以下、本発明に係るストレッチャーの実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1は、入浴システムを表す平面図である。図1において、符号Mは病人や寝たきりの老人あるいは手術後の患者等の要介助者であり、符号Nは要介助者Mを介助する介助者である。符号1は、例えば病室から浴室あるいは逆に浴室から病室へ移送するためのストレッチャーセットであり、図1に示すように、ストレッチャーセット1は、要介助者Mが載せられている担架3と、担架3を載せるストレッチャー2とから構成されている。符号4は、担架3に載せられた要介助者Mを担架3に載せたままの状態で入浴させる入浴装置である。図1に示すように、入浴装置4の側方にストレッチャー2が横付けされ、担架3が入浴装置4とストレッチャー2との間を往来する入浴システムによって要介助者Mは介助者Nの介助のもと入浴する。なお、図1は、ストレッチャー1により移送された要介助者Mを入浴させる入浴装置4に担架3が移動した状態を示している。
[ストレッチャー]
図2はストレッチャー2の平面図であり、図3はストレッチャー2の側面図であり、図4はストレッチャー2の正面図である。図2,図3,図4に示すように、ストレッチャー2は、下端四隅に車輪5が付設されたフレーム6と、フレーム6上に取り付けられた水受盤7と、水受盤7上に取り付けられたレール台8と、レール台8上に架設されたストレッチャー側ガイドレール9と、ストレッチャー側ガイドレール9上に移動自在に載せられた担架3を仮固定するストレッチャー側担架ストッパー部10と、入浴装置4に仮固定するストレッチャーストッパー機構11と、担架3の移動を規制するストレッチャー側ロック機構12とから構成されている。
レール台8は、ストレッチャー2の長辺方向に二本平行に延在する角形棒材8aと、二本の角形棒材8aの間に架設された二本平行に延在する角形棒材8bとから構成されている。二本の角形棒材8a上にはストレッチャー側ガイドレール9が二本平行に架設されている。ストレッチャー側ガイドレール9はストレッチャー2の短辺方向に延在されており、ストレッチャー2の一方の側端から他方の側端にかけて設けられている。また、二本の角形棒材8bの上面にはストレッチャー側担架ストッパー部10がそれぞれ立設されており、二つのストレッチャー側担架ストッパー部10は互いに対向されている。
図5はストレッチャー側担架ストッパー部10の立面図である。図5に示すように、ストレッチャー側ストッパー部10は、角形棒材8bの上面に水平に固着された矩形のプレート10aと、このプレート10aに鉛直に立設されているとともに上部が逆三角形状に形成されたプレート10bと、このプレート10bの上部にから対向する他方のストレッチャー側ストッパー部10の方向に張り出されたプレート10cと、このプレート10cの先端に設けられているとともに中央部に下端から上方にかけて延在するスリット10eが形成されている逆三角形状のプレート10dとから構成されている。
図6はフレーム6の下端部の平面図である。図3,図4,図6に示すように、ストレッチャーストッパー機構11は、フレーム6の両側端部にそれぞれ配置されてストレッチャー2の長辺方向に延在する二本のペダルアーム13と、フレーム6の一端から張り出された二本のペダルアーム13の一端にそれぞれ設けられたペダル14と、ペダルアーム13の他端の下方にそれぞれ配置された鉛直方向に延在するロッド15と、二本のロッド15の下端に吊設されてストレッチャー2の短辺方向に延在するストッパーアーム16と、フレーム6の両側方に張り出されたストッパーアーム16の両端にそれぞれ垂設された係止ピン17と、ストッパーアーム16の両端を上方にそれぞれ付勢する二つの付勢部材18とから構成されている。
