JP4442972B2 - 粉体の固定化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は基材に粉体を固定化する方法に関し、特に、簡便な装置で容易に粉体を固定化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
基材に種々の機能性を付与するため、その表面を改質した材料が従来から注目を集めている。例えば、光触媒として知られる酸化チタンは、紫外線のエネルギーを使って空気中の酸素や水から活性酸素を生成し、その強い酸化力によって表面に付着した種々の有機物を分解して細菌を殺したり、臭いの成分を分解する作用を有するので、基材表面に酸化チタン粉末を固定化させることにより抗菌性や脱臭機能、汚れ防止機能を付与させることができる。またハイドロキシアパタイト、シリカ、ゼオライト等は吸着特性を有することから、基材表面にこれらを固定化させることで吸着材としての機能を付与させることができる。この他にも基材表面に種々の物質を固定化させることで基材表面に新たな機能を付与させることができる。
【0003】
種々の機能を有する粉体を基材表面に固定化させるには接着剤や粘着物質等を利用して基材表面に付着させる方法や強い衝撃力を加えて基材に粉体を埋入させる方法(物理的固定化方法)等が用いられてきた。前者では接着力が弱く、耐熱性が問題となることもあり、固定化された粉体の脱離も起こることが予想される。また、後者では強い衝撃力を与えるための装置が大掛かりなものとなり、粉体の種類や基材の種類も制限される。
【0004】
また溶射により粉体を基材に吹き付けて固定させる方法では吹き付け力が大きいため粉体が基材にもぐり込んでしまい、表面に裸出する粉体の割合が小さくなってしまう。さらに基材の変形等も生じるため好ましくない。
【0005】
従って、本発明の目的は大掛かりな装置を必要とせず、基材上に粉体を容易に固定させる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、粉体を基材表面に固定化するにあたり、固定化する粉体中に基材を埋入させ、10〜500 gf/cm 2 で加圧しながら基材の軟化点付近で熱処理を施すと、粉体を基材に固定化できることを発見し、本発明に想到した。
【0007】
すなわち、本発明の粉体の固定化方法は、基材を粉体中に埋入して前記粉体を10〜500 gf/cm 2 で加圧しながら前記基材の軟化点以上で熱処理することを特徴とする。
【0008】
本発明の粉体の固定化方法の好ましい一例は、基材がガラス又は高分子物質のような軟化性を有する素材からなり、粉体が基材の軟化点以上で仮焼されているのが好ましい。このような粉体としては酸化物粉体、窒化物粉体、炭化物粉体、リン酸カルシウム系粉体のいずれか又はこれらを2種以上混合してなるものが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の粉体の固定化方法は、粉体中に基材を埋め込んだ状態で加圧しながら熱処理するもので、高い密着性を維持した状態で粉体を基材表面上に固定させるものである。以下、本発明の粉体の固定化方法について詳細に説明する。
【0010】
[1] 粉体及び基材
(1) 粉体
本発明に使用する粉体はアルミナやチタニア等の酸化物粉体、窒化ケイ素や窒化チタン等の窒化物粉体、炭化ケイ素や炭化タングステン等の炭化物粉体又はハイドロキシアパタイトといったリン酸カルシウム系粉体等を使用するのが好ましく、これらを2種以上組合せても良い。
【0011】
上記粉体は固定化する前に、基材の軟化点以上に仮焼するのが好ましい。仮焼しない状態の粉体を使用すると、熱処理段階で粉体の収縮が起こり、基材表面に微細な突起が生じてひび割れ等が生じてしまうからである。
【0012】
また使用する粉体の粒径は1nm〜5mmの広い範囲で適用可能である。粉体の粒径や種類によって多層形成が可能であり、粒径が小さい程粉体固定層を薄く形成できる。
【0013】
(2) 基材
本発明の方法は基材の軟化点以上で10〜500gf /cm 2 で加圧、熱処理することで粉体を基材表面に固定するものである。つまり、基材を軟化させた状態で微加圧を行うことで、基材表面付近に存在する粉体の一部が基材表面に埋め込まれるようにして固定される。従って、軟化点を有するような材料であればいかなる材料でも使用できる。具体的にはガラスやポリエチレン、ポリカーボネートといった高分子物質等からなる基材を使用するのがよい。
【0014】
また基材の形状も特に限定されない。本発明の方法は、基材が粉体中に埋入しているので、加圧力が粉体を介して基材全体に均一に伝わる。従っていかなる形状のものでもその表面に粉体を固定することができる。また基材の一部だけに粉体を固定する場合は、固定しない部分をマスキングすればよい。これにより基材表面を固定化粉体で選択的に機能化することができる。
【0015】
[2] 粉体の固定化方法
本発明の方法に使用する容器5は、アルミナ製やステンレス製等を使用するのが好ましいが、本発明の方法で使用する加圧力は、10〜500gf /cm 2 と大きくないため耐圧製はあまり必要とせず、熱処理により変形等しなければいかなる材質、形状でも使用可能である。
【0016】
図1に示すように容器5に仮焼した粉体2を容器5の深さDの1/10〜1/3程度まで充填し、基材1をその上に置く。さらにその上に粉体2を充填する。次いで容器5に勘合する押圧子3を設置し手などを使って軽くプレスする。プレス後、熱処理中に微加圧するため、押圧子3の上にアルミナ製等のブロック4を載せて、基材1に10〜500gf/cm 2 の圧力がかかるようにする。ブロック4を載せた状態で大気炉で熱処理を施す。熱処理温度は基材の軟化点以上で、具体的には軟化点+(5〜100)℃とするのが好ましい。このような温度では基材1の表面は軟らかい状態となっている。従って、上記のような微加圧を施せば基材1の表面付近にある粉体2の一部が、図2(a) に示すように基材1の表面に埋め込まれるようにして固定される。
【0017】
