JP4435628B2 - 地上デジタル放送再送信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、CATVや共同受信等において地上デジタル放送を再送信する地上デジタル放送再送信装置に関するものである。
地上デジタル放送再送信装置は、地上デジタルシグナルプロセッサ、地上デジタルチャンネルプロパーアンプ(参考 日本CATV技術協会JCTEA STD−011)等からなり、アンテナで受信した地上デジタル放送波を同軸ケーブル等の伝送線路に送出する装置である。地上デジタル放送波は受信点の位置によって、受信できる信号レベル等の信号品質が異なり、時間や季節によっても変化する。このため、地上デジタル放送再送信装置はオートゲインコントロール回路(AGC)や出力レベル調整回路、周波数変換回路等の様々な機能の回路を備えている。また、地上デジタル放送再送信装置の信号処理は、局部発振器からの局発信号により、中間周波数に変換して信号処理する事が一般的とされ、信号処理後、入力されたチャンネルと同じチャンネルで出力する場合は同じ局発信号を用いてアップコンバートされる。また、入力されたチャンネルと異なるチャンネルで出力する場合は別の局部発振器からの局発信号を用いてアップコンバートされ、異なるチャンネルの地上デジタル放送信号として出力している。
地上デジタル放送は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が採用されている。一般に、OFDMの信号は帯域幅の狭いキャリアが多数集まって信号が構成されており、矩形状のスペクトルを有している。時間波形としては、マルチパスの影響を受けにくくするために有効シンボルの後部をコピーして有効シンボルの前に貼りつけてガードインターバルとしている。これにより、ガードインターバル以下の遅延時間のマルチパスによる妨害の影響を受けにくくなる。なお、OFDMは単一キャリア変調に比べてシンボル長が長く、ガードインターバルを長く取れるためマルチパス妨害の耐性が高くなるが、多数のキャリアを用いているため伝送路等の非線形によりキャリア間で相互変調歪みが発生する非線形歪の影響を受けやすいという特徴がある。
このような地上デジタル放送を再送信する地上デジタル放送再送信装置の例として、従来の地上デジタルシグナルプロセッサの構成を図10に示す。
図10に示す地上デジタルシグナルプロセッサ100には、地上デジタル放送信号がRF入力として供給されている。このRF入力は、RF増幅部110に印加されて高周波増幅され第1ミキサ(MIXa)に印加される。MIX1には第1局部発振器(OSC1)111からの局発信号が供給されており、この局発信号によりRF入力の内の所定チャンネルが周波数変換されてMIX1から中間周波信号とされて出力される。この中間周波信号は、IF信号処理部112において信号処理が行われると共に、出力される中間周波信号の出力レベルがAGC回路114により規定されたレベルになるよう制御される。なお、AGC回路114はIF信号処理部112から出力される中間周波信号のレベルを検出し、検出したレベルに応じてRF増幅部110の増幅度、及び、IF信号処理部112の増幅度を制御している。
IF信号処理部112から出力された中間周波信号は第2のミキサ(MIX2)に印加され供給されている局発信号によりアップコンバートされて、所定のチャンネルの地上デジタル放送信号とされてRFレベル調整部116に供給される。MIX2には、スイッチSWを介して局発信号が供給されており、入力されたチャンネルと同じチャンネルで出力する場合は第1局部発振器111側の接点bにスイッチSWの接点aが切り換えられ、入力されたチャンネルと異なるチャンネルで出力する場合は第2局部発振器(OSC2)117側への接点cにスイッチSWの接点aが切り換えられる。RFレベル調整部116では、RF出力である地上デジタル放送信号のレベルが定められた出力レベルになるようレベル調整されて、地上デジタルシグナルプロセッサ100から再送信される地上デジタル放送信号が出力される。
地上デジタルシグナルプロセッサ100において、RF出力の出力レベルは所定の定められた出力レベルとされる。図10に示す地上デジタルシグナルプロセッサ100は1チャンネル分であり、一般に地上デジタル放送は複数チャンネルから構成されることから、地上デジタルシグナルプロセッサ100には図10に示す所定チャンネルのレベルを独立して調整することにより所定の定められた出力レベルで出力する構成が、地上デジタル放送のチャンネル数分設けられる。これにより、地上デジタル放送の各チャンネルのレベルが地上デジタルシグナルプロセッサ100によりそれぞれ揃えられて出力されるようになる。
