JP4436555B2 - 磁気軸受装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気軸受を構成する電磁石に流す電流を制御し、回転体を所定位置に支持する磁気軸受装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の磁気軸受スピンドル装置としては、特公平6−76808号公報に公告されたものがある。図7はこの磁気軸受装置の制御系のブロック図である。
【0003】
図7に示すように、磁気軸受装置は、回転軸104に取り付けられた回転子ヨーク105と、この回転子ヨーク105から微小間隔の距離を置いてケーシング101に取り付けられた電磁石固定子102と、前記回転軸104とケーシング間101の相対変位を測定する変位センサ106と、この変位センサ106からの変位信号をもとに前記回転子ヨーク105と前記電磁石固定子102との間に作用する磁気吸引力を制御する補償回路107および電力増幅器108と、予め定められた回転軸系の伝達関数を設定する伝達関数設定部111と、この伝達関数設定部111で設定する伝達関数を模擬し前記補償回路107または電力増幅器108の出力を入力することにより擬似信号を発生する適応ディジタルフィルタ115と、この適応ディジタルフィルタ115の入力側あるいは出力側に設けられたハイパス回路116と、前記変位信号から前記擬似信号を減算した信号に基づき前記磁気吸引力を制御する補償回路107と、前記変位信号から前記擬似信号を減算した信号を同定誤差検出回路117で検出し、この誤差が小さくなるように前記適応ディジタルフィルタ115を逐次修正するシステム同定回路110とから構成されている。
【0004】
次に、この磁気軸受装置の動作を説明する。伝達関数設定部111中のパルス発生器113で発生したパルスは加算器123に入力され、電力増幅器108を経由して、ケーシング101に固定された電磁石固定子102に巻かれたコイル103に電流を流し、電磁石固定子102から回転軸104に電磁力による外乱を与え、その時の回転軸104の変位を変位センサ106で測定する。そして、ここでパルス発生器113によって発生するパルスはシステム同定用のパルスまたは、ホワイトノイズあるいはチャープ信号であり、回転軸系の伝達関数の測定のためのものである。変位センサ106の出力は伝達関数測定器112に入力され、回転軸系の伝達関数が伝達関数測定器112によって測定され、その測定された伝達関数は適応ディジタルフィルタ115に入力される。適応ディジタルフィルタ115は伝達関数測定器112よりの回転軸系の伝達関数に基づいて、擬似信号を発生する。そして、この擬似信号はハイパス回路116によって、制御周波数、例えば回転周波数以下の低周波部分がカットされ高周波成分のみの擬似信号が加算器121に減算入力される。加算器121では変位センサの出力信号である擬似信号が減算され、この減算された信号は同定誤差検出回路117に入力され、これによって変位信号と擬似信号との誤差が小さくなるように、適応ディジタルフィルタ115が逐次修正される。また、加算器121に入力され、ここで回転軸104の位置目標値から減算され、この減算された信号が補償回路107に入力され、この補償回路107からの出力によって電力増幅器108が動作し、コイル103に電流を流し、電磁石固定子102と回転子ヨーク105との間に生じる電磁吸引力によって回転軸104の位置を制御する。
【0005】
このようにして、変位信号が擬似信号によって減算された後の信号は回転軸104の制御に必要な制御周波数以下の成分を主に持ち、この信号をもとに磁気軸受を制御することにより、高周波成分の回転軸の曲げ固有モードの成分が除去されることにより、不必要な制御を行わないようになり、結果的に回転軸104の振動、発振の問題を除去した制御を行えることになる。なお、図7中のS−1は変位センサ106で検出した変位信号のスペクトルを示し、S−2は擬似信号のスペクトルを示している。S−1の高周波領域のピークは、回転軸104の曲げ固有モードによる極を示す。S−2の制御周波数より大きい回転軸の曲げ固有モードの極が適応ディジタルフィルタ115の模擬により形成され、且つハイパス回路116で低周波成分が除去されていることが示されている。S−3は変位信号から疑似信号を減算した後のスペクトルで、制御周波数より小さい周波数では回転軸104の制御に本来必要な変位信号のままであり、制御周波数以上では従来問題となっていた曲げ固有モードのピークがなくなるか、逆に窪んだスペクトルとなる。
【0006】
上記構成の磁気軸受装置は、回転軸104の曲げ固有モードによる振動、発振の原因となった、制御周波数以上の高周波成分のスペクトル上のピークが除去されることから、回転軸104の制御を安定に行うことのできる磁気軸受装置を実現する構成となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
