JP4441907B2 - 靭性に優れた熱間工具鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プレス金型やダイカスト金型、押出工具といった多種の熱間工具に供して最適な、靭性を向上させた熱間工具鋼と、その製造方法に関するものである。
従来、熱間工具の分野には、例えばJIS鋼種であるSKD61系の合金工具鋼が用いられていた。
さらに、合金工具鋼の靭性を改善することを目的として、改良することが提案されている。たとえば、不純物元素であるAlとNの含有量を低減することにより靭性を改善する手法が提案されており(特許文献1参照)、これは合金の成分組成のみを調整すればよいという点では優れたものである。
特開平07−102342号公報
上述した特開平07−102342号に開示される手法は、靭性を向上させる一助として有効ではある。しかし、上記手法のような、合金組成のみの調整を意識して靭性の向上を図る場合には、同様の成分調整を行なった合金工具鋼であっても、それらの間には靭性値にばらつきが生じ、靭性の低いものも発現することを本発明者は知見した。このように従来の手法には、靭性の向上手段において不十分な点があり、依然として検討の余地がある。
本発明の目的は、従来の手法をも補って、さらに優れた靭性を具備した熱間工具鋼と、それを達成するために最適な製造方法を提供することである。
本発明者は、上記の靭性の低下要因について検討したところ、それが凝固時の成分偏析が強く残ることによって生じる、靭性が劣る部位の存在に起因することを知見した。つまり、諸特性の付与の上で成分組成が最適に調整された合金であっても、組織中に偏析が強く残るという問題は、特に優れた靭性の求められる熱間工具鋼の実用化にとっての大きな問題となる。
そこで本発明者は、成分偏析によって靭性が劣るという問題を検討した。その結果、成分偏析を最適な度合い以内に制御した熱間工具鋼であれば根本的な靭性の劣化要因が排除されているから、靭性に多少の悪影響が懸念されるような元素種であっても他の諸特性の向上を優先して添加できるので、結果、適用域の広い熱間工具鋼として提供できる手段を確立した。そして、かつAlの含有量を所定の量以下に規定することを採用して、靭性を大きく改善できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、質量%でC:0.2〜0.7%、Cr:0.5〜7.0%、MoまたはWの1種あるいは2種を(Mo+1/2W)にて0.1〜6.0%、V:3.0%以下を含有する、JISに記載される成分組成の熱間工具鋼において、Alが0.04%以下に規制されかつ、基地組成のCrの偏析度合いが±0.2質量%以内、(Mo+1/2W)の偏析度合いが±0.08質量%以内、Vの偏析度合いが±0.07質量%以内であり、断面組織中に観察される最大径5μm以下の窒化アルミニウムが2500個/mm 以下(0個を含む)であること、好ましくはAlが0.015%以下に規制されていることを特徴とする靭性に優れた熱間工具鋼である。
そして、上記の本発明の熱間工具鋼を達成するために好ましい製造方法であって、再溶解法により得た、質量%で、C:0.2〜0.7%、Cr:0.5〜7.0%、MoまたはWの1種あるいは2種を(Mo+1/2W)にて0.1〜6.0%、V:3.0%以下を含有し、Alが0.04%以下に規制された、JISに記載される成分組成の熱間工具鋼の鋼塊および/または該鋼塊を熱間加工した鋼片に、1250℃以上の均質化熱処理を行なうことを特徴とする靭性に優れた熱間工具鋼の製造方法である。
本発明によれば熱間工具鋼の靭性を飛躍的に改善することができ、多種熱間の用途・環境に適用が可能な熱間工具鋼の実用化にとって欠くことのできない技術となる。
