JP4436890B1 - プレス型及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 極めて少ない生産量用のプレス型に関し、特に、廃棄処分及び再利用の観点において極めて優れ、保管管理に要する労力及びコストを大幅に低減できるプレス型、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 プレス型は、多孔質の砂粒子が多数集まった造形砂と、その造形砂の砂粒子よりも大きな複数の粒状物であり且つ各粒状物が砂粒子に比べて水浸透性の低い充填補助材と、水とを一緒に充填可能な造形空間が設けられる型枠と、その型枠の造形空間内に造形砂が充填され、その造形砂中に充填補助材の各粒状物が被包埋設され、この充填補助材及び造形砂の混合物の全体に水を含浸させて、その水を凍結させた凍結水を介して、その混合物中に含まれる造形砂及び充填補助材の各粒子及び各粒状物が相互に連結結合されて形成され、ワークをマスター部品の形状に合致するようにプレス成形するプレス面が表面に設けられる型本体とを備えている。
【選択図】 図13

Description

本発明は、ワークを挟持押圧してプレス加工することにより所定形状のプレス製品を成形するために使用されるプレス型及びその製造方法に関するものである。
従来、乗用車、バス、トラックその他の自動車の製造業者は、各生産車種について、その車種の生産中は勿論のこと、その生産終了後も約15〜20年程度の長期間、生産車種の部品を供給することが法律により義務づけられている。このため、各製造業者では、各種の交換用部品を保管するとともに、このような交換用部品の在庫数が不足することも想定して、その部品製造に用いられる物、例えば、プレス加工製のボディー関連部品の製造に用いられるプレス金型なども長期間保管されている。
特表2001−525256号公報
特に、バンパ、フェンダ、ドアその他のボディー関連部品はプレス製品のなかでもサイズが大きいため、そのプレス金型も3トンから15トンという大重量物のものもあり、その保管場所の確保に各事業者ともに苦慮しているという問題点がある。しかも、このようなプレス金型については、それにより製造されるプレス製品の品質を確保するため、その表面の酸化防止のために防錆処理等の手間がかかり、保管に多大に費用を要するという問題点がある。
また、このようなプレス加工製のボディー関連部品などの交換用部品は、その多くが自動車の交通事故その他の偶発的な出来事に起因した破損が発生した場合に必要となるものであり、その需要が極めて少量であって不定期かつ不安定であるので、市場に対して部品を定期的かつ定量的に大量供給する場合に比べて、その供給サービス態勢の維持に過大かつ無駄な労力とコストを要するという問題がある。
そのうえ、上記した約15〜20年という長期間、プレス製品の製造に用いられるプレス金型の劣化を防止しつつ保管することには膨大なコストが必要であり、又、このようなプレス金型を長期間保管し続けることが、かえってプレス金型の素材である鉄材を別用途に再利用できないことに繋がり、資源の有効活用や環境負担の観点からも好ましくない状況を招来させているという問題点があった。
ところで、プレス加工用のプレス型は、その多くが金属加工用の器具であり、凹凸面を有するパンチ型(雌型)及びダイ型(雄型)を用いてワーク(金属製その他の塑性変形可能な板状体(ブランク))を挟持押圧して、そのワークをパンチ型及びダイ型の凹凸面に適合した凹凸形状に成形するために用いられる。そして、このようなプレス型の素材には、従来より鉄材か樹脂材が用いられている。
ここで、鉄材を用いたプレス金型は一般的にプレス製品を大量加工する場合に用いられており、上記した交換用部品のようにそもそも偶発的な出来事に起因した破損で必要となる生産量が極めて少量であるものについては、樹脂材を用いたプレス型が用いられることもある。しかし、このような樹脂材製のプレス型は、廃棄処分や再利用の観点において環境負荷が大きくなるという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するため、プレス製品をプレス加工により製造するプレス型に関し、特に、廃棄処分及び再利用の観点において極めて優れており、プレス型自体を保管管理する場合に比べて保管管理に要する労力及びコストを大幅に低減できるプレス型、及び、その製造方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1のプレス型は、多孔質の砂粒子が多数集まった流動性を有する造形砂と、その造形砂の砂粒子よりも大きな複数の粒状物であり且つ各粒状物が前記砂粒子に比べて水浸透性の低い充填補助材と、水とを一緒に充填可能な造形空間が設けられる型枠と、その型枠の造形空間内に前記造形砂が充填され、その造形砂中に前記充填補助材の各粒状物が被包埋設され、この充填補助材及び造形砂の混合物の全体に水を含浸させて、その水を凍結させた凍結水を介して、その混合物中に含まれる造形砂及び充填補助材の各粒子及び各粒状物が相互に連結結合されて形成される型本体と、その型本体の表面に設けられ、その型本体を形成する前記造形砂、充填補助材及び凍結水の混合物により形成され、ワークに接触することにより当該ワークをマスター部品の形状に合致するようにプレス成形するプレス面とを備えている。
請求項2のプレス型は、請求項1のプレス型において、前記型枠は、前記造形空間の周囲に周設されその造形空間を包囲する周壁板と、その周壁板の内周面における対向面間に架設され軸方向両端部がいずれもその周壁板に固定される複数の補強棒とを備えており、前記型本体は、その複数の補強棒を前記造形砂、充填補助材及び凍結水の混合物内部に一体的に埋設した状態で前記造形空間内に形成されるものである。
なお、請求項1又は2のプレス型に用いられるプレス型用の型枠は、多孔質の砂粒子が多数集まった造形砂、及び、その造形砂の砂粒子よりも大きな複数の粒状物であり且つ各粒状物が前記砂粒子に比べて水浸透性の低い充填補助材、並びに、水を用いて、その造形砂中に充填補助材が被包埋設され、この充填補助材及び造形砂の混合物の全体に含浸された水を凍結させた凍結水を介して、その混合物中に含まれる造形砂及び充填補助材の各粒子及び各粒状物が相互に連結結合されて形成される型本体を造形するための造形空間と、その前記造形空間の周囲に周設されその造形空間を包囲する周壁板と、その周壁板の内周面における対向面間に架設され軸方向両端部はいずれも周壁板に固定され、前記造形空間内に形成される型本体内部に一体的に埋設される複数の補強棒とを備えているものであっても良い
