JP4439241B2 - 旋盤の主軸ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、旋盤の主軸の回転を固定し、あるいは回転負荷を与えるために主軸台に設けられるブレーキ装置に関するもので、ディスクブレーキ型の上記装置に関するものである。
刃物台に装着された回転工具を用いて旋盤の主軸に把持されたワークの孔開け加工やキー溝加工を行うときは、加工中にワークが回転しないように主軸の回転を強固に固定しておく必要がある。また、エンドミルを用いてワークの外周に螺旋溝を加工する場合などは、加工中に主軸を低速回転させる必要があるが、この場合には主軸に積極的に回転負荷を与えて、加工負荷が変動しても主軸の回転速度が変化しないようにする必要がある。
この主軸の固定や回転負荷を与えるために、フルブレーキで主軸を固定し、半ブレーキで主軸に回転負荷を与えるブレーキ装置が主軸を軸支している主軸台に装着されている。このブレーキ装置としては、制動力が大きくかつ制動力を正確に制御することができるディスクブレーキが適している。
回転工具でワークの孔開け加工やフライス加工を可能にした旋盤では、刃物台に回転工具の駆動装置を搭載する必要があり、刃物台が大型になる。また、2主軸対向旋盤では、刃物台と主軸台が並置された状態となり、加工時の機械剛性を高くするために、刃物台をできるだけ主軸に接近させる必要があるため、主軸台の幅をできるだけ小さくしたいという要求が生ずる。
周知のようにディスクブレーキは、回転軸に固定したブレーキディスクの両面に油圧シリンダで付勢されるブレーキパッドを押し付けて制動力を発生させるものである。所望の制動力を発生させるためには、それに見合う径の油圧ピストンとブレーキパッドの摺接面積とが必要である。このブレーキ装置側の要求を満足させようとすると、図5に示すように、ブレーキディスク4を主軸2の外周に大きく突出させる必要があり、ブレーキディスク4の径が大きくなって、主軸台1の幅寸法が大きくなり、その分だけ刃物台21が主軸から遠ざかって、機械剛性が低下する。
特開2000−218404号公報
上記の機械剛性の低下の問題を避けるためには、図6に示すように、主軸2からのブレーキディスク4の突出量を小さくして、刃物台21を主軸2に接近させてやればよいことは明らかである。このときのブレーキパッドの摺接面積は、ブレーキパッドの幅を広くすることによって確保できるが、ブレーキを掛けたときに、ブレーキパッドがディスクから受ける反力の作用線22がブレーキ力を発生するブレーキピストン6の中心から外れてしまい、そのためにブレーキを掛けたときに、図7に誇張して示すように、ブレーキパッド5及びブレーキピストン6がハの字状に傾いて、ブレーキパッド5とディスク4との摺接面に片当りが生じて、所望の制動力を発生することができなくなると共に、シリンダ内でのピストン6の円滑な摺動が妨げられて、制動力の円滑な制御が不可能になるという問題が発生する。
この発明は、刃物台を主軸に接近させるために、ブレーキディスクを小さくしたときに生ずる上記問題を解決することを課題としており、ブレーキパッドの片当りやブレーキピストンの傾きを生じさせることなく、ブレーキディスクを小径化することが可能な技術手段を得ることを課題としている。
この発明では、ブレーキディスク4を挟んで対向する位置に配置されたブレーキパッド5を付勢するべく主軸2と平行な同一軸線上に配置された一対のピストン6A、6Bを貫通して装架されたガイド軸7で、当該一対のピストン6A、6Bの軸方向移動をガイドすることにより、上記課題を解決している。
即ち、上記課題を解決した本願請求項1の発明に係る旋盤の主軸ブレーキ装置は、旋盤の主軸に固定されたブレーキディスク4と、当該ディスクを挟んで対向配置されたブレーキピストン6と、当該ピストンの前記ディスクを向く面に固定されて前記ディスクの周縁部を挟圧するブレーキパッド5とを備えた旋盤の主軸ブレーキ装置において、前記ピストンが前記ディスクより外側に偏倚した位置に設けたシリンダ12に嵌挿して同一軸線上で対向配置され、当該ピストンの軸方向移動を案内すると共に当該ピストンの傾きを防止するガイド軸7が、前記対向配置された対となるピストン6A、6Bを貫通してその両端を前記シリンダ12のシリンダハウジング3で支持されていることを特徴とするものである。
ガイド軸7は、必ずしもピストン6の中心軸と軸心を一致させて設ける必要はない。ピストン6やパッド5を傾けようとする力は、ピストン6に作用する油圧力の作用線23と、ディスク4からパッド5に作用する反力の作用線22との距離に比例し、ガイド軸7の位置には関係しないので、ガイド軸7を外側(主軸軸線から離れる方向)に偏倚して設けた方が両作用線22、23の距離は小さくなる。ガイド軸7が貫通している部分には、ピストン6に油圧力が作用しないためである。一方、加工の便宜の上では、ガイド軸7をピストン6の軸心に設けるのがよい。