このように、地上デジタルシグナルプロセッサ100において各チャンネルのレベルを揃えているのは、次の理由による。地上デジタル放送等のテレビ放送波は受信点の位置によって、受信できる信号レベル等の信号品質が異なり、時間や季節によっても変化する。この場合、チャンネル間にレベル差を生じている場合もある。このレベル差が大きい場合は、非線形歪の影響を受けやすくなり、特に増幅器を用いる受信システムではその影響が大きくなる。このため、チャンネル毎にレベル調整できる装置、すなわち地上デジタルシグナルプロセッサ100が必要となるのである。
この地上デジタルシグナルプロセッサ100は、地上デジタル放送のチャンネル毎の出力レベルを中間周波信号に変換して調整していることから、8チャンネルの地上デジタル放送とされている場合は8チャンネル分の図10に示す構成を備えていなければならず、大型化することになる。また、地上デジタルシグナルプロセッサ100はAGCや出力レベル調整、周波数変換等の様々な機能を備えており、図10に示すように中間周波数に変換して信号処理を行っている。このように、中間周波数に変換することにより、急峻なバンドパスフィルタ(BPF)を容易に実現することができ、目的とするチャンネルのみの中間周波信号を抽出することができる。しかし、中間周波数に変換すると回路規模が大きくなり、さらに高性能の局部発振器が必要となるため、非常に高価な製品になっていた。
そこで、地上デジタルシグナルプロセッサ100を小型化して安価にするべくその構成を簡略化することが要望されている。地上デジタルシグナルプロセッサ100の構成を簡略化するには、図10に示すように中間周波数に一端ダウンコンバートしてレベル調整する代わりに、各チャンネルの高周波信号を中間周波に変換することなく直接高周波信号をレベル調整することが考えられる。高周波信号のレベルを直接調整するには、各チャンネルの信号をバンドパスフィルタ(BPF)によりUHF等の高周波帯域において抽出することが必要となる。
ところで、従来の地上アナログ放送の場合は、周波数軸上に配列されたチャンネルのうち少なくとも1つおきのチャンネルが放送局に割り当てられて送信されている。このため、各チャンネルの高周波信号をBPFで取り出す際に隣接するチャンネル成分がないことから、BPFの通過域特性を急峻な周波数特性とする必要がなく比較的簡易な構成によりBPFを構成することができる。
しかしながら、地上デジタル放送の場合、周波数帯域の有効利用の観点から隣接チャンネルが他の放送局に割り当てられて送信されることが多くされている。このため、各チャンネルの高周波信号を取り出すBPFには、隣接するチャンネルの成分を阻止する急峻な周波数特性が必要とされる。例えば、地上デジタル放送が20チャンネルから27チャンネルの8チャンネルで構成されていると、その周波数帯域は512〜560MHzのUHFの周波数帯域になり、各チャンネルの帯域幅が6MHzとされ両側のガードバンドの帯域幅が約430kHzとされて、各チャンネルを通過させるBPFの通過域特性が次のように規定されている。中心周波数から±2.79MHzの帯域においては減衰量が0dB、中心周波数から±2.86MHzの帯域においては減衰量が−20dB以下、中心周波数から±3MHzの帯域においては減衰量が−27dB以下、中心周波数から±4.95MHzの帯域においては減衰量が−50dB以下、中心周波数から±9MHzの帯域においては減衰量が−50dB以下とされている。このような通過域特性のBPFでは、急峻な遮断特性の減衰傾度が必要とされBPFの構成が複雑になって大型化するため高価となってしまい、地上デジタルシグナルプロセッサを小型化かつ安価に提供することができないという問題点があった。
そこで、本発明は地上デジタル放送における各チャンネルの出力レベルを簡易な構成で調整することのできる地上デジタル放送再送信装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の地上デジタル放送再送信装置は、複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出するバンドパスフィルタ部の遮断特性の減衰傾度が当該チャンネルに隣接するチャンネルの成分も通過する緩やかさとされており、混合部において、当該チャンネルの高周波レベル調整ユニットからの出力に、他のチャンネルの高周波レベル調整ユニットを通過した当該チャンネルの成分が合成されても、ガードインターバルの作用によりサブキャリア間の直交性が維持されることを最も主要な特徴としている。
本発明によれば、複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出するバンドパスフィルタ部の遮断特性の減衰傾度が当該チャンネルに隣接するチャンネルの成分も通過する緩やかさとされており、混合部において、当該チャンネルの高周波レベル調整ユニットからの出力に、他のチャンネルの高周波レベル調整ユニットを通過した当該チャンネルの成分が合成されても、ガードインターバルの作用によりサブキャリア間の直交性が維持されることから、バンドパスフィルタの構成を簡易化することができ、地上デジタル放送再送信装置の構成が簡易化されるようになる。このため、地上デジタル放送再送信装置を小型化して安価とすることができるようになる。なお、バンドパスフィルタ部の通過域が、当該チャンネルに隣接するチャンネルの周波数帯域内にわたっていても、OFDMにおけるガードインターバルの作用によりサブキャリア間の直交性が維持されることから悪影響を防止することができる。
