JP4441827B2 - 立体栽培用のシステム・タワー - Google Patents

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本発明は、つる性花木類、つる性野菜、つる性果菜等のつる性植物全般を僅かなスペースを使って安定した栽培を楽しむために、プランター本体に複数の貫通式の挿通孔を設けて、この孔から差し込んだ複数本の支柱を土の中に埋設して全体を支持させるプランターと、バードネットを兼ねる円筒状のネットの内側に複数個のリングを固定して形成し、複数本仕立てににした植物のつるや枝や果実をリングの範囲の内外に支持して整枝、摘芯、受粉をしながら上方へと立ち登らせて鑑賞栽培や観察栽培ができる立体栽培用の円筒形のリング付きネットと、植付け後の苗の保温をはかり初期の育成を促すホットキャップと、トマトの栽培中に被せておくと雨による病害虫を防げる雨除けキャップを形成するための大小2個のドーム型支柱と、土の中に埋設できない複数本の支柱の底面に取り付ける転倒防止用の底面ストッパーからなるシステムにより構成され、円筒形のリング付きネットは、土の中に埋設した複数本の支柱の外側に配置してリングに付属する紐を各支柱に縛り付けて連結することにより支持される。使用する支柱の太さは20ミリ、長さは栽培する植物の特徴に合わせて選ぶことができるものである。
従来、つる性植物のつるは成長にともなって親づるから子づるが発生し、子づるから孫づると伸び広がるために栽培スペースはかなりの広さを確保しなければならなかった。長い期間をかけて成長し続けるつるを安定して支持させたうえで、プランターに植えて栽培する方法はこれまでになく、例を見ない。
特開平5−319474公開特許公報(A) 実開平5−70255公開実用新案公報(U)
きゅうり等のつる性の野菜は、ほとんどが畑に植えられて地に這わせるか、合掌式に組立てた支柱に誘引した茎を紐で結えて支持して栽培されるが、この方法では栽培場所を大きく取るために、限られた広さの畑では他の野菜が栽培できなくなることや、1本2本といった少数の植物のつるを安定して支持することが難しく、敬遠されがちであった。
また、メロン類、小玉すいか等のつる性の果菜は、苗の植付け後に保温をして成長を促すことが栽培のポイントでもあり、ハウスやビニールトンネルでの栽培が主要となっている。気温が上がってつるが伸びだしたら摘芯をして整枝を行い、花が咲いたらより結実しやすくするために受粉を行い、腰を屈めて行う作業が多くて大変な中で、やっと迎える収穫の頃になると鳥が実を突いて食べてしまうといった被害も少なくなかった。
また、トマト類の栽培では、長雨に当ると病気が発生したり、裂果した実が腐ったり、色付く頃になると野鳥がやってきて実を突いたりして、収穫するまでの間にかなりの対策が必要とされていた。
以上の問題点を考慮したうえで、小さな庭等の僅かなスペースではプランターに植えて、小さな畑等では片隅を利用してのつる性植物全般を栽培するために安定したつるの支持方法と、プランターに植えて栽培する場合の、プランターを含めた栽培中の植物が倒れる恐れがない工夫をすることが課題であり、本発明はこの課題を解決するためのものである。
課題を解決する手段
本発明は、上記課題を解決するための手段として、プランター本体に設けた複数の貫通式の挿通孔から差し込んだ複数本の支柱を土の中に埋設して、全体を支持させることにより安定していて倒れる恐れがないプランターと、野鳥による被害から収穫物を守るバードネットを兼ねた円筒状のネットに、限られたスペースを使ってつる性果菜等のつるや枝や果実を立体的に整枝したり保護する、複数個のリングを固定した円筒形のリング付きネットと、苗の保温をするためのホットキャップと雨による病害虫を防ぐための雨除けキャップを形成する大小2個のドーム型支柱とからなる構成とした。また、土の中に埋設できない複数本の支柱の底面に取り付けて、テラス等でもつる性植物全般の栽培ができるように、底面ストッパーを用意した。
発明の効果
本発明は上記構成になり、まず、プランター本体に設けた複数の挿通孔から差し込んだ複数本の支柱を土の中に埋設して支持するようにしたから、プランターを含めた全体が安定しており、台風による強風に煽られても倒れる恐れがなく、つる性植物全般をプランターに植えて栽培できるようになった。
