本発明は表示素子や撮像素子など高速なデータ転送を必要とする素子を内蔵する電子機器に関する。
近年、携帯電話やノートブックコンピュータ、デジタルカメラ(登録商標)などの機能向上は目覚しく内蔵される表示素子や撮像素子の高分解能、高精細化が求められますます複雑化してきている。特に携帯電話においてはカメラ機能の内蔵や表示の大型化などの高機能化とともに小型軽量化、低消費電力化が求められその筐体構造もクラムシェル型と呼ばれる折り畳み型が主流になってきている。図11に表示素子としてアクティブマトリックス型液晶表示体を用いた電子機器の典型的なブロック図を、また図12にそのタイム図を例示する。CPU1101は表示すべき画像データを生成しビデオメモリ1102に書き込む。CPU1101はJPEGやMPEGなどの圧縮画像や動画データからの伸張や演算により表示すべき画像データを生成する。液晶コントローラ1103は液晶表示に必要な各種タイミング、すなわちXドライバ1113のXクロック信号1115、水平同期信号1114、垂直同期信号1118を生成し、またビデオメモリ1102から表示すべき順序にそって画像データを読み出して液晶表示体1108のドライバ(Xドライバ1113およびYドライバを構成するYシフトレジスタ1107)に送出する。Xドライバ1113は液晶表示体1108の画素がn行m列で構成される場合、m段のXシフトレジスタ1104、mワードのラッチ1105およびm個のDA変換器1106から構成される。液晶コントローラ1103は表示フレームの先頭の画素を読み出すとき垂直同期信号1118を発生しYシフトレジスタ1107に送出する。このとき同時に液晶コントローラ1103は液晶表示体1108の1行1列目の画素に表示するデータをビデオメモリ1102から読み出し表示データ信号1116としてラッチ1105のデータ端子に送出する。Xシフトレジスタ1104は図12に示すように液晶コントローラ1103が発生する水平同期信号1114(図12(a))をXクロック信号1115(図12(b))により読み込み第1列めの画像データをラッチするための信号X1ラッチ(図12(c))を発生しする。この信号によって1行1列目の画素に表示されるデータがラッチ1105の1列目にラッチされる。引き続き液晶コントローラ1103はビデオメモリ1102から次の画素に表示すべきデータを読み出し出力する。Xドライバ1113のXシフトレジスタ1104は水平同期信号1114を一つシフトさせ第2列めの画像データをラッチするための信号X2ラッチ(図12(d))を発生させて1行2列目の画像データをラッチする。以下シフトレジスタ1104は順次シフトさせ1行目に表示するデータを順次ラッチしていく。1行分のデータをラッチ1105が保存し終わると次の水平同期信号1114(図12(a)および(h)、図12では(a)〜(f)と同図(g)〜(k)で横軸のタイムスケールが変わっていることに注意されたい。そのため同一信号である水平同期信号は(a)に加え(h)が再掲されている。)が出力されDA変換器1106はラッチ1105に保持されたデータをDA変換し列電極Xi1110(1≦i≦m)に出力する。同時にYシフトレジスタ1107は1行目の行電極Y1に選択信号を出力する。以下同様にYドライバ1107は行電極Yj1109(1≦j≦n)に選択信号を水平同期信号1114が出る度に順次シフトしていく。一点鎖線1118内部は液晶表示体1108のマトリックス部分を拡大した図である。アクティブスイッチ素子Tr1111は行電極Yj1109が選択されると列電極Xi1110に出力されたDA変換器1106出力を画素電極Pix1112に伝える。なおDA変換器1106を液晶コントローラ側に一つ置いてデータ信号1116をアナログ信号で伝送することもできる。この場合はラッチ1105はアナログのサンプルアンドホールド回路となる。この方法はDA変換器の数を減らすことができ従来多く用いられたが、DA変換器といっても最終的に画素電極に印加される電圧値が所定値になっていればよくパルス幅変調などのデジタル回路が使用できること、およびアナログのサンプルアンドホールド回路が不要となるためLSIの高密度化に伴いここで説明した方法が主流となってきている。この方法ではデータはデジタル信号で送られるため信号線の数が非常に多くなり、例えば8ビットx3原色の計24本が必要となる。
行の右端の表示信号が液晶コントローラ1103から出力された後、次の行の左端の表示信号が出力されるまでの時間、また画面の最下行の画像データが出力し終わってから次のフレームの最初の行の画像データが出力されるまでの時間は(水平、垂直)ブランキング期間または帰線期間と呼ばれ、CRTでは0にできないが液晶表示体では0でもよい。図12では1画素分の水平帰線期間、1行分の垂直帰線期間をとった場合を例示している。
デジタルカメラなどの撮像素子を使用する電子機器においてはちょうど表示体素子を用いる場合と信号の伝送される向きが逆になり同様の回路構成がとられる。
近年、表示体素子や撮像素子を内蔵する電子機器において、大型表示、高分解能、さらに機器の小型軽量化が求められている。このような要請から、実装基板は複数にわたることが多く、その場合図11の一点鎖線1117−1117‘で分けられることが多い。必然的にCPUと表示素子または撮像素子との間の結線が長くなる。素子の高分解能化に伴いそれらの線路の信号周波数が高くなり接続が困難になってきている。特にクラムシェル型構造では細いヒンジ部分を介して両者が接続される構造となる。表示素子や撮像素子の高分解能化に伴い両基板間でやり取りされるデータ量も多くなり高速転送技術が必要となってきている。この問題を解決するために高速データ伝送の方式としてたとえばLVDS(Low Voltage Differential Signaling)を表示体や撮像素子の接続に使う(特許文献1および特許文献2)ことが提案されている。特許文献3および特許文献4等ではこの方式でも十分な解決が得られないとして新たな方法が提案されている。
特許第3086456号公報(欄44)
特許第3330359号公報(欄46)
特許第3349426号公報
特許第3349490号公報
しかしながら、最近の表示体の大型化はこれらの技術でも十分な性能を得られない。十分な対ノイズ特性(耐干渉性、与干渉性)を得るには細心の設計と調整が要求される。LVDSでは信号レベルが小さいため必然的にデジタルICでアナログ信号を扱うことになり消費電力が大きくなるという問題があった。
