JP4438584B2 - 書画システム及びホワイトバランス設定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、書籍などの印刷物や手書き原稿等(以下「原稿」という)を撮影して、その画像信号を直接又はパソコン等の画像処理機器を経由してプロジェクタに出力し、スクリーンに拡大投映することが可能な書画システムに係り、特に、その画像信号のホワイトバランス設定方法に関する。
一般に、会議やプレゼンテーション等の場で、プロジェクタを用いて原稿の映像をスクリーンに投影しながら説明を加えることが行われている。プロジェクタとは、パソコン等の画像処理機器から出力された画像信号を、液晶やDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)などによって光変調し、その変調光を投影レンズを介してスクリーン上に拡大投射するものである。とりわけ、DMD型のプロジェクタは、光の利用効率が高いため、明るい室内でも充分な輝度の投射像を得ることができ、今日のプロジェクタの主流になりつつある。
一方、プロジェクタに与える画像信号は、たとえば、パソコンに搭載されたワープロや表計算等の各種アプリケーションソフトで作られたものを使用することも多いが、スキャナで読み取った原稿の画像をパソコン等の画像処理機器を経由してプロジェクタに与えることもしばしば行われている。しかしながら、この手法は、原稿の読み取り(パソコン等への取り込み)を事前に行っておかなければならず、即応性に欠ける。
書画システムは、デジタルカメラなどの電子カメラを利用して原稿をその場で撮影し、その画像信号をパソコン等の画像処理機器に出力してプロジェクタで投映するというものであり、スキャナ利用の欠点、すなわち、原稿投影の即応性を克服できる。
書画システムの従来技術として、たとえば、特許文献1に記載された「資料提示装置」が知られている。この従来技術では、原稿を載置するための原稿台(特許文献1ではステージと称している。)と、この原稿台の原稿載置面を俯瞰する位置に設けられたカラーのCCDカメラと、CCDカメラで撮影した画像信号に対する各種補正(その代表はホワイトバランス)を実行するとともに、補正後の画像信号を外部機器(パソコン等の画像処理機器)に出力するCPUとを備える。
ここで、ホワイトバランスとは、要するに、「その場の光源の色温度に合わせて白色を定義する」ことをいう。色温度とは、ある色の光が黒体をどの温度に熱したときに発する色かの判定をし、そのときの絶対温度のことをいう。単位はK(ケルビン)である。色温度が高い光ほど短波長光を多く含んで青っぽく、色温度の低いほど長波長光を多く含んで赤っぽい光になる。たとえば、白熱電球の色温度は約3000K、蛍光灯は約6000K、太陽光は約10000Kである。このため、白熱電球で適正化されたホワイトバランスは、蛍光灯や太陽光の下では青味がかった白色になってしまい、自然さを失う。なお、ホワイトバランスは、厳密には、上記のとおり、光の三原色(赤、青、緑)の配分割合を調整して“白色”を定義することをいうが、本明細書では、必ずしも“白色”に限定しない。光の三原色の配分割合を調整するための補正処理全般を指し、たとえば、カラーバランスと読み替えてもよい。
ホワイトバランスの方法として、上記の従来技術においては、原稿台の原稿載置面の“所定位置”に配置された白レベルチャートをCCDカメラで撮影し、その白レベルチャートが“白色”に見えるようにホワイトバランスをとっている。
ここで、“所定位置”について説明する。
図13は、従来技術における白レベルチャートの位置を示す図である。今、CCDカメラで撮影可能な最大の原稿載置面の読み取りサイズ(CCDカメラの撮影レンズの最大画角)をXとするとき、読み取り可能な最大の原稿サイズYは、このX以下(X>Y)でなければならないが、X>Yの差が充分であるとき、すなわち、CCDカメラで撮影可能な最大の原稿載置面の大きさXよりも、原稿サイズYが充分に小さいとき、原稿の周囲には、そのXとYの差に相当する幅を有する“ロ”の字状領域1が生じる。従来技術における白レベルチャート2の位置は、この“ロ”の字状領域1の内部の、たとえば、原稿載置面の読み取りサイズXの四隅付近とされている。
特開2004−23209号公報
しかしながら、上記の従来技術においては、以下の問題点があった。
(1)ホワイトバランス用の白レベルチャートが、原稿載置面の読み取りサイズXの四隅付近に位置しているため、ホワイトバランスの設定を充分な精度で行うことができない。これは、CCDカメラの撮影レンズに径方向の収差(軸上色収差等)があるからであり、レンズの周辺に行くにつれて被写体(白レベルチャート)の色認識に誤差を生じるからである。
(2)CCDカメラの画角が原稿載置面の読み取りサイズXに対応しているため、CCDカメラは、読み取りサイズX内の画像(白レベルチャートと原稿)を区別せずに読み取ってしまう。それゆえ、CPUの画像処理で上記の区別(白レベルチャートと原稿との区別)を行わなければならないが、このような画像処理による区別は信頼性に欠ける。白レベルチャートは単純な横長矩形状であり、場合によっては、原稿の内部(特に周縁部)に類似図形の存在があり得るからである。したがって、原稿内の類似図形に基づく誤ったホワイトバランス調整を否めない。
(3)なお、原稿載置面の中央部付近に光センサ等の原稿検出手段を設けておけば、原稿の非載置状態(光センサの入射光が原稿で遮られない状態)を判断することができる。このため、原稿の非載置が判断されたときにだけ、上記の白レベルチャートに基づくホワイトバランス調整を行うようにして、上記(2)の欠点、すなわち、原稿内の類似図形に基づく誤ったホワイトバランス調整を回避することも考えられるが、このようにすると、別途に光センサ等の原稿検出手段を必要とするので、当然ながらコストアップを招く。
