JP4439760B2 - 内燃機関の燃料供給制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒を排気系に配置した内燃機関において触媒の劣化の抑制を図った燃料供給制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料供給装置では、高負荷運転状態であると判断されたときに内燃機関に供給される燃料を増量し混合気の空燃比をリッチ化させることにより、高負荷運転状態での内燃機関の出力を増加させるとともに燃焼温度を下げて排気ガスを浄化するための触媒の温度上昇を抑え、触媒の劣化、熱損を防止することが一般に行われている。
【0003】
そのような装置の例として、特開平10−205375号公報には、触媒温度推定値を使用して触媒の温度に適した時期に燃料増量を実行する燃料供給制御装置が開示されている。これによると、高負荷運転状態であると判断された場合でも、触媒温度が低く直ちに触媒の劣化、熱損のおそれのある温度に達していない場合には燃料増量を実施しないので、排気特性および燃費を改善しつつ触媒の劣化、熱損を防止することが可能とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ペロブスカイト型酸化物が触媒または助触媒として用いられるようになっている。これらペロブスカイト型構造を有する触媒は、従来の貴金属をベースとした三元触媒に比べて耐久性が低く、リッチ運転を長時間継続するとペロブスカイト構造が破壊され、触媒の特性が劣化してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、燃料増量時間を制限することで特にペロブスカイト構造を有する触媒の劣化を防止できる内燃機関の燃料供給制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関の排気系に配置された触媒コンバータと、前記内燃機関の高負荷運転状態を検出する高負荷運転状態検出手段と、前記触媒コンバータの温度を判断する触媒温度判断手段と、前記触媒温度が第1の温度以上となったときに燃料増量を実行し、該触媒温度が第1の温度より低い第2の温度以下となったときに前記燃料増量を停止する空燃比制御手段と、を備えた内燃機関の燃料供給制御装置において、前記燃料増量を実行している時間を計測する計測手段と、前記触媒温度が前記第2の温度以下とならなかった場合でも、前記触媒温度が前記第1の温度より低くかつ前記計測時間が所定時間に達したときは前記燃料増量を停止するリッチ継続時間制限手段と、をさらに備える燃料供給制御装置を提供する。
【0007】
この発明によると、リッチ継続時間制限手段を備えたことにより燃料増量を実行するリッチ運転時間が制限されるので、ペロブスカイト構造を有する触媒においても空燃比リッチ化による該構造の破壊が防止され、触媒の劣化ひいてはエミッションの悪化を防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態である燃料供給制御装置を備えた内燃機関(以下エンジンと言う)1の全体の構成図である。エンジン1へ通ずる吸気管2の途中にはスロットル弁3が配置されている。スロットル弁3にはスロットル弁開度(TH)センサ4が連結されており、スロットル弁3の開度に応じた電気信号を出力して電子コントロールユニット(以下ECUという)5に供給する。ECU5の構成については後述する。
【0009】
燃料噴射弁6はECU5に電気的に接続されており、ECU5からの信号により燃料噴射の開弁時間が制御される。噴射された燃料は吸気管2からの空気と混合され混合気となり、エンジン1に供給される。
【0010】
吸気管2には吸気管内絶対圧(PBA)センサ7および吸気温(TA)センサ8が取り付けられており、それぞれ吸気管内絶対圧、吸気温を検出してECU5に電気信号として供給する。
【0011】
エンジン1の本体に装着されたエンジン水温(TW)センサ9はサーミスタ等からなり、エンジン水温(冷却水温)を検出してECU5に電気信号として供給する。
【0012】
エンジン1には、さらにエンジン回転数(NE)センサ10および気筒判定(CYL)センサ11が取り付けられている。エンジン回転数センサ10は、エンジン1のクランク軸の180度回転毎に所定のクランク角度位置でパルス(以下TDCパルス信号という)を出力し、気筒判定センサ11は特定の気筒の所定のクランク角度位置で信号パルスを出力する。両パルスはECU5に供給される。
