JP4436003B2 - 真空成膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空成膜装置に関し、特に低温で成膜が可能なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
低温で成膜が可能な真空成膜装置として、いわゆる無ガスイオンプレーティング装置が提案されている(特公平1-48347号公報参照)。
【0003】
この無ガスイオンプレーティング装置では、内部に基材ホルダと蒸発源とが対向配置されたチャンバを所定の真空度に保持し、基材ホルダとチャンバとの間に高周波電圧及び直流電圧をそれぞれ印加してチャンバ内にプラズマを立てるととともにチャンバから基材ホルダに向かう直流電界を形成することにより、蒸発源から蒸発した薄膜形成材料がそのプラズマにより励起されるとともに直流電界により加速され、基材ホルダに保持された基材に衝突して付着し、それにより、基材上に薄膜形成材料からなる薄膜が形成される。この無ガスイオンプレーティング装置によれば、通常のイオンプレーティング装置とは異なり、プラズマを立てるのに不活性ガスを用いないので、低温で成膜が可能であり、従って、プラスチック樹脂や紙等の耐熱性の低い材料からなる基材上にも薄膜を形成することが可能となる。また、薄膜形成材料がプラズマで励起されかつ直流電界で加速されて高エネルギの状態で基材に付着するので形成される膜が緻密なものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の無ガスイオンプレーティング装置では、一般に、蒸発源として抵抗加熱式のものが用いられる。しかし、この抵抗加熱式の蒸発源を用いると、その蒸発源からの輻射熱で基材の温度が上昇し、そのため、成膜条件によっては、要求されるような低温で成膜することができないという問題がある。
【0005】
一方、真空成膜においては、生産性が高いことが望ましい。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、低温で成膜が可能な真空成膜装置を提供することを第1の目的としている。
【0007】
また、本発明は、低温で成膜が可能でかつ生産性の高い真空成膜装置を提供することを第2の目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る真空成膜装置は、チャンバと、多数の通孔を有し該通孔によりその両側に形成される第1、第2の空間を連通するように上記チャンバの内部空間を仕切る可通仕切り部材と、上記第1、第2の空間をそれぞれ排気するための第1、第2の排気手段と、上記第1の空間内に配置された薄膜形成材料からなるターゲットから放電を利用して薄膜形成材料を放散させる薄膜形成材料放散手段と、上記第2の空間内に配設され基材を保持する導電部材からなる基材ホルダと、該基材ホルダを一方の電極に用いて上記第2の空間内に成膜用のプラズマを形成するための成膜用プラズマ形成手段とを備え、上記可通仕切り部材は、高融点金属材料で構成された板状の部材であり、上記通孔は上記可通仕切り部材に上記チャンバ内の荷電粒子の移動に対し所定のコンダクタンスを有するように形成された貫通孔であり、該貫通孔の径はμmのオーダーである(請求項1)。
【0009】
かかる構成とすると、第1、第2の空間を、それぞれ第1、第2の排気手段で排気すると、いわゆる差動排気システムとして、第1、第2の空間を異なった真空度に保つことができる。そこで、第1の空間を低真空度に、第2の空間を高真空度にそれぞれ保つと、ターゲットから放電を利用して薄膜形成材料を好適に放散させることができ、かつその放散された薄膜形成材料が可通仕切り部材の通孔を通って第2の空間に至り、そこで、成膜用のプラズマに励起され運動エネルギを得て、基材ホルダに保持された基材に衝突して付着する。その際、第2の空間が高真空度であるので、一旦得た運動エネルギを殆ど喪失することなく基材に衝突するので、基材上に形成される薄膜の密着度が向上する。また、薄膜形成材料が放電を利用して放散されることから、抵抗加熱式蒸発源に比べて輻射熱が低減されるため、低温で成膜を行うことができる。
