JP4300698B2 - 磁気軸受装置の制御方法および加工装置の制御方法 - Google Patents

磁気軸受装置の制御方法および加工装置の制御方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気軸受を構成する電磁石に流す電流を制御し、非接触で回転体を所定位置に支持する磁気軸受装置の制御方法とそれを用いた加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁石により回転体を非接触支持する磁気軸受スピンドル装置の制御方法としては、特開平5−118328号に公開されたものがある。図13はこの磁気軸受装置の制御系のブロック図である。
【0003】
図13に示すように、回転軸104に取り付けられた回転子ヨーク105と、この回転子ヨーク105から微小間隔の距離を置いてケーシング101に取り付けられた電磁石固定子102と、回転軸104とケーシング間101の相対変位を測定する変位センサ106と、この変位センサ106からの変位信号をもとに回転子ヨーク105と電磁石固定子102間に作用する磁気吸引力を制御する補償回路107および電力増幅器108と、あらかじめ定められた回転軸系の伝達関数を設定する伝達関数設定部111と、この伝達関数設定部111で設定する伝達関数を模擬し補償回路107または電力増幅器108の出力を入力することにより擬似信号を発生する適応ディジタルフィルタ115と、この適応ディジタルフィルタ115の入力側あるいは出力側に設けられたハイパス回路116と、前記変位信号から前記擬似信号を減算した信号に基づき前記磁気吸引力を制御する補償回路107と、前記変位信号から前記擬似信号を減算した信号を同定誤差検出回路117で検出し、この誤差が小さくなるように適応ディジタルフィルタ115を逐次修正するシステム同定回路110から構成されている。
【0004】
次に、このように構成された磁気軸受装置の動作を説明する。回転軸104の伝達関数を測定するため回転軸104を非接触支持回転させた後、伝達関数設定部111中のパルス発生器113でパルスを発生させ、このパルスは加算器123に入力され、電力増幅器108を経由してケーシング101に固定された電磁石固定子102に巻かれたコイル103に電流を流し、電磁石固定子102から回転軸104に電磁力による外乱を与え、その時の回転軸104の変位を変位センサ106で測定する。その後、変位センサ106の出力は伝達関数測定器112に入力され、回転軸系の伝達関数が伝達関数測定器112によって測定され、その測定された伝達関数は適応ディジタルフィルタ115に入力される。適応ディジタルフィルタ115は伝達関数測定器112よりの回転軸系の伝達関数に基づいて、回転軸系の共振点毎に対応した単数のノッチフィルタを設定して擬似信号を発生する。そして、この擬似信号はハイパス回路116によって、制御周波数、例えば回転周波数以下の低周波部分がカットされ高周波成分のみの擬似信号が加算器121に減算入力される。加算器121では変位センサの出力信号である擬似信号が減算され、この減算された信号は誤差信号検出回路117に入力され、これによって変位信号と擬似信号との誤差が小さくなるように、適応ディジタルフィルタ115が逐次修正される。また、加算器121の出力は加算器122に入力され、ここで回転軸104の位置目標値から減算され、この減算された信号が補償回路107に入力されこの補償回路107からの出力によって電力増幅器108が動作し、コイル103に電流を流し、電磁石固定子102と回転子ヨーク間105に生じる電磁吸引力によって回転軸104の位置を制御する。
【0005】
このようにして、変位信号が擬似信号によって減算された後の信号は回転軸の制御に必要な制御周波数以下の成分を主に持ち、この信号をもとに磁気軸受を制御することにより、高周波成分の回転軸の曲げ固有モードの成分が除去されることにより、不必要な制御を行わないようになり、結果的に回転軸の振動、発振の問題を除去した制御を行えることになる。図13中のS−1は変位センサ106で検出した変位信号のスペクトルを示し、S−2は擬似信号のスペクトルを示している。S−1の高周波領域のピークは、回転軸の曲げ固有モードによる極を示す。S−2の制御周波数より大きい回転軸の曲げ固有モードの極が適応ディジタルフィルタ115の模擬により形成され、且つハイパス回路116で低周波成分が除去されていることが示されている。S−3は変位信号から疑似信号を減算した後のスペクトルで、制御周波数より小さい周波数では回転軸の制御に本来必要な変位信号のままであり、制御周波数以上では従来問題となっていた曲げ固有モードのピークがなくなるか、逆に窪んだスペクトルとなる。