【0013】
また、ECU5には車速Vを検出する車速センサ20が電気的に接続されている。
【0014】
触媒コンバータ(以下三元触媒という)14はエンジン1の排気管13に配置されており、排気ガス中のHC、CO、NOx等の成分の浄化を行う。また三元触媒14の上流側の排気管には、空燃比センサとして酸素濃度センサ15(以下O2センサという)が設けられている。O2センサ15は、排気ガス中の酸素濃度を検出し、その検出値に応じた電気信号を出力してECU5に供給する。
【0015】
ECU5はコンピュータで構成されており、プログラムおよびデータを格納するROM、実行時に必要なプログラムおよびデータを記憶して演算作業領域を提供するRAM、プログラムを実行するCPU、各種のセンサからの入力信号を処理する入力インターフェース、およびバルブ等に制御信号を送る駆動回路を有する。前述の各センサからの信号は入力インターフェースにより受信され、ROMに格納されたプログラムに従って処理される。図1では、このようなハードウェア構成を踏まえてECU5を機能ブロックで示してある。
【0016】
ECU5は、運転状態検出手段21、触媒温度判断手段22、空燃比設定手段23、リッチ継続時間制限手段24、および燃料噴射制御手段25の各機能ブロックを含む。
【0017】
運転状態検出手段21は、各センサ信号の出力に基づいてエンジン1の各種の運転状態を判断する。吸気管内絶対圧PBAあるいはスロットル弁開度THが所定値を越える場合には、運転状態検出手段21はエンジン1が高負荷運転状態(WOT)にあると判断する。
【0018】
触媒温度判断手段22は、運転状態検出手段21から得られる運転状態の情報に基づいて三元触媒14の温度を判断し、判断した触媒温度TCTを運転状態検出手段21に返す。触媒温度TCTは、触媒コンバータに温度センサを設置し、そのセンサ出力に基づいて判断することもできる。
【0019】
エンジン1が高負荷運転状態にあると判断された場合、運転状態検出手段21は、各種運転状態に基づく空燃比フィードバック制御を停止して、エンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBAに基づく燃料増量制御を開始するか否かを触媒温度TCTに基づいて決定する。触媒温度TCTが第1の所定値以上となったときは燃料増量制御すなわち空燃比リッチ化を開始し、リッチ化により触媒温度TCTが第1の所定値より小さい第2の所定値以下となると燃料増量制御を停止する。
【0020】
空燃比設定手段23は、各種の運転状態に応じて目標空燃比を設定する。運転状態検出手段21においてエンジン1が高負荷運転状態であり燃料増量制御を実行すると判断されたときは、空燃比をリッチ化する。
【0021】
リッチ継続時間制限手段24は、燃料増量制御の実行時に、触媒温度が第2の所定値以下にならなかった場合でも、第1の所定値以下となりかつ燃料増量の実行時間が所定値に達した場合は、燃料増量を停止するように空燃比設定手段23に指令する。
【0022】
燃料噴射制御手段25は、運転状態検出手段21で検出されるエンジン運転状態および空燃比設定手段23で設定される目標空燃比に応じて燃料噴射時間を算出し、燃料噴射弁6を駆動する。
【0023】
図2は触媒温度判定フラグFCATWOTを設定する処理を示すフローチャートである。この一連の処理は、所定周期(本実施形態では0.5sec)毎にECU5によって実行される。触媒温度判定フラグFCATWOTは、高負荷運転状態においても触媒温度が低く直ちに触媒が劣化、熱損するおそれがない場合、燃料増量を実施しないために設定されるフラグである。
【0024】
まずステップ31で、エンジンが始動モードであるか否かを判定し、始動モードである場合は、ステップ33でFCATWOTに1をセットしてこの処理を終了する。
【0025】
始動モードでない場合はステップ32でフェイルセーフ(例えば、絶対圧センサ等の異常)が検知されているか否かを判定し、検知されている場合はステップ34における触媒温度の判断が困難なので、ステップ33でFCATWOTに1をセットしてこの処理を終了する。
【0026】