【0010】
この場合、上記薄膜形成材料放散手段が、上記ターゲットにアーク放電を生じさせることにより該ターゲットから薄膜形成材料を蒸発させるものであるとしてもよい(請求項2)。
【0011】
かかる構成とすると、チャンバ内に不活性ガスを導入しないで成膜を行うことにより、低温で成膜が可能な無ガスイオンプレーティングを好適に遂行することができる。
【0012】
また、上記薄膜形成材料放散手段が、上記第1の空間内にプラズマを形成し、該プラズマ中で衝突したイオンの衝撃により上記ターゲットから薄膜形成材料を放出させるものであるとしてもよい(請求項3)。
【0013】
かかる構成とすると、スパッタリングとして、ターゲットが絶縁物であってもその薄膜形成材料をターゲットから放出させて基材上に絶縁物からなる薄膜を形成することができる。また、イオンプレーティングを行う場合に比べて生産性を向上することができるので、低温で成膜が可能でかつ生産性の高い真空成膜装置を提供できる。
【0014】
この場合、上記チャンバが導電性部材で構成され、該チャンバの上記第1の空間及び第2の空間にそれぞれ対応する部分が、互いに絶縁され、上記チャンバの上記第1の空間に対応する部分が、上記薄膜形成材料放散手段によるプラズマ形成用の一方の電極を構成しているターゲットホルダに対する他方の電極を構成し、上記チャンバの上記第2の空間に対応する部分が、上記成膜用プラズマ形成手段によるプラズマ形成用の他方の電極を構成してなるものとしてもよい(請求項4)。
【0015】
かかる構成とすると、薄膜形成材料放散用のプラズマを形成するのに要する高周波電圧と成膜用プラズマを形成するのに要する高周波電圧とが相違しているが、その相違によって弊害が生じるのを防止することができる。
【0016】
また、上記薄膜形成材料放散手段及び上記成膜用プラズマ形成手段のプラズマ形成用の高周波電力の周波数が互いに異なっているものとしてもよい(請求項5)。
【0017】
かかる構成とすると、上記薄膜形成材料放散手段及び上記成膜用プラズマ形成手段に相手方の周波数を選択的に阻止するフィルタをそれぞれ設けることにより、一方の高周波電力が他方に侵入して出力素子を破壊するのを防止することができる。
【0018】
また、上記の場合、上記可通仕切り部材が、パンチングメタルで構成されたものとしてもよい(請求項6)。
【0019】
かかる構成とすると、開口を適宜な径とすることにより、パンチングメタルが実質的に真空なチャンバ内の荷電粒子の移動に対し適度のコンダクタンスを有するものとなるので、チャンバ内を好適に差動排気することができる。
【0020】
また、上記の場合、上記可通仕切り部材が導電性部材で構成され、かつ該可通仕切り部材を通電加熱する手段を備えてなるものとしてもよい(請求項7)。
【0021】
かかる構成とすると、通電加熱により可通仕切り部材に付着した薄膜形成材料を蒸発させることができるため、可通仕切り部材を交換する手間を省くことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1に係る真空成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。
【0023】
図1において、真空成膜装置1は無ガスイオンプレーティング装置で構成されている。真空成膜装置1は、導電性部材からなるチャンバ2を有している。チャンバ2の内部には、基材4を保持する基材ホルダ3と蒸発源8とが対向するように配設されている。基材4は、導電性材料のものでも絶縁性材料のものでも構わない。基材ホルダ3は導電性部材で構成され、該基材ホルダ3とチャンバ2との間に高周波電源6及び直流電源7が並列に接続されている。高周波電源6及び直流電源7は、それぞれ、直流ブロッキング用コンデンサC0及び交流ブロッキング用チョークコイルL0を介して接続されている。これにより、高周波電源6及び直流電源7にそれぞれ相手方の電流が流れるのが阻止される。また、チャンバ2は接地され、直流電源7は基材ホルダ4がチャンバ2に対し負電位となるように接続されている。上記高周波電源6、直流電源7、直流ブロッキング用コンデンサC0、及び交流ブロッキング用チョークコイルL0が成膜用プラズマ形成手段5を構成している。