回転軸104としての主軸の一端に可変重量部、例えば工作機械における工具が装着される場合、可変重量部が変更されると可変重量部の変化により、主軸と可変重量部を合わせた回転体全体の重量、重心位置、固有振動数が変化する。回転体の固有振動数は、主軸のもつ固有振動数と可変重量部のもつ固有振動数が融合した固有振動数となる。磁気軸受の制御特性は回転体がある一定の状態で最適になるように設定されているため、可変重量部が変化し回転体の重量、重心位置、固有振動数が変化すると、回転時における回転体の振れ回りの増大や、回転体の発振現象といった制御の不安定現象が発生する。
【0008】
この制御の不安定現象は、回転体の重量、重心位置の変化により、制御対象である磁気軸受スピンドル装置と制御回路に設定されている制御ゲインとのマッチングにずれが生じることや、回転体の固有振動数の変化により、例えば固有振動数成分を減衰させるための1手段であるノッチフィルタの設定周波数と固有振動数とにずれが生じるために発生する。
【0009】
このような不安定現象に対して、上記従来例では伝達関数を測定し、その伝達関数測定器の出力の回転軸系の伝達関数に基づいて適応ディジタルフィルタ115より擬似信号を発生し、制御周波数以上の信号を変位センサ信号から減算することにより安定化を図っている。しかし、固有振動数の変化に対する安定化を図っているのみで、可変重量部の重量が変化した場合に生じる、制御ゲインと制御対象とのマッチングのずれによる不安定化という問題点が解消されない。
【0010】
そこで、可変重量部の変化に伴う回転体の重量、重心位置、固有振動数の変化に応じて、制御特性および固有振動数成分減衰部の特性を自動的に変更して最適な制御を行うことのできる実用性の高い磁気軸受制御装置を提供することが望まれる。
【0011】
このような不安定現象に対して、本出願人が先に出願した特願2000−110523号に記載した磁気軸受装置の技術がある。
図5は本発明の技術および前記特願2000−110523号に示される磁気軸受装置を共通して適用可能な磁気軸受スピンドル装置の構成であり、図8は前記特願2000−110523号に記載した磁気軸受装置の制御系の構成を示すブロック図である。図5において67は主軸50(本体)の一端に工具を装着した回転体、51はモータロータ、52はモータステータである。53と54はフロント側ラジアル軸受、55と56はリア側ラジアル軸受、57と58はスラスト軸受である。これら軸受53〜58は、それぞれ回転側のロータと固定側のステータとから構成され、回転体67を所定位置に非接触状態で支持している。固定側の軸受54,56,58は電磁石からなり、ラジアル軸受54、56は回転体67の周囲に、例えば90゜の中心角で左右に4個ずつ配置されている。またスラスト軸受は回転体50を取り巻くリング状配置とされている。
【0012】
59,60はフロント側とリア側のラジアル変位センサ、61はスラスト変位センサ、62,63は保護ベアリング、64はケーシングである。回転体50の軸心からの変位はセンサ59,60により、スラスト方向の変位はセンサ61により検出される。センサ59,60,61としては、よく知られた、渦電流形センサ、静電容量形センサ、光センサなどが用いられる。
【0013】
上記固定側のラジアル軸受54,56およびスラスト軸受58の電磁石への駆動電流を、図8に示す磁気軸受制御回路23により制御することにより、磁気軸受制御装置29が磁気軸受スピンドル装置7の空間的位置を制御することができる。
【0014】
前記特願2000−110523号における磁気軸受制御装置29の構成は、端部に可変重量部を有する軸上の回転体67を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石(ラジアル軸受54,56およびスラスト軸受58)と、前記回転体67の位置を検出するセンサ59,60,61(図8においてはセンサ回路1として図示している)と、このセンサ59,60,61のセンサ信号により前記電磁石(ラジアル軸受54,56およびスラスト軸受58)に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置において、前記センサ回路1から第1A/D変換器2を介して出力されたセンサ信号から前記回転体67の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部3と、この固有振動数成分減衰部3の出力信号を入力し、前記電磁石54,56,58の駆動電流を制御するための制御信号を出力するコントロール部21と、電磁石の駆動電流を入力し、前記可変重量部の重量を測定する可変重量部重量演算部(図8においては工具重量演算部と記載する)18と、この可変重量部重量演算部18の出力信号により、回転体67の重心位置を演算する重心位置演算部19と、可変重量部重量演算部18の出力信号により、回転体67の固有振動数を演算する固有振動数演算部22と、重心位置演算部19、固有振動数演算部22および可変重量部重量演算部18の出力により、前記固有振動数成分減衰部3とコントロール部21に必要な制御パラメータをそれぞれ演算する制御パラメータ演算部20と、この制御パラメータ演算部20の出力に基づいて、コントロール部21と固有振動数成分減衰部3の各制御パラメータを、前記可変重量部65の変更信号に対応した値に設定する制御パラメータ設定手段とを有することを特徴とするものである。
