以下、本発明をパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の枠組立ライン装置として具体化した一実施形態を図1〜図11に基づき説明する。
図1には、パチンコ機10の機表側が略示されており、機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、パチンコ機10の前側を構成する各種部品をセットする縦長方形の枠ベース12(枠部品)が開閉及び着脱自在に組み付けられている。また、枠ベース12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を備えたガラス保持枠14と、上球皿15aを有する上皿ユニット15とが、ともに横開き状態で開閉可能に組み付けられている。
前記ガラス保持枠14の周囲前面側には、パチンコ機10の各種遊技の演出態様(大当り、リーチなど)に応じて点灯(点滅)・消灯などの発光装飾を行う電飾ランプ16が設けられている。この電飾ランプ16は、図示しない発光体(LEDなど)を備え、同発光体にレンズ部材を覆い被せて構成されている。また、上皿ユニット15の両側部及び外枠11下部の両側部には、前記遊技の状態に応じて各種音声(効果音など)を出力するスピーカ17が設けられている。また、枠ベース12の下部には、下球皿18及び操作手段19などを有する下皿ユニット20が装着されている。
図2に示されるように、枠ベース12の機表側には、遊技盤13が取り付けられる遊技盤取着部21と、ガラス保持枠14が取り付けられるガラス保持枠取着部22と、上皿ユニット15が取り付けられる上皿取着部23と、下皿ユニット20が取り付けられる下皿取着部24とが設けられている。
遊技盤取着部21は、枠ベース12の中心よりもやや上方に設けられた略正方形状の貫通孔部(開口部)であり、遊技盤13を機表側から着脱可能となっている。ガラス保持枠取着部22は、ガラス保持枠14を横開き状態で開閉可能とするとともに同ガラス保持枠14を着脱可能な回動軸部であり、枠ベース12の側方(図2における左方)に設けられている。上皿取着部23は、上皿ユニット15を横開き状態で開閉可能とするとともに同上皿ユニット15を着脱可能な回動軸部であり、ガラス保持枠取着部22の下方に設けられている。下皿取着部24は、下皿ユニット20と仮係合して同下皿ユニット20を仮固定するスリット状の仮固定部24aを複数箇所に備えている。本実施形態において枠ベース12には、まず下皿取着部24に下皿ユニット20が仮固定された後、上皿取着部23に上皿ユニット15が取着されるようになっている。なお、図3は、枠ベース12の前面側に対して上皿ユニット15及び下皿ユニット20を取着した状態を示している。
図4に示されるように、こうしたパチンコ機10は、遊技盤工程S1→中枠工程S2→最終工程S3の順序で製造される。
遊技盤工程S1では、遊技盤13の製造が行われる。詳しくは、この遊技盤工程S1では、自動セル貼り、多軸穴加工、ゲージプレス、NCルータ加工などの処理を行うベニヤ加工工程や、NC釘打ち、自動レール締め、NC風車打ち、コーナ飾り、役物物品挿入、自動ビス締め、配線、表示基板取付などの処理を行う遊技盤組立工程が行われる。
中枠工程S2では、第1組付工程S2−1→ビス締め工程S2−2→第2組付工程S2−3→ビス締め工程S2−4→他種部品の組付工程S2−5の順で作業が行われる。詳しくは、第1組付工程S2−1では枠ベース12に対する下皿ユニット20の仮固定作業及び上皿ユニット15の取付作業が行われ、ビス締め工程S2−2では下皿ユニット20のビス締め作業が行われる。そして、第2組付工程S2−3では枠ベース12に対するガラス保持枠14の取付作業及び遊技盤13の合体作業が行われ、続くビス締め工程S2−4ではそれら各部品のビス締め作業が行われる。その後、他種部品の組付工程S2−5では、それぞれ図示しない打球発射装置、セット盤、音声基板などの各種部品の組付作業が行われる。
最終工程S3では、外枠11、それぞれ図示しない電源基板、払い出し基板、メイン基板などの組付作業や、機能検査、ロット登録、各種番号(保証書番号、管理番号など)の付与などが行われる。
