以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の概略図、図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の定着部の斜視図である。
図2において、11は本実施の形態における画像形成装置である。ここで、該画像形成装置11は、例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写機等であり、電子写真方式によって、印刷用紙、封筒、OHP(Over Head Projector)シート等の媒体上に白黒やカラーの画像を形成するようになっている。なお、前記画像形成装置11は、白黒画像を形成するものであってもよく、カラー画像を形成するものであってもよいが、ここでは、前記画像形成装置11がカラーLED(Light Emitting Diode)タンデム方式によってカラー画像を形成するものである場合について説明する。この場合、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応するそれぞれのLEDヘッド12及び感光体ドラム16を備える画像形成部としてのイメージドラムユニット13が媒体15の搬送経路に沿って順次並ぶように配設される。
また、前記画像形成装置11は、媒体15を多数枚格納する給紙トレイ29及び手差しトレイ23を有する。そして、前記給紙トレイ29に格納された媒体15の表面に接触して給紙ローラ25が配設され、媒体搬送路上に媒体搬送ローラ26及び媒体搬送ローラ27が配設される。一方、手差しトレイ23に格納された媒体15の表面に接触して給紙ローラ24が配設される。さらに、前記媒体搬送路における媒体搬送ローラ27の下流側にベルトユニット14が配設され、該ベルトユニット14に対向するように、前記イメージドラムユニット13が配設されている。
そして、前記媒体搬送路におけるベルトユニット14の下流側に、前記媒体15上の画像の定着を行う定着部17が配設されている。なお、該定着部17は、その内部に媒体検出装置30、上定着ローラ18及び下定着ローラ19を備える。ここで、前記媒体検出装置30は、図3に示されるように、突起34を備え、該突起34の先端は、媒体搬送路上で媒体15にたるみが生じていないときには、媒体15が触れない位置にくるように配設されている。さらに、前記媒体搬送路における定着部17の下流側にセパレータ20、第1の排紙トレイ21、媒体搬送ローラ28及び第2の排紙トレイ22が配設されている。
次に、前記媒体検出装置30の構成について詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における媒体検出装置の斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態における媒体検出装置の分解斜視図である。
図1及び4に示されるように、非磁性体の支点支持体32は、非磁性体であるベース31に固定されている。この場合、該ベース31に配設された支点支持体取り付け部59に、前記支点支持体32の支点支持体足60が挿入された後に、曲げられることによって固定される。
そして、媒体検出部材は、非磁性体の突起34、磁性体としてのレバー35及び支点となる穴45を有する。ここで、支点軸33が前記穴45を通り、支点支持体32の穴46に圧入され、前記媒体検出部材は、支点支持体32に取り付けられる。また、前記レバー35と支点支持体32とが干渉しないように、前記支点支持体32には溝47が形成されている。前記レバー35には、図示されないバランス調整用の重りを取り付けるためのねじ穴36が配設されている。
また、前記ベース31に、アジャストフレーム40及びリードスイッチ組み立て体37が取り付けられる。この場合、前記ベース31にはポスト39が2本配設され、各ポスト39が前記アジャストフレーム40に配設された長穴57及び長穴58、並びに、前記リードスイッチ組み立て体37に配設された穴50及び穴67を通過するように、アジャストフレーム40及びリードスイッチ組み立て体37が組み立てられる。そして、各ポスト39の先端に、圧縮ばね48を介してEリング38を取り付けることによって、前記アジャストフレーム40及びリードスイッチ組み立て体37がベース31に固定される。
さらに、前記アジャストフレーム40にはラック56、テーパ70及び目盛り42が配設され、前記リードスイッチ組み立て体37においては、前記ラック56、テーパ70及び目盛り42のそれぞれに対向する位置に、ラック55、テーパ69及び目印41が配設されている。なお、前記ラック56とラック55とのピッチは同一とし、ラック1ステップ分が0.5〔mm〕であり、最大で8ステップ、すなわち、4〔mm〕だけ、レバー35の移動方向(図1において上下方向)にリードスイッチ組み立て体37を移動可能とする。
