JP4435628B2 - 地上デジタル放送再送信装置 - Google Patents
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Description
図10に示す地上デジタルシグナルプロセッサ100には、地上デジタル放送信号がRF入力として供給されている。このRF入力は、RF増幅部110に印加されて高周波増幅され第1ミキサ(MIXa)に印加される。MIX1には第1局部発振器(OSC1)111からの局発信号が供給されており、この局発信号によりRF入力の内の所定チャンネルが周波数変換されてMIX1から中間周波信号とされて出力される。この中間周波信号は、IF信号処理部112において信号処理が行われると共に、出力される中間周波信号の出力レベルがAGC回路114により規定されたレベルになるよう制御される。なお、AGC回路114はIF信号処理部112から出力される中間周波信号のレベルを検出し、検出したレベルに応じてRF増幅部110の増幅度、及び、IF信号処理部112の増幅度を制御している。
そこで、地上デジタルシグナルプロセッサ100を小型化して安価にするべくその構成を簡略化することが要望されている。地上デジタルシグナルプロセッサ100の構成を簡略化するには、図10に示すように中間周波数に一端ダウンコンバートしてレベル調整する代わりに、各チャンネルの高周波信号を中間周波に変換することなく直接高周波信号をレベル調整することが考えられる。高周波信号のレベルを直接調整するには、各チャンネルの信号をバンドパスフィルタ(BPF)によりUHF等の高周波帯域において抽出することが必要となる。
図1に示すように、本発明にかかる第1の実施例の地上デジタルシグナルプロセッサ1は、複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号がRF入力として供給されている。このRF入力は、分配器11により例えば8分配されてそれぞれの分配出力が8つのRFレベル調整ユニットa,RFレベル調整ユニットb,RFレベル調整ユニットc,RFレベル調整ユニットd,RFレベル調整ユニットe,RFレベル調整ユニットf,RFレベル調整ユニットg,RFレベル調整ユニットhにそれぞれ供給されている。
RFレベル調整ユニットa〜RFレベル調整ユニットhは、地上デジタル放送を構成している各チャンネルの高周波レベルを各チャンネル毎に調整して、所定の出力レベルで出力している。RFレベル調整ユニットa〜RFレベル調整ユニットhから出力された、所定の出力レベルとされたそれぞれのチャンネルの高周波信号は、混合器12で混合されて地上デジタルシグナルプロセッサ1から各チャンネルのレベルが揃えられたRF出力として出力される。
図2に示すRFレベル調整ユニット10は、第1RF増幅部20とバンドパスフィルタ(BPF)21と第2RF増幅部22とから構成されている。第1RF増幅部20には、地上デジタル放送信号がRF入力として供給されており、第1RF増幅部20はRF入力を所定レベル増幅してBPF21に出力している。この場合、RF増幅部20は固定増幅度のRF増幅器とされている。BPF21は、RFレベル調整ユニット10に割り当てられたチャンネルの高周波信号を抽出するフィルタであるが、当該チャンネルの周波数帯域を中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされている通過域を有している。
図3に示すRFレベル調整ユニット10’は、第1RF増幅部20’とバンドパスフィルタ(BPF)21’と第2RF増幅部22’と制御部(AGC回路)23とから構成されている。第1RF増幅部20’には、地上デジタル放送信号がRF入力として供給されており、第1RF増幅部20はRF入力を所定レベル増幅してBPF21’に出力している。この場合、RF増幅部20’は制御部23により増幅度が制御される可変増幅器とされている。BPF21’は、RFレベル調整ユニット10’に割り当てられたチャンネルの高周波信号を抽出するフィルタであるが、当該チャンネルの周波数帯域を中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされている通過域を有している。
