JP4440827B2 - アンチワインドアップコントローラ - Google Patents

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Description

本発明は、操作量飽和によるコントローラのワインドアップ現象を補償するアンチワインドアップ技術に関するものであり、特に多入力多出力(MIMO)系に対して干渉を考慮した多変数制御を行う場合のアンチワインドアップコントローラに関する。
現実の制御系では、アクチュエータに飽和特性が存在することや制御対象を保護すること等の理由から、通常は操作量に上限値及び下限値という制限が設けられている。コントローラに積分モードや非常に遅いモードが存在する場合、上記の制限により操作量飽和が発生すると、コントローラが出力する操作量と制御対象に加えられる操作量との間に差異が生じるため、コントローラの動特性(ダイナミクス)は実際の制御対象の動特性から乖離してしまう。その結果、閉ループのステップ応答が過剰にオーバーシュートし、最悪の場合は不安定になるといった制御性能の劣化が生じる。このような現象をワインドアップという。
制御系がSISO(一入力一出力)系の場合は、操作量飽和の影響を受けるモードを容易に特定できるため、比較的容易にワインドアップ対策を講じることができる。しかし、MIMO系の場合、干渉を考慮した多変数制御を行う場合には、制御対象及びコントローラの干渉特性により操作量飽和の影響が複数のモードに伝播するため、ワインドアップ対策は非常に複雑かつ困難な問題となる。
このようなワインドアップ対策を施したコントローラ、すなわちアンチワインドアップコントローラの設計には、通常、最初に操作量飽和が存在しないものとして線形コントローラを設計し、後からアンチワインドアップ補償のための機能を付加するという手順が取られる。
アンチワインドアップを実現する技術としては、以下の方法が知られている。
(1)オブザーバによるフィードバックを用いる方法
これは、操作量飽和が発生したとき、コントローラのダイナミクスを実際の制御対象の動きと整合するように補償する。そのための手段として、コントローラが出力する操作量と制御対象に加えられる操作量との差をとってオブザーバゲインを乗じた信号をコントローラへ入力することにより、コントローラの内部状態を修正するオブザーバを使用する。このオブザーバによるアンチワインドアップコントローラの基本構成を図5に示す。
これは、線形コントローラ1に目標値rと制御対象2の出力yとの差を入力し、線形コントローラ1から出力される操作量uを制御対象2に入力するようにしたフィードバック制御系において、線形コントローラ1と制御対象2との間に飽和要素3が存在し、この飽和要素3にコントローラ1の出力操作量uが入力され、飽和要素3から出力される操作量u^を制御対象2に加える一方、飽和要素3の入力(コントローラ1の出力操作量)uと飽和要素3の出力u^との差をとってオブザーバ4でゲインを乗じた信号をコントローラへフィードバックすることにより、線形コントローラ1の内部状態を修正するものである。
このようなフィードバック方式のアンチワインドアップコントローラの例が、下記特許文献1に開示されている。これも、補償器を含むコントローラに対して、飽和要素の入力側の信号と出力信号との差をとってゲインを乗じた信号をフィードバックするように構成している。
(2)リファレンスガバナを用いる方法
これは、操作量飽和がそもそも発生しないように、コントローラに与える設定値を適宜修正するリファレンスガバナと呼ばれる機構を設ける。リファレンスガバナは、制御周期毎に、操作量をその制約条件(上下限値)から決まる不変集合の内に維持しつつ、元の設定値に最も近い修正設定値を最適化計算により求める。この場合の基本構成を図6に示す。
これは、線形コントローラ1に対し目標値(設定値)rと制御対象2の出力yとの差を入力し、線形コントローラ1から出力される操作量uを制御対象2に入力するようにしたフィードバック制御系において、線形コントローラ1と制御対象2との間に飽和要素3が存在し、この飽和要素3にコントローラ1の出力操作量uが入力され、飽和要素3から出力される操作量u^を制御対象2に加える一方、コントローラ1の入力側に設けたリファレンスガバナ5に目標値rとこの制御系の状態量xを入力し、リファレンスガバナ5の出力r^と制御対象2の出力yとの差を線形コントローラ1への入力とするものである。