【0006】
上記構成の磁気軸受装置は、回転軸の曲げ固有モードによる振動、発振の原因となった制御周波数以上の高周波成分のスペクトル上のピークが除去されることから、回転軸の制御を安定に行うことのできる磁気軸受装置を実現する構成となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような方法では、回転軸の一端に可変重量部、例えば工作機械における工具が装着される場合、可変重量部が変更されると可変重量部の変化により、回転軸と可変重量部を合わせた回転体全体の重量、重心位置、固有振動数が変化する。回転体の固有振動数は、回転軸のもつ固有振動数と可変重量部のもつ固有振動数が融合した固有振動数となる。磁気軸受の制御特性は回転体がある一定の状態で最適になるように設定されているため、可変重量部が変化し回転体の重量、重心位置、固有振動数が変化すると、回転時における回転体の振れ回りの増大や、回転体の発振現象といった制御の不安定現象が発生する。
【0008】
この制御の不安定現象は、回転体の重量、重心位置の変化により、制御対象である磁気軸受スピンドル装置と制御回路に設定されている制御ゲインとのマッチングにずれが生じることや、回転体の固有振動数の変化により、例えば固有振動数成分を減衰させるための一手段である適応ディジタルフィルタで設定されるノッチフィルタの設定周波数と固有振動数とにずれが生じるために発生する。
【0009】
また、工作機械において回転体に工具が装着される場合は、工具形状、工具位置、工具重量等が大幅に変化するため回転体の固有振動数を計算により正確に求めるのは非常に困難である。
【0010】
このような不安定現象に対して、上記従来例では回転軸を非接触支持回転させた後、伝達関数を測定し、その伝達関数に基づいて適応ディジタルフィルタより回転軸系の共振点毎に対応した単数のノッチフィルタを設定し擬似信号を発生させ、制御周波数以上の信号を変位センサ信号から減算することにより安定化を図っている。しかし、工具交換時には固有振動数がステップ状に急激かつ不連続に変化するため、回転軸の非接触支持回転後に適応ディジタルフィルタの応答が間に合わなければ、磁気軸受の制御ループは不安定となり、回転体が落下する恐れがある。このように回転体が浮上できなければ、伝達関数の測定は不可能となり、この方法では調整不可能となる。
【0011】
本発明は、上記した課題の解決を図るものであり、回転体の可変重量部変動による固有振動数変動の測定機能および固有振動数減衰部の設定機能を持つ磁気軸受制御装置と、それを用いた加工装置を簡便な構成をもって効果的に実現することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、回転体の非接触支持前に前記回転体の想定した固有振動数付近に複数のフィルタを所望の間隔で合成する第1合成工程と、前記第1合成したフィルタにより前記回転体の想定した固有振動数を減衰した駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持する工程と、前記非接触支持した回転体を回転させる工程と、前記センサの測定に基づき前記回転体の固有振動数を測定する工程と、前記測定された固有振動を抑制するように前記フィルタを合成する第2合成工程と、前記第2合成したフィルタにより減衰させた駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持するものである。
【0013】
これにより、回転体の固有振動数が不明な場合において、回転体の最初の浮上時に回転体の落下を防止することができる。
【0014】
さらに第1の発明において、回転体の固有振動数を測定する工程の後、前記測定された回転体の固有振動数の1次固有振動数のみを抑制するように前記フィルタを合成する第3合成工程と、前記第3合成したフィルタにより前記回転体の1次固有振動数のみを減衰させる駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持する工程と、その後前記回転体の1次固有振動数以外の高次固有振動数を測定する工程と、前記測定された回転体の固有振動数の1次固有振動数と高次固有振動数を抑制するように前記フィルタを合成する第4合成工程と、前記第4合成したフィルタにより減衰させた駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持する事も可能である。
