JP4439637B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、センスアンプを有する半導体装置に関し、特にセンスアンプの電源電圧を活性時の一定期間通常より高い電圧にすることで高速化するオーバードライブ方式のセンスアンプを有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
センスアンプは、DRAMやSRAMでデータの読み出しのために広く使用されている。図1は、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)におけるセンスアンプとその周辺部の構成例を示す図である。
DRAMにおいては、複数のワード線WL0、WL1と複数のビット線対BL、BLBが直交するように配置され、交点に対応してメモリセルMC0、MC1が配置される。ビット線対BL、BLBは、トランジスタGT1、GTB1を介してプリチャージ回路11及びセンスアンプ12に接続される。また図示していないが、センスアンプ12の右側のトランジスタGT2、GTB2を介して同様にメモリセルが配置されている。メモリセルMC0、MC1は、それぞれトランジスタCTを介してビット線BL、BLBに接続される容量Cを有する。容量Cには記憶するデータに応じた電圧が保持される。例えば、メモリセルMC0の容量Cに「高(H)」側の電圧を保持させる場合には、ビット線BLを「H」、BLBを「低(L)」にした上で、ワード線WL0にパルスを印加してトランジスタCTを導通させ、容量Cを「H」に充電する。
【0003】
この記憶データを読み出す場合には、まずビット線−センスアンプ接続制御回路22がゲート信号BT1を活性にしたままBT2を非活性にする。これに応じて、トランジスタGT2、GTB2が非導通となり、メモリセルMC0、MC1を含むメモリセルアレイが選択される。更に、プリチャージ信号出力回路23がプリチャージ信号PRを非活性にし、プリチャージ動作を終了する。プリチャージ動作とは、プリチャージ回路11が活性化し、ビット線BL、BLBをショートして同電位にすると共に、プリチャージレベル生成回路25で生成されたプリチャージレベルVH1/2を印加する。この時、プリチャージ信号PRはセンスアンプ駆動回路(ドライバ)24にも印加され、センスアンプ12の電源VP、VNにプリチャージレベルVH1/2が供給される。
【0004】
次に、ワード線WL0にパルスを印加してトランジスタCTを導通させると、容量Cが設定されたレベルに応じて、ビット線対BL、BLB間に電位差が生じる。例えば、メモリセルMC0の容量Cが「H」に充電されていれば、ビット線BLが若干上昇する。この状態で、センスアンプ活性化信号出力回路28からセンスアンプ駆動信号SAB、SAが出力され、これに応じてセンスアンプドライバ24の出力が切り換わり、センスアンプ12の電源VPに高電位SAVが、VNに低電位VSSが印加される。これにより、センスアンプは活性化され、ビット線対BL、BLB間の電位差を増幅して、一方を高電位SAVに、他方を低電位VSSにする。ビット線対BL、BLBは図示していない次段のセンスアンプ又は出力回路に接続されており、メモリセルMC0の容量Cが設定された電圧に応じたデータが出力されることになる。タイミング信号生成回路21は、上記のような動作を行うためのタイミング信号PRTi及びTWLiを出力する。ここで、後述するように、DRAMは複数のバンクで構成され、上記の回路は対応するバンクがアクセスされた時に活性化されるようになっており、iはバンクを示すものとする。
【0005】
近年、半導体装置においては高速化が進められており、DRAMにおいてもシンクロナスDRAM(SDRAM)などが実用化されており、それに応じてセンスアンプの高速化が要求されている。一方低消費電力化も要求されており、チップの周辺部とコア部の電源を別にしてコア部に周辺部より低電圧の電源を使用することがある。しかし、センスアンプを低電圧化するとセンスアンプの増幅速度が低下するという問題が生じる。上記のように、センスアンプは小さな電位差が生じたビット線対BL、BLBを、高電位SAVと低電位VSSに増幅するものであり、高速化するにはこの増幅動作の時間を短縮する必要がある。そこで、センスアンプ専用の電源をコア部用の電源とは別に設け、センスアンプの信号増幅開始期間のみ電源電圧としてコア部用の電源電圧よりも高い電圧を使用するオーバードライブ方式と呼ばれる駆動方法が使用される。図1に示すように、センスアンプ用電源切り換え制御回路27はオーバードライブ信号ods、odsbを切り換え回路26に出力し、切り換え回路26はこれに応じて非オーバードライブ時にはSAVとして第1の電圧VH1を出力し、オーバードライブ時にはVH1より高い第2の電圧VH2を出力する。
