JP4436964B2 - 毛髪ケアアドバイスシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪状態についての顧客の希望と測定された毛髪状態とを総合判断して的確な毛髪ケアアドバイスを提供するシステムおよび方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年自己のヘアケアに対する要望が多様化している。たとえば、特開2000−287953号公報に例示されるように、顧客の毛髪についての要望に対して、顧客の毛髪状態を測定して健康管理の面からの診断結果を顧客に提示し、または相応するヘアケア製品や毛髪手入れのアドバイスをする毛髪診断方法または装置が知られている。また、顧客の髪の色についての要望をコンピュータ上でシミュレーションして表示して仕上がり具合を確認し、好みのヘアカラー剤を選択することができるヘアケア支援装置が知られている。
【0003】
しかしながら毛髪の健康診断結果を踏まえて顧客の嗜好に合わせた毛髪状態を実現するには、顧客自身が判断するか専門のアドバイザーが診断結果から個別に所定の毛髪処理手段を選択するために客観的かつ的確な判断が迅速にできないという欠点があった。また従来のヘアケア支援装置はヘアカラーの選択等の特定の処理に特化して顧客の判断を支援するものであって、顧客のヘアケアに対する多様な要望を多面的に判断して対応できなかった。さらに従来は毛髪診断方法が特定の測定装置に特化して構築されているため、流行による顧客の要望の短期的変化や技術革新による測定装置の変更に対してシステムが柔軟に対応できず、多くの場合は診断方法を含めたシステムの大幅な変更や新規システムの構築を余儀なくされるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題に鑑みて、顧客の毛髪状態を診断する一方で、顧客の毛髪状態についての要望や希望に関する情報を取り入れて、情報処理に適した形態に変換した上で総合的に判断することにより的確な毛髪処理を提案する毛髪ケアアドバイスシステムを提供するものである。
【0005】
また、本発明は測定方法や測定装置の変更や顧客の多様な要望や変化に迅速かつ柔軟に対応して的確なアドバイスが提供できる毛髪ケアアドバイスシステムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明による毛髪ケアアドバイスシステムは、顧客の毛髪状態を測定して毛髪状態を評価する毛髪評価手段(20)と、前記顧客が希望する毛髪状態を入力する希望毛髪特定手段(10)と、前記評価された毛髪状態と毛髪の健常範囲または前記顧客が希望する毛髪状態とを比較して評価する比較評価手段(31)と、前記比較評価手段の結果に基づいて前記顧客が希望する毛髪状態を実現するための毛髪処理を決定する処理判断手段(32)と、前記決定された毛髪処理を前記顧客に提示する出力手段(3)とを具備する。
【0007】
さらに本発明による毛髪ケアアドバイスシステムは、顧客の毛髪状態を測定して評価し、毛髪状態を特徴づける毛髪特徴因子群{F(i);i=1〜N、Nは所定の正の整数}(120)に関連づけて毛髪評価因子群{F(j);j=1〜N}(121)に変換する毛髪評価手段と、前記顧客が希望する毛髪状態に関する情報{H(h);h=1〜I、Iは所定の正の整数}(111)を入力し、前記毛髪特徴因子群{F(i)}に関連づけて希望毛髪因子群{F(k);k=1〜N}(122)に変換する希望毛髪特定手段と、前記毛髪評価因子群{F(j)}と前記毛髪特徴因子群{F(i)}に関連づけて毛髪状態の健常範囲を規定する健常データ群{F(i);i=1〜N}(133)または前記希望毛髪因子群{F(k)}とを比較評価する比較評価手段と、前記比較評価手段の結果に基づいて前記希望する毛髪状態を実現するための毛髪処理を決定する処理判断手段と、前記決定された毛髪処理を前記顧客に提示する出力手段とを具備する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による毛髪ケアアドバイスシステム(1)の概念図である。
【0009】
まず毛髪評価手段(20)では測定設備を備えた店頭等で顧客(2)の現在の毛髪状態を測定する。測定結果はのちの情報処理で使用しやすい形態のデータに変換する。すなわち実施例において詳細に説明するような手段により一群の物性量に変換される。測定・観察手段(21)の変更を要する場合にはそれに対応して変換処理(22)を変更すればよく他の処理手段とは原則として独立している。
【0010】
その一方で希望毛髪特定手段(10)では入力手段(11)で入力された顧客(2)が希望する毛髪状態を所定の物理的表現に変換する。一般に顧客の毛髪に対する希望は主観的で抽象的な傾向があり多くの場合そのままでは上記測定された毛髪状態との比較やデータ処理に耐えられるものではないが、顧客へのサービスという観点から希望内容は顧客本人がわかりやすい様式で入力されうるものでなければならない。そこで後述するようにいったん顧客から入力された希望毛髪の内容を客観的な表現に変換する。この変換処理により毛髪ケアアドバイスにおける処理判断において顧客の希望内容を的確に反映させることができる。また流行に左右されがちな顧客の願望の変化に対しても上記手順で新たな希望内容の入力項目とそれに対応する変換処理を追加すればよく、他の処理手段は原則として変更する必要はない。
【0011】
