JP4446302B2 - スリーブ - Google Patents
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Description
すなわち、管状のスリーブを建築躯体(型枠)内の所定位置にほぼ水平に配置し、その後、型枠にコンクリートを打ち込み、コンクリート製の外壁などにスリーブを貫通、固定させる。次に、空調用ダクトの外周に断熱材を巻いて、これをスリーブに差し込む。このとき、スリーブと空調用ダクトとの間には隙間があるため、空調用ダクトが所定の位置に配置されるように位置決めする必要がある。その後、スリーブと空調用ダクトとの隙間を、屋外側(外気側)からモルタルで穴埋めして、空調用ダクトを固定する。そして、スリーブの屋外側端部に、屋内に雨が吹き込むのを防ぐベンドキャップ(ウエザーカバー)を取り付けるというものである(例えば、特許文献1参照。)。
(作用)
スリーブを型枠に配置し、型枠にコンクリートを打ち込むことで、外壁などにスリーブの外管が貫通、固定される。そして、このスリーブの内側の端部に、ベンドキャップおよび空調用ダクトを取り付けるだけで、外気との通風工事が終了する。この際、ベンドキャップおよび空調用ダクトが取り付けられる内管の位置は、外管に対して固定されているため、ベンドキャップおよび空調用ダクトを位置決めする必要がない。すなわち、スリーブを型枠の所定位置に配置することで、ベンドキャップおよび空調用ダクトを所定位置に配置させることができる。
しかも、内管の軸が屋外側から屋内側に向けて上向きに傾斜しているため、ベンドキャップから浸入した雨水などがこの内管を通って、空調用ダクトに入り込んでしまうことがない。このため、屋内側で空調用ダクトに水勾配を設ける必要がなくなる。
請求項2に記載の発明は、建物の内外を仕切る外壁や梁などの被取付部材を貫通して、ほぼ水平に取り付けられる管状のスリーブであって、被取付部材を貫通する主管の屋外側端部にベンドキャップ取付部を設け、主管の屋内側端部にフランジ板を介して空調用ダクトに挿入可能な取付管を設け、主管の中心と取付管の中心とを上下方向にずらすことにより取付管の流路底部を主管の流路底部よりも高くなるように形成し、フランジ板に、主管と取付管とを連通する通気穴を形成するとともに、取付管の流路底部と主管の流路底部との隙間を塞ぐ防水部を形成したことを特徴としている。
(作用)
スリーブを型枠に配置し、型枠にコンクリートを打ち込むことで、外壁などにスリーブの主管が貫通、固定される。そして、このスリーブの主管の端部に、ベンドキャップおよび空調用ダクトを取り付けるだけで、外気との通風工事が終了する。この際、ベンドキャップおよび空調用ダクトの取付位置は、主管のベンドキャップ取付部および空調用ダクト取付部によって固定されるため、ベンドキャップおよび空調用ダクトを位置決めする必要がない。すなわち、スリーブを型枠の所定位置に配置することで、ベンドキャップおよび空調用ダクトを所定位置に配置させることができる。
しかも、空調用ダクトの流路底部がスリーブの主管の流路底部よりも高くなるように、空調用ダクトがスリーブに取り付けられるため、ベンドキャップから浸入してスリーブの主管の流路底部に達した雨水などが、空調用ダクトに入り込んでしまうことがない。このため、屋外側で空調用ダクトに水勾配を設ける必要がなくなる。また、空調用ダクトの流路底部と主管の流路底部との隙間には、防水部が設けられているため、この隙間から雨水などが屋内に漏れ落ちることがない。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスリーブにおいて、主管を、第1主管とこの第1主管が移動可能に挿入される第2主管とから構成し、第1主管の第2主管への挿入量を調節することにより主管の長さを調節可能としたことを特徴としている。
この結果、従来に比べて施工工程(施工工数)が削減され、施工費が低減される。
〈実施形態1〉
図1は、本実施形態に係るスリーブ1の側面図である。このスリーブ1は、外管2と、この外管2に内設された内管3とを有し、内管3の軸が屋外側から屋内側に向けて上向きに傾斜している。
外管2の屋外側端部には、断面がL字形で環状の第1フランジ4が取り付けられ、内管3の屋外側端部には、断面がL字形で環状の第2フランジ5が取り付けられ、この第1フランジ4と第2フランジ5とが接合されている。一方、外管2の屋内側端部には、外側に折り曲げられたフランジ部2aが形成されており、内管3の屋内側には、断面がL字形で環状の第3フランジ7が取り付けられている。さらに、フランジ部2aと第3フランジ7との間には、内管3の貫通穴を有する取付板6が設けられ、この取付板6にフランジ部2aと第3フランジ7とが接合されている。