次に、円筒形のリング付きネットは上記プランターを使用するやしないに拘らず、土の中に埋設した複数本の支柱の外側に配置して各支柱と連結するから安定した支持がされる。通常は地に這わせて栽培するメロンや小玉すいか等のつる性果菜のつるを複数本仕立てにして、円筒形のリング付きネットの内外につるを結えたり絡ませたり、結実した果実をネット製の袋に入れて連結箇所に結えて保護し、立体的に整枝することができるので1本からの苗の栽培もできるし、多くの収穫も望める。
また、円筒形のリング付きネットによる立体栽培の特長として、栽培する植物に目線を合わせて成長の科程を観察しながら、整枝、摘心、受粉といった作業が比較的に楽な体勢で行うことができる。
また、円筒状のネットが野鳥による被害を防いでくれるバードネットの役割りを果たし、結実したメロン等の果実を収穫の日まで観賞することができるため、学校等での教育の一貫として、つる性植物全般における観察栽培や観賞栽培用としても的している。
次いで、大小2個のドーム型支柱の、小形は苗の植付け後にプランターに設けた挿通孔に嵌入するか、土の中に直に差し込んで取り付けた上から換気穴をあけたビニール袋を被せてホットキャップを作るために用意したもので、メロン類の幼苗時に爪羽虫による被害を防いだり、低温期の保温をはかり苗の育成を促すことができる。また、大形は円筒形のリング付きネットの天辺に載せて設置し、各支柱と固定して上から両サイドを切り開いた大きなビニール袋を被せて雨除けキャップを作るために用意したもので、一貫してトマト類の栽培に使用すると降雨による病害虫を防ぐことができ、切り開いてドーム型支柱の上から被せたビニール袋の上部両サイドは結び玉を作って丸味と馴染ませ、下部両サイドはネットに結び合わせて支持させると風に飛ばされず、大きく開いた合わせ目が通風をはかるので蒸れる恐れもなく、わき芽摘みや収穫も合わせ目からすることができる。
さらに、上記プランターと円筒形のリング付きネットに連結した複数本の支柱の底面に取り付け、風等による振動を吸収する底面ストッパーを用意したので、強風や烈風に煽られる恐れのない場所に限り、テラス、店頭、屋上等に設置して、つる性植物全般の栽培ができるようになった。
したがって、日照や通風といった植物を栽培するのに適した環境があれば畑の片隅、庭、玄関先、店頭、テラス、ベランダ、屋上といった幅広い場所を利用して、きゅうり、うり類、メロン類、小玉すいか、かぼちゃ、小丸冬瓜、トマト類、いんげん等の豆類、また、クレマチス、ミナロバータトケイソウ等の花類がプランターに植えて栽培することができる。
また、円筒形のリング付きネットは、栽培が済んだら植物を取り除き、各支柱との連結を解いて収納しておくと風雨による衰退も少なく、長年に渉って使用することができ、プランターは栽培用土を取り除いて空にした中に、防寒、防霜を必要とするアロエ等の植物を栽培する鉢ごと入れてドーム型支柱を取り付け、上から被せたビニール袋をプランターに設けた挿通孔の下の部分に紐で縛ると、風に飛ばされる恐れのない植物鉢用の防寒、防霜キャップを作ることができるので、プランターとドーム型支柱は年間を通して使用できるものである。
円筒形のリング付きネットとプランターで栽培する実施例の説明
地面のある庭等で、プランターを使用して栽培する場合は設置場所を平らに均してプランター1を置き、土の中に埋設する部分を含める150センチ以上200センチ位の長さの支柱5を必要本数用意して、プランター1の上面に設けた貫通式の挿通孔7から差し込んだ各支柱5を土の中に深く埋設する。ゆえに、全てが倒れる恐れがない支持がなされる。
地面を持たないテラス等にプランターを置いて栽培する場合は、100センチ以上130センチ位の長さの支柱5を必要本数用意して、一般的に市販されている支柱5の上下を逆にしてプランター1の上面に設けた貫通式の挿通孔7から差し込み、各支柱5の平らかなる下面に底面ストッパー13を取り付けて、強風や烈風に煽られる恐れのない場所に設置するとよい。
円筒形のリング付きネット2は埋設した複数本の支柱5の外側に配置して、最上段のリング3を各支柱5の上部より5センチ位下に位置させて、鉛直方向に付属の紐11で固く縛って連結する。2段目から以降のリング3も上段のネット4に弛みが生じないようにリング3を下に引っ張って調整をはかりながら固く縛り付けて連結し、連結の位置するところに誘引した子づるや、わき芽、果実を入れて保護するネット製の袋を結えて支持させる。きゅうり、メロン類、小玉すいか、白うり等のうり類、日本かぼちゃ、小丸とうがん等の1本の苗12の芯を止めて複数本仕立てにした子づるを、円筒形のリング付きネット2の外側に出し、各支柱5やネット4に誘引して紐で結えては上方へと登らせる。西洋かぼちゃは親づると一部の子づるに実が付くので摘芯はせず、円筒形のリング付きネット2の外周に親づるを螺旋状に巻き上げながら、各支柱5やネット4につるを結えて支持させる。インゲン等のつるありの豆類や、朝顔等の花類は、自力で支柱5やネット4に絡んでいく性質なので放任でよく、ミニトマト等のトマト類は、4、5節で芯を止めてわき芽を育て、円筒形のリング付きネット2の内側にして、各支柱5やネット4に誘引して紐で結えては上方へと登らせるという方法で、立体栽培をする。