(4)上記の(2)とも関連するが、白レベルチャートと原稿との区別は、原稿用紙それ自体、つまり、原稿の輪郭を検出することによって可能である。たとえば、まず、原稿そのものを認識し、次いで、原稿よりも外側に位置する横長矩図形を白レベルチャートとして認識することによっても可能である。しかしながら、かかる「原稿用紙の輪郭」の検出は、たとえば、背景画像(原稿載置面の画像)と原稿画像との画素情報(輝度情報や色情報)の比較によって行うことができるものの、両者(原稿載置面と原稿)の画素情報に類似性があった場合(原稿載置面と原稿の色が似ている場合)には、正しい「原稿用紙の輪郭」の検出を期待できない。
そこで、本発明の目的は、コストアップを招くことなくホワイトバランスの設定精度を向上でき、または、原稿のみの画像の検出を確実に行うことができる、書画システム及びホワイトバランス設定方法を提供することにある。
請求項1記載の発明に係る書画システムは、原稿台の原稿載置面に載置された原稿をカラーの撮影デバイスで撮影してその撮影画像をスクリーンに投映する書画システムにおいて、前記原稿台の原稿載置面の略中央部分にホワイトバランス設定用の記号を設けるとともに、前記撮影デバイスで撮影した撮影画像中に前記記号の画像が含まれているか否かを判定する判定工程を実行して、その判定結果が肯定の場合に、前記撮影デバイスのホワイトバランス設定を行う設定工程を実行することを特徴とする。
この発明では、原稿台の原稿載置面に設けられているホワイトバランス設定用の記号が撮影画像に含まれているときに、当該原稿載置面への原稿の非載置が判断され、その非載置判断時にのみ、前記の記号を利用したホワイトバランス設定が行われる。
請求項2記載の発明に係る書画システムは、原稿台の原稿載置面に載置された原稿をカラーの撮影デバイスで撮影してその撮影画像をスクリーンに投映する書画システムにおいて、前記原稿台の原稿載置面を白色以外の所定色にし、且つ、原稿載置面の略中央部分にホワイトバランス設定用の記号を設けるとともに、前記撮影デバイスで撮影した撮影画像中に前記記号の画像が含まれているか否かを判定する判定工程を実行して、その判定結果が肯定の場合に、前記撮影デバイスのホワイトバランス設定を行う設定工程を実行する一方、その判定結果が否定の場合に、前記撮影デバイスで撮影した撮影画像から前記原稿載置面の色の部分を取り除いて前記原稿のみの画像を生成する生成工程と、該原稿のみの画像をスクリーンに投映するために出力する出力工程とを実行することを特徴とする。
この発明では、請求項1の発明と同様に、原稿台の原稿載置面に設けられているホワイトバランス設定用の記号が撮影画像に含まれているときに、当該原稿載置面への原稿の非載置が判断され、その非載置判断時にのみ、前記の記号を利用したホワイトバランス設定が行われることに加え、さらに、原稿台の原稿載置面に設けられているホワイトバランス設定用の記号が撮影画像に含まれていないときには、当該原稿載置面への原稿の載置が判断され、その載置判断時に、撮影デバイスで撮影した撮影画像から原稿載置面の色の部分を取り除いた原稿のみの画像が生成され、この原稿のみの画像がスクリーンに投映される。
請求項3記載の発明に係る書画システムは、請求項2に記載の書画システムにおいて、前記原稿台を板部材で構成し且つその表面と裏面の色を白色以外の異なる色にするとともに、該表面と裏面の略中央部分にそれぞれホワイトバランス設定用の記号を設けたことを特徴とする。
この発明では、原稿台の表面と裏面の色を白色以外の異なる色にしているため、たとえば、いずれか一方の面の色と原稿の色とが一致し又は類似している場合に、前記の「原稿のみの画像を生成」する際の支障となり得るが、このような場合には、原稿台を裏返しにして、原稿載置面の色を変えればよい。
請求項4記載の発明に係る書画システムは、請求項2に記載の書画システムにおいて、前記原稿台を複数枚の板部材の一端を綴じてノートのように開閉できるように構成し、且つ、各々の板部材の色を白色以外の異なる色にするとともに、各々の板部材の略中央部分にホワイトバランス設定用の特異形状の記号を設けたことを特徴とする。
この発明では、ページめくりの要領で原稿台が開閉され、原稿載置面の色が容易に原稿色と異なるものにさせられる。
請求項5記載の発明に係るホワイトバランス設定方法は、原稿台の原稿載置面の略中央部分にホワイトバランス設定用の記号を設けるとともに、前記原稿台の原稿載置面に載置された原稿をカラーの撮影デバイスで撮影する際に、前記撮影デバイスで撮影した撮影画像中に前記記号の画像が含まれているか否かを判定する判定工程を実行して、その判定結果が肯定の場合に、前記撮影デバイスのホワイトバランス設定を行う設定工程を実行することを特徴とする。
この発明では、原稿台の原稿載置面に設けられているホワイトバランス設定用の記号が撮影画像に含まれているときに、当該原稿載置面への原稿の非載置が判断され、その非載置判断時にのみ、前記の記号を利用したホワイトバランス設定が行われる。