特許第3513450号公報
上記の従来技術のうち(1)のオブザーバを構成してコントローラのダイナミクスを実際の制御対象の動きと整合するよう補償する方法では、コントローラとオブザーバが線形のロジックで表現されるものである。これに対し、操作量飽和という現象は制御系に非線形性を与える現象なので、線形理論によるオブザーバの設計指針を一意的に定めることは事実上不可能である。この場合、オブザーバの設計は、実際の制御系での操作量飽和の発生を調査しながら、試行錯誤的にオブザーバを設計するような手順にならざるを得ないため、制御系設計者にとって大きな負担となる。また、仮にオブザーバを適切に設計できなかった場合は、オブザーバの誤った推定値が外乱要素となり、最悪の場合は閉ループを不安定化するという問題が生じる。
上記特許文献1に開示されたアンチワインドアップコントローラも同様な問題があり、かつSISO系である。
一方、上記(2)のリファレンスガバナを設けて操作量飽和が発生しないように設定値を修正する方法では、最適化計算を実行する必要がある。この最適化計算は、いわゆる最適解の探索に相当する演算であり、通常のコントローラの演算量に比較して演算量が著しく大きくなる。また、最適化計算の演算量が状況に応じて増減する性質のものであるため、一定の制御周期で制御演算を動作させることが前提になるコントローラに適用するのは、実用上問題がある。
また、単純に常時ゆっくり制御動作をさせることにより、操作量飽和を発生させないようにする方法もあるが、この方法では、本来は操作量飽和が発生しないはずの領域においても、必要以上に制御性能を劣化させてしまうという問題がある。
本発明の目的は、特にMIMO系に対して干渉を考慮した多変数制御を行う場合の操作量飽和によるワインドアップ問題を解決するための手段として、コントローラ設計時にアンチワインドアップ補償のための特別な設計が不要であり、かつ制御演算実行時の計算負荷が小さくて演算量が安定しているアンチワインドアップコントローラを提供することである。
本発明の基本思想は、コントローラからの操作量を監視して操作量飽和の発生が予測される時に、実時間操作量が操作量の制限値(上限と下限のいずれか一方又は両方)と等しくなるように仮想時間操作量から時間軸関数値を算出して時間軸変換を行うことにより、操作量飽和をそもそも発生させないようにしたことである。
時間軸変換は、実時間システムを仮想時間システムに変換する時間軸関数値を1より大きくとると、仮想時間システムに比べて実時間システムが穏やかに動き、実時間操作量が小さくなるという効果をもたらす。これを利用して、仮想時間操作量が操作量の制限値を満足しているかどうかの判定により操作量飽和を生じていない場合には時間軸関数値を1とし、操作量飽和を生じていると判定された場合には、実時間操作量の要素の少なくとも1つが前記操作量の制限値の対応する要素と等しくなるように仮想時間操作量から時間軸関数の値を算出し、その関数値に基づいて仮想時間操作量を、操作量飽和を生じていない実時間操作量に変換する。
すなわち、本発明は、操作量飽和特性を有する制御対象をフィードバック制御する積分モードを含むコントローラにおいて、前記制御対象を、実時間システムを仮想時間システムに変換する時間軸関数により時間軸変換した仮想時間システムにおいて操作量飽和が存在しないものとして、フィードバック制御するコントローラであり、以下の各手段を備える。
[1]本発明の第1の態様では、
前記制御対象は、操作量をu(m次元ベクトル)、制御量をy(k次元ベクトル)、状態量をx(n次元ベクトル)、実時間をtで表わすとき、
Figure 0004440827
(Aはn×n行列、Bはn×m正則行列、Cはk×n行列)で定義され、
前記制御対象が操作量飽和特性を有しないものとして設計した線形コントローラの操作量算出演算を、実時間tと仮想時間τとの関係を表わす式
Figure 0004440827
で定義される時間軸関数sにより実時間システムを時間軸変換した仮想時間システムにおける操作量算出演算として用いて、仮想時間操作量vを算出する操作量算出手段と、
