JP4444057B2 - パルス圧縮処理装置 - Google Patents
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(第1実施形態)
を算出する。フィルタ係数演算部30は、S/Nロス最小演算部(第1演算部)31とゼロサイドローブ演算部(第2演算部)32とから構成されている。
として生成する。このS/Nロス最小演算部31の出力は、ゼロサイドローブ演算部32に送られる。
に基づいて、さらに、サイドローブレベルをゼロに抑圧したゼロサイドローブ(サイドローブフリー)を実現するための係数データを第2係数ベクトル
として生成し、パルス圧縮フィルタ40に送る。
に従って、A/D変換器19から送られてくるI/Q信号(図の
)をパルス圧縮し、信号
として出力する。
の生成方法を説明する。まず、サイドローブフリーのパルス圧縮条件の導出について説明する。
レーダ信号処理装置のパルス圧縮処理装置20において、パルス圧縮フィルタ40への入力チャープ信号の時系列を
は送信チャープパルス内でのレンジ方向順のI/Qサンプリングデータを表す。これは、レーダ送信波形のレンジごとのサンプル値に相当する。
は、NタップのFIRフィルタ係数ベクトルとして、
(窓関数に相当する)を表す。ここで、「*」は複素共役を表し、「
」は対角行列を表す。
近年、パルス圧縮処理を式(2)に示すフィルタ係数を有するFIRフィルタを用いて実空間上で相関処理するよりも、フーリエ変換を介して周波数空間で処理する事が多くなっており、特に処理の効率上、式(1)で示す系列長Nよりも長い受信信号のサンプル系列に対して一括して周波数空間上で処理することが一般的である。さらに受信信号のサンプル系列は、広ダイナミックレンジの要求などからIF信号を高いサンプリング周波数で直接AD変換した後、デジタル処理で算出することが多用されている。これは、パルス圧縮比と同じ最小の系列ではなく、それよりも長い系列(細やかなサンプリング系列)のデータが入力される事を意味している。
であり、
は高速フーリエ変換のポイント数を表す。また、
はパルス圧縮フィルタ40の出力時系列のサンプル数(2N―1)よりも大きいことが必要なので、式(7)〜(14)に示す各量(ベクトル及び行列)には、FFTのポイント数
に合わせて0成分を付加している。このような周波数空間における処理は、広いレーダスイープレンジを対象として一括してフーリエ変換を適用できるため、レーダ装置への適用に好ましい。
は単位行列である。
を中心に片側
までの領域)に関しての出力(サンプル値)のみを許容し、それ以外のサンプル値を0(レンジサイドローブフリー)に置き換えたものとなっている。つまり、本発明においては、レンジサイドローブフリーの条件を満たすような出力ベクトルとして式(19)を設定する。この前提の下、式(18)の
が求める第2係数ベクトルである。
の算出を行う。
を乗じて、式(15)を利用すると、
を乗じると、
を乗じると、
は式(22)においてレンジサイドローブフリーの出力期待値ベクトル
を規定すればそれに応じて決定できることが分かる。さらに、出力期待値ベクトル
は係数ベクトル
から導出されるため、結果として、係数ベクトル
を決定すればそれに伴ってサイドローブフリーの第2係数ベクトル
を式(22)より導くことができる。
をパルス圧縮フィルタ40に送る。
上記ではサイドローブフリーとなる第2係数ベクトルの算出方法を示したが、一般には、このような方法ではノイズ環境下においてS/Nロスが著しいものと考えられる。そこで、次に、S/Nロスの最小化とサイドローブフリーの2つの条件を同時に満足するパルス圧縮係数ベクトルの算出式を導出する。式(1)で表されるパルス圧縮フィルタへの入力チャープ信号
の平均電力は、
ここで、Nは、式(1)で与えられる入力チャープ信号のサンプル数を表す。
の2次形式として
を乗じて、さらに式(39)を適用すると、
を乗じると、
を用いて、式(32)で与えられるサイドローブフリーの第2係数ベクトル
への変換を行えばよいことがわかる。これにより、サイドローブフリーでS/Nロス最小の係数ベクトルを第2係数ベクトルとして求めることが可能となる。
を算出し、ゼロサイドローブ演算部32に送る。そして、ゼロサイドローブ演算部32は、S/Nロス最小演算部31からの第1係数ベクトル
を式(32)で表されるサイドローブフリーの第2係数ベクトル
に代入することによって、S/Nロスを最小とするサイドローブフリーの係数ベクトルを第2係数ベクトルとして算出し、パルス圧縮フィルタ40に送る。
)として扱っているが、本発明の第2実施に係るパルス圧縮処理装置は、パルス圧縮フィルタにおける処理をフーリエ変換を介して周波数空間で実施するようにしたことを特徴とする。