【0015】
これにより、回転体の高次の固有振動数の測定精度を上げることができる。
【0016】
また第2の発明は、工具を装着可能な回転体の非接触支持前に前記回転体の想定した固有振動数付近に複数のノッチフィルタを所望の間隔で合成する第1合成工程と、前記第1合成したノッチフィルタにより前記回転体の固有振動数を減衰した駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持する工程と、前記非接触支持した回転体を回転させる工程と、前記センサの測定に基づき前記回転体の固有振動数を測定する工程と、前記測定された固有振動を抑制するように前記ノッチフィルタを合成する第2合成工程と、前記第2合成したノッチフィルタにより減衰させた駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持し回転体に装着した工具により被加工物を加工するものである。
【0017】
これにより、工具を取りつけた回転体の回転時の固有振動数を減衰させ精密な被加工物の加工を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気軸受制御装置を示す一実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、本発明の磁気軸受装置を工作機械の機械回転軸の軸受として構成した例について説明する。
【0019】
(実施の形態1)
第一の実施形態の磁気軸受制御装置により駆動される磁気軸受スピンドル装置は、図1に示すように、本体の回転体端部に可変重量部(工具)を装着して水平に配置された回転体67と、その回転体を所定の位置に非接触支持する磁気軸受とを備えたものである。
【0020】
図1において、67は回転軸50の一端に工具65を装着した回転体、51はモータロータ、52はモータステータである。53と54はフロント側ラジアル軸受、55と56はリア側ラジアル軸受、57と58はスラスト軸受である。これら軸受53〜58は、それぞれ回転側のロータと固定側のステータから構成され、回転体67を所定位置に非接触で支持している。固定側の軸受54,56,58は電磁石からなり、ラジアル軸受54,56は回転体67の周囲に、例えば90゜の中心角で左右に4個づつ配置されている。またスラスト軸受は回転体50を取り巻くリング状に配置されている。59,60はフロント側とリア側のラジアル変位センサ、61はスラスト変位センサ、62,63は保護ベアリング、64はケーシングである。回転体50の軸心からの変位はセンサ59,60により、スラスト方向の変位はセンサ61により検出される。
【0021】
上記固定側のラジアル軸受54,56およびスラスト軸受58の電磁石への駆動電流を、磁気軸受制御装置を用いて制御することにより、磁気軸受スピンドル装置7の回転軸の空間的位置を制御することができる。
【0022】
図2は磁気軸受制御装置のブロック図である。磁気軸受制御装置は磁気軸受スピンドル装置7を制御するため、回転体の位置を検出するセンサ回路1と、センサ回路1からのセンサ信号により磁気軸受の駆動電流を制御する磁気軸受制御回路(ディジタル演算処理部)14を備えている。
【0023】
上記磁気軸受制御回路としてのディジタル演算処理部で行われる演算はディジタル演算により行われるため、MPUにソフトウェアプログラムとして格納されている。
【0024】
この磁気軸受制御装置の制御動作を図2を参照して詳しく説明する。まず、制御対象となる磁気軸受スピンドル装置7のうち、制御の主体である回転体の位置を検出するセンサ回路1の出力を第1A/D変換器2によりディジタル信号に変換し、固有振動数成分減衰部3に出力する。第1A/D変換器2の出力信号は、固有振動数成分減衰部3により回転体の曲げの固有振動数成分を減衰させ、固有振動数成分減衰部3の出力は加算部8に入力され位置指令から減算処理される。第1加算部8の出力は位相補償部4に入力される。
【0025】
固有振動数成分減衰部3は複数個のディジタルノッチフィルタ(帯域阻止型フィルタ)で構成される。ディジタルノッチフィルタの周波数は、回転体67の固有振動数測定前は、初期パラメータテーブル31より読み込まれ、固有振動数成分減衰パラメータ設定部12で設定される。固有振動数測定後は、固有振動数演算部11の演算結果に基づき、固有振動数成分減衰パラメータ設定部12で設定される。