顧客の毛髪状態を測定するステップ(S50)と顧客の希望毛髪を特定するステップ(S51)はいずれが時間的に先行してもよく、また毛髪状態の測定結果を希望毛髪状態の入力時のアドバイス等としてフィードバックしてもよいし(S52)、希望毛髪状態に応じて適切な測定手段を選択するステップ(S53)を経由してもよい。
【0012】
毛髪処理決定手段(30)ではまず比較評価手段(31)において上記測定、評価された顧客の毛髪状態および特定された希望毛髪状態を入力し、現在の毛髪状態が健常範囲にあるかの客観的評価および希望毛髪状態と評価毛髪状態との比較により改善すべき物性量の選択および改善量等の処理内容を決定する。すなわち毛髪処理の選択をするにあたって、評価された毛髪状態と希望毛髪状態とを直接毛髪処理と比較するのではなく事前に共通の物性値に変換した上で両者を対比して判断することにより的確な処理判断を可能にする。したがって、顧客が測定後に希望内容を変更した場合でも入力内容を変更するのみで対応できる。なお、健常範囲および希望毛髪状態に関する比較はアドバイスシステムの実施態様によりいずれか一方のみを実施してもよい。たとえば健常な髪にするための毛髪ケアアドバイスシステムであれば健常範囲に関する比較のみの実施もありうるし、髪の染色のための毛髪ケアアドバイスシステムであれば希望毛髪状態に関する比較のみとすることも可能である。
【0013】
さらに処理判断手段(32)において上記決定した改善内容をデータベース中の毛髪処理の処理内容と比較して(S57)適切な毛髪処理を決定する。その結果を出力(3)し顧客(2)に提示して(S58)顧客の希望する毛髪状態を踏まえつつ毛髪ケアに関するアドバイスを行う。
【0014】
図2で図1に記載した本発明による毛髪ケアシステムにおける典型的なデータの流れを説明する。システムの各構成要素間でのデータのアクセス(二重実線矢印で表示)は専用回線による電気的接続または電気通信回線を介した接続によることを基本とするが、携行可能な記録媒体を介してのデータ転送(破線矢印で表示)も可能である(T60、T63〜T65)。なお図中ではフロッピーディスクのような磁気記録媒体を例として示したが光磁気ディスク、書き込み可能なCD、DVDのような光ディスク、あるいはメモリーカードのような固体記憶装置等の携行可能かつデータの書き込みおよび読み出しができる媒体であればよい。携行可能な記録媒体の使用によって、たとえばアドバイザが顧客の滞在場所に出向いて毛髪の簡易測定を行い、また希望毛髪を入力することが容易となる。携行可能記録媒体に入力されたデータはデータベースに保管(T60)してもよいし直接情報処理(T63〜T65)で使用してもよい。
【0015】
さらに図1のシステムを携行可能なコンピュータシステムにより実現することも可能である。すなわち毛髪評価手段、希望毛髪特定手段、および毛髪処理決定手段を具備するノートパソコンであって、携行可能な測定用センサと接続され、また電気通信回線を介してデータベースにアクセスする通信手段を備えるものでもよい。データベースをハードディスク等の内蔵記憶装置に備えることもできる。この携行可能一体型システムを用いることで顧客の滞在場所に赴いてその場で簡易測定を行い測定結果の提示と顧客の希望を対比させつつ迅速に毛髪処理を決定することができる。
【0016】
顧客(2)は通常は測定設備のある店頭等に出向いて毛髪評価を行うが、小型カメラによる色等の簡易計測や小型センサによる測定が可能な場合は店頭以外の場所から電気通信回線に接続されたパーソナルコンピュータを介して測定データを収集することも可能である(T50)。また電気通信回線を携行可能な記録媒体に置き換えたり併用することも可能である。
【0017】
顧客の希望毛髪状態の入力についても店頭の専用端末からの入力のほか、毛髪ケアアドバイスの提供者が設置したインターネット上のホームページに顧客がアクセスして所定項目を入力したり、電子メールにより希望毛髪状態のデータを上記提供者に送信することも可能である(T51)。また、毛髪状態の測定結果を踏まえて希望内容についての変更を含めた中間段階でのアドバイスのために顧客と接触することもありうる(T52、51)。この場合顧客は自分の毛髪の測定結果、希望内容及びそれに対するアドバイス等が記録された媒体を所持し、希望内容の変更の際には随時自分の通信手段を用いてその内容を電気通信回線等を通じて送信し、それに基づいてアドバイスの変更を行うこともできる。
【0018】
データベース(40)は測定、評価された毛髪状態、顧客の希望内容、健常範囲の情報、各毛髪処理に関する情報、あるいは顧客の過去の処理データ等、毛髪ケアの処理手段を決定するために必要な各種情報を含むことができる。システムは専用回線や電気通信回線等を介して適宜データベースにアクセスし情報を収集、検索しまたは情報の追加を行うことができる。
【0019】
出力手段(3)によって決定された毛髪処理を出力し毛髪診断結果とともに毛髪ケアのための適切な処理剤、処理方法、コメントその他の毛髪処理についての情報を顧客(2)に提供する(T58)(以下毛髪ケアアドバイスという)。この場合も店頭において毛髪ケアアドバイスがなされることもあれば、電気通信回線を介して情報を提供し識別記号を有する顧客がこれにアクセスして診断結果を取得することもある。さらに電子メールで診断結果を顧客に通知することもある。また、携行可能な記録媒体を携えたアドバイザが顧客の滞在場所に赴いて直に毛髪ケアアドバイスを提供してもよい。
【0020】
実施例1
以下に本発明にもとづく毛髪ケアアドバイスシステムの実施例を説明する。
【0021】