ピストン6に作用する油圧力の作用中心と、ディスク4からの反作用中心22との偏倚により生ずるモーメントは、ガイド軸7によって受けとめられてブレーキパッド5及びピストン6の傾きを防止する。ガイド軸7がない場合には、ピストン6やブレーキパッド5を傾けようとするモーメントは、ピストン6の外周を案内するシリンダ壁によって受けとめられることとなるが、径の小さいガイド軸7とピストン6との間のクリアランスは、ピストン6の外周とシリンダとの間のクリアランスよりも小さくすることが可能で、かつ一般に軸方向のガイド長さも長く取れるため、同じモーメントが作用したときのピストン6やブレーキパッド5の傾きを小さくすることができ、従って、ピストンやブレーキパッドが傾くことによって生ずるブレーキ力の低下やピストン6の動作不良を防止することが可能になる。
以下、図1ないし4を参照して、この発明の実施形態を説明する。図において、1は主軸台、2は当該主軸台に軸支された主軸、3は主軸台の上部に固定されたシリンダハウジング、4は主軸に固定されたブレーキディスク、5はブレーキパッド、6はブレーキピストン、7はガイド軸である。また、図4に想像線で示す8は主軸軸端、9は主軸を回転駆動するVベルトプーリである。
シリンダハウジング3は、主軸台1の上部に図示しないボルトで固定して設けられており、内部にブレーキピストン6に油圧を供給するための油孔10、11が設けられている。シリンダハウジング3には、主軸と平行な2個のシリンダ12が設けられており、このシリンダの軸方向中央にブレーキディスク4の上部を挿入し、かつその両側にブレーキパッド5を収容するための下方に開いた空間13が形成されている。各シリンダ12の軸心には、ガイド軸7がその両端をシリンダハウジング3に支持された状態で装架されている。
シリンダ12には、軸心をガイド軸7に挿通して軸方向に案内された状態でブレーキディスク4を挟む両側に対となるピストン6A、6Bが嵌挿されている。ガイド軸7とピストンのガイド軸挿通孔とは、高い面精度と嵌め合い精度とを備えており、ピストン6A、6Bはガイド軸7によって軸方向にガイドされるようにしてある。ピストン6の前面(ディスク4を向く面)には、図示しないボルトでブレーキパッド5が固定されている。即ち、各側のブレーキパッドは、当該側の2個のピストン6A(6B)、6A(6B)によって支持されており、主軸の軸方向に移動自在かつ回動不能である。なお、ブレーキパッド5とピストン6の固定部には、嵌合部15が設けられて、両者が正確な位置関係で確実に固定されるようになっている。
ピストン6の背面には、シリンダの底面との間に付勢側の油圧室16が形成されており、油孔11を通してこの油圧室16に油圧を供給することにより、ブレーキパッド5がブレーキディスク4の上端部に両側から押し付けられて制動力を発生する。一方、ガイド軸7の両端には段部が形成され、この段部に対応する段部を形成したピストンの軸孔との間に戻り側の油圧室17が形成されている。ガイド軸7には、この油圧室16に連通する油孔10が形成されており、シリンダハウジング3の油孔10及びガイド軸の油孔18を通して戻り側の油圧室17に油圧を供給することにより、ピストン6が両側に後退して、ブレーキパッド5をディスク4から離隔させる。なお、図中の19ないし20は、液封用のOリングである。
図には示してないが、付勢側の油圧室16に油圧を供給する回路には、圧力調整装置が設けられており、付勢側油圧室16に高圧の油圧を供給することによって主軸回転が強固に固定され、また何段階かの低圧の油圧を供給することにより、主軸2に所望の回転負荷が与えられる。
図3のA部における主軸ブレーキ装置の断面側面図 図3のB部における主軸ブレーキ装置の断面側面図 図1のC部における主軸ブレーキ装置の断面正面図 主軸ブレーキ装置を備えた主軸ユニットの斜視図 大径のブレーキディスクを設けたときのディスクとブレーキピストンとの位置関係及び主軸台と刃物台の関係を示す説明図 ブレーキディスクの径を小さくしたときの図5と同様な図 ブレーキディスクを小径としたときのブレーキパッド及びピストンの傾きを誇張して示す説明図
符号の説明
4 ブレーキディスク
5 ブレーキパッド
6 ブレーキピストン
7 ガイド軸

Claims (1)

  1. 旋盤の主軸に固定されたブレーキディスク(4)と、当該ディスクを挟んで対向配置されたブレーキピストン(6)と、当該ピストンの前記ディスクを向く面に固定されて前記ディスクの周縁部を挟圧するブレーキパッド(5)とを備えた旋盤の主軸ブレーキ装置において、
    前記ピストンが前記ディスクより外側に偏倚した位置に設けたシリンダ(12)に嵌挿して同一軸線上で対向配置され、当該ピストンの軸方向移動を案内すると共に当該ピストンの傾きを防止するガイド軸(7)が、前記対向配置された対となるピストンを貫通してその両端を前記シリンダのシリンダハウジング(3)で支持されていることを特徴とする、旋盤の主軸ブレーキ装置。
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