【0026】
回転体67の固有振動数は回転軸50の曲げの固有振動数と可変重量部65の固有振動数とが融合された周波数である。位相補償部4は、第1加算部8の出力を入力し、磁気軸受を構成する電磁石の駆動電流を制御するための制御信号を出力する。位相補償部4は、第1加算部の出力信号を比例、微分、積分演算し、それぞれの演算結果に状態フィードバック係数をかけてD/A変換器5に出力し、D/A変換器5でアナログ信号に変換される。D/A変換器5の出力はパワー増幅回路6に入力され、パワー増幅回路6は磁気軸受スピンドル装置内の電磁石に駆動電流を供給する。
【0027】
次に固有振動数の測定動作について説明する。図1に示す磁気軸受スピンドル装置7は、回転体の回転軸50が浮上していない状態では、保護ベアリング62,63に回転体67が接触しているので、固有振動を測定することは不可能である。つまり、浮上させてから固有振動数を測定する必要がある。
【0028】
しかし、回転体67を浮上させるためには、前にも述べたように、図2に示す変位センサ回路1の信号から固有振動数減衰部3で前記回転体の固有振動数の成分を減衰させる必要がある。ところが可変重量部の工具交換により、回転体の固有振動数が変化するので、この範囲をカバーして減衰させる広帯域のフィルタが必要となる。
【0029】
ただし、このフィルタが、固有振動数による共振を完全に取り除くほどの大きな減衰特性を持つと、制御系全体では1次の固有振動数の共振現象が起こらない可能性が高く、共振周波数での変位センサ回路1による測定信号が小さくなる。この信号は分解能が有限である第1A/D変換器2を通してMPU等で構成されるディジタル演算処理部14内で演算するため、入力レベルが小さいとSN比の悪い測定となり、1次固有振動数の測定を誤まる恐れがある。つまり広帯域で減衰量の小さなフィルタが必要となる。
【0030】
そこで、図3(a)に示すように、本来の共振周波数減衰に必要な高減衰ノッチフィルタ32ではなく、フィルタの次数を落とすなどの方法で得られる図3(b)に示す減衰量の小さな基本ノッチフィルタ33をもちいる。その減衰量の小さな基本ノッチフィルタ33を複数合成し、広帯域で低減衰な特性を持つノッチフィルタを得る。具体的には固有振動数の変化の範囲で、適切な間隔を空けた周波数の基本ノッチフィルタ33を複数用意し、初期パラメータテーブル31にそのパラメータを記述しておく。
【0031】
こうして図4(a)に示すように、適切な間隔を空けた複数の周波数のノッチフィルタ34を合成すると、図4(b)に示すように、広帯域で低減衰の特性を持つノッチフィルタ35を実現できる。
【0032】
また、図3に示す基本ノッチフィルタ33を同じ周波数で複数個合成すれば、高減衰のノッチフィルタ32も作成できる。したがって、基本ノッチフィルタ33の合成で、広帯域・低減衰ノッチフィルタ35(図4(b))も、高減衰のノッチフィルタ32も、実現できる。
【0033】
以上のように想定した回転体の固有振動数付近に複数のノッチフィルタを初期設定し広帯域で低減衰のフィルタとして回転体を浮上させた後、以下の手段で固有振動数の測定を行う。
【0034】
図2に示す除去外乱発生手段であるパルス発生器13で発生したパルスは、第1加算器8に位置指令値、固有振動数成分減衰器3の出力と共に入力され、位相補償器4、D/A変換器5、パワー増幅回路6を経由して磁気軸受スピンドル装置7内の電磁石から回転体に電磁力によって外乱が与えられる。磁気軸受において、外力に対する変位の周波数特性は、制御周波数以上の領域(慣性領域)では40dB/decとなるため、パルス発生器13からのパルス信号は位相補償部4の微分処理を経由させることにより制御周波数以上の領域に確実に外乱を与えることができる。ここで、パルス発生器13によって発生されるパルスは、チャープ信号、Swept Sine、パルス信号、ホワイトノイズである。パルス発生器13での外乱入力時、センサ回路1の出力を第1微分器9に入力し微分処理し、第1微分器9の出力を第2A/D変換器10によりディジタル信号に変換する。第1微分器9は、第1A/D変換器2の出力をディジタル演算による微分器により構成してもよい。また、微分しなくても固有振動数が測定できる場合は、この微分処理を省略してもよい。第1微分器9の出力を固有振動数演算部11に入力し固有振動数を演算する。
【0035】