前記操作量算出手段で算出された仮想時間操作量vが操作量の上限値u max を上回るか、下限値u min を下回るかのいずれか一方の制約条件を満足している場合に操作量飽和を生じていると判定する判定手段と、
前記判定手段で操作量飽和を生じていないと判定された場合には、実時間から仮想時間への操作量変換を行わないようにするために前記時間軸関数sの値を1とし、操作量飽和を生じていると判定された場合には、実時間操作量uの要素の少なくとも1つが前記上限値u max と下限値u min のいずれか一方の対応する要素と等しくなるように、前記仮想時間操作量vが前記最大値u max より大きい場合は、
Figure 0004440827
前記仮想時間操作量vが最小値u min より小さい場合は、
Figure 0004440827
でそれぞれ定義される前記時間軸関数sの値を算出する時間軸関数値算出手段と、
前記時間軸関数sの値に基づいて、
Figure 0004440827
により、前記仮想時間操作量vを操作量飽和を生じていない実時間操作量uに変換する操作量変換手段と、
前記制御量yとその設定値rにより算出される仮想時間における前記線形コントローラの状態量ηの変化分δη=r−yと前記時間軸関数sの値を、
Figure 0004440827
適用して当該コントローラの状態量ηを更新する状態量更新手段
を備えたことを特徴とする
[2]本発明の第2の態様では、
前記制御対象は、操作量をu(m次元ベクトル)、制御量をy(k次元ベクトル)、状態量をx(n次元ベクトル)、実時間をtで表わすとき、
Figure 0004440827
(Aはn×n行列、Bはn×m正則行列、Cはk×n行列)で定義され、
前記制御対象が操作量飽和特性を有しないものとして設計した線形コントローラの操作量算出演算を、実時間tと仮想時間τとの関係を表わす式
Figure 0004440827
で定義される時間軸関数sにより実時間システムを時間軸変換した仮想時間システムにおける操作量算出演算として用いて、仮想時間操作量vを算出する操作量算出手段と、
前記操作量算出手段で算出された仮想時間操作量vが操作量の上限値u max を上回るか、下限値u min を下回るかのいずれか一方の制約条件を満足している場合に操作量飽和を生じていると判定する判定手段と、
前記判定手段で操作量飽和を生じていないと判定された場合には、実時間から仮想時間への操作量変換を行わないようにするために前記時間軸関数sの値を1とし、操作量飽和を生じていると判定された場合には、実時間操作量uの要素の少なくとも1つが前記上限値u max と下限値u min のいずれか一方の対応する要素と等しくなるように、前記仮想時間操作量vが前記最大値u max より大きい場合は、
Figure 0004440827
前記仮想時間操作量vが最小値u min より小さい場合は、
Figure 0004440827
でそれぞれ定義される前記時間軸関数sの値を算出する時間軸関数値算出手段と
前記時間軸関数sの値に基づいて、式
Figure 0004440827
により、前記仮想時間操作量vを操作量飽和を生じていない実時間操作量uに変換する操作量変換手段と、
前記制御量yとその設定値rにより算出される仮想時間における前記線形コントローラの状態量ηの変化分δη=r−yと前記時間軸関数sの値を、式
Figure 0004440827
に適用して当該コントローラの状態量ηを更新する状態量更新手段と
を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、上記のようにコントローラの状態量ηを更新することにより、コントローラからの操作量を監視して操作量飽和の発生が予測される時に、操作量飽和を発生させないようにして、アンチワインドアップを実現することができる。このようなアンチワインドアップ補償のために追加された構成要素は、事実上全ての設計事項が自動的に確定する要素のみであるから、特別な設計が不要であり、従来のオブザーバを用いる手法で指摘したような問題は発生しない。
また、本発明には、最適化計算のような演算量が多くかつ状況に応じて演算量が増減するような構成要素が含まれないため、前述のリファレンスガバナを用いる手法について指摘したような問題も発生しない。
更に、本発明では、操作量飽和が発生しない領域においては、本来の適切に設計したコントローラを使用して制御を行うため、不必要に制御性能を劣化させることはない。