【0015】
この磁気軸受制御装置29では、回転体67の固有振動数の変化に対して、固有振動数演算部22が、電磁石の駆動電流から可変重量部重量演算部18によって求めた回転体の重量mより、回転体の重量mを変数とした関数f(m)によって回転体67の固有振動数を演算して制御パラメータ演算部20へ出力し、制御パラメータ演算部20の演算結果を用いて固有振動数成分減衰部3のパラメータの変更を行い、回転体67の固有振動数の変化に対応していた。回転体67の固有振動数は、例えば、回転体67の構造の変わる点で主軸を輪切りにして1つ1つのSECTとし、それぞれのSECTについて断面積、断面2次モーメント、ヤング率、ポアソン比、密度を与え、ビーム要素に近似して演算する方法などがあり、回転体67のモデル化の条件によりその重量mの関数とすることができる。
【0016】
しかし、この磁気軸受制御装置29を備えた磁気軸受スピンドル装置を工作機械のスピンドルとして適用した場合には、工具交換において、工具径や工具の長さ等により回転体67の固有振動数が微妙に変化した場合、上記のような演算によって求めた固有振動数と実際の固有振動数とに誤差が発生する。つまり、単に固有振動数演算部22の演算結果を用いて固有振動数成分減衰部3のパラメータを変更するので、固有振動数の演算結果に誤差が発生する場合には、依然として固有振動数成分減衰部3であるノッチフィルタの設定周波数と実際の固有振動数とにずれが生じ、固有振動数の変化による不安定現象という問題が解決されない場合がある。
【0017】
本発明は上記問題を解決するもので、工具交換に伴う回転体の固有振動数が微妙に変化した場合でも、制御特性および固有振動数成分減衰部の特性を自動的に変更して最適な制御を行うことのできる実用性の高い磁気軸受装置を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために請求項1記載の発明は、可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、回転体に外乱を与える外乱発生手段と、入力された外乱に対する回転体の位置情報より、回転体の固有振動数を測定して前記固有振動数減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力して、回転体の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部との信号より、前記位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、前記位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の発明は、可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて前記回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、位相補償部の出力を入力し、前記電磁石に駆動電流を供給するパワー増幅回路と、前記回転体に外乱を与えるために、固有振動数成分減衰部の出力と共に位相補償部に入力する外乱発生手段と、前記センサ信号を微分処理した信号より固有振動数を演算する固有振動数演算部と、前記固有振動数演算部の出力信号より固有振動数成分減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力し、前記可変重量部の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部の出力より、位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の発明は、可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて前記回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、位相補償部の出力を入力し、前記電磁石に駆動電流を供給するパワー増幅回路と、前記回転体に外乱を与えるために、固有振動数成分減衰部の出力と共に位相補償部に入力する外乱発生手段と、前記センサ信号より固有振動数を演算する固有振動数演算部と、前記固有振動数演算部の出力信号より固有振動数成分減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