請求項3のプレス型の製造方法は、原型となるマスター部品と、そのマスター部品の形状に適合した型枠であって周壁板内周に貫通形成されたダイ空間及びパンチ空間を造形空間として有するダイ枠及びパンチ枠と、ブランクホルダと、閉塞板とを備えたプレス型製造具を用いてプレス型を製造する方法であり、パンチ枠の周壁板をブランクホルダの嵌入孔内に嵌入した状態で当該ブランクホルダ及びパンチ枠を固定し、そのブランクホルダの天板上とダイ枠のフランジ板との間にマスター部品のフランジ部分を挟んだ状態で当該ダイ枠及びブランクホルダを固定し、この固定によりマスター部品のフランジ部分を挟持して、ダイ空間とパンチ空間とをマスター部品により仕切って隔絶させて、プレス型製造具を組み立てる組立工程と、その組立工程により得られたプレス型製造具のダイ空間内に、造形砂とその造形砂中に被包埋設される複数の粒状物である充填補助材とを充填し、この造形砂及び充填補助材の混合物に水を含浸させた含水混合物を生成するダイ型充填加水工程と、そのダイ型充填加水工程前又は後に、前記組立工程により得られたプレス型製造具のパンチ空間内に、造形砂とその造形砂中に被包埋設される複数の粒状物である充填補助材とを充填し、この造形砂及び充填補助材の混合物に水を含浸させた含水混合物を生成するパンチ型充填加水工程と、そのパンチ型充填加水工程が前記ダイ型充填加水工程の前に行われる場合には、そのパンチ型充填加水工程の後であって前記ダイ型充填加水工程の前に、パンチ型のパンチ空間におけるマスター部品の反配設側の開口を閉塞板により閉塞し、又は、前記ダイ型充填加水工程が前記パンチ型充填加水工程の前に行われる場合には、そのダイ型充填加水工程の後であって前記パンチ型充填加水工程の前に、ダイ型のダイ空間におけるマスター部品の反配設側の開口を閉塞板により閉塞する閉塞工程と、その閉塞工程の後に行われる前記ダイ型充填工程又はパンチ型充填工程の後、プレス型製造具を冷却し、前記ダイ空間及びパンチ空間内にある含水混合物中の水分を凍結させて、ダイ空間及びパンチ空間内に型本体であるダイ本体及びパンチ本体を生成する型本体冷凍生成工程とを備えている。
請求項4のプレス型の製造方法は、請求項3のプレス型の製造方法において、前記ダイ型充填加水工程、若しくは、パンチ型充填加水工程、又は、これらの双方は、その造形空間内に充填された造形砂及び充填補助材の混合物に水を含浸させる前に、プレス型製造具に対して振動を加える加振工程を備えている。
請求項5のプレス型の製造方法は、請求項3又は4のプレス型の製造方法において、前記ダイ枠及びパンチ枠が、多孔質の砂粒子が多数集まった造形砂、及び、その造形砂の砂粒子よりも大きな複数の粒状物であり且つ各粒状物が前記砂粒子に比べて水浸透性の低い充填補助材、並びに、水を用いて、その造形砂中に充填補助材が被包埋設され、この充填補助材及び造形砂の混合物の全体に含浸された水を凍結させた凍結水を介して、その混合物中に含まれる造形砂及び充填補助材の各粒子及び各粒状物が相互に連結結合されて形成される型本体を造形するための造形空間と、その前記造形空間の周囲に周設されその造形空間を包囲する周壁板と、その周壁板の内周面における対向面間に架設され軸方向両端部はいずれも周壁板に固定され、前記造形空間内に形成される型本体内部に一体的に埋設される複数の補強棒とを備えているプレス型用の型枠である。
この本発明によれば、プレス型によってワークからマスター部品の形状に合ったプレス製品がプレス成形される。このプレス型は、造形砂と、複数の粒状物を有した充填補助材と、水とを素材として用いた型本体と、この型本体を保持する型枠とを備えており、型本体は、造形砂と充填補助材とを混合した混合物に水を含浸させた含水混合物を凍結させたものであり、この含水混合物に含まれるプレス造形砂の各砂粒子及び充填補助材の各粒状物が相互に凍結水(氷)を介して連結結合されて一体化したものである。
造形砂の砂粒子は、その内部と外部との間を水分が出入り可能な多孔質構造なので、造形砂に含浸させた水が凍結することによって、各砂粒子の微細孔に浸透した水が凍結により体積膨張して各砂粒子内に凍結水の緻密な充填状態が作り出され、各砂粒子同士が凍結水を介して強固に連結結合される。このように型枠内側で凍結水が体積膨張することで、これらの造形砂、充填補助材及び水が型枠内に高密状態で充填されたに等しい状態へ変化させることができる。
このようにして凍結水の体積膨張が、プレス型の型本体の剛性を高め、ワークとの接触面の緊密さを高める結果、プレス成形する際のワークとの摩擦抵抗の低減化が図られる。もっとも、プレス型の型本体中の凍結水の体積膨張は、充填補助材を用いることで最小限に抑制されている。ここで、充填補助材は、その各粒状物が造形砂の砂粒子よりも大きく、かつ、砂粒子に比べて水浸透性が低いものである。
このため、プレス型の造形砂の一部分を充填補助材に置換すれば、型本体の全体に占める造形砂の体積割合が低減されて、その分、水の含浸量が削減され、結果、型本体全体に占める凍結水の体積割合を減少させて、プレス型中の凍結水の体積膨張に伴う寸法精度低下が抑制されるのである。
また、請求項2のプレス型、前記したプレス型用の型枠、又は、及び、請求項5のプレス型の製造方法によれば、造形空間(ダイ空間及びパンチ空間)内に架設される複数本の補強棒が、凍結硬化した型本体(ダイ本体及びパンチ本体)の内部に一体的に埋設されることで、型本体(ダイ本体及びパンチ本体)が型枠(ダイ枠及びパンチ枠)から抜け落ちることが防止される。また、複数本の補強棒によって、造形空間(ダイ空間及びパンチ空間)内に造形された型本体(ダイ本体及びパンチ本体)中の凍結水の体積膨張に伴う周壁板の変形が抑制される。
特に、請求項3のプレス型の製造方法によれば、マスター部品によってダイ空間とパンチ空間とが完全に仕切られて隔絶され、この隔絶によって、プレス型製造具の内部に、ダイ空間とパンチ空間との2つの造形空間がまとめて作り出されるので、1つのプレス型製造具を用いて、ダイ型とパンチ型とを同時にまとめて冷凍硬化させて作り出すことができ、プレス型の製造の手間を簡素化でき、その製造工数及び期間が削減される。
特に、請求項4のプレス型の製造方法によれば、加振工程によりプレス型製造具に対して振動を加えることで、造形砂の流動性を誘発して発揮させることができ、例えば、造形砂の砂粒子同士間や小玉石の粒同士間に存在する空隙に、プレス型造形砂の砂粒子を密実に充填させることができる。
本発明によれば、型本体が鉄材等の金属材料に比べて低廉な、造形砂、石などの充填補助材及び水(凍結水)を用いて製造できるので、従来の金属素材を用いたプレス金型に比べて、プレス型の材料費を大幅に削減でき、その分、プレス型全体としての製造コストも低廉化できるという効果がある。
しかも、プレス型の型本体に用いられる素材は、造形砂及び凍結水の連結結合による凍結硬化を基礎としたものであり、造形砂及び水のいずれも天然素材であることから、廃棄する場合に環境汚染等の原因とならず再利用も容易にでき、自然環境に対する負荷を低減できるという効果がある。しかも、充填補助材として天然素材由来の粒状物、例えば、石や陶磁器などを用いるならば、充填補助材の廃棄及び再利用に伴う環境負荷も低減できるという効果がある。
また、プレス製品の製造後にプレス型が不要となれば、型本体中の凍結水を解凍して、造形砂、充填補助材、及び、水に元通り戻すことができるので、従来の交換用部品供給のために使用されるプレス金型のように長期間保管する必要もなく、造形砂、充填補助材、及び、水を再利用して新たなプレス型を製造することも極めて容易にできるという効果がある。
したがって、ボディー関連部品のような大型部品のプレス成形に用いられた場合には、凍結水を解凍することで簡単にプレス型造形砂と充填補助材と水とに解体できるので、従来のプレス金型のような大重量物を長期間保管する必要もなく、かつ、金属製のプレス型のように防錆処理等のメンテナンス保管も不要になり、結果、これらに関連する経費を大幅に削減できるという効果がある。