ところで、前記中枠工程S2の前記第1組付工程S2−1においては、図5に示す枠組立用搬送台(以下「搬送台」という)31に枠ベース12を搭載した状態で、同枠ベース12に対する下皿ユニット20及び上皿ユニット15の取着が行われる。また、搬送台31は、図9〜図11に示す枠組立ライン装置41(遊技機用搬送装置)に搭載され、同枠組立ライン装置41により、第1組付工程S2−1が行われるようになっている。そこで、以下、第1組付工程S2−1に用いられる搬送台31及び枠組立ライン装置41について説明する。
図5,図6に示されるように、搬送台31は、縦方向にやや長い長方形状の台本体32と、枠ベース12が搬送台31に搭載された際に同枠ベース12を支持する支持部33とを備えている。
台本体32は、金属製の板状物によって構成され、本実施形態においては鉄によって構成されている。なお、台本体32は、合成樹脂などの他の部材によって構成されていてもよい。また、図7に示されるように、台本体32の外形寸法は、枠ベース12の外形寸法よりも若干大きくなるように形成されている。この台本体32の中央よりもやや上方には、角孔状の抜穴部37が透設されている。この抜穴部37は、搬送台31に枠ベース12が搭載された際に、同枠ベース12の前記遊技盤取着部21の位置と対応する位置に設けられており、前記遊技盤13よりも大きくなるように設定されている。
図5,図7に示されるように、台本体32の背面32eの上端部は、後記する上側ローラ50と接触する部分であって、その部分には上側傷防止板39aが例えばネジ止めにより固定されている。この状態において、上側傷防止板39aを固定するネジの頭部は、上側傷防止板39aの上側ローラ50との接触面から突出しないようになっている。上側傷防止板39aは、台本体32の一方の側縁32aから他方の側縁32bまで延びている。本実施形態において、上側傷防止板39aは、耐磨耗性に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)によって形成されている。これにより、上側ローラ50との接触による台本体32の破損や変形を回避することができる。
図5〜図7に示されるように、前記支持部33は、台本体32の上方(図6における上方)において左右に離間配置された2本の上部支持柱33a(上側支持部)と、台本体32の下方(図6における下方)において左右に離間配置された2本の下部支持柱33b(下側支持部)とからなっている。上部支持柱33a及び下部支持柱33bは、金属材料(本実施形態ではアルミニウム合金などの軽金属)を押出成形または引抜成形することによって構成されている。上部支持柱33a及び下部支持柱33bには、それぞれ長手方向に延びる蟻溝34a,34bが設けられている。また、上部支持柱33a及び下部支持柱33bの基端部には、それぞれネジ穴(図示略)が設けられている。これらのネジ穴に台本体32の挿通孔(図示略)を挿通したボルトを螺着することにより、上部支持柱33a及び下部支持柱33bが台本体32に連結されている。これら上部支持柱33a及び下部支持柱33bは、台本体32の前面32dに対して垂直に起立した状態に設けられている。上部支持柱33aは、台本体32の上端よりも下方の位置に設けられており、下部支持柱33bは、台本体32の下端よりも上方の位置に設けられている。上部支持柱33a及び下部支持柱33bは、前記枠ベース12に前記遊技盤13、セット盤、各種基板などの部品を組み付けた状態での、枠ベース12の背面からの突出部分と接触しない位置に設けられている(図7参照)。
図5,図6に示されるように、上部支持柱33a及び下部支持柱33bの基端部は、それぞれ補強金具38によって補強されている。補強金具38は、金属板を折り曲げることによって略L字状に形成されており、台側取付部38a及び柱側取付部38bを有している。台側取付部38aに設けた挿通孔(図示略)にボルトを挿通し、そのボルトの先端部を台本体32に螺着することにより、補強金具38が台本体32に固定されている。また、柱側取付部38bに設けた挿通孔(図示略)にボルトを挿通し、そのボルトの先端部を上部支持柱33aの蟻溝34aや下部支持柱33bの蟻溝34b内に挿入したナットに螺着することにより、補強金具38が上部支持柱33aや下部支持柱33bに固定されている。なお、ナットは、蟻溝34a,34b内を上部支持柱33aや下部支持柱33bの長手方向に移動可能となっている。