また信号を精度よく伝送するためには整合の取れたインピーダンス終端が必要であるが、インピーダンス終端が必要な線の数が多い上に伝送インピーダンスはせいぜい100オームくらいなのでそれらの終端抵抗に消費される電力が容認できないほどに大きくなってしまうという問題もあった。
さらに、また配線がヒンジ部などの可動部を通る場合は折れ曲がり具合により特性インピーダンスが変化するため状況によってインピーダンス不整合が生じ折れ曲がり部での反射等により信号劣化を引き起こす。このために伝送されるデータの速度が制限されたり、実装方法や部品の配置が制約を受けるという問題点があった。
また、さらに当然のことながらヒンジ部を介してやり取りされる信号数は数十本となる上に基板上の配線を使用できないのでフレキシブル基板をコネクタを介して接続することになる。フレキシブル基板やコネクタによる接続はコストが高い上に接続信頼性も低いという欠点を有していた。
さらに転送データの高速化に伴う配線数の増大は配線のための物理的スペースを要し当然のことながら機器のデザインに対し大きな制約を課すことになる。
さらに、このような高速で大量のデータを長い配線によって引き回すこと線路からの放射電磁界が増えては他の電子機器あるいは自分自身への電磁波妨害の要因となる。従来の信号線による信号伝送では受電端での振幅レベルが規定されており受電端で十分な品質を確保しても信号の振幅レベルを下げることができない。すなわちEMI対策が困難になり結果として機器デザインへの制約やコストアップを引き起こしている。また、送信側の駆動は受電端の負荷に加え線路の浮遊容量も同時に駆動することになるため信号伝達に余分なエネルギーを必要としている。すなわち消費電力を増大させる結果となっている。
これらの問題は同一の電子機器内に従来の無線通信技術を導入し、配線が困難な部分のデータ転送を電磁波信号により無線転送すれば一気に解決できる。
しかしながら、従来の無線通信技術を電子機器内のデータ転送に導入するには、その仕組みが、導線により伝送していた場合に比較し、非常に複雑であり実装には困難が伴う。
そこで本発明は従来の無線通信技術を改善し同一の電子機器内におけるデータ伝送に応用することを可能にして、上述のような種々の問題や制約を持つデータの高速度伝送の方法を無線化し、従来の情報伝送方式の欠点や制約を除去し低コストで信頼性の高い電子機器を実現することを目的とする。
本発明の電子機器における情報伝送システムは、第1カテゴリー情報を発信する情報発信部と、前記第1カテゴリー情報を受信する情報受信部と、前記情報発信部から前記情報受信部へ前記第1カテゴリー情報を無線通信する無線通信手段と、前記無線通信手段を制御するための第2カテゴリー情報を、前記情報発信部と前記情報受信部との間で有線通信する有線通信手段とを具備し、前記第2カテゴリー情報は、前記第1カテゴリー情報の送信側から受信側へ伝送される、前記第1カテゴリー情報の無線通信に関する同期情報と、前記第1カテゴリー情報の受信側から送信側に伝送される、前記第1カテゴリー情報の受信状態を示す情報もしくは前記第1カテゴリー情報の受信状態に基づいて前記無線通信部を制御する制御情報とを含み、前記同期情報は、前記第1カテゴリー情報の搬送波の発生に用いられる搬送波発振器の出力を分周して周波数変換された信号を含み、少なくとも前記無線通信手段により前記第1カテゴリー情報の無線通信が行われている間は、前記有線通信手段の接続が維持されているとともに前記有線通信手段により前記第2カテゴリー情報の有線通信が行われることを特徴とする。
上記構成によれば高速伝送の困難な信号群の伝送を無線により伝送し、送信データの高速化に伴う様々な問題を回避し、無線伝送に必要な同期情報等の信号を有線で送信することで無線化に伴うシステムの複雑化の回避ができる。
これによってシステムを複雑にすることなく、高速データの送信信号は空間を伝播して伝えることができ、そのための配線は不要となりフレキシブル基板やコネクタといった配線が簡略化できこれらに起因するコスト高や信頼性の問題が無くなる。またインピーダンスマッチングのための終端やデータ伝送速度の高速化に伴い上昇する消費電力の問題も回避できる。また配線の引き回しや部品配置の制約が緩和でき電子機器のデザインや使い勝手を向上することができる。またさらに信号伝送に使用される電磁波は同一システム内という至近距離で行われるためこの距離内での通信が確保できさえすれば良く、放射電磁波の強度を限界まで下げることが出きるのでEMI特性が本質的に改善され対策が容易になる。さらに、無線で送信された情報の受信状況によって受信側から送信側に受信状況を簡単にフィードバックし受信品質の確保が容易に行え、また情報漏洩に対する安全性の確保にも効果がある。
本発明の電子機器は、第1カテゴリー情報を発信する情報発信部と、前記第1カテゴリー情報を受信する情報受信部と、前記情報発信部から前記情報受信部へ前記第1カテゴリー情報を無線通信する無線通信部と、前記無線通信部を制御するための第2カテゴリー情報を、前記情報発信部と前記情報受信部との間で有線通信する有線通信部とを具備し、前記第2カテゴリー情報は、前記第1カテゴリー情報の送信側から受信側へ伝送される、前記第1カテゴリー情報の無線通信に関する同期情報と、前記第1カテゴリー情報の受信側から送信側に伝送される、前記第1カテゴリー情報の受信状態を示す情報もしくは前記第1カテゴリー情報の受信状態に基づいて前記無線通信部を制御する制御情報とを含み、 前記同期情報は、前記第1カテゴリー情報の搬送波の発生に用いられる搬送波発振器の出力を分周して周波数変換された信号を含み、少なくとも前記無線通信部により前記第1カテゴリー情報の無線通信が行われている間は、前記有線通信部の接続が維持されているとともに前記有線通信部により前記第2カテゴリー情報の有線通信が行われることを特徴とする。
上記構成によれば、電子機器内の情報伝送に伴う種々の問題を上記情報伝送により除去できるので電子機器の実現が容易となる。また、無線伝送に際し受信側で同期捕捉のための手続きや回路を省略し無線伝送のための回路を簡略化することができる。さらに、無線で送信された情報の受信状況によって受信側から送信側に受信状況を簡単にフィードバックし受信品質の確保が容易に行える。また、第1カテゴリー情報を受信する最低限の送信電力に制御できるのでEMIの対策を容易にし、また情報漏洩に対する安全性の確保にも効果がある。