ステップ34で触媒温度TCTを算出するサブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、エンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBAに基づいて設定されている触媒温度マップ値から得られた触媒温度を、大気圧、吸気温TA、水温TW、点火時期補正量等に基づいて補正し、触媒温度TCTを算出する。
【0027】
ステップ35で、エンジン回転数NEが所定回転数NECATWO以下であるか否かを判定する。所定回転数より大きいときは、ステップ37でFCATWOTに1をセットしてこの処理を終了する。所定回転数以下であるときは、判断された触媒温度TCTが所定温度TCTH以上であるか否かを判定する(ステップ36)。所定温度TCTHにはヒステリシスが付加されており、その上限値は900℃に設定され、下限値は870℃に設定されている。
【0028】
触媒温度TCTが所定温度TCTHの上限値以上である場合、三元触媒は高温状態にあり、空燃比をリッチ化して触媒を冷却する必要があるので、触媒温度判定フラグFCATWOTに1をセットし(ステップ37)、処理を終了する。触媒温度TCTが所定温度TCTHの上限値より低い場合は、リッチ化して触媒を冷却する必要がないので、触媒温度判定フラグFCATWOTに0をセットし(ステップ38)、この処理を終了する。一度フラグFCATWOTが1にセットされると、触媒温度TCTが所定温度TCTHの下限値より低くなるまで、フラグFCATWOTは1にセットされ続ける。つまり、フラグFCATWOTはヒステリシス機能を有している。
【0029】
次に、図3および図4を参照して燃料増量制御に使用される高負荷増量係数KWOTの算出処理について説明する。高負荷増量係数KWOTは、燃料噴射制御手段25で燃料噴射量を算出する際に、予め設定されている基本燃料量にKWOTを乗じることによって燃料増量を実行するための係数である。
【0030】
まずステップ41で、エンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBAに基づいて、高負荷増量係数マップ値KWOTMAPをマップ検索により算出する。
【0031】
ステップ42で、エンジンの高負荷運転状態を判定するためのしきい値PBWOTを設定するサブルーチンを実行する。このサブルーチンは前述のTDC信号が発生するごとに実行される。このサブルーチンでは、エンジン回転数NEに応じたPBWOTテーブルを検索し、得られた値を大気圧により補正してしきい値PBWOTを得る。
【0032】
ステップ43で、トラクションコントロール中か否かを判定し、YESであればステップ44でプリセットされたカウント値を時間と共に減算するディレイタイマtmWOTDLYをセットし、後述する図4のステップ53において高負荷判定フラグFWOTが0にセットされ、燃料増量を行わない。
【0033】
トラクションコントロール中でなければステップ45でフェイルセーフが検知されているか否かを判定する。検知されていればステップ48に進む。フェイルセーフが検知されていない場合、ステップ46でスロットル弁開度THのしきい値THWOTをTHWOTテーブルを検索して算出する。しきい値THWOTは、エンジン回転数NEが高いほど大きな値に設定されている。
【0034】
ステップ47でスロットル弁開度THがしきい値THWOT以下であるか否かを判定する。しきい値を越える場合は高負荷運転状態であると判断され、後述するリッチ継続時間制限処理へ進む。しきい値THWOT以下である場合、ステップ48でエンジン回転数NEが所定回転数NWOTO以上であるか否かを判定する。
【0035】
エンジン回転数NEが所定回転数NWOTO以上である場合、ステップ49で水温TWが所定水温TWWOTE以下であるかを判定する。所定水温TWWOTEにはヒステリシスが付加されており、本実施形態ではその上限は105℃であり、下限値は90℃である。
【0036】
水温TWが所定水温以下であると、ステップ50でリーンバーン運転中であるか否かを判定する。リーンバーン運転中でない場合、ステップ51で吸気管内絶対圧PBAがステップ42で算出されたしきい値PBWOT以下であるか否かを判定する。吸気管内絶対圧PBAがしきい値PBWOTより大きい場合、ステップ54に進む。吸気管内絶対圧PBAがしきい値PBWOT以下である場合は、ステップ52でディレイタイマtmWOTDLYに所定時間をセットする。
【0037】
ステップ50でリーンバーン運転中である場合は、吸気管内絶対圧PBAの判定をせずに直接ディレイタイマtmWOTDLYがセットされる。この場合は、図4のステップ53で高負荷判定フラグFWOTが0にセットされ、燃料増量制御を行わない。