さらに、該リードスイッチ組み立て体37は、レバー35と干渉しないための穴82、磁束の変化に基づいてオン及びオフする磁気センサとしてのリードスイッチ54、及び、マグネットホルダ51を有する。該マグネットホルダ51は、図示されない耐熱性の接着剤で固定された磁石52を備え、穴65に挿入されてねじ穴49に螺(ら)入されたねじ53によって、前記リードスイッチ組み立て体37に固定されている。なお、前記リードスイッチ54の端子は図示されない回路に接続されていて、該回路によって電圧が印加されている。前記回路は上定着ローラ18及び下定着ローラ19の回転速度も調整することができるようになっている。
次に、前記構成の画像形成装置11及び媒体検出装置30の動作について説明する。
まず、給紙トレイ29に格納された媒体15は、給紙ローラ25によって1枚ずつ給紙された後、媒体搬送ローラ26及び媒体搬送ローラ27によってベルトユニット14まで搬送される。一方、手差しトレイ23に格納された媒体15は給紙ローラ24によって1枚ずつ給紙された後、媒体搬送ローラ27によってベルトユニット14まで搬送される。
そして、感光体ドラム16及びベルトユニット14は、所定のプロセススピードで図2に示される矢印の方向に回転駆動される。この場合、帯電された感光体ドラム16上に前記LEDヘッド12によって形成された潜像に、イメージドラムユニット13内部に格納された図示されないトナーを帯電させて付着させて現像し、トナー像を形成する。そして、ベルトユニット14によって搬送されてきた媒体15の表面に前記トナー像を静電気力で転写する。転写された媒体15上のトナー像は、媒体15とともに媒体検出装置30が配設された定着部17に搬送され、図2に示される矢印の方向に回転駆動する上定着ローラ18と下定着ローラ19との間のニップ部において定着される。このとき、感光体ドラム16及びベルトユニット14のプロセススピードと、上定着ローラ18と下定着ローラ19との間のニップ部における媒体搬送速度との差によって、ベルトユニット14の媒体搬送路上の後端と、上定着ローラ18と下定着ローラ19との間のニップ部の入口との間において、媒体15にたるみが生じる。
そして、媒体15にたるみが生じると、媒体15が垂れ下がって媒体検出装置30の突起34を押し下げる。これにより、該突起34の接触面が下方向に移動し、それに伴って支点軸33を支点としてレバー35が回動する。そして、前記突起34がある距離だけ移動すると、レバー35の先端部がリードスイッチ54と磁石52との間から離れるように移動し、リードスイッチ54の図示されない接点が磁石52の磁束に反応してつながる(オンになる。)。逆に、媒体15のたるみがなくなると、前述された動作と逆の動作によって、リードスイッチ54の接点が離れる(オフになる。)。
次に、媒体検出装置30の磁気的動作について説明する。
図5は本発明の第1の実施の形態における磁石の磁束を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における磁石の磁束の流れを示す第1の図、図7は本発明の第1の実施の形態における磁石の磁束の流れを示す第2の図、図8は本発明の第1の実施の形態における磁石の磁束を示す図であり図6のA−A断面を示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における磁石の磁束を示す図であり図7のB−B断面を示す図である。
図5に示されるように、磁石52は磁化されていて、矢印Φ9方向に磁束が生じている。なお、前記リードスイッチ54には、機能上、磁極の制限がないので、磁石52を固定する際にN極及びS極の向きを制限する必要がない。そして、媒体15にたるみが生じておらず、突起34が押し下げられていない場合、磁性体であるレバー35の先端は図6及び8に示されるように、磁石52とリードスイッチ54との間の位置にある。また、媒体15にたるみが生じて突起34が押し下げられた場合、前記レバー35の先端は図7及び9に示されるように、磁石52とリードスイッチ54との間から離れた位置にある。このとき、レバー35を通過する磁束をΦ1、Φ3とし、リードスイッチ54を通過する磁束をΦ2、Φ4とすると、磁束密度は、
Φ1>Φ2
Φ4>Φ3
となる。すなわち、たるみの有無に応じて後述される検出レバー62の先端が上方向又は下方向に移動し、磁石52とリードスイッチ54との間に入ったり、磁石52とリードスイッチ54との間から離れたりすると、リードスイッチ54を通過する磁束が変化する。そして、リードスイッチ54を通過する磁束が変化すると、リードスイッチ54内部の接点が機械的に作動し、接触したり離れたりする。前記リードスイッチ54には、図示されない回路によって電圧が印加されているので、前記接点が接触した場合、電流が流れて電気的にオン(図7及び9に示される状態)になり、接点が離れた場合、電流が流れずに電気的にオフ(図6及び8に示される状態)になる。
次に、前記媒体検出部材の調整機構について説明する。