図5(a)は本発明の第2実施形態に係るパルス圧縮処理装置の構成の一つの例を示すブロック図である。このパルス圧縮処理装置は、フィルタ係数演算部30aとパルス圧縮フィルタ40aとから構成されている。なお、第1実施形態に係るパルス圧縮処理装置と同一の構成部分にはそれらと同一の符号を付してある。
を生成する。このS/Nロス最小演算部31の出力は、ゼロサイドローブ演算部32に送られる。
に基づいて、さらに、サイドローブをゼロに抑圧したゼロサイドローブ(サイドローブフリー)を実現するための第2係数データ(第2係数ベクトル)
を生成する。これらS/Nロス最小演算部31およびゼロサイドローブ演算部32における第1及び第2係数ベクトル
の導出方法は、第1実施形態におけるそれと同じである。このゼロサイドローブ演算部32から出力される第2係数ベクトル
は、第1フーリエ変換処理部33に送られる。
に式(8)で表される高速フーリエ変換
を施した後に、得られた周波数空間上の係数ベクトル
をパルス圧縮フィルタ40aに送る。
に式(8)で表される高速フーリエ変換
を施した後に、得られた周波数空間上の入力信号
を乗算演算部42に送る。
に従って、第2フーリエ変換処理部41から送られてくる周波数空間上の高速フーリエ変換されたI/Q信号
を周波数空間でパルス圧縮し、得られた周波数空間上の出力ベクトル
を逆フーリエ変換処理部43に送る。
)に式(16)で表される逆高速フーリエ変換
を施した後に、得られた時間領域のデータ
を出力する。これにより、パルス圧縮フィルタ40aからは、第1実施形態と同等の信号
が出力される。
図5(b)に示すように、第2実施形態に係るその他の実施例として、図5(a)における第1フーリエ変換処理部を取り除く代わりに、ゼロサイドローブ演算部32aにその役割(すなわち、実空間上の第2係数ベクトル
に式(8)で表される高速フーリエ変換
を施すことによって周波数空間上の第2係数ベクトル
に変換すること)を担わせることもできる。すなわち、本実施例においては、式(32)の代わりに、式(32)の両辺に左からFFT演算マトリックス
を乗じた
を直接算出し出力するものである。従って、ゼロサイドローブ演算部32aの出力を時系列係数データ
ではなく、高速フーリエ変換を施した後の周波数軸上の第2係数データ
としてパルス圧縮フィルタ40aに送ることが可能となり、以下の処理は上記実施例1と同様に遂行される。
上述した第1実施形態および第2実施形態に示した手法により求められた、S/Nロスを最小化すると共にサイドローブフリーとなる係数ベクトルによるパルス圧縮処理をシミュレーションしたので、その結果を図6および図7に示す。シミュレーションは、線形チャープ変調パルス幅を64マイクロ秒、変調周波数幅を2.0MHzとして行った。
11 D/A変換器
12 ローカル発信器
13 送信側ミキサ
14 送信信号増幅器
15 サーキュレータ
16 空中線
17 受信信号増幅器
18 受信側ミキサ
19 A/D変換器
20 パルス圧縮処理部
30 フィルタ係数演算部
31 S/N最小演算部
32 ゼロサイドローブ演算部
33 第1フーリエ変換処理部
40 パルス圧縮フィルタ
41 第2フーリエ変換処理部
42 乗算演算部
43 逆フーリエ変換処理部
Claims (9)
- パルス内周波数変調が施された送信信号を受信する受信装置に設けられ、前記送信信号を受信信号として相関受信してパルス圧縮を行うパルス圧縮処理装置であって、
前記受信信号をパルス圧縮した波形の主ローブのピーク中央のサンプル点におけるSN比損失を最小にする条件となる第1係数ベクトルを算出する第1演算部と、前記第1演算部で算出された第1係数ベクトルに基づき主ローブのピーク中央のサンプル点および主ローブのピーク中央の両側に存在する複数のサンプル点を除くすべてのサンプル点のサンプル値を0にするような第2係数ベクトルを算出する第2演算部とを有するフィルタ係数演算部と、
前記フィルタ係数演算部で算出された第2係数ベクトルに従って前記受信信号をパルス圧縮するパルス圧縮フィルタと、
を備えることを特徴とするパルス圧縮処理装置。 - 前記送信信号は、線形チャープ信号から成ることを特徴とする請求項1記載のパルス圧縮処理装置。
- 前記送信信号は、非線形チャープ信号から成ることを特徴とする請求項1記載のパルス圧縮処理装置。
- パルス内位相変調が施された送信信号を受信する受信装置に設けられ、前記送信信号を受信信号として相関受信してパルス圧縮を行うパルス圧縮処理装置であって、