地上デジタル放送における各チャンネルの出力レベルを簡易な構成で調整することのできる地上デジタル放送再送信装置を提供するという目的を、複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出するバンドパスフィルタ部の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされて、当該チャンネルに隣接するチャンネルの成分も通過することで実現した。
本発明の地上デジタル放送再送信装置である地上デジタルシグナルプロセッサの構成を示す回路ブロック図を図1に示す。ただし、図1に示す地上デジタルシグナルプロセッサ1は8チャンネルまでからなる地上デジタル放送に対応する構成とされている。
図1に示すように、本発明にかかる第1の実施例の地上デジタルシグナルプロセッサ1は、複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号がRF入力として供給されている。このRF入力は、分配器11により例えば8分配されてそれぞれの分配出力が8つのRFレベル調整ユニットa,RFレベル調整ユニットb,RFレベル調整ユニットc,RFレベル調整ユニットd,RFレベル調整ユニットe,RFレベル調整ユニットf,RFレベル調整ユニットg,RFレベル調整ユニットhにそれぞれ供給されている。
RFレベル調整ユニットa〜RFレベル調整ユニットhは、地上デジタル放送を構成している各チャンネルの高周波レベルを各チャンネル毎に調整して、所定の出力レベルで出力している。RFレベル調整ユニットa〜RFレベル調整ユニットhから出力された、所定の出力レベルとされたそれぞれのチャンネルの高周波信号は、混合器12で混合されて地上デジタルシグナルプロセッサ1から各チャンネルのレベルが揃えられたRF出力として出力される。
RFレベル調整ユニットa〜RFレベル調整ユニットhは同様の構成とされており、その第1の構成例を示す回路ブロック図を図2に示している。
図2に示すRFレベル調整ユニット10は、第1RF増幅部20とバンドパスフィルタ(BPF)21と第2RF増幅部22とから構成されている。第1RF増幅部20には、地上デジタル放送信号がRF入力として供給されており、第1RF増幅部20はRF入力を所定レベル増幅してBPF21に出力している。この場合、RF増幅部20は固定増幅度のRF増幅器とされている。BPF21は、RFレベル調整ユニット10に割り当てられたチャンネルの高周波信号を抽出するフィルタであるが、当該チャンネルの周波数帯域を中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされている通過域を有している。
このようにして、BPF21から隣接するチャンネルの成分を含んで抽出された当該チャンネルの高周波信号が第2RF増幅部22に供給される。第2RF増幅部22は可変増幅器とされ、供給された高周波信号のレベルを調整して、RF出力のレベルが規定された所定のレベルになるように増幅および出力レベルの自動調整を行っている。さらに、当該チャンネルが放送されていない時(入力がない時)にRFレベル調整ユニット10からの出力を断にするスケルチを備えている。なお、BPF21の通過域はRFレベル調整ユニット10に割り当てられたチャンネルに応じた通過域とされており、当該チャンネルの周波数帯域を中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされている通過域とされていることから、BPF21の構成を簡易化することができる。
次に、RFレベル調整ユニットa〜RFレベル調整ユニットhの第2の構成例を示す回路ブロック図を図3に示す。
図3に示すRFレベル調整ユニット10’は、第1RF増幅部20’とバンドパスフィルタ(BPF)21’と第2RF増幅部22’と制御部(AGC回路)23とから構成されている。第1RF増幅部20’には、地上デジタル放送信号がRF入力として供給されており、第1RF増幅部20はRF入力を所定レベル増幅してBPF21’に出力している。この場合、RF増幅部20’は制御部23により増幅度が制御される可変増幅器とされている。BPF21’は、RFレベル調整ユニット10’に割り当てられたチャンネルの高周波信号を抽出するフィルタであるが、当該チャンネルの周波数帯域を中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされている通過域を有している。