本発明の一実施例であるプレス型の型枠セットの外観斜視図である。 プレス型を製造するために用いられるプレス型製造具の説明図であり、(a)は、マスター部品をダイ枠及びパンチ枠間に設置した状態を示した断面図であり、(b)は、ダイ枠及びパンチ枠の連結状態を示した外観斜視図である。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、ダイ空間内のマスター部品上にプレス型造形砂を敷き詰めた状態を示したプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、図3に示したプレス型造形砂の上に充填補助材(小玉石)を敷き詰めた状態を示したプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、図4に示した充填補助材の上からプレス型造形砂を敷き詰めた状態を示したプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、図5に示したプレス型造形砂の上に充填補助材(中玉石)を敷き詰めた状態を示したプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、図6に示した充填補助材の上からプレス型造形砂を敷き詰めた状態を示したプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、図6に示したプレス型造形砂の上から水を流し込み更に充填補助材(小玉石)及びプレス型造形砂を敷き詰めた状態を示したプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、ダイ空間内の含水混合物の上にクッションシート材を敷設した状態を示したプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、上下反転したプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、パンチ型のパンチ空間内に含水混合物を充填した状態を示したプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、冷凍庫内に収容されて冷却されているプレス型製造具の内部構造を縦断面視したものである。 プレス型製造具を用いたプレス型製造方法の一例に関する説明図であり、プレス型製造具を分解してマスター部品を取り除いた状態を示した縦断面図である。 (a)は、プレス型製造方法により実際に製造されたダイ型を撮影した図面代用写真であり、図13(b)は、プレス型製造方法により実際に製造されたパンチ型及びブランクホルダを撮影した図面代用写真である。 (a)は、図13に示したプレス型の原型となった実際のマスター部品の図面代用写真であり、(b)は、図13に示したプレス型によりプレス加工されたプレス製品の図面代用写真である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施形態におけるプレス型は、プレス加工(プレス成形)の一種である深絞り成形に用いられるものであり、ワークからマスター部品と同等のプレス製品を製造するための成形型である。このプレス型は、プレス型を製造するために用いられる造形用の砂(以下「プレス型造形砂」という。)と、砂利、玉石その他の粒状物を複数有した充填補助材と、水とを素材として用いた型本体と、この型本体を保持する骨組構造として機能する堅牢な金属製の型枠とを備えている。
型本体は、後述するプレス型の製造方法に従って、プレス型造形砂と充填補助材とを混合した混合物に所定量の水を含浸させた含水混合物を凍結させたものであり、この含水混合物に含まれるプレス造形砂の各砂粒子及び充填補助材の各粒が相互に凍結水を介して連結結合されることで一体化されたものである。
ここで、プレス型造形砂は、型本体の製造に使用される砂であって、その各砂粒子が無数の微細孔(微細な空隙を含む。)を有した多孔質体であり、例えば、石英などの珪酸塩鉱物分(SiOなど)を主成分とした珪砂又はこの珪砂を含んだ砂が用いられる。
また、プレス型造形砂の砂粒子の微細孔は、例えば、籠状や袋状をしたものであり、そのなかにはナノサイズの微細孔も存在している。このため、プレス型造形砂の各砂粒子は、その内部と外部との間を水分が出入り可能な構造となっている。
また、プレス型造形砂の砂粒子は、その表面に丸みが付けられた球形度や円磨度が高いものであり、この砂粒子の丸みは、例えば、天然又は人工の水流若しくは気流又はこれら双方の作用により施されたものである。したがって、これら砂粒子が多数集まったものであるプレス型造形砂は、各砂粒子同士の摩擦係数が小さく、それ全体として流動性が高いものとなっている。
このプレス型造形砂によれば、それに含浸させた水を凍結させることによって、各砂粒子の微細孔に浸透した水が凍結により体積膨張して各砂粒子内に凍結水の緻密な充填状態が作り出されるとともに、各砂粒子同士が凍結水(氷)を介して強固に連結結合されることによって、プレス型造形砂と凍結水とから高強度の素材が創造される。そして、この凍結水の体積膨張は、プレス型の型本体の剛性を高め、更に、ワークとの接触面の緊密さが高められて、ワークを絞り加工する際の摩擦抵抗の低減化が図られる。
また、プレス型造形砂、充填補助材及び水が型枠内に充填されて当該型枠と一緒に窒素ガスその他の冷媒により急速冷凍されることで、含水混合物中の水分が凍結した凍結水によりプレス型造形砂及び充填補助材が固められ、この型本体と型枠とが一体化されるのであるが、このとき、型枠内側で凍結水が僅かながらも体積膨張することで、これらのプレス型造形砂、充填補助材及び水が型枠内に高密状態で充填されたに等しい状態へ変化させることができる。
ところで、水は、その温度が4℃の状態のときの密度が最大であり、かつ、その温度が4℃未満又は4℃超過の場合に密度が小さくなる特性があり、プレス型の型本体の冷却温度範囲内である−50℃〜−60℃まで水を冷却すると、約7%程度の体積膨張を伴うこととなる。
このようなプレス型の型本体の冷却温度範囲における凍結水の体積膨張は、プレス型の寸法精度の低下を招来する恐れがあるところ、本実施例では、充填補助材を用いることでプレス型全体に占める凍結水の体積割合を低減させて、プレス型全体としての体積膨張量を最小限に抑制されている。
なお、プレス型の型本体の冷却温度範囲は−10℃以下である。もっとも、このプレス型を用いてプレス加工が行われる場所の気温、プレス加工する枚数その他のプレス型中の凍結水の温度上昇を誘発する熱エネルギー条件に応じて、プレス型の型本体の冷却温度は更に低温であることが好ましく、気温10℃〜30℃程度の常温環境下で5枚から10枚程度のプレス加工が行われる場合、プレス製品の品質を良品とするためには、−50℃〜−60℃で冷凍することが好ましい。
なお、プレス型を常温下で長時間使用するような場合には、例えば、プレス型造形砂、充填補助材及び水を含んだ含水混合物を生成する過程で、その含水混合物の内部に、冷媒を流通可能な冷却パイプを予め埋設しておき、プレス型の完成後、その冷却パイプ内に冷媒を流通させながら、プレス加工を行うようにしても良い。
ここで、充填補助材は、上記したように砂利、玉石などの石製又はセラミック製の粒状物が複数集まったものであり、その粒(玉石)1個分の体積が砂粒子に比べて遙かに大きなものである。この充填補助材が型枠内に充填されることで、プレス型の一部分がプレス型造形砂から充填補助材に置換される。この置換によって、型本体の全体に占めるプレス型造形砂の体積割合が低減される。
また、この充填補助材は、その外形の最長部分の長さが10mm〜50mmの範囲内のものが好ましく、玉石であれば、一般に小石サイズ(メッシュ角型10mm目)、中石サイズ(メッシュ角型20〜30mm目)、大石サイズ(メッシュ角型40〜50mm目)のものが好ましく、更に、冷却に対する膨張係数が極めて小さく、プレス型の型本体の冷却に伴った熱収縮量が小さいものであることが好ましい。
ここで、充填補助材は、その個々の粒状物が多孔質体の砂粒子に比べて水浸透性が低い性質(例えば、低級水性、難吸水性、又は、非吸水質などともいう。)を有するものであり、プレス型造形砂の砂粒子が多孔質体であるならば、この充填補助材の粒は、中実体とでもいうべきものである。