本発明の電子機器の前記第1カテゴリー情報は、画像データ、テキストデータ、音声データのいずれかを含むことを特徴とする。
上記構成によれば、画像や音声およびテキストといったマルチメディア情報を扱う多様な電子機器の実現を容易にすることができる。
本発明の電子機器は前記第1カテゴリー情報を電磁波信号に変換する電磁波変換部と前記電磁波信号を受信し前記第1カテゴリー情報に復元する電磁波復元部とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、簡単な構成で信号伝送の電磁波(電波)による無線化ができる。特に、無線で伝送される信号の送信側と受信側で有線によって伝送される共通の制御信号を利用するため送受信端での特性のばらつきやタイミングのばらつきを吸収できるので高精度の部品を使わなくても品質の良い通信が確保できる。
本発明の電子機器の前記電磁波変換部はスペクトル拡散変調を行い、前記電磁波復元部はスペクトル逆拡散を行い、前記電磁波変換部および前記電磁波復元部の同期情報は有線で伝送されることを特徴とする。
上記構成によればスペクトル拡散変調により複数の信号をシリアル化せずに多重化して送ることができリアルタイム特性がよい。また拡散利得を稼ぐこともできるので送信される電磁波信号がシステムへ与える干渉、あるいはシステムから受ける干渉を減じ良いロバストなシステムを構築できる。さらに送受信端で同期情報は有線で伝送されるため受信端では受信電磁波信号から同期捕捉のための同期回路が不要となり逆拡散回路も簡素なものが使用でき回路の簡素化が容易である。
本発明の電子機器は前記第1カテゴリー情報を記憶する記憶部と、前記第1カテゴリー情報を表示する表示体と、前記表示体の駆動順序に合わせて前記記憶部から前記第1カテゴリー情報を読出し出力する表示制御部と、前記表示制御部が読み出した前記第1カテゴリー情報に基づき前記表示体を駆動する表示体駆動部とを備えることを特徴とする。
上記構成によればシステムを複雑にすることなく、液晶に表示させる表示情報は空間を伝播して伝えることができ、そのための配線は不要となりフレキシブル基板やコネクタといった配線が簡略化できこれらに起因するコスト高や信頼性の問題が無くなる。またインピーダンスマッチングのための終端やデータ伝送速度の高速化に伴い上昇する消費電力の問題も回避できる。また配線の引き回しや部品配置の制約が緩和でき電子機器のデザインや使い勝手を向上することができる。またさらに信号伝送に使用される電磁波は同一システム内という至近距離で行われるためこの距離内での通信が確保できさえすれば良く、放射電磁波の強度を限界まで下げることが出きるのでEMI特性が本質的に改善され対策が容易になる。
本発明の電子機器は撮像素子と、前記撮像素子が撮影した画像信号を前記第1カテゴリー情報として読み出し出力する撮像制御手段とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、撮像素子と撮像素子で得た画像データを使用するホスト側との間の信号のやり取りが無線化されるため、その間の配線が不要となり、撮像素子の大型化に伴い露見したさまざまな問題を回避できる。すなわち、クラムシェル構造の筐体でも容易に実装できる、フレキシブル基板やコネクタといった配線の必要がなくこれらに起因するコスト高や信頼性の問題が無くなる、高い伝送速度にも対応が可能などの効果がある。特にカメラにおいては光学系と電子部品を同一筐体に実装しなければならず電子部品実装の制約が多かったが本発明の上記構成によりこの制約を緩和することができる。
本発明の電子機器は集積回路上の電子回路と集積回路外部とで伝送される情報を前記第1カテゴリー情報として無線伝送することを特徴とする。
上記構成によれば半導体集積回路のパッケージの入出力ピンの一部を無線化することができるのでその数を減らしパッケージのサイズおよびコストを低減できる。
本発明による電子機器は表示部とスピーカ部と前記表示部に表示する画像データおよび前記スピーカ部を駆動する音響データを生成するデータソース部から構成される電子機器であって、前記表示部またはスピーカ部とデータソース部の間で伝送される前記画像データおよび音響データを前記第1カテゴリー情報として無線伝送することを特徴とする。
上記構成によれば映像データ音響データを扱うマルチメディア機器のスピーカやスクリーンとチューナレコーダ部との接続を簡易なハードウエアで無線接続できその相互接続を容易にできる。
以下、本発明の実施形態を図面を使って説明する。
図1は本発明にかかる情報伝送方式の実施例の要部を示す概念図である。送信部ブロック112から受信部ブロック113へデータを送信するものとする。101は送信すべき情報を有する回路要素であり104は前記送信情報を受信する回路要素である。回路要素101の発する送信情報はカテゴリー分けされ第1カテゴリー情報は前記送信データを変調器102により変調し送信アンテナ110より電磁波として送信する。第2カテゴリー情報はインターフェース回路103を経て有線にて信号伝達される。前記送信アンテナより発せられ空間(伝播路108)を伝播する第1カテゴリー情報を運ぶ電磁波信号は受信アンテナ111により受信され復調器106により復調され、回路要素104へ出力される。また有線伝送された第2カテゴリー情報はインターフェース回路105を介して回路要素104へ伝達される。第2カテゴリー情報はデータの受信ブロック113から送信部ブロック112へ送信されることもありその場合はインターフェース回路105からインターフェース回路103へ送信される。
第1カテゴリー情報としては有線伝送の困難な高速データやバスラインのような多重化の必要な並列データが選ばれる。これら第1カテゴリーに属する情報は無線により伝送される。送信アンテナ110から放射される電磁界は法律によって定められる上限を超えないように設定される。免許を要しない無線局として許容される放射レベルはEMIの規定よりもはるかに低いレベルであるが、通信距離が至近距離であるためリンクバジェットを適当に設定することで十分な品質の通信路を確保できる。