上述したように、本発明の重要な特徴は成分の偏析度合いを制御しかつ、Alの含有量を規定することを採用したことにある。すなわち、成分偏析を所定度内に制御した熱間工具鋼とすることで根本的な靭性の劣化要因を排除して、その上で、さらなるAl量の規制を行なうことが靭性の大幅な改善に繋がること、しかもAlの規制による靭性向上作用については、そのメカニズムまでをも明確にしたことでAlの必要規制量までもが評価でき、製造コストの調整も可能である。
最初に、本発明の根幹をなす成分の偏析度合いを規定する理由について説明する。靭性は熱間工具鋼にとっての重要特性の一つであり、基地の結晶粒が粗大になると靭性が劣化することから、結晶粒の成長抑制のために組織中に炭化物を形成させる。しかし、この炭化物の形成が粗大・多量になると、これは思わぬ靭性の劣化要因となる。これは、例えば造塊の段階で組織中に炭化物形成元素による中心偏析や逆V偏析などの成分変動の大きい偏析が起これば、その元素成分の濃化部では炭化物が粗大・多量に析出しやすくなり、これが靭性の劣化要因となり得るのである。よって、熱間工具鋼を対象とする本発明においては、合金成分中に必須に含まれる炭化物形成元素こその偏析を低減する必要がある。
Crは熱間工具鋼の炭化物形成元素として最も活用される元素である。よって、本発明では基地組成のCrの偏析度合いを規制することを必須とする。そして、Crに加えて、他の炭化物形成元素、例えばMo,W,Vといった元素も必要に応じ添加するのであれば、それら元素種の偏析度合いを規制する。本発明では、上記それぞれの炭化物形成元素の偏析度合いについては後述の通りであるが、Crは±0.2質量%以内とし、MoおよびWはその量を(Mo+1/2W)で評価して±0.08質量%以内、Vであれば±0.07質量%以内である。
ここで、偏析度合いを測定する一方法を以下に示す。例えば、X線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて各元素について線分析を行い、チャート図を得る。図1に一例としてCrのチャート図を示す。図1において、その横軸は分析した試料の測定幅(mm)であり、縦軸がCrの濃度と定性的に対応しているので、チャート図上で値が高い領域と低い領域を狙って、それぞれの領域を独立に測定できるように直径100μm以下の電子線を用いて改めて定量分析を行なえば、線分析を行なった領域でのCrの上限濃度と下限濃度が得られる。そこで本発明では、この線分析の長さは、例えば図1の横軸0mmから0.4mmにかけて見られるような大きな周期の成分偏析の間隔よりも十分に長い測定幅を取ることで、あとは得られた上限濃度と下限濃度の差を求め、基地組成における偏析度合いとして認知することができる。
例えばアーク炉等で溶解し、成分組成を調整した合金工具鋼の溶鋼を鋼塊に鋳造した普通造塊法の場合、通常、その鋳造組織中には中心偏析や逆V偏析などの成分変動の大きい偏析が起こる。そして成分の濃化部では、炭化物が粗大・多量に析出しやすくなっており、靭性が劣る要因となることは上述の通りである。本発明の熱間工具鋼は、例えば上記の造塊法のあとESR(エレクトロスラグ再溶解法)やVAR(真空アーク再溶解法)などの積層凝固による再溶解法を適用し、さらには再溶解後の鋼塊および/または該鋼塊を熱間加工した鋼片に対しては1250℃以上からの適性条件による均質化熱処理を施すことで、下記のAl含有量の規制による効果もあいまって、その達成が可能となる。
なお、上記の均質化熱処理は、大気中であってもその雰囲気にはこだわらないが、素材の酸化等による滅失を抑制する上で、例えば不活性ガスや還元性ガス等の雰囲気を適用してもよい。また、素材の滅失を抑制する点でいえば、均質化熱処理は、素材体積に比して露出する表面積の少ない鋼塊状態で行なうことがよい。さらに、均質化熱処理を行なう際の昇温速度および冷却速度は、鋼塊・綱片のサイズに合わせて適正な条件を種々選定できる。