【0024】
蒸発源8は、アーク蒸発源で構成され、チャンバ2の壁を貫通するように配設された円柱形状のカソード9と該カソード9の先端部を囲うように配設された円筒形状のアノード10とを有している。そして、カソード9とアノード10との間にアーク電流を供給するためのアーク電源16が接続されている。また、蒸発源8は、図示されない点弧装置を有している。カソード9はターゲットであり、薄膜形成材料で構成されている。アノード10はタングステン等の高融点金属材料で構成されている。アーク電源16は直流でも交流でも構わない。
【0025】
そして、蒸発源8を囲むように可通仕切り部材11が配設されている。換言すれば、チャンバ2の内部空間は、可通仕切り部材11によって仕切られ、それにより、可通仕切り部材11の両側に第1の空間12と第2の空間13とが形成され、第1の空間に蒸発源8が配置され、第2の空間13に基材ホルダ3が配置されている。
【0026】
可通仕切り部材11は、板状の部材に多数の通孔(貫通孔)11aが形成されている。通孔11aの径は、所定の真空度の下で、可通仕切り部材11がその両側に所定の圧力差を発生可能なように設定される。つまり、チャンバ2内の荷電粒子の移動に対し所定のコンダクタンスを有するように設定される。具体的には、通孔11aの径はμmのオーダーのものとされる。可通仕切り部材11は、タングステン等の高融点金属材料で構成されている。
【0027】
そして、第1,第2の空間12,13をそれぞれ排気するために第1,第2の真空ポンプポンプ14,15が設置されている。
【0028】
次に、以上のように構成された真空成膜装置1の動作を説明する。
【0029】
図1において、まず、図示されない制御部において、第1の空間12内の真空度がアーク放電に好適な10-3〜10-4torrに、第2の空間13内の真空度がプラズマによる成膜に好適な10-5torrに設定される。次いで、第1、第2の真空ポンプ14,15が起動される。すると、第1、第2の空間12,13が、それぞれ第1、第2の真空ポンプ14,15によって、互いに異なるように設定された真空度を目指して排気されるが、可通仕切り部材11が所定のコンダクタンスを有しているので、該可通仕切り部材11の両側で圧力差が生じ、それにより、第1、第2の空間12,13が、設定された真空度にそれぞれ到達し維持される。
【0030】
次いで、高周波電源6及び直流電源7が起動され、それにより、第2の空間13と第1の空間12とに渡ってプラズマ18が形成されるとともに、チャンバ2から基材ホルダ3に向かう直流電界が形成される。
【0031】
次いで、アーク電源16が起動されるとともに図示されない点弧手段によって点弧される。すると、カソード9とアノード10との間でアーク放電が開始され、カソード9から薄膜形成材料が蒸発する。この場合、アーク放電はアークスポットという局所では高温になるが、カソード9全体ではさほど高温にはならないので、余り熱が輻射されない。よって、基材ホルダ3に保持された基材4が蒸発源8からの熱輻射によって温度上昇するのが防止される。また、第1の空間12内が可通仕切り部材11によって所要の真空度に維持されているので、アーク放電を好適に行うことができる。
【0032】
その蒸発した薄膜形成材料は、可通仕切り部材11の通孔11aを通って第2の空間13に至り、そこで、プラズマ18に励起されて運動エネルギを得るとともに直流電界によりさらに加速され、基材ホルダ3に保持された基材4に衝突して付着する。それにより、基材4上に薄膜形成材料からなる薄膜が形成される。この際、第2の空間が所要の高真空度に維持されているので、第1の空間12から拡散して来た薄膜形成材料が、プラズマ18により励起されて得た運動エネルギが低下することなく基材4に衝突して付着するので、基材4上に形成される薄膜の密着度が向上する。しかも、上述のように、抵抗加熱式の蒸発源に比べて輻射熱が低減されるため、低温で成膜を行うことができる。そのため、プラスチック樹脂等の耐熱性の低い材料からなる基材であっても、好適に成膜を行うことができる。
実施の形態2