請求項1記載の発明によれば、原稿載置時にはホワイトバランス設定が行われないから、仮に、ホワイトバランス設定用の記号に類似した紛らわしい記号が原稿上に存在していたとしても、その類似記号に基づく誤ったホワイトバランスの設定を確実に回避することができる。しかも、この発明では、ホワイトバランス設定用の記号を原稿載置面の略中央部分に設けており、この部分は、撮像デバイスの前面に位置する撮影レンズの光軸中心に対応するから、撮影レンズの径方向の収差(軸上色収差等)の影響を受けることもなく、ホワイトバランスの設定を充分な精度で行うことができる。加えて、この発明では、光センサ等の原稿検出手段を必要としないため、コストアップを招くこともない。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、さらに、撮影デバイスで撮影した撮影画像から原稿載置面の色の部分を取り除いた原稿のみの画像を生成し、その原稿のみの画像をスクリーンに投映することができる。つまり、原稿載置面の色は白色以外の所定色であるため、それらの色を原稿と一緒にスクリーンに投映すると見栄えが悪くなるが、本発明のように、原稿載置面の色の部分を取り除いた原稿のみの画像を生成してそれをスクリーンに投映すれば、かかる見栄えの悪さを解消することができる。
請求項3記載の発明によれば、原稿台のいずれか一方の面の色と原稿の色とが一致し又は類似している場合には、原稿台を裏返しにして原稿載置面の色を変えることにより、原稿載置面の色と原稿の色とを異ならせることができ、前記の原稿のみの画像を支障無く生成することができる。
請求項4記載の発明によれば、たとえば、原稿台を構成する板部材の枚数をn枚とするとき、n種類の豊富な色の中から原稿色と異なる色を容易に見つけ出すことができる。
請求項5記載の発明によれば、原稿載置時にはホワイトバランス設定が行われないから、仮に、ホワイトバランス設定用の記号に類似した紛らわしい記号が原稿上に存在していたとしても、その類似記号に基づく誤ったホワイトバランスの設定を確実に回避することができる。しかも、この発明では、ホワイトバランス設定用の記号を原稿載置面の略中央部分に設けており、この部分は、撮像デバイスの前面に位置する撮影レンズの光軸中心に対応するから、撮影レンズの径方向の収差(軸上色収差等)の影響を受けることもなく、ホワイトバランスの設定を充分な精度で行うことができる。加えて、この発明では、光センサ等の原稿検出手段を必要としないため、コストアップを招くこともない。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
図1は、本実施形態における書画システムの全体利用概念図である。詳細は後述するが、書画カメラ100は、原稿台101の原稿載置面101aの上に載置された原稿101b(たとえば、書籍101cや印刷物又は手書き原稿101d等)を撮影して、その画像信号を出力するものであり、パソコン200は、書画カメラ100から出力された画像信号を取り込み、その画像信号をRGBやNTSCテレビジョン信号等の汎用形式の画像信号に変換し、ケーブル202を介してプロジェクタ300に出力するものである。さらに、プロジェクタ300は、パソコン200からの画像信号を光変調して、その変調光を投影レンズ301からスクリーン400に向けて投射することにより、スクリーン400の上に上記の原稿の画像を拡大投映するものである。
次に、各部について詳しく説明する。
<書画カメラ100の外観構成>
書画カメラ100は、展開状態で机の上等に平置きされる複数枚、ここでは、三枚の板部材(左板部材102、中央板部材103及び右板部材104)からなる三分割折り畳み式の原稿台101と、その原稿台101の中央板部材103の一端側(図面に向かって奥側)に立設された本体基部105と、本体基部105に対して少なくとも矢印Aの方向に揺動可能に下端側が取り付けられた本体部106と、この本体部106の上端側に少なくとも矢印Bの方向に揺動可能に取り付けられたアーム部107と、アーム部107の先端に少なくとも矢印Cの方向に揺動可能に取り付けられたカメラ基台108と、カメラ基台108に着脱可能に取り付けられた電子カメラ109(ここでは、汎用のデジタルカメラを使用することにする。)とを備えている。
なお、図示の書画カメラ100は、原稿読み取りを行う際の状態(使用状態)を示しているが、未使用状態では、カメラ基台部108とアーム部107とを矢印C、Bに沿って揺動させて本体部106の窪み110の方向に折り畳み、電子カメラ109及びカメラ基台部108並びにアーム部107を本体部106の窪み110に収納するとともに、原稿台101の左板部材102と右板部材104を中央板部材103の上に重ねて折り畳み、さらに、本体部106を、本体基部105の揺動軸周りに矢印Aに沿って揺動させることにより、折り畳み状態の原稿台101で本体部106の窪み110を閉鎖して、持ち運びに適した形にすることができるようになっている。
また、本体部106の側面には、パソコン200との接続用のケーブル201の汎用端子(特に限定しないが、たとえば、USB端子)111や電源スイッチ112及び所要の機能スイッチ(ここでは、ホワイトバランス設定スイッチ113のみとするが、他の機能スイッチが存在していても構わない)が設けられている。
図2は、本体部106と原稿台101との結合図である。この図において、原稿台101の中央板部材103の一端側には複数個(ここでは便宜的に2個)のボルト穴103a、103bが穿設されており、このボルト穴103a、103bを介して、本体基部105の底面と原稿台101との間がボルト103c、103dで着脱可能に結合されている。
ここで、ボルト穴103a、103bの位置は、中央板部材103の両端から同一の距離Lに形成しておくことが望ましい。後述するように、原稿台101を裏返しの状態にして、本体基部105に取り付けし直した際に、原稿台101に水平方向のズレを生じさせないための対策である。なお、図示の例では、本体部106と原稿台101とをボルト結合しているが、この結合方法に限定されない。原稿台101を裏返しにして、本体基部105に取り付けし直すことが可能な他の結合方法、たとえば、スナップ止めによる結合、嵌合(嵌め合わせ)による結合、マジックテープによる結合、磁力による結合、その他の結合方法であってもよく、要は、着脱可能な結合方式であればよい。