まず、MIMO系の制御対象を次のように状態空間で表現したシステムを考える。
Figure 0004440827
ただし、uは操作量(m次元ベクトル)、yは制御量(k次元ベクトル)、xは状態量(n次元ベクトル)、Aはn×n行列、Bはn×m行列、Cはk×n行列を表し、tは実時間である。
操作量uは、最大値umax(m次元ベクトル)及び最小値umin(m次元ベクトル)において飽和するものとする。ただし、以下の説明においては、操作量u、操作量の上下限値umax,uminに対して、条件u0<umax,u0>uminを満足する適当なバイアス値u0によるバイアス処理が施されているものとする。すなわち、操作量u、操作量の上下限値umax,uminをそれぞれu−u0,umax−u0,umin−u0に置き換える。例えば、制御開始時の操作量uの初期値をバイアス値u0とすることにより、通常この条件は満足される。同時に、制御量yのバイアス処理も適切に行われている必要がある。
ここで、上記システムに対して、次式
Figure 0004440827
で定義される時間軸関数sにより、実時間tから仮想時間τへの時間軸変換を施すと、式(1)は次のように変換される。
Figure 0004440827
[実施例1]
本実施例は、本発明の第1の態様に対応する。
例えば、半導体製造装置における熱処理プロセスで使用されるランプ加熱装置のように、ハロゲンランプによりウエハ表面を直接的に加熱する制御系においては、制御対象は、SISOの場合に1次遅れ系となり、MIMOの場合でもコントローラの状態量の数と操作量の数が等しくなることが多い。このような系においては、式1の行列Bは正方行列となり、多くの場合、行列Bは正則行列となる。このとき、
Figure 0004440827
により、実時間における操作量uから仮想時間における操作量vへ操作量変換を施すと、式(4)は次のように変換される。
Figure 0004440827
これで、上式(6)及び式(2)で表される仮想時間システムが得られた。この仮想時間システムに対して、一般的な種々の線形コントローラ設計手法を適用してコントローラを設計できる。例えば、LQG(Linear Quadratic Gaussian)制御設計手法により、次式(7)で表されるサーボコントローラを設計することができる。
v=Fx+Kη …(7)
ただし、ηはコントローラの状態量(k次元ベクトル)、Fはm×n行列、Kはm×k行列を表す。ここで、コントローラの状態量ηは、制御量yの設定値をr(k次元ベクトル)とすれば、次式
Figure 0004440827
のように時間軸を考慮した積分要素として表現される。
図1に本発明の実施例1の構成を示す。このアンチワインドアップコントローラは、以下の手段で構成される。
制御対象の状態量x及びコントローラの状態量ηから、実時間システムを仮想時間システムに変換する時間軸関数sにより時間軸変換した仮想時間操作量vを算出する操作量算出手段11、
上記仮想時間操作量vが操作量の上下限値umax,umin の制約条件を満足しているかどうかにより操作量飽和を判定する判定手段12、
操作量飽和を生じていないと判定された場合には時間軸関数sの値を1とし、操作量飽和を生じていると判定された場合には実時間操作量uが操作量の上下限値と等しくなるように仮想時間操作量vから時間軸関数sの値を算出する時間軸関数値算出手段13、
算出された時間軸関数sの値に基づいて、仮想時間操作量vを操作量飽和を生じていない実時間操作量uに変換する操作量変換手段14、
コントローラの状態量ηに対して状態量の変化分δη及び前記時間軸関数sの値を適用して状態量ηを更新する状態量更新手段15。
次に図2を参照して、実施例1による制御演算処理を説明する。
まず、操作量算出手段11により、制御対象の状態量x及びコントローラの状態量ηから、前記式(7)に基づいて仮想時間操作量vを求める(ST1)。ただし、ここで使用するηの値としては、前回の制御周期で後述のST9において状態量更新手段15により更新した値を使用する。また、次式(9)により、仮想時間軸におけるコントローラの状態量ηの変化分δηを求める(ST2)。
δη=r−y …(9)