このようにして、BPF21’から隣接するチャンネルの成分を含んで抽出された当該チャンネルの高周波信号が可変増幅器である第2RF増幅部22’に供給されると共に、制御部23に供給される。制御部23では、BPF21’から供給された高周波信号のレベルが所定のレベルになるように、第1RF増幅部20’および第2RF増幅部22’の増幅度の制御を行っている。これにより、第2RF増幅部22’から出力されるRF出力のレベルが規定された所定のレベルとなる。さらに、第2RF増幅部22’は当該チャンネルが放送されていない時(入力がない時)にRFレベル調整ユニット10’からの出力を断にするスケルチを備えている。なお、BPF21’の通過域はRFレベル調整ユニット10’に割り当てられたチャンネルに応じて変更されており、当該チャンネルの周波数帯域を中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされている通過域とされていることから、BPF21’の構成を簡易化することができる。
次に、RFレベル調整ユニット10,10’におけるBPF21,21’の通過域特性の一例を図4を参照して説明する。
図4(a)は、地上デジタルシグナルプロセッサ1に入力されるRF入力であり、地上デジタル放送の複数のチャンネルの高周波信号から構成されている。図示する例では、チャンネルa(CHa)〜チャンネルh(CHh)の8チャンネルから地上デジタル放送が構成されており、各チャンネルのレベルは図示するようにレベル差が生じている。図4(b)は、チャンネルaが割り当てられたRFレベル調整ユニットaにおけるBPFaの通過域特性と通過したチャンネルの信号成分を示す図である。図示するように、BPFaの通過域はチャンネルaを中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされているため、チャンネルaの信号成分a1に加えて、隣接するチャンネルbの一部の信号成分b1もBPFaから出力されるようになる。
また、図4(c)は、チャンネルbが割り当てられたRFレベル調整ユニットbにおけるBPFbの通過域特性と通過したチャンネルの信号成分を示す図である。図示するように、BPFbの通過域はチャンネルbを中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされているため、チャンネルbの信号成分b2に加えて、隣接するチャンネルaの一部の信号成分a2およびチャンネルcの信号成分c2もBPFbから出力されるようになる。
さらに、図4(d)は、チャンネルcが割り当てられたRFレベル調整ユニットcにおけるBPFcの通過域特性と通過したチャンネルの信号成分を示す図である。図示するように、BPFcの通過域はチャンネルcを中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされているため、チャンネルcの信号成分c3に加えて、隣接するチャンネルbの一部の信号成分b3およびチャンネルdの信号成分d3もBPFcから出力されるようになる。
さらにまた、図4(e)は、チャンネルdが割り当てられたRFレベル調整ユニットdにおけるBPFdの通過域特性と通過したチャンネルの信号成分を示す図である。図示するように、BPFdの通過域はチャンネルdを中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされているため、チャンネルdの信号成分d4に加えて、隣接するチャンネルcの一部の信号成分c4およびチャンネルeの信号成分e4もBPFdから出力されるようになる。
さらにまた、図4(f)は、チャンネルeが割り当てられたRFレベル調整ユニットeにおけるBPFeの通過域特性と通過したチャンネルの信号成分を示す図である。図示するように、BPFeの通過域はチャンネルeを中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされているため、チャンネルeの信号成分e5に加えて、隣接するチャンネルdの一部の信号成分d5およびチャンネルfの信号成分f5もBPFeから出力されるようになる。
チャンネルf〜hが割り当てられたRFレベル調整ユニットf〜hも同様に動作するが、図4では省略している。
これらのBPFa〜BPFhを通過した高周波信号は、それぞれ規定されたレベルにレベル調整されて混合器12により混合されるようになる。これにより、混合器12からはレベルの揃えられたチャンネルaないしチャンネルhからなる図4(g)に示す地上デジタル放送のRF出力が出力されるようになる。