【0006】
図2は、外部電源電圧Vccから第1の電圧VH1と第2の電圧VH2を発生する内部降圧電源の構成例を示す図である。ここで、VH1<VH2である。この電源回路は、図示のように、Nチャンネルトランジスタにより外部電源電圧Vccを降圧する回路であり、構成が簡単で面積が小さく、発振しないという特徴を有する。プッシュプル回路のような他の降圧回路が使用される場合もあるが、構成が簡単であるので図2のような回路を使用するのが一般的である。第2の電圧VH2は他の部分でも使用されるため、比較的大きな電源供給能力を有するが、第1の電圧VH1はセンスアンプ専用であり、通常電源供給能力は小さい。
【0007】
図3は、オーバードライブ方式における各部の電圧変化を示すタイムチャートである。図示のように、センスアンプ(S/A)を活性化する前にセンスアンプ用電源が第1の電圧VH1からより電圧の高い第2の電圧VH2に切り換えられる。そしてメモリセルに記憶されたデータに応じてビット線BL、BLB間に電位差が生じた時点でSA、SABを受けるセンスアンプトランジスタがオンすることにより、センスアンプが活性化され、一方のビット線の電圧が上昇し、他方が減少する。ここで一方のビット線の電圧は最終的に第1の電圧VH1になることが必要であり、一方のビット線の電圧が第1の電圧VH1になる直前にセンスアンプの電源が第2の電圧VH2から第1の電圧VH1に切り換えられる。そして一方のビット線の電圧が第1の電圧VH1になり、他方のビット線の電圧が低レベルVssに近い値になる。読み出しが終了した後は、ビット線BL、BLBをショートすることにより、プリチャージレベルになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなオーバードライブ方式を適用した場合に、第2の電圧VH2から第1の電圧VH1に切り換える期間が長かったり、駆動能力が大き過ぎると一方のビット線の電圧が第1の電圧VH1より高くなる。一方のビット線の電圧がVH1より高くなった後、このビット線は図2の(1)に示すようなVH1の電圧の第1電源に接続されるが、この第1の電源の寄生容量はビット線の寄生容量より小さく、また他方のビット線から第1の電源に電荷が流れ込んできても、その電荷を更に放電する経路が存在しないので、一方のビット線の電圧は、所定の電圧VH1より高いレベルを維持する。次いで、このような状態でプリチャージを行うと、プリチャージレベルもVH1/2よりも上昇する。例えば、一方のビット線の電圧が第1の電圧VH1よりΔV高いと、ビット線のショートによりプリチャージレベルはΔV/2上昇し得る。プリチャージレベルがこのように上昇するような条件で複数回のデータ読み出し動作により、オーバードライブが繰り返されると、プリチャージレベルの上昇量は累積して徐々に高くなる。
【0009】
図1に示すように、プリチャージ回路11にはプリチャージレベル生成回路25で生成されたプリチャージレベルVH1/2が供給される。しかし、プリチャージレベル生成回路25は、レベル補償用に必要最低限の供給能力を有するように設計され、その供給配線も必要最低限の幅に設計されるため、上昇したビット線のプリチャージレベルをVH1/2に戻すことはできない。特に、プリチャージレベル生成回路25から離れた位置におけるプリチャージレベルが所定の電圧よりずれた場合、電圧低下のためプリチャージレベル生成回路25近傍の値と同じレベルに制御するのが困難となる。また、ビット線のプリチャージレベルがある範囲以上に上昇してしまうと、プリチャージレベル生成回路25による電圧の低下能力が、オーバードライブによるビット線のプリチャージレベルの上昇量に満たず、徐々に上昇する。プリチャージレベル生成回路25の供給能力を増大させることも考えられるが、これは回路面積の増加を招くので好ましくない。
【0010】
メモリセルへの「H」データ書込み電圧は、ワード線の電圧により上限が決められる。そのため、プリチャージレベルが上昇すると、読み出し時にビット線に生じる電位差が減少して、データを正常に読み出せなくなり、読み出したデータに誤りが生じたり、センスアンプでの増幅が終了するまでの時間が長くなるという問題が起きる。更に、このような問題はメモリセルに蓄積された電荷が減少すると生じやすくなるので、リフレッシュサイクルを短くする必要が生じるが、これはスタンバイ時の消費電流の大幅な増加につながる。
【0011】
以上のような問題を生じさせないためには、ビット線のオーバードライブ時間を、場所依存、温度依存、製造プロセスのばらつきなどがあっても、ビット線の電圧が第1の電圧を越えることがないように、短く設定する必要がある。しかし、短く設定した場合、逆に第1の電圧の電源(第1電源)から不足分を供給する必要がある。しかし、上記のように、第1電源の供給能力は小さいのが現状であり、供給能力を大きくするにはトランジスタの供給能力及びそれを供給する配線幅を大きくする必要があり、これは面積の点で大きな欠点になる。また、センスアンプ用電源にプッシュプル回路を使用すれば、このような問題は生じないが、同様に面積の点で大きな欠点がある。