図3は、原稿台101の表面図(a)及び裏面図(b)である。なお、“表面”及び“裏面”とは、原稿台101を構成する複数枚(ここでは三枚)の板部材(左板部材102、中央板部材103及び右板部材104)の一方面と、その一方面の反対側の面(他方面)のことをいい、厳密には、その使用状態において、原稿載置面101aとして利用される面のことを“表面”、その反対側の面(原稿載置面101aとして利用されない面)のことを“裏面”という。したがって、“表面”や“裏面”は固定面ではなく、ユーザの選択によって任意に入れ替わることになる。
この図において、原稿台101の左板部材102、中央板部材103及び右板部材104の表面と裏面はその全体がそれぞれ所定色に塗り分けられており、とりわけ、表面と裏面の色を異ならせている点に第一の特徴がある。また、中央板部材103については、その表面と裏面の双方の略中央部に、特異形状で且つ白色のホワイトバランス設定用の記号114、115が描かれている(又はシール状のものが貼り付けられている)点に第二の特徴がある。
“特異形状”とは、一般的に、原稿内で用いられることが少ないと思われる図形のことをいう。図示の例では、この特異形状として、十文字形状(の記号114、115)を示しているが、これはあくまでも便宜上の一例であり、これ以外の図形であっても構わない。
また、中央板部材103の表面色と裏面色は、記号114、115と異なる色であって、且つ、原稿色として一般に用いられることが少ない色を使用する。たとえば、表面色を“緑色”とし、裏面色を“赤色”とするなどは好ましい例である。以下、便宜的にこれらの色、つまり、中央板部材103の表面色を“緑色”、裏面色を“赤色”として説明するが、これ以外の色(但し、記号114、115と同色のものや一般的な原稿色を除く)であってももちろん構わない。
<電子カメラ109の内部構成>
図4は、電子カメラ109の電気的構成を示すブロック図である。電子カメラ109は、光学レンズやフォーカス機構及びズーム機構を含む光学系116と、CCDやCMOSなどのカラーの撮像デバイス(以下、CCD117)と、CDS/AGC/AD118と、TG(タイミングジェネレータ)119と、DSP/CPU120と、キー入力部121と、液晶モニタ122と、アドレス/データバス123と、DRAM124と、内蔵フラッシュメモリ125と、カードインターフェース126と、このカードインターフェース126に接続されたメモリカード127と、レンズ駆動部128と、USBインターフェース129と、カメラ基台108に接続したり他の外部機器に接続したりするための外部機器接続コネクタ130とを有している。
ここで、CCD117は、光学系116を介して結像された被写体の光学像を光電変換し、被写体の光学像に応じたアナログのカラー撮像信号を出力するものであればよく、たとえば、「1CCD方式」、あるいは、光の三原色ごとのCCDを有する「3CCD方式」のいずれであってもよい。DSP/CPU120は、所定の形式(たとえば、JPEG又はJPEG準拠の形式)による画像データの圧縮・伸張を含むデジタル信号処理を行うとともに、電子カメラ109の各部の動作を統括制御する、たとえば、ワンチップマイコンてある。
DSP/CPU120には、CCD117を駆動するTG119が接続されており、TG119には、CCD117から出力される撮像信号が入力するCDS/AGC/AD118が接続されている。CDS/AGC/AD118は、相関二重サンプリング(CDS)を行ってCCD117の出力信号に含まれるノイズを除去するCDS回路、ノイズが除去された撮像信号を増幅するゲイン調整用アンプ(AGC)、増幅後の撮像信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器(AD)から構成されており、CCD117の出力信号は、CDS/AGC/AD118にてデジタル信号に変換され、DSP/CPU120に送られる。
また、DSP/CPU120には、レンズ駆動部128、USBインターフェース129、キー入力部121、液晶モニタ122が接続されるとともに、アドレス/データバス123を介してDRAM124、内蔵フラッシュメモリ125、カードインターフェース126が接続されている。また、USBインターフェース129には外部機器接続コネクタ130が接続されており、カードインターフェース126には、カメラ本体に設けられている図示しないカードスロットに着脱自在に装着されたメモリカード127が接続されている。
レンズ駆動部128は、光学系116の各種光学レンズ(フォーカスレンズやズームレンズ)のそれぞれを光軸方向に駆動するためのアクチュエータ(一般にステッピングモータ)と、そのアクチュエータを、DSP/CPU120からの制御信号に応じて駆動するモータドライバとを含む。キー入力部121は、電子カメラ109の動作モードを切り換えるためのモード設定キーや、ズームキー、メニューキー、シヤツターキー等の各種キーを含み、ユーザによるキー操作に応じた操作信号をDSP/CPU120に出力する。
液晶モニタ122は、カラーの液晶パネルとその駆動回路とを含み、撮影待機モードではCCD117によって撮像された被写体画像をスルー画像として表示し、また、再生モードでは、内蔵フラッシュメモリ125やメモリカード127から読み出され、DSP/CPU120によって伸張された記録画像を表示する。また、操作補助用として、機能選択時の処理ニュー表示や設定用の図形若しくはアイコン等の表示を行う。