図3に本発明の毛髪ケアアドバイスシステムにおけるデータ処理とその流れの具体例を示す。本発明におけるデータ処理では、▲1▼顧客の毛髪状態の測定結果(110)とともに顧客の希望毛髪状態(111)を取り入れて、▲2▼これらをそれぞれ客観的な共通表現に変換し(121、122)、▲3▼健常範囲内(133)に移行することを前提に両者を比較、評価して改善すべき内容を特定し(131)、▲4▼事前に用意された毛髪処理群と改善すべき内容を検索、比較して、適切な毛髪処理を決定し(132)、▲6▼結果を出力する(103)。
【0022】
(1)毛髪特徴因子群による情報の標準化
測定毛髪状態と希望毛髪状態とを的確に評価して毛髪処理に反映させるためには両者を直接比較しまたはこれらと毛髪処理を直接比較するよりも、いったん共通の評価因子に変換して中間評価することが情報処理の質や効率あるいはコストの面で有意義である。
【0023】
定量的な比較(加減演算を含む)をするためには対比するべき対象が同一の次元をもつ量でなければならない。そこで、毛髪状態を特徴づけるにふさわしい物性量の一群を一般化して毛髪特徴因子群{F(i);i=1〜N、Nは正の整数}(120)を設定する。測定された毛髪状態および入力された希望毛髪状態はそれぞれ毛髪特徴因子群{F(i)}の対応する個々の因子要素F(i)に変換する。
【0024】
各毛髪特徴因子同士は物性量として独立なものではなく相互に関連する物性量であってもよい。毛髪特徴因子群を構成する因子要素の数Nも任意の正の整数である。毛髪特徴因子群は後述する他の毛髪関連因子群の間の比較や演算の場となる基底的表現であるため将来の拡張性を踏まえて因子要素の数には余裕を持たせておくことが好ましい。また、毛髪特徴因子群を含む毛髪関連因子群等の情報は多次元配列や構造体配列として記述しデータベースに保管してもよい。
【0025】
(2)毛髪評価因子群の決定
【表1】
Figure 0004436964
表1に毛髪状態を測定する手段とそれによって評価される物性量の一例を列挙する。たとえば毛髪表面摩擦測定では外力の負荷に対する毛髪の抵抗力から毛髪表面の摩擦力を評価する。毛髪内損傷度測定では毛髪内からの散乱光により毛髪損傷度に関連するメジュラの有無やコルテックスの濁り度を評価する。毛髪外観測定1では色計測器による色差(Lab値)の測定により色と明るさを評価する。また、毛髪外観測定2では実体顕微鏡等により表面観察を行いキューティクルの荒れ程度やスカム付着量等を評価する。
【0026】
なお、本発明によるアドバイスシステムの毛髪測定手段{M(m);m=1〜L、Lは正の整数}(110)は表1に例示された測定手段に限定されるものではなく、顧客の毛髪状態を特徴づける物性量に関連した物理量を特定するための毛髪測定手段であればよくアドバイスシステムの実施態様により適宜選択すればよい。
【0027】
毛髪測定手段(110)で得られた毛髪評価情報は後述する希望毛髪因子群と比較するために上記毛髪特徴因子群{F(i)}に関連づけられた毛髪評価因子群{F(n);n=1〜N}に変換される。各毛髪特徴因子と毛髪評価因子との対応関係は任意に設定できるが本明細書では説明の便宜上特定の毛髪特徴因子F(i)に関連づけられる毛髪評価因子がF(i)であるとして説明する。
【0028】
毛髪特徴因子群は毛髪状態を評価する物性量に関連して設定されることを基本とするので表1の測定手段により得られる物性量を適宜変換することも、そのまま毛髪特徴因子とすることもある。他の物性量との組み合わせからより一般的な物性量の形式としてもよい。
【0029】
(3)希望毛髪情報の標準化
表2に顧客の希望毛髪状態と毛髪特徴因子との対応例をマトリックスで示す。顧客の希望状態に対する希望はインタビューやアンケートへの書き込みに基づきオペレータ(店員)があてはまる希望毛髪情報を選択して入力する。すなわち、顧客の希望毛髪状態は入力項目に応じて希望毛髪情報{H(h);h=1〜H,Hは正の整数}に格納される。各希望毛髪情報H(h)は関連性のある毛髪特徴因子に関連づけられて変換され希望毛髪因子{F(h,k);k=1〜N}として格納される。なお、各因子群の配列の大きさおよび引数の対応関係は任意に設定できるが説明の便宜上{F(i)},{F(j)},および{F(h,k)}の配列の大きさは、i,j,kともに整数Nであり、特定の毛髪特徴因子F(n)に対応する他の因子がF(n)および{F(h,n)}(nのみ固定)であるとする。後述する他の毛髪関連因子群についても同様とする。
【0030】
【表2】
Figure 0004436964
表2の例で、h=1に対応する希望内容がH(1)=「髪を硬くしたい。」のときには毛髪の硬さに関連する毛髪特徴因子としてF(2)=摩擦力、F(3)=弾性力、F(4)=水分量、F(5)=内部損傷度、F(7)=キューティクル荒れ、およびF(8)=スカム付着量がある。
【0031】
一般に顧客の希望が毛髪の物性に関する場合は、表面摩擦力、水分量、内部損傷度を含めることが好ましく、必要に応じてキューティクル荒れ、粘弾性、引っ張り強度、Lab値等を含めればよい。
【0032】
本実施例では毛髪が束になった場合には毛髪相互の力学的作用も硬さ(やわらかさ)に寄与するため表面摩擦力、キューティクル荒れ、およびスカム付着量を関連する毛髪特徴因子に含めている。
【0033】
希望内容H(1)に対応する毛髪特徴因子のうち弾性力については対応する測定法を割愛できる。すなわち、毛髪1本の弾性力は毛髪の太さ、水分量、および内部損傷度でほぼ特定できるが、このうち毛髪の太さ以外は比較的制御が容易であり、また、アドバイスを通じて直接制御できる因子であるため、水分量および内部損傷度の測定で代替することによって測定過程を簡略化できる。本実施例では比較評価段階においては弾性力を関連する毛髪特徴因子としては含めずに適宜水分量および内部損傷度から変換するものとしている。