【0012】
DRAMなどの半導体装置は、メモリセルを複数のバンクに分けて構成しており、アクセスは各バンク毎に行われる。そして、低消費電力化を図るため、アクセスされたバンクのみを活性化することが行われる。そのため、ビット線のオーバードライブ時間も、1つのバンクがアクセスされ、他のバンクのセンスアンプは活性化されないものとして決定していた。しかし、リフレッシュ動作にはすべてのバンクを同時に並行してリフレッシュする全バンク同時リフレッシュモードがある。オーバードライブ方式の全バンク同時リフレッシュモードでは、全バンクのセンスアンプに一定期間第2の電圧を印加するが、この場合1つのバンクのセンスアンプのみが活性化される場合に比べて第2の電圧の電源(第2電源)から離れた位置での第2の電圧の電圧降下が大きく、一方のビット線の電圧が十分に上昇しないという問題が生じていた。
【0013】
このような問題を解決するためにオーバードライブ時間を長くすることが考えられるが、これでは第2の電圧の電圧降下が小さい位置では、逆に上記のようなプリチャージレベルの上昇を招くことになる。また、1つのバンクのみの動作時にもオーバードライブ期間が過剰になり、同様にプリチャージレベルの上昇を招く。そのため、全バンク同時リフレッシュモードでは、オーバードライブ終了後プリチャージ動作までの時間を長くして第1電源から不足分を供給していた。しかし、第1電源による増幅は低速で、リフレッシュに要する時間が長くなるという問題があった。
【0014】
本発明は、オーバードライブ方式で駆動するセンスアンプを有する半導体装置において、プリチャージレベルの上昇が発生しないようにすると共に、全バンク同時リフレッシュモードでもプリチャージレベルの上昇を生じることなく、ビット線の電圧を所定の電圧値まで十分に上昇できるようにすることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するため、本発明の第1の態様のオーバードライブされるセンスアンプを有する半導体装置は、通常時にセンスアンプの電源に供給される第1電源の第1の電圧を検出して、参照電圧以上である時にはセンスアンプの活性化中に第1の電圧を引き下げる引き下げ回路を設ける。
【0016】
すなわち、本発明の第1の態様の半導体装置は、センスアンプと、第1の電圧を発生する第1電源と、第1の電圧より高い第2の電圧を発生する第2電源と、センスアンプの電源線に、第1の電源又は第2の電源を接続する切り換え回路とを備える半導体装置において、電源線の電圧が参照電圧以上であるか検出する検出回路と、検出回路からの検出信号に応答して、電源線の電圧を引き下げる引き下げ回路とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の態様によれば、ビット線のオーバードライブ過多により上昇する第1電源の第1の電圧が監視され、参照電圧以上である時には引き下げ回路により引き下げられるので、ビット線のプリチャージレベルは上昇しない。また、引き下げ回路による引き下げは、センスアンプの活性化中にのみ行われるので、消費電力が少ない。引き下げは、例えば、第2の電圧から第1の電圧に切り換わってから、すなわちオーバードライブが終了してから行う。なお、第1電源として、図2の(1)に示すような降圧回路を使用する場合には、発生する第1電圧が消費されないと電圧値が上昇して、同様の問題が生じるが、本発明はこのような場合にも効果的である。
【0018】
前述のように、従来はビット線のプリチャージレベルが上昇して第1の電圧が上昇しないように、第2の電圧を供給するオーバードライブ期間を短くして、不足の上昇分を第1電源の第1の電圧により上昇させていた。そのため、動作時間が長くなると共に、第1電源の供給能力を大きくする必要があったが、本発明によれば、第1の電圧は上昇した場合には引き下げられるので、オーバードライブ期間を長くできるので動作時間が短くなり、第1電源の供給能力も必要最低限でよい。
【0019】
また、オーバードライブ期間の最適値は、製造プロセスのばらつきなどにより変化するので、ある程度のマージンを持たせてその範囲内で任意に設定できるようにすることが望ましい。マージンを持たせるには、トランジスタのサイズを選択可能にしたり、CRなどによる遅延時間が選択可能にする。製造プロセスが確定した場合には、マスクなどにより1つの値を選択されるようにすれば、工程は増加しない。
【0020】