次に、操作量飽和判定手段12により、仮想時間操作量vと操作量の最大値umax、最小値uminを比較し、次式(10)により操作量飽和が発生しているかどうかを判定する(ST3及び4)。
Figure 0004440827
ただし、iは操作量のインデックス(i番目の要素)を表す。
すなわち、測定或いは検出した操作量の値vi が最大値umax_i より大きいか否かの判定(ST3)と、同操作量の値vi が最小値umin_i より小さいか否かの判定(ST4)を行う。その判定結果に応じて、以下のように時間軸関数値算出手段13により時間軸関数sの値を求める。
(a)ST3及び4の判定で共に“No”のときは、操作量飽和が発生していない。この場合、
s=1 …(11)
とする(ST5)。
(b)ST3の判定で“Yes”のとき、仮想時間操作量vは最大値umaxより大きい。この場合、
Figure 0004440827
とする(ST6)。ただし、nは操作量の数を表す。
(c)ST4の判定で“Yes”のとき、仮想時間操作量vは最小値uminより小さい。この場合、
Figure 0004440827
とする(ST7)。ただし、nは操作量の数を表す。
次に、操作量変換手段14により、上記時間軸関数sの値を上式(5)に適用して、仮想時間操作量vを実時間操作量uに変換する(ST8)。式(5)によって得られる実時間操作量uは、次のとおりである。
(a)s=1のとき、u=v
Figure 0004440827
この操作量uを飽和要素3を通して制御対象2の入力とする。
一方、状態量更新手段15により、上記ST2で求めたδη=r−yと時間軸関数sの値を上式(8)に適用し、状態量ηの値を更新する(ST9)。
[実施例2]
本実施例は、本発明の第2の態様に対応する。
例えば、半導体製造装置における熱処理プロセスで使用されるヒータ加熱装置のように、ヒータによりウエハを載置するサセプタを加熱し、このサセプタを介してウエハを間接的に加熱する制御系においては、制御対象は、SISOの場合に2次遅れ系となり、MIMOの場合にはコントローラ状態量の数が操作量の数よりも多くなる。このような系においては、式(1)の行列Bは非正方行列となり、一般に非正則行列となる。このとき、或いは行列Bが正則行列の場合でも、次式
Figure 0004440827
により、上記システムに対して実時間における操作量uから仮想時間における操作量vへ操作量変換を施すと、前記式(4)は次のように変換される。
Figure 0004440827
ここで、s=1を代入すると、前記式(6)と同じ式(20)が得られる。
Figure 0004440827
これで、式(20)及び式(2)で表される仮想時間システムが得られた。この仮想時間システムに対して、一般的な様々な線形コントローラ設計手法を適用してコントローラを設計することができるが、例えばLQGにより、次式(21)で表されるサーボコントローラを設計できる。
v=Fx+Kη …(21)
ただし、ηはコントローラの状態量(k次元ベクトル)、Fはm×n行列、Kはm×k行列を表す。ここで、コントローラの状態量ηは、制御量yの設定値をr(k次元ベクトル)とすれば、次式
Figure 0004440827
のように時間軸を考慮した積分要素として表現される。
図3に本発明の実施例2の構成を示す。このアンチワインドアップコントローラは、以下の手段で構成される。
制御対象の状態量x及びコントローラの状態量ηから、実時間システムを仮想時間システムに変換する時間軸関数sにより時間軸変換した仮想時間操作量vを算出する操作量算出手段21、
上記仮想時間操作量vが操作量の上下限値umax,umin の制約条件を満足しているかどうかにより操作量飽和を判定する判定手段22、
操作量飽和を生じていないと判定された場合には時間軸関数sの値を1とし、操作量飽和を生じていると判定された場合には実時間操作量uが操作量の上下限値と等しくなるように仮想時間操作量vから時間軸関数sの値を算出する時間軸関数値算出手段23、
算出された時間軸関数sの値に基づいて、仮想時間操作量vを操作量飽和を生じていない実時間操作量uに変換する操作量変換手段24、
コントローラの状態量ηに対して状態量の変化分δη及び前記時間軸関数sの値を適用して状態量ηを更新する状態量更新手段25。
次に図4を参照して、実施例2による制御演算処理を説明する。