ここで熱処理時間は5〜10分とするのが好ましい。5分より短いと粉体2の固定化が十分でなく、10分より長いと基材1が変形してしまうため好ましくない。本発明では熱処理時間が短いので基材1の変形を防止できるだけでなく、全体的な製造時間を短縮させることができる。
【0018】
熱処理後、放冷して容器5から基材1を取り出し超音波洗浄機や刷毛等で過度に表面に付着した粉体(粒子)2を取り除くと、図2(a) に示すように粒子2が基材1の表面に固定化され、図2(b) に示すように基材1の表面全体に粒子2が固定化した固定化基材が得られる。
【0019】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
実施例1
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に800 ℃で1時間仮焼したα−アルミナ粉体(粒径2〜3μm、(株)高純度化学研究所)150 g(深さ2cmまで)を充填し、次いでガラス基板(10mm×30mm、厚さ0.9mm 、軟化点708 ℃の硼珪酸ガラス)を設置した。さらにその上に上記α−アルミナ粉体を150 g(ガラス基板から2cmの位置まで)充填しガラス基板の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0021】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で300 gf/cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて750 ℃、5分間の熱処理を施した。
【0022】
熱処理後、自然放冷して容器から基板を取り出し、超音波洗浄機を使用して基板表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ガラス基板は、表面のみにアルミナ粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0023】
実施例2
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に500 ℃で1時間仮焼した酸化チタン粉体(ST-01 アナターゼ型、平均粒径7nm、石原テクノ(株))30g(深さ2cmまで)を充填し、次いでガラス基板(10mm×30mm、厚さ2mm、軟化点400 ℃の低融点ガラス)を設置した。さらにその上に上記酸化チタン粉体を30g(ガラス基板から2cmの位置まで)充填しガラス基板の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0024】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で300 gf/cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて500 ℃、10分間の熱処理を施した。
【0025】
熱処理後、自然放冷して容器から基板を取り出し、超音波洗浄機を使用して基板表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ガラス基板は、表面のみに酸化チタン粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0026】
実施例3
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に700 ℃で1時間仮焼したハイドロキシアパタイト粉体(平均粒径40μm)50g(深さ1cmまで)を充填し、次いでガラス基板(10mm×30mm、厚さ2mm、軟化点400 ℃の低融点ガラス)を設置した。さらにその上に上記ハイドロキシアパタイト粉体を50g(ガラス基板から1cmの位置まで)充填しガラス基板の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0027】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で100 gf/cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて500 ℃、10分間の熱処理を施した。
【0028】
熱処理後、自然放冷して容器から基板を取り出し、超音波洗浄機を使用して基板表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ガラス基板は、表面のみにハイドロキシアパタイト粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0029】
実施例4
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に500 ℃で1時間仮焼した炭化ケイ素粉体(粒径2〜3μm、(株)高純度化学研究所)40g(深さ1cmまで)を充填し、次いでガラス基板(10mm×30mm、厚さ2mm、軟化点400 ℃の低融点ガラス)を設置した。さらにその上に上記炭化ケイ素粉体を40g(ガラス基板から1cmの位置まで)充填しガラス基板の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0030】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で300 gf/cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて500 ℃、10分間の熱処理を施した。
【0031】
熱処理後、自然放冷して容器から基板を取り出し、超音波洗浄機を使用して基板表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ガラス基板は、表面のみに炭化ケイ素粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0032】