図10は本発明の第1の実施の形態における媒体検出部材と磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す第1の模式図、図11は本発明の第1の実施の形態における媒体検出部材と磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す第2の模式図、図12は本発明の第1の実施の形態における媒体検出部材と磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す第3の模式図である。
図10〜12において、検出レバー62は、突起34、磁性体であるレバー35及び支点となる穴45を有する媒体検出部材を模式的に示したものである。そして、前記検出レバー62は支点61を回転中心として回転する。この場合、前記支点61から検出レバー62の両端までの距離をL1又はL2とし、支点61のベース基準面63からの距離をL3とし、磁石52及びリードスイッチ54の中心軸高さ64のベース基準面63からの距離をL4とし、磁石52及びリードスイッチ54の軸間距離をGとして一定とする。
そして、媒体15にたるみが生じておらず、突起34が押し下げられていない場合、検出レバー62は図10に示されるような状態になる。この場合、媒体15と検出レバー62との接触面をAとする。このとき、リードスイッチ54はオフである。
また、媒体15にたるみが生じて突起34が押し下げられた場合、検出レバー62は図11に示されるような状態になる。この場合、媒体15と検出レバー62との接触面をBとし、前記AとBとの距離、すなわち、たるみ量をΔ1とし、磁石52とリードスイッチ54との間に配設された検出レバー62の下端の変位量、すなわち、動作距離をΔ2とする。
ここで、図12に示されるように、仮に、媒体15にたるみが生じたことを検出しようとする場合の媒体15の位置がCであるとすると、たるみ量はΔ3になる。この場合、磁石52とリードスイッチ54との間に配設された検出レバー62の下端の動作距離をΔ5とすると、該動作距離Δ5と動作距離Δ2との差分はΔ4となる。
これを調整するためには、磁石52とリードスイッチ54との軸間距離Gを一定のまま、磁石52及びリードスイッチ54を検出レバー62の移動方向(図12において上下方向)に移動させて差分Δ4を調整する。なお、
Δ1=Δ2×L1/L2
L5=L4+Δ4
Δ5=Δ2+Δ4
Δ3=Δ5×L1/L2
の関係がある。
次に、前記磁石52及びリードスイッチ54を検出レバー62の移動方向に調整する動作について説明する。
図13は本発明の第1の実施の形態におけるリードスイッチ組み立て体とアジャストフレームとの位置関係を示す第1の図、図14は本発明の第1の実施の形態におけるリードスイッチ組み立て体とアジャストフレームとの位置関係を示す第2の図である。
図13に示されるように、前記磁石52及びリードスイッチ54が固定されたリードスイッチ組み立て体37は、ポスト39によって矢印a方向の移動だけが可能である。一方、図14に示されるように、アジャストフレーム40は、ポスト39によって矢印a方向及び矢印b方向に移動可能である。前記リードスイッチ組み立て体37及びアジャストフレーム40は、Eリング38で固定された圧縮ばね48で矢印方向に押し付けられている。ここで、アジャストフレーム40を距離γだけ矢印b方向に移動すると、ラック56のステップ分だけ0.5〔mm〕ピッチでリードスイッチ組み立て体37が矢印a方向に移動する。これにより、アジャストフレーム40の下面からリードスイッチ組み立て体37の上面までの寸法がβ1からβ2に変化する。このように、検出レバー62に対して磁石52及びリードスイッチ54の位置を変えることによって、センサとしての動作距離を調整することができる。
前記媒体検出装置30を配設した画像形成装置11は、リードスイッチ54がオン又はオフであるかに応じて動作を行い、リードスイッチ54がオンである場合はたるみが一定量生じていると判断して、上定着ローラ18と下定着ローラ19との間のニップ部の媒体搬送速度を加速し、リードスイッチ54がオフである場合は前記ニップ部の媒体搬送速度を減速する。
なお、図2に示されるように、媒体検出装置30を配設した定着部17で定着された媒体15は、矢印方向に移動するセパレータ20の向きによって、第1の排紙トレイ21又は媒体搬送ローラ28を経て第2の排紙トレイ22に排出される。
このように、本実施の形態において、媒体検出装置30は、媒体15のたるみを検出する手段として、リードスイッチ54及び磁石52を使用し、さらに、リードスイッチ54と磁石52との間に、媒体15と接するとともに、磁性体を備える媒体検出部材を介在させるようになっている。そして、前記リードスイッチ54の端子に電圧を印加し、該リードスイッチ54の導通状態を検出して、媒体15にたるみが生じたことを検出する。また、前記リードスイッチ54の導通状態に応じて上定着ローラ18と下定着ローラ19とのニップ部の媒体搬送速度を調整する回路が配設されている。