まず、操作量算出手段21により、制御対象の状態量x及びコントローラの状態量ηから、前記式(21)に基づいて仮想時間操作量vを求める(ST11)。ただし、ここで使用するηの値としては、前回の制御周期で後述のST19において状態量更新手段25により更新した値を使用する。また、次式(23)により、仮想時間軸におけるコントローラの状態量ηの変化分δηを求める(ST12)。
δη=r−y …(23)
次に、操作量飽和判定手段22により、仮想時間操作量vと操作量の最大値umax、最小値uminを比較し、次式(24)により操作量飽和が発生しているかどうかを判定する(ST13及び14)。
Figure 0004440827
ただし、iは操作量のインデックスを表す。
すなわち、測定或いは検出した操作量の値vi が最大値umax_i より大きいか否かの判定(ST13)と、同操作量の値vi が最小値umin_i より小さいか否かの判定(ST14)を行う。その判定結果に応じて、以下のように時間軸関数算出手段23により時間軸関数sの値を求める。
(a)ST13及び14の判定で共に“No”のときは、操作量飽和が発生していない。この場合、
s=1 …(25)
とする(ST15)。
(b)ST13の判定で“Yes”のとき、仮想時間操作量vは最大値umaxより大きい。この場合、
Figure 0004440827
とする(ST16)。ただし、nは操作量の数を表す。
(c)ST4の判定で“Yes”のとき、仮想時間操作量vは最小値uminより小さい。この場合、
Figure 0004440827
とする(ST17)。ただし、nは操作量の数を表す。
次に、操作量変換手段24により、上記時間軸関数sの値を上式(18)に適用して、仮想時間操作量vを実時間操作量uに変換する(ST18)。式(18)によって得られる実時間操作量uは、次のとおりである。
(a)s=1のとき、u=v
Figure 0004440827
この操作量uを飽和要素3を通して制御対象2の入力とする。
一方、状態量更新手段25により、上記ST12で求めたδη=r−yと時間軸関数sの値を上式(22)に適用し、状態量ηの値を更新する(ST19)。
上記実施例において、アンチワインドアップ補償のために追加された構成要素は、事実上全ての設計事項が自動的に確定する要素のみである。すなわち、実施例1においては、制御対象に操作量飽和特性が存在しないものと仮定した線形コントローラを設計する際に値が確定しているモデルパラメータA,Bを式(5),(12),(13)において使用しているが、アンチワインドアップ補償を実現するために新たに追加された設計及び調整が必要となるパラメータは全く存在していない。また、実施例2の場合は、そのモデルパラメータA,Bさえ使用していない。従って、制御対象に操作量飽和特性が存在しないものと仮定した線形コントローラの設計が終了した時点で、アンチワインドアップ補償器の構成要素は全て自動的に確定するので、特別な設計が不要である。
以上、実施例について説明したが、本発明は、MIMO系に限らず、SISO系に対しても適用可能である。
本発明の実施例1の構成を示す図。 実施例1の制御演算処理手順を示すフローチャート。 本発明の実施例2の構成を示す図。 実施例2の制御演算処理手順を示すフローチャート。 従来のオブザーバによるアンチワインドアップコントローラの構成を示す図。 従来のリファレンスガバナによるアンチワインドアップコントローラの構成を示す図。
符号の説明
11,21…操作量算出手段、12,22…操作量飽和判定手段、13,23…時間軸関数値算出手段、14,24…操作量変換手段、15,25…状態量更新手段。

Claims (2)

  1. 操作量飽和特性を有する制御対象をフィードバック制御する積分モードを含むコントローラにおいて、
    前記制御対象は、操作量をu(m次元ベクトル)、制御量をy(k次元ベクトル)、状態量をx(n次元ベクトル)、実時間をtで表わすとき、
    Figure 0004440827
    (Aはn×n行列、Bはn×m正則行列、Cはk×n行列)で定義され、
    前記制御対象が操作量飽和特性を有しないものとして設計した線形コントローラの操作量算出演算を、実時間tと仮想時間τとの関係を表わす式