DRAM124は、CCD117により撮像され、デジタル化された被写体の画像データを一時記憶するための画像バッファとして用いられるとともに、DSP/CPU120で実行される制御プログラムのワーキングメモリとしても用いられる。そして、撮影待機モードにおいて、シャッターキーが押された撮影時には、DRAM124に一時記憶された画像データが、DSP/CPU120により圧縮され、最終的には所定の形式(JPEG又はJPEG準拠の形式)の画像ファイルとして内蔵フラッシュメモリ125又はメモリカード127に記録される。
内蔵フラッシュメモリ125には、撮影済の画像ファイル、DSP/CPU120で実行される制御プログラム、並びに、その制御プログラムで必要とされる各種データが記憶されている。
図5は、書画カメラ100、パソコン200及びプロジェクタ300の電気的構成の概略を示すブロック図である。
<パソコン200の構成>
パソコン200は、CPU131と、RAM132と、記憶装置133と、入力装置134と、ビデオアダプタ135と、VRAM136と、表示装置137とを備えている。
ビデオアダプタ135は、表示用のビデオ信号(RGB信号又はNTSC信号)を生成し、液晶パネル及びその駆動回路等からなる前記表示装置137に出力し、VRAM136は、ビデオアダプタ135が生成した表示用の画像データを随時記憶する。また、ビデオアダプタ135には、ケーブル202が接続されたビデオ出力端子138が設けられており、ビデオアダプタ135は、CPU131の命令に応じて表示用の画像データをケーブル202を介してプロジェクタ300へ出力する。
また、CPU131には、図示しないUSBインターフェース回路が接続されており、そのUSBインターフェース回路のUSB接続端子139に、ケーブル201が接続されている。そして、書画カメラ100により撮影された撮影画像のデータが、書画カメラ100のUSB端子111及びケーブル201を介してパソコン200に取り込まれるようになっている。
入力装置134は、パソコン200の本体(又はキーボード)に設けられた複数のキーや、本体に接続されたマウス等のポインティングデバイスであり、記憶装置133は、記憶容量の大きなハードデイスク等である。この記憶装置133には、基本プログラムであるオペレーティングシステムが格納されているほか、プレゼンテーション用のドキュメントの作成・編集を行うためのプレゼンテーションプログラムや、画像表示プログラム、その他の応用ソフトが格納されている。
<プロジェクタ300の構成>
プロジェクタ300は、CPU140と、ROM141と、RAM142と、画像入力部143と、光学系を含む表示部144と、キー入力部145と、赤外信号受信部146とを備えている。画像入力部143には、ビデオ入力端子147が接続されており、画像入力部143は、このビデオ入力端子147とケーブル202を介してパソコン200から入力された入力画像信号(RGB信号又はNTSC)に基づき、画像を投影するための表示信号を生成し、表示部144へ送る。表示部144は、クリプトンランプ等の高輝度光源及びこの光源の光を、入力表示信号に応じた投影光に変換するための電気−光変換デバイス(液晶やMDMなど)、その電気−光変換デバイスを、画像入力部143から送られた表示信号に基づき駆動する駆動回路、表示部144に設けられている投影レンズ等の光学系を含み、パソコン200から送られた画像データに基づく表示画像をスクリーン(図1のスクリーン400参照)に投影する。
CPU140は、ROM141に格納されているプログラムに従いRAM142を作業用メモリとして動作し、プロジェクタ300の全体動作を統括制御する。キー入力部145は、ユーザーがプロジェクタ300の操作を行うために用意された複数の操作キーにより構成されており、赤外信号受信部146は、不図示の赤外リモコンから送られた赤外線を受光し、その受光信号を復調して得られる操作信号をデコードしてCPU140へ送る。
次に、本実施形態の作用を説明する。
図6は、書画カメラ100の制御プログラムの概略的なフローチャートを示す図である。このフローチャートは、書画カメラ100の電源スイッチ112をオンにすることによって開始される。フローチャートを開始すると、まず、電子カメラ109の装着の有無を判定する(ステップS11)。具体的には、電子カメラ109の外部機器接続コネクタ130と書画カメラ100のカメラ基台部108との間が接続されている場合に電子カメラ109の“装着”を判定し、そうでない場合に“非装着”を判定する。非装着を判定した場合は、ステップS11を繰り返し、一方、装着を判定した場合は、電子カメラ109の撮影方向が書画カメラ100の原稿台101の原稿載置面を臨む方向に向いているか否かを判定する(ステップS12)。たとえば、この判定には、書画カメラ100の本体基部105、アーム部107及びカメラ基台部108の揺動位置を検出して、図1のような使用状態になっているか否かを判断するようにしてもよい。