このように高速伝送が必要な大量情報は信号線を介して伝えられるのでなく無線により空間を伝播するため信号線を使う必要がなくなりそれに伴うコネクタやヒンジ構造の従来の問題を除去することができる。また従来の信号線による伝送では、高速化に伴い浮遊容量への充放電が多くなり消費電力が増加し、さらに信号線路から発射される不要放射電力が増加し周囲の機器への干渉対策が困難となるという欠点があった。信号線による伝送ではロジックレベルが規定されているため本質的に消費電力を減らすことができなく、不要放射を減らすにはシールド強化などの対処療法しか方法がなかった。本発明のこのような方法によれば、送信アンテナ110から送信される放射電力を同一システム内という至近距離において十分な通信品質を確保できれば良いので送信アンテナ110からの放射電力をこの値程度まで下げることができ消費電力やEMI対策が本質的に改善され容易となる。また通信線路のインピーダンスマッチングのための終端に伴う消費電力の増大や部品配置、線路の引きまわし等の制約から解放される。
本発明に用いる無線通信の方法は通信距離が同一筐体あるいは同一システム内に限定されるため従来の無線通信機器に使用される技術より簡素な方法をとることができる。その方法を具現化するのが有線伝送される第2カテゴリー情報である。第2カテゴリー情報としては高速大量データ転送を要しないもの、無線送受信のための同期情報、発振器情報、データの受信状態をフィードバックするフィードバック情報などが考えられる。特に通信パケットの同期情報が有線により送信されて来れば、受信側で同期情報を抽出する回路不要となり受信側の回路が著しく簡略化できる。またスペクトル拡散やUWB(Ultra Wide Band)通信に必要な相関器の同期情報を送ることにより相関器の構造を著しく簡略化することもできる。さらに発振器情報が送信できれば、送受間での基準となるクロック信号が共通にすることができ発振器に要求される発振周波数精度が著しく緩和され電子機器の実現が容易となる。また、携帯電話やBluetooth(登録商標)またはUWB(Ultra Wide Band)のような近距離通信インターフェースを持つ電子機器のような場合で、第1カテゴリー情報を送る電磁波が電子機器本来の通信に妨害を与えることがある場合、電子機器の使用する電波に妨害を与えないよう電子機器の動作状況を第2カテゴリー情報として第1カテゴリー情報の送受間でやり取りすることにより第1のカテゴリー情報を伝送する電磁波の周波数を変更し本来の通信への妨害を除去することができる。すなわち第2カテゴリー情報として携帯電話などではその送信チャネルの周波数、BluetoothやUWBではそのホッピングパターンなどが選ばれる。
第2カテゴリー情報は前記第1カテゴリー情報の受信側から送信側に向けて送られることもある。このようにして、第1カテゴリー情報の受信状況をフィードバックし、たとえば、再送要求や、放射される電磁波エネルギーの増減要求、伝送路のひずみを改善するためのプリエンファシスパラメータなどを受信側から送信側に送り、少ないハードウエアコストによって通信の品質を高めることが可能である。特に放射される電磁波エネルギーの増減要求をフィードバックすると受信側で通信品質を確保できる最低限の電磁波エネルギーに設定でき不要放射を減らすことができる。これは受電端の信号レベルが規定されており、その規定値を確保するために大きなエネルギーで浮遊容量とともに駆動される従来の有線による高速データ伝送の不要放射電磁界エネルギーよりも低い値であり、EMI対策が極めて容易になる。また浮遊容量を含めて駆動する信号線が無くなり無線で伝送するために消費電力も減らすことが可能である。
図2は本発明にかかる電子機器の一実施例を示す図である。実施例では電子機器は本体部205と表示部209に分けられヒンジ207を介して一体化されている。203は本体部基板で電子機器本体の機能制御を受け持つ。電子機器には様々な入出力デバイス例えばキーボードや表示装置が接続される。204は入力装置としてのキーボード、206は表示装置としての液晶表示体である。208は本体基板203上の電子回路の制御によって表示データを生成する液晶コントローラである。液晶コントローラ208が発生する表示データは第1カテゴリー情報として変調器200に送られ変調され送信アンテナ209より電磁波(電波)に変換され空間を伝播する。送信アンテナ209より送信された電磁波信号は受信アンテナ210により受信され復調器202により表示データに復調され液晶ドライバ201に送られ液晶表示体206に表示される。
変調器200および復調器202の同期信号は第2カテゴリー情報として線路211を通って復調器202に伝送される。この信号はデータ速度がそれほど高くなくまた必要な信号線の本数も少ないのでヒンジを通って配線することは容易である。配線や部品配置の自由度も増し図2のように信号の送信部である変調器200や送信アンテナ209および受信部である復調器202や受信アンテナ210をヒンジから遠いところに配置することも可能である。
伝送しようとするデータが高速化するに伴い伝送線路内を伝送させることは困難となるが空間内の電磁波による伝送はより容易になってくる。このように有線路で信号を送り変復調器の同期をとれば復調器側で同期のための同期検出が不要となり回路が簡略化できる。近年の半導体素子製造技術の向上に伴いこのようにして高周波の無線伝送の変復調器を簡略化し組み込むことはわずかなコストで可能であり実用性の高いものである。
図3は本発明にかかる情報伝送方式のより詳細と、それを利用した電子機器の実施例を示すブロック図である。CPU301は演算等により表示すべき表示データを生成しビデオメモリ302に記録する。液晶コントローラ303は表示体に表示させるデータ319を所定順序によりビデオメモリ302から読み出し、垂直同期信号321、水平同期信号320とともに出力する。表示するデータ319は通常ビデオメモリより画素単位でワード毎に並列でデータとして読み出されるため、並直変換回路304によって並直変換されロジック回路307に伝送される。ロジック回路307は並直変換回路304と水平同期信号320および垂直同期信号321を受けてパケットを生成し、また同期検波のタイミング等の通信に必要な同期を取るためのプリアンブルをパケットに付与する。該パケットは搬送波発振器309で発生した搬送周波数により変調器308で変調され終段回路328を経て送信アンテナ310より送信される。同時に搬送波発振器309の出力は分周器326にて分周され低い周波数に変換して第2カテゴリー情報として有線路340にて受信側へ伝えられる。