この場合、リードスイッチ54は熱の影響が少ないので、前記媒体検出装置30を熱を発生する定着部17の近くに配設することができる。例えば、前記媒体検出装置30を定着部17内に配設することができ、トナー像転写部と定着部17との間に生じたたるみを適切に制御することができる小型の画像形成装置11を提供することができる。
さらに、低価格の媒体検出装置30及び画像形成装置11を提供することができる。また、リードスイッチ素子の磁気的感度のばらつきに応じて、リードスイッチ54及び磁石52の位置を媒体検出部材の移動方向に調整することができるので、媒体検出装置30が一定量のたるみを検出することができる。すなわち、動作距離を一定に調整することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図15は本発明の第2の実施の形態における媒体検出装置の斜視図、図16は本発明の第2の実施の形態における媒体検出装置及び調整治具の分解斜視図である。
図16に示されるように、リードスイッチ組み立て体66には溝83が配設され、該溝83に対向させて磁石52及びリードスイッチ54の並び方向に移動可能なマグネットホルダ68が配設されている。そして、ねじ53は、圧縮ばね71、ワッシャ121、マグネットホルダ68に配設された長穴81を介してねじ穴49に取り付けられる。そして、図15に示されるように、マグネットホルダ68には目印43が配設され、対向するリードスイッチ組み立て体66に目盛り44が配設されている。
次に、前記リードスイッチ54と磁石52との間隔を調整する調整治具について説明する。
図16に示されるように、治具73にはリードスイッチ組み立て体66が取り付けられる溝74が配設され、面80の圧縮ばね72が図示されない接着剤で固定されている。穴77が配設された治具75は、ねじ76によって、穴123を介してねじ穴124が配設された治具73に固定される。そして、マイクロメータ79は、治具75と干渉しないように前記穴77に挿入され、ねじ78によって穴122を介してねじ穴125が配設された治具75に取り付けられる。
次に、前記リードスイッチ54と磁石52との間隔の調整方法について説明する。なお、この調整はレバー35がない状態で行う。
図17は本発明の第2の実施の形態におけるリードスイッチと磁石との軸間距離の関係を示す図である。
図17(a)に示されるように、リードスイッチ54と磁石52との軸間距離J0においては、リードスイッチ54を通過する磁束の磁束密度がリードスイッチ54の接点が動作する値にならず、リードスイッチ54の接点が動作しない。また、図17(b)に示されるように、軸間距離がJ1になるように磁石52をリードスイッチ54に近付けると、リードスイッチ54を通過する磁束の磁束密度が増加してリードスイッチ54の接点が動作する。このとき、軸間距離J1はリードスイッチ54の素子毎に異なる。すなわち、リードスイッチ54には個体差があり、単体別にばらつきがある。
さらに、図17(c)に示されるように、一定距離αだけ更に磁石52をリードスイッチ54に近付け、軸間距離をJ2にする。当然、軸間距離J2はリードスイッチ54の素子毎に異なる。ただし、一定距離αはリードスイッチ54の素子の磁気的感度(一般に感動値という。)に応じて、例えば、表1に示される平均値αとする。なお、感動値が大きいほど磁気的感度は鈍くなる。
次に、レバー35と感動値が異なるリードスイッチ54との位置関係について説明する。
図18は本発明の第2の実施の形態における点磁極を示す図、図19は本発明の第2の実施の形態における点磁極の磁束の強さの変化を示す図、図20は本発明の第2の実施の形態におけるレバーと感動値が小さいリードスイッチとの位置関係を示す図、図21は本発明の第2の実施の形態におけるレバーと感動値が大きいリードスイッチとの位置関係を示す図、図22は本発明の第2の実施の形態におけるレバー及びリードスイッチの距離と磁束の強さの関係を示す図である。なお、図19において、横軸に距離rを、縦軸に磁束密度Bを採ってある。また、図22において、横軸に距離Xを、縦軸に磁束密度Bを採ってある。
図18に示されるような点磁極116において、磁極の強さm〔wb〕であるとき、距離r〔m〕離れた点Rでの磁束密度Bは、
B=m/4πr2 (T)
となり、図19に示されるようになる。
そして、図20及び21に示される例において、磁石52は同じであるが、図20においては、感動値の小さいリードスイッチ114が取り付けられ、図21においては、感動値が大きいリードスイッチ115が取り付けられている。
また、K1は、レバー35が磁石52及び感動値の小さいリードスイッチ114の中心軸から動作距離Qの位置にあるときにおける磁石52と感動値の小さいリードスイッチ114との軸間距離である。さらに、K2は、レバー35が磁石52及び感動値の大きいリードスイッチ115の中心軸から動作距離Qの位置にあるときにおける磁石52と感動値の大きいリードスイッチ115との軸間距離である。