図5〜図7に示されるように、台本体32の下端には、台本体32の前面32dに対して垂直方向に突出する底板部40(底部)が設けられており、底板部40と台本体32とにより構成される部分は、側面視略L字状を呈している。底板部40は、下部支持柱33bから所定空間(所定距離)をおいて配置されている。底板部40は、台本体32の下端(図6における下端)において左右に延びている。
また、台本体32の下側部には、台本体32の前面32dにて突出する3つの補強板71a〜71cが等間隔に離間配置されている。補強板71a,71cは台本体32の下方両側に配置され、補強板71bは台本体32の下方中央に配置されている。補強板71a〜71cは、略三角形状の金属板であり、金属用接着剤または溶接によって、それぞれ台本体32の前面32d及び底板部40の上面40aに固定されている。これにより、予期せぬ荷重がかかった場合でも、底板部40と台本体32とがなす角度を90°に保つことができる。
図5〜図7に示されるように、底板部40の下面全体は、後記する下側ローラ74によって支持される部分であって、その部分には下側傷防止板39bが例えばネジ止めにより固定されている。この状態において、下側傷防止板39bを固定するネジの頭部は、下側傷防止板39bの下側ローラ74との接触面から突出しないようになっている。本実施形態において、下側傷防止板39bは、前記上側傷防止板39aと同じ材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)によって形成されている。これにより、下側ローラ74との接触による台本体32の破損や変形を回避することができる。
図7に示されるように、本実施形態において下部支持柱33bの搬送台前後方向の寸法(長さL1)は、台本体32の搬送台前後方向の寸法(台本体32の板厚)よりも大きくなっている。下部支持柱33bの長さL1は、枠ベース12に遊技盤13、セット盤、各種基板などの部品を組み付けた状態での、枠ベース12の背面からの最大突出長さL2よりも長くなるように設定されている。
各上部支持柱33aの先端部には、メッキ処理された鉄製の第1キャップ部材35aが固定されている。第1キャップ部材35aの固定は、第1キャップ部材35aに挿通されたボルトを上部支持柱33aの先端部に設けられたネジ穴(図示略)に螺着することにより達成されている。各下部支持柱33bの先端部には、同じくメッキ処理された鉄製の第2キャップ部材35bが固定されている。第2キャップ部材35bの固定は、第2キャップ部材35bに挿通されたボルトを下部支持柱33bの先端部に設けられたネジ穴(図示略)に螺着することにより達成されている。
図7に示されるように、各上部支持柱33aは、第1キャップ部材35aを介して枠ベース12の上部を支持可能となっており、各下部支持柱33bは、第2キャップ部材35bを介して枠ベース12の下部を支持可能となっている。また、図5,図6に示されるように、第1キャップ部材35aは、両上部支持柱33a同士が対向する側が低くなるように設定された段部36aを有している。図8に示されるように、これら段部36aに枠ベース12の両側縁が係止することにより、枠ベース12がガタつくことなく支持固定されるようになっている。一方、図5,図6に示されるように、第2キャップ部材35bは、上側が低くなるように設定された段部36bを有している。図8に示されるように、これら段部36bは、枠ベース12の下端部に係合することによって同枠ベース12を係止固定するようになっている。よって、搬送台31に搭載された状態において枠ベース12は、台本体32から浮いた状態で支持される。