また、検出回路と引き下げ回路をチップ全体に分散して設け、近傍の第1電圧の供給線の電圧を検出して引き下げる場合には、検出回路の参照電圧を配線による電圧降下分を考慮して設定し、全体として所望の電圧になるようにすることが望ましい。
また、切り換え回路がチップ全体に分散して設けられる場合には、各切り換え回路でオーバードライブ期間を選択可能にして、全体として所望のオーバードライブが行われるようにすることが望ましい。
【0021】
検出回路は、例えば、参照電圧と前記第1の電圧を入力とするカレントミラー回路を備える。
検出回路は、第1の電圧のレベル検出を、第2の電圧から第1の電圧に切り換えた時点からある一定期間行い、その間にレベル上昇が検出された時にはそのまま検出を行い、レベル上昇が検出されない時には検出を停止することが望ましい。これにより、検出回路の消費電力が低減できる。
【0022】
切り換え回路を第1の電圧を供給する第1電源供給線及び第2の電圧を供給する第2電源供給線に沿って複数個設ける場合には、検出回路と引下げ回路は、第1電源の近傍の第1電源供給線に接続されることが望ましい。
なお、図1に示すように、プリチャージレベル生成回路25が設けられている場合には、本発明による第1の電圧の引き下げが不十分でもある程度は引き下げられた後なので、プリチャージレベル生成回路25の供給能力が不十分でも、所定のプリチャージレベルを維持することが可能である。
【0023】
参照電圧を発生する参照電圧発生回路を、第1電源と同じ方式の同じプロセスで形成すれば、第1の電圧がプロセスのばらつきによりずれた場合でも、検出レベルも同じ方向にずれるので、プリチャージレベルのずれが生じにくくなる。更に、ヒューズ又はトリミングなどで第1の電圧を所望の値に調整する場合、検出レベルも同じように調整されるので、相対的なずれが小さくなる。
【0024】
本発明の第2の態様の半導体装置は、複数のセンスアンプと、第1の電圧を発生する第1電源と、第1の電圧より高い第2の電圧を発生する第2電源と、オーバードライブ信号に応じて、センスアンプの電源線に第2の電源を接続し、引き続いて第1の電源に接続するように切り換える切り換え回路とを備える半導体装置において、複数のセンスアンプのうち活性化される個数に応じて、電源線を第2の電源に接続する期間を変化させるように、オーバードライブ信号の活性化期間を利用するオーバードライブ信号延長回路を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、複数のバンクを有するメモリに使用されるようなセンスアンプは、バンクがアクセスされる時に活性化され、その時に最適なオーバードライブが行われるようにオーバードライブ期間が設定されるが、活性化されるセンスアンプの個数に応じて、オーバードライブ信号の期間が延長されるので、全バンク同時リフレッシュモードでもビット線の電圧はプリチャージレベルまで十分に上昇する。なお、プリチャージレベルの上昇を防止するため、第1の態様の構成を組み合わせることが望ましい。
【0026】
なお、第1の態様の構成を組み合わせる場合、活性化されるセンスアンプの個数に応じて、引き下げ期間などを変化させて第1の電圧の引き下げ量を変えることが望ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をSDRAMに適用した実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、センスアンプを有する半導体装置であればどのようなものにも適用可能である。
図4は、本発明の実施例のSDRAM100の全体構成を示す図である。図4に示すように、SDRAM100はDRAMコア101、制御信号発生回路102、モードレジスタ103、コラムアドレスカウンタ104、クロックバッファ105、コマンドデコーダ106、アドレスバッファ107、バンクセレクト108、I/Oデータバッファ109、電源回路110などからなる。
【0028】
クロックバッファ105には、外部からクロック信号CLK、クロックイネーブル信号CKEが入力され、コマンドデコーダ106には外部からチップセレクト信号/CS、ロウアドレスストローブ信号/RAS、コラムアドレスストローブ信号/CAS、ライトイネーブル信号/WEが入力される。また、アドレスバッファ107及びバンクセレクト108には、外部からアドレス信号Addが入力され、I/Oデータバッファ109には外部からデータ信号DQMが入力される。更に、入力データ信号DQは、I/Oデータバッファ109から入力され、読み出された出力データ信号DQは、I/Oデータバッファ109から外部に出力される。
【0029】
コマンドデコーダ106、アドレスバッファ107、バンクセレクト108、I/Oデータバッファ109は、クロックバッファ105からのクロック信号ii同期して動作する。