受信アンテナ311は前記送信アンテナ310より送信された電磁波信号を受信しプリアンプ312によって増幅された後、バンドパスフィルタ313により不要帯域の成分を除去して復調器314に入力される。復調器314では第2の情報として有線路340で送られてきた分周器326出力の周波数をPLL315により逓倍し搬送波周波数を復元し復調器314に供給し電磁波信号の復調を行う。同期回路316では受信信号パケット内のプリアンブルを検出し復調に必要な同期タイミングや液晶を駆動するための同期信号を検出する。ロジック回路318は復調されたパケットからパケット内の表示データ322にタイミングを合わせて水平同期信号323、垂直同期信号324、Xドライバの転送クロック325を発生させ、それぞれ液晶表示体のドライバすなわち従来例図11の表示データ信号1116、水平同期信号1114、垂直同期信号1118、Xクロック信号1115に相当する信号として液晶表示体のドライバへ出力し表示を行う。
搬送波発振器309の発振周波数はラジオ受信機や携帯電話のように電波を利用する電子機器の本来の目的を妨害しないような、また妨害を受けないような周波数を選択する。2GHz以上の周波数を選べば100Mbpsのデータを伝送しても占有帯域は200MHz程度であり、通常ほとんどの場合問題無く使用が可能である。
一般に無線通信において送信側の変調器と受信側の復調器は扱う搬送波周波数が一致している必要があり、送信と受信の間の搬送波発振器の周波数には高い精度が要求され、その2者の誤差は直接通信品質の劣化となって現れる。しかし上記の本発明の構成によれは変調器308と復調器314は同一の搬送波発振器309の信号を使っているので誤差とならない。搬送波発振器の精度は問題とならずコストダウン効果がある。分周器326とPLL315は必須でなく直接搬送波発振器309出力を復調器314に直接送っても良いが一般的に搬送波周波数は高いため有線路を伝送するのは困難である。上記構成のように分周して周波数を下げ送信しPLLで逓倍して搬送波発振器309の出力と同一の搬送波を復元するほうが実現性が高い。
評価回路327は復調器314出力から受信状況を例えばCRCによる受信誤り率などで評価し、結果を第2カテゴリー情報として有線路340を通じて終段回路328にフィードバックする。終段回路328では電磁波信号の受信側で十分な通信品質が確保できる最低限の送信電力となるよう送信アンテナに供給される電力を制御する。これによって受信信号レベルを所定値に保たなければならない従来の有線伝送路から発生する不要放射電力よりもはるかに少ない放射電力で通信品質を保つことが可能となり根本的なEMI対策となる。
また、このフィードバック情報によって放射電磁界の伝播路特性を補償するよう発生する電磁界にプリエンファシスあるいはプリディストーションを付すことも可能である。これにより所定の放射電磁界電力で所定の通信品質を得ることができる。また、送信電力や伝播路特性は部品配置などによって大きく変わり、機器設計の初期に試作などにより試行錯誤的にパラメータ調整する必要があったが、上記構成によればこのようなパラメータ調整や設定は自動的に行われるので開発工数の大幅な削減効果がある。送信側を制御し通信新品質を保つこのような本発明の方法は、受信側にAGC(自動利得制御)回路をおいて受信機感度(利得)を制御していた従来の無線通信技術とは大きく異なる概念であり、システム構成が簡素化される上、不要放射も最小限に抑制できると言う効果がある。
上記構成を取ることで表示体への高速かつ大量の表示データの無線化が実現でき、表示体の大型化に伴いより顕在化してきた、消費電力、配線位置の制約、EMI対策、信頼性確保など有線伝送によって生じる種々の問題を除去できる。
実施例3では表示体の水平、垂直同期信号はパケット化されて第1カテゴリー情報として電磁波路329を介して伝送されているが、液晶コントローラ303出力を直接ロジック回路318に第2カテゴリー情報として有線路で伝送しても良い。図4は本発明にかかる情報伝送方式およびそれを使った電子機器のより簡略化された要部を示すブロック図であり上記概念に基づきロジック回路307および同期回路316を簡略化した実施例を示す。図3と同じ番号を付した各ブロックの名称および働きは図3と同じである。水平同期信号320や垂直同期信号321は第2カテゴリー情報として有線で受信側に送られるので送信パケットをこれらの同期信号に同期させて送信すれば受信側ではパケットの開始を知るためのパケット同期の検出などが不要となり同期回路316やロジック回路307が不要またはきわめて簡単になる。
図5(a)は本発明にかかる電子機器の実施例の要部のブロック図を示す図であり実施例3および実施例4の変調器308および復調器314をより詳述する図である。搬送波発振器502は実施例3の搬送波発振器309に相当する矩形パルス発振器である。乗算器501は前記搬送波発振器502と入力データ503の乗算を行い送信信号504として出力し送信アンテナへ送る。乗算器501は入力データ503および搬送波発振器502出力ともデジタル信号であるため排他的論理和回路で良い。論理0のとき値1のアナログ値、論理1のとき値−1のアナログ値を対応させると排他的論理和回路の入出力はちょうど乗算器として作用する。また、通信の通達距離が極めて近いため他の機器等に与える高調波妨害などはもともと低く抑えられるためアンテナと変調器出力の間にフィルタなどは不要である。
復調部は以下のように動作する。受信アンテナ311により受信された受信信号は増幅され不要帯域を除去した後、受信信号507として乗算器505に入力され、PLL508により再生された搬送波クロック信号と乗算された後、ローパスフィルタ506で高周波成分を取り除き復調信号509が復調される。ローパスフィルタ506は乗算器505の出力の高域周波数成分(受信信号507とPLL508の再生クロック波形とのわずかな移相差により生ずる細いパルス成分)を除去し復調信号509として出力する。PLL508は第2カテゴリー情報として有線で伝送される分周器507によって分周して周波数を低減した搬送波発振器502出力を基準として分周前の搬送波周波数を再生する。
図6(a)〜(c)に上記に説明した変調器のタイム図を示す。すなわち同図(a)は搬送波発振器502により生ずる搬送波クロック信号、同図(b)は送信データ503、(c)は出力される送信信号504である。同図のタイム図をデジタル回路と見れば変調器は排他的論理和であり、±1の値を取るアナログ値と見れば変調器は乗算器である。
