JP4443018B2 - 椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一又は複数の操作部を具備し、背を後傾させるなど複数の姿勢をとることができる椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、椅子やデスク等の家具において、操作性や使い勝手を向上させたりコンパクト化を図ったりする等の目的から、背座や天板を可動にし、しかもその動きを単純な円運動や直線運動ではない複雑な動きにすることが行われている。そして、そのような動きを実現するための機構として、リンク機構が使用される場合がある。
【0003】
かかるリンク機構は、複数のリンクメンバをそれぞれ回転可能に連結し構成されるものであるが、例えば座や背あるいは天板等を動かすために、支持強度やバランスの点を考慮して、各リンクメンバをそれぞれ左右に一対設け、対応する各リンクメンバ同士を同期動作させるべく横架材等で連結することも行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造であると、左右のリンクメンバ間に配置した種々の内部機構が外方から見えることになり、外観上問題となる場合がある。また、グリースが手に付いたりすることもある。さらに言えば、リンクメンバが左右に一対あるので、このリンク機構を介して背座等を駆動するための駆動機構や伝達機構等を設けたりする場合に、それら機構を左右に一対設けなくてはならなくなったり、あるいはそれら機構を中央に配置するために、リンク機構間に新たに横架材等を設けたりしなければならなくなったりする。
【0005】
また、外観性等にかかる上述した問題を解決すべく、単純にカバーで覆うことも考えられるが、覆うべき対象がリンク機構であり、リンクメンバが移動することを考えると、必要以上にカバーが大きくなったり、カバー形状が複雑になったりすることも考えられる。
【0006】
本発明は上記問題を解決し、背座等に代表される可動部分の支持強度やバランス性等を保ちつつ、外観性を向上させるために、離間させて配置した一対のリンク部に跨るように目隠し要素を固定し、この目隠し要素によって、内部機構の一部又は全部が隠れるようにしたものである。
【0007】
すなわち、本発明に係る椅子は、可動部分を有し、この可動部分をリンク機構を利用して動かすようにしている椅子において、そのリンク機構を、離間且つ対面させて配置した左右一対の板状のリンク部を座受の前端部に有するものとするとともに、これら板状のリンク部間に跨るように目隠し要素を固定し、この目隠し要素によって内部機構の一部又は全部が隠れるようにしたことを前提とする。
【0008】
このような前提のものであれば、リンク機構そのものにカバー的な要素を兼ねさせることとなるため、無理なく種々の内部構造を目隠し要素により隠して、外観性を向上させることができるうえ、グリースが手に付いたりすることを防止できる。さらに言えば、一対のリンク部を有していることから、可動部分を支持するための支持強度やバランスの点でも優れたものとすることができる。加えて、この目隠し要素の適宣部位に、駆動機構や伝達機構等を接続したりすることができるようになるので、設計の自由度が向上し、部材の削減も図れるようになる。
【0009】
ここで「内部機構」とは、リンク部間に配置された駆動機構や伝達機構等のことである。
【0010】
本発明の効果を特に顕著にするための家具としては、可動部分たる背及び座をリンク機構を利用してロッキング動作させるように構成した椅子を挙げることができる。
【0011】
家具の場合、前方からの見映えが特に外観に影響するが、この前方からの見映えを良好にするには、リンク機構が、下リンクメンバ、上リンクメンバ、後リンクメンバ及び前リンクメンバから構成されたものであって、少なくともこの前リンクメンバをリンク部とし、左右一対の前リンクメンバに跨るように目隠し要素を固定したものが好ましい。
【0012】
強度上及び製造上好ましい本発明は、リンク部の対応する端部間を連結する円筒状の軸受部材を、当該リンク部及び目隠し要素に一体に設けていることを特徴としている。
【0013】
具体的実施態様としては、目隠し要素が板状のものであり、リンク部の略全長に亘って固定されているものを挙げることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態を示す椅子1の全体側面図である。この椅子1は、ベース脚2と、このベース脚2に取り付けられた支基3と、この支基3に支持された座4及び背5とを基本的に備えたもので、機能的には、図1、図2に示すように、背座を連動してロッキングさせるための背座ロッキング機能を少なくとも有する。