小形のドーム型支柱6は、プランター1の中に栽培用土9を入れて苗12を植え付けてから、プランター1の上面の挿通孔7に嵌入して取り付け、上から換気穴をあけたビニール袋10を被せてホットキャップを作るために用意したもので、この状態の中で育った親づるの芯を止めて子づるが発生するのを待つ。暖かくなって子づるが育ったらホットキャップを外すが、メロン類と小玉すいかは、気温の上昇に応じて換気穴を少しずつ大きくしながら調整をはかり、発生した子づるがホットキャップの中に収まらなくなるぎりぎりまで被せておくとよい。
大形のドーム型支柱6は、円筒形のリング付きネット2の天辺に載せて各支柱5と固定した上から両サイドを切り開いた大きなビニール袋10を被せ、上部両サイドの角は結び玉を作って半球形に馴染ませ、下部両サイドの裾はネット4の一部に結び合わせて風に飛ばない雨除けキャップを形成しトマト類の栽培中に一貫して被せておくと、降雨による病害虫を防ぎ裂果による腐敗を防ぐ。また、大きく開いた合わせ目が通風をはかるので蒸れる恐れもなく、わき芽摘みや各支柱5への誘引や収穫は合わせ目からするとよい。
円筒形のリング付きネットを単品で使用する栽培の実施例の説明
栽培する場所に元肥等を施して植床の準備をしてから、埋設する支柱5の位置を決める。複数個連なるリング3をずらしてひとつだけ植床の上に置き、リング3に付属する紐11の位置の内側の土の上に印を付け、印の上から各支柱5を土の中に差し込んで埋設する。埋設した支柱5が上にいくに従って左右に乱れても、各支柱5の外側に配置した円筒形のリング付きネット2を連結することにより解消されるので差障りなく、埋設した各支柱5の高さが揃わなくても、円筒形のリング付きネット2の最上段のリング3を各支柱5と連結する時に、鉛直姿勢を保つようにすればよい。
小型のドーム型支柱6は、円筒形のリング付きネット2の裾を上げて苗12の植え付けをしてから土の中に直に差し込んで取り付け、その後の作業や栽培方法は上記の実施例1の説明に準じて行うとよい。
ハウスで出荷メロン等の栽培をするのに、摘芯や人工授粉をするためにつるを手繰り寄せたり、つるの間を歩かなくて済むのでつるの痛みもなく、全角度から陽が当るので玉直しは不要となり、出荷を目的とする大規模生産農家の栽培作業が、比較的に楽な体勢でできるようになる。
ビニールハウスの天井下に2本のレールを設備して、そのレールに間隔を開けて穴を空け、その穴に円筒形のリング付きネットの最上段のリングに付属する紐の位置を、ブラインド方式で上下させる方法により取り付けて、2本のレールに支持させた円筒形のリング付きネットを上から垂らして使い、収穫が済んだら天井に収納するという、昇降式を取り入れて使用することができる。したがって、農機での耕運作業の妨げにはならない。
全体図である。 雨除けキャップの形成図である。 挿通孔の拡大図である。 底面ストッパー使用の図である。 ホットキャップの形成図である。
符合の説明
1 プランター
2 円筒形のリング付きネット
3 リング
4 ネット
5 支柱
6 ドーム型支柱
7 挿通孔
8 土の中に埋設した部分
9 用土
10 ビニール袋(キャップ)
11 紐
12 苗
13 底面ストッパー

Claims (1)

  1. 本体の開口部の周縁の上面の内側から、本体を貫いて外側に出した下向きの貫通孔を複数個設けたプランターと、円筒状に形成したネットの内側に、複数個のリングを鉛直に配分してネットの格子目と固定して、ネットとリングを同一体とした円筒形のリング付きネットと、転倒防止用の底面ストッパーからなり、複数本の支柱によって合体される立体栽培用のシステムであって、前記プランターの貫通孔から差し込んだ前記複数本の支柱を土の中に埋設するか、転倒防止用の前記底面ストッパーに取り付けることにより前記支柱を立設し、立設した前記支柱に前記円筒形のリング付きネットを固定することで、形成したことを特徴とする立体栽培用のシステム。
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