DRAMコア101は、複数のバンク0、1、…からなり、各バンクはメモリセルアレイとセンスアンプ回路及び本発明の引き下げ回路を有する。バンク0、1、…には、制御信号発生回路102からバンク活性化信号brs0z、brs1z、…、センスアンプ活性化信号twlが入力する。バンク活性化信号brs0z、brs1z、…は、対応するバンクを活性化する。
【0030】
バンクセレクト108がバンク0を示している時は、制御信号発生回路102は、バンクアドレスと/RAS信号から発生するバンク活性化信号brs0zを出力する。この制御信号発生回路102から活性化したバンクに入力するバンク活性化信号brs0z、brs1z、…は、アドレスバッファ107において取り込んだロウアドレスに対応するワード線を選択する。そして、選択されたワード線に係るセンスアンプが活性化される。一方、コラムアドレスカウンタ104から与えられるコラムアドレスに対応するビット線とデータI/O線は、接続される。ビット線とデータI/O線が接続されることで、I/Oデータバッファ109とメモリセル間でデータの授受が行われる。
【0031】
以上は、一般的なSDRAMであり、ここではこれ以上の詳しい説明は省略する。次に、本発明の第1実施例のSDRAMにおけるセンスアンプの電源について説明する。
図5は、第1実施例のSDRAMのレイアウトを示し、特にセンスアンプの電源に関係する要素を示している。図示のように、第1実施例のSDRAMは4バンク構成としているが、これに限定されるものではない。右側から順にバンク0、バンク1、バンク2及びバンク3が配列されており、各バンクは中央で、上下2つの部分に分割されている。各バンク内は複数のブロックに分けられ、各ブロックでは複数のワード線と複数のビット線対が直交するように配置され、それらの交点に対応してメモリセルが配置されている。また、各ビット線対毎にセンスアンプが設けられている。例えば、64MビットのSDRAMの場合、4バンク構成で、各バンクは256ブロックを有し、各ブロックには64k個のメモリセルが配置されている。各ブロックには、256本のワード線と256本のビット線、すなわち128組のビット線対が設けられている。従って、各ブロックには128個のセンスアンプがあり、1バンクには32k個のセンスアンプが設けられている。図1のセンスアンプドライバ24は、十数個のセンスアンプに対して1個設けられている。
【0032】
各バンクの一方の側には、図1に示すようなバンク内のセンスアンプに供給する電圧を切り換える切り換え回路26が設けられている。各切り換え回路26には、第1電源供給線33により第1の電圧VH1が供給され、第2電源供給線34により第2の電圧VH2が供給される。第1の電圧VH1及び第2の電圧VH2は、図示していない第1及び第2電源で発生され、第1及び第2電源供給線33、34に供給される。当然のことながら、回路や配線も設けられているが、本発明には直接関係しないので、省略してある。
【0033】
各バンク用の切り換え回路26の中央部には、第1の電圧が参照電圧以上に上昇した時に引き下げる引き下げ回路31−0〜31−3が設けられている。更に、チップの中心部には参照電圧を発生する参照電圧発生回路32が設けられており、中央部に設けた参照電圧供給線35により引き下げ回路31−0〜31−3に供給される。チップの中央部には、更に第1電源供給線33が設けられている。なお、図5では、バンク1とバンク2の第1電源供給線33及び第2電源供給線34を別々に供給しているが、バンク1とバンク2で共用し、切り換え回路26のみをバンク独自に使用することも可能である。
【0034】
図6は、引き下げ回路31−0〜31−3の構成とそれに関係する部分を示す図である。図示のように、各切り換え回路26にはセンスアンプ(S/A)ドライバ24が接続され、更に各S/Aドライバ24には複数のセンスアンプ(S/A)12が接続されている。なお、ここでは各切り換え回路26に接続されているS/Aドライバ24は1個のみを示しているが、実際には多数のS/Aドライバ24が接続されている。引き下げ回路31−0〜31−3と切り換え回路26には第1電源供給線33により第1の電圧VH1が供給される。
【0035】
図示のように、各引き下げ回路31−0〜31−3は、検出器35と、検出器活性化回路36と、引き下げトランジスタ回路37を有する。図4の制御信号発生回路104に設けられたバンク別タイミング生成回路41から、各引き下げ回路31−0〜31−3に、オーバードライブ信号ods−0〜ods−3と、センスアンプ活性化信号twl−0〜twl−3が供給される。この2つの信号とも、対応するバンクが活性化される時にアクティブになる。また、参照電圧生成回路32からは、各引き下げ回路31−0〜31−3に、参照電圧Vrefが供給される。
【0036】