【0034】
本実施例において実施される毛髪測定法(110)は、表1のうちM(1)={毛髪表面摩擦測定}、M(2)={毛髪内水分測定}、M(3)=毛髪内損傷度測定、M(4)={毛髪径測定}、M(8)={毛髪外観測定2}を含んで構成されるものとする。
【0035】
前述した手順により第一の希望毛髪情報は各毛髪特徴因子F(n)に対応する希望毛髪因子F(1,2)、F(1,4)、F(1,5)F(1,7)およびF(1,8)として所定の情報が格納される。各希望毛髪因子F(1,n)は通常は各毛髪特徴因子F(n)に関連して定性的または定量的な変化に関する情報を有する。すなわち、顧客の希望は現在の毛髪状態をより硬くしたい、よりさらさらにしたい等の変化を意図した内容であることが多いため対応する希望毛髪因子も各毛髪特徴因子の変化に関する相対的な情報となることが多い。しかしながらたとえば髪を茶色にしたいという希望の場合には色についての理想範囲を設定できないため希望毛髪因子も絶対的な毛髪状態に対応した情報を有する。そのために毛髪特徴因子に絶対的な情報か相対的な情報かを区別する情報を含ませても良い。
【0036】
表1や表2の具体例で示す毛髪特徴因子群{F(i)}と毛髪評価因子群{F(j)}および希望毛髪因子群{F(h)}との対応関係は事前に設定しておくことが好ましい。これによって測定された毛髪状態の物理的情報と顧客の抽象的な希望内容とを毛髪特徴因子群を介して比較可能な同一次元量を含む情報として扱うことができる。
【0037】
ヘアファッションの流行の変化等により準備されていない希望毛髪状態H(h)を入力する必要が生じた場合には、新たな希望毛髪状態H(h)に関連する毛髪特徴因子の組み合わせ{F(n)}を表2のマトリックスと同様にして選定した上で、対応する希望毛髪因子の組み合わせ{F(h,n)}を設定して評価し、関連のない毛髪特徴因子についてはF(h,i≠n)=0とすればよい。このようにして新たな希望毛髪状態H(h)に対する希望毛髪因子群{F(h,n);n=1〜N}が設定できるのでこれを事前に希望毛髪因子群{F(h,n)}のデータベースに追加すればよい。この変更は原則として毛髪処理決定手段(130)の設計変更を必要としないため迅速かつ低コストで変更作業ができ、高い判断水準も維持できる。
【0038】
毛髪測定方法の変更についても同様である。新たな毛髪測定法M(m)により取得される測定物性量とそれに関連する毛髪特徴因子との対応関係を追加することによって新しい毛髪測定手段{M’(m)}が設定され、毛髪測定法M(m)による測定結果が直ちに毛髪評価因子群{F’(n)}に変換できる。この変更は毛髪処理決定手段(130)の設計変更を必要とせず、希望毛髪因子群の構築にも影響を与えないため変更にともなう時間的、コスト的な軽減効果が大きく、かつ高い判断水準が維持できる。したがって、たとえば携行可能な測定装置を備えたコンピュータシステムにより顧客の滞在場所で測定を行うときにはその測定手段に相応した毛髪評価因子群{F’(n)}を適用して以下に述べる情報処理による診断結果をその場で顧客に提示し、それに基づいて後日より詳細な付加測定を行った場合にはそれに応じた毛髪評価因子群{F’’(n)}を適用してより的確な診断を行うという柔軟な対応も可能である。
【0039】
また毛髪特徴因子群により標準化される各毛髪関連因子群は比較可能な特定の物性量に関する情報の他に補助的な情報、たとえば毛髪評価因子が測定条件に関する情報を含んでいたり、希望毛髪因子が顧客の抽象的な希望内容に関する情報を含んでいたり、直接対比する目的でない情報を含んでいてもよい。少なくとも各毛髪関連因子群の因子要素が対応する毛髪特徴因子F(n)に関連づけて直接対比、演算可能な情報を含んでいればよい。以下では因子同士の演算や比較を行う場合は特に指定しない限り、因子要素のうち対応する毛髪特徴因子と関連づけて比較可能な次元や形態を有する要素部分についての演算等を意味するものとする。
【0040】
(4)毛髪処理情報の標準化
毛髪状態を健常状態に回復するように誘導し、あるいは顧客の希望状態を実現するための毛髪処理群{P(λ);λ=1〜M、Mは正の整数}(112)についても各毛髪処理P(λ)の毛髪状態に対する効果を毛髪特徴因子群{F(n)}に関連づけて毛髪効果因子群{F(λ,n)}(123)を構築する。詳細については処理判断手段における情報処理と併せて後述する。
【0041】
各毛髪効果因子の要素は、希望毛髪因子の場合と同様に通常は毛髪状態の改善を誘導する効果を有するため、相対的な情報を含むが、処理内容によっては絶対的な効果に関する情報を有してもよい。また、毛髪効果因子群{F(λ,n)}は事前に構築されてデータベース(140)に保管されていることが好ましく、毛髪評価因子群や希望毛髪因子群などの他の毛髪関連因子群とともに1箇所に保管されても、別のデータベースに分かれて保管され必要に応じて電気通信回線を通じてアクセスしてもよい。
【0042】
測定された毛髪状態あるいは顧客の希望毛髪状態と毛髪処理内容を直接比較するのではなく、同一次元で比較評価できるように、すべての比較対象が毛髪特徴因子群という共通因子に変換したので適切な判断が可能となり、また新たな測定手段、多様な顧客の希望、あるいは新製品開発に対しても迅速、柔軟なシステムの変更、追加が可能となる。すなわち、顧客の毛髪状態、顧客の希望内容、毛髪処理内容、毛髪の健常状態、および後述する改善内容をすべて毛髪特徴因子群の表現形態に標準化して表現されるので、これらの相互の比較、演算が容易となり迅速かつ適切な判断を可能とする。