ペダルアーム13はフレーム6に鉛直方向に回転自在に保持されており、ペダル14を踏むことでペダルアーム13の他端は上方に移動される。ペダルアーム13の他端が上方に移動することでペダルアーム13の他端を上方に押圧するロッド15は上方に移動される。ロッド15の下端はストッパーアーム16に鉛直方向に回転自在に取り付けられており、ロッド15が上方に移動することでストッパーアーム16の端部は上方に移動される。また、付勢部材18はストレッチャー2の短辺方向に延在する支持角鋼管19に垂設されており、付勢部材18の下端はストッパーアーム16に鉛直方向に回転自在に取り付けられている。また、二本のロッド15は支持角鋼管19にそれぞれ上下動自在に緩挿されており、また二つの係止ピン17の上部にはペダル20がそれぞれ形成されている。
図1,図2,図3,図4,図6に示すように、ストレッチャー側ロック機構12は、ストレッチャー側ガイドレール9上で両方向へ向かって移動自在に配置された担架3の移動のうち少なくとも一方向への移動を択一的に選択して規制するものであり、ストレッチャー2が入浴装置4の側方に横付けされると入浴装置4に横付けしている一方向と反対側の他方向への担架3の移動を規制し、ストレッチャー2が入浴装置4から離れると両方向への担架3の移動を規制する。具体的には、ストレッチャー側ロック機構12は、C形状のストレッチャー側被係止部21と、C形状のストレッチャー側被係止部21を軸回転させるストレッチャー側回転機構22とから構成されている。
図7はストレッチャー側被係止部21の側面図である。図2,図7に示すように、ストレッチャー側被係止部21は、二本の角形棒材8bの間に配置されており、円形の底部21aと底部21aの外周に沿って立設された凸部21bとから構成されている。凸部21bはC形状に形成されており、ストレッチャー側被係止部21には開口21cが形成されている。
図8はストレッチャー側回転機構22の側面図である。図6,図7,図8に示すように、ストレッチャー側回転機構22は、図2に示すストレッチャー側被係止部21から下方に垂設されている回転軸23と、回転軸23の下端に固定された回転盤24と、回転盤24に回転自在に取り付けられてストレッチャー2の両側方にそれぞれ張り出された二本の当接ロッド25と、回転盤24を斜め両側方へそれぞれ付勢して回転盤24を一定位置に保持する二つの付勢部材26とから構成されている。
回転軸23は、ストレッチャー側被係止部21の底部21aに固定された上端棒23aと、支持角鋼管19に緩挿された下端棒23bとから構成されており、上端棒23aと下端棒23bとは両側から挟み込む連結板23cを介して連結されている。連結板23cには長孔23dが形成されており、長孔23dを挿通するボルト23eによって長さ調節自在に固定されている。下端棒23bの下端は回転盤24の一端部に複数のボルトで固定されており、二本の当接ロッド25の基端は回転盤24の他端部にそれぞれ回転自在に取り付けられている。当接ロッド25の先端部はフレーム6に取り付けられたガイド部27の孔27aに緩挿されている。また、付勢部材26の一端は回転盤24の他端に取り付けられており、回転盤24の他端はストレッチャー2の短辺方向に延在する横架材28に取り付けられている。
[担架]
図9は担架3の側面図である。図9に示すように、担架3はストレッチャー側ガイドレール9上を移動する走行車輪29を介してストレッチャー側ガイドレール9上に載せられている。走行車輪29は、担架3の下面に複数取り付けられており、担架3の移動方向と平行に二列設けられている。二列平行に設けられた走行車輪29の間の担架3下面には、図5に示すストレッチャー側担架ストッパー部10に係止する担架ストッパー機構30が設けられており、担架ストッパー機構30にはストレッチャー側被係止部21に係止する係止部31が取り付けられている。
図10は担架ストッパー機構30を担架3の下方から見た図であり、図11は図10に記したA−A間の断面図である。図10,図11に示すように、担架ストッパー機構30は、二列平行に設けられた走行車輪29の間の担架3下面に設けられて担架3の短辺方向に延在する断面形状C形の溝形部材32と、溝形部材32と直交する方向に延在して図2に示すストレッチャー側担架ストッパー部10のスリット10eの中に嵌入される棒状の係止ロッド33と、係止ロッド33を上方に付勢する付勢部材34と、係止ロッド33を下方に押し下げる平板梃子部材35と、平板梃子部材35を下方に押す押子36と、押子36を操作するレバー37とから構成されている。