ここで、チャンネルbに着目すると、チャンネルbの成分はBPFbから出力されるメインの信号成分b2に、一部通過したBPFaから出力される信号成分b1とBPFcから出力される信号成分b3とが合成されて出力されるようになる。ここで、RFレベル調整ユニットa、RFレベル調整ユニットb、RFレベル調整ユニットcの信号の遅延時間は通常は一致しないことから出力されるチャンネルb1,b2,b3の成分も互いに遅延時間がずれているようになる。この場合、アナログ放送とされている場合は遅延時間がずれている3つの成分を合成するとゴーストが発生するようになる。しかし、地上デジタル放送はガードインターバルを有する直交周波数分割多重通信方式(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)とされているため、遅延時間がずれている3つの成分を合成してもゴーストが発生しないようになる。このことを図7ないし図9を参照して説明する。
図7はOFDM信号の概要を示す図であり、図8、図9はガードインターバル(GI)の作用を示す図である。
OFDM信号は互いに直交関係にある多数のキャリアから構成されている。例えば、図7に示すように互いに直交関係にあるキャリア0,キャリア1,・・・,キャリアkの(k+1)個のキャリアを加算することによりOFDM信号を形成している。この(k+1)個のキャリアは、それぞれ異なる送信データで変調されている。図7の左側に示す波形は、キャリア0,キャリア1,・・・,キャリアkの各スペクトルと(k+1)個のキャリアを加算したOFDM信号のスペクトルであり横軸は周波数とされている。また、図7の右側に示す波形は、キャリア0,キャリア1,・・・,キャリアkの各波形と(k+1)個のキャリアを加算したOFDM信号の波形であり横軸は時間とされている。
このようなOFDM信号では、シンボル期間Tsの前に期間Tgのガードインターバル(GI:Guard Intarval)を付加している。このGIの期間Tgには、シンボル期間Tsにおける終わりの期間Tg’の波形がコピーされる。これにより、GIの波形とシンボルの波形との位相が連続するようになり、GIを付加しても波形の直交性を維持することができるようになる。このように、OFDMでは、情報データ系列を互いに直交する多数のサブキャリアを用いて伝送するようにしている。この場合、シンボル期間Tsを長くすることができることから、ゴースト妨害を軽減することができるようになる。さらに、ガードインターバルを設けることにより周波数選択性フェージングに強くなる。また、各サブキャリアのスペクトルを密に配置することができ、周波数利用効率を高めることができる。さらにまた、各サブキャリアへの情報を任意に割り当てることができるため、干渉が予想されるサブキャリアは使用しない等の柔軟な情報伝送を可能とすることができる。
次に、ガードインターバルの作用を説明するが、図8にガードインターバルを設けないOFDMにおいてマルチパス伝搬が生じた場合を示している。
この場合、マルチパス伝搬が生じると、主波と、主波が遅延された遅延波とが受信側に到来し、その合成波が受信されるようになる。ここでは、遅延波は主波より遅延時間tdだけ遅延している。すると、合成波におけるシンボル期間Ts1において遅延波には1つ前のシンボルSn−1のシンボル期間が一部含まれるようになるため、遅延時間td内において合成波の直交性が乱れるようになる。このため、シンボル期間Ts1におけるシンボルSnを復調することができないことになる。シンボルSn+1についても同様であり、遅延時間td内において合成波の直交性が1つ前のシンボルSnのシンボル期間により乱され、シンボル期間Ts2におけるシンボルSn+1を復調することができないことになる。
そこで、図9にガードインターバルを設けたOFDMにおいてマルチパス伝搬が生じた場合を示している。
この場合、マルチパス伝搬が生じると、主波と、主波が遅延された遅延波とが受信側に到来し、その合成波が受信されるようになる。ここでは、遅延波は主波より遅延時間tdだけ遅延している。ただし、遅延時間tdはガードインターバル(GI)以内の時間とされている。すると、合成波におけるシンボル期間Ts1において遅延波にはシンボルSnのガードインターバル期間が一部含まれるようになるため、遅延時間td内においても合成波の直交性が乱れることがなくなる。このため、遅延波の影響を受けることなくシンボル期間Ts1におけるシンボルSnを復調することができるようになる。シンボルSn+1についても同様であり、遅延時間td内において合成波の直交性はシンボルSn+1のガードインターバル期間により乱されることはなく、シンボル期間Ts2におけるシンボルSn+1を復調することができるようになる。このように、遅延波がガードインターバルの期間よりも小さい遅延時間だけ遅延している場合は、マルチパス伝搬が生じてもOFDMにおけるサブキャリア間の直交性が維持され、伝送特性の劣化を防止することができる。