したがって、この充填補助材を型枠内に充填してプレス型造形砂の割合を低減させることにより、その分、プレス型造形砂の充填量を低減させて水の注入量(含浸量)も減少させることができ、結果、型本体全体に占める凍結水の体積割合を減少でき、プレス型中の凍結水の体積膨張に伴う寸法精度低下を抑制することができる。
また、例えば、充填補助材の各粒が表面に細かな凹みが多数あるものならば、その凹みに水が入り込んで凍結することによりプレス型造形砂の砂粒子及び充填補助材の他の粒とも連結結合状態を形成することができ、プレス型の型本体全体としての剛性が更に高められる。
しかも、このプレス型の型本体によれば、プレス加工に用いた後不要となれば、凍結水を解凍させることで、凍結水による砂粒子間の連結結合状態が解除されるので、プレス型の型本体が単に水分を含んだプレス型造形砂と充填補助材との塊となり、プレス型造形砂と充填補助材とに分離して何度でも再利用でき、これらの廃棄も不要となり、環境負荷を極めて小さくすることができる。
図1は、本発明の一実施例であるプレス型セット50の製造及び使用に用いられる型枠セット1の外観斜視図であり、図中には、かかる型枠セット1に備わるダイ枠2、パンチ枠3、ブランクホルダ4及び閉塞板5の斜視図をそれぞれ記載するとともに、マスター部品Mの斜視図も併記している。
本実施例のプレス型セット50は、図1に示す型枠セット1を用いて、マスター部品Mと同形状のプレス製品を製造する深絞り成形型のセットであり、雌型のダイ型51と雄型のパンチ型52とを備えている(図13参照。)。
ここで、マスター部品Mは、予め生産されて保管されているプレス製品であり、本実施例のプレス型セット50を製造するためのダイ型51及びパンチ型52の原型として用いられるものである。このマスター部品Mは、完成品として実際に出荷される部位である製品部分Maを備えており、この製品部分Maにはそこからトリミングにより切除されるべき部位であるフランジ部分Mbが残存している。
図1に示すように、型枠セット1は、原型となるマスター部品Mの形状に適合したプレス型セット50の骨組となる鉄材などの金属製の枠体であり、主として、ダイ枠2と、パンチ枠3と、ブランクホルダ4と、閉塞板5とを備えている。この型枠セット1の各部材2〜5のうち、ダイ枠2及びパンチ枠3は、ダイ型51及びパンチ型52の型枠であり、これらダイ型51及びパンチ型52の骨組構造となる中空状の枠体である。
そして、ダイ枠2及びパンチ枠3のうち、そのダイ枠2の内部には、ダイ型51の型本体となるダイ本体51aを造形するための空間であるダイ空間21が設けられており、パンチ枠3の内部には、パンチ型52の型本体となるパンチ本体52aを造形するための空間であるパンチ空間31が設けられている。また、このダイ空間21及びパンチ空間31はいずれも、ダイ枠2及びパンチ枠3の垂直方向に貫通した空間であり、その周囲に周設される周壁板2a,3aにより包囲されている。
ダイ枠2の周壁板2aは、ダイ空間21の周囲を筒状に囲繞しており、この周壁板2aの下端部(図1下側)の全周にフランジ板2bが連設されている。また、このフランジ板2bの外周面に複数の凹欠部2cが設けられている。この複数の凹欠部2cは、ダイ枠2のフランジ板2bとブランクホルダ4の天板4aとをボルト及びナットで締結するための凹みであり、四辺あるフランジ板2bの各辺両側にそれぞれ凹設されている。
また、フランジ板2bは、ダイ枠2の周壁板2aの下端部(図1下側)から直角に水平外方へ延設されており、このフランジ板2bの下面がブランクホルダ4と共にワークの周縁部を挟持するダイフェイスとなっている。また、このフランジ板2bは、プレス型セット50を製造する場合に、ブランクホルダ4とともにマスター部品Mのフランジ部分Mbを挟持する部位としても機能する。
さらに、ダイ枠2は、複数の補強ステー2dが周壁板2aの周方向に間隔を隔てて設けられており、この複数の補強ステー2dがダイ枠2の周壁板2aの外周面とフランジ板2bの上面との双方に溶接固定されることによりダイ枠2の高剛性化が図られている。しかも、ダイ空間21には、棒状の中空パイプ製の複数本の補強バー2eが周壁板2aの内周面における対向面間に架設されており、各補強バー2eの軸方向両端部はいずれも周壁板2aに溶接固定されている。
複数の補強バー2eは、ダイ空間21内に造形されたダイ本体51aが凍結水の体積膨張に伴う周壁板2aの変形を抑える筋交いとして機能するものである。各補強バー2eは、互いに間隔を隔てて配設されており、見る角度によっては互いに平行、交差、又は、ねじれの位置にある。また、補強バー2eは、ダイ空間21の形状に合わせてダイ枠2の剛性不足となる箇所を補強するため適宜配設しても良い。
また、ダイ枠2の周壁板2aの上端部(図1上側)には、このダイ枠2に対して閉塞板5をボルト及びナットを用いて締結するための台座となるブラケット2fが複数固着されている。これらのブラケット2fは、ダイ枠2をプレス装置に取付固定する場合にも兼用されるものであり、その平坦面にボルト挿通用の通孔が1個ずつ穿設されている。
パンチ枠3の周壁板3aは、パンチ空間31の周囲を筒状に囲繞しており、その断面形状がブランクホルダ4の嵌入孔41と相似形でかつ当該嵌入孔41内へ嵌入可能な形状に形成されている。また、パンチ枠3の周壁板3aの下端部(図1下側)には、このパンチ枠3をプレス装置に取付固定するための2本のビーム3bがそれぞれ固着されており、各ビーム3bの長手方向両端部にはボルト挿通用の通孔が片側2個ずつ穿設されている。
また、パンチ空間31には、ダイ空間21と同様に、棒状の中空パイプ製の複数本の補強バー3cが周壁板3aの内周面における対向面間に架設されており、各補強バー3cの軸方向両端部はいずれも周壁板3aに溶接固定されている。
複数の補強バー3cは、パンチ空間31内に造形されたパンチ本体52aが凍結水の体積膨張に伴う周壁板3aの変形を抑える筋交いとして機能するものである。各補強バー3cは、互いに間隔を隔てて配設されており、見る角度によっては互いに平行、交差、又は、ねじれの位置にある。また、補強バー3cは、パンチ空間31の形状に合わせてパンチ枠3の剛性不足となる箇所を補強するため適宜配設しても良い。
ブランクホルダ4は、上記した嵌入孔41が垂直方向に貫通形成された枠体であり、この嵌入孔41が穿設された天板4a及び地板4bを備えている。この天板4aと地板4bとの対向面間には複数枚のステー4cが介在されており、天板4a及び地板4b間に所定の間隔が確保されてブランクホルダ4に一定の厚みが付与されている。また、複数枚のステー4cは、嵌入孔41の周方向に間隔を隔てて天板4a及び地板4b間に立設されており、各ステー4cは天板4a及び地板4bにそれぞれ溶接固定されている。
また、このブランクホルダ4の天板4aは、プレス型セット50を製造する場合に、上記したダイ枠2のフランジ板2bとともにマスター部品Mのフランジ部分Mbを挟持する部位として機能するものである。また、このブランクホルダ4の天板4aの外周面にも、上記したダイ枠2のフランジ板2bの凹欠部2cに対応した箇所に複数の凹欠部4dが設けられている。この複数の凹欠部4dも、ダイ枠2のフランジ板2bとブランクホルダ4の天板4aとをボルト及びナットで締結するための凹みである。
さらに、このブランクホルダ4の地板4bには、パンチ枠3のビーム3bにあるボルト挿通用の通孔に対応する箇所に通孔が穿設されている。プレス型セット50を製造する場合、このブランクホルダ4の地板4bの各通孔とそれと対向するパンチ枠3のビーム3bの通孔とにボルトをそれそれ挿通し、この各ボルトにナットを螺合させることによって、ブランクホルダ4及びパンチ枠3同士が強固に締結固定される。