一方、図9,図10に示されるように、枠組立ライン装置41は、全長が数m〜十数mに設定され、搬送台31をそれぞれ搭載可能なライン本体42、搬出シャトル43、送り戻し機構44及び搬入シャトル45を備えている。図11に示されるように、ライン本体42は枠組立ライン装置41の前位置(図10における下方)に設けられ、送り戻し機構44はライン本体42の後位置(図10における上方)に設けられている。搬出シャトル43は、ライン本体42上の搬送台31をその後側に位置する送り戻し機構44上に移送するための装置であって、ライン本体42の左位置(図10における左方)に設けられている。一方、搬入シャトル45は、送り戻し機構44上の搬送台31をその前側に位置するライン本体42上に移送するための装置であって、ライン本体42の右位置(図10における右方)に設けられている。図9,図11に示されるように、ライン本体42、搬出シャトル43、送り戻し機構44及び搬入シャトル45は、ベースフレーム46上に設けられている。なお、ライン本体42に搬送台31を搭載した場合、ちょうど搬送台31が作業者の腰から胸の間に位置するようになっている。
図9,図10に示されるように、ライン本体42は、搭載された搬送台31を水平方向(図9の左右方向)に移動可能となっている。また、ライン本体42は、搬送台31を複数台同時に並べて支持可能な長さを有している。ライン本体42の右端部には搬入ローラ51が設けられ、左端部には搬出ローラ52が設けられている。両ローラ51,52は、搬送台31の台本体32の背面32eに当接するようになっている。また、両ローラ51,52は、図示しない駆動機構によって駆動し、搬送台31のライン本体42への搬入またはライン本体42からの搬出を行うようになっている。
図11にも併せ示すように、ライン本体42は、板状の支持台53を備えている。この支持台53は、鉛直方向に対して所定角度θだけ傾斜するように形成されている。詳しくは、支持台53は、上端が奥方向(図11に示す右方向)、下端が手前方向(図11に示す左方向)に位置し、全体として枠組立ライン装置41の後側に傾斜するように形成されている。そして、本実施形態において前記所定角度θ、即ち支持台53の後傾角度は、約30゜(例えば27°〜33°)に設定されている。このため、ライン本体42に搬送台31が搭載された状態にあっては、搬送台31の台本体32も後側に約30゜傾斜した後傾状態となる。即ち、ライン本体42は、搬送台31を後側に傾斜させた後傾状態で支持可能となっている。よって、搬送台31に支持された枠ベース12も後側に約30゜傾斜した後傾状態となる。
また、図11に示されるように、支持台53の前面の上端部には、断面略「L」字状をなすガイド部55aが設けられている。ガイド部55aは、搬送台31の台本体32の上面から台本体32の上部の前面32d側を囲って形成されている。このため、ライン本体42に搭載された搬送台31に対して搬送台31の手前側(図11における左方向)への移動が防止されており、搬送台31がライン本体42から外れてしまうことがない。即ち、ガイド部55aは、ライン本体42からの搬送台31の脱落を防止している。
図9〜図11に示されるように、支持台53の前面における下方には、下側転動体である複数の下側ローラ74(台支持部)が、所定間隔を隔てて回転可能に配設されている。各下側ローラ74の回転軸は、支持台53の傾斜面及び搬送台31の搬送方向に直交するようになっている。また、各下側ローラ74の回転軸方向の寸法は、台本体32の前記底板部40の搬送台前後方向の寸法よりも大きくなるように設定されている。そして、各下側ローラ74の周面は、ライン本体42に搬送台31が搭載された際に、搬送台31の底面、即ち、底板部40に設けられた前記下側傷防止板39bに接触するようになっている。換言すると、底板部40は各下側ローラ74上に載置可能になっている。そして、各下側ローラ74は、搬送台31の搬送時に転動して同搬送台31のスムーズな移動を促すようになっている。
また、各々の下側ローラ74の後側には、下側ローラ74と一体回転する移動規制ローラ47が配設されている。移動規制ローラ47の軸心は下側ローラ74の軸心と一致している。各移動規制ローラ47の直径は、下側ローラ74の直径よりも大きくなっている。そのため、ライン本体42に搬送台31が載置された際、移動規制ローラ47の前側面部47a(図11参照)は、台本体32の前記背面32eの下端部や、底板部40及び下側傷防止板39bの後端面に接触する。これにより、搬送台31の斜め下方向への移動(即ち支持台53に近づく方向への移動)が規制されるようになっている。なお、本実施形態の移動規制ローラ47は、耐磨耗性に優れたフッ素系樹脂材料を用いて形成されている。