図7は、各引き下げ回路31−0〜31−3の具体的な回路構成を示す回路図である。検出器35は、検出器活性化回路36の出力する検出器活性化信号enが「H」の期間活性化され、第1の電圧VH1を参照電圧Vrefと比較し、VH1が高い時に検出信号dtdを「H」にする。図示のように、検出器35はカレントミラー回路を有する。検出器活性化回路36は、オーバードライブ信号odsとセンスアンプ活性化信号twlから検出器活性化信号enを発生する。なお、検出器活性化回路36は、図示のように容量Cと抵抗Rによる信号遅延回路とバイパス回路の組が多数直列に接続されており、どの部分をバイパスさせるか選択することにより、後述する検出器活性化のタイマー信号tmを「H」にする期間が設定できるようになっている。引き下げトランジスタ回路37は、第1の電圧VH1が供給される第1電源供給線33とグランドVssの間に接続された複数のNチャンネルトランジスタを有する。オーバードライブ信号odsの相補信号bodsと検出信号dtdが共に「H」の時にNチャンネルトランジスタが導通し、第1電源供給線33の電圧、すなわち第1の電圧VH1を引き下げる。なお、動作させるNチャンネルトランジスタを変化させることにより、引き下げ能力が決定される。
【0037】
図8は、参照電圧発生回路32の回路構成を示す図である。図示のように、外部電源電圧VccとVssの間にNチャンネルトランジスタと抵抗とそのバイパス回路を直列に多数接続した回路であり、どの部分をバイパスさせるか選択することにより、所望の参照電圧Vrefが得られる。
図9は、第1実施例の引き下げ回路の動作を示すタイムチャートである。アクセスするバンク信号がアクティブになるのに応答して、オーバードライブ信号odsが立ち上がる。これに応じて、切り換え回路26がS/A12に第2の電圧VH2を供給するように切り換わる。ここでは、オーバードライブ信号odsが立ち上がった後、バンク毎に決定される/RAS系のタイミング信号でセンスアンプ活性化信号twlが立ち上がり、これに応じて検出器活性化信号enも立ち上がり、検出器35が活性化する。検出器の活性化タイミングは、オーバードライブが終了するまでの間であれば特に制限はないが、検出器による消費電流の低減のため、バンクが非活性化の時には活性化しないことが望ましい。なお、検出器35はカレントミラー回路を使用しており、貫通電流が流れるので消費電流が大きく、このような制御が効果的である。
【0038】
検出器35が立ち上がる時には、第1の電圧VH1は通常の電圧であるが、検出可能状態に遷移するまでの間、検出信号dtdが一時的に立ち上がる。検出信号dtdは、VH1の方がVrefより低ければbで示したように立ち下がるが、VH1の方がVrefより高い場合には図で点線でしめすように「H」の状態を維持する。検出信号dtdが「H」の状態でも、オーバードライブ信号odsが「H」であるので、引き下げトランジスタ回路37は動作せず、VH1の引き下げは行われない。オーバードライブ信号odsが「一L」に変化するとオーバードライブが終了し、切り換え回路26がS/A12に第1の電圧VH1を供給するように切り換わり、ビット線とS/Aの電源、すなわち一方のビット線が第1電源が接続される。前述のように、オーバードライブが過剰に行われると、一方のビット線の電位はVH1以上に上昇しており、第1電源供給線33の電圧が上昇する。従来は、この後第1電源を使用しないためそのレベルは上昇したままであり、プリチャージ時にビット線ショートによりプリチャージレベルが上昇してしまう。しかし、本実施例では、そのような場合には、検出信号dtdが「H」になり、引き下げトランジスタ回路37が導通して、VH1を引き下げ始める。VH1がVrefより低ければ、検出信号dtdが「L」であり、引き下げは行われない。また、途中で検出信号dtdが「L」に変化した場合も引き下げを終了する。引き下げ動作は、プリチャージが行われる前に終了し、それに応じて検出器35も動作を停止する。
【0039】
ここで、オーバードライブが終了してからある一定期間が経過してもレベル上昇が検出されない時には、検出器の消費電流削減のために、検出器35を非活性状態にすることが望ましい。図示していないオーバードライブの終了からカウントを開始するタイマーによりこの期間を計時する。図9のtmはこのためのタイマーの出力を示す。tmが「H」の間に検出信号dtdが「H」にならない場合には、検出器活性化信号enを「L」にするような回路を付加する。
【0040】
以上、第1実施例について説明したが、切り換え回路26はチップの全域に分布しており、それに応じて第1電源供給線33には電圧降下が発生する。そこで、あらかじめ電圧降下の分布を調べ、回路全体で第1の電圧VH1が平均的に所定のレベルまで引き下げられるように、引き下げ期間を延長することが望ましい。この延長は、例えば、参照電圧Vrefのレベルの設定を変更したり、検出信号dtdの延長することで行う。