図3(d)〜(f)に実施例5による複調回路のタイム図を示す。すなわち同図(d)は受信信号、同図(e)はPLL508から発生されるパルス列、(f)は乗算器505の出力でローパスフィルタ506はこの信号から受信信号507とPLL508出力のわずかな位相差により生ずる高周波成分を取り除き復調信号509を復元する。
同図から明らかなように搬送波クロック図6(a)と再生クロック図6(e)は周波数が違っていたり位相がずれていたりすると復調がうまく作動しない。従来の無線通信では送信側と受信側で別々に高精度の発振器を持ち誤差を最小限に抑えていた。本発明のこの構成によれば受信側の再生クロックは送信側の搬送波発振器502を基準にしているので常に同じ周波数の再生クロックが確保できそのため発振周波数の安定度や周波数精度による誤差が生じない。安価な発振回路でもきわめて安定度の高い回路を構築できる。
図6のタイム図をデジタル回路と見れば変調器は排他的論理和であり、±1の値を取るアナログ値と見れば変調器は乗算器である。本発明に使用される無線信号伝送は通達距離が至近距離であり十分にSN比の良い通信品質が確保できるため信号をデジタル値と見て良い程度まで増幅することができる。この場合、増幅された信号レベルは論理値レベルまで大きくなるが該論理値によって駆動される負荷はCPUから表示体までというような大きな浮遊容量を伴う長い距離ではなく同一半導体チップ内のような極めて短く低負荷であるため消費電力の増大にはならない。また、受信信号が論理値レベルまで増幅されないアナログレベルであってもPLL508出力は(±1の値を取る)矩形であるため乗算は簡単なスイッチ回路で実現できる。すなわち受信信号を増幅度の絶対値が等しく極性が逆の2つの増幅器を用意し、PLL508出力の論理レベル1のとき反転増幅器出力をスイッチにより選び論理レベル0のとき正転増幅器出力を選択することによって実現できる。このような構成の回路を乗算器507として用いても良い。
上記構成によれば変調器は排他的論理和回路、復調器も排他的論理和回路1つまたは正負の増幅度を持つ増幅器とスイッチ回路、およびローパスフィルタによりきわめて簡単に実現できる。
図5(b)は本発明にかかる電子機器の実施例の要部のブロック図を示す図であり実施例3および実施例4の変調器308および復調器314の他の例をより詳述する図である。実施例5では簡素化したBPSK変調であるが実施例6はより一般的な位相変調を使用した場合を示すためにQPSKに基づく例をあげる。搬送波発振器513は実施例3または実施例4の搬送波発振器309に相当する矩形パルス発振器である。QPSKでは送信をシンボル毎に2ビットずつ(すなわちデータビット1 510およびビット2 511を)割り当ててエンコードし送信する。すなわち基準のクロックに対して移相量を例えば表1に示す様にエンコードして変調し送信する。エンコーダ512はデータビット1 510およびデータビット2 511のビットパターンにより表1に示すような移相となるように移相器514および乗算器515を制御する。
図6(g)〜(j)は図5(b)に示す変調器の各部の動作を示すタイム図である。送信データのビット1 510(図6(h))およびビット 511(図6(i))はエンコーダ512によりエンコードされ、搬送波発振器513により発振された搬送波(図6(g))を移相器514によって90°の移相を行うかどうか、さらに乗算器515によって搬送波を反転(180°の移相)を行うかどうかを制御し最終的にQPSK変調された送信信号515(図6(j))を出力する。
分周器517は実施例3または実施例4の分周器326に、またPLL520は実施例3または実施例4のPLL315に相当し再生クロック図6(l)を発生する。前記PLL520の出力する再生クロックは第1の乗算器519により受信信号518(図6(k))と乗算され第1のローパスフィルタ523に伝送され高域成分が除去され判別回路525に伝えられる。同時に受信信号518はまたPLL520の発生する再生クロックパルス列を90°移相器522によって90°移相したパルス列(図6(o))と第2の乗算器521によって乗算され第2のローパスフィルタ524によって高域成分が除去され判別回路525に伝えられる。判別回路525は前記第1、第2のローパスフィルタの出力(図6(n)および(q))から送信データを割出して受信信号を復調する。
上記構成によれば送信信号の占有帯域を増やすことなくデータ伝送の高速化がはかれる。また変復調器とも簡単なデジタル回路で実現できるため半導体チップ内に組み込むことができコストや消費電力の増加は無視できる。受信側で必要となる再生クロックは送信側と同一の発振器を基準にしているため送受間でのクロック周波数の精度による誤差が生じない。安価な発振器でも安定したデータ伝送が可能である。搬送波発振器513の周波数は送信側が一方的に変更しても常に受信側が追従するから、例えば無線通信機のような電子機器において、通信チャネルに応じて通信チャネルに妨害を与えないような周波数を選び一方的に変更することができる。(これは上記実施例3、4、5のいずれにおいても同じである。)すなわち通信機等の電子機器本来の目的とする通信への干渉や妨害対策を著しく容易にすることができる。
図7は本発明にかかる他の情報伝送方式および電子機器の実施例の要部のブロック図を示す図である。CPU701、ビデオメモリ702、液晶コントローラ703の機能は上記実施例3および実施例4で説明したものと同じであり、液晶コントローラ703により発生される表示データ725、水平同期信号723および垂直同期信号724は拡散コード発生器705によって発生される拡散コードと符号多重化回路704により多重化される。この実施例では以下のように並列データは符号多重されるため実施例3または実施例4の並直列変換回路304による並直列変換は不要であり、したがってその逆変換すなわち直並列変換回路317も不要である。拡散コードとしては互いに直交しているコードセットが用いられることが多い。表示データ725はビデオメモリ702からピクセル毎にまとまって読み出されるため並列のデジタルデータとして出力される。このデータ信号の各ビットと拡散コード発生器705により発生される各コードと乗算し(排他的論理和をとり)ナログ加算し符号多重化を行う。多重化された信号は変調器707によって搬送波発振器706で発生される搬送波で変調され送信アンテナ708より第1カテゴリー情報として電磁波信号によって伝播路726を通り送信される。送信された電磁波信号は受信アンテナ709で受信されプリアンプ710で増幅されバンドパスフィルタ711により所定帯域以外の不要信号を除去したのち復調器712により復調する。PLL715は搬送波発振器706で発生される搬送波周波数を分周器713により分周して第2カテゴリー情報として送られてくる信号を基準として逓倍し搬送周波数を復元する。復調器712により復調された信号は逆拡散回路714により拡散コード発生器716により発生される多重化のための拡散コードと相関を計算することによって多重化されたデータを分離する。ロジック回路717は検出した表示データや各種タイミングから液晶ドライバを駆動するための表示データ信号718、水平同期信号719、垂直同期信号720およびXドライバのクロック信号721を発生し液晶表示体に送り表示を行う。