力し、前記可変重量部の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部の出力より、位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の発明は、可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて前記回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、位相補償部の出力を入力し、前記電磁石に駆動電流を供給するパワー増幅回路と、前記回転体に外乱を与えるために、位相補償部の出力と共にパワー増幅回路に入力する外乱発生手段と、前記センサ信号を微分処理した信号より固有振動数を演算する固有振動数演算部と、前記固有振動数演算部の出力信号より固有振動数成分減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力し、前記可変重量部の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部の出力より、位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の発明は、可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて前記回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、位相補償部の出力を入力し、前記電磁石に駆動電流を供給するパワー増幅回路と、前記回転体に外乱を与えるために、位相補償部の出力と共にパワー増幅回路に入力する外乱発生手段と、前記センサ信号より固有振動数を演算する固有振動数演算部と、前記固有振動数演算部の出力信号より固有振動数成分減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力し、前記可変重量部の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部の出力より、位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項2〜5の何れかに記載の磁気軸受装置において、固有振動数演算部により求めた曲げ1次の固有振動数以下の所定の割合に回転体の最高回転数を制限するように構成したことを特徴とする。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の磁気軸受装置において、回転体が水平に配置され、この回転体がラジアル磁気軸受とスラスト磁気軸受とにより非接触状態に支持され、可変重量部重量演算部が前記ラジアル磁気軸受の駆動電流を測定することにより可変重量部の重量を算出することを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項8記載の磁気軸受スピンドル装置は、可変重量部が回転体の本体端部に装着される工具であり、この回転体が請求項7に記載の磁気軸受装置により支持されるものであることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、外乱発生手段の出力を位相補償部(もしくはパワー増幅回路)に入力することにより回転体に外乱を与え、そのときのセンサ信号の値から固有振動数演算部により固有振動数を演算し、演算した固有振動数に対応した固有振動数成分減衰部のパラメータを自動的に変更することにより、固有振動数が変化した場合でも、安定した制御特性を得ることができる。また、可変重量部重量演算部で、回転体の重量を演算するとともに、重心位置演算部で重心位置を演算し、演算した重量、重心位置に基づいた制御パラメータを演算し、位相補償部の制御パラメータを自動的に変更することにより、回転体の重量、重心位置が変化した場合でも安定した制御特性を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。この磁気軸受装置により支持される磁気軸受スピンドル装置は、図5に示すように、本体の端部に可変重量部(工具)65を装着して水平に配置された回転体67と、その回転体67を所定の位置に非接触支持する磁気軸受とを備えたものである。
【0028】
図1に示すように、磁気軸受スピンドル装置7を制御する磁気軸受制御装置24は、回転体67の位置を検出するセンサ回路1と、センサ回路1からのセンサ信号により磁気軸受の駆動電流を制御する磁気軸受制御回路(ディジタル演算処理部)14とを備えている。
【0029】
上記磁気軸受制御回路としてのディジタル演算処理部14で行われる演算はディジタル演算により行われるため、MPU(Micro Processing Unit)にソフトウェアプログラムとして格納されている。