図2は本発明の実施の形態2に係る真空成膜装置の構成を示す部分拡大断面図である。図2において図1と同一符号は同一又は相当する部分を示す。図2に示すように、本実施の形態では、可通仕切り部材11の両端に加熱用電源32が接続されている。可通仕切り部材11には、カソード9から蒸発した薄膜形成材料が付着するが、このような構成とすると、加熱用電源32で可通仕切り部材11を通電加熱にすることにより、該可通仕切り部材11に付着した薄膜形成材料を蒸発させることができる。よって、可通仕切り部材11を交換する手間を省くことができる。
実施の形態3
図3は本発明の実施の形態3に係る真空成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。図3において、図1と同一符号は同一又は相当する部分を示す。図3に示すように、本実施の形態では、真空成膜装置1はスパッタリング装置で構成されている。真空成膜装置1はチャンバ2を有し、該チャンバ2の内部には、基材ホルダ3とターゲットホルダ26とが対向するように配設されている。チャンバ2の内部には基材ホルダ3とターゲットホルダ26との間を仕切るように可通仕切り部材11が配設され、それにより、チャンバ2の内部空間23がターゲットホルダ26が配置された第1の空間12と基材ホルダ13が配置された第2の空間13とに分割されている。そして、チャンバ2は、第1の空間12及び第2の空間13にそれぞれ対応する第1の部分2a及び第2の部分2bが共に導電材料からなり、それらが絶縁材料からなる第3の部分2cで互いに絶縁されて構成されている。
【0033】
そして、基材ホルダ3とチャンバ2の第2の部分2bとの間に高周波電源6がフィルタ33を介して接続されている。高周波電源6の周波数は13.56MHzに設定されている。また、フィルタ33は、後述する薄膜形成材料放散用のプラズマ形成手段を構成する高周波電源21から出力される400KHzの高周波電流を阻止するためのもので、400KHz近辺の周波数の通過を阻止する帯域阻止フィルタで構成されている。これらの高周波電源6及びフィルタ33が成膜用プラズマ形成手段5を構成している。
【0034】
一方、ターゲットホルダ26は、ターゲット22を保持するためのもの導電性部材で構成されている。ターゲット22は、薄膜形成材料で構成されている。薄膜形成材料は導電性のものでも絶縁性のものでも構わないが、本実施の形態では絶縁性のもので構成されている。例えば、SiO2、TiO2、MgF2、Mg2O5、Ta2O5等で構成されている。そして、ターゲットホルダ26とチャンバ2の第1の部分2aとの間に高周波電源21がフィルタ34を介して接続されている。高周波電源21の周波数は400KHzに設定されている。また、フィルタ34は、成膜用プラズマ形成手段を構成する高周波電源6から出力される13.56MHzの高周波電流を阻止するためのもので、13.56MHz近辺の周波数の通過を阻止する帯域阻止フィルタで構成されている。これらの高周波電源21及びフィルタ34が薄膜形成材料放散用のプラズマ形成手段を構成している。
【0035】
そして、第1、第2の空間12,13がそれぞれ第1、第2の真空ポンプ14,15で排気されるとともに、該第1、第2の空間12,13に不活性ガスがそれぞれ供給されるように構成されている。不活性ガスには例えばアルゴンArが用いられる。
【0036】
次に、以上のように構成された真空成膜装置1の動作を説明する。
【0037】
図3において、まず、図示されない制御部において、第1の空間内の真空度がスパッタリングに好適な10-2〜10-3torrに、第2の空間13内の真空度ができるだけ高真空な10-5torrに設定される。次いで、第1、第2の真空ポンプ14,15が起動されるとともに第1、第2の空間12,13に不活性ガスが供給される。すると、第1、第2の空間12,13が、それぞれ第1、第2の真空ポンプ14,15によって、互いに異なるように設定された真空度を目指して排気され、可通仕切り部材11によってその両側で圧力差が生じ、それにより、第1、第2の空間12,13が設定された真空度にそれぞれ到達し維持される。
【0038】
