JP5046346B1 - 釘抜き工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】長い釘であっても大きく曲げることなしに簡単に引き抜くことができ、構造が単純で製造コストのかからないうえにコンパクトな釘抜き工具を提供する。
【解決手段】先端部に釘Kが係合可能な切り欠き部11aを設けた作用部11と把持用の柄部12とを支点部13を介して略L字形状に連設するとともに、前記柄部12に、前記釘Kの頭部が挿通可能な挿通孔16と、該挿通孔16の周縁を切り欠いて設けられ前記釘Kが係合可能な切り欠き部15aと、からなる第2作用部15を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、釘抜き作業に使用される工具に関する。
先端に釘が係合可能な切り欠き部が設けられた作用部と把持用の柄部とが略L字形状に連設された釘抜き工具は、既に広く市場に供されている。
このような従来の釘抜き工具は、木材等に打ち込まれた釘を切り欠き部に係合してこれを作用点、屈曲部の外側を支点、柄部を力点とし、第1種梃子の原理で釘を引き抜いている。しかしながら、釘を円弧状に曲げながら引き抜いているために、長い釘の場合は途中で曲がりが大きくなり過ぎて最後まで抜ききることができないという欠点があった。そのため、通常は引き抜き作業の途中で支点となる屈曲部の下に嵩上げ部材を差し込むなどして支点の位置を上げなければならず、事前にそのための用意をしておかなくてはならないという面倒があった。
そこで、この欠点を補うものとして、例えば特許文献1や特許文献2に開示される提案がなされている。
このうち特許文献1の提案は、釘係合部を突設した可動部材を昇降可能に柄に取り付け、ボルト等で適宜位置に固定できるようにしたものであり、特許文献2の提案は、バール本体に軸挿着部と称する筒体を設け、該筒体内を下端部に支台を有する高さ調整軸が上下方向に可動し支点の位置を変更可能としたものである。
これらは、いずれも支点と作用点との距離を引き抜き作業の途中で変更することによって、板材等の嵩上げ部材を事前に準備する手間なしに長い釘を引き抜くことができるようになっている。
実開平5−74779号公報 特開平10−94976号公報
しかしながら、提案されたこれらの釘抜き工具は、いずれも構造が複雑なために製造しにくく、また、嵩張るので保管や持ち運びの際に不便であるという欠点があった。
本発明は、かかる従来釘抜き工具の欠点を鑑みてなされたものであって、その目的は、長い釘でも面倒な準備をすることなく容易に引き抜くことができ、嵩張らず、しかも構造が単純で製造しやすい釘抜き工具を提供することにある。
かかる目的を達成するために本発明の釘抜き工具は、把持用に略長板形状に形成された柄部と、該柄部の長手方向一端部に柄部の幅方向外側に向かって突設され先端部に釘が係合可能な切り欠き部を設けた作用部と、該作用部と前記柄部との間に設けられた支点部と、を有する釘抜き工具において、
前記柄部の厚み方向一面側から他面側に向かって穿設され前記釘の頭部が挿通可能な挿通孔と、該挿通孔の周縁を切り欠いて設けられ前記釘が係合可能な切り欠き部と、からなる第2作用部を形成するとともに、
前記作用部の少なくとも一方の側縁に前記第2作用部用の第2支点部を設けたことを特徴としている。
こうした構成をとることによって本発明にかかる釘抜き工具は、作用点・支点・力点の順に並ぶいわゆる第1種梃子の原理を利用した従来型の釘抜き工具の柄部に第2作用部が形成されていることによって、力点としてだけではなく作用点としても機能可能となり、その際には、支点・作用点・力点の順に並ぶ第2種梃子の原理を利用した釘抜き工具として使うことができる。また、第2作用部は、柄部に設けられているために支点から作用点までの距離を長く設定することができ、長い釘であっても大きく曲がることなく最後まで抜ききることができる。
本発明によれば、長い釘でも面倒な準備をすることなく引き抜くことができ、嵩張らず、しかも構造が単純で製造コストのかからない釘抜き工具を提供することができる。
本発明にかかる釘抜き工具の第1実施形態を示す側面図。 同、斜視図。 同、使用説明図。
以下、本発明にかかる釘抜き工具の実施形態を図に基づき説明するが、これに限定されるものではなく、例えば頭部に釘抜きの付いた金鎚などに適用したものであってもよい。なお、ここでは便宜上、柄部を基準として、作用部が設けられた側を前方、反対側を後方または背側として説明している。
≪第1実施形態≫
図1ないし図3は本発明にかかる釘抜き工具の第1実施形態を示しており、図1は側面図、図2は斜視図、図3(a)、(b)はその使用説明図である。
図において、釘抜き工具10は、全体が炭素工具鋼や合金工具鋼等により一体に形成されており、釘の引き抜き作業をおこなう作用部11と、該作用部11の後部から上方に向かって立設された把持用の柄部12と、で構成され、全体側面視で略L字形状をなしている。
このうち作用部11は、水平方向前方に進むにつれて肉薄となるように楔状に形成されており、その先端縁の幅方向略中央からは奥方向(後方)に向かって幅狭となる平面視略V字形状の切り欠き部11aが設けられている。この切り欠き部11aは釘Kを係合して引き上げるためのものであって、その形状は特には問わず、例えば略U字形状であってもよく、対向する切欠き縁の中程がそれぞれ幅方向外側に膨らむような曲線で形成されたものであってもよく、要は釘をしっかりと係合することができるものであればその形状は特に問わない。