【0041】
また、第1実施例では、引き下げ動作が終了すると検出器35も動作を停止したが、引き下げ動作が終了した後、回路全体の電圧に分布ができ、電源配線の時定数が経過して回路全体の電圧分布が小さくなるまで検出を続けた方がよい場合には、引き下げ動作が終了した後も検出器35を活性化状態に維持することが望ましい。
【0042】
更に、検出が始まって、オーバードライブが終了するまでの間に、第1の電源電圧が所定のレベルより高いと検出されてその時点からVH1の引き下げを行う場合には、オーバードライブの後で引き下げの負荷が増加するので、引き下げトランジスタ回路の能力を前後で切り換えられるような回路にすることが考えられる。しかしながら、第1実施例のように、引き下げを開始するのをオーバードライブが終了した時点からに設定すれば、引き下げる負荷をビット線を含む状態に限って引き下げるようにトランジスタの能力を設計できるので、上記のような回路を設ける必要がなく、面積的には有利である。しかし、このためには、オーバードライブが終了したかの判定用の信号が必要であり、その回路を追加する面積的なトレードオフとなる。
【0043】
また、第1実施例では、参照電圧VrefをVH1のレベルと同じか少し高めに設定するが、引き下げる経路での電圧降下が大きく、引き下げ期間の延長時間が長くなる場合には、VrefをVH1より低めに設定してもよい。この場合には、検出信号dtdがかならず「H」なり、一度引き下げを行ってVH1がVrefより低くなったことを検出してから引き下げを終了する。
【0044】
以上の説明で、参照電圧を図8に示すような第1電源と同じ方式で、独自に生成することは、電源電圧が所定の電圧から製造プロセスのばらつきなどでずれた場合、Vrefも同じ方向にずれ、更にそこから電源電圧をヒューズ・トリミングなどで所定の電圧になるように調節する場合、Vrefも同じように調節され、相対的なずれを生じにくくなるため、好ましい。
【0045】
図10は、本発明の第2実施例のSDRAMのレイアウトを示し、図5に示した第1実施例のレイアウトに対応する図である。図10において、参照番号35−0〜35−3は、図6の検出器35と検出器活性化回路36を含む部分で、51は引き下げトランジスタ回路37の部分である。言い換えれば、第1実施例において、引き下げ回路31から引き下げトランジスタ回路37を分離し、多数の引き下げトランジスタ回路51を切り換え回路26の近くに設けたものである。他の部分は第1実施例と同じである。
【0046】
図5に示したレイアウトで、各バンクにアクセスする場合には、各バンクのセンスアンプが活性化され、対応するバンクの引き下げ回路のみが活性化される。SDRAMの場合、全バンク同時リフレッシュ動作があり、この場合にはすべてのバンクのセンスアンプが活性化され、それに応じてすべての引き下げ回路が活性化される。すなわち、活性化されるセンスアンプの個数が大幅に変化する。全バンク同時リフレッシュ動作の場合には、1バンク動作時に比べて、第2電源供給線34のチップ端での電圧降下が大きく、1バンク動作に対して設定されたオーバードライブ期間では不十分である可能性がある。第3実施例では、動作モードに応じて同時に動作するセンスアンプの個数を変化させる。
【0047】
図11は、第3実施例のセンスアンプ用電源切り換え制御回路の構成を示す図であり、他は第1実施例と同じである。切り換え信号発生回路71は、例えば、図1に示した回路27に相当し、図6のバンク別タイミング生成回路41内に設けられる。その内部では、オーバードライブ信号の元になる信号ODSが生成されるが、それをモード信号に応じて延長した上で、オーバードライブ信号ods、odsbを生成する。オーバードライブ信号の元になる信号は、切り換え信号発生回路71で従来と同様に生成される。
【0048】
図12は、延長回路62の回路構成を示す図であり、リフレッシュ信号が「H」の場合には信号ODSを延長した上でオーバードライブ信号ods、odsbを生成、リフレッシュ信号が「L」の場合には従来と同様に信号ODSからそのままオーバードライブ信号ods、odsbを生成する。この場合も、遅延回路の遅延長を調整可能にし、延長する期間を選択できるようにする。
【0049】
なお、オーバードライブ期間を延長すると、プリチャージレベルが上昇する可能性があるが、第3実施例では第1実施例と同様に引き下げ回路が設けられており、たとえオーバードライブ期間が長すぎてプリチャージレベルが上昇しても問題を生じない。一度に動作するS/Aの個数が変化して、オーバードライブ終了時のビット線のオーバードライブし過ぎ量が変化する場合、そのパターンに応じて引き下げ回路の引き下げ量を調節したり、あるいは引き下げ回路を停止するように設定することにより、各動作パターンで最適な引き下げ量とすることができる。