このようにして、外管2内に内管3を配置した状態で、内管3の軸が屋外側から屋内側に向けて上向きに傾斜するようになっている。また、内管3の屋内側には、屋内側に延びた延設部3aが形成されている。そして、後述するように、第2フランジ5が、ベンドキャップ8を取り付けるベンドキャップ取付部として機能し、内管3の延設部3aが、空調用ダクト9を取り付ける空調用ダクト取付部として機能する。
管部長さL1:500mm
第2フランジ5の長さL2:10mm
延設部3aの長さL3:80mm
外管2の外径:195mm
内管3の内径:150mm
また、内管3の軸の傾きは、内管3の屋外側中心点と屋内側中心点との差G1が、15mmになるように設定されている。
次に、このような構成のスリーブ1の取付方法などについて説明する。
このように、スリーブ1を型枠に配置してコンクリートを打ち込むだけで、スリーブ1を所定の位置に固定することができ、さらに、第2フランジ5および内管3の延設部3aに、ベンドキャップ8および空調用ダクト9を容易に(挿入、固定するだけで)取り付けることができる。この際、ベンドキャップ8および空調用ダクト9が取り付けられる内管3の位置は、外管2に対して固定されているため、従来のように、ベンドキャップ8および空調用ダクト9を位置決めする必要がない。すなわち、スリーブ1が型枠の所定位置に配置されることで、ベンドキャップ8および空調用ダクト9も所定位置に配置される。しかも、外管2と内管3との間の空気層が断熱効果を発揮するため、従来のように、空調用ダクト9に断熱材を巻き付ける必要がない。
ところで、内管3の軸が屋外側から屋内側に向けて上向きに傾斜しているため、ベンドキャップ8から浸入した雨水などがこの内管3を通って、空調用ダクト9に入り込んでしまうことがない。つまり、浸入した雨水などは、内管3の傾斜によって屋外側に流れる。このため、従来のように、屋内側で空調用ダクト9に水勾配を設ける必要がなくなる。
本実施形態では、スリーブ1を型枠に配置してコンクリートを打ち込むようにしているが、図2に示すように、外壁Wに予め挿入孔W1(躯体スリーブ)を設け、この挿入孔W1にスリーブ1の外管2を挿入し、外管2のフランジ部2b(上記のフランジ部2aよりも延設されている)をコンクリートビス10やアンカーなどで外壁Wに固定してもよい。この場合、例えば、挿入孔の孔径は、200mmとなる。
〈実施形態2〉
図3は、本実施形態に係るスリーブ11の側面図である。
図中12主管であり、この主管12の屋外側端部には、外側に折り曲げられた第1フランジ部12a(ベンドキャップ取付部)が形成されており、この第1フランジ部12aに、外円形で主管12の貫通穴を有する環状の第1フランジ板13が取り付けられている。また、主管12の屋内側端部には、外側に折り曲げられた第2フランジ部12bが形成されており、この第2フランジ部12bに、正方形の第2フランジ板14が取り付けられている。
この第2フランジ板14の四隅には、長ナット15が溶接されており、図4に示すように、中央部には通気穴14aが形成されている。この通気穴14aは、主管12の内径形状とほぼ同形状であるが、底部が主管12の内径形状よりも小さくなっており、主管12の流路底部を塞ぎ、かつ、主管12と後述する取付管17との隙間を塞ぐ防水部14b(水切り)が形成されている。なお、第2フランジ板14の外周に設けられた複数の小穴は、型枠に取り付けるための釘穴である。
この第2フランジ板14には、取付板16を介して取付管17(空調用ダクト取付部)が取り付けられている。すなわち、取付管17の中心が正方形の取付板16(主管12)の中心よりもG2だけ上方にずれるように、取付板16に取付管17のフランジ部17aが接合され、この取付板16がボルト(図示せず)、長ナット15によって第2フランジ板14に取り付けられている。また、取付板16には、取付管17と同心に、取付管17の内径と同径の通気穴が形成されている。
このスリーブ11は鋼板製で、各寸法は以下のとおりである。
管部12の長さL4:145mm
管部12の内径:150mm
管部12の板厚:0.6mm
取付管17の長さL5:80mm
取付管17の内径:150mm
取付管17の板厚:0.6mm
第1フランジ板13、第2フランジ板14の板厚:1.6mm
取付板16の板厚:1.0mm
フランジ板13、14および取付板16の一辺:200mm
また、取付管17の中心と主管12の中心とのずれG2は20mmで、図4において、第2フランジ板14の防水部14bを形成する円弧の半径Rは、110mmである。
次に、このような構成のスリーブ11の取付方法などについて説明する。