一方、図9,図11に示されるように、前記ガイド部55aの内側上面には、上側転動体である複数の上側ローラ50が所定間隔を隔てて回転可能に配設されている。即ち、ガイド部55aは、上側ローラ50を支持する支持手段を兼ねている。図11に示されるように、各々の上側ローラ50の直径は、下側ローラ74の直径よりも小さくなっている。各上側ローラ50の回転軸は、支持台53の傾斜面に対して平行となっており、搬送台31の搬送方向に直交するようになっている。そして、各上側ローラ50の周面は、ライン本体42に搬送台31が搭載された際に、台本体32に設けられた前記上側傷防止板39aに接触し、搬送台31の搬送時に転動して同搬送台31のスムーズな移動を促すようになっている。
このように構成されたライン本体42では、搬送台31は、右方向から左方向(図9に示す矢印F1方向)に搬送され、この搬送の間に、前記第1組付工程S2−1、即ち前記枠ベース12に対する前記下皿ユニット20の仮固定作業及び前記上皿ユニット15の取付作業が行われるようになっている。そして、同取付作業が終了した枠ベース12は、ライン本体42の左端付近で搬送台31から取り外された後、図示しない搬送機などによって次工程を行うラインに移送される。一方、同搬送台31は、前記搬出ローラ52により前記搬出シャトル43に移送される。なお、本実施形態において搬送台31の右方向から左方向への搬送は、作業者の手によって行われるようになっている。即ち、この第1組付工程S2−1において作業者は、搬送台31を右方向から左方向に搬送させつつ、枠ベース12に対して上皿ユニット15及び下皿ユニット20を取着する作業を行う。
図9,図10に示されるように、搬出シャトル43は、前後方向(図9における上下方向)に移動可能な移動体61を備えている。この移動体61は、前位置においてライン本体42の支持台53の前面と面一となる基台62を備えている。基台62の前面には移送用ローラ63が設けられ、ライン本体42の搬出ローラ52によって搬出された搬送台31は、移送用ローラ63によって搬出シャトル43に移送される。そして、搬出シャトル43に搬送台31が移送されると、移動体61は前位置から後位置(図10に示す矢印F2方向)に移動する。そして、後位置に移動すると、搬出シャトル43は、移送用ローラ63によって搬送台31を前記送り戻し機構44に移送する。
図10,図11に示されるように、送り戻し機構44は支持台64を備えており、この支持台64は、ライン本体42の支持台53と同様に、所定角度θ(ここではθ=約30゜)だけ後側に傾斜するように形成されている。このため、両支持台53,64は、平行に配置された状態となっている。図11に示されるように、支持台64の前面の上端部には、断面略「L」字状をなすガイド部55aが設けられている。このガイド部55aの内側上面には、複数の移送用ローラ65aが所定間隔を隔てて回転可能に配設されている。これら移送用ローラ65aは、前記上側ローラ50と同様の構成をなしており、搬出シャトル43側の端縁から前記搬入シャトル45側の端縁まで全体に亘って設けられている。また、移送用ローラ65aは、送り戻し機構44に移送された搬送台31を、左方向から右方向(図10に示す矢印F3方向)に搬送させるようになっている。即ち、送り戻し機構44は、搬出シャトル43から移送された搬送台31を、搬入シャトル45に移動させるようになっている。
図9,図10に示されるように、搬入シャトル45は、前後方向(図9における上下方向)に移動可能な移動体67を備えている。この移動体67は、搬出シャトル43と同様に、前位置においてライン本体42の支持台53の前面と面一となる基台68を備えている。基台68の前面には移送用ローラ69が設けられ、送り戻し機構44の移送用ローラ65aによって移送された搬送台31は、移送用ローラ69によって搬入シャトル45に移送される。そして、搬入シャトル45に搬送台31が移送されると、移動体67は後位置から前位置(図10に示す矢印F4方向)に移動する。そして、前位置に移動すると、搬入シャトル45は、移送用ローラ69によって搬送台31をライン本体42に移送する。