【0038】
エンジン回転数NEが所定回転数NWOTOより低い場合、または水温TWが所定水温TWWOTEより高い場合は図4のステップ57に進む。ここで、吸気管内絶対圧PBAがステップ42で算出されたしきい値PBWOT以上であるか否かを判定する。
【0039】
吸気管内絶対圧PBAがしきい値PBWOT以上でない場合は、ディレイタイマtmWOTDLYに0をセットし(ステップ59)、高負荷判定フラグFWOTに0をセットして(ステップ60)、燃料増量制御を行わない。
【0040】
吸気管内絶対圧PBAがしきい値PBWOT以上である場合、ステップ58でエンジンストール後の再始動時に低負荷運転状態に入ったときに1にセットされるフラグFENKWOTが1であるか否かを判定する。フラグFENKWOTが1でない場合はステップ59以下に進み燃料増量制御を行わない。
【0041】
フラグFENKWOTが1である場合は、ステップ61で水温TWが所定水温TWWOTO(本実施形態では105℃)以下であるか否かを判定する。所定水温以下である場合は、ステップ62で水温増量係数KTWが高負荷増量係数KWOT以上であるか否かを判定する。
【0042】
水温増量係数KTWが高負荷増量係数KWOT以上である場合は、ディレイタイマtmWOTDLYを0にセットし(ステップ63)、高負荷判定フラグFWOTを1にセットして(ステップ64)燃料増量を実行することになる。この場合は燃料増量係数KWOTは1.0にセットされる(ステップ65)。
【0043】
ステップ61でエンジン水温が所定水温より高かったとき、またはステップ62で水温増量係数KTWが高負荷増量係数KWOTより小さかったときは、ステップ66でKWOTの値を補正する処理を行う。水温TWが高い程、KWOTは大きな値に補正される。ここで算出されたKWOTを基本燃料量に乗じることによって燃料増量が行われることになる。
【0044】
ステップ67でディレイタイマtmWOTDLYを0にセットし、ステップ68で高負荷判定フラグFWOTに1をセットする。続いてステップ69で水温増量係数KTWが1.0にセットされる。
【0045】
図3に戻って、ステップ51で吸気管内絶対圧PBAがステップ42で算出されたしきい値PBWOTより大きい場合、ステップ54で車速Vが所定速度VTMWOT(本実施形態では5km/h)以上であるか否かを判定する。所定速度以上である場合は、ステップ55で触媒温度判定フラグFCATWOTが1にセットされているか否かを判定する。
【0046】
触媒温度判定フラグFCATWOTが1である場合、ステップ56で所定時間FF(本実施形態では1.0sec)からディレイタイマtmWOTDLYの値を減じた値が基本遅延時間tmWOT以上であるか否かを判定する。基本遅延時間tmWOTはエンジン回転数NEに応じたtmWOTテーブルを検索することによって得られる。算出した値が基本遅延時間以上である場合は、図5のリッチ継続時間制限処理に移行して、燃料増量を実行することになる。ステップ54で車速Vが所定値より小さかった場合も同様である。
【0047】
ステップ55で触媒温度判定フラグFCATWOTが0である場合、またはステップ56で算出値が基本遅延時間tmWOTより小さかった場合は、ステップ43でFWOTが0にセットされるので燃料増量は実行されない。
【0048】
このように、触媒温度が所定値以下の場合は空燃比リッチ化による触媒の冷却の必要がないので、燃料増量は実行されないのである。つまり、吸気管内絶対圧PBAがしきい値PBWOTより大きく高負荷運転状態であると判定されても、触媒温度TCTが所定温度TCTHより低い場合は、図2に示す処理でECU5は触媒温度判定フラグFCATWOTを0にセットするので、高負荷判定フラグFWOTは0にセットされて燃料増量を実行しないよう動作する。触媒温度TCTが所定温度TCTH以上になった場合、ECU5は触媒温度判定フラグFCATWOTを1にセットし、高負荷判定フラグFWOTを1にセットして、燃料増量を実行する。
【0049】
次に図5を参照してリッチ継続時間制限処理について説明する。
【0050】
従来技術では、触媒温度がTCTHの上限値(例えば900℃)以上とならないように燃料増量を実行して空燃比をリッチ化し、リッチ化により触媒温度が下限値(例えば870℃)まで下がったら理論空燃比に戻すように制御していた。この技術においては、負荷が増大し触媒温度が高温になるにつれて、触媒温度が下限値まで下がるのに要する燃料増量の継続時間(リッチ運転時間)は長くなるように制御される。