【0043】
(5)比較評価手段における情報処理
毛髪特徴因子群{F(i)}によって標準化された情報である毛髪評価因子群{F(i)}、希望毛髪因子群{F(h,i)}、および毛髪効果因子群{F(λ、i)}のデータは比較評価手段(131)および処理判断手段(132)において処理される。
【0044】
通常はまず毛髪評価因子群{F(i)}のそれぞれの因子要素が健常範囲内にあるかどうかを判断し、健常範囲をはずれている因子がある場合にはその因子を健常範囲内に回復させる毛髪処理をおこなうことを優先する。顧客が実際の処理にあたって健常範囲への回復よりも希望内容の処理の優先を希望することもありうるが、本実施例のシステムでは毛髪ケアのアドバイスとしてはあくまで顧客の毛髪が健常であることを第一とすべきと考えこのように構成した。ここでいう健常範囲とは健常毛であれば各毛髪特徴因子がとるべき値の理想的な範囲であり事前に設定しておく。因子によっては理想的範囲の上限のみあるいは下限のみを設定すれば足りる場合もあるし、因子の性格上理想的範囲を観念する必要のない場合もある。たとえば顧客の希望する色に毛髪を染める場合には色についての健常範囲を設定する必要のないことは当然であって、このような場合には色につき健常範囲の設定は不要である。以下では各毛髪特徴因子F(i)についての健常範囲を健常データF(i)としその集合を健常データ群{F(i)}とする。
【0045】
【表3】
Figure 0004436964
表3に毛髪特徴因子群{F(i)}によって標準化された毛髪評価因子群{F(j)}、希望毛髪因子群{F(k)}、および毛髪処理群{P(λ)}の対応関係の具体例を示す。表3では簡潔な説明のために毛髪評価因子群{F(i)}のうち本実施例に特に関連する因子要素として摩擦力(i=2)、水分量(i=4)、内部損傷度(i=5)、キューティクル剥離(i=7)、スカム付着量(i=8)のみを表示した。例示した希望毛髪状態に対して別の毛髪特徴因子の組み合わせを設定してもよいことはいうまでもない。すでに述べたように弾性力の直接測定をしない場合でも弾性力(i=3)を関連する毛髪特徴因子として含めてよい。
【0046】
希望毛髪状態はH(1)=「より柔らかく」およびH(2)=「より低ダメージに」と設定したので、それぞれの希望内容は各希望毛髪因子の定性的あるいは定量的表現として変換される。たとえばi=2すなわち毛髪評価因子F(2)(摩擦力)に関して、希望毛髪状態H(1)に対応する希望毛髪因子F(1,2)は摩擦力を所定量減少させる情報を含んでいる。同様にしてH(2)に対応する希望毛髪因子F(2,2)も摩擦力を減少させる情報を含んでいる。
【0047】
図4に測定評価された毛髪状態F(n=2)とその健常範囲F(n=2)との関係を例示する。図中星印のマーク▲1▼〜▲4▼は毛髪評価因子F(n)の典型例を、マークから伸張する矢印は後述する状態の改善方向と改善量を反映したベクトル量F(n)となっている。健常範囲をF(2)={摩擦力;最小健常摩擦力≦摩擦力≦最大健常摩擦力}とすると、図において毛髪状態▲3▼および▲4▼は健常範囲内F(n)にあり、▲1▼および▲2▼は健常範囲から逸脱している。
【0048】
すでに述べたように本実施例の毛髪ケアアドバイスシステムでは顧客の毛髪状態が健常範囲にあることを優先する。毛髪状態▲3▼や▲4▼の場合には現在の状態および希望を実現した結果がともに健常範囲内にある。一方毛髪状態▲1▼および▲2▼の場合には毛髪処理前には健常範囲から逸脱しているため、さしあたって健常範囲内にまで摩擦力F(2)を減少させて回復することを優先するが、希望毛髪因子F(1,2)およびF(2,2)がいずれも回復方向と同じ傾向であるため健常範囲の境界領域に到達する処理を施せば希望毛髪因子も同時に実現される傾向にあると判断される。以下では図4に例示したような複数の希望内容に対応する希望毛髪因子の特定の毛髪特徴因子に対する傾向が同じ方向(図の例では摩擦力小)である場合をパターン1という。
【0049】
上記手順にしたがって各毛髪特徴因子F(n)ごとに改善すべき方向と改善量を改善ベクトルF(n)として規定し改善ベクトル群{F(n)}を決定する。なお、改善を必要としない因子要素については改善ベクトル群に含めなくてもよいが、本実施例では改善ベクトル群と毛髪特徴因子群の各因子を1対1に対応づけ改善を必要としない因子については改善量をゼロに設定した。
【0050】
(6)処理判断手段における情報処理
適切な毛髪処理を選択するためには、予め想定される毛髪処理に関する情報を毛髪特徴因子群の形態に変換して標準化しておく。
【0051】
本実施例に関連する毛髪処理群{P(λ)}はたとえば表3に示すように、P(1)={剥離補修処理(アミノ変性シリコーン)}、P(2)={スカム除去処理(キレート剤+アルカリ+活性剤)}、P(3)={潤滑処理(高重合シリコーン)}、P(4)={保湿処理(イソステアリルペンタエリスリルグリセリルエーテル)}、P(5)={メジュラ・コルテックス補修処理(有機酸+有機溶剤)}、P(6)={ケラチン改質処理(グリコール酸)}である。上記処理内容のカッコ内は相当する剤の一例を記載したものである。本発明の毛髪ケアアドバイスシステムでは多数の毛髪処理の中からシステムの設定に合致した内容の処理を任意に選択してデータベースを構築し利用する。
【0052】
また毛髪処理は毛髪処理剤に限定されることなく、毛髪ケア方法や警告等のアドバイスなどの顧客の毛髪状態の改善に有益な情報を含ませることができる。これらの情報も毛髪特徴因子の改善に寄与しうるからである。