【0030】
この磁気軸受制御装置24の制御動作を図1を参照して詳しく説明する。まず、制御対象となる磁気軸受スピンドル装置7のうち、制御の主体である回転体67の位置を検出するセンサ回路1の出力を第1A/D変換器2によりディジタル信号に変換し、固有振動数成分減衰部3に出力する。第1A/D変換器2の出力信号は、固有振動数成分減衰部3により回転体の曲げの固有振動数成分を減衰させ、固有振動数成分減衰部3の出力は第1加算部8に入力されて位置指令データから減算処理される。第1加算部8の出力は位相補償部4に入力される。
【0031】
固有振動数成分減衰部3は複数個のディジタルノッチフィルタで構成され、ディジタルノッチフィルタの設定周波数は回転体67の固有振動数に設定されている。回転体67の固有振動数は主軸50の曲げの固有振動数と可変重量部65の固有振動数とが融合された周波数である。位相補償部4は、第1加算部8の出力を入力し、磁気軸受を構成する電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する。位相補償部4は、第1加算部8の出力信号を比例,微分,積分演算し、それぞれの演算結果に状態フィードバック係数をかけてD/A変換器5に出力し、D/A変換器5でアナログ信号に変換される。D/A変換器5の出力はパワー増幅回路6に入力され、パワー増幅回路6は磁気軸受スピンドル装置7内の電磁石(ラジアル軸受54,56およびスラスト軸受58)に駆動電流を供給する。
【0032】
次に、固有振動数の測定動作について説明する。外乱発生手段30のうちのパルス発生器13で発生したパルスは、第1加算器8に位置指令値、固有振動数成分減衰器3の出力と共に入力され、位相補償器4、D/A変換器5、パワー増幅回路6を経由して磁気軸受スピンドル装置7内の電磁石から回転体67に電磁力によって外乱が与えられる。磁気軸受において、外力に対する変位の周波数特性は、制御周波数以上の領域(慣性領域)では40dB/decとなるため、パルス発生器13からのパルス信号は位相補償部4の微分処理を経由させることにより制御周波数以上の領域に確実に外乱を与えることができる。ここで、パルス発生器13によって発生されるパルスは、チャープ信号、Swept Sine、パルス信号、ホワイトノイズである。そして、パルス発生器13での外乱入力時に、センサ回路1の出力を第1微分器9に入力して微分処理し、第1微分器9の出力を第2A/D変換器10によりディジタル信号に変換する。第1微分器9は、第1A/D変換器2の出力をディジタル演算による微分器により構成してもよい。そして、第2A/D変換器10の出力を固有振動数演算部11に入力して固有振動数を演算する。
【0033】
固有振動数演算部11は、例えば高速フーリエ変換(FFT)により回転体67の固有振動数を演算する。求められた固有振動数は共振倍率の大きいものから決められた個数を固有振動数成分減衰部3における設定周波数とし、固有振動数成分減衰部パラメータ設定部12に出力する。
【0034】
固有振動数成分減衰部パラメータ設定部12では、固有振動数演算部11からの出力である固有振動数に対応した固有振動数成分減衰部3のパラメータの設定を行う。具体的には、複数のディジタルノッチフィルタのパラメータを固有振動数ごとに設定する。設定の方法は、パラメータを再計算して求める方法と、予め設定周波数に対するパラメータのテーブルを用意し、固有振動数に対応したパラメータをテーブルより取得する方法とがある。固有振動数成分減衰部パラメータ設定部12の出力により固有振動数成分減衰部3のパラメータが変更されると、回転体67の特性に応じたノッチフィルタが設定されて安定した制御特性を得ることができる。図6に可変重量部65をAからBに変更した場合のノッチフィルタの特性を示す。
【0035】
次に、回転体67の端部に設けられている可変重量部65(図5参照)の重量を測定する動作について説明する。本実施の形態の磁気軸受スピンドル装置7では、主軸50が水平に配置されているので、固定側のラジアル軸受54,56の駆動電流を第3A/D変換器17によりディジタル信号に変換して可変重量演算部18に入力する。可変重量演算部18では電磁石の磁気吸引力Fと電磁石駆動電流Iとの関係F=K・(I/Z)2を用いて可変重量部65の重量を演算し、可変重量情報を出力する。ここで、Kは電磁石によって決まる定数で、予めわかっている。また、Zは回転体67と電磁石とのギャップであり、回転体67を一定の位置に支持している状態では一定であり、予めわかっている。
【0036】