閉塞板5は、ダイ枠2のダイ空間21の貫通方向片側(図1上側)の開口を閉塞するための蓋体であり、ダイ枠2の各ブラケット2fの通孔に対応する箇所に複数の通孔が穿設されている。プレス型セット50を製造する場合、この閉塞板5の各通孔とそれに連通するダイ枠2の各ブラケット2fの通孔とにボルトをそれぞれ挿通し、この各ボルトにナットを螺合させることによって、閉塞板5及びダイ枠2同士が強固に締結固定される。
この閉塞板5によれば、プレス型セット50の製造過程において、ダイ枠2のダイ空間21内にプレス型造形砂Sn及び玉石St1,St2を充填補助材として充填した後、ダイ枠2のダイ空間21におけるマスター部品Mの反配設側(図9上側)の開口部が閉塞されるので、この後、パンチ枠3のパンチ空間31内にプレス型造形砂Sn及び玉石St1,St2を充填するためにダイ枠2及びパンチ枠3を上下反転させる場合(図10参照。)に、ダイ枠2のダイ空間21内から充填済みのプレス型造形砂Sn及び玉石St1,St2が抜け落ちることが防止される。
次に、図2から図13を参照して、上記したプレス型造形砂Sn、玉石St1,St2、水、及び、型枠セット1を用いたプレス型セット50の製造方法について説明する。
図2は、プレス型セット50を製造するために用いられるプレス型製造具10の説明図であり、特に、図2(a)は、マスター部品Mをダイ枠2及びパンチ枠3間に設置した状態を示した断面図であり、図2(b)は、ダイ枠2及びパンチ枠3の連結状態を示した外観斜視図である。プレス型製造具10は、プレス型セット50の製造方法(以下、単に「プレス型製造方法」という。)の実施に使用される器具であり、上記したプレス型セット50の型枠セット1とマスター部品Mとを用いて、以下のようにして組み立てられる。
このプレス型製造具10の組み立てでは、まず、図2(a)に示すように、型枠セット1を分解し、ブランクホルダ4の嵌入孔41内にパンチ枠3の周壁板3aを嵌入し、この状態で、ブランクホルダ4の天板4a上面(図2(a)上側)とパンチ枠3の周壁板3aの上端面(図2(a)上側)とが面一となるように、ボルト及びナットを介してブランクホルダ4の地板4bとパンチ枠3のビーム3bとが締結固定される(図2(b)参照。)。
このとき、パンチ枠3の周壁板3a上端面がブランクホルダ4の天板4a上面に対して面一となるように調節するため、パンチ枠3のビーム3bとブランクホルダ4の地板4bとの対向面間にはスペーサ6が必要に応じて挿入される(図2(b)参照)。それから、マスター部品Mがブランクホルダ4及びパンチ枠3の上に設置される。
ここで、マスター部品Mは、その製品部分Maの凹面側がパンチ空間31側(図2(a)下側)に向けられた状態で、そのフランジ部分Mbがブランクホルダ4の天板4a上に載置される。そして、このようにマスター部品Mが載置されたブランクホルダ4及びパンチ枠3の上に、ダイ枠2が更に重畳設置される。このとき、ダイ枠2のフランジ板2bはブランクホルダ4の天板4aと対向配置され、かかるフランジ板2b及び天板4a間にマスター部品Mのフランジ部分Mbが挟み込まれる。
すると、マスター部品Mによってダイ空間21とパンチ空間31とが完全に仕切られて隔絶され、この隔絶によって、プレス型製造具10の内部に、ダイ空間21とパンチ空間31との2つの造形空間がまとめて作り出される。
それから、ダイ枠2のフランジ板2bの各凹欠部2cとそれと連通するブランクホルダ4の天板4aの凹欠部4dとに跨げてボルトをそれぞれ挿通し、その各ボルトにナットを螺合させてダイ枠2のフランジ板2bとブランクホルダ4の天板4aとが締結固定されることにより、ダイ枠2のフランジ板2bとパンチ枠3の天板4aとの間にマスター部品Mのフランジ部分Mbが強固に挟持される。
図3から図15は、このようにして組み立てられたプレス型製造具10を用いたプレス型製造方法に関する工程を順番に図示した説明図であり、プレス型製造具10の内部構造を縦断面視したものである。
このプレス型製造方法によれば、まず、図3に示すように、プレス型製造具10のダイ空間21内におけるマスター部品Mの上に、そのマスター部品Mの表面の最も突出した部位から所定厚さ(例えば1〜10mm程度)分、プレス型造形砂Snが敷き詰められる。なお、本実施例では、ダイ空間21内への充填時に用いられるプレス型造形砂Snとして、4号から6号の珪砂を混合した混合珪砂である乾燥砂が用いられる(以下同じ。)。
このあとは、図4に示すように、ダイ空間21内に敷かれたプレス型造形砂Snの上に、小石サイズの玉石St1が充填補助材として敷き詰められる。このとき、小石サイズの玉石(以下「小玉石」ともいう。)St1は、プレス型造形砂Snの層の上面全体を覆い尽くす態様で少なくとも2段(図4参照。)を目安に敷き詰められる。
すると、ダイ空間21内は、プレス型造形砂Snの層の上に、複数個の小玉石St1が概ね20mm程度の厚さで敷き詰められた状態となる。
この小玉石St1の敷き詰め後は、ダイ空間21内へプレス型造形砂Snが流し込まれ、図5に示すように、この小玉石St1の層の上に所定厚さ(例えば1〜10mm程度)分、プレス型造形砂Snが敷き詰められる。また、このプレス型造形砂Snの流し込みによって、小玉石St1の粒同士の間はプレス型造形砂Snで埋められる。
すると、ダイ空間21内は、プレス型造形砂Snの層の上に複数個の小玉石St1が概ね20mm程度の厚さで敷き詰められ、この小玉石St1の層の上に更にプレス型造形砂Snの層が形成されて、複数の小玉石St1が充填補助材としてプレス型造形砂Snの層の中に埋設された状態となる。
そして、このあとは、図5に示した状態のプレス型製造具10に対し、バイブレータ(図示せず。)を用いて振動を加えることで、プレス型造形砂Snの流動性を誘発及び発揮させることで、プレス型造形砂Snの砂粒子同士間や小玉石St1の粒同士間に存在する空隙に、プレス型造形砂Snの砂粒子を密実に充填させる。この結果、プレス型造形砂Sn及び小玉石St1が全体として最密充填状態に近づけられる。
なお、本実施例では、バイブレータとしてコンクリート用の型枠振動機(例えば、コンクリート型枠に取り付けられ、当該コンクリート型枠を経由してコンクリートに振動を伝える振動機である。)が用いられる。
ところで、上記したバイブレータによる振動充填によって小玉石St1がマスター部品Mと接触する位置まで落ち込んでダイ本体51aのワークとの接触面(ダイプレス面51b)に小玉石St1による凹凸ができることもある十分に考えられるが、本実施例のダイ型51は、その完成状態においてダイ本体51aのワークとの接触面が凍結水により滑面化されて、このような凹凸も埋められるのでプレス加工精度が低下するようなことはない。このことは、後述するパンチ本体52aについても同様である。
なお、バイブレータによる振動充填後は、その振動強度、プレス型造形砂Snと小玉石St1との割合、プレス型造形砂Snの砂粒子及び小玉石St1の粒の流動性などの各種の要因により、プレス型造形砂Sn及び小玉石St1が入り乱れることも想定されるため、これらが必ずしも図5に示すように整列しているとは限らないが、便宜上、図5から図13では、プレス型造形砂Sn及び小玉石St1は整列したままの状態を図示している。
そして、上記のごとき振動充填を施した後は、図6に示すように、ダイ空間21内にある振動充填後のプレス型造形砂Sn及び小玉石St1の混合物の上に、中石サイズの玉石St2が充填補助材として敷き詰められる。このとき、この中石サイズの玉石(以下「中玉石」ともいう。)St2は、プレス型造形砂Sn及び小玉石St1の混合物の上面全体を覆い隠す態様で少なくとも3段(図6参照。)を目安に敷き詰められる。