【0016】
各部を詳述すると、支基3は、底板3aとこの底板3aの側縁部から一体に起立する一対の起立板3bとを有するもので、ベース脚2を構成する支柱2aの上端部に支持されて、側面視、斜め前方に延びるように配置されている。
【0017】
座4は、枠状をなす座受4a上にクッション体等を装着してなるものである。
【0018】
背5は、枠状をなす背支桿5aの表側に張り部材5bを装着してなるものであり、外観上、座4の後縁から連続して立ち上がる形状をなす。そして、この張り部材5bのテンションを利用して、背もたれ面にクッション性をもたせている。
【0019】
背座ロッキング機能は、図1、図2に示すように、座4及び背5を、通常使用位置(図1に示す)と最後傾位置(図2に示す)との間で、連動させて傾動移動させる機能であって、前記支基3と、座4及び背5との間に介在させた四辺リンク機構K1を利用して、背5を後方へ傾動動作させると、それに連れて座4が後傾しつつ後方へ移動するようにしたものである。
【0020】
この四辺リンク機構K1は、図1等に示すように、着座面の下方に配置され、4つのリンクメンバ6a〜6dの端部同士を支軸t1〜t4を介してそれぞれ回転可能に結合し、各結合点により側面視不等辺四角形が形成されるようにしたもので、支基3に下リンクメンバ6a、座受4aに上リンクメンバ6b、背支桿5に後リンクメンバ6cとしての機能をそれぞれ兼ねさせ、支基3と座受4aとの前端部間にリンク部たる専用の前リンクメンバ6dを配置してなる。
【0021】
この四辺リンク機構K1は、図1等に示すように、支基3に下リンクメンバ6a、座受4aに上リンクメンバ6b、背支桿5(後述する下部フレーム5c)に後リンクメンバ6cとしての機能をそれぞれ兼ねさせるとともに、支基3と座受4aとの前端部間に専用の前リンクメンバ6dを配置し、これら4つのリンクメンバ6a〜6dの端部同士を支軸t1〜t4を介してそれぞれ回転可能に結合して、各結合点により側面視不等辺四角形が形成されるようにしたものである。
【0022】
さらに本実施形態では、この背座ロッキング機能を作動可能状態と作動不能状態に切り替えるためのロッキング動作切替機構K2を設けている。このロッキング切替機構K2は、伸縮自在なフリー状態と、長さが固定されるロック状態とに切り替え可能な伸縮部材たる第1のガススプリングGS1を利用して構成したもので、そのガススプリングGS1の一端部を支基3に回動自在に結合するとともに、その他端部を前リンクメンバ6dにおける支基3との結合点から偏位した部位に回動自在に結合したものである。本実施形態では、このガススプリングGS1をフリーにした状態では、その伸張力によって前リンクメンバ6dに前傾移動させる力が作用し、背5及び座4が前傾方向に付勢されるようにしてある。また、このガススプリングG1のロック状態とフリー状態との切替は、その端部に設けた図示しない切替ボタンを押引操作することにより行うことができるが、その切替ボタンは図示しない操作レバーにリンクワイヤを介して連結してあり、この操作レバーの操作によって、ガススプリングGS1の状態を切り替え、背5及び座4をロッキング動作させ得る作動可能状態と、背5及び座4を所望の角度で固定できる作動不能状態とに切り替えられるようにしてある。
【0023】
而して本実施形態では、図3〜図8に示すように、前リンクメンバ6dを左右に一対設け、この前リンクメンバ6d間に目隠し要素たる目隠し板7を横架させている。
【0024】
前リンクメンバ6dは、側面視長円状をなす板状長尺部材で、左右に貫通する軸挿入孔6d1を各端部にそれぞれ設けてなる。そして、その上端部を支軸t4により座受4aに回転可能に結合され、下端部を支軸t3により支基3に回転可能に結合されたものである。
【0025】
この目隠し板7は矩形板状をなし、各前リンクメンバ6dと一体のものであって、該前リンクメンバ6dの全長と略同一の縦寸法を有する。
【0026】
また、本実施形態では、前リンクメンバ6dの上端部間を連結する円筒状の第1軸受部材8を、前リンクメンバ6d及び目隠し板7に一体に設けている。
【0027】
一方、支基3には、その底板3aに円筒状の第2軸受部材9を一体に設けており、この第2軸受部材9の端面9aは、支基3の起立板内側面3b1から前リンクメンバ6dの下端部幅寸法と略同一距離離間するように設定してある。そして、第2軸受部材端面9aと起立坂内側面3b1との間に前リンクメンバ6dの下端部が挟み込まれた状態で、支基3と前リンクメンバ6dとが結合される。第2軸受部材9を支基3側に設けたのは、支基3の起立板3bや底板3aを薄肉にしても前リンクメンバ6dとの連結強度を保てるからであり、外観を良好にできるとともに軽量化も図れるからである。