実施例5
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ5cm)の中に80℃で1時間仮焼した銀粉体(150 mesh、和光純薬工業(株))100 g(深さ1cmまで)を充填し、次いでポリエチレン基板(10mm×30mm、厚さ1mm、熱変形温度65℃)を設置した。さらにその上に上記銀粉体を100 g(ポリエチレン基板から1cmの位置まで)充填しポリエチレン基板の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0033】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で10 gf /cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて70℃、10分間の熱処理を施した。
【0034】
熱処理後、自然放冷して容器から基板を取り出し、超音波洗浄機を使用して基板表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ポリエチレン基板は、表面のみに銀粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0035】
実施例6
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に300 ℃で1時間仮焼したハイドロキシアパタイト粉体(平均粒径200 μm)50g(深さ1cmまで)を充填し、次いでポリカーボネート基板(10mm×30mm、厚さ1mm、熱変形温度135 ℃)を設置した。さらにその上に上記ハイドロキシアパタイト粉体を50g(ポリカーボネート基板から1cmの位置まで)充填しポリカーボネート基板の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0036】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で50 gf /cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて150 ℃、10分間の熱処理を施した。
【0037】
熱処理後、自然放冷して容器から基板を取り出し、超音波洗浄機を使用して基板表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ポリカーボネート基板は、表面のみにハイドロキシアパタイト粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0038】
実施例7
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に80℃で1時間仮焼した活性炭(平均粒径2mm)30g(深さ1cmまで)を充填し、次いでポリエチレン基板(10mm×30mm、厚さ1mm 熱変形温度65℃)を設置した。さらにその上に上記活性炭を30g(ポリエチレン基板から1cmの位置まで)充填しポリエチレン基板の周囲が活性炭で覆われるようにした。
【0039】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で10 gf /cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて70℃、10分間の熱処理を施した。
【0040】
熱処理後、自然放冷して容器から基板を取り出し、超音波洗浄機を使用して基板表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ポリエチレン基板は、表面のみに活性炭粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0041】
実施例8
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に700 ℃で1時間仮焼したハイドロキシアパタイト粉体(平均粒径40μm)を50g(深さ1cmまで)充填し、次いでガラス立方体(10mmの角立方体、軟化点400 ℃の低融点ガラス)を設置した。さらにその上に上記ハイドロキシアパタイト粉体を100 g(ガラス立方体の上面から1cmの位置まで)充填しガラス立方体の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0042】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で50 gf /cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて500 ℃、10分間の熱処理を施した。
【0043】
熱処理後、自然放冷して容器からガラス立方体を取り出し、超音波洗浄機を使用して表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ガラス立方体は、表面のみにハイドロキシアパタイト粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0044】
実施例9
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に700 ℃で1時間仮焼したハイドロキシアパタイト粉体(平均粒径80μm)を50g(深さ1cmまで)充填し、次いでガラス球体(φ8mm、軟化点400 ℃の低融点ガラス)を設置した。さらにその上に上記ハイドロキシアパタイト粉体を80g(ガラス球体の上部から1cmの位置まで)充填しガラス球体の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0045】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で500 gf/cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて500 ℃、10分間の熱処理を施した。