ここで、図4に戻りチャンネルbに着目すると、チャンネルbの成分はBPFbから出力されるメインの信号成分b2に、BPFaから出力される信号成分b1とBPFcから出力される信号成分b3とが合成されて出力されるようになる。そして、RFレベル調整ユニットa、RFレベル調整ユニットb、RFレベル調整ユニットcの信号の遅延時間は通常は一致していないことから出力されるチャンネルb1,b2,b3の成分も互いに遅延時間がずれているようになる。しかし、地上デジタル放送がOFDMとされてガードインターバルを有していることから、図9で説明したガードインターバルの作用により互いに異なる遅延時間の成分b1,成分b2,成分b3が合成されてもOFDMにおけるサブキャリア間の直交性が維持されるようになり、ゴーストを発生しないようになる。かえって、チャンネルのレベルは各成分b1,b2,b3が合成されて大きくなる。これは、チャンネルb以外のチャンネルについても同様である。
なお、両端のチャンネルaおよびチャンネルhについては合成される成分が2つとなり合成した際のレベルが他のチャンネルより若干低下するようになるので、RFレベル調整ユニットaおよびRFレベル調整ユニットhにおいては出力レベルを若干大きくしておくことが好適である。
このように、RFレベル調整ユニット10,10’が備えるBPF21,21’の遮断特性の減衰傾度を緩やかとしても、ゴーストを発生することなく地上デジタル放送の各チャンネルのレベルを揃えることができるようになる。したがって、簡易な構成のBPF21,BPF21’を採用することができ、地上デジタルシグナルプロセッサ1を小型化かつ安価にすることができるようになる。
RFレベル調整ユニット10が備えるBPF21,21’の通過域特性は図4に示す通過域特性に限らず、図5に示す遮断特性の減衰傾度がより緩やかとされている通過域特性としてもよい。
図5(a)ないし図5(g)は、それぞれ図4(a)ないし図4(g)に対応しており、図5(a)に示すRF入力がRFレベル調整ユニットaないしRFレベル調整ユニットhに入力され、図5(b)ないし図5(f)に示す通過域特性のBPFa’〜BPFh’により各チャンネルの高周波信号が抽出される。この場合、図5(b)ないし図5(f)に示すようにBPFa’〜BPFh’の通過域特性は、図4に示す通過域特性よりさらに両側の遮断特性の減衰傾度がより緩やかとされた通過域特性とされている。これにより、図示するように両側に位置する隣接するチャンネルの成分がより通過されるようになる。これらのBPFa’〜BPFh’を通過した高周波信号は、それぞれ規定されたレベルにレベル調整されて混合器12により混合されるようになる。これにより、混合器12からはレベルの揃えられたチャンネルaないしチャンネルhからなる図5(g)に示す地上デジタル放送のRF出力が出力されるようになる。
ここで、チャンネルbに着目すると、チャンネルbの成分はBPFb’から出力されるメインの信号成分b2’に、BPFa’から出力される信号成分b1’とBPFc’から出力される信号成分b3’とが合波されて出力されるようになる。ここで、RFレベル調整ユニットa、RFレベル調整ユニットb、RFレベル調整ユニットcの信号の遅延時間は通常は一致していないことから出力されるチャンネルbの成分も互いに遅延時間がずれているようになる。しかし、地上デジタル放送がOFDMとされてガードインターバルを有していることから、図9で説明したガードインターバルの作用により互いに異なる遅延時間の成分b1’,成分b2’,成分b3’が合成されてもOFDMにおけるサブキャリア間の直交性が維持されるようになり、ゴーストを発生しないようになる。かえって、チャンネルのレベルは各成分b1’,b2’,b3’が合成されて大きくなる。これは、チャンネルb以外のチャンネルについても同様である。
このように、RFレベル調整ユニット10,10’が備えるBPF21,21’の遮断特性の減衰傾度を図5に示すようにより緩やかにしても、ゴーストを発生することなく地上デジタル放送の各チャンネルのレベルを揃えることができるようになる。したがって、簡易な構成のBPF21,BPF21’を採用することができ、地上デジタルシグナルプロセッサ1を小型化かつ安価にすることができるようになる。
なお、両端のチャンネルaおよびチャンネルhについては合成される成分が2つとなり合成した際のレベルが他のチャンネルより若干低下するようになるので、RFレベル調整ユニットaおよびRFレベル調整ユニットhにおいては出力レベルを若干大きくしておくことが好適である。
通過域特性の具体例について説明すると、図4に示すRFレベル調整ユニット10が備えるBPF21,21’の通過域特性では、中心周波数から±2.8MHzの帯域においては減衰量が0dB、中心周波数から±3.2MHzの帯域においては減衰量が−20dB以下とされる緩やかな減衰傾度とされている。そして、帯域が増加するに伴い減衰量も増加していく通過域特性とされている。また、図5に示すRFレベル調整ユニット10が備えるBPF21,21’の通過域特性では、通過帯域が若干広くされており遮断特性の減衰傾度が400kHzの帯域幅で−20dB以上減衰する緩やかな減衰傾度とされている。そして、帯域が増加するに伴い減衰量も増加していく通過域特性とされている。