溝形部材32は、天板部32aの両長辺縁から互いに対向する側板部32bがそれぞれ垂設されており、側板部32bの両端部はそれぞれ緩やかに傾斜している。係止ロッド33の両端部は側板部32bの中央部にそれぞれ形成されたスリット32cの中に挿通されており、係止ロッド33はスリット32cの中に上下移動可能に配置されている。係止ロッド33の中央には、係止ロッド33を挟んで二方向に延在する一対の付勢部材34の一端がそれぞれ取り付けられている。一対の付勢部材34は斜め上方にそれぞれ伸び、他端は取付部39を介して天板部32aに固定されている。
係止ロッド33の上方には、二又状の平板梃子部材35の先端が配置されている。平板梃子部材35の基端は側板部32bの内側に回転自在に取り付けられている。平板梃子部材35の中間部には、押子36の押圧部36aが当接されており、押圧部36aには溝形部材32の内側から外側に突出する矩形板36bを介して溝形部材32の外側に配置されて溝形部材32と平行に延在するアーム部36cが設けられている。アーム部36cの端部には担架3の長辺方向に延在するロッド部38を介してレバー37が設けられている。
また、係止部31は、係止ロッド33の下方に配置された基板31aと基板31aに垂設されたピン31bとから構成されている。基板31aの両側端部は二叉に形成されているとともに上方に立ち上げられており、溝形部材32に形成されたスリット32cの両側に位置する側板部32bの外側面にそれぞれ接合されている。
[入浴装置]
図12は入浴装置4の平面図であり、図13は入浴装置4の側面図である。図12,図13に示すように、入浴装置4には、フロアに固定された箱状の基台40と、この基台40に昇降可能に設置された浴槽41と、浴槽41内に設けられた支持台42と、支持台42の上面に設けられた浴槽側ガイドレール43と、浴槽側ガイドレール43上に移動自在に載せられた担架3を仮固定する浴槽側担架ストッパー部44と、担架3の移動を規制する浴槽側ロック機構45とが備えられている。
基台40の底板の中央部には円筒状の支柱46が立設されており、この支柱46が浴槽41の底板に液密に貫通している。浴槽41は図示せぬ昇降機構によって支柱46に沿って昇降される。支持台42は支柱46の上端に固定されており、支持台42は支柱46に支持されている。浴槽側ガイドレール43は支持台42の両端部に二本平行に設けられているとともに入浴装置4の短辺方向にそれぞれ延在されている。浴槽側ガイドレール43は、ストレッチャー2が浴槽41の側方に横付けされたときに、図2に示すストレッチャー側ガイドレール9と同軸になる位置に配置されており、浴槽41の側方に横付けされたストレッチャー2の上に略水平方向に移動自在に配置されている図9に示す担架3を支持台42上へ導くものである。
浴槽側担架ストッパー部44は、図2に示す二本の角形棒材8bの上面にそれぞれ立設されたストレッチャー側担架ストッパー部10と同一の構成から形成されており、支持台42上面の中央に形成された台座47の上面に対向するように二つ設けられている。浴槽側担架ストッパー部46の内側部には下端から上方にかけて延在する図示せぬスリットが形成されており、担架3が支持台42上の所定位置に配置されると、浴槽側担架ストッパー部46のスリット内には図10に示す担架ストッパー機構30の係止ロッド33が嵌入される。また、台座47の中央には、浴槽側ガイドレール43と平行に延在する溝47aが形成されている。
また、浴槽側ロック機構45は、対向する二つの浴槽側担架ストッパー部46の間に設けられており、浴槽側ガイドレール43上で両方向へ向かって移動自在に配置された担架3の移動のうち少なくとも一方向への移動を択一的に選択して規制するものであり、ストレッチャー2が浴槽41に横付けされるとストレッチャー2が横付けされた一方向と反対側の他方向への担架3の移動を規制し、ストレッチャー2が浴槽41から離れると両方向への担架3の移動を規制する。具体的には、浴槽側ロック機構45は、C形状の浴槽側被係止部48と、C形状の浴槽側被係止部48を軸回転させる浴槽側回転機構49とから構成されている。