復調器712は変調器707の搬送波発振器706で発振される同一の周波数を基準にPLL715により生成された搬送波を使用するので搬送波周波数の精度による誤差を生じない。また、復調器の同期検波のためのタイミングや逆拡散のためのタイミングは第2カテゴリー情報として有線にて送信される例えば水平同期信号723を元に生成できる。これにより受信側での同期捕捉のための回路が不要となり回路の簡略化が図れる。とくにコード多重の場合には逆拡散の回路として整合フィルタでなく相関器を使用することが可能となる。良く知られているように逆拡散において整合フィルタは回路が複雑であるが応答時間が短く同期も不要である。一方相関器を逆拡散に使用するときは同期が取れないと逆拡散を行うことができず通常は1チップずつスライディングして試行錯誤的に計算を行うので時間がかかり即座に逆拡散ができない。しかし本発明による上記構成によれば相関器の同期情報が第2カテゴリー情報として有線で送られてくるので同期捕捉やスライディングを行う必要がなく非常に簡単な回路で逆拡散が可能となる。
上記構成によればデータの並直列変換を行うことなく信号を多重化して送受信することができ、これは何本ものバスラインを並列に引き回すのと同等の効果がある。特に直交コードによる多重化は制限が少なく、バスラインのように物理的なスペースも必要としない。また、送信部、受信部各々を複数個配備して信号の送受信が必要ないくつかの異なる場所で同時に通信することも可能である。また、拡散によって拡散利得も稼ぐことが可能であり特に携帯電話などの電波を発生する機器において本来の目的とする電波との耐干渉および与干渉特性改善にも効果がある。また、第2カテゴリー情報として同期情報、搬送波周波数の情報が有線にて送られてくるため送受間で搬送周波数を一致させることが容易で搬送波発信器の精度を要求しない。逆拡散のための同期捕捉も不要となり逆拡散の回路が大幅に簡略化でき実現性が高い。
上記構成によればデータの並直列変換を行うことなく信号を多重化して送受信することができ、これは何本ものバスラインを並列に引き回すのと同等の効果がある。特に直交コードによる多重化は制限が少なく、バスラインのように物理的なスペースも必要としない。また、送信部、受信部各々を複数個配備して信号の送受信が必要ないくつかの異なる場所で同時に通信することも可能である。また、拡散によって拡散利得も稼ぐことが可能であり特に携帯電話などの電波を発生する機器において本来の目的とする電波との耐干渉および与干渉特性改善にも効果がある。また、第2カテゴリー情報として同期情報、搬送波周波数の情報が有線にて送られてくるため送受間で搬送周波数を一致させることが容易で搬送波発振器の精度を要求しない。逆拡散のための同期捕捉も不要となり逆拡散の回路が大幅に簡略化でき実現性が高い。
拡散変調されたパルス列はパルス整形回路809によりスペクトル密度の低い広帯域パルスとなるように非常に短時間のパルスに波形整形を受けた後送信アンテナ810によって電磁波として放射される。放射される電磁界はサイン波に変調をかけたものではなく非常に細いパルス列である。このように短パルスで広帯域のパルスを使用する通信はインパルスラジオ(Impulse Radio)またはUWB(Ultra Wide Band)通信方式と呼ばれるものである。
放射された電磁波は無線伝播路826を通って受信アンテナ811に受信され、必要に応じてプリアンプ812により増幅された後、相関器814によってパルス発生器813の発生するパルステンプレートとの相関が計算される。前記相関器814出力は拡散コード発生器816の発生する拡散コードによって逆拡散回路815で逆拡散されたのち復調器817で復調され一次変調前の信号(一次変調器805の入力)に変換される。ロジック回路818は復調器817により検出された表示データや送信側から第2カテゴリー情報として有線路827を通って送られてくる水平同期信号823を元に液晶ドライバを駆動するための表示データ信号819、水平同期信号820、垂直同期信号821およびXドライバのXクロック信号822を発生し液晶表示体に送り表示を行う。受信側でこのような基準となるタイミング情報がある場合は相関器814やロジック回路818の構成が基準となるタイミング情報がない場合に比較しはるかに簡素化される。
ここで、UWB通信の本質はきわめてスペクトル密度の低い短パルスを使用することにある。UWBを使用する場合、放射エネルギーの法的な上限はEMIで規制される不要放射レベル程度まで許容されており、免許を要しない無線局の上限よりはるかに(20dB程度)緩い。このため携帯電話のような本来の目的である強い電波を内部で発生するような電子機器においても、十分な通信品質を確保できるリンクバジェットの設定が容易となる。使用するパルスはパルス幅を狭くして波高値を高く設定できるのでプリアンプ812を省略することが可能である。
UWBを近距離通信のインターフェースとして持つ電子機器の場合、電子機器内のデータ伝送に本実施例を適用しようとすると互いに干渉し重大な妨害となる可能性があるが、これは時間軸上の窓を同期させる、周波数ホッピングを行いそのホッピングシーケンスを同期させるなどの方法で回避できる。その場合の同期情報は第2カテゴリー情報として本実施例を適用すればよい。
上記構成によれば変調操作は時間軸上のみで行われ構成要素のほとんどがパルスを扱うデジタル回路のみで実現でき回路素子のIC化が容易である。短パルスの採用によって時間方向の拡散利得を稼ぎ電子機器本来の機能として発射される電波との耐干渉、与干渉特性を改善するばかりでなく通信伝送路としてのマルチチャネル化も図ることができる。