従って、こうした枠組立ライン装置41において搬送台31は、一旦搭載されると、「搬入シャトル45→ライン本体42→搬出シャトル43→移動体61→送り戻し機構44→搬入シャトル45→移動体67」の順で循環移動するようになっている。このため、作業者は、作業の度に搬送台31を枠組立ライン装置41に組み付ける必要がなく、また、自らの手によって作業開始位置(ライン本体42における搬入シャトル45側の端部)に搬送台31を移動させる必要がない。それゆえ、第1組付工程S2−1の作業効率が向上する。
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)例えば、単純にライン本体42によって搬送台31を後傾状態で支持した場合には、搬送台31に支持されている枠ベース12も後傾状態となるため、枠ベース12を[背景技術]で示したように寝かせた状態で支持した場合に比して、枠ベース12に組み付けられる上皿ユニット15及び下皿ユニット20がずり落ちやすくなる。よって、それら上皿ユニット15及び下皿ユニット20が完全にビス止め固定されるまでの間、作業者が両ユニット15,20を手で押さえておくなどの必要性が生じ、かえって作業効率を悪化させてしまう。しかし、本実施形態の枠ベース12は、上皿ユニット15及び下皿ユニット20を着脱可能または仮固定可能な構造を有している。そのため、両ユニット15,20を装着または仮固定しておくことでずり落ちが解消され、枠ベース12を搬送台31とともに何ら問題なく後傾させることができる。そして、このように枠ベース12及び搬送台31が後傾状態でライン本体42に支持されることにより、作業者は腰を曲げることなく上皿ユニット15及び下皿ユニット20を枠ベース12に取り付けることができる。よって、作業者への負担を最小限に抑え、かつ作業効率の向上を図ることができる。
また本実施形態によると、搬送台31の底面、即ち、底板部40に設けられた下側傷防止板39bが下側ローラ74により支持され、搬送台31の上部が上側ローラ50によって支持される。そのため、搬送台31の搬送時に、下側ローラ74や上側ローラ50との間に生じる摩擦を少なくすることができる。よって、搬送台31の搬送をスムーズに行うことができる。また、前記摩擦が少なくなるため、上側ローラ50及び下側ローラ74が磨耗しにくくなり、頻繁なメインテナンスが不要となる。ゆえに、枠組立ライン装置41のランニングコストの低減を図ることができる。
(2)本実施形態では、上側ローラ50及び下側ローラ74は、搬送台31側にではなくライン本体42側に設けられている。よって、元来重い搬送台31が、上側ローラ50及び下側ローラ74によってさらに重くなるのを防止することができる。
(3)本実施形態では、底板部40は台本体32の前面32dに対して垂直になっており、底板部40と台本体32とにより構成される部分は、側面視略L字状を呈している。そのため、底板部40と台本体32とにより構成される部分が例えば側面視略T字状を呈している場合よりも、台本体32を支持台53側に近づけることができる。よって、より安定的に搬送台31を下側ローラ74上に載置することができる。
(4)本実施形態では、底板部40は、台本体32にて下部支持柱33bとは別個に設けられており、下部支持柱33bから所定空間(所定距離)をおいて配置されている。よって、搬送台31に枠ベース12を載置した状態で、前記所定空間から枠ベース12の後方に手を伸ばして作業を行うことができる。
(5)本実施形態では、台本体32の下方中央に補強板71bが設けられているため、搬送台31の剛性が向上する。このため、必要に応じて、搬送台31の剛性を保持しながら、台本体32上の補強板71bの両側部にそれぞれ肉抜き孔A1(図6参照)などを設けることも可能となる。このようにした場合、搬送台31全体のさらなる軽量化が図られるため、底板部40を介して下側ローラ74にかかる荷重をさらに抑えることができる。また、搬送台31を搬送させる力がさらに少なくて済むようになるため、作業時における作業者の身体的負担をより確実に低減することができる。