このように、上記実施形態1と同様に、スリーブ11の固定、ベンドキャップ8および空調用ダクト9の取り付けを容易に行うことができる。また、ベンドキャップ8および空調用ダクト9を位置決めする必要がない。
ところで、取付管17の中心が主管12の中心よりもG2だけ上方にずれているため、空調用ダクト9の流路底部が主管12の流路底部よりも高くなる。この結果、ベンドキャップ8から浸入してスリーブ11の主管12の流路底部に達した雨水などが、空調用ダクト9に入り込んでしまうことがない。このため、屋内側で空調用ダクト9に水勾配を設ける必要がなくなる。また、主管12の流路底部と取付管17の流路底部との隙間には、防水部14bが設けられているため、この隙間から雨水などが屋内に漏れ落ちることがない。なお、主管12と取付管17との中心がずれているために、有効面積(通気面積)は減少するが、その減少はわずかであり、しかも、ベンドキャップ8の開口有効面積は30%であるため、通気に影響はなく、また、規定の通気面積が確保されるように、ずれ量G2を調節すればよい。
本実施形態では、上記実施形態1と同様に、建築躯体(型枠)内にスリーブ11を仮固定し、型枠内にコンクリートを打ち込むようにしているが、次のようにしてもよい。すなわち、取付管17を主管12から外し、主管12とこれに接合されている第1フランジ板13および第2フランジ板14を型枠内に仮固定した状態で、コンクリートを打ち込む。そして、コンクリートが完全に固定した後に型枠を外し、取付管17を取付板16を介してボルト、長ナット15で第2フランジ板14に取り付けてもよい。
また、主管12を一体にしているが、図5に示すように、2体の管であってもよい。このスリーブ31では、第1フランジ板32に第1主管33が接合され、第2フランジ板34には第2主管35が接合され、第2主管35内に第1主管33が挿入(嵌合)されている。また、第2フランジ板34の四隅には、長ナット36が溶接されており、この長ナット36にネジ棒37(全ネジ)が螺合され、ネジ棒37の他端は第1フランジ板32に当接している。一方、第3フランジ板38には取付管39が接合されており、この第3フランジ板38はボルト40、長ナット36によって、第2フランジ板34に取り付けられている。
そして、このようなスリーブ31を建築躯体(型枠)内に仮固定する際には、外壁Wの幅Hに合わせて、第1主管33の挿入量およびネジ棒37の螺合量を調節し、第1フランジ板32と第2フランジ板34との間隔が幅Hになるようにする。その後は、上記と同様にして、コンクリート打ちによってスリーブ31を固定し、ベンドキャップおよび空調用ダクトを取り付ければよい。
このように、主管を2体の管にすることによって、外壁Wなどの幅Hに応じて主管の長さを調節することができ、幅Hが異なるごとに主管の長さを変えたスリーブを用意する必要がない(上記のスリーブ11では、外壁Wの幅Hが異なれば、管部12の長さL4を変えたスリーブ11としなければならない)。
ところで、スリーブ11およびスリーブ31では、取付管の中心を主管の中心よりも上方にずらしているが、主管と取付管とを同軸にし、防水部14bのみによって、雨水などの浸入を防止するようにしてもよい。
2 外管
3 内管
3a 延設部(空調用ダクト取付部)
4 第1フランジ
5 第2フランジ(ベンドキャップ取付部)
8 ベンドキャップ
9 空調用ダクト
W 外壁
Claims (3)
- 建物の内外を仕切る外壁や梁などの被取付部材を貫通して、ほぼ水平に取り付けられる管状のスリーブであって、
前記被取付部材を貫通する外管と、この外管に内設された内管とを有し、この内管の軸を屋外側から屋内側に向けて上向きに傾斜させ、かつ、この内管の屋外側端部にベンドキャップ取付部を設け、屋内側端部に空調用ダクト取付部を設けた、
ことを特徴とするスリーブ。 - 建物の内外を仕切る外壁や梁などの被取付部材を貫通して、ほぼ水平に取り付けられる管状のスリーブであって、
前記被取付部材を貫通する主管の屋外側端部にベンドキャップ取付部を設け、前記主管の屋内側端部にフランジ板を介して空調用ダクトに挿入可能な取付管を設け、前記主管の中心と前記取付管の中心とを上下方向にずらすことにより前記取付管の流路底部を前記主管の流路底部よりも高くなるように形成し、前記フランジ板に、前記主管と前記取付管とを連通する通気穴を形成するとともに、前記取付管の流路底部と前記主管の流路底部との隙間を塞ぐ防水部を形成した、
ことを特徴とするスリーブ。 - 前記主管を、第1主管と該第1主管が移動可能に挿入される第2主管とから構成し、前記第1主管の前記第2主管への挿入量を調節することにより前記主管の長さを調節可能とした、
ことを特徴とする請求項2に記載のスリーブ。
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