    Figure 0004440827
    で定義される時間軸関数sにより実時間システムを時間軸変換した仮想時間システムにおける操作量算出演算として用いて、仮想時間操作量vを算出する操作量算出手段と、
    前記操作量算出手段で算出された仮想時間操作量vが操作量の上限値u max を上回るか、下限値u min を下回るかのいずれか一方の制約条件を満足している場合に操作量飽和を生じていると判定する判定手段と、
    前記判定手段で操作量飽和を生じていないと判定された場合には、実時間から仮想時間への操作量変換を行わないようにするために前記時間軸関数sの値を1とし、操作量飽和を生じていると判定された場合には、実時間操作量uの要素の少なくとも1つが前記上限値u max と下限値u min のいずれか一方の対応する要素と等しくなるように、前記仮想時間操作量vが前記最大値u max より大きい場合は、
    Figure 0004440827
    前記仮想時間操作量vが最小値u min より小さい場合は、
    Figure 0004440827
    でそれぞれ定義される前記時間軸関数sの値を算出する時間軸関数値算出手段と、
    前記時間軸関数sの値に基づいて、
    Figure 0004440827
    により、前記仮想時間操作量vを操作量飽和を生じていない実時間操作量uに変換する操作量変換手段と、
    前記制御量yとその設定値rにより算出される仮想時間における前記線形コントローラの状態量ηの変化分δη=r−yと前記時間軸関数sの値を、
    Figure 0004440827
    適用して当該コントローラの状態量ηを更新する状態量更新手段と
    を備えたことを特徴とするアンチワインドアップコントローラ。
  2. 操作量飽和特性を有する制御対象をフィードバック制御する積分モードを含むコントローラにおいて、
    前記制御対象は、操作量をu(m次元ベクトル)、制御量をy(k次元ベクトル)、状態量をx(n次元ベクトル)、実時間をtで表わすとき、
    Figure 0004440827
    (Aはn×n行列、Bはn×m正則行列/非正則行列のいずれも可、Cはk×n行列)で定義され、
    前記制御対象が操作量飽和特性を有しないものとして設計した線形コントローラの操作量算出演算を、実時間tと仮想時間τとの関係を表わす式
    Figure 0004440827
    で定義される時間軸関数sにより実時間システムを時間軸変換した仮想時間システムにおける操作量算出演算として用いて、仮想時間操作量vを算出する操作量算出手段と、
    前記操作量算出手段で算出された仮想時間操作量vが操作量の上限値u max を上回るか、下限値u min を下回るかのいずれか一方の制約条件を満足している場合に操作量飽和を生じていると判定する判定手段と、
    前記判定手段で操作量飽和を生じていないと判定された場合には、実時間から仮想時間への操作量変換を行わないようにするために前記時間軸関数sの値を1とし、操作量飽和を生じていると判定された場合には、実時間操作量uの要素の少なくとも1つが前記上限値u max と下限値u min のいずれか一方の対応する要素と等しくなるように、前記仮想時間操作量vが前記最大値umaxより大きい場合は、
    Figure 0004440827
    前記仮想時間操作量vが最小値uminより小さい場合は、
    Figure 0004440827
    でそれぞれ定義される前記時間軸関数sの値を算出する時間軸関数値算出手段と
    前記時間軸関数sの値に基づいて、式
    Figure 0004440827
    により前記仮想時間操作量vを操作量飽和を生じていない実時間操作量uに変換する操作量変換手段と、
    前記制御量yとその設定値rにより算出される仮想時間における前記線形コントローラの状態量ηの変化分δη=r−yと前記時間軸関数sの値を、式
    Figure 0004440827
    に適用して当該コントローラの状態量ηを更新する状態量更新手段と
    を備えたことを特徴とするアンチワインドアップコントローラ。
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