(6)本実施形態では、上部支持柱33a及び下部支持柱33bが、アルミニウム合金などの軽金属によって構成されている。よって、上部支持柱33a及び下部支持柱33bの軽量化が図られるため、元来重い台本体32がさらに重くなるのを最小限に抑えることができる。なお、上部支持柱33a及び下部支持柱33bを中空状に構成すれば、上部支持柱33a及び下部支持柱33bのよりいっそうの軽量化が図られる。
(7)本実施形態の上部支持柱33a及び下部支持柱33bは押出成形または引抜成形されているため、押出または引抜と同時に蟻溝34a,34bを容易に形成することができる。また、蟻溝34a,34bにより、上部支持柱33a及び下部支持柱33bに凹凸が設けられるため、仮に上部支持柱33a及び下部支持柱33bが中空状であったとしても上部支持柱33a及び下部支持柱33bの強度を保持することができる。
(8)本実施形態の第1キャップ部材35a及び第2キャップ部材35bは、メッキ処理された鉄製部材である。そのため、第1キャップ部材35aと枠ベース12との間、及び、第2キャップ部材35bと枠ベース12との間に生じる摩擦力が、例えば樹脂製部材と比較した場合よりも小さくなる。第1キャップ部材35a及び第2キャップ部材35bとの摩擦により枠ベース12が傷付くのを回避することができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、上側転動体として上側ローラ50が用いられ、下側転動体として下側ローラ74が用いられていた。しかし、略球状のもの(例えばボール)や、ベルトコンベアのベルトの部分などを、上側転動体及び下側転動体の少なくとも一方として用いてもよい。
・上記実施形態では、底板部40は、台本体32にて下部支持柱33bとは別個に設けられていた。しかし、下部支持柱33bを省略するとともに、底板部40を、下部支持柱33bの機能を兼ねる構造(具体的には、底板部40の先端部に第2キャップ部材35bを設けた構造)に変更することにより、底板部40によって枠ベース12の下部を支持するようにしてもよい。このようにすれば、底板部40を下部支持柱33bとは別個に設けなくてもよくなるので、搬送台31の構造の簡素化及び軽量化を図ることができる。また、底板部40は、下側ローラ74に載置されるものであるため、そもそも剛性が高くなっている。よって、底板部40に下部支持柱33bとしての機能を持たせると、搬送台31によって枠ベース12を安定的に支持することができる。
・上記実施形態では、下側ローラ74が支持台53の前面における下方に設けられ、上側ローラ50が支持台53のガイド部55aに設けられていた。しかし、下側ローラ74を台本体32の下部に設け、上側ローラ50を搬送台31の上部に設けて、搬送台31を上下から挟んでもよい。
・上記実施形態において、台本体32に設けられる挿通孔の数を増やしてもよい。このようにすれば、別の挿通孔を用いて上部支持柱33aや下部支持柱33bを台本体32に連結することにより、上部支持柱33a及び下部支持柱33bの少なくとも一方が、台本体32の複数の位置に移動可能となる。
・上記実施形態の上部支持柱33a及び下部支持柱33bのうち少なくとも一方を、伸縮自在に構成してもよい。このようにすれば、遊技盤13などを組み付けた枠ベース12の大きさにあわせて上部支持柱33aや下部支持柱33bを伸縮させることにより、枠ベース12の背面からの突出部分が台本体32に接触したりするのを防止できる。
・上記実施形態では、搬送台31は、2本の上部支持柱33aと、2本の下部支持柱33bとを備えていた。しかし、各上部支持柱33a及び各下部支持柱33bのうち少なくとも一つを、複数の支持柱で構成してもよい。例えば、枠ベース12の下部左側を支持する下部支持柱33bを、枠ベース12の下端部を支持する支持柱と、枠ベース12の左端部を支持する支持柱とで構成してもよい。それとともに、枠ベース12の下部右側を支持する下部支持柱33bを、枠ベース12の下端部を支持する支持柱と、枠ベース12の右端部を支持する支持柱とで構成してもよい。