図22に示されるように、V2はレバー35が磁石52及び感動値の小さいリードスイッチ114の中心軸から動作距離Qの位置にあるときにおける磁束密度B(T)である。また、V1はレバー35が磁石52及び感動値の大きいリードスイッチ115の中心軸から動作距離Qの位置にあるときにおける磁束密度B(T)である。
さらに、V4は感動値の小さいリードスイッチ114がレバー35なしで接点が動作する位置での磁束密度B(T)である。また、V3は感動値の大きいリードスイッチ115がレバー35なしで接点が動作する位置での磁束密度B(T)である。
次に、前記構成の媒体検出装置30の調整時の動作について説明する。
図23は本発明の第2の実施の形態における媒体検出装置の調整時の動作を示す図である。
図23に示されるように、リードスイッチ組み立て体66は、溝74において、圧縮ばね72によって治具75に押し付けられて取り付けられている。調整前には、磁石52をリードスイッチ54からできる限り離すようにする。なお、該リードスイッチ54はテスタ84に接続されている。そして、前記マグネットホルダ68は、ねじ53によって軽く締められ、圧縮ばね71によって、溝83においてリードスイッチ組み立て体66に押し付けられている。ただし、磁石52及びリードスイッチ54の並び方向(矢印で示される方向)にマグネットホルダ68が移動することができる。なお、移動はマイクロメータ79を矢印で示される方向に回転することによって行われる。
そして、前記マグネットホルダ68を移動させ、リードスイッチ54の導通がテスタ84で確認したときを0とし、一定距離αを更に磁石52をリードスイッチ54に近付ける。そして、該リードスイッチ54と磁石52との間隔の調整が完了したとき、ねじ53を本締めする。
このように、本実施の形態においては、磁石52とリードスイッチ54との間隔を設定する場合、磁性体がない状態で、まず、リードスイッチ54が動作しない距離に磁石52を置き、続いて、徐々に磁石52をリードスイッチ54に近付けて、リードスイッチ54が動作した位置から更に一定量近付けるように調整する。そして、このような調整をリードスイッチ54の素子毎に行う。したがって、磁性体が媒体15のたるみに応じて移動し、リードスイッチ54が動作したとき、磁石52及びリードスイッチ54の中心軸から磁性体の下端までの距離を動作距離とすると、前記第1の実施の形態における媒体検出装置30のように磁石52とリードスイッチ54との間隔を固定する場合と比較して、リードスイッチ54の素子毎の磁気的特性のばらつきによる動作距離のばらつきを小さくすることができる。また、前記リードスイッチ54の接点がオン→オフに、又は、オフ→オンに動作する動作距離の差であるヒステリシスを小さくすることができる。
次に、本実施の形態における効果を詳細に説明する。
図24は本発明の第2の実施の形態における動作距離と素子表面間距離との関係を示す図、図25は本発明の第2の実施の形態におけるオフからオン時の素子表面間距離と動作距離との関係を示す図、図26は本発明の第2の実施の形態におけるオンからオフ時の素子表面間距離と動作距離との関係を示す図、図27は本発明の第2の実施の形態におけるオフからオン時の一定距離と動作距離との関係を示す図、図28は本発明の第2の実施の形態におけるオンからオフ時の一定距離と動作距離との関係を示す図、図29は本発明の第2の実施の形態におけるオフからオン時の一定距離と動作点との関係を示す図、図30は本発明の第2の実施の形態におけるオンからオフ時の一定距離と動作点との関係を示す図である。
図24に示されるように、磁石(TDK製REC−26A相当品2個直列で配置)52とリードスイッチ(沖センサデバイス製ORD213)54の素子表面間距離をWとし、幅が1.2〔mm〕で、高さが15〔mm〕の断面形状の磁性体126の中心軸とリードスイッチ54表面との距離を3〔mm〕として配置している。
前記表1及び2並びに図25及び26は、各感動値(13.2〜13.6)のリードスイッチ54での素子表面間距離Wと動作距離とをリードスイッチ54の動作がオン→オフに、又はオン→オフとなるそれぞれの場合を示している。
表3は素子表面間距離Wが6.7〔mm〕の場合の動作距離の最大値、最小値、幅を示し、表4はリードスイッチ54の素子毎の動作距離及びオフ→オン、オン→オフの動作距離の差(ヒステリシス)を示している。
表5及び6並びに図27及び28は、同じデータを用いて、リードスイッチ54が動作しない距離に磁石52を置き、徐々に磁石52をリードスイッチ54に近付けて、リードスイッチ54が動作した位置から更に一定距離α近付けた場合として、一定距離αと動作距離とをリードスイッチ54の動作がオフ→オン、又は、オン→オフとなるそれぞれの場合を示している。