図14は浴槽側被係止部48を表す側断面図である。浴槽側被係止部48は図7に示すストレッチャー側被係止部21と同様の構成からなり、図12,図14に示すように、浴槽側被係止部48は、円形の底部48aと底部48aの外周に沿って立設された凸部48bとから構成されている。凸部48bはC形状に形成されており、浴槽側被係止部48には開口48cが形成されている。
図15は、浴槽41下方の基台40内に配置された浴槽側回転機構49の側面図である。図12,図14,図15に示すように、浴槽側回転機構49は、浴槽側被係止部48から下方に垂設されている回転軸50と、回転軸50の下端に設けられた第1のスプロケット51と、基台40内の端部に配置されたモーター52と、鉛直方向に延在すると共にモーター52によって軸回転する軸部材53と、軸部材53の下端に設けられた第2のスプロケット54と、モーター52の回転を停止させるリミット機構55とから構成されている。
第2のスプロケット54は第1のスプロケット51よりも径が大きく、第1のスプロケット51と第2のスプロケット54との間にはチェーン56が巻回されている。また、回転軸50は円筒状の支柱46内に挿通されており、上端が浴槽側被係止部48の底部48aに接合されている。
図16はリミット機構55の平面図であり、図17はリミット機構55の側面図である。図16,図17に示すように、リミット機構55は、モーター52の下方に配置された基板57と、基板57上に配設されたリミットスイッチ58と、軸部材53の中間部に取り付けられて水平方向に張り出された張出回転部材59と、張出回転部材59に垂設されたドッグ60とから構成されている。
基板57には軸部材53が挿通されており、第2のスプロケット54は基板57の下方に配置されている。リミットスイッチ58はモーター52を停止させるものであり、軸部材53の周りに三つ配設されている。三つのリミットスイッチ58は、軸部材53から一定の長さ離された位置に配置された中央リミットスイッチ58aと、中央リミットスイッチ58aの両側方にそれぞれ配置された左右リミットスイッチ58b,58cとからなり、左右リミットスイッチ58b,58cは、軸部材53の芯を中心に中央リミットスイッチ58aから両側にそれぞれ45°回転した位置であって中央リミットスイッチ58aよりも軸部材53に近い位置に配置されている。中央及び左右のリミットスイッチ58a,58b,58cの上端にはローラープランジャ61a,61b,61cがそれぞれ備えられている。
張出回転部材59は、軸部材53が挿通されて軸部材53の中間部に固定された円筒部59aと、円筒部59aの外周に張設された張出板部59bとから構成されている。ドッグ60は張出板部59bの底面の先端部及び中間部にそれぞれ垂設されている。モーター52が稼動して軸部材53が軸回転されると張出回転部材59も一緒に回転され、張出板部59bの底面の先端部に垂設された先端ドッグ60aは中央リミットスイッチ58aのローラープランジャ61aに当接され、張出板部59bの底面の中間部に垂設された中間ドッグ60bは左右リミットスイッチ58b,58cのローラープランジャ61b,61cにそれぞれ当接される。
また、図12,図13に示すように浴槽41の両側方には、図6に示すストレッチャー2の当接ロッド25の先端が当接される当接部62が配置されており、当接部62の下方には、ストレッチャーストッパー機構11の係止ピン17が挿入されるストレッチャーストッパー部63が配置されている。当接部62及びストレッチャーストッパー部63はそれぞれ基台40の両側面にそれぞれ取り付けられており、浴槽41には当接部62及びストレッチャーストッパー部63が嵌挿される欠き込みが形成されている。また、当接部62は支持脚64によって下方から支持されている。