なお、ここでいう「略V字形状の切り欠き」とは、正確には、釘Kの頭部が位置する側の面はやや大きめの略U字形状に、釘Kの先端部側が位置する面は略V字形状に形成されており、略U字形状面から略V字形状面に向かってなだらかに切り欠かれているものであるが、煩雑であるため、これを略V字形状と称している。以下も同様とする。
作用部11のうち、その底部は、前方から下方にかけて支点部13としてスムーズに機能するために側面視で大きく丸められており、さらにその幅方向両下端縁もそれぞれ丸められて第2支点部14としての役割を果すようなっている。
なお、梃子の支点として機能するためには必ずしも丸めておく必要はないが、抜き取り作業の際に一点に力が集中すると釘Kが打ち込まれている木材等の表面が損傷してしまうため、このような処理をして力を分散させることが望ましい。かかる理由によって以降に説明する他の支点部も全て同様の処理をしているが、これに限定されるものではない。
さらに、作用部11のうち、後部は、柄部12が立設する位置よりも後方にわずかに突出し、その後端面は金鎚などで前方に向かって打撃することができるように平坦状に形成されている。
つぎに柄部12は、作用部11の後部から立設し、前後方向を幅広にとった厚板状をしており、その幅方向(前後方向)両端縁部は補強用と美観を兼ねて長手方向に沿って肉厚に形成され、その中央部の長手方向中程には第2作用部15が設けられている。なお、この第2作用部15から第2支点部14からまでの距離は、作用部11から支点部13までの距離よりも長くとられており、梃の原理で柄部12を動かした時に第2作用部15がなす動作曲線は作用部11のそれよりも緩やか円弧を描くようになっている。
この第2作用部15は、詳しくは、釘Kの頭部が挿通可能に穿設された挿通孔16と、この挿通孔16の周縁部から長手方向に沿って下方すなわち作用部12に向かう方向に切り欠かれた略V字形状の切り欠き部15aとからなっている。なお、この切り欠き部15aは作用部11に設けられた切り欠き部11aと同様に釘Kを確実に係合することができるものであればその形状は特に問わない。
また、柄部12の上端部からは、主としてこじ開け作業や小さな釘を抜き取るために使用される副作用部19が延設されており、この副作用部19の先端部にも第1作用部11や第2作用部15と同様に切り欠き部19aが設けられている。
かかる構成をもつ本第1実施形態の釘抜き工具10は、以下のようにして使用する。
まず、第1段階として木材やパネル等に打ち込まれている釘Kの頭部と打ち込み面との間に作用部11の先端部をこじ入れるなどして僅かな隙間を設け、切り欠き部11aを差し込んで釘Kに係合させる。
そして、図3(a)に示すように、支点部13を支点とし、柄部12を後方に向かって円弧状に動かすことによって第1種梃の原理で打ち込まれた釘Kを少し引き上げる。なお、図3については使用説明図であることから、煩雑さを避けるため要部のみに符号を付している。これは以降の実施形態の使用説明図についても同様である。
つぎに第2段階として、釘Kと係合している切り欠き部11aを外し、釘抜き工具10を横倒しにする。そののち、第2作用部15の挿通孔16内に釘Kを頭部から差し込み、切り欠き部15aに係合させる。
最後に、第3段階として図3(b)に示すように、作用部11の下側縁となる第2支点部14を支点として柄部12を持ち上げ、今度は第2種梃子の原理で釘Kを引き上げ、抜ききって作業を終える。
既に述べたように第2支点部14から第2作用部15までの距離は、作用部11から支点部13までの距離に比して長くとられており、第2作用部15における作用点の動作曲線は作用部11における作用点の動作曲線よりも緩やかな円弧となる。したがって、引き抜き作業の途中で作用点を第2作用部15側に変更して引き抜かれた釘Kは、作用部11のみを用いて引き抜かれた場合に比して曲がりが少なく、簡単な修正作業で再利用することもできる。また、曲がりが少ないということはすなわち引き抜き時における力のロスも少ないということでもあり、本発明の大きな利点となっている。
なお本発明の利点としては、さらに、柄部12に付加される第2作用部15は単に穿設するだけで形成することができるために新たな部材を取り付けるなどの面倒がなく、製造が簡単であるうえに嵩張りも生じないといった点も挙げることができる。
10・・・釘抜き工具
11・・・作用部
12・・・柄部
13・・・支点部
14・・・第2支点部
15・・・第2作用部
K・・・・釘

Claims (1)

  1. 把持用に略長板形状に形成された柄部と、該柄部の長手方向一端部に柄部の幅方向外側に向かって突設され先端部に釘が係合可能な切り欠き部を設けた作用部と、該作用部と前記柄部との間に設けられた支点部と、を有する釘抜き工具において、
    前記柄部の厚み方向一面側から他面側に向かって穿設され前記釘の頭部が挿通可能な挿通孔と、該挿通孔の周縁を切り欠いて設けられ前記釘が係合可能な切り欠き部と、からなる第2作用部を形成するとともに、
    前記作用部の少なくとも一方の側縁に前記第2作用部用の第2支点部を設けたことを特徴とする釘抜き工具。
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