図4(a)は、地上デジタルシグナルプロセッサ1に入力されるRF入力であり、地上デジタル放送の複数のチャンネルの高周波信号から構成されている。図示する例では、チャンネルa(CHa)〜チャンネルh(CHh)の8チャンネルから地上デジタル放送が構成されており、各チャンネルのレベルは図示するようにレベル差が生じている。図4(b)は、チャンネルaが割り当てられたRFレベル調整ユニットaにおけるBPFaの通過域特性と通過したチャンネルの信号成分を示す図である。図示するように、BPFaの通過域はチャンネルaを中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされているため、チャンネルaの信号成分a1に加えて、隣接するチャンネルbの一部の信号成分b1もBPFaから出力されるようになる。
さらに、図4(d)は、チャンネルcが割り当てられたRFレベル調整ユニットcにおけるBPFcの通過域特性と通過したチャンネルの信号成分を示す図である。図示するように、BPFcの通過域はチャンネルcを中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされているため、チャンネルcの信号成分c3に加えて、隣接するチャンネルbの一部の信号成分b3およびチャンネルdの信号成分d3もBPFcから出力されるようになる。
さらにまた、図4(f)は、チャンネルeが割り当てられたRFレベル調整ユニットeにおけるBPFeの通過域特性と通過したチャンネルの信号成分を示す図である。図示するように、BPFeの通過域はチャンネルeを中心として両側の遮断特性の減衰傾度が緩やかとされているため、チャンネルeの信号成分e5に加えて、隣接するチャンネルdの一部の信号成分d5およびチャンネルfの信号成分f5もBPFeから出力されるようになる。
チャンネルf〜hが割り当てられたRFレベル調整ユニットf〜hも同様に動作するが、図4では省略している。
ここで、チャンネルbに着目すると、チャンネルbの成分はBPFbから出力されるメインの信号成分b2に、一部通過したBPFaから出力される信号成分b1とBPFcから出力される信号成分b3とが合成されて出力されるようになる。ここで、RFレベル調整ユニットa、RFレベル調整ユニットb、RFレベル調整ユニットcの信号の遅延時間は通常は一致しないことから出力されるチャンネルb1,b2,b3の成分も互いに遅延時間がずれているようになる。この場合、アナログ放送とされている場合は遅延時間がずれている3つの成分を合成するとゴーストが発生するようになる。しかし、地上デジタル放送はガードインターバルを有する直交周波数分割多重通信方式(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)とされているため、遅延時間がずれている3つの成分を合成してもゴーストが発生しないようになる。このことを図7ないし図9を参照して説明する。
OFDM信号は互いに直交関係にある多数のキャリアから構成されている。例えば、図7に示すように互いに直交関係にあるキャリア0,キャリア1,・・・,キャリアkの(k+1)個のキャリアを加算することによりOFDM信号を形成している。この(k+1)個のキャリアは、それぞれ異なる送信データで変調されている。図7の左側に示す波形は、キャリア0,キャリア1,・・・,キャリアkの各スペクトルと(k+1)個のキャリアを加算したOFDM信号のスペクトルであり横軸は周波数とされている。また、図7の右側に示す波形は、キャリア0,キャリア1,・・・,キャリアkの各波形と(k+1)個のキャリアを加算したOFDM信号の波形であり横軸は時間とされている。
この場合、マルチパス伝搬が生じると、主波と、主波が遅延された遅延波とが受信側に到来し、その合成波が受信されるようになる。ここでは、遅延波は主波より遅延時間tdだけ遅延している。すると、合成波におけるシンボル期間Ts1において遅延波には1つ前のシンボルSn−1のシンボル期間が一部含まれるようになるため、遅延時間td内において合成波の直交性が乱れるようになる。このため、シンボル期間Ts1におけるシンボルSnを復調することができないことになる。シンボルSn+1についても同様であり、遅延時間td内において合成波の直交性が1つ前のシンボルSnのシンボル期間により乱され、シンボル期間Ts2におけるシンボルSn+1を復調することができないことになる。