【0050】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、オーバードライブ方式のセンスアンプにおいて、オーバードライブ期間を場所依存・温度依存・プロセスばらつきなどにより所定の期間より不足することを防止するため、マージンを持たせ長めの期間とした場合でも、「H」側に増幅されるビット線のレベルをプリチャージまでに所定の電圧に戻すことにより、プリチャージ時のビット線ショートによるプリチャージレベルの上昇を抑制できる。これにより、プリチャージレベルが上昇してしまう場合と比較して、次回にメモリセルの「H」側データを読み出した時のビット線間の電位差が大きくなり、読み出しマージンは増加し、読み出し速度は向上し、ひいてはリフレッシュサイクルタイムを延長することが可能になる。また、プリチャージレベル生成電源のサイズ並びにプリチャージレベル供給配線の幅を、レベル維持のための最小源の幅に押さえることができる。
【0051】
別の見地からは、本発明を使用せず、オーバードライブ期間を場所依存・温度依存・プロセスばらつきなどによっても過剰にならないように設定して、不足分を第1電源より供給する方式と比較して、第1電源のサイズ及び供給配線の幅を小さく押さえることができ、面積縮小に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】DRAMにおけるセンスアンプとその周辺回路部の構成を示す図である。
【図2】センスアンプに供給される第1及び第2の電圧を発生する内部降圧回路の例を示す図である。
【図3】オーバードライブ過多によるプリチャージレベルの上昇を説明するタイムチャートである。
【図4】本発明の実施例のSDRAMの全体構成を示す図である。
【図5】第1実施例のSDRAMのレイアウトを示す図である。
【図6】第1実施例の引き下げ回路の構成を示す図である。
【図7】第1実施例の引き下げ回路の回路図である。
【図8】参照電圧生成回路の回路図である。
【図9】第1実施例にける引き下げ動作を示すタイムチャートである。
【図10】本発明の第2実施例のSDRAMのレイアウトを示す図である。
【図11】本発明の第3実施例におけるセンスアンプ用電源切り換え制御回路の構成を示す図である。
【図12】第3実施例におけるモード別延長回路の回路図である。
【符号の説明】
11…プリチャージ回路
12…センスアンプ
24…センスアンプ駆動回路(ドライバ)
25…プリチャージレベル生成回路
26…切り換え回路
27…センスアンプ用電源切り換え制御回路
31−0〜31−3…引き下げ回路
32…参照電圧生成回路
33…第1電圧供給線
34…第2電圧供給線
35…検出器
36…検出器活性化回路
37…引き下げトランジスタ回路
Claims (5)
- センスアンプと、
第1の電圧を第1電源供給線に供給する第1電源と、
前記第1の電圧より高い第2の電圧を第2電源供給線に供給する第2電源と、
前記センスアンプの電源線に、前記第1電源供給線又は前記第2電源供給線を接続する切り換え回路とを備える半導体装置において、
前記第1電源供給線の電圧が、前記第1の電圧と同じか高い参照電圧以上であるか検出する検出回路と、
前記検出回路からの検出信号に応答して、前記第1電源供給線の電圧を引き下げる引き下げ回路とを備え、
前記切り換え回路が前記第2電源供給線から前記第1電源供給線に接続を切り換えた後、一定期間経過しても前記第1電源供給線の電圧が前記参照電圧以上であることを検出しない場合には、前記検出回路は非活性化され、
前記第1電源供給線の電圧が前記参照電圧以下になったときに前記検出回路は非活性化され、前記引き下げ回路は前記引き下げを終了することを特徴とする半導体装置。 - 請求項1に記載の半導体装置であって、
前記検出回路は、参照電圧と前記第1電源供給線の電圧を入力とするカレントミラー回路を備える半導体装置。 - 請求項1に記載の半導体装置であって、
前記切り換え回路は、前記第1電源供給線及び前記第2電源供給線に沿って複数個設けられており、
前記検出回路と前記引下げ回路は、前記第1電源の近傍の前記第1電源供給線に接続される半導体装置。 - 請求項1に記載の半導体装置であって、
前記参照電圧を発生する参照電圧発生回路は、前記第1電源を構成する回路と同じプロセスで形成される回路である半導体装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記引き下げは、前記切り換え回路が前記第2電源供給線から前記第1電源供給線に接続を切り換えた後に行われる半導体装置。
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