【0053】
処理判断手段(132)においては改善ベクトル群{F(i)}に基づいてデータベース中の各毛髪効果因子F(λ,n)をマッチング、テーブルサーチ等により検索し、各毛髪特徴因子F(n)ごとに改善ベクトルF(n)と毛髪効果因子F(λ,n)とを比較して改善ベクトル群{F(i)}を実現しうる処理P(λ)を選択する。選択される毛髪処理は複数であってもよく全体として改善ベクトル群がよりよく実現されるように実施態様に応じて毛髪処理の組み合わせ(P(λ)、P(λ)、P(λ)・・・)を最適化すればよい。
【0054】
毛髪状態を理想的な健常範囲に移行させ、あるいは希望の毛髪状態を実現するためには各毛髪処理についての定量的な指定が必要である。たとえば表3または図4を用いてF(7)={キューティクル剥離}について考察すると、上述したパターン1が適用されキューティクル剥離を所定量減少させることが改善内容であり同時に希望内容が実現可能となる。
【0055】
より具体的には毛髪評価因子F(7)と健常範囲F(7)に基づき希望毛髪因子F(h,7)を考慮して改善ベクトルF(7)={キューティクル補修度a%}のように規定することが好ましい。この改善要求を最善に満たすものが毛髪処理P(λ)の毛髪効果F(λ,7)として選択される。たとえば毛髪処理P(λ=1)はアミノ変性シリコーン等を含むキューティクル改修剤Aである。この場合の毛髪効果は改修剤Aの1回あたりの使用量m、使用回数n、使用時間t等の関数であって通常F(1,7)=φ(λ=7,m,n,t)と表すことができる。この情報は毛髪効果因子F(1,7)の付加情報として含まれていることが好ましいが別途参照可能な情報としてデータベースに含まれていても良い。このとき、たとえば健常範囲内の特定の値F(n)を基準値とし、無次元量の改善係数δ≡[F(7)−φ(7,m,n,t)]/F(n)を判断材料の1つとしてこの絶対値をより減少させるように使用量m、使用回数n、使用時間t等の処理内容を決定してもよい。
【0056】
(5)={毛髪内濁り度}についても同様にしてF(5)={毛髪内濁り度b%減少}のように規定され、たとえば最適な毛髪処理P(λ=5)はリンゴ酸等の有機酸とベンジルオキシエタノール等の有機溶剤を含むメデュラ・コルテックス改修剤Eと選択される。この場合も毛髪効果は改修剤Fの1回あたりの使用量m、使用回数n、使用時間t等の関数として表現することができてF(5,5)=φ(λ=5,m,n,t)と表され、最適な使用量m、使用回数n、使用時間t等の処理情報が所定の判断基準により決定される。
【0057】
出力手段(103)においては、選択された毛髪処理(商品)についての使用方法、製品の取り扱い方、あるいは使用上の注意等が選択された毛髪処理内容(P(λ)、P(λ)、P(λ)・・・)として出力され(103)顧客に提示される。また、毛髪処理は原則として毛髪の内側の物性についての処理から外側の物性についての処理の順に施されるべきなので、複数の毛髪処理が提示される場合には処理の順序や時期を考慮する必要がある。なお表3の実施例ではP(6)、P(5)・・・P(1)の順に内部処理から外部処理へ配列してある。
【0058】
上述したように補修度a%、減少率b%のような最善の改善策のみを提示することもできるが、補修度(a%、a’%、a’’%・・・)、減少率(b%、b’%、b’’%・・・)のように複数のケースについて処理内容とその効果を提示して顧客が選択する機会を与えることも可能である。
【0059】
また、複数の毛髪処理を選択する場合には同一の毛髪特徴因子につき複数の毛髪処理が作用する場合もある。この場合には、特定の毛髪特徴因子F(n)に関する処理効果は総合効果F3T(n)=Σλλφ(λ,{m})、あるいは総合改善係数δnT=[F(n)−F3T(n)]/F(n)等により評価できる。ここでΣλはF(n)が関与するすべての毛髪処理P(λ)についての総和であり、効果関数φはλおよび1組のパラメータ{m}の関数、cλは各処理効果の重み係数であって各処理が独立に毛髪に作用する場合には1に近い値をとる。したがって実施態様により各改善係数δnTの絶対値を可能な限り減少させるような毛髪処理またはその組み合わせを選択することも可能であるが、各毛髪特徴因子についての総合効果の結果が健常範囲内に納まるかぎり、次に述べるように顧客の希望内容をより実現しうる処理内容を選択する。なおここでいう処理内容は1つの処理P(λ)であってもφ(λ,{m})の値が異なれば別の処理内容を意味する。
【0060】
顧客の希望内容に対する満足度は、顧客が希望する改善内容と選択された毛髪処理の効果との比較で評価する。顧客が希望する毛髪状態は(現在の毛髪状態)+(希望する改善内容)、すなわち各希望につき{F(n)}+{F(h,n)}で表され、毛髪処理による結果は(現在の毛髪状態)+(全改善処理効果)、すなわち各希望につき{F(n)}+Σλ{F(λ,n)}で表される。したがって、顧客の満足度はこれらの差としてたとえば達成度係数Γ=〔Σ|F(h,n)−F3T(n)|/F(n)〕/nγ あるいは、Γ’=〔Σ|F(h,n)−F3T(n)|/F (n)〕1/2/nγ と表現できる。ここでCは各毛髪特徴因子の各希望についての重み付け、nγは希望内容H(h)に関与する毛髪特徴因子の個数であって規格化定数であり、達成度係数Γが小さいほど希望内容と達成される毛髪状態の距離が近く顧客の満足度が大きいものと推察される。
【0061】