また、表7はリードスイッチ54の素子毎のオフ→オンとオン→オフとの動作距離の差(ヒステリシス)を、表8は一定距離αが1.2〔mm〕の場合の動作距離の最大値、最小値、幅を示す。
そして、表3と表8とを比較すると、一定距離αが1.2〔mm〕の場合の方が、素子表面間距離Wが6.7〔mm〕の場合と比べて、リードスイッチ54の素子毎のばらつきの幅がオフ→オン動作時で4.8〔mm〕→1〔mm〕、オン→オフ動作時で2.3〔mm〕→0.8〔mm〕と小さくなったことが分かる。
また、表4と表7とを比較すると、ヒステリシス(オフ→オンとオン→オフとの動作距離の差)が、一定距離αが1.2〔mm〕の場合の方が、素子表面間距離Wが6.7〔mm〕の場合と比べて、リードスイッチ54の素子すべてで小さくなったことが分かる。
表9及び10並びに図29及び30は、各感動値(10.0〜31.1)のリードスイッチ54での一定距離αと動作距離とをリードスイッチ54の動作がオフ→オン又はオン→オフとなるそれぞれの場合を示す。
また、表11は動作距離が3〔mm〕となったときの一定距離αを示す。感動値を10.0〜14.9、15.0〜19.9、20.0〜24.9、25.0〜29.9、30.0〜34.9とある幅で分類し、分類毎に一定距離αを決定すると、動作距離を一定として使用可能なリードスイッチ54の感動値に幅が広がる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図31は本発明の第3の実施の形態における媒体検出装置の斜視図、図32は本発明の第3の実施の形態における媒体検出装置の調整治具の分解斜視図である。
図31に示されるように、本実施の形態において、媒体検出装置30は支点支持体86を有し、該支点支持体86には、図32に示されるように、ねじ穴90、面92及び面104が配設されている。そして、前記ベース85には穴95、長穴91及び穴94が配設され、面109には圧縮ばね93が図示されない接着剤で接着されている。また、前記穴95から支点支持体86が挿入され、面127及び面128が接触した状態で、前記磁石52及びリードスイッチ54の並び方向に移動可能とし、ねじ89によって長穴91を介してねじ穴90で固定されている。
そして、調整治具は、前記支点支持体86を磁石52及びリードスイッチ54の並び方向に移動させ、レバー35、すなわち、磁性体の位置を磁石52とリードスイッチ54との間隔を変えずに、磁石52と磁性体との間隔を調整する。
また、治具97上に図示されないねじで固定された位置決め受け台99及び位置決め受け台100が配設される。さらに、前記位置決め受け台99には突き当て面98が配設され、位置決め受け台100には穴94に相当する位置にノックピン96及びマイクロメータ101が配設される。そして、該マイクロメータ101の先端は、ベアリング102の穴107に挿入され、ベアリング102は、穴106に挿入された板103及びねじ108によって固定されている。なお、板103の面105は面104と接触する。
次に、前記構成の媒体検出装置30の調整時の動作について説明する。
図33は本発明の第3の実施の形態における媒体検出装置の調整時の動作を示す図である。
図33に示されるように、支点支持体86を磁石52及びリードスイッチ54の並び方向に移動し、前記磁石52とリードスイッチ54との間隔を変えずに、磁石52とレバー35、すなわち、磁性体との間隔を調整する。
まず、ねじ89でベース85と支点支持体86とを仮止めする。前記ベース85は、位置決め受け台100に配設された穴94及びノックピン96、並びに、位置決め受け台99に配設された突き当て面98によって保持される。前記支点支持体86は面105及び面104と接触し、面92は圧縮ばね93と接触し、該圧縮ばね93は面109に図示されない接着剤によって固定されている。そのため、マイクロメータ101の動作によって、前記支点支持体86は、磁石52及びリードスイッチ54の並び方向に、レバー35とともに移動する。
そして、前記支点支持体86は、位置が決まると、ねじ89によってベース85に固定される。
次に、前記磁石52とリードスイッチ54との軸間距離を変えずに、レバー35を磁石52及びリードスイッチ54の並び方向に移動させた場合について説明する。
図34は本発明の第3の実施の形態におけるレバーと磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す第1の図、図35は本発明の第3の実施の形態におけるレバーと磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す第2の図、図36は本発明の第3の実施の形態におけるレバー及びリードスイッチの距離と磁束の強さの関係を示す図である。なお、図36において、横軸に動作距離Uを、縦軸にリードスイッチ54が受ける磁束密度Bを採ってある。