固有振動数演算部11は、例えば高速フーリエ変換(FFT)により回転体の固有振動数を演算する。求められた固有振動数は共振倍率の大きいものから決められた個数を固有振動数成分減衰部3における設定周波数とし、固有振動数成分減衰パラメータ設定部12に出力される。
【0036】
固有振動数成分減衰パラメータ設定部12では、固有振動数演算部11からの出力である固有振動数に対応した固有振動数成分減衰部3のパラメータの設定を行う。
【0037】
具体的には、固有振動数毎に、それを減衰させる複数の基本ディジタルノッチフィルタ34(図4(a))の周波数を設定する。また、共振倍率の大きさにより、基本ノッチフィルタ34を同じ周波数で合成して高減衰ノッチフィルタ32(図3(a))とするか否かを判断する。
【0038】
図2に示す固有振動数成分減衰パラメータ設定部12の出力により固有振動数成分減衰部3のパラメータが変更され、回転体67の固有振動数の特性に応じたノッチフィルタが設定されて安定した制御特性をうることができる。その例として図5に可変重量部をAからBに変更し、回転体の固有振動数が変化した場合の固有振動数減衰部のフィルタ特性を示す。
【0039】
以上のように構成することにより、可変重量部が変更され、図2に示す磁気軸受制御装置に可変重量部変更信号が入力されると、外乱発生手段、固有振動数演算部11、固有振動数成分減衰部パラメータ演算部12でそれぞれ演算が行われ、固有振動数減衰部3では可変重量部65に対応したディジタルノッチフィルタの各パラメータがそれぞれ自動的に変更され、常に最適な制御が行われる。これにより回転体の固有振動数が変化した場合であっても、回転体の最初の浮上時に発生する、回転体の落下や振動を防止することが出来る。
【0040】
なお可変重量変更信号は、例えば工作機械の場合、加工機に搭載されている数値制御装置であるNC装置より入力される。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態2の磁気軸受制御装置を図6に示す。第2の実施形態では、第2A/D変換器10の前にA/D入力ゲイン切替器40が挿入されている以外は、第1の実施形態の実施例と同様である。
【0042】
実施の形態1と同様に、初期パラメータテーブル31をセットした後、固有振動数を測定すると、図7に示す様に、2次以上の高次共振に比べ、基本の固有振動数である1次共振が高く観測される場合が多い。従来例でも、可変重量部の工具交換により、固有振動数が変化し、固有振動数減衰部の周波数とずれた場合は、1次共振が大きくなるので、この傾向はさらに増加する。
【0043】
従来例では回転体の落下の危険性があるが、本実施例においては、一番確実に除去しなければならない1次の固有振動数の測定が精度良く行えるので、そのこと自体は好ましい。
【0044】
ただし、1次共振が2次以上の高次共振に比べ大きい場合、1次共振による振動の影響が2次以上の高次の共振データを判別出来ない可能性がある。図7はその一例で、1次共振による振動が2次共振を覆い隠している場合である。
【0045】
また、図6に示すこれらの極端に振幅の違う共振成分を含むセンサ回路1の信号は、有限の入力範囲と分解能を持つ第2A/D変換器10を通してデジタル演算処理部14で演算処理されるので、精度良く回転体の高次固有振動数を測定することが困難となる。
【0046】
そこで、図8に示すフローチャートに従って、固有振動数を測定することにより、精度の高い回転体の高次固有振動数の測定を実現する。
【0047】
まず、実施の形態1と同様に想定した回転体の固有振動数付近に複数のノッチフィルタを初期設定する(ステップ:S1)。次に回転体を停止状態から浮上させて1回目の回転体の固有振動数を測定する(ステップ:S2)。そして1次固有振動数のみを演算し求める(ステップ:S3)。この演算結果から図6に示す固有振動数成分減衰パラメータ設定部12で、回転体の1次固有振動数に対するノッチフィルタのみのパラメータを設定し、固有振動数成分減衰部3に出力する(ステップ:S4)。
【0048】
この状況下で、2回目の回転体の固有振動数の測定を実施する(ステップ:5)。すると、図9に示すように、1次固有振動数の共振が抑えられた回転体の固有振動数の測定グラフが得られる。この結果、回転体の高次の固有振動数が明確になり、より正確に高次の固有振動数を測定することが可能となる。そしてこの測定データを基に固有振動数演算を行う(ステップ:S6)。最後に固有振動数成分減衰部3に回転体の1次固有振動数以外の固有振動数を減衰するパラメータを設定する(ステップ:S7)。この状態で回転体を浮上回転し加工等の動作を行う。