この場合、マルチパス伝搬が生じると、主波と、主波が遅延された遅延波とが受信側に到来し、その合成波が受信されるようになる。ここでは、遅延波は主波より遅延時間tdだけ遅延している。ただし、遅延時間tdはガードインターバル(GI)以内の時間とされている。すると、合成波におけるシンボル期間Ts1において遅延波にはシンボルSnのガードインターバル期間が一部含まれるようになるため、遅延時間td内においても合成波の直交性が乱れることがなくなる。このため、遅延波の影響を受けることなくシンボル期間Ts1におけるシンボルSnを復調することができるようになる。シンボルSn+1についても同様であり、遅延時間td内において合成波の直交性はシンボルSn+1のガードインターバル期間により乱されることはなく、シンボル期間Ts2におけるシンボルSn+1を復調することができるようになる。このように、遅延波がガードインターバルの期間よりも小さい遅延時間だけ遅延している場合は、マルチパス伝搬が生じてもOFDMにおけるサブキャリア間の直交性が維持され、伝送特性の劣化を防止することができる。
このように、RFレベル調整ユニット10,10’が備えるBPF21,21’の遮断特性の減衰傾度を緩やかとしても、ゴーストを発生することなく地上デジタル放送の各チャンネルのレベルを揃えることができるようになる。したがって、簡易な構成のBPF21,BPF21’を採用することができ、地上デジタルシグナルプロセッサ1を小型化かつ安価にすることができるようになる。
図5(a)ないし図5(g)は、それぞれ図4(a)ないし図4(g)に対応しており、図5(a)に示すRF入力がRFレベル調整ユニットaないしRFレベル調整ユニットhに入力され、図5(b)ないし図5(f)に示す通過域特性のBPFa’〜BPFh’により各チャンネルの高周波信号が抽出される。この場合、図5(b)ないし図5(f)に示すようにBPFa’〜BPFh’の通過域特性は、図4に示す通過域特性よりさらに両側の遮断特性の減衰傾度がより緩やかとされた通過域特性とされている。これにより、図示するように両側に位置する隣接するチャンネルの成分がより通過されるようになる。これらのBPFa’〜BPFh’を通過した高周波信号は、それぞれ規定されたレベルにレベル調整されて混合器12により混合されるようになる。これにより、混合器12からはレベルの揃えられたチャンネルaないしチャンネルhからなる図5(g)に示す地上デジタル放送のRF出力が出力されるようになる。
なお、両端のチャンネルaおよびチャンネルhについては合成される成分が2つとなり合成した際のレベルが他のチャンネルより若干低下するようになるので、RFレベル調整ユニットaおよびRFレベル調整ユニットhにおいては出力レベルを若干大きくしておくことが好適である。
なお、従来において規定されている減衰傾度は、前述したように遮断特性の減衰傾度が130kHzの帯域幅で−20dB以上減衰する急峻な減衰傾度とされている。
図6(a)ないし図6(g)は、それぞれ図4(a)ないし図4(g)に対応しており、図6(a)に示すRF入力がRFレベル調整ユニットaないしRFレベル調整ユニットhに入力され、図6(b)ないし図5(f)に示す通過域特性のBPFa”〜BPFh”により各チャンネルの高周波信号が抽出される。この場合、図6(b)ないし図6(f)に示すようにBPFa”〜BPFh”の通過域特性は、図4に示す通過域特性に比べて通過域に対する阻止域の減衰量が小さくされた通過域特性とされている。これにより、図示するように通過させるチャンネル以外のチャンネルの成分も通過されるようになる。これらのBPFa”〜BPFh”を通過した高周波信号は、それぞれ規定されたレベルにレベル調整されて混合器12により混合されるようになる。これにより、混合器12からはレベルの揃えられたチャンネルaないしチャンネルhからなる図6(g)に示す地上デジタル放送のRF出力が出力されるようになる。
以上説明した本発明にかかるRFレベル調整ユニット10,10’が備えるBPF21,21’は、ヘリカルフィルタや表面弾性波(SAW)フィルタあるいは誘電体フィルタにより構成することができる。
10,10’ レベル調整ユニット
11 分配器
12 混合器
20,20’ 第1RF増幅部
21,21’ BPF
22,22’ 第2RF増幅部
23 制御部(AGC回路)