選択された毛髪処理(群)は希望の達成度等とともに顧客に提示され、顧客の意向に添うようにフィードバックして毛髪処理間のパラメータ調整等の内容変更を行ってもよい。また顧客の評価内容は適宜の段階で比較評価手段にフィードバックすることが好ましい。
【0062】
(7)毛髪ケアアドバイスにおける具体的判断
上述したように、図1および図3に示した本発明の情報処理に基づいて表3に示した本実施例のケースについて適切な毛髪処理が選択され顧客に提示される。
具体的な判断フローとしては、
▲1▼表面摩擦測定M(1)、外観測定M(8)によりキューティクル剥離またはスカム付着量が健常範囲外にあるときは剥離補修処理(製品A)またはスカム除去処理(製品B)が選択され、健常範囲内であれば潤滑処理(製品C)が選択され、
▲2▼毛髪内水分測定M(2)により水分量が健常範囲外にあるときは保湿処理(製品D)が選択され、
▲3▼毛髪内損傷度測定M(3)により内部損傷度が健常範囲外にあるときにはメジュラ・コルテックス補修(毛髪内補修)処理(製品E)が選択され、
▲4▼▲1▼〜▲3▼のすべてについて健常範囲内であれば適宜ケラチン改質処理(製品F)が選択される。
【0063】
【表4】
Figure 0004436964
表4にこれら判断基準の一覧を示す。表中で○は毛髪状態が健常範囲内にある場合、×は健常範囲外にある場合、−は健常範囲内外のいずれかを問わないことを示す。各処理(製品)は○と×のパターンが一致した場合に選択されうるものとする。
【0064】
なお、ケラチン改質剤(たとえば製品F)は一般に柔軟化を促進するグリコール酸やハリ・コシを付与するベヘニン酸等を含むものであるが、これは毛髪内部のコルテックスを構成するケラチンの物性をコントロールするものであって水分量や内部損傷度に依存する硬さの変更に直接作用する。さらに硬さや弾性による毛髪間の接触圧等の力学作用を介して間接的に摩擦力にも影響を与える。表3では毛髪処理効果F(6,2)に関するこのような間接的毛髪効果を「+」と表現している。他の場合も同様である。
【0065】
複数の処理が選択された場合には上述したように効果関数φ(λ,{m})等により各処理の定量的な指定を行い、さらに達成度や満足度を考慮して顧客の希望内容をよりよく実現するような処理を決定することが好ましい。毛髪処理の判断手順はすでに開示された判断内容に限定されるものではなく、評価された毛髪状態{F(n)}を健常範囲{F(n)}に移行させ、併せて顧客の希望内容{F(h,n)}を考慮して回復処理内容{F(n)}を設定し(131)、これを最善に実現する毛髪処理{P(λ)}を選択するような判断手順であればよい。
【0066】
また、最善と判断された毛髪処理と次善の複数の候補、それらの効果および希望の達成度等を顧客に提示して顧客が処理内容を選択しても良い。
【0067】
実施例2
本発明に基づく毛髪ケアアドバイスシステムの別の実施態様を表5に示す。実施例2では希望毛髪状態をH(1)=「より硬く」およびH(2)=「より低ダメージに」と設定したこと以外は実施例1と同じであり、実施例2にかかる本発明の毛髪ケアアドバイスシステムの構成や情報処理手順は図1〜3に示したものと実質的に同一であるので重複する部分については説明を割愛する。本実施例では表5に示すように、特定の毛髪特徴因子たとえばF(2)={摩擦力}について、第一の希望「より硬く」に対する希望毛髪因子F(1,2)と第二の希望「より低ダメージに」に対する希望毛髪因子F(2,2)の定性的傾向が異なっている。
【0068】
【表5】
Figure 0004436964
図5は本実施例について摩擦力に関する毛髪評価因子F(2)と健常範囲F(2)との関係を示すものである。前述したように、毛髪評価因子F(2)が毛髪状態▲1▼や▲3▼のように健常範囲を逸脱している場合にはまず健常範囲内に毛髪状態を移行することを優先する。したがって、たとえば▲1▼の場合の改善処理は第二の希望(低ダメージ)を実現する傾向にあるが第一の希望(硬く)とは効果が拮抗することとなる。これとは逆に▲3▼の場合の改善処理は第一の希望を実現する傾向にあるが第二の希望とは効果が逆傾向となっている。以下同一の毛髪特徴因子に対して希望毛髪因子の定性的傾向が逆の場合をパターン2という。
【0069】
すでに述べたように本実施例の毛髪ケアアドバイスシステムはまず顧客の毛髪状態を健常状態に移行させた上で希望内容を実現するものである。したがってパターン2のような場合でも比較評価手段(131)においては差し当たって各毛髪特徴因子につき健常状態にあるかどうかを判断し、逸脱している毛髪特徴因子がある場合には、健常範囲に移行させることを優先して回復するための改善ベクトルF(n)(135)を設定して毛髪処理を選択する。図5の例では▲1▼の毛髪状態に対してはたとえば健常範囲の最大摩擦力の値に向かう向きと大きさを有する改善ベクトル(右向き実線矢印)が選択され、▲3▼の状態に対してはたとえば健常範囲の最小摩擦力の値に向かう向きと大きさを有する改善ベクトル(左向き実線矢印)が選択される。
【0070】
上記回復処理が複数の毛髪処理の組み合わせで施される場合には、各毛髪特徴因子F(n)についての総合効果F3T(n)=Σλλφ(λ,{m})を改善ベクトルと比較すればよいし、希望の達成度や顧客の満足度を適宜評価して処理の候補を顧客に提示した上で処理内容を調整してもよいことは実施例1と同様である。この場合ある毛髪特徴因子についてパターン2の関係が成立して特定の希望が実現し得ない場合でも他の毛髪特徴因子についてパターン1等の関係により顧客の満足度を改善させることは可能である。
【0071】