・上記実施形態では、ライン本体42の支持台53と送り戻し機構44の支持台64とが互いに平行に配置され、搬送台31をライン本体42と送り戻し機構44との間で移動させる搬出シャトル43及び搬入シャトル45が設けられていた。しかし、図12に示されるように、進行方向が異なる2つのライン本体42を設けて、それぞれの支持台53を側面視ハの字状に配置するとともに、一方のライン本体42の端部と他方のライン本体42の端部との間に、搬送台31を両ライン本体42間で移動させる搬送台方向転換移動装置(図示略)を設けてもよい。このようにすれば、どちらのライン本体42でも作業が可能となり、便利である。
・上記実施形態の枠組立ライン装置41は、枠ベース12を搬送するのに用いられていたが、外枠11やガラス保持枠14などの枠部材を搬送するのに用いてもよいし、パチンコ機10を搬送するのに用いてもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項1乃至4,9のいずれか1項において、前記ライン本体は、前記枠組立用搬送台に前記枠ベースを載置したときの高さが、作業者の腰から胸の間に位置するように構成されていること。
(2)請求項1乃至4,9,10、技術的思想(1)のいずれか1つにおいて、前記ライン本体は、前記枠組立用搬送台または前記遊技機用搬送台を複数台同時に並べて支持可能な長さを有すること。
(3)請求項3において、前記移動規制ローラは前記下側ローラとともに回転するように構成されていること。よって、技術的思想(3)によれば、移動規制ローラによって枠ベースの背面側に駆動力を与えることができるため、枠ベースを容易かつ確実に搬送することが可能となる。
(4)請求項4において、前記ガイド部は前記上側転動体を支持する支持手段を兼ねていること。
(5)請求項5乃至8のいずれか1項において、前記台支持部は前記枠ベースの底面に接触する下側ローラであり、前記下側ローラの回転軸方向において、前記下側ローラの寸法は前記底部の寸法よりも大きくなるように設定されていること。
(6)請求項5乃至8、技術的思想(5)のいずれか1つにおいて、前記台本体の前面を基準としたときの前記支持部の高さは、部品を取り付けた状態で前記枠ベースを前記枠組立用搬送台に載置した際に、前記支持部を構成する上側支持部及び下側支持部の枠ベース支持面からの部品の突出量よりも大きくなるように設定されていること。
(7)請求項7または8において、前記台本体を上下に分割した場合に前記台本体の上側部分にあたる位置であって、遊技機に設けられた突出部と接触しない位置または前記遊技機を構成する部品に設けられた突出部と接触しない位置に、前記上側支持部を設ける一方、前記台本体を上下に分割した場合に前記台本体の下側部分にあたる位置であって、前記遊技機に設けられた突出部と接触しない位置または前記遊技機を構成する部品に設けられた突出部と接触しない位置に、前記下側支持部を設けること。
(8)遊技機の前側を構成する各種部品が着脱可能または仮固定可能な構造を有する枠ベースと、前記枠ベースを支持する枠組立用搬送台と、前記枠組立用搬送台を後側に傾斜した後傾状態に支持しつつ搬送するライン本体とを備えた遊技機の枠組立ライン装置であって、前記枠組立用搬送台の下部に、前記枠組立用搬送台の搬送時に転動する下側転動体が設けられ、前記枠組立用搬送台の上部に、前記枠組立用搬送台の搬送時に転動する上側転動体が設けられることを特徴とする遊技機の枠組立ライン装置。
(9)遊技機またはそれを構成する枠部品を支持可能であり、遊技機用搬送装置のライン本体によって後側に傾斜された状態で支持されつつ搬送される搬送台であって、板状の台本体と、前記台本体の下端に設けられ、前記台本体の板厚よりも大きく、前記ライン本体の台支持部上に載置可能な底部と、前記台本体の前面に突設され、その先端部にて前記遊技機または前記枠部品を支持可能な支持部とを備えたことを特徴とする搬送台。
(10)遊技機の枠ベースを支持する枠組立用搬送台と、その枠組立用搬送台を後側に傾斜した後傾状態に支持しつつ搬送するライン本体とを備えた遊技機の枠組立ライン装置を用いて、遊技機を製造する方法であって、前記ライン本体が有する下側転動体は、前記枠組立用搬送台の底面を支持しつつ前記枠組立用搬送台の搬送時に転動するようになっており、前記ライン本体が有する上側転動体は、前記枠組立用搬送台の上部を支持しつつ前記枠組立用搬送台の搬送時に転動するようになっていることを特徴とする遊技機の製造方法。