上記のような横置きタイプの磁気軸受スピンドル装置7では、2組のラジアル軸受54,56の鉛直方向に対をなすX軸方向の電磁石の磁気吸引力の差によって回転体67の重量が支持され、上側の電磁石による上向きの磁気吸引力と下側に電磁石による下向きの磁気吸引力との差が回転体67の重量となる。従って、電磁石の駆動電流の変化を測定することにより、回転体67の重量の変化を演算することができる。主軸50の一端に可変重量部65を装着しない場合の電磁石の駆動電流は予めわかっているので、回転体67がある基準の状態、例えば可変重量部65が装着されていない状態の電磁石の駆動電流がわかっていれば、回転体67全体の重量の変化が、可変重量部重量演算部18により演算できる。また、可変重量部65を装着しない主軸50のみの場合の重量との差をとって可変重量部65の重量を演算してもよい。可変重量部重量演算部18の出力は、重心位置演算部19に入力される。
【0037】
重心位置演算部19は、回転体67の重量mを変数とした関数f(m)により回転体67の重心位置を演算し出力する。その重心位置は、例えば、回転体67の構造の変わる点で主軸50を輪切りにして1つ1つのSECTとし、それぞれのSECTのモーメントをつなぎ合わせることにより重心位置を演算する。
【0038】
制御パラメータ演算部20は、可変重量部重量演算部18、重心位置演算部19の各出力を入力する。回転体67の重量および重心位置の変化は磁気軸受のモデルが変化することであるので、制御パラメータ演算部20では変化したモデルに対応した制御パラメータを演算して出力する。制御パラメータの演算方法は、例えば、磁気軸受のモデルに対して最適レギュレータの手法を用い、評価関数Jの値を最小にする最適な制御入力を演算し、状態フィードバック係数を求める方法などがある。制御パラメータ演算部20からの状態フィードバック係数は位相補償部4に出力される。
【0039】
この構成において、可変重量部65が変更され、磁気軸受制御装置24に可変重量部変更信号が入力されると、外乱発生手段30、固有振動数演算部11、固有振動数成分減衰部パラメータ設定部12、可変重量部重量演算部18、重心位置演算部19、制御パラメータ演算部20でそれぞれ演算が行われ、位相補償部4では、変更された可変重量部65に対応した状態フィードバック係数が、固有振動数成分減衰部3では可変重量部65に対応したディジタルノッチフィルタの各パラメータがそれぞれ自動的に変更され、常に最適な制御が行われる。可変重量変更信号は、例えば工作機械の場合、加工機に搭載されている数値制御装置であるNC装置より入力される。
【0040】
これにより、可変重量部の重量変更例えば、工具の種類の変更に伴って回転体67の固有振動数が微妙に変化した場合でも、回転体67の固有振動数の変化に対して固有振動数成分減衰部3の特性(パラメータ)を自動的に変更させる。これにより、回転体67の固有振動数と固有振動数減衰部3の設定周波数とを常に一致させて、安定な特性を得ることができ、回転体67の発振現象の発生を防止することができる。そして、回転体の重量、重心位置の変化に応じて、制御特性が自動的に変更されるため、可変重量部65の重量変更に応じて最適に制御を行うことができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態を図2に示し、この第2の実施の形態の磁気軸受制御装置25では、第1A/D変換器2の出力を固有振動数演算部11に入力して固有振動数を演算するようにしている。なお、それ以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0042】
すなわち、第1の実施の形態では、センサ回路1の出力である変位信号を第1微分器9に入力し、速度信号に変換してから固有振動数演算部11で固有振動数を演算していたが、第2の実施の形態の磁気軸受制御装置25では変位信号を固有振動数演算部11に入力して固有振動数を演算しており、この第2の実施の形態でも第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0043】
第3の実施の形態を図3に示す。この第3の実施の形態の磁気軸受制御装置26では、第2微分器15によりパルス発生器13の出力を微分した信号を位相補償部4の出力に加算して回転体65へ外乱を与えるようにしている。なお、それ以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0044】
このように、パルス発生器13の出力を第2微分器15で微分処理し、第2微分器15の出力を加算器16に入力することにより、パワー増幅回路6を経由して磁気軸受スピンドル装置7内の電磁石から回転体67に電磁力によって外乱が与えられる。したがって、第1の実施の形態と同様に固有振動数を演算することにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
このように、各実施の形態の磁気軸受制御装置24〜26の構成に示すように、入力しやすいポイントに外乱発生手段30の出力を入力すればよい。ただし、第3の実施の形態では、高周波領域を確実に加振するために、パルス発生器13の出力を微分した信号を入力する必要がある。
【0046】