すると、ダイ空間21内は、振動充填後のプレス型造形砂Sn及び小玉石St1の混合物の上に、複数個の中玉石St2が、概ね60〜90mm程度の厚さで敷き詰められた状態となる。なお、この中玉石St2の敷き詰め後、その上から手押しで軽く中玉石St2の積層面を押さえ付けるようにしても良い。
この中玉石St2の敷き詰め後は、ダイ空間21内へプレス型造形砂Snが流し込まれ、図7に示すように、この中玉石St2の上に所定厚さ(例えば1〜10mm程度)分、プレス型造形砂Snが敷き詰められる。また、このプレス型造形砂Snの流し込みによって、中玉石St2の粒同士の間はプレス型造形砂Snが流れ込んで埋められる。
すると、ダイ空間21内は、振動充填後のプレス型造形砂Sn及び小玉石St1の混合物の上に、複数個の中玉石St2が、概ね60〜90mm程度の厚さで敷き詰められ、この中玉石St2の層の上に更にプレス型造形砂Snの層が形成されて、複数の中玉石St2が充填補助材としてプレス型造形砂Snの層の中に埋設された状態となる。
そして、このあとは、図7に示した状態のプレス型製造具10に対し、上記したバイブレータを用いて振動を再び加えることで、プレス型造形砂Snの流動性を再び誘発及び発揮させて、プレス型造形砂Snの粒子同士間、中玉石St2の粒同士間、小玉石St1の粒同士間に存在する空隙に、プレス型造形砂Snの砂粒子を密実に充填させる。この結果、プレス型造形砂Sn、小玉石St1及び中玉石St2が全体として最密充填状態に近づけられる。
なお、このときのバイブレータによる振動充填後についても、上記と同様に、プレス型造形砂Sn、小玉石St1及び中玉石St2が入り乱れることが想定されるため、これらが必ずしも図7に示すように整列しているとは限らないが、便宜上、図7から図13では、プレス型造形砂Sn及び中玉石St2は整列したままの状態を図示している。
上記した中玉石St2及びプレス型造形砂Snを敷き詰めてからの振動充填を施した後は、このプレス型造形砂Sn、小玉石St1及び中玉石St2の混合物が充填されたダイ空間21内へ、このプレス型造形砂Sn、小玉石St1及び中玉石St2の混合物の上面に乱れを生じさせぬように静かに水を注ぎ込み、このダイ空間21内に充填されているプレス型造形砂Sn、小玉石St1及び中玉石St2に水を浸透させる。
そして、当該プレス型造形砂Sn、小玉石St1及び中玉石St2の混合物の全体に水が浸透して、かかる混合物の水の浸透量の許容限度を超えたら、例えば、このプレス型造形砂Sn、小玉石St1及び中玉石St2の混合物の上面に水が溢れてきたり水溜ができるなどして水の不浸透状態となったら、注水を終了する。
なお、注水終了後、この水が浸透したプレス型造形砂Sn、小玉石St1及び中玉石St2の混合物(以下「含水混合物」ともいう。)Smdの上面に溢れ出た水(水溜を含む。)がある場合は、その水をすくい取ったり又は吸い取ったりするなどしてダイ空間21の外へ排水させることが好ましい。
このあとは、図8に示すように、ダイ空間21内の含水混合物Smdの上に、小玉石St1が再び少なくとも1段を目安に充填補助材として敷き詰められた後、そのダイ空間21内へ乾燥砂のプレス型造形砂Snが流し込まれ、このプレス型造形砂Snで小玉石St1の粒同士の間が埋められて、ダイ枠2の周壁板2aの概ね面一までプレス型造形砂Snが敷き詰められる。
そして、この最後に充填された小玉石St1及びプレス型造形砂Snの層に、ダイ空間21内にある水分が時間経過に伴って拡散浸透して含水混合物Smdの一部となって加わると、ダイ空間21内へのプレス型造形砂Sn及び玉石St1,St2並びに水からなる含水混合物Smdの充填が完了する。特に、この含水混合物Smdの生成に際しては、充填補助材となる小玉石St1及び中玉石St2の粒同士間にプレス型造形砂Snが密実に充填されることが必要であり、プレス型造形砂Snの内部に大小の充填補助材が被包埋設される形態となることが好ましい。
なお、このようにして最後に充填される小玉石St1及びプレス型造形砂Snの層については、その厚さが概ね10〜20mm程度であって含水混合物Smd全体に占めるプレス型造形砂Snの量も少ないので、これよりも下側に既充填される含水混合物Smdから水が拡散することで十分な水浸透量が確保されるが、もしも含水量が不足する場合は注水したり又は噴霧することにより水を不浸透状態となるまで浸透させても良い。
このようにして含水混合物Smdのダイ空間21内への充填が完成した後は、図9に示すように、ダイ空間21内の含水混合物Smdの上面全体に、発泡ウレタンシートなどの発泡性のクッションシート材7を敷設して、この含水混合物Smdを覆い、このクッションシート材7の上から更に閉塞板5が被せられる。そして、この閉塞板5の各通孔とそれに連通するダイ枠2の各ブラケット2fの通孔にボルトをそれぞれ挿通し、その各ボルトにナットを螺合することにより、閉塞板5をダイ枠2の各ブラケット2fに強固に締結固定させる。
なお、閉塞板5とダイ枠2の周壁板2aとの間の隙間には粘土などの目張り材を用いてシール(封止)することが好ましい。
この次は、図10に示すように、プレス型製造具10を上下反転し、上記した図3から図8を用いて説明したのと同様の手順で、パンチ空間31内のマスター部品Mの上にプレス型造形砂Snを敷き詰める工程から、順番に各工程を行い、水を注ぎ込んで最後の小玉石St1及びプレス型造形砂Snを敷き詰める工程までの一連の工程を行うことで、図11に示すように、パンチ空間31内へのプレス型造形砂Sn及び玉石St1,St2並びに水からなる含水混合物Smpの充填が完了する。
なお、パンチ空間31内にプレス型造形砂Sn及び玉石St1,St2並びに水からなる含水混合物Smpを生成(充填)する手順については、上記した含水混合物Smdと同様であるので、その詳細な説明ついては省略する。
それから、図12に示すように、このプレス型製造具10を冷凍庫100内へ収容した上で、その冷凍庫100内の温度を−60℃にして、プレス型製造具10を約5〜7時間冷凍し、ダイ空間21及びパンチ空間31内の水分を完全に凍結させる。すると、ダイ空間21及びパンチ空間31内に充填されたプレス型造形砂Sn及び玉石St1,St2並びに水からなる含水混合物Smd,Smpが、その水分が凍結硬化することによりダイ枠2及びパンチ枠3と一体化したダイ本体51a及びパンチ本体52aが形成されて、ダイ型51及びパンチ型52が完成する。
冷凍することによって、ダイ型51及びパンチ型52のダイ枠2及びパンチ枠3内にダイ本体51a及びパンチ本体52aが完成した後は、プレス型製造具10を冷凍庫100内から取り出して、ダイ枠2とブランクホルダ4とを締結固定するボルト及びナットを取り外し、ブランクホルダ4とパンチ枠3とを締結固定するボルト及びナットを取り外し、閉塞板5とダイ枠2とを締結固定するボルト及びナットを取り外して、図13に示すように、ダイ型51と、パンチ型52と、ブランクホルダ4と、閉塞板5と、マスター部品Mとを分離する。
すると、図13に示すように、ダイ型51には、マスター部品M(の製品部の凸面側)と接触していたダイ本体51aの表面にダイプレス面51bが形成されるとともに、パンチ型52には、マスター部品M(の製品部の凹面側)と接触していたパンチ本体52aの表面にパンチプレス面52bが形成される。しかも、この分解時において、上記したダイ空間21及びパンチ空間31内に架設された補強バー2e,3cが、ダイ本体51a及びパンチ本体52aの内部に一体的に埋設されることで、ダイ本体51a及びパンチ本体52aがダイ空間21及びパンチ空間31から抜け落ちることが防止されている。