図34及び35に示されるように、磁石52及びレバー35のリードスイッチ54側の端面までの距離をP1及びP2とすると、リードスイッチ54が動作する動作距離はそれぞれU1及びU2となる。
そして、図36に示されるように、リードスイッチ54の接点がつながるときの磁束密度Vは一定であるが、動作距離Uが異なることが分かる。すなわち、磁石52及びレバー35のリードスイッチ54側の端面までの距離Pが小さくなるほど、リードスイッチ54が受ける磁束密度Bの増加の傾きが急になる。
このように、本実施の形態においては、磁性体を備えた媒体検出部材と同時に支点の位置を、磁石52とリードスイッチ54との間隔を変えずに、磁石52及びリードスイッチ54の並び方向に移動調整することによって、前記第1及び第2の実施の形態と比較して更に細かい微調整を行うことができる。
次に、本実施の形態における効果を詳細に説明する。
図37は本発明の第3の実施の形態における磁性体と素子表面間距離との関係を図、図38は本発明の第3の実施の形態における磁性体の素子表面間距離からの距離と荷重との関係を示す図である。なお、図38において、横軸に磁性体の磁石52とリードスイッチ54との中心軸からの移動距離を、縦軸に荷重を採ってある。
図37に示されるように、磁石(TDK製REC−26A相当品2個直列で配置)52とリードスイッチ(沖センサデバイス製ORD213感動値13相当品)54の素子表面間距離を4.6〔mm〕とし、磁性体として幅が1.2〔mm〕で、高さが10〔mm〕の断面形状のレバー35が磁石52の表面とレバー35のリードスイッチ54側の端面までの距離をPとすると、表12に示されるように、距離Pが3〔mm〕から4〔mm〕に変化した場合、動作距離は0.44〔mm〕変化する。この場合、
(動作距離変化=0.44〔mm〕)/(磁性体調整量=1〔mm〕)
となる。
また、点Rを力変位計で押下し、レバー35が受ける磁石52の吸引力(反力)、すなわち、荷重は、磁性体の磁石52及びリードスイッチ54の中心軸からの距離によって、図38に示されるように変化する。磁石52がない場合は、吸引力はほとんどないが、レバー35が磁石52に1〔mm〕近付くと最大2〔g〕が9〔g〕まで増加する。
前記第2の実施の形態においては、図25及び26から分かるように、素子表面間距離Wの調整量が0.5〔mm〕であるのに対して、動作距離の変化量は2〔mm〕以上であるが、本実施の形態においては、距離Pの調整量に対する動作距離の変化量を1/10以下にすることができるので、これにより、動作距離の微調整を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、磁石52及びリードスイッチ54の並び方向に支点支持体86と磁性体を備えた媒体検出部材とを同時に移動して調整するようになっているが、支点支持体86単体で移動して調整してもよい。また、磁石52及びリードスイッチ54が既に取り付けられた状態であってもよい。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図39は本発明の第4の実施の形態における媒体検出装置の斜視図、図40は本発明の第4の実施の形態と比較するための第1の実施の形態におけるレバーの斜視図、図41は本発明の第4の実施の形態と比較するための第1の実施の形態におけるレバーと磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す平面図、図42は本発明の第4の実施の形態と比較するための第1の実施の形態におけるレバーと磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す側面図、図43は本発明の第4の実施の形態におけるレバーの斜視図、図44は本発明の第4の実施の形態におけるレバーと磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す平面図、図45は本発明の第4の実施の形態におけるレバーと磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す側面図、図46は本発明の第4の実施の形態におけるリードスイッチ組み立て体の斜視図である。
図39に示されるように、本実施の形態において、媒体検出装置30はレバー110を有し、該レバー110は、図43〜45に示されるように、レバー110の移動方向Z1から見てリードスイッチ54を囲む形状になっていて、さらに、該リードスイッチ54の端子に近い部分に切り欠き117が配設される。なお、前記第1の実施の形態におけるレバー35は、図40〜42に示されるようになっている。また、図46に示されるように、レバー110の移動時にリードスイッチ組み立て体111と干渉しない形状の穴112が配設される。
次に、前記第1の実施の形態におけるレバー35が媒体15のたるみを検出していない場合の磁束の流れと、本実施の形態におけるレバー110が媒体15のたるみを検出していない場合の磁束の流れとを比較する。