【0049】
ただし、この段階でも、図6に示す回転体の1次共振のレベルに合わせ、第2A/D変換器10の入力レンジやパルス発生器13の出力パルス振幅が調整されているため、検出信号は1次共振と比べて小さく、精度良く測定するには不十分な場合がある。
【0050】
そこで、図8に示すフローチャートと同様のステップ:S1〜S6の後、さらに図10のフローチャートに示すように、ステップ:S6で求めた高次の共振信号の振幅が所定値以下の時(ステップ:S8)は、固定振動数演算部11がA/D入力切替器40に入力レンジの切替を指示するか、あるいはパルス発生器13に出力パルス振幅の増加を指示し(ステップ:S9)、固有振動数の再測定を実行する(ステップ:S10)。そうすると、図11に示すように、図10に比べ振幅の大きな回転体の高次固有振動数の観測信号が得られる。以上のことを実行してから、回転体の固有振動演算を行い、固有振動数成分減衰部3にパラメータを設定する(ステップ:S11)。この方法によりさらに精度良く回転体の固有振動数、特に高次固有振動数を減衰させることが可能になる。
【0051】
また図12は、上記第1,2の実施形態の回転体に工具を設け、被加工物を加工する加工装置の外観図で、7は磁気スピンドル装置、65は工具、202は金型等の被加工物、203はY軸方向の並進運動を生じさせる並進運動駆動装置であるY軸アクチュエータ、204はZ軸方向の並進運動を生じさせる並進運動駆動装置であるZ軸アクチュエータ、205はX軸方向の並進運動を生じさせる並進運動駆動装置であるX軸アクチュエータ、206はX軸回りの回転運動を生じさせる回転運動駆動装置である回転軸アクチュエータである。工具65は、磁気スピンドル装置7の回転軸に設けられて、工具65により被加工物202を加工するものである。
【0052】
Z軸アクチュエータ204は、磁気スピンドル装置7を有するX軸アクチュエータ205をZ軸方向に並進移動させることにより、磁気スピンドル装置7をZ軸方向に並進移動させるためのものである。また、X軸アクチュエータ205は、磁気スピンドル装置7をX軸方向に並進移動させるためのものである。また、回転軸アクチュエータ206は、載置台207上に載置された被加工物202をX軸回りに回転移動させるためのものである。また、Y軸アクチュエータ203は、被加工物202を有する回転運動用アクチュエータ206をY軸方向に並進移動させるためのものである。アクチュエータ203、204、205、206のそれぞれの独立した駆動により、上記工具61で被加工物202に様々な形状の加工を精度良く行うことができる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、第1の発明は、固有振動数減衰部に、可変重量部の変動による1次固有振動数変動の範囲に複数のノッチフィルタを所定の間隔で合成したものを初期値として設定することにより、回転体の落下と1次固有振動数の測定ミスの防止を実現できる。
【0054】
また第2の発明は、最初に1次固有振動数のみを測定し、この1次固有振動に対する固有振動数成分減衰部を設定した後、2次以後の高次の固有振動数を測定することにより、高次の固有振動数測定精度を上げることで、確実な高次の固有振動の減衰を実現できる。
【0055】
さらに、磁気軸受により工具を回転させる加工装置にこの磁気軸受制御方法を用いることで被加工物を高精度に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の磁気軸受装置の構成を示す断面図
【図2】 本発明の実施の形態1の磁気軸受装置の制御装置の構成を示すブロック図
【図3】 本発明の実施の形態1に係わるノッチフィルタの特性を示すグラフ
【図4】 本発明の実施の形態1に係わるノッチフィルタの合成を示すグラフ
【図5】 本発明の実施の形態1に係わる固有振動数成分減衰部の一例を示すゲイン線図
【図6】 本発明の実施の形態2の磁気軸受の制御装置の構成を示すブロック図
【図7】 磁気軸受の回転体の1次共振振幅が大きく2次以上の高次共振振幅が小さい時の共振振幅を示すグラフ
【図8】 本発明の実施の形態2に係わる固有振動数測定の手順を示すフローチャート
【図9】 本発明の実施の形態2に係わる固有振動数の測定値を示すグラフ
【図10】 本発明の実施の形態2に係わる固有振動数測定の手順を示すフローチャート