図18はストレッチャーストッパー部63の断面図である。図18に示すように、ストレッチャーストッパー部63は中空の箱状に形成されており、上端角部は斜めに傾斜されている。ストレッチャーストッパー部63の上面には連結孔63aが鉛直方向に設けられており、ストレッチャーストッパー部63の側面にはストレッチャーストッパー機構11の係止ピン17が摺動する案内部63bが形成されている。
ストレッチャーストッパー部63の内部には、連結孔63aの真下に配置された感知部65aを有するセンサー手段65が設置されている。センサー手段65は、入浴装置4の側方に横付けされたストレッチャー2を感知するものである。係止ピン17が連結孔63a内に挿入されると感知部65aは係止ピン17の先端に押圧され、ストレッチャー2が所定位置に横付けされた事が感知される。センサー手段65は図15に示すモーター52に図示せぬ制御装置を介して電気的に接続されており、センサー手段65でストレッチャー2が所定位置に横付けされた事が感知されると、モーター52が起動されて軸部材53が軸回転され、ストレッチャー2が横付けされている方向に図12に示す浴槽側被係止部48の開口48cが向けられる。
なお、図12、図13において、符号66はストレッチャー2を入浴装置4横の所定の位置に案内するガイドを示し、符号67は浴槽の中に湯を供給する給湯口を示し、符号68は給湯水バルブを示し、符号69は給湯水ミキシングを示し、符号70は給湯温度計を示し、符号71は浴槽内温度計を示し、符号72はハンドシャワーを示し、符号73はシャワーミキシングを示し、符号74はリクライニングローラーを示し、符号75はインターロックを示し、符号76はオーバーフローを示し、符号77は塩素殺菌装置を示し、符号78は気泡発生装置を示し、符号79は出浴、入浴、停止を操作する入出浴スイッチ群を示し、符号80はバブラー入切を操作するバブラー入切スイッチを示し、符号81は浴槽水殺菌、浴槽殺菌、殺菌停止を操作する殺菌スイッチ群を示し、符号82は薬液補充ランプを示し、符号83は電源ランプを示し、符号84は殺菌中ランプを示し、符号85は浴槽19の水を外部に排出する排水管を示し、符号86は排水管85の流入口を塞ぎ排水を停止させる排水栓を示し、符号87は排水管85から排出された排水を集水する排水溝を示すものである。
次に、上記した構成からなるストレッチャーを使用して入浴させる方法について説明する。
まず、図3に示すストレッチャー2上に図9に示す担架3を載せる。具体的には、図3,図9に示すように、ストレッチャー側ガイドレール9の上に走行車輪29を載せて、担架3をストレッチャー側ガイドレール9に沿ってスライド移動できるように載せる。そして、担架3をストレッチャー2の略中央に移動させて、担架3に備えられた担架ストッパー機構30の係止ロッド33をストレッチャー2に備えられたストレッチャー側担架ストッパー部10のスリット10eに嵌入させ、担架3をストレッチャー2上に仮固定する。また、担架3に備えられた係止部31のピン31bはストレッチャー側被係止部21の凸部21b内に位置している。
このとき、図2,図6に示すように、ストレッチャー2は入浴装置4から離れており、当接ロッド25の先端は当接していない。この場合、付勢部材26は回転盤24を両側から付勢し、回転盤24はストレッチャー2の長辺方向と平行になり、回転盤24に回転軸23を介して連結されたストレッチャー側被係止部21の開口21cはストレッチャー側ガイドレール9の軸方向に直交する直交方向に向いており、ストレッチャー側被係止部21は凸部21b内に配置された係止部31のピン31bを係止しており、ストレッチャー側ガイドレール9に沿って移動する担架3の両方向への移動を規制している。
次に、図6,図12,図18に示すように、ストレッチャー2上に設置された担架3の上に要介助者Mを載せて、担架3が設置されたストレッチャー2を浴室まで移動させ、ストレッチャー2を浴室内に配置された入浴装置4の側方に横付けさせる。具体的には、ストレッチャー2を入浴装置4の側方から入浴装置4に向かって入浴装置4の側面に対して垂直に移動させる。そして、ストレッチャー2に備えられたストレッチャーストッパー機構11の係止ピン17を入浴装置4に備えられたストレッチャーストッパー部63の案内部63b上に摺動させて連結孔63a内に挿入するとともに、ストレッチャー2に備えられたストレッチャー側回転機構22の一方の当接ロッド25の先端を入浴装置4の側面に形成された当接部62に当接させる。