図47は本発明の第4の実施の形態と比較するための第1の実施の形態における磁束の流れを示す第1の図、図48は本発明の第4の実施の形態と比較するための第1の実施の形態における磁束の流れを示す第2の図、図49は本発明の第4の実施の形態における磁束の流れを示す第1の図、図50は本発明の第4の実施の形態における磁束の流れを示す第2の図である。
まず、図47に示されるように、磁石52に最も近い磁性体の断面積が、前記第1の実施の形態におけるレバー35では、
(K1+K2)×t
である。これに対して、本実施の形態におけるレバー110では、図49に示されるように、磁石52に最も近い磁性体の断面積が、
K2×t
となっている。
このように、磁石52に最も近い磁性体の断面積は、第1の実施の形態におけるレバー35の方が本実施の形態におけるレバー110と比較してK1×tだけ多くなっている。したがって、磁石52によって生じる吸引力が第1の実施の形態におけるレバー35の方が本実施の形態におけるレバー110と比較して大きくなってしまう。
また、前記第1の実施の形態において、磁束Φ5は、リードスイッチ54の位置での磁束密度をリードスイッチ54が動作しない程度の磁束密度になるように、本来、磁石52の磁束の大半を占めるべき磁束である。しかし、図47及び48に示されるように、リードスイッチ54の接点を通過する磁束Φ6が存在するので、該磁束Φ6の磁束密度がリードスイッチ54が動作しない程度の磁束密度に低下せず、媒体15にたるみが生じていない場合に、リードスイッチ54の接点がオフにならずにオンになってしまう。
これに対し、本実施の形態において、Φ7は、リードスイッチ54の位置での磁束密度をリードスイッチ54が動作しない程度の磁束密度になるように、本来、磁石52の磁束の大半を占めるべき磁束である。そして、前記レバー110には切り欠き117が配設されているので、図49及び50に示されるように、リードスイッチ54の接点を通過する磁束Φ8の磁束密度が低くなり、媒体15にたるみが生じていない場合に、リードスイッチ54の接点がオフにならずにオンになってしまう現象が生じない。
このように、本実施の形態においては、媒体検出部材の移動方向から見て、磁性体の一部がリードスイッチ54を囲むような形状とし、リードスイッチ54の端子に近い部分に切り欠き117を配設しているので、媒体検出部材が媒体15のたるみを検出し、磁性体が移動する場合、磁石52から磁性体が受ける吸引力が媒体検出部材の動作に支障をきたすほど大きくなりにくい。
また、媒体15にたるみが生じていない場合に、リードスイッチ54の接点がオフにならずにオンになってしまうことがない。
次に、本実施の形態における効果を詳細に説明する。
図51は本発明の第4の実施の形態と比較するための第1の実施の形態におけるレバーと磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す図、図52は本発明の第4の実施の形態におけるレバーと磁石及びリードスイッチとの位置関係を示す図、図53は本発明の第1及び第4の実施の形態における磁性体の素子表面間距離からの距離と荷重との関係を示す図である。なお、図53において、横軸に磁性体の磁石52とリードスイッチ54との中心軸からの移動距離を、縦軸に荷重を採ってある。
図51に示されるように、前記第1の実施の形態におけるレバー35は、磁性体として幅が1.2〔mm〕で、高さが10〔mm〕の断面形状であり、本実施の形態におけるレバー110は、図52に示されるように、磁性体として幅が1.2〔mm〕で、高さが4〔mm〕の断面形状である。また、磁石(TDK製REC−26A相当品2個直列で配置)52とリードスイッチ(沖センサデバイス製ORD213感動値13相当品)54の素子表面間距離を4.6〔mm〕とし、磁性体のリードスイッチ54側の下端と磁石52の表面との間の距離を3〔mm〕とする。
次に、第1の実施の形態におけるレバー35の点R1を力変位計で押下したときの反力(レバー35が受ける磁石52の吸引力)と、本実施の形態におけるレバー110の点R2を力変位計で押下したときの反力(レバー110が受ける磁石52の吸引力)とを同様に測定すると、図53に示されるように、反力の最大値は、本実施の形態におけるレバー110で0.9〔g〕となり、前記第1の実施の形態におけるレバー35で9〔g〕となった。
このように、本実施の形態においては、リードスイッチ54及び磁石52の並び方向にレバー110が磁石52に近付いても、レバー110は磁石52の吸引力を受けにくいので、吸引力が大きくならず、媒体15のたるみを検出する動作に支障をきたすことがない。また、媒体15にたるみが生じていない場合、リードスイッチ54の接点がオフにならずにオンになってしまうこともない。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。