【0028】
したがって、本実施形態によれば、リンク機構そのものにカバー的な機能を兼ねさせることとなるため、無理なく種々の内部構造を目隠し要素により隠して、外観性を向上させることができるうえ、グリースが手に付いたりすることを防止できる。さらに言えば、左右一対のリンクメンバ6a〜6dを有していることから、背座4,5の支持強度やバランスの点でも優れたものとすることができる。
【0029】
加えて、この目隠し板7の適宣部位に、駆動機構や伝達機構等を接続することができるので、従来のようにそれら機構を左右に一対設けたり、あるいはそれら機構を中央に配置するためにリンクメンバ6d間に新たに横架材等を設けたりする必要がなくなる。例えば、図8に示すように、ガススプリングGS1の端部を、この目隠し板7の内面中央部分に回動可能に結合すること等ができるうえ、目隠し板7が面状で広がりを有するため、その他に機構を追加したりする場合でも、容易に行うことができる。したがって、設計の自由度が向上し、部材の削減も図れるようになる。
【0030】
なお本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、前リンクメンバの上端部間を一体に連結する円筒状の第1軸受部材を設けていたが、さらに前リンクメンバの下端部間を一体に連結する軸受部材を設けてもよい。この場合は支基側に設けた軸受部材は不要となる。
【0032】
さらに、本発明は椅子に限らず、対にしたリンクメンバを有する家具であれば、適用して同様の効果を奏し得る。例えば、フラップ天板を有しこの天板をフラップ動作させるために天板下面にリンク機構を有するデスクなどに適用可能である。
【0033】
また、リンク部は側面視長円状のものに限られず、図9に示すように、例えば扇形のものとして、その姿勢に拘わらず、結合されるべき支持部材(例えば支基3)との間に、側面視鋭角部分が形成されないようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上に詳述したように本発明によれば、リンク機構そのものにカバー的な要素を兼ねさせることとなるため、無理なく種々の内部構造を目隠し要素により隠して、外観性を向上させることができるうえ、グリースが手に付いたりすることを防止できる。さらに言えば、一対のリンク部を有していることから、可動部分を支持するための支持強度やバランスの点でも優れたものとすることができる。加えて、この目隠し要素の適宣部位に、駆動機構や伝達機構等を接続したりすることができるようになるので、設計の自由度が向上し、部材の削減も図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における椅子を示す概略全体側面図。
【図2】同実施形態における椅子を示す概略全体側面図。
【図3】同実施形態における前リンクメンバ等を示す部分拡大斜視図。
【図4】同実施形態における前リンクメンバ等を示す部分拡大側面図。
【図5】同実施形態における前リンクメンバ等を示す分解斜視図。
【図6】同実施形態における前リンクメンバ等を示す分解斜視図。
【図7】同実施形態における前リンクメンバの回転状態を示す部分拡大斜視図。
【図8】同実施形態における目隠し板にガススプリングを装着した状態を示す部分斜視図。
【図9】本発明の他の実施形態における前リンクメンバ等を示す部分拡大側面図。
【符号の説明】
1・・・椅子
4・・・可動部分(座)
5・・・可動部分(背)
K1・・・リンク機構
6d・・・リンク部(前リンクメンバ)
7・・・目隠し要素(目隠し板)
8・・・軸受部材
Claims (3)
- 可動部分たる背及び座をリンク機構を利用してロッキング動作させるように構成した椅子において、そのリンク機構を、離間且つ対面させて配置した左右一対の板状のリンク部を座受の前端部に有するものとするとともに、これら板状のリンク部間に跨るように矩形板状をなす目隠し要素を固定し、この目隠し要素によって、内部機構の一部又は全部が隠れるようにして、当該板状のリンク部の対応する端部間を連結する円筒状の軸受部材を、当該リンク部及び目隠し要素に一体に設けたことを特徴とする椅子。
- リンク機構が、下リンクメンバ、上リンクメンバ、後リンクメンバ及び前リンクメンバから構成されたものであって、少なくともこの前リンクメンバをリンク部とし、左右一対の前リンクメンバに跨るように目隠し要素を固定した請求項1記載の椅子。
- 目隠し要素が板状のものであり、リンク部の略全長に亘って固定されている請求項1又は2記載の椅子。
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