次に本発明のもう一つの根幹をなすAlの含有量を規定する理由について説明する。Al量を低減させることで熱間工具鋼の靭性が向上する理由は、靭性を劣化させる組織中の窒化アルミニウム(AlNで示す)の含有量が減少するからである。熱間工具鋼の靭性向上手段にAlやNを低減する手法が提案されていることは述べたが、本発明者は、このような靭性に影響を及ぼす直接的要因は個々の成分組成にあるのではなく、むしろAlNという介在物要素にこそ大きく依ることを知見した。つまり、組織中のAlN量さえ低減すれば靭性は向上するのであって、AlNの含有量を低減するためには、Al量もしくはN量のどちらかを低減するだけでよい。
しかし、N量を低減するには根本的に溶製の際の脱ガス工程を長時間化するなどの高コストの工程が必要になるのに対して、Al量を低減するにはAlの添加量を減らせばよいだけであり、脱酸剤としての効力もそれを補う廉価手段が多々あることから、非常に簡便であるため、本発明ではAlの含有量こそを規定することを採用した。そして、Crに代表される炭化物形成元素の偏析度合いを調整した熱間工具鋼であれば、鋼中のAlを0.04%以下にさえ規制することで、Nの極低減を要せずとも熱間工具鋼として十分な靭性を確保できることを見いだした。本発明であれば、Nまでの極低減は不要であり、例えば100ppmや150ppm以上、さらには200ppm以上のN量であっても、優れた靭性の向上効果が得られる。
ここで靭性の劣化要因である組織中のAlNについては、本発明では、まずはその低減を鋼中のAl量を規制することで行なっている。しかし、熱間工具鋼の靭性を大きく向上させるのであれば、やはり組織中のAlN量自体を下げることが有効である。本発明の熱間工具鋼の場合、その断面組織中に観察される最大径5μm以下のAlNが2500個/mm以下(0個を含む)である。
断面組織中に観察される窒化アルミニウム(AlN)の一評価法を以下に示す。例えば図2に示すのは、EPMAを用いて熱間工具鋼の断面組織を観察したときの、反射電子線像(a)と、その同部位のAlのマッピング像(b)である(×1000倍)。これらの両像は後述する実施例の供試材Cのものである。このAlのマッピング像(b)中では、Alが高い粒子は色が白い部位として確認されるが、この際、Nのマッピング像も同時に得て、そのAl粒子との位置の対応を確認すれば、それが窒化アルミニウムとして特定できる。そして、窒化アルミニウムとして特定できた粒子(色が白いもの全て)の個数を数え、その個数を観察視野の面積で割ればよい。なお、窒化アルミニウムの大きさについては反射電子線像を観察することとし、図2の反射電子線像(a)の示す個々の窒化アルミニウムの最大径が5μm以下であることがわかる。
以下に、本発明の効果を最大限に活用するのに好ましい、熱間工具鋼の成分を限定した理由について、上述の要件も合わせ、詳細に説明する。
・C:0.2〜0.7質量%
Cは、一部が基地中に固溶して強度を付与し、一部は炭化物を形成することで耐摩耗性や耐焼付き性を高める重要な元素であることから、本発明の対象を熱間工具とする場合には、特に本発明の有用性を向上させる。また、固溶した侵入型原子であるCは、CrなどのCと親和性の大きい置換型原子と共添加した場合、I(侵入型原子)−S(置換型原子)効果;溶質原子の引きずり抵抗として作用し高強度化する作用も期待される。ただし、含有量が0.2質量%未満では工具部材として十分な硬さ、耐摩耗性を確保できなくなる。他方、過度の添加は靭性や熱間強度の低下を招くため上限を0.7質量%とする。
・Cr:0.5〜7.0質量%
Crは焼入れ性を高めて、また、炭化物を形成して基地の強化や耐摩耗性を向上させる効果を有することから、本発明の対象を熱間工具とする場合には、特に本発明の有用性を向上させる元素であり、少なくとも0.5質量%添加する必要がある。ただし、過度の添加は焼入れ性や熱間強度の低下を招くため、上限を7.0質量%とする。
・基地組成のCrの偏析度合いが±0.2質量%以内