次いで、高周波電源6が起動され、それにより、第2の空間13にアルゴンArを主とするプラズマ25が形成される。
【0039】
次いで、高周波電源21が起動され、それにより、第1の空間12にアルゴンArを主とするプラズマ24が形成される。すると、プラズマ24中での衝突により飛び出したイオンがターゲット22に衝突し、その衝突の衝撃によってターゲット22から薄膜形成材料の分子が放出される。この放出された薄膜形成材料は可通仕切り部材11の通孔11aを通って第2の空間13に至り、そこを移動して基材ホルダ3に保持された基材4上に付着する。
【0040】
この際、第1の空間12が所要の真空度に維持されているので、スパッタリングが好適に行われる。また、2つの高周波電源6,21にそれぞれ直列にフィルタ33,34が接続されているので、一方の高周波電力が他方に侵入して出力素子を破壊するのが防止される。さらに、従来のスパッタリングではターゲットから放出された薄膜形成材料がそのエネルギを喪失しないようターゲットと基材とをできるだけ近接して配置していたが、その反面、ターゲットと基材との距離が近い分基材の温度が高くなっていた。一方、本実施の形態では、第2の空間13が存在することにより、従来例に比べてターゲット22と基材4との距離が大きくなっているので、その分、基材4の温度が低くなる。しかも、第2の空間13が10-5torrと第1の空間12より2桁乃至3桁高い真空度に維持されているので、ターゲット22から放出された薄膜形成材料がそのエネルギを殆ど喪失することなく基材4上に到達する。よって、低温で成膜できるスパッタリングが可能である。また、スパッタリングはイオンプレーティングに比べて生産性が高いので、低温成膜が可能でかつ生産性が高い真空成膜装置を提供できる。さらに、ターゲット22は絶縁性の薄膜形成材料でも構わないので、絶縁物からなる薄膜を低温で形成することができる。
【0041】
本発明の実施形態は、上記には限られず、以下の形態でも実施することができる。
【0042】
可通仕切り部材は、実質的な真空状態下において荷電粒子の移動に対し適宜なコンダクタンスを有するものであればよい。
【0043】
また、実施の形態3においても実施の形態2と同様に可通仕切り部材を通電加熱してもよい。
【0044】
また、実施の形態1において、アーク蒸発源のカソードを円盤形状とし、チャンバの壁をアノードとして利用するようにしてもよい。
【0045】
また、実施の形態1において、アーク電源として、波形がパルス状のものを用いてもよい。
【0046】
また、プラズマ形成用にチャンバを電極として利用せずに、専用の電極を設けてもよい。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、以下のような効果を奏する。
(1)抵抗加熱式蒸発源に比べて輻射熱が低減されるため、低温で成膜を行うことができる。
(2)薄膜形成材料放散手段が、ターゲットにアーク放電を生じさせることにより該ターゲットから薄膜形成材料を蒸発させるものであるとすると、低温で成膜が可能な無ガスイオンプレーティングを好適に遂行することができる。
(3)薄膜形成材料放散手段が、ターゲットの周囲にプラズマを形成しそのプラズマ中で衝突したイオンの衝撃によりターゲットから薄膜形成材料を放出させるものであるとすると、スパッタリングとして、ターゲットが絶縁物であってもその薄膜形成材料をターゲットから放出させて基材上に絶縁物からなる薄膜を形成することができる。また、低温で成膜が可能でかつ生産性の高い真空成膜装置を提供できる。
(4)チャンバが導電性部材で構成され、該チャンバの第1の空間及び第2の空間にそれぞれ対応する部分が、互いに絶縁されかつそれぞれ薄膜形成材料放散手段によるプラズマ形成用の他方の電極及び成膜用プラズマ形成手段によるプラズマ形成用の他方の電極を構成してなるものとすると、薄膜形成材料放散用のプラズマを形成するのに要する高周波電圧と成膜用プラズマを形成するのに要する高周波電圧との相違によって弊害が生じるのを防止することができる。