ステップS12の判定結果が“NO”の場合、すなわち、書画カメラ100が使用状態になっていない場合は、再びステップS11に復帰し、一方、ステップS12の判定結果が“YES”の場合、すなわち、書画カメラ100が使用状態になっている場合は、電子カメラ109を撮影待機モードに設定して、その電子カメラ109でスルー画像を撮影する(ステップS13)。ここで、スルー画像とは、その電子カメラ109で撮影可能な通常の画像(フル画素の画像)よりも低解像度の画像であって、且つ、その電子カメラ109の撮像デバイス(CCD117)のフレーム周期又は間引きされたフレーム周期に相当する毎秒数十フレームの動きを伴ったフレーム画像のことをいう。また、このステップS13は、前記のステップS12の判定結果が“YES”の場合に実行、つまり、電子カメラ109の撮影方向が書画カメラ100の原稿台101の原稿載置面を臨む方向に向いている場合に実行されるから、この場合の上記のスルー画像は、原稿台101の原稿載置面の画像でもある。
このように、電子カメラ109を撮影待機モード(スルー画像の撮影モード)に設定すると、次に、そのスルー画像中に原稿台101の記号(図3の記号114、115参照)が含まれているか否かを判定する(ステップS14:判定工程)。今、便宜的に、原稿台101の原稿載置面に原稿が未載置であるとすると、電子カメラ109で撮影されたスルー画像は、原稿台101の原稿載置面そのものの画像であるから、当然ながら、そのスルー画像中には、原稿台101の記号114又は記号115が含まれている。たとえば、原稿台101の表面が上向きにセットされていれば、そのスルー画像中には、原稿台101の記号114が含まれており、又は、原稿台101の裏面が上向きにセットされていれば、そのスルー画像中には、原稿台101の記号115が含まれている。
そして、ステップS14の判定結果が“YES”の場合、すなわち、スルー画像中に原稿台101の記号114又は記号115が含まれている場合には、原稿台101の原稿載置面に原稿が載置されていないものと判断して、ホワイトバランス設定処理(ステップS15:設定工程)を実行し、一方、ステップS14の判定結果が“NO”の場合、すなわち、スルー画像中に原稿台101の記号114又は記号115が含まれていない場合には、原稿台101の原稿載置面に原稿が載置されているものと判断して、原稿読み取り処理(ステップS16)を実行する。したがって、図6のステップS14は、原稿台101の原稿載置面に原稿が載置されているか否かを判定する手段として機能する。
ここで、本実施形態では、電子カメラ109のスルー画像中に、原稿台101の表面と裏面の双方に描かれた(又は貼付された)記号114、115の画像が含まれているか否かを判定して、原稿載置を検出している。つまり、冒頭で説明したような、光センサ等の原稿検出手段を備えることなく、原稿載置を検出している。言うまでもなく、記号114、115のマーキング(又は貼付)に要するコストと、光センサ等の原稿検出手段の設置コストとを比較すると、前者のコストは遙かに安い。それゆえ、本実施形態によれば、コストアップを招くことなく、原稿載置の検出を行うことができ、前記の問題点(3)を解決できる。
<ホワイトバランス設定>
図7は、ホワイトバランス設定処理の概略的なフローチャートを示す図である。このフローチャートを開始すると、まず、書画カメラ100の電源オン直後(電源スイッチ112をオンにした直後)であるか否か(ステップS15a)、書画カメラ100のホワイトバランス調整ボタン(ホワイトバランス設定スイッチ113)の押し下げ操作であるか否か(ステップS15b)、原稿非検出タイマーが所定値を超えているか否か(ステップS15c)を順次に判定する。
そして、いずれか一つの判定結果が“YES”の場合には、原稿非検出タイマーをクリア(ステップS15e)し、ホワイトバランス設定を実行(ステップS15f)してから図6のフローチャートに復帰するが、全ての判定結果が“NO”の場合には、原稿非検出タイマーをカウントアップ(ステップS15d)した後、ホワイトバランス設定を実行することなく、図6のフローチャートに復帰する。
ここで、上記の三つの判定条件は、いずれも、ホワイトバランス設定を行うのに相応しい条件ということができる。すなわち、書画カメラ100の電源オン直後は、たとえば、以前の使用環境とは異なる色温度の光源下に移動した可能性があり、ホワイトバランスがズレているおそれがあるからである。また、書画カメラ100のホワイトバランス調整ボタンが押し下げ操作された場合は、ユーザによって、ホワイトバランスのズレが認識されているからである。また、原稿非検出タイマーが所定値を超えている場合は、原稿台101に原稿が未載置のまま、ある時間(所定値)を経過しているため、その間の温度変化等により、たとえば、電子カメラ109の撮像デバイス(CCD117)の色特性にズレを生じている可能性があるからである。なお、ここでは、以上三つの条件(ステップS15a〜ステップS15c)に従って、ホワイトバランス設定を行うか否かを判断しているが、これに限定されない。これ以外の適当な条件を加えてもよいし、一つないしはいくつかの条件を省いてもよい。
図8は、ホワイトバランス設定の概念図である。この図において、スルー画像148は、原稿台101の背景画像149(“緑色”又は“赤色”の画像)と、原稿台101の略中央部分の記号114又は記号115の画像(以下、記号画像150)とを含む。ホワイトバランス設定(ステップS15f)では、スルー画像148に含まれる記号画像150の内部色、たとえば、クロス部分151を切り出し、そのクロス部分151の色を構成する光の三原色の割合を調整して“白色”にする。
ここで、本実施形態では、「スルー画像148の略中央部分に位置する記号画像150」をターゲットにしてホワイトバランスを行っている。この記号画像150は、電子カメラ109の撮影レンズ(光学系116に含まれるレンズ)の光軸中心付近を通った画像であり、したがって、撮影レンズの径方向の収差(軸上色収差等)の影響を受けにくいから、ターゲット画像(記号画像150)の色認識を確実にして、ホワイトバランスの設定を充分な精度で行うことができ、前記の問題点(1)を解決できる。