前記受信信号をパルス圧縮した波形の主ローブのピーク中央のサンプル点におけるSN比損失を最小にする条件となる第1係数ベクトルを算出する第1演算部と、前記第1演算部で算出された第1係数ベクトルに基づき主ローブのピーク中央のサンプル点および主ローブのピーク中央の両側に存在する複数のサンプル点を除くすべてのサンプル点のサンプル値を0にするような第2係数ベクトルを算出する第2演算部とを有するフィルタ係数演算部と、
前記フィルタ係数演算部で算出された第2係数ベクトルに従って前記受信信号をパルス圧縮するパルス圧縮フィルタと、
を備えることを特徴とするパルス圧縮処理装置。 - 前記パルス内位相変調信号は、量子化位相符号変調信号から成ることを特徴とする請求項4記載のパルス圧縮処理装置。
- パルス内周波数変調もしくはパルス内位相変調が施された送信信号を受信する受信装置に設けられ、前記送信信号を受信信号として相関受信してパルス圧縮を行うパルス圧縮処理装置であって、
前記受信信号をパルス圧縮した波形の主ローブのピーク中央のサンプル点におけるSN比損失を最小にする条件となる第1係数ベクトルを算出する第1演算部と、前記第1演算部で算出された第1係数ベクトルに基づき主ローブのピーク中央のサンプル点および主ローブのピーク中央の両側に存在する複数のサンプル点を除くすべてのサンプル点のサンプル値を0にするような第2係数ベクトルを算出する第2演算部とを有するフィルタ係数演算部と、
前記フィルタ係数演算部で算出された第2係数ベクトルに従って前記受信信号をパルス圧縮するパルス圧縮フィルタと、
を備え、
前記フィルタ係数演算部は、第2係数ベクトルをフーリエ変換する第1フーリエ変換部を備え、
前記パルス圧縮フィルタは、
前記受信信号をフーリエ変換する第2フーリエ変換部と、
前記第1フーリエ変換部からのフーリエ変換された第2係数ベクトルと前記第2フーリエ変換部からのフーリエ変換された受信信号とを周波数空間で演算して間接的にパルス圧縮する間接演算部と、
前記間接演算部からのパルス圧縮された受信信号を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換部と、
を備えることを特徴とするパルス圧縮処理装置。 - 前記フィルタ係数演算部は、
前記送信信号内でのレンジ方向順のI/Qサンプル値を要素
とするベクトル
は高速フーリエ変換演算行列、
は逆高速フーリエ変換演算行列、Tは転置行列、*は複素共役、αは任意の複素定数、
は任意の設計パラメータ、
、
は高速フーリエ変換のポイント数を表す)で算出される
を第2係数ベクトルとして出力することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のパルス圧縮処理装置。 - パルス内周波数変調もしくはパルス内位相変調が施された送信信号を受信する受信装置に設けられ、前記送信信号を受信信号として相関受信してパルス圧縮を行うパルス圧縮処理装置であって、
前記受信信号をパルス圧縮した波形の主ローブのピーク中央のサンプル点におけるSN比損失を最小にする条件となる第1係数ベクトルを算出する第1演算部と、前記第1演算部で算出された第1係数ベクトルに基づき主ローブのピーク中央のサンプル点および主ローブのピーク中央の両側に存在する複数のサンプル点を除くすべてのサンプル点のサンプル値を0にするような第2係数ベクトルを算出する第2演算部とを有するフィルタ係数演算部と、
前記フィルタ係数演算部で算出された第2係数ベクトルに従って前記受信信号をパルス圧縮するパルス圧縮フィルタと、
を備え、
前記フィルタ係数演算部は、第2係数ベクトルをフーリエ変換し、フーリエ変換された第2係数ベクトルを出力し、
前記パルス圧縮フィルタは、
前記受信信号をフーリエ変換するフーリエ変換部と、
前記フィルタ係数演算部からのフーリエ変換された第2係数ベクトルと前記フーリエ変換部からのフーリエ変換された受信信号とを周波数空間で演算して間接的にパルス圧縮する間接演算部と、
前記間接演算部からのパルス圧縮された受信信号を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換部と、
を備えることを特徴とするパルス圧縮処理装置。 - 前記フィルタ係数演算部は、
前記送信信号内でのレンジ方向順のI/Qサンプル値を要素
とするベクトル
は高速フーリエ変換演算行列、
は逆高速フーリエ変換演算行列、Tは転置行列、*は複素共役、αは任意の複素定数、
は任意の設計パラメータ、
、
は高速フーリエ変換のポイント数を表す)で算出される
をフーリエ変換された第2係数ベクトルとして出力することを特徴とする請求項8項記載のパルス圧縮処理装置。
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