JP4436578B2 - バール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、てこ、釘抜きなどに用いるバールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記バールは、一般的な建築工具であり、例えばコンクリートを特定の型に固めるための仮枠の建込みなどに用いられている。このバール11は、一般的には図4に示すように、把持するための軸部12と、この軸部12の一端から延出する作用部13とを備えている。この作用部13は、先端方向へ厚みを漸減する楔状に形成されており、図示していないが釘等の軸に係合させるためのV字状の切込が先端から形成されている。上記構造のバール11において、軸部12と作用部13との角度は略垂直とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記バール11は、釘抜き以外にテコとしても多用される。例えば、上記仮枠の建込みにおいて、仮枠を構成するパネルの隙間に作用部13を挿入し、軸部12を背側に回転させることで、テコの原理でパネルをずらす作業に用いられる。かかる作業において、上記従来のバール11は作用部13が軸部12の一端から略垂直に延出しているため、各パネルの隙間に作用部13を挿入すると、軸部12がパネルと近接し、その結果、作業がしづらくなる、パネルの隙間への作用部13の挿入が困難になるなどの不都合がある。
【0004】
上記仮枠の建込み以外の作業でも同様であり、一般にバール11をテコとして用いる場合、作用部13を対象物に当接すると、軸部12と対象物とが近接し、上記と同様の不都合がある。
【0005】
かかる不都合を回避するためには、釘抜き用のバール11とともに、テコとして用いるのに好適なバールを別に装備する必要があり、作業者の負担が増大している。
【0006】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、テコとして用いるのに好適なバールの提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた発明は、把持用の軸部と、この軸部の一端から延出する作用部とを備えるバールであって、この作用部の軸部に対する角度が鈍角であることを特徴とするものである。ここで、「作用部の軸部に対する角度」とは、軸部の中心軸に対する作用部の中心線(直線に近似したもの。以下同じ)の角度を意味する。
【0008】
当該バールによれば、作用部と軸部との角度が鈍角とされているため、テコとして用いる場合、対象物に対して軸部を所定の角度及び間隔を保った状態で、作用部を対象物に当接することができる。例えば、仮枠の建込みにおいて、パネルの隙間に作用部を挿入すると、軸部がパネル表面に対して所定の角度で傾斜し、軸部の他端側(後端側)ではパネルとの間隔が比較的大きくなる。そのため、パネルの隙間への作用部の挿入作業が容易になり、さらに作用部挿入後に軸部を回転させる作業も容易になる。
【0009】
また、当該バールを釘抜きとして用いる場合、打設された釘の軸に作用部を係合させると、軸部は打設面に対して背側に所定の角度傾斜した状態となり、この軸部を断面図側へ押圧することで、釘が抜ける。このように、釘抜き作業も容易になる。
【0010】
当該バールにおいて、上記作用部の軸部に対する角度としては120°以上150°以下が好ましい。軸部と作用部との夾角を上記範囲とすることで、テコとして用いる場合の上記良好な作業性を効果的に奏することができる。
【0011】
また、上記軸部と作用部との連結部付近の背側(大交角側)に山状突起部を備え、この山状突起部が作用部に対して垂直な面を有するとよい。ここで、「作用部に対して垂直な面」とは、作用部の中心線に対して垂直な面を意味する。この手段によれば、この山状突起部が支点となり、釘抜き、テコなどとしての機能性及び作業性が良好になる。また、この山状突起部が作用部に対して垂直な面(以下、「作用部に対する垂直面」という)を有することから、この作用部に対する垂直面を金槌等で殴打することで、作用部を目的の個所(例えば、仮枠を構成するパネルの隙間、釘の頭部と打設面との隙間など)に容易かつ確実に挿入することができる。
【0012】
さらに、上記作用部を、薄型かつ幅広の楔状に形成するとよい。ここで、「薄型かつ幅広」とは、従来の一般的なバールの作用部(釘抜き部)と比較して薄くかつ拡幅していることを意味する。この手段によれば、作用部を狭い隙間に挿入することが容易になり、例えば仮枠の建込みにおいてパネルをずらす作業に好適となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係るバールを示す斜視図で、図2は図1のバールを示す側面図で、図3(a)〜(d)は図1のバールの使用方法を示す説明図である。
【0014】
図1のバール1は、軸部2と、作用部3と、山状突起部4とを備えている。
【0015】
この軸部2は、作業者が把持し、力を負荷する棒状体である。この軸部2の断面形状は、特に限定されないが、作用部3の方向制御、把持し易さ等の点から角部が丸められら方形が好ましい。また、軸部2の後端部5は、端側ほど縮径する鋭角円錐状に形成されており、釘締め、穴開け、針金による締結の締め付けなどに用いられる。さらに、軸部2には、貫通穴6が穿設されており、ストラップの取り付け、壁掛け収納等の便に供される。
【0016】
作用部3は、軸部2の先端から延出しており、先端方向へ厚みが漸減する楔状に形成されている。また、この作用部3は、一般的な釘抜きの作用部より薄型かつ幅広に形成されている。さらに、作用部3には、釘抜き用に釘軸に係合させるためのV字状の切込7が先端から軸部2方向に形成されている。
【0017】
当該バール1において、作用部3の軸部2に対する角度Xが鈍角になるよう形成されており、軸部2の中心軸と作用部3の中心線とを含む面に対して作用部3の楔面とが垂直になるよう形成されている。