図12,図15,図16,図18に示すように、入浴装置4の側方にストレッチャー2が横付けされて、係止ピン17が連結孔63a内に嵌入すると、係止ピン17の先端がストレッチャーストッパー部63の内部に配置されたセンサー手段65の感知部65aを押圧し、ストレッチャー2が入浴装置4の側方に横付けされた事を感知する。そして、この信号を図示せぬ制御装置を介してモーター52に伝達し、軸部材53を軸回転させる。例えば、図12において入浴装置4の下側にストレッチャー2が横付けされた場合には図16に示す軸部材53は時計回りに軸回転し、図12において入浴装置4の上側にストレッチャー2が横付けされた場合には軸部材53は反時計回りに軸回転する。
軸部材53が軸回転すると軸部材53の中間部に設けられた張出回転部材59が回転し、二つのドッグ60が付設された張出板部59bは中央リミットスイッチ58aの上方から左右リミットスイッチ58b,58cの上方に回転する。そして、張出板部59bの中間部に付設された中間ドッグ60bが左右リミットスイッチ58b,58cの何れか一方のローラープランジャ61b,61cに当接し、モーター52の運転は停止して軸部材53の軸回転が止まる。
また、軸部材53が軸回転すると軸部材53の下端に設けられた第2のスプロケット54は水平方向に回転し、チェーン56を介して第1のスプロケット51が水平方向に回転する。第1のスプロケット51が回転することで第1のスプロケット51に固定された回転軸50は軸回転し、回転軸50の上端に設けられた浴槽側被係止部48は回転する。そして、浴槽側被係止部48の開口48cは浴槽側ガイドレール43の軸方向に直交する直交方向から横付けされたストレッチャー2の方向に向きを変え、係止部31のピン31bは開口48cを係止されることなく通過し、浴槽側ガイドレール43に沿って移動する担架3の移動のうちストレッチャー2が横付けされた方向と反対方向への移動のみを規制する。
なお、ストレッチャー2は入浴装置4から離れており、係止ピン17の先端が感知部65aを押圧していない時には、軸部材53に取り付けられた張出回転部材59の張出板部59bは中央リミットスイッチ58aの上方に位置しており、張出板部59bの先端部に付設された先端ドッグ60aが中央リミットスイッチ58aのローラープランジャ61aに当接している。このとき、浴槽側被係止部48の開口48cは浴槽側ガイドレール43の軸方向に直交する直交方向に向いている。
一方、図6,図7,図12に示すように、入浴装置4の側方にストレッチャー2が横付けされて、当接ロッド25の先端が当接部62に当接すると、当接部62は当接ロッド25を内側方向に押圧し、回転盤24の端部に回転自在に取り付けられた当接ロッド25の基端は内側方向に移動する。回転盤24は当接ロッド25に押されて回転軸23を中心に水平方向に回転する。回転盤24が回転することで回転盤24に固定された回転軸23は軸回転し、回転軸23の上端に設けられたストレッチャー側被係止部21は回転する。そして、ストレッチャー側被係止部21の開口21cはストレッチャー側ガイドレール9の軸方向に直交する直交方向から横付けした入浴装置4の方向に向きを変え、担架3に備えられた係止部31のピン31bは開口21cを係止されることなく通過し、ストレッチャー側ガイドレール9に沿って移動する担架3の移動のうち入浴装置4に横付けした方向と反対方向への移動のみを規制する。
次に、図5,図9,図11に示すように、担架3に備えられたレバー37を下方に押し下げて担架ストッパー機構30の係止ロッド33を下方に移動させ、ストレッチャー側担架ストッパー部10のスリット10e内から係止ロッド33を抜く。そして、係止ロッド33がスリット10e内から抜かれたままの状態で、ストレッチャー2上の担架3を入浴装置4の方向に押し、要介助者Mが載せられた担架3を入浴装置4上に移動させる。