第4の実施の形態を図4に示す。この第4の実施の形態の磁気軸受制御装置27では、第1A/D変換器2の出力を固有振動数演算部11に入力して固有振動数を演算するように構成しており、それ以外の構成は第3の実施の形態と同様である。
【0047】
すなわち、第1の実施の形態では、センサ回路1の出力である変位信号を第1微分器9に入力し、速度信号に変換してから固有振動数演算部11で固有振動数を演算していたが、この第4の実施形態では変位信号を固有振動数演算部11に入力して固有振動数を演算しており、この第4の実施の形態でも第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0048】
なお、上記実施の形態などを種々の態様に適用することができる。例えば、固有振動数演算部11内の演算結果のうち、回転体67の曲げ1次の固有振動数の例えば70%の周波数を演算し、図1〜図4に示すように、工作機械の加工制御手段としてのNC装置28にモータ最高回転数信号として出力するようにしてもよい。この場合に、モータ最高回転数は曲げ1次の固有振動数の60%〜80%に設定するのが望ましい。このような処理により、主軸50の回転数が曲げ1次の固有振動数(危険速度)に近づくことを防止でき、安定な回転を保つことができる。なお、モータ最高回転数信号の出力対象はNC装置28に限るものではないことは勿論である。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、可変重量部の重量変更、例えば、工具の種類の変更に伴う回転体の固有振動数の変化に対して固有振動数成分減衰部の特性を自動的に変更することができ、これにより、回転体の固有振動数と固有振動数成分減衰部の設定周波数とを常に一致させて、安定な特性を得ることができ、回転体の発振現象の発生を防止することができる。また、これに伴い、回転体の重量、重心位置の変化に応じて制御特性を自動的に変更し、可変重量部の重量変更に応じて最適に制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気軸受装置における制御系の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る磁気軸受装置における制御系の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る磁気軸受装置における制御系の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る磁気軸受装置における制御系の構成を示すブロック図。
【図5】本発明の磁気軸受装置を用いた磁気軸受スピンドル装置の構成を示す断面図。
【図6】本発明の実施形態に係る磁気軸受装置における固有振動数成分減衰部の一例を示すゲイン線図。
【図7】従来の磁気軸受装置の制御系を示すブロック図。
【図8】従来の磁気軸受制御装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1 センサ回路
3 固有振動数成分減衰部
4 位相補償部
6 パワー増幅回路
7 磁気軸受スピンドル装置
9 第1微分器
11 固有振動数演算部
12 固有振動数成分減衰部パラメータ設定部
13 パルス発生器
15 第2微分器
18 可変重量部重量演算部
19 重心位置演算部
20 制御パラメータ演算部
24〜27 磁気軸受制御装置
50 主軸(回転体本体)
53、55,57 回転側の磁気軸受
54、56、58 固定側の磁気軸受(電磁石)
65 可変重量部(工具)
67 回転体
Claims (8)
- 可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、回転体に外乱を与える外乱発生手段と、入力された外乱に対する回転体の位置情報より、回転体の固有振動数を測定して前記固有振動数減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力して、回転体の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部との信号より、前記位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、前記位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする磁気軸受装置。
- 可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて前記回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、位相補償部の出力を入力し、前記電磁石に駆動電流を供給するパワー増幅回路と、前記回転体に外乱を与えるために、固有振動数成分減衰部の出力と共に位相補償部に入力する外乱発生手段と、前記センサ信号を微分処理した信号より固有振動数を演算する固有振動数演算部と、前記固有振動数演算部の出力信号より固有振動数成分減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力し、前記可変重量部の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部の出力より、位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする磁気軸受装置。