100 地上デジタルシグナルプロセッサ
110 RF増幅部
111 第1局部発振器
112 信号処理部
114 AGC回路
116 レベル調整部
117 第2局部発振器
SW スイッチ
Claims (4)
- ガードインターバルを有する直交周波数分割多重通信方式(OFDM)とされた複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号の各チャンネルのレベルを揃えて出力する地上デジタル放送再送信装置であって、
入力された複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出するバンドパスフィルタ部と、該バンドパスフィルタ部から出力された高周波信号のレベルが所定のレベルになるよう調整する高周波レベル調整部とからなり、入力されたチャンネルの高周波信号のレベルを、所定のレベルになるよう調整する各チャンネル毎に設けられた高周波レベル調整ユニットと、
各チャンネル毎に設けられた前記高周波レベル調整ユニットから出力された各チャンネルの高周波信号を混合して出力する混合部とを備え、
前記高周波レベル調整ユニットにおける前記バンドパスフィルタ部の遮断特性の減衰傾度が、当該チャンネルに隣接するチャンネルの成分も通過する緩やかさとされており、前記混合部において、当該チャンネルの前記高周波レベル調整ユニットからの出力に、他のチャンネルの前記高周波レベル調整ユニットを通過した当該チャンネルの成分が合成されても、前記ガードインターバルの作用によりサブキャリア間の直交性が維持されることを特徴とする地上デジタル放送再送信装置。 - ガードインターバルを有する直交周波数分割多重通信方式(OFDM)とされた複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号の各チャンネルのレベルを揃えて出力する地上デジタル放送再送信装置であって、
入力された複数チャンネルからなる地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出するバンドパスフィルタ部と、該バンドパスフィルタ部から出力された高周波信号のレベルが所定のレベルになるよう調整する高周波レベル調整部とからなり、入力されたチャンネルの高周波信号のレベルを、所定のレベルになるよう調整する各チャンネル毎に設けられた高周波レベル調整ユニットと、
該高周波レベル調整ユニットから出力された各チャンネルの高周波信号を混合して出力する混合部とを備え、
前記高周波レベル調整ユニットにおける前記バンドパスフィルタ部の通過域に対する阻止域の減衰量が、当該チャンネル以外の他のチャンネルの成分も通過する小ささとされており、前記混合部において、当該チャンネルの前記高周波レベル調整ユニットからの出力に、他のチャンネルの前記高周波レベル調整ユニットを通過した当該チャンネルの成分が合成されても、前記ガードインターバルの作用によりサブキャリア間の直交性が維持されることを特徴とする地上デジタル放送再送信装置。 - 前記高周波レベル調整ユニットは、入力された地上デジタル放送信号を増幅する高周波増幅器と、該高周波増幅器で増幅された地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出する前記バンドパスフィルタ部と、該バンドパスフィルタ部から出力された高周波信号のレベルが所定のレベルになるよう調整する高周波可変増幅器とから構成されていることを特徴とする請求項1あるいは2記載の地上デジタル放送再送信装置。
- 前記高周波レベル調整ユニットは、入力された地上デジタル放送信号を増幅する第1高周波可変増幅器と、該高周波可変増幅器で増幅された地上デジタル放送信号からレベルを調整すべきチャンネルの高周波信号を抽出する前記バンドパスフィルタ部と、該バンドパスフィルタ部から出力された高周波信号を増幅する第2高周波可変増幅器と、該第2高周波可変増幅器から出力される高周波信号のレベルが所定のレベルになるよう前記第1高周波可変増幅器および前記第2高周波可変増幅器を自動制御する制御部とから構成されていることを特徴とする請求項1あるいは2記載の地上デジタル放送再送信装置。
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