なお、従来において規定されている減衰傾度は、前述したように遮断特性の減衰傾度が130kHzの帯域幅で−20dB以上減衰する急峻な減衰傾度とされている。
RFレベル調整ユニット10が備えるBPF21,21’の通過域特性を、さらに図6に示すように通過域に対する阻止域の減衰量が小さくされた通過域特性としてもよい。
図6(a)ないし図6(g)は、それぞれ図4(a)ないし図4(g)に対応しており、図6(a)に示すRF入力がRFレベル調整ユニットaないしRFレベル調整ユニットhに入力され、図6(b)ないし図5(f)に示す通過域特性のBPFa”〜BPFh”により各チャンネルの高周波信号が抽出される。この場合、図6(b)ないし図6(f)に示すようにBPFa”〜BPFh”の通過域特性は、図4に示す通過域特性に比べて通過域に対する阻止域の減衰量が小さくされた通過域特性とされている。これにより、図示するように通過させるチャンネル以外のチャンネルの成分も通過されるようになる。これらのBPFa”〜BPFh”を通過した高周波信号は、それぞれ規定されたレベルにレベル調整されて混合器12により混合されるようになる。これにより、混合器12からはレベルの揃えられたチャンネルaないしチャンネルhからなる図6(g)に示す地上デジタル放送のRF出力が出力されるようになる。
ここで、チャンネルbに着目すると、チャンネルbの成分はBPFb”から出力されるメインの信号成分b2”に、BPFa”から出力される信号成分b1”と、BPFc”から出力される信号成分b3”と、BPFd”から出力される信号成分b4”と、BPFe”から出力される信号成分b5”と、図示しないBPFf”から出力される信号成分b6”と、BPFg”から出力される信号成分b7”と、BPFh”から出力される信号成分b8”とが合波されて出力されるようになる。ここで、RFレベル調整ユニットaないしRFレベル調整ユニットhの信号の遅延時間は通常はそれぞれ一致していないことから、RFレベル調整ユニットaないしRFレベル調整ユニットhから出力されるそれぞれのチャンネルbの成分も互いに遅延時間がずれているようになる。しかし、地上デジタル放送がOFDMとされてガードインターバルを有していることから、図9で説明したガードインターバルの作用により互いに異なる遅延時間の成分b1”,成分b2”,成分b3”,成分b4”,成分b5”,成分b6”,成分b7”,成分b8”が合成されてもOFDMにおけるサブキャリア間の直交性が維持されるようになり、ゴーストを発生しないようになる。かえって、チャンネルのレベルは各成分b1”ないし成分b8”が合成されて大きくなる。これは、チャンネルb以外のチャンネルについても同様である。
このように、RFレベル調整ユニット10,10’が備えるBPF21,21’の通過域に対する阻止域の減衰量を図6に示すように小さくしても、ゴーストを発生することなく地上デジタル放送の各チャンネルのレベルを揃えることができるようになる。したがって、簡易な構成のBPF21,BPF21’を採用することができ、地上デジタルシグナルプロセッサ1を小型化かつ安価にすることができるようになる。この場合のRFレベル調整ユニット10,10’が備えるBPF21,21’の通過域特性の具体例をあげると、中心周波数から±2.8MHzの帯域においては減衰量が0dB、中心周波数から±3.2MHzの帯域においては減衰量が−20dB以下とされる緩やかな減衰傾度とされている。そして、帯域が増加しても減衰量は増加せず−20dB以下を維持する通過域特性とされている。
以上説明した本発明にかかるRFレベル調整ユニット10,10’が備えるBPF21,21’は、ヘリカルフィルタや表面弾性波(SAW)フィルタあるいは誘電体フィルタにより構成することができる。
なお、以上の説明では地上デジタル放送再送信装置としたが、本発明は、これに限るものではなくOFDMの複数チャンネルを備える通信装置に適用することができる。
本発明の地上デジタル放送再送信装置である地上デジタルシグナルプロセッサの構成を示す回路ブロック図である。 本発明にかかる地上デジタルシグナルプロセッサにおけるRFレベル調整ユニットの第1の構成例を示す回路ブロック図である。 本発明にかかる地上デジタルシグナルプロセッサにおけるRFレベル調整ユニットの第2の構成例を示す回路ブロック図である。 本発明にかかる地上デジタルシグナルプロセッサにおけるRFレベル調整ユニットのBPFの通過域特性の一例を示す図である。 本発明にかかる地上デジタルシグナルプロセッサにおけるRFレベル調整ユニットのBPFの通過域特性の他の例を示す図である。 本発明にかかる地上デジタルシグナルプロセッサにおけるRFレベル調整ユニットのBPFの通過域特性のさらに他の例を示す図である。 OFDM信号の概要を示す図である。 ガードインターバルを設けないOFDMにおいてマルチパス伝搬が生じた場合を示す図である。 ガードインターバルを設けたOFDMにおいてマルチパス伝搬が生じた場合を示す図である。 従来の地上デジタルシグナルプロセッサの構成を示す回路ブロック図である。
