に、仮想平面Pに沿うと共に抜け勾配を有する補強用のリブ63が、外面61aから突出して、上端面61cから底壁32まで、仮想平面Pと交差して延びて形成される。さらに、第2実施例においても、第1実施例と同様に、末広がりの凹所39が形成される。
【0051】
この第2実施例によれば、動弁室16内での摺動部を潤滑した後の戻りオイルの流路が切欠部61により形成されない点を除いて、第1実施例と同様の作用および効果が奏されるほか、次の作用および効果が奏される。すなわち、カムホルダ51を構成する下部ホルダ51aがリフタホルダ60の側壁61を兼ねることにより、リフタホルダ60が下部ホルダ51aにより補強されて、その剛性が高められると共に、切欠部62が仮想平面Pに対して下部ホルダ51aとは反対側に位置することにより、切欠部62の形成位置およびオイルの流通機能が下部ホルダ51aにより制約を受けることが少なくなり、オイル流通の観点およびリフタホルダ60の軽量化の観点から、好適な切欠部62を形成することができる。そのうえ、下部ホルダ51aも前記上部構造の一部を構成して抜け勾配を有することにより、シリンダヘッド3を鋳造する際の型抜きのみで、一体化されるリフタホルダ30および下部ホルダ51aを容易に、しかも低コストで形成することができる。
【0052】
次に、図7に示される本発明の第3実施例は、第1実施例とは、リブの形状と点火栓8の挿入筒17の位置と、シリンダ軸線方向A1から見たとき、回転軸線L3と直交する方向(以下、「直交方向」という。)でのシリンダヘッド3の幅が小さくされている点とが主として相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、第1実施例の部材と同一の部材または対応する部材については、同一の符号を使用した。
【0053】
側壁33のリブ70は、外面33aからの最大突出量で突出すると共に仮想平面Pに沿って延びる最大突出部70aが、仮想平面Pよりも側壁33のカムホルダ24(または、ホルダ取付部26)寄りの端部に位置するように、仮想平面Pに対して反対側の端部から突出量が徐々に大きくなるように成形され、両リブ70により形成される凹所39の回転軸線方向A3での幅が広げられている。これにより、この凹所39を利用して、第1実施例での点火栓8の下部挿入筒17aの位置(図中、二点鎖線で示される。)よりも、下部挿入筒17aを含む挿入筒17が排気側動弁機構VEXのリフタホルダ30に近接して配置され、その分、シリンダヘッド3の前記直交方向での幅が小さくされる。
【0054】
さらに、第3実施例においても、第1,第2実施例と同様に、ホルダ取付部26に凹部26cに形成された挿通孔27の大径部27aは、切欠部37,38の形成範囲の底壁32を切り欠いて形成されており、ヘッドボルト28の締結方向から見て、該挿通孔27の大径部27aが切欠部37,38と重なるように形成される。
【0055】
そして、この第3実施例によれば、第1実施例と同様の作用および効果が奏されるほか、次の作用および効果が奏される。すなわち、1対のリフタホルダ30の側壁33のリブ70は、最大突出部70aがカムホルダ24寄りの端部に位置するように成形されることにより、両リブ70により形成される凹所39の回転軸線方向A3での幅が広げられるので、前記直交方向への挿入筒17の配置スペースが広くなり、挿入筒17をリフタホルダ30に一層近接させて配置することで、前記直交方向でのシリンダヘッド3の幅を小さくすることができて、シリンダヘッド3が小型化される。
【0056】
図8に示される本発明の第4実施例は、第1実施例とは、リブの形状が主として相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、第1実施例の部材と同一の部材または対応する部材については、同一の符号を使用した。
【0057】
第4実施例では、シリンダ2毎に、吸気側および排気側動弁機構VIN,VEXの各リフタホルダ30の側壁33のリブ71が、下部挿入筒17aと連結される。そして、この第4実施例によれば、第1実施例と同様の作用および効果が奏されるほか、次の作用および効果が奏される。すなわち、各シリンダ2の全てのリフタホルダ30の側壁33のリブ71が、下部挿入筒17aと連結されることにより、それら側壁33の剛性が高められる。
【0058】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
第3実施例では、リブ70の最大突出部70aがカムホルダ側に寄せられていたが、リブ70は、第1実施例の補強リブ35と同一形状のリブであってもよく、この場合にも両リブにより形成される凹所39を利用して、第3実施例に比べて移動量は小さくなるものの、凹所39に下部挿入筒17aを配置することができる。
【0059】
前記各実施例では、切欠部37,38,62は底壁32の壁面32aまで達するものであったが、オイルが収容空間31とその外部の動弁室16内で流通可能であれば、切欠部37,38,62は壁面32aまで達していなくてもよい。また、側壁33,34,61には、仮想平面Pと交差する位置に、側壁33,34,61の剛性を殆ど低下させないものであれば、僅かな切欠きや小孔が形成されていてもよい。