また、本実施形態では、原稿台101に原稿が載置されているとき、すなわち、電子カメラ109のスルー画像中に、原稿台101の表面と裏面の双方に描かれた(又は貼付された)記号114、115の画像が含まれてないときには、ホワイトバランス設定を行わないようにしているため、間違ったターゲット画像に基づく、不本意なホワイトバランス設定を確実に回避できる。たとえば、ある原稿の中央部付近に、偶然、白色のクロス記号(つまり、原稿台101の記号114、115と類似する記号)が描かれていたとしても、本実施形態では、その原稿が原稿台101に載置されているときには、必ず、図6のステップS14の判定結果が“NO”となって、ホワイトバランス設定(ステップS15)をパスするので、原稿内の類似図形に基づく誤ったホワイトバランス調整を回避でき、前記の問題点(2)を解決できる。
<原稿読み取り>
図9は、原稿読み取り処理の概略的なフローチャートを示す図である。このフローチャートは、既述のとおり、原稿台101の原稿載置面に原稿が載置されている場合(ステップS14の判定結果が“NO”の場合)に実行される。このフローチャートでは、まず、原稿非検出タイマーをクリアし(ステップS16a)、次いで、電子カメラ109の撮影モードを、スルー画像の撮影待機モードから、フル画素の画像を撮影可能な通常の撮影モードに切り換える(ステップS16b)。そして、電子カメラ109を用いて、原稿台101の画像を撮影し(ステップS16c)、次いで、その撮影画像から不要な部分を取り除いて原稿だけを抽出(ステップS16d)した後、その抽出画像(原稿のみの画像)を、パソコン200経由でプロジェクタ300に出力し(ステップS16e:出力工程)、プロジェクタ300からスクリーン400に拡大投映する。
図10は、原稿のみの画像の抽出概念図である。この図において、原稿抽出前の元画像152には、ハッチングで示す原稿台101の塗装色の画像とともに、原稿画像153が含まれている。ここで、先に説明したように、本実施形態における原稿台101の塗装色は、表面が“緑色”であり、裏面が“赤色”であり、要するに、「原稿色として一般に用いられることが少ない色」であるから、たとえば、矢印D、Eに示すように、元画像152の周縁画素から画像の中心画素に向かって垂直及び水平の方向に巡回しながら、色情報(色度や明・彩度などの情報)が極端に変化する画素境界点を探索して、その画素境界点をつなぎ合わせることにより、実際の原稿の輪郭に一致する大きさの原稿画像153を抽出することができ、前記の問題点(4)を解決できる。
但し、原稿の輪郭検出と前記のホワイトバランス設定との間には、直接の関連性はない。輪郭検出の狙いの一つは、原稿以外の不要画像を取り除き、原稿の画像だけをスクリーン400に投影することにある。このことを詳しく説明すると、本実施形態の原稿台101は、“緑色”や“赤色”に塗られているため、原稿の輪郭検出を行わずに電子カメラ109の撮影画像(元画像152)をそのままスクリーン400に投影した場合は、スクリーン400に映し出された原稿が“緑色”や“赤色”の帯で取り囲まれてしまい、見栄えが悪くなる。原稿の輪郭を検出することができれば、その帯の部分を、たとえば、スクリーン400と同じ色(白色)にするなどして目立たないようにし、見た目の改善を図ることができるからである。
また、この輪郭検出において、たとえば、原稿台101の表面(“緑色”の面)が原稿載置面となっていた場合、その原稿載置面に、同色(緑色)の原稿が載置されると、色情報が極端に変化する画素境界点を探索できなくなるため、輪郭検出を行うことができないという不都合を生じる。
このような場合、本実施形態では、原稿台101の表面と裏面の塗装色を異ならせているので、単に、原稿台101を裏返しにしてから、原稿を載置し直し、電子カメラ109で再撮影すればよい。原稿載置面の色が“緑色”から“赤色”に変わり、結局、原稿の色(緑色)と異なることになるため、原稿の輪郭検出を支障無く行うことができる。
また、本実施形態では、原稿台101の表面と裏面の塗装色を異ならせているが、この態様に限定されない。たとえば、原稿台をノートのように複数枚のページで構成してもよい。
図11は、原稿台の他の構成図である。この図において、原稿台154は、矩形状のn枚の板部材155(1) 〜155(n) で構成されている。それぞれの板部材155(i) (iは1〜n)の一端には多穴156が形成されており、この多穴156にリング157を通して綴じることにより、それぞれの板部材155(i) をノートのように開閉(ページめくり)できるようになっている。ここで、それぞれの板部材155(i) の表面色は異なる色(但し、白色以外の色で且つ原稿として用いられることが少ない色)に塗り分けられており、さらに、それぞれの板部材155(i) の略中央部分には、ホワイトバランス設定用の特異形状の白色の記号158(図3の記号114、115と同様のもの)が描かれている(又はシール状のものが貼付されている)。
このようにすると、板部材155(i) の枚数nに対応した多色の中から原稿の輪郭検出に最適な色を任意に選択することができる。また、板部材155(i) の裏面も原稿載置面に利用できるようにすれば、2n種類の多色の中から原稿の輪郭検出に最適な色を任意に選択することができるようになるため、より好ましい。
なお、輪郭検出の狙いの一つは、上記のとおり、原稿以外の不要画像を取り除き、原稿の画像だけをスクリーン400に投影することにあるが、これ以外にも、たとえば、原稿の傾きを補正するためにも利用することができる。