【図11】 本発明の実施の形態2に係わる固有振動数の測定値を示すグラフ
【図12】 本発明の実施の形態に係わる加工装置の外観図
【図13】 従来の磁気軸受装置の制御系を示すブロック図
【符号の説明】
1 センサ回路
3 固有振動数成分減衰部
4 位相補償部
6 パワー増幅回路
7 磁気軸受スピンドル装置
9 第1微分器
10 固有振動数演算部
12 固有振動数成分減衰パラメータ設定部
13 パルス発生器
24 磁気軸受制御装置
31 初期パラメータテーブル
32 光減衰ノッチフィルタ
33 基本ノッチフィルタ
34 複数の基本ノッチフィルタ
35 基本ノッチフィルタの合成
50 回転軸
53,55,57 回転側の磁気軸受
54,56,58 固定側の磁気軸受(電磁石)
65 可変重量部(工具、物体)
67 回転体
202 被加工物
207 載置台(載置手段)

Claims (4)

  1. 回転体を電磁石により所定の位置に支持し、前記回転体の位置をセンサにより検出し、前記センサにより検出された信号に基づいて前記電磁石に流す電流を制御し、回転体を非接触支持する磁気軸受装置の制御方法において、
    前記回転体の非接触支持前に前記回転体の想定した固有振動数付近に複数のノッチフィルタを所望の間隔で合成する第1合成工程と、前記第1合成したノッチフィルタにより前記回転体の想定した固有振動数を減衰した駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持する工程と、前記非接触支持した回転体を回転させる工程と、前記センサの測定に基づき前記回転体の固有振動数を測定する工程と、前記測定された固有振動を抑制するように前記ノッチフィルタを合成する第2合成工程と、前記第2合成したノッチフィルタにより減衰させた駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持することを特徴とする磁気軸受装置の制御方法。
  2. 前記回転体の固有振動数を測定する工程の後、前記測定された回転体の固有振動数の1次固有振動数のみを抑制するように前記ノッチフィルタを合成する第3合成工程と、前記第3合成したノッチフィルタにより前記回転体の1次固有振動数のみを減衰させる駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持する工程と、さらに前記回転体の1次固有振動数以外の高次固有振動数を測定する工程と、前記測定された回転体の固有振動数の1次固有振動数と高次固有振動数を抑制するように前記ノッチフィルタを合成する第4合成工程と、前記第4合成したノッチフィルタにより減衰させた駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持することを特徴とする請求項1に記載の磁気軸受装置の制御方法。
  3. 前記測定された回転体の高次固有振動数の共振振幅が所定の値以下である場合に、前記回転体の高次固有振動数の共振振幅が所定の値を超えるまで前記回転体の固有振動を増幅して測定する工程と、前記測定された回転体の固有振動数の1次固有振動数と高次固有振動数を抑制するように前記ノッチフィルタを合成することを特徴とする請求項2に記載の磁気軸受装置の制御方法。
  4. 工具を装着可能な回転体を電磁石により所定の位置に支持し、前記回転体の位置をセンサにより検出し、前記センサにより検出された信号に基づいて前記電磁石に流す電流を制御し、前記回転体を非接触支持し回転させ、前記回転体に装着された工具により被加工物を加工する加工装置の制御方法において、
    前記回転体の非接触支持前に前記回転体の想定した固有振動数付近に複数のノッチフィルタを所望の間隔で合成する第1合成工程と、前記第1合成したノッチフィルタにより前記回転体の想定した固有振動数を減衰した駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持する工程と、前記非接触支持した回転体を回転させる工程と、前記センサの測定に基づき前記回転体の固有振動数を測定する工程と、前記測定された固有振動を抑制するように前記ノッチフィルタを合成する第2合成工程と、前記第2合成したノッチフィルタにより減衰させた駆動電流を前記電磁石に加え回転体を非接触支持することを特徴とする加工装置の制御方法。
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