そして、図9,図12に示すように、入浴装置4上に移動した担架3を入浴装置4の略中央まで移動させ、浴槽側担架ストッパー部44の図示せぬスリット内に担架ストッパー機構30の係止ロッド33を嵌入させて担架3を入浴装置4の支持台42上に仮固定する。このとき、担架3に備えられた係止部31のピン31bは、台座47に形成された溝47a内を通過して浴槽側被係止部48の開口48cから凸部48b内に嵌入する。
次に、図6,図12に示すように、ストレッチャーストッパー機構11のペダル14、20を踏み、入浴装置4側のストッパーアーム16の一端が上昇するようにストッパーアーム16を傾斜させ、ストレッチャーストッパー部63の連結孔63aからストレッチャーストッパー機構11の係止ピン17を抜く。そして、係止ピン17を抜いたままの状態でストレッチャー2を入浴装置4から離す。
図12,図15,図16,図18に示すように、ストレッチャー2は入浴装置4から離れ、感知部65aが係止ピン17の先端によって押圧されなくなると、ストレッチャーストッパー部63の内部に配置されたセンサー手段65が、入浴装置4の側方に横付けされていたストレッチャー2が離れた事を感知する。そして、この信号を図示せぬ制御装置を介してモーター52に伝達し、軸部材53を軸回転させる。例えば、図12において入浴装置4の下側に横付けされていたストレッチャー2が離れた場合には図16に示す軸部材53は反時計回りに軸回転し、図12において入浴装置4の上側に横付けされていたストレッチャー2が離れた場合には軸部材53は時計回りに軸回転する。
軸部材53が軸回転すると軸部材53の中間部に設けられた張出回転部材59が回転し、二つのドッグ60が付設された張出板部59bは左右リミットスイッチ58b,58cの上方からの中央リミットスイッチ58a上方に回転する。そして、張出板部59bの先端部に付設された先端ドッグ60aが中央リミットスイッチ58aのローラープランジャ61aに当接し、モーター52の運転は停止して軸部材53の軸回転が止まる。
また、軸部材53が軸回転すると軸部材53の下端に設けられた第2のスプロケット54は水平方向に回転し、チェーン56を介して第1のスプロケット51が水平方向に回転する。第1のスプロケット51が回転することで第1のスプロケット51に固定された回転軸50は軸回転し、回転軸50の上端に設けられた浴槽側被係止部48は回転する。そして、浴槽側被係止部48の開口48cは横付けされていたストレッチャー2の方向から浴槽側ガイドレール43の軸方向に直交する直交方向に向きを変え、浴槽側被係止部48は凸部48b内に配置された係止部31のピン31bを係止し、浴槽側ガイドレール43に沿って移動する担架3の両方向への移動を規制する。
次に、図12,図13に示すように、入出浴スイッチ群79を操作して図示せぬ昇降機構を駆動させ、浴槽41を支柱46に沿って上昇させる。浴槽41の上昇により、担架3を浴槽41の中に位置させて要介助者Mを浴槽41内に配置する。給湯水バルブ68を捻り、給湯口67から浴槽41の中に湯を供給する。このとき、供給する湯を給湯水ミキシング69により調節し、供給する湯の温度は給湯温度計70で確認する。また、浴槽41内の湯の温度は浴槽内温度計71で確認する。要介助者Mの髪を洗うときなどにはハンドシャワー72を使用し、ハンドシャワー72から供給される湯はシャワーミキシング73で調節する。
要介助者Mの入浴が終了した後に、入出浴スイッチ群79を操作して図示せぬ昇降機構を逆駆動させ、浴槽41を支柱46に沿って下降させる。浴槽41の下降により、担架3を浴槽41の上方に位置させて要介助者Mを浴槽41上方に配置する。次に、上記した手順と同様にしてストレッチャー2を入浴装置4の側方に横付けし、支持台42上に仮固定された要介助者Mが載せられた担架3をストレッチャー2の上に移動させ、入浴を完了する。