Crは、凝固の際に凝固偏析が起こると、Cr濃化部では炭化物の析出量が極端に多くなって靭性を大きく低下させる。この場合、鋼中のAl量やAlN量自体を上述のように規定しても靭性を改善できないことが懸念される。靭性に優れた熱間工具鋼を提案する本発明では、靭性に影響を与えるCrの偏析度合いを±0.2質量%以内(すなわち上限濃度と下限濃度の差で0〜0.4質量%)、好ましくは±0.1質量%以内(同0〜0.2質量%)とする。
・MoまたはWの1種あるいは2種を(Mo+1/2W):0.1〜6.0質量%
MoおよびWは、炭化物を形成して基地の強化や耐摩耗性を向上させる効果を有する。ただし、WはMoの約2倍の原子量であることからMo+1/2Wで規定する(当然、いずれか一方のみの添加としても良いし、双方を共添加することもできる)。そして、上記した作用の顕著な効果を期待する場合は、Mo+1/2Wを0.1質量%以上とする。ただし、Moおよび/またはWの過度の添加は炭化物量を増加させ、靭性の低下を招くため、Mo+1/2Wの上限を6.0質量%とする。
・基地組成のMo+1/2Wの偏析度合いが±0.08質量%以内
MoおよびWは、凝固の際に凝固偏析が起こると、Moおよび/またはWの濃化部では炭化物の析出量が極端に多くなって靭性を大きく低下させる。よって、MoやWを添加するような場合では、Crと同様にその偏析度合いを調整する。靭性に優れた熱間工具鋼を提案する本発明では、靭性に影響を与えるMo+1/2Wの偏析度合いを±0.08質量%以内(すなわち上限濃度と下限濃度の差で0〜0.16質量%)とする。さらには±0.035質量%以内(同0〜0.07質量%)とすることが好ましい。
・V:3.0質量%以下
Vは、炭化物を形成し、基地の強化や耐摩耗性向上の効果を有する。また、微細な炭化物の形成により、結晶粒の微細化ひいては靭性の向上にも有効であるので、より顕著な効果を期待する場合は、含有量を0.1質量%以上とすることが望ましい。しかし他方では、過度に添加するとやはり靭性の低下を招くため、上限を3.0質量%とする。
・基地組成のVの偏析度合いが±0.07質量%以内
Vは、凝固の際に凝固偏析が起こると、V濃化部では炭化物の析出量が極端に多くなって靭性を大きく低下させる。よって、MoやWに同様、Vを添加するような場合でも、Crと同様にその偏析度合いを調整する。靭性に優れた熱間工具鋼を提案する本発明では、靭性に影響を与えるVの偏析度合いを±0.07質量%以内(すなわち上限濃度と下限濃度の差で0〜0.14質量%)とする。さらには±0.035質量%以内(同0〜0.07質量%)とすることが好ましい。
・Al:0.04質量%以下
Alは、精錬時に脱酸元素として使用され、不可避的に含有されることが多い。しかし、多量に含有すると、それが不純物量の域であってもAlNを形成して、靭性を劣化させ、特にNの含有量が多い場合に顕著となる。上述の通り、基地組成の偏析度合いが調整され、靭性が改善されている本発明の熱間工具鋼の場合、Nの含有量が多くてもAlを0.04質量%以下に規制することで靭性の向上効果が十分に得られる。好ましくは0.025質量%以下、さらに好ましくは0.015質量%以下である。
なお、本発明の熱間工具鋼の成分組成は、上述の成分を含む以外には、例えば必要に応じてSi、Mn、Ni、Coなどを添加することができる。具体的にはJISに記載される工具鋼組成の適用である。
・断面組織中に観察される最大径5μm以下のAlNが2500個/mm以下(0個を含む)である
上述の通り、AlNは熱間工具鋼の靭性を劣化させるため、本発明にかかる靭性に優れた熱間工具鋼の断面組織中に観察される最大径5μm以下のAlNは2500個/mm以下とする(0個を含む)。特に好ましくは500個/mm以下である。