図14及び図15は、上記したプレス型製造方法により製造されたプレス型セット50と、このプレス型セット50を用いてプレス加工されたプレス製品と、このプレス製品の原型となったマスター部品Mとの実際の図面代用写真であり、特に、図14(a)は、上記製造方法により実際に製造されたダイ型51を、図14(b)は、同じく上記製造方法により実際に製造されたパンチ型52及びブランクホルダ4を、図15(a)は、マスター部品Mを、図15(b)は、図14のプレス型セット50によりプレス加工されたプレス製品を、それぞれ撮影したものである。
プレス型製造具10の分解後は、ダイ型51、パンチ型52及びブランクホルダ4(図14参照。)がプレス機に装着され、ダイ型51のクッション圧を30t/cm、かつ、パンチ型52のクッション圧を300t/cmに設定し、ダイ型51とパンチ型52との間でワークを挟持押圧することによって、ワークがダイ型51及びパンチ型52のダイプレス面51b及びパンチプレス面52bの凹凸に適合した凹凸形状に深絞り成形されてマスター部品M(図15(a)参照。)と同等の形状を有したプレス製品(図15(b)参照。)が製造された。
以上説明したように、本実施例のプレス型セット50によれば、ダイ本体51a及びパンチ本体52aが鉄材等の金属材料に比べて低廉な、プレス型造形砂Sn、玉石St1,St2及び水(凍結水)を用いて製造されるので、従来の金属素材を用いたプレス金型に比べて、プレス型セット50の材料費を大幅に削減でき、その分、プレス型セット50全体としての製造コストも低廉化できる。また、樹脂材料を用いたプレス用型と比べても同様な効果を奏する。
しかも、本実施例のプレス型セット50の型本体51a,52aに用いられる素材であるプレス型造形砂Sn、玉石St1,St2及び水はいずれも合成樹脂材料のような人工材料ではなくて、そもそも天然素材であるので、廃棄する場合にも環境汚染等の原因とならず、自然環境保全の観点からも極めて好ましい。
また、本実施例のプレス型セット50によれば、プレス製品の製造後に不要となれば凍結水を解凍してダイ本体51a及びパンチ本体52aをプレス型造形砂Sn、玉石St1,St2及び水に戻すことができるので、従来の交換用部品供給のために使用されるプレス金型のように長期間保管する必要もなく、少なくともマスター部品Mを1個保管しておきさえすれば、これらを再利用して新たなプレス型セット50を製造することも極めて容易にできる。
特に、バンパその他のボディー関連部品のような大型部品のプレス加工に適用される場合は、プレス型セット50の凍結水を解凍することで簡単にプレス型造形砂Snと玉石St1,St2と水とに解体できるので、従来のプレス金型のような大重量物を長期間保管する必要がなく、かつ、防錆処理等のメンテナンス保管も不要になり、これに関連する経費を大幅に削減できる。
さらに、従来のプレス金型にあってはその製作に要するリードタイムが60〜120日であったのに対し、上記実施例のプレス型セット50については、その製作に要するリードタイムが型枠セット1の製作期間を含めても概ね5〜10日程度と極めて短時間となる。しかも、上記したように型枠セット1の形態も極めて簡素な骨組構造であるため、その材料費を含めて製造コストがプレス金型に比べて低廉である。
このため、たとえ交換用部品の需要が発生する度ごとに型枠セット1を含めて本実施例のプレス型セット50を新規に製造したとしても、それに要するコストは、約15〜20年という長期間、不定期かつ不定量の交換用部品をごく少量供給するためだけにプレス金型を保管管理し続ける場合の従来のコストに比べて、長期的には抑制されることとなる。
しかも、単なる骨組構造である型枠セット1のみであれば、従来のプレス金型自体に比べれば重量も嵩張らずメンテナンスも殆ど不要であるので、長期保管も低コストかつ容易に実施できる。よって、仮に、型枠セット1とマスター部品Mを保管しておくようにすれば、本実施例のプレス型セット50の製造及び管理費用を、従来のプレス金型に比べて大幅に抑制できるものともなる。
しかも、本実施例のプレス型セット50によれば、これによりプレス加工されるプレス製品の仕上がり品質に関し、概ね5〜10個程度のプレス製品をプレス加工する範囲内であれば、図15(b)に示すように、従来のプレス金型を用いたプレス製品と同品質のものが得られるため、自動車のボディー関連部品の交換用部品のように需要量が極少量に限られるもののプレス加工用としてならば十分な耐久性も確保されており、十分に産業上利用できるものである。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施例では、充填補助材として小玉石St1を敷き詰めた後に、さらに中玉石St2を充填補助材として敷き詰め、そこへプレス型造形砂Snを流し込んだ後に振動充填を施して水を注入した。しかしながら、中玉石St2を敷き詰めてプレス型造形砂Snを流し込んで振動充填を施した直後に、必ず注水が必要となるものではない。
例えば、ダイ空間21又はパンチ空間31の深さ(高さ)が大きくて、図6及び図7に図示した段階における中玉石St2及びその後のプレス型造形砂Snの充填の時点で、まだプレス型造形砂及び充填補助材を充填可能な余裕があるならば、更に、充填補助材の敷き詰め、プレス型造形砂の敷き詰め及び振動充填を、ダイ空間21又はパンチ空間31が埋まるまで順番に繰り返しても良い。
また、本実施例におけるダイ空間21及びパンチ空間31へプレス型造形砂Sn及び充填補助材を充填する一連の工程(振動充填の工程を含む。)では、最後に小玉石St1及びプレス型造形砂Snの敷き詰めを行ったが、これを必ずしも最後に行う必要はない。
例えば、充填補助材の敷き詰め、プレス型造形砂の敷き詰め及び振動充填を、ダイ空間21又はパンチ空間31が埋まるまで順番に繰り返し、ダイ空間21又はパンチ空間31が完全に埋まった段階で、最後に注水して水を浸透させて含水混合物Smd,Smpを生成するようにしても良い。
また、本実施例では、小中2種類の石サイズの玉石St1,St2を充填補助材として用いたが、かかる充填補助材の石サイズは必ずしも小石サイズ及び中石サイズの2種類に限定されるものではなく、例えば、小石サイズ又は中石サイズの玉石のいずれか一方のみを用いたり、小石、中石及び大石サイズの玉石を適宜組み合わせて用いるようにしても良い。
また、本実施例では、充填補助材として天然素材である玉石St1,St2を用いて説明したが、かかる充填補助材の粒状物は必ずしも天然素材である必要はなく、例えば、砂粒子よりも大きくかつ水浸透性が低いものであれば、例えば、人工的なセラミック製の粒状物であっても良い。かかる場合、セラミック製でも天然素材由来の粒状物を用いたもの、例えば、粘土の焼結体である陶磁器製の充填補助材であれば、元々は天然素材を焼固めたものであるので、廃棄する場合も樹脂材料より環境負荷を低減でき、かつ、再利用も有効にできることからより好ましい。
また、本実施例で説明したプレス型造形砂Snと充填補助材(玉石St1,St2)との混合物の作り方は、プレス型造形砂と充填補助材との混合物を生成するための手順の一例であり、別の手順でプレス型造形砂と充填補助材とを混合しても良い。
また、本実施例では、プレス型セット50の製造方法において、ダイ枠2のダイ空間21内に含水混合物Smdを生成した後、プレス型製造具10を上下反転し、その後に、パンチ枠3のパンチ空間31内に含水混合物Smpを生成する故、かかる上下反転時にダイ空間21から含水混合物Smdが抜け落ちることを防止するため、閉塞板5をダイ枠2に締結固定した。