上記した構成からなるストレッチャーによれば、ストレッチャー側ガイドレール9上で両方向へ向かって移動自在に配置された担架3の移動のうち少なくとも一方向への移動を択一的に選択して規制するストレッチャー側ロック機構12が備えられ、入浴装置4の側方に横付けされているとき、ストレッチャー側ロック機構12は入浴装置4に横付けしている一方向と反対側の他方向への担架3の移動を規制し、入浴装置4から離されているとき、ストレッチャー側ロック機構12は担架3の両方向への移動を規制するため、ストレッチャー2が入浴装置4の側方に横付けされている場合には、ストレッチャー側ガイドレール9に沿って移動するストレッチャー2上の担架3は、入浴装置4に横付けしていない他方向への移動が規制され、入浴装置4に横付けした一方向への移動のみが可能となり、ストレッチャー2が入浴装置4の側方から離れて横付けされていない場合には、ストレッチャー側ガイドレール9に沿って移動するストレッチャー2上の担架3は、両方向への移動が規制され、ストレッチャー2が入浴装置4の側方に横付けされなければ担架3が移動することはない。これによって、担架3は、入浴装置4に横付けしていない方向に移動して転落することはなく、安全性を更に向上させることができ、ストレッチャー2の使用上の注意事項は低減され、介助者Nの負担を軽減するとともに要介助者Mの不安感を取り除くことができる。
また、ストレッチャー側ロック機構12には、担架3に付設された係止部31が嵌入される開口21cが形成されているC形状のストレッチャー側被係止部21と、ストレッチャー側被係止部21を軸回転させて入浴装置4に横付けしている一方向又はストレッチャー側ガイドレール9の軸方向に直交する方向に開口21cを択一的に向けるストレッチャー側回転機構22とが備えられているため、ストレッチャー2が入浴装置4の側方に横付けされている場合には、ストレッチャー側回転機構22によって、入浴装置4に横付けした一方向にストレッチャー側被係止部21の開口21cが向くように、ストレッチャー側被係止部21は回転する。ストレッチャー側被係止部21の開口21cが一方向に向けられると、入浴装置4に横付けしていない他方向への担架3の移動は、担架3に付設された係止部31がストレッチャー側被係止部21に係止されて規制され、ストレッチャー2が横付けされている一方向への担架3の移動は、係止部31がストレッチャー側被係止部21に係止されないため移動可能となる。また、ストレッチャー2が離れて入浴装置4の側方に横付けされていない場合には、ストレッチャー側回転機構22によって、ストレッチャー側ガイドレール9の軸方向に直交する直交方向にストレッチャー側被係止部21の開口21cが向くように、ストレッチャー側被係止部21は回転する。ストレッチャー側被係止部21の開口21cが直交方向に向けられると、担架3に付設された係止部31は両方向に係止され、担架3の両方向への移動は規制される。これによって、ストレッチャー2が入浴装置4の側方に横付けされる場合には、ストレッチャー側ガイドレール9に沿って移動する担架3は、入浴装置4に横付けした一方向への移動のみを可能とすることができ、ストレッチャー2が離れて横付けされていない場合には、ストレッチャー2上の所定位置にある担架3が移動できないようにすることができる。
以上、本発明に係る入浴装置及び入浴システムの実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、ストレッチャー2は担架3上に横たわる要介助者Mを移送させるためのものであるが、本発明に係るストレッチャーは担架3上に横たわる要介助者Mの身体を洗浄するための洗浄台や、座位した要介助者Mを移送させるための車椅子状のリクライナーも含む概念であり、本発明に係る担架3はリクライナーに使用される座部も含む概念であり、ストレッチャー2に代えて上記した洗浄台やリクライナーを使用してもよい。
また、上記した実施の形態では、入浴装置4は、浴槽41が昇降することで、浴槽41の上方に配置された担架3に横たわる要介助者Mを入浴させる構成からなっているが、本発明は、入浴装置4は、支持台42が昇降することで、浴槽41の上方に配置された担架3に横たわる要介助者Mを入浴させる構成からなるものでもよい。