【0051】
しかし、特にペロブスカイト構造を有する触媒においては、リッチ運転時間を所定時間以下に制限しないとペロブスカイト構造が破壊されてしまい、浄化性能が低下してしまうという問題がある。従って、以下に説明するリッチ継続時間制限処理は、触媒温度が下限値以下にならなかった場合でも上限値以下になった場合は、所定時間以上リッチ時間を継続しないようにして、ペロブスカイト構造の破壊を回避するためのものである。
【0052】
まずステップ70で、前回のルーチンで高負荷運転状態(WOT)だったか否かを判定する。今回高負荷運転状態になった場合は、ステップ71でリッチ運転時間計測のためのタイマtmWOT2をスタートさせる。続いて図4のステップ62以降の処理に進んで、燃料増量が開始される。
【0053】
次にリッチ継続時間制限処理に入るときは、ステップ70からステップ72に進み、タイマtmWOT2のカウント値が所定値TMWOT2を越えたか否かを判定する。所定値TMWOTは、リッチ運転(燃料増量)を継続してもペロブスカイト構造が破壊されない時間に予め設定されている。所定値を越えていない場合はステップ62以降に進む。
【0054】
ステップ72でタイマtmWOT2のカウント値が所定値TMWOTを越えた場合は、ステップ73で触媒温度TCTが上限側温度(本実施形態では900℃)を下回ったか否かを判定する。下回っていない場合はステップ62以降に進み燃料増量を継続し、下回った場合は、ステップ74でタイマを0にリセットし、図4のステップ53に進んで燃料増量を停止する。
【0055】
タイマtmWOT2のカウント値が所定値TMWOTに達しないときでも触媒温度TCTが下限値より低くなった場合は、図2に示すステップ36でNOに進み、FCATWOTが0にセットされるので燃料増量は終了する。
【0056】
このように、本発明では燃料増量により空燃比をリッチ化したときに、触媒温度が所定温度以下にならなかった場合でも所定時間以上リッチ運転を継続しないように制御することによって、ペロブスカイト構造の破壊を防止する。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、リッチ継続時間制限手段を備えたことにより燃料増量を実行するリッチ運転時間が制限されるので、特にペロブスカイト構造を有する触媒においても空燃比リッチ化による該構造の破壊が防止され、触媒の劣化ひいてはエミッションの悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る燃料供給制御装置を備える内燃機関の全体の構成を示す図である。
【図2】触媒温度判定フラグFCATWOTの設定処理を示すフローチャートである。
【図3】高負荷増量係数KWOTの算出処理を示すフローチャートである。
【図4】高負荷増量係数KWOTの算出処理を示すフローチャートである。
【図5】リッチ継続時間制限処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関(エンジン)
5 電子コントロールユニット(ECU)
6 燃料噴射弁
14 触媒コンバータ(三元触媒)
21 運転状態検出手段
22 触媒温度判断手段
23 空燃比設定手段
24 リッチ継続時間制限手段
25 燃料噴射制御手段
Claims (1)
- 内燃機関の排気系に配置された、ペロブスカイト構造を有する触媒コンバータと、
前記内燃機関の高負荷運転状態を検出する高負荷運転状態検出手段と、
前記触媒コンバータの温度を判断する触媒温度判断手段と、
前記触媒温度が第1の温度以上となったときに燃料増量を実行し、該触媒温度が第1の温度より低い第2の温度以下となったときに前記燃料増量を停止する空燃比制御手段と、を備えた内燃機関の燃料供給制御装置において、
前記燃料増量を実行している時間を計測する計測手段と、
前記内燃機関が高負荷運転状態にあるとき、前記触媒温度が前記第2の温度以下とならなかった場合でも、前記触媒温度が前記第1の温度より低くかつ前記計測時間が所定時間に達したときは前記燃料増量を停止するリッチ継続時間制限手段と、をさらに備える燃料供給制御装置。
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