【0060】
吸気カム軸20INおよび排気カム軸20EXの回転方向は、前記各実施例では同じ方向であったが、互いに逆方向であってもよく、その場合には、カム21の回転による最大の力が、吸気側および排気側動弁機構VIN,VEXにおいてリブ35,63,70,71が形成された側壁33または側壁61の部分に加わるか、または吸気側および排気側動弁機構VIN,VEXにおいて肉抜き部36が形成された側壁34または側壁61の部分に加わることになる。
【0061】
さらに、燃焼室5毎に、吸気ポート6は1つであってもよく、また排気ポート7は1つであってもよい。内燃機関Eは、前記各実施例では4気筒内燃機関であったが、4気筒以外の多気筒内燃機関または単気筒内燃機関であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示し、本発明に係るシリンダヘッドを有する内燃機関の要部断面図であって、図2のI−I線断面図である。
【図2】図1の内燃機関のヘッドカバーを外したときのシリンダヘッドの平面図である。
【図3】図1のシリンダヘッド鋳造後のリフタホルダの素材の部分概略斜視図である。
【図4】図3の素材に切削加工を施した後のリフタホルダの部分概略斜視図である。
【図5】本発明の第2実施例を示し、図1に対応する内燃機関の要部断面図であって、図6のV−V線断面図である。
【図6】図5の内燃機関のヘッドカバーを外したときのシリンダヘッドの平面図である。
【図7】本発明の第3実施例を示し、ヘッドカバーを外したときの要部平面図である。
【図8】本発明の第4実施例を示し、ヘッドカバーを外したときの要部平面図である。
【符号の説明】
1…シリンダブロック、2…シリンダ、3…シリンダヘッド、4…ヘッドカバー、5…燃焼室、6…吸気ポート、7…排気ポート、8…点火栓、9…吸気弁、10…、11…貫通孔、12…弁ガイド、13…弁バネ、14…上部リテーナ、15…下部リテーナ、16…動弁室、17…挿入筒、
20…カム軸、21…カム、22…バルブリフタ、23,24…カムホルダ、25,26…ホルダ取付部、27…挿通孔、28…ヘッドボルト、
30…リフタホルダ、30´…素材、31…収容空間、32…底壁、33,34…側壁、33a,34a…外面、33b,34b…内面、33c,34c…上端面、33d,34d…側端面、35…リブ、36…肉抜き部、37,38…切欠部、39…凹所、
50,51…カムホルダ、52…挿通孔、53…連通路、
60…リフタホルダ、61…側壁、61a…外面、61b…内面、61c…上端面、61d…側端面、62…切欠部、63…リブ、
70,71…リブ、
E…内燃機関、L1〜L3…軸線、A0…型抜き方向、A1〜A3…方向、VIN,VEX…動弁機構、B1〜B3…ボルト、P…仮想平面。

Claims (4)

  1. 回転駆動されるカム軸に設けられたカムと、機関弁を開閉作動させるべく摺接する前記カムに従動して往復動するバルブリフタと、該バルブリフタを摺動自在に保持する側壁を有すると共に該バルブリフタを収容する収容空間を形成するリフタホルダとを備える動弁機構を収容する動弁室を形成する上部構造を有する鋳造されたシリンダヘッドであって、該上部構造は鋳造時の抜け勾配を有し、該上部構造の一部を構成して前記シリンダヘッドと一体成形された前記リフタホルダは前記抜け勾配を有し、前記バルブリフタが摺接する前記側壁は機械加工が施された内面を有する内燃機関のシリンダヘッドにおいて、
    前記リフタホルダには、前記収容空間とその外部の前記動弁室との間でオイルを流通させる1対の切欠部が、前記リフタホルダの前記側壁の上端面を分断する形態で前記鋳造により形成され、前記切欠部の輪郭を規定する前記側壁の側端面は前記抜け勾配を有し、前記切欠部は、前記バルブリフタの中心を通りかつ前記カム軸の回転軸線に直交する仮想平面と交差する位置を避けて設けられることを特徴とする内燃機関のシリンダヘッド。
  2. 前記側壁の前記抜け勾配を有する外面には、前記仮想平面に沿うと共に前記抜け勾配を有するリブが形成されていることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のシリンダヘッド。
  3. 前記シリンダヘッドには、該シリンダヘッドをシリンダに締結するヘッドボルトが挿通される挿通孔が形成され、該挿通孔は、前記ヘッドボルトの締結方向から見て、前記切欠部と重なることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関のシリンダヘッド。
  4. 前記上部構造の一部を構成して前記抜け勾配を有すると共に前記カム軸を回転自在に支持するカムホルダが、前記側壁を兼ねて前記シリンダヘッドと一体成形され、前記切欠部は、前記リフタホルダにおいて前記仮想平面に対して前記カムホルダとは反対側に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関のシリンダヘッド。
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