表1に示した供試材A〜Cは、15トンのアーク溶解炉で一次溶解して造塊した電極を、ESRで再溶解して製造した鋼塊に、大気中1250℃以上での均質化熱処理を施したものである。この均質化熱処理は、供試材A〜Cの全てが本発明の偏析度合い内になる温度と時間等の一条件を設定した、同一の条件によるものである。そして、均質化熱処理後の鋼塊を分塊および熱間加工した焼鈍状態のものであって、供試材AおよびBは、本発明の偏析度合いおよびAlの含有量を満たした熱間工具鋼である。供試材Cは、本発明のAl規制域を越える比較鋼である。一方、本発明のAlの含有量を満たす供試材Dは、同様に一次溶解した後には、再溶解を行なわずに造塊した鋼塊に、供試材A〜Cに同条件の均質化熱処理と、続く分塊および熱間加工した焼鈍材である。供試材A〜Dの基本組成はSKD61に相当する。
最大径5μm以下の窒化アルミニウム(AlN)の個数は、既述の方法に従って、EPMAで観察した1000倍のAlマッピング像から測定した。なお、本製法で作製した場合、EPMAの反射電子線像による試料組織中には最大径5μmを超えるAlNは観察されなかった。そして、この反射電子線像では確認されるものの、特に微細な粒子については、その全てが本発明で規制する窒化アルミニウム(AlN)であるのかどうかを正確に分別することが困難であったことから、最大径0.5μm以上の粒子のみを測定した。それらの結果を、各元素における基地組成の偏析度合い(定量分析の際に用いた電子線の直径は100μm)と共に、表2に示す。
そして、表1の供試材A〜Dを、焼入れ焼戻し処理をして硬さを43HRCに合わせたあと、2mmUノッチシャルピー衝撃試験片に加工した。表3はシャルピー衝撃試験結果である。
造塊工程に再溶解法を適用しなかった供試材Dは、その鋼塊に供試材A〜Cと同条件の均質化熱処理を適用したが、本発明の偏析度合いを満たさず、シャルピー衝撃値に劣るものであった。そして、本発明の偏析度合いを満たす中であっても、Al含有量が本発明の範囲外である供試材Cと比べて、本発明鋼である供試材AおよびBはシャルピー衝撃値が優れている。中でも、Al含有量が好ましい量まで低減され、組織中の窒化アルミニウム量も極低化されている供試材Bは、比較鋼Cのおよそ2倍もの衝撃値を示した。
本発明を適用して熱間工具鋼の靭性を向上させることによって、プレス金型やダイカスト金型、押出工具といった多種の熱間工具への適用はもちろんのこと、さらに使用負荷が大きい金型等の熱間工具部材にも適用できる。
EPMAによる線分析で測定した熱間工具鋼中のCr濃度のチャート図であり、基地組成のCr偏析度合いを定性的に示す図である。 EPMAで観察した熱間工具鋼の断面組織であり、その反射電子線像(a)および分布するAlのマッピング像(b)である。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.2〜0.7%、Cr:0.5〜7.0%、MoまたはWの1種あるいは2種を(Mo+1/2W)にて0.1〜6.0%、V:3.0%以下を含有する、JISに記載される成分組成の熱間工具鋼において、Alが0.04%以下に規制されかつ、基地組成のCrの偏析度合いが±0.2質量%以内、(Mo+1/2W)の偏析度合いが±0.08質量%以内、Vの偏析度合いが±0.07質量%以内であり、断面組織中に観察される最大径5μm以下の窒化アルミニウムが2500個/mm 以下(0個を含む)であることを特徴とする靱性に優れた熱間工具鋼。
  2. 質量%で、Alが0.015%以下に規制されていることを特徴とする請求項1に記載の靭性に優れた熱間工具鋼。
  3. 再溶解法により得た、質量%で、C:0.2〜0.7%、Cr:0.5〜7.0%、MoまたはWの1種あるいは2種を(Mo+1/2W)にて0.1〜6.0%、V:3.0%以下を含有し、Alが0.04%以下に規制された、JISに記載される成分組成の熱間工具鋼の鋼塊および/または該鋼塊を熱間加工した鋼片に、1250℃以上の均質化熱処理を行なうことを特徴とする靱性に優れた熱間工具鋼の製造方法。
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