図12は、原稿の傾き補正の概念図である。今、元画像152に含まれる原稿画像153に任意の傾きが生じていたとする。このような場合は、前記のステップS16dにおける原稿画像153の抽出の際に、「元画像152の周縁画素から画像の中心画素に向かって垂直及び水平の方向に巡回しながら、色情報が極端に変化する画素境界点を探索して、その画素境界点をつなぎ合わせることにより、実際の原稿の輪郭に一致する大きさの原稿画像153を抽出することができる」のであるから、その輪郭線を、元画像152の縦横辺に合わせるように、原稿画像153を適量回転(矢印F参照)させることにより、原稿の傾きを自動修正することができる。
なお、以上の実施形態では、汎用のデジタルカメラ(電子カメラ109)を搭載した書画カメラ100について具体的に説明したが、これは、書画カメラの一例を示しているに過ぎず、この例をもって発明の外縁を判断してはならない。
“書画カメラ”の原理的構成は、原稿台と、光学系や周辺回路等を含む撮像デバイスと、その撮像デバイスによって撮影された画像をJPEG等の所定形式の画像信号に変換(圧縮等の処理を含む)して出力するための信号処理回路(及び電源部やその周辺回路等を含む)とを備えていればよく、とりわけ、原稿台を除く各要素(撮像デバイスや信号処理回路等)については、それらが一体化されているか、又は、別々のブロックで構成されているかは問わない。
ちなみに、汎用のデジタルカメラ(電子カメラ109)を搭載した書画カメラ100は、原稿台を除く各要素(撮像デバイスや信号処理回路等)のほとんどが電子カメラ109に含まれているため“一体化されたもの”ということができる。また、たとえば、信号処理回路を含まないCCDカメラ(光学系とCCD及びCCD周辺回路のみのもの)を用いて書画カメラを構成した場合には、その信号処理部分を別ブロックで構成したり、又は、その信号処理機能の全て若しくは一部をパソコン200に実装してもよい。
本実施形態における書画システムの全体利用概念図である。 本体部106と原稿台101との結合図である。 原稿台101の表面図及び裏面図である。 電子カメラ109の電気的構成を示すブロック図である。 書画カメラ100、パソコン200及びプロジェクタ300の電気的構成の概略を示すブロック図である。 書画カメラ100の制御プログラムの概略的なフローチャートを示す図である。 ホワイトバランス設定処理の概略的なフローチャートを示す図である。 ホワイトバランス設定の概念図である。 原稿読み取り処理の概略的なフローチャートを示す図である。 原稿のみの画像の抽出概念図である。 原稿台の他の構成図である。 原稿の傾き補正の概念図である。 従来技術における白レベルチャートの位置を示す図である。
符号の説明
S14 ステップ(判定工程)
S15 ステップ(設定工程)
S16e ステップ(出力工程)
101 原稿台
101a 原稿載置面
101b 原稿
114、115 記号
117 CCD(撮影デバイス)
154 原稿台
155(1) 〜155(n) 板部材
400 スクリーン

Claims (5)

  1. 原稿台の原稿載置面に載置された原稿をカラーの撮影デバイスで撮影してその撮影画像をスクリーンに投映する書画システムにおいて、
    前記原稿台の原稿載置面の略中央部分にホワイトバランス設定用の記号を設けるとともに、
    前記撮影デバイスで撮影した撮影画像中に前記記号の画像が含まれているか否かを判定する判定工程を実行して、その判定結果が肯定の場合に、前記撮影デバイスのホワイトバランス設定を行う設定工程を実行することを特徴とする書画システム。
  2. 原稿台の原稿載置面に載置された原稿をカラーの撮影デバイスで撮影してその撮影画像をスクリーンに投映する書画システムにおいて、
    前記原稿台の原稿載置面を白色以外の所定色にし、且つ、原稿載置面の略中央部分にホワイトバランス設定用の記号を設けるとともに、
    前記撮影デバイスで撮影した撮影画像中に前記記号の画像が含まれているか否かを判定する判定工程を実行して、その判定結果が肯定の場合に、前記撮影デバイスのホワイトバランス設定を行う設定工程を実行する一方、その判定結果が否定の場合に、前記撮影デバイスで撮影した撮影画像から前記原稿載置面の色の部分を取り除いて前記原稿のみの画像を生成する生成工程と、該原稿のみの画像をスクリーンに投映するために出力する出力工程とを実行することを特徴とする書画システム。
  3. 前記原稿台を板部材で構成し且つその表面と裏面の色を白色以外の異なる色にするとともに、該表面と裏面の略中央部分にそれぞれホワイトバランス設定用の記号を設けたことを特徴とする請求項2に記載の書画システム。
  4. 前記原稿台を複数枚の板部材の一端を綴じてノートのように開閉できるように構成し、且つ、各々の板部材の色を白色以外の異なる色にするとともに、各々の板部材の略中央部分にホワイトバランス設定用の特異形状の記号を設けたことを特徴とする請求項2に記載の書画システム。
  5. 原稿台の原稿載置面の略中央部分にホワイトバランス設定用の記号を設けるとともに、
    前記原稿台の原稿載置面に載置された原稿をカラーの撮影デバイスで撮影する際に、前記撮影デバイスで撮影した撮影画像中に前記記号の画像が含まれているか否かを判定する判定工程を実行して、その判定結果が肯定の場合に、前記撮影デバイスのホワイトバランス設定を行う設定工程を実行することを特徴とするホワイトバランス設定方法。
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