また、パターン2の場合でも▲2▼や▲2▼’のように毛髪状態が健常範囲内にあるときにはいずれの効果を有する処理を選んでもよいが、他の毛髪効果因子との関係を参酌して顧客の希望をより実現する処理を選択することが好ましい。
【0072】
具体的には表5の実施例はパターン2であるので、たとえば毛髪特徴因子F(2)=摩擦力に関して第二の希望については健常範囲への回復を優先し原則として実施例1と同じ判断基準の適用により希望内容が実現できる。
【0073】
一方第一の希望については毛髪評価因子が健常範囲内にある場合には相応する毛髪処理の付加により所定の範囲で希望毛髪を実現できるが、健常範囲外にある場合には上記回復処理により健常範囲内に移行することが可能となるものの第一の希望を実現することはできない。この場合には毛髪内部のケラチンの物性変化によりハリ・コシを付与する効果のある毛髪処理P(6)=ケラチン改質処理がさらに選択される。
【0074】
この結果は顧客に提示されて希望内容が十分に実現できない場合にはその旨と理由も併せて提示される。この場合には健常範囲に回復する処理を最優先して実施し、回復後他の希望内容を実現する処理を実施するような処理(プログラム)を選択枝の1つとして提示したり希望内容の再検討を促すアドバイスを提示することも可能である。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、顧客の毛髪状態を診断する一方で、顧客の毛髪状態についての希望を取り入れて的確な毛髪処理を顧客に提供することができる。また、本発明によれば測定方法や測定装置の変更や流行による顧客の要望の変化に柔軟に対応して迅速かつ低コストでシステムの変更がなされ、しかも高い判断水準を維持したアドバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による毛髪ケアアドバイスシステムの構成概念図である。
【図2】本発明による毛髪ケアアドバイスシステムにおける典型的なデータの流れを示すのである。
【図3】本発明による毛髪ケアアドバイスシステムにおけるデータ処理の具体例を示すものである。
【図4】実施例1において評価された毛髪状態(▲1▼〜▲4▼)とその健常範囲F(2)とのF(2)=摩擦力に関する関係を例示するものである。
【図5】実施例2において評価された毛髪状態(▲1▼,▲2▼,▲2▼’,▲3▼)とその健常範囲F(2)とのF(2)=摩擦力に関する関係を例示するものである。

Claims (6)

  1. 顧客の毛髪状態を測定して評価し、毛髪状態を特徴づける毛髪特徴因子群{F(i);i=1〜N、Nは所定の正の整数}(120)に関連づけて毛髪評価因子群{F(j);j=1〜N}(121)に変換する毛髪評価手段と、
    前記顧客が希望する毛髪状態に関する情報{H(h);h=1〜I、Iは所定の正の整数}(111)を入力し、前記毛髪特徴因子群{F(i)}に関連づけて希望毛髪因子群{F(k);k=1〜N}(122)に変換する希望毛髪特定手段と、
    前記毛髪評価因子群{F(j)}と前記毛髪特徴因子群{F(i)}に関連づけて毛髪状態の健常範囲を規定する健常データ群{F(i);i=1〜N}(133)または前記希望毛髪因子群{F(k)}とを比較評価する比較評価手段と、
    前記比較評価手段の結果に基づいて前記希望する毛髪状態を実現するための毛髪処理を決定する処理判断手段と、
    前記決定された毛髪処理を前記顧客に提示する出力手段と
    を具備し、
    前記毛髪特徴因子群{F (i)}は、毛髪の引張強度、摩擦力、弾性力、水分量、内部損傷度、色、キューティクル荒れ、スカム付着量に関する情報のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする毛髪ケアアドバイスシステム。
  2. 前記毛髪評価手段は、前記希望する毛髪状態の情報{H(j)}に関連する物性量群{M(m);m=1〜L、Lは所定の正の整数}であって、前記毛髪評価因子群{F(i)}に変換されるものを測定することを特徴とする請求項1に記載の毛髪ケアアドバイスシステム。
  3. 前記比較評価手段は、前記毛髪評価因子群{F(i)}と前記健常データ群{F(i)}または前記希望毛髪因子群{F(i)}とを比較評価して処理すべき内容を前記毛髪特徴因子群{F(i)}に関連づけて改善ベクトル群{F(i);I=1〜N}に変換し、
    前記処理判断手段は、前記改善ベクトル群{F(i)}に基づいて毛髪処理を決定すること
    を特徴とする請求項1に記載の毛髪ケアアドバイスシステム。
  4. 前記処理判断手段は毛髪処理群{P(λ);λ=1〜U、Uは所定の正の整数}の中から選択すべき毛髪処理を決定し、
    前記毛髪処理群の各毛髪処理P(λ)の毛髪効果は各前記毛髪特徴因子F(i)に関連づけて毛髪効果因子群{F(λ,i)}に変換されることを特徴とする請求項1または3に記載の毛髪ケアアドバイスシステム。
  5. 前記顧客が希望する毛髪状態に関する情報{H(h)}は、硬さ、ダメージケア、さらさら感のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または3に記載の毛髪ケアアドバイスシステム。
  6. 前記物性量群{M(m)}は、毛髪表面摩擦測定、毛髪内水分測定、毛髪内損傷度測定、毛髪径測定、毛髪外観測定のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2記載の毛髪ケアアドバイスシステム。
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