(5)薄膜形成材料放散手段及び成膜用プラズマ形成手段のプラズマ形成用の高周波電力の周波数が互いに異なっているものとすると、薄膜形成材料放散手段及び成膜用プラズマ形成手段に相手方の周波数を選択的に阻止するフィルタをそれぞれ設けることにより、一方の高周波電力が他方に侵入して出力素子を破壊するのを防止することができる。
(6)可通仕切り部材が、パンチングメタルで構成されたものとすると、チャンバ内を好適に差動排気することができる。
(7)可通仕切り部材が導電性部材で構成され、かつ該可通仕切り部材を通電加熱する手段を備えてなるものととすると、可通仕切り部材を交換する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る真空成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る真空成膜装置の構成を示す部分拡大断面図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る真空成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 真空成膜装置
2 チャンバ
2a 第1の部分
2b 第2の部分
2c 第3の部分
3 基材ホルダ
4 基材
5 成膜用プラズマ形成手段
6 高周波電源
7 直流電源
8 蒸発源
9 カソード
10 アノード
11 可通仕切り部材
11a 通孔
12 第1の空間
13 第2の空間
14 第1の真空ポンプ
15 第2の真空ポンプ
16 アーク電源
21 高周波電源
22 ターゲット
23 チャンバの内部空間
24,25 プラズマ
26 ターゲットホルダ
31 絶縁部材
32 加熱用電源
33,34 フィルタ
C0 直流ブロッキング用コンデンサ
L0 交流ブロッキング用チョークコイル
Claims (7)
- チャンバと、
多数の通孔を有し該通孔によりその両側に形成される第1、第2の空間を連通するように上記チャンバの内部空間を仕切る可通仕切り部材と、
上記第1、第2の空間をそれぞれ排気するための第1、第2の排気手段と、
上記第1の空間内に配置された薄膜形成材料からなるターゲットから放電を利用して薄膜形成材料を放散させる薄膜形成材料放散手段と、
上記第2の空間内に配設され基材を保持する導電部材からなる基材ホルダと、
該基材ホルダを一方の電極に用いて上記第2の空間内に成膜用のプラズマを形成するための成膜用プラズマ形成手段とを備え、
上記可通仕切り部材は、高融点金属材料で構成された板状の部材であり、
上記通孔は上記可通仕切り部材に上記チャンバ内の荷電粒子の移動に対し所定のコンダクタンスを有するように形成された貫通孔であり、該貫通孔の径はμmのオーダーである、真空成膜装置。 - 上記薄膜形成材料放散手段が、上記ターゲットにアーク放電を生じさせることにより該ターゲットから薄膜形成材料を蒸発させるものである請求項1記載の真空成膜装置。
- 上記薄膜形成材料放散手段が、上記第1の空間内にプラズマを形成し、該プラズマ中で衝突したイオンの衝撃により上記ターゲットから薄膜形成材料を放出させるものである請求項1記載の真空成膜装置。
- 上記チャンバが導電性部材で構成され、
該チャンバの上記第1の空間及び第2の空間にそれぞれ対応する部分が、互いに絶縁され、上記チャンバの上記第1の空間に対応する部分が、上記薄膜形成材料放散手段によるプラズマ形成用の一方の電極を構成しているターゲットホルダに対する他方の電極を構成し、上記チャンバの上記第2の空間に対応する部分が、上記成膜用プラズマ形成手段によるプラズマ形成用の他方の電極を構成してなる請求項3記載の真空成膜装置。 - 上記薄膜形成材料放散手段及び上記成膜用プラズマ形成手段のプラズマ形成用の高周波電力の周波数が互いに異なっている請求項3又は4記載の真空成膜装置。
- 上記可通仕切り部材が、パンチングメタルで構成された請求項1乃至5のいずれか1つの項に記載の真空成膜装置。
- 上記可通仕切り部材が導電性部材で構成され、かつ該可通仕切り部材を通電加熱する手段を備えてなる請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載の真空成膜装置。
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