- 可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて前記回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、位相補償部の出力を入力し、前記電磁石に駆動電流を供給するパワー増幅回路と、前記回転体に外乱を与えるために、固有振動数成分減衰部の出力と共に位相補償部に入力する外乱発生手段と、前記センサ信号より固有振動数を演算する固有振動数演算部と、前記固有振動数演算部の出力信号より固有振動数成分減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力し、前記可変重量部の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部の出力より、位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする磁気軸受装置。
- 可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて前記回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、位相補償部の出力を入力し、前記電磁石に駆動電流を供給するパワー増幅回路と、前記回転体に外乱を与えるために、位相補償部の出力と共にパワー増幅回路に入力する外乱発生手段と、前記センサ信号を微分処理した信号より固有振動数を演算する固有振動数演算部と、前記固有振動数演算部の出力信号より固有振動数成分減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力し、前記可変重量部の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部の出力より、位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする磁気軸受装置。
- 可変重量部を有する軸状の回転体を所定の位置に非接触状態で支持する電磁石と、前記回転体の位置を検出するセンサと、このセンサのセンサ信号により前記電磁石に流す駆動電流を制御する回路とを備えた磁気軸受装置であって、前記センサ信号に基づいて前記回転体の固有振動数成分を減衰させる固有振動数成分減衰部と、この固有振動数減衰部の出力信号を入力し、前記電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する位相補償部と、位相補償部の出力を入力し、前記電磁石に駆動電流を供給するパワー増幅回路と、前記回転体に外乱を与えるために、位相補償部の出力と共にパワー増幅回路に入力する外乱発生手段と、前記センサ信号より固有振動数を演算する固有振動数演算部と、前記固有振動数演算部の出力信号より固有振動数成分減衰部のパラメータを変更する固有振動数成分減衰部パラメータ設定部と、前記電磁石の駆動電流を入力し、前記可変重量部の重量を測定する可変重量部重量演算部と、この可変重量部重量演算部の出力信号により回転体の重心位置を演算する重心位置演算部と、重心位置演算部と可変重量部重量演算部の出力より、位相補償部に必要な制御パラメータを演算する制御パラメータ演算部と、この制御パラメータ演算部の出力に基づいて、位相補償部の各制御パラメータを、前記可変重量部に対応した値に変更する手段とを有し、前記固有振動数成分減衰部パラメータ設定部の出力が、前記固有振動数成分減衰部の入力の一系統であることを特徴とする磁気軸受装置。
- 固有振動数演算部により求めた曲げ1次の固有振動数以下の所定の割合に回転体の最高回転数を制限するように構成した請求項2〜5の何れかに記載の磁気軸受装置。
- 回転体が水平に配置され、この回転体がラジアル磁気軸受とスラスト磁気軸受とにより非接触状態に支持され、可変重量部重量演算部が前記ラジアル磁気軸受の駆動電流を測定することにより可変重量部の重量を算出することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の磁気軸受装置。
- 可変重量部が回転体の本体端部に装着される工具であり、この回転体が請求項7に記載の磁気軸受装置により支持されるものである磁気軸受スピンドル装置。
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