符号の説明
1 地上デジタルシグナルプロセッサ
10,10’ レベル調整ユニット
11 分配器
12 混合器
20,20’ 第1RF増幅部
21,21’ BPF
22,22’ 第2RF増幅部
23 制御部(AGC回路)
100 地上デジタルシグナルプロセッサ
110 RF増幅部
111 第1局部発振器
112 信号処理部
114 AGC回路
116 レベル調整部
117 第2局部発振器
SW スイッチ

Claims (4)

  1. ガードインターバルを有する直交周波数分割多重通信方式(OFDM)とされた複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号の各チャンネルのレベルを揃えて出力する地上デジタル放送再送信装置であって、
    入力された複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出するバンドパスフィルタ部と、該バンドパスフィルタ部から出力された高周波信号のレベルが所定のレベルになるよう調整する高周波レベル調整部とからなり、入力されたチャンネルの高周波信号のレベル、所定のレベルになるよう調整する各チャンネル毎に設けられた高周波レベル調整ユニットと、
    各チャンネル毎に設けられた前記高周波レベル調整ユニットから出力された各チャンネルの高周波信号を混合して出力する混合部とを備え、
    前記高周波レベル調整ユニットにおける前記バンドパスフィルタ部の遮断特性の減衰傾度が当該チャンネルに隣接するチャンネルの成分も通過する緩やかさとされており、前記混合部において、当該チャンネルの前記高周波レベル調整ユニットからの出力に、他のチャンネルの前記高周波レベル調整ユニットを通過した当該チャンネルの成分が合成されても、前記ガードインターバルの作用によりサブキャリア間の直交性が維持されることを特徴とする地上デジタル放送再送信装置。
  2. ガードインターバルを有する直交周波数分割多重通信方式(OFDM)とされた複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号の各チャンネルのレベルを揃えて出力する地上デジタル放送再送信装置であって、
    入力された複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出するバンドパスフィルタ部と、該バンドパスフィルタ部から出力された高周波信号のレベルが所定のレベルになるよう調整する高周波レベル調整部とからなり、入力されたチャンネルの高周波信号のレベル、所定のレベルになるよう調整する各チャンネル毎に設けられた高周波レベル調整ユニットと、
    該高周波レベル調整ユニットから出力された各チャンネルの高周波信号を混合して出力する混合部とを備え、
    前記高周波レベル調整ユニットにおける前記バンドパスフィルタ部の通過域に対する阻止域の減衰量が当該チャンネル以外の他のチャンネルの成分も通過する小ささとされており、前記混合部において、当該チャンネルの前記高周波レベル調整ユニットからの出力に、他のチャンネルの前記高周波レベル調整ユニットを通過した当該チャンネルの成分が合成されても、前記ガードインターバルの作用によりサブキャリア間の直交性が維持されることを特徴とする地上デジタル放送再送信装置。
  3. 前記高周波レベル調整ユニットは、入力された地上デジタル放送信号を増幅する高周波増幅器と、該高周波増幅器で増幅された地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出する前記バンドパスフィルタ部と、該バンドパスフィルタ部から出力された高周波信号のレベルが所定のレベルになるよう調整する高周波可変増幅器とから構成されていることを特徴とする請求項1あるいは2記載の地上デジタル放送再送信装置。
  4. 前記高周波レベル調整ユニットは、入力された地上デジタル放送信号を増幅する第1高周波可変増幅器と、該高周波可変増幅器で増幅された地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出する前記バンドパスフィルタ部と、該バンドパスフィルタ部から出力された高周波信号を増幅する第2高周波可変増幅器と、該第2高周波可変増幅器から出力される高周波信号のレベルが所定のレベルになるよう前記第1高周波可変増幅器および前記第2高周波可変増幅器を自動制御する制御部とから構成されていることを特徴とする請求項1あるいは2記載の地上デジタル放送再送信装置。
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