【0046】
熱処理後、自然放冷して容器からガラス球体を取り出し、超音波洗浄機を使用して表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ガラス球体は、表面のみにハイドロキシアパタイト粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0047】
実施例 10
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に600 ℃で1時間仮焼したゼオライト粉体(平均粒径20μm)20g及びハイドロキシアパタイト粉体(平均粒径40μm)20gの混合粉体(深さ1cmまで)を充填し、次いでガラス基板(10mm×30mm、厚さ0.9mm 、軟化点400 ℃の低融点ガラス)を設置した。さらにその上に上記ゼオライト粉体20g及びハイドロキシアパタイト粉体20gの混合粉体(ガラス基板から1cmの位置まで)を充填しガラス基板の周囲がこれらの粉体で覆われるようにした。
【0048】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で200 gf/cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて500 ℃、10分間の熱処理を施した。
【0049】
熱処理後、自然放冷して容器から基板を取り出し、超音波洗浄機を使用して基板表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られた固定化ガラス基板は、表面のみにゼオライト粒子及びハイドロキシアパタイト粒子が固定されており、それらが裸出した状態であった。
【0050】
比較例1
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に700 ℃で1時間仮焼したハイドロキシアパタイト粉体(平均粒径40μm)を50g(深さ1cmまで)充填し、次いでガラス基板(10mm×30mm、厚さ0.9mm 、軟化点400 ℃の低融点ガラス)を設置した。さらにその上に上記ハイドロキシアパタイト粉体を50g(ガラス基板から1cmの位置まで)充填しガラス基板の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0051】
その後、プレス圧を加えずに無加圧状態のまま大気炉に入れて500 ℃、10分間の熱処理を施した。
【0052】
熱処理後、自然放冷して容器から基板を取り出し、超音波洗浄機を使用して基板表面上に過度に付着していた粒子を取り除いた。得られたガラス基板上には何も固定されておらず、熱処理前と変わらない状態であった。
【0053】
比較例2
アルミナ製容器(寸法:内径10cm、深さ10cm)の中に仮焼しなかった酸化チタン粉体(ST-01 アナターゼ型、平均粒径7nm、石原テクノ(株))を30g(深さ2cmまで)充填し、次いでガラス基板(10mm×30mm、厚さ2mm、軟化点400 ℃の低融点ガラス)を設置した。さらにその上に上記酸化チタン粉体を30g(ガラス基板から2cmの位置まで)充填しガラス基板の周囲が粉体で覆われるようにした。
【0054】
その後、アルミナ製の押圧子(φ10cm)を粉体上に設けて、その上から手で軽くプレスした。押圧子の上に全体で300 gf/cm2 の圧力が加わるようにアルミナ製のブロックを載せて、その状態で大気炉に入れて500 ℃、10分間の熱処理を施した。
【0055】
熱処理後、自然放冷して容器から取り出した基板は、熱処理による粉体の収縮のためひび割れた状態となっており、さらに基板の変形も見られた。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の方法によれば、基材が粉体中に埋入しているので、加圧力が粉体を介して基材全体に均一に伝わり、通常の板状のものから立方体や球体等の様々な形状のものでもその表面に粉体を固定することができる。また加える圧力が10〜500 gf/cm 2 と低いため大掛かりな装置を必要とせず、容易に基材表面に粉体を固定化させることができる。さらに本発明の方法で得られた基材は表面上からの粉体の脱離がないため、種々の分野への応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法を実施するための装置の構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の方法で得られる粉体固定化基材の一例を示す図であり、(a) は基材の断面を示し、(b) は基材の上面を示す。
【符号の説明】
1・・・基材
2・・・粉体(粒子)
3・・・押圧子
4・・・ブロック
5・・・容器
D・・・深さ
Claims (5)
- 基材を粉体中に埋入して前記粉体を10〜500 gf/cm 2 で加圧しながら前記基材の軟化点以上で熱処理することを特徴とする粉体の固定化方法。
- 請求項1に記載の粉体の固定化方法において、前記基材が軟化性を有する素材からなることを特徴とする粉体の固定化方法。
- 請求項2に記載の粉体の固定化方法において、前記軟化性を有する素材がガラス又は高分子物質であることを特徴とする粉体の固定化方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の粉体の固定化方法において、前記粉体が前記基材の軟化点以上で仮焼されていることを特徴とする粉体の固定化方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の粉体の固定化方法において、前記粉体が酸化物粉体、窒化物粉体、炭化物粉体、リン酸カルシウム系粉体のいずれか又はこれらを2種以上混合してなることを特徴とする粉体の固定化方法。
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