【0018】
この角度Xの下限としては120°が好ましく、130°が特に好ましい。一方、上記角度Xの上限としては150°が好ましく、140°が特に好ましい。これは、角度Xを上記下限以上とすることで、テコとして用いる場合の良好な作業性を効果的に奏することができるからであり、逆に、角度Xが上記上限を超えると、軸部2を背側に回転させることができる角度範囲及び作用部3の先端部の稼働範囲が小さくなり、釘抜きとして用いる場合の作業性が低下することからである。
【0019】
山状突起部4は、軸部2と作用部3との連結部付近の背側に突設されている。この山状突起部4が支点となり、当該バール1は釘抜き及びテコとして良好に用いられる。また、この山状突起部4は、作用部3に対する垂直面8と、軸部2の中心軸に対する垂直面9とを有している。
【0020】
上記構造のバール1のサイズとしては、特に限定されるものではなく使用用途や素材の強度などを考慮して適宜設計することができる。例えば、仮枠の建込み用のバール1のサイズとしては、軸部2の長さを約250mm、軸部2の断面形状を約15mm×12mm、作用部3の長さを約95mm、作用部3の最大幅を約25mm、作用部3の最大幅部分の厚さを約5mm、山状突起部4の高さを約25mmとされる。
【0021】
当該バール1を構成する材料としては、釘抜き、テコ等として要求される所定の強度を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば炭素工具鋼(SK材)、合金工具鋼(SKS材、SKD材、SKT材)などが用いられる。
【0022】
当該バール1の製造方法としては、特に限定されるものではなく、一般的には熱間型鍛造による一体成形が採用される。
【0023】
次に、当該バール1の使用方法について説明する。まず、当該バール1を釘抜きとして用いる方法を説明する。図3(a)に示すように、山状突起部4の作用部3に対する垂直面8を金槌23等で殴打することで、釘21の頭部21aと打設面22との隙間に当該バール1の作用部3を挿入する。このとき、作用部3が薄くかつ幅広に形成されているため、上記作用部3の挿入が容易である。この状態で、バール1の軸部2は背側に傾斜しているため、軸部2を把持し、背側かつ下方に押す、力を作用させやすい簡単な動作により、容易に釘21を抜くことができる。
【0024】
また、釘締めや、金槌23等で直接釘21を打設するのが困難な個所への釘打ちに用いる方法としては、図3(b)に示すように、釘21の頭部21aにバール1の軸部2の後端部5を垂直に当接し、軸部2に対する垂直面9を金槌23等で殴打することで釘打ち、釘締め等を容易に行うことができる。
【0025】
さらに、テコとして用い、例えば仮枠を構成するパネル24をパネル面に沿ってずらす作業を説明する。まず、図3(c)に示すように、パネル24の隙間にバール1の作用部3を挿入する。バール1の軸部2と作用部3との角度が上述のように鈍角とされていることから、この状態において、パネル24に対してバール1の軸部2が所定の角度で傾斜し、軸部2の先端ほどパネル24との間隔が大きくなっており、その結果、当該バール1の作用部3をパネル24の隙間に挿入する作業及び軸部2を背側に回転させてパネル24をずらす作業が容易になる。さらに、作用部3が薄くかつ幅広に形成されているため、この点からも上記作用部3の挿入及びパネル24のすらし作業の容易性が促進される。
【0026】
一方、パネル24をパネル面と垂直にずらし、隣接する各パネル24を面一に修正する作業としては、図3(d)に示すように、奥側のパネル24aに釘21を浅く打設し、この釘21に手前側のパネル24bの方から当該バール1の作用部3を係合させ、この状態でバール1の軸部2を背側に回転させることで、隣接するパネル24aとパネル24bとを相対的にずらし、面一に修正することができる。かかる作業において、当該バール1の作用部3が軸部2に対して鈍角に延出しているため、釘21への係合が容易であり、ひいては各パネル24を面一に修正する作業性が促進される。
【0027】
なお、本発明のバールは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、軸部2の後端部5には楔状の釘抜き部を形成することも可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のバールによれば、軸部に対して作用部が鈍角に延出しているため、特にテコとして用いる場合の作業性が良好であり、例えば仮枠の建込みに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るバールを示す斜視図である。
【図2】図1のバールを示す側面図である。
【図3】(a)〜(d)は図1のバールの使用方法を示す説明図である。
【図4】従来の一般的なバールを示す側面図である。
【符号の説明】
1・・・バール
2・・・軸部
3・・・作用部
4・・・山状突起部
5・・・後端部
6・・・貫通穴
7・・・切込
8・・・作用部に対する垂直面
9・・・軸部に対する垂直面
21・・・釘
21a・・・頭部
22・・・打設面
23・・・金槌
24・・・パネル
24a・・・パネル
24b・・・パネル

Claims (3)

  1. 把持用の軸部と、この軸部の一端から延出する作用部とを備えるバールであって、
    この作用部の軸部に対する角度が鈍角であり、
    上記軸部と作用部との連結部付近の背側に、山状突起部を備えており、
    この山状突起部が、金槌で殴打可能であり作用部に対して垂直な面と、金槌で殴打可能であり軸部に対して垂直な面とを有することを特徴とするバール。
  2. 上記作用部の軸部に対する角度が120°以上150°以下である請求項1に記載のバール。
  3. 上記作用部が、薄型かつ幅広の楔状に形成されている請求項1又は2に記載のバール。
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