しかしながら、プレス型製造具を用いたプレス型の製造手順は必ずしもこれに限定されるものではなく、パンチ空間31内に含水混合物Smpを生成した後、プレス型製造具を上限反転してから、ダイ空間21内に含水混合物Smdを生成するようにしても良い。かかる場合にあっては、閉塞板5は、パンチ枠3のパンチ空間31におけるマスター部品Mの反配設側の開口を閉塞するものとなる。
また、本実施例では、上記した−50℃〜−60℃で冷凍硬化させたプレス型セット50を、気温10℃〜30℃程度の常温環境下で用いた場合、良品質のプレス製品を5枚から10枚程度のプレス加工することができたが、それ以上続けてプレス加工を行うと、ダイ本体51a及びパンチ本体52aの温度上昇に伴う硬度低下によって、プレス製品の品質を良品とすることが困難となることがあった。
そこで、プレス型セット50を常温下で長時間使用してプレス成形を行うような場合には、例えば、ダイ空間21及びパンチ空間31内にプレス型造形砂、充填補助材及び水の含水混合物を生成する過程で、その含水混合物の内部に、冷媒を流通可能な冷却用パイプを予め埋設させておき、プレス型セット50の完成後、その冷却用パイプ内に冷媒を流通させながら、プレス型セット50の温度上昇を抑制してダイ本体51a及びパンチ本体52aの硬度を維持しながらプレス成形を行うようにしても良い。
また、このような場合、ダイ本体51a及びパンチ本体52aの内部に埋設される冷却用パイプとして、上記した中空パイプ製の補強バー2e,3cを兼用するようにしても良い。かかる場合は、例えば、ダイ枠2の周壁板2aに各補強バー2eの内部に連通する接続口を設け、パンチ枠3の周壁板3aに各補強バー3cの内部に連通する接続口を設け、これらの各接続口に冷媒供給用のパイプを接続し、各補強バー2e,3c内に冷媒を流通させると良い。
1 型枠セット
2 ダイ枠(ダイ枠、型枠)
21 ダイ空間(ダイ空間、造形空間)
2a 周壁板(ダイ枠の周壁板、型枠の周壁板)
3 パンチ枠(パンチ枠、型枠)
31 パンチ空間(パンチ空間、造形空間)
3a 周壁板(パンチ枠の周壁板、型枠の周壁板)
2e 補強バー(ダイ枠の補強棒、型枠の補強棒)
3c 補強バー(パンチ枠の補強棒、型枠の補強棒)
4 ブランクホルダ
41 嵌入孔
4a 天板
4b 地板
5 閉塞板
10 プレス型製造具
50 プレス型セット
51 ダイ型(ダイ型、プレス型)
51a ダイ本体(ダイ本体、型本体)
51b ダイプレス面(ダイ本体のプレス面、型本体のプレス面)
52 パンチ型(パンチ型、プレス型)
52a パンチ本体(パンチ本体、型本体)
52b パンチプレス面(パンチ本体のプレス面、型本体のプレス面)
M マスター部品
Ma マスター部品の製品部分
Mb マスター部品のフランジ部分
Sn プレス型造形砂(造形砂)
St1,S2 玉石(充填補助材)
Smd ダイ空間内の含水混合物
Smp パンチ空間内の含水混合物

Claims (5)

  1. 多孔質の砂粒子が多数集まった流動性を有する造形砂と、その造形砂の砂粒子よりも大きな複数の粒状物であり且つ各粒状物が前記砂粒子に比べて水浸透性の低い充填補助材と、水とを一緒に充填可能な造形空間が設けられる型枠と、
    その型枠の造形空間内に前記造形砂が充填され、その造形砂中に前記充填補助材の各粒状物が被包埋設され、この充填補助材及び造形砂の混合物の全体に水を含浸させて、その水を凍結させた凍結水を介して、その混合物中に含まれる造形砂及び充填補助材の各粒子及び各粒状物が相互に連結結合されて形成される型本体と、
    その型本体の表面に設けられ、その型本体を形成する前記造形砂、充填補助材及び凍結水の混合物により形成され、ワークに接触することにより当該ワークをマスター部品の形状に合致するようにプレス成形するプレス面とを備えていることを特徴とするプレス型。
  2. 前記型枠は、前記造形空間の周囲に周設されその造形空間を包囲する周壁板と、
    その周壁板の内周面における対向面間に架設され軸方向両端部がいずれもその周壁板に固定される複数の補強棒とを備えており、
    前記型本体は、その複数の補強棒を前記造形砂、充填補助材及び凍結水の混合物内部に一体的に埋設した状態で前記造形空間内に形成されるものであることを特徴とする請求項1記載のプレス型。
  3. 原型となるマスター部品と、そのマスター部品の形状に適合した型枠であって周壁板内周に貫通形成されたダイ空間及びパンチ空間を造形空間として有するダイ枠及びパンチ枠と、ブランクホルダと、閉塞板とを備えたプレス型製造具を用いてプレス型を製造する方法であって、
    パンチ枠の周壁板をブランクホルダの嵌入孔内に嵌入した状態で当該ブランクホルダ及びパンチ枠を固定し、そのブランクホルダの天板上とダイ枠のフランジ板との間にマスター部品のフランジ部分を挟んだ状態で当該ダイ枠及びブランクホルダを固定し、この固定によりマスター部品のフランジ部分を挟持して、ダイ空間とパンチ空間とをマスター部品により仕切って隔絶させて、プレス型製造具を組み立てる組立工程と、
    その組立工程により得られたプレス型製造具のダイ空間内に、造形砂とその造形砂中に被包埋設される複数の粒状物である充填補助材とを充填し、この造形砂及び充填補助材の混合物に水を含浸させた含水混合物を生成するダイ型充填加水工程と、
    そのダイ型充填加水工程前又は後に、前記組立工程により得られたプレス型製造具のパンチ空間内に、造形砂とその造形砂中に被包埋設される複数の粒状物である充填補助材とを充填し、この造形砂及び充填補助材の混合物に水を含浸させた含水混合物を生成するパンチ型充填加水工程と、
    そのパンチ型充填加水工程が前記ダイ型充填加水工程の前に行われる場合には、そのパンチ型充填加水工程の後であって前記ダイ型充填加水工程の前に、パンチ型のパンチ空間におけるマスター部品の反配設側の開口を閉塞板により閉塞し、又は、前記ダイ型充填加水工程が前記パンチ型充填加水工程の前に行われる場合には、そのダイ型充填加水工程の後であって前記パンチ型充填加水工程の前に、ダイ型のダイ空間におけるマスター部品の反配設側の開口を閉塞板により閉塞する閉塞工程と、
    その閉塞工程の後に行われる前記ダイ型充填工程又はパンチ型充填工程の後、プレス型製造具を冷却し、前記ダイ空間及びパンチ空間内にある含水混合物中の水分を凍結させて、ダイ空間及びパンチ空間内に型本体であるダイ本体及びパンチ本体を生成する型本体冷凍生成工程とを備えていることを特徴とするプレス型の製造方法。
  4. 前記ダイ型充填加水工程、若しくは、パンチ型充填加水工程、又は、これらの双方は、その造形空間内に充填された造形砂及び充填補助材の混合物に水を含浸させる前に、プレス型製造具に対して振動を加える加振工程を備えていることを特徴とする請求項3記載のプレス型の製造方法。
  5. 前記ダイ枠及びパンチ枠が
    多孔質の砂粒子が多数集まった造形砂、及び、その造形砂の砂粒子よりも大きな複数の粒状物であり且つ各粒状物が前記砂粒子に比べて水浸透性の低い充填補助材、並びに、水を用いて、その造形砂中に充填補助材が被包埋設され、この充填補助材及び造形砂の混合物の全体に含浸された水を凍結させた凍結水を介して、その混合物中に含まれる造形砂及び充填補助材の各粒子及び各粒状物が相互に連結結合されて形成される型本体を造形するための造形空間と、
    その前記造形空間の周囲に周設されその造形空間を包囲する周壁板と、
    その周壁板の内周面における対向面間に架設され軸方向両端部はいずれも周壁板に固定され、前記造形空間内に形成される型本体内部に一体的に埋設される複数の補強棒とを備えているプレス型用の型枠であることを特徴とする請求項3又は4記載のプレス型の製造方法。
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