図9は本発明にかかる電子機器の実施例の要部のブロック図を示す図であり、本発明にかかる情報伝送方式を撮像素子を用いる電子機器に応用した例を示す。撮像素子901は制御回路902から発生される水平同期信号920および垂直同期信号921により起動され撮像した画像データ919を出力する。ロジック回路903はこれらの信号を受けて無線伝送のためのパケットを構築する。該パケットは搬送波発振器906により発生された搬送波を変調器905により変調し送信アンテナ907から電磁波として放射される。
前記送信アンテナ907から送信された電磁波信号は無線伝播路(空間)922を通って伝播し受信アンテナ908で受信されプリアンプ909で増幅され、バンドパスフィルタ910により不要な帯域外信号を除去して復調器912に入力される。PLL915は搬送波発振器906の発振する搬送波を分周器904で分周し第2カテゴリー情報として有線路923を通って送られてくる分周器904出力を搬送波周波数に逓倍し搬送波を生成し復調器に入力する。復調器912にはまた第2カテゴリー情報として有線路923を通って伝送されてくる制御回路902からの信号から復調に必要な同期タイミングも利用し、受信信号の復調を行う。直並列変換回路914は復調された受信パケットの中から画像データ部分を抽出し画素毎に直並列変換を行い画素データを生成する。
ロジック回路916は復調された画素データに合わせてビデオメモリ917に書きこむためのメモリアドレスを発生し直接またはCPU918を介して画像データをビデオメモリ917の該アドレスに書きこむ。CPU918はビデオメモリ917をアクセスし画像データを様々なアプリケーションに使用する。通常撮像素子の起動などのコントロールはCPU918が行うがこの起動に関する情報を撮像素子の制御回路902へ伝送する方法はビットレートが低いため第2カテゴリー情報として有線で伝送するのが良いが無線伝送することもできる。その場合はCPU側、撮像素子側双方で送受信手段を持ち双方向通信
を行う。特にクラムシェル構造の携帯電話では撮像素子と表示素子は接近して置かれCPU側とは反対側にあることが多く撮像された画像データはCPU側に送られて処理をしたのち表示素子側に送り返される。このような場合は実施例3または実施例4を背中合わせに置いたような構成を取ることで実現が可能である。
上記構成、すなわち撮像素子からのデータ伝送を無線化することで撮像素子の大型化に伴いより顕在化してきた、消費電力、配線位置の制約、EMI対策、信頼性確保など有線伝送によって生じる種々の問題を除去できる。また受信側では復調に必要な同期タイミングが有線にて送られてくるため同期捕捉の必要がなく回路が大幅に簡略できる。また、送受間で同一の発振源により発生する搬送波を基準とするため搬送波発振器に要求される周波数精度は著しく緩和されコストダウンや実現性に大きな効果がある。
図10は本発明にかかる情報伝送方式を用いる電子機器の実施例を例示する図であり、半導体チップ間のデータ伝送に用いた例である。1012および1013は半導体チップをあらわしデータ伝送がチップ1012から1013に向かって行われる場合を例示する。1001は半導体チップ1012内の送信すべき複数のデータを持つ(生成する)回路要素であり、1002は半導体チップ1013内の前記データを受信する回路要素である。制御回路1003は送信すべきデータを回路要素1001が出力するよう起動し多重回路1002は回路要素1001から前記送信データを受け取り多重化する。多重化は実施例3または4で述べたような並直列変換や実施例7のような符号多重化を使用する。変調器1004は多重化回路1002の出力をうけて変調を行い送信アンテナ1010により電磁波信号として送信する。制御回路1003は同時に多重化や変調の同期その他のタイミング信号や搬送波も発生する。実施例3乃至9に説明したような手法を使って搬送波の基準となる信号も発生し、これらの信号は有線路1014を通り受信側の制御回路1006に伝えられる。空間(無線伝播路)1015を伝播し受信アンテナ1011で受信された信号は復調器1008で復調されデマルチプレクス回路1007により多重化された信号を元に戻し、信号を受信する回路要素1005に送られる。制御回路1006は多重化や変調の同期その他のタイミング信号や搬送波の基準信号を送信側制御回路1003から受け取り復調やデマルチプレクスの同期を取りまた、復調器1008で使用する搬送波を復元する。これらの信号を受け取ることによりデマルチプレクスや復調の回路が大幅に簡略化できまた発振周波数の精度への要求が大幅に緩和される。
送受信アンテナ1010または1010は半導体チップ1012,1013の上に作りこんでも良いしまたボンディングパッドを介してチップ外部へ信号を取り出しアンテナを外付けとしても良い。
上記のこのような構成をとることにより半導体チップのピン数を大幅に削減でき、またボンディングパッドを介してロジックレベルの信号を取り出すために浮遊容量とともに駆動する従来の方法に比較し大幅な電力の削減が可能となる。
図13は本発明にかかる情報伝送方式を用いる電子機器のさらに他の実施例を例示する図であり、ホームシアタに応用した例である。ホームシアタでは画像表示部1305とチューナデコーダ部1301とスピーカ部1324で構成される。画像表示部1305は画像表示装置を内蔵し画像信号を受けて表示する。また、スピーカ部1324は通常複数のスピーカ1311、1312、1313、1314、1315と各スピーカ毎に音声信号を受けて音響効果の制御や増幅を行いスピーカを駆動する駆動部分より構成される。それらの間の接続に以下のような方法を取る。チューナデコーダ部1301の再生部1302は制御回路1320の指令によりTVチューナやDVDレコーダなどの画像や音声ソースから画像や音声のデータを取り出す。再生部1302が出力するデータは多重化回路1303にて画像および音声チャネル毎に多重化される。多重化は制御回路1320の発する基準信号に同期して拡散コード発生器1321が発する拡散符号とチャネル毎に乗算しアナログ加算して行われる。多重化されたデータは変調器1309により変調され第1カテゴリー情報として送信アンテナ1317より送信される。搬送波発振器1304は制御回路1320の発する基準信号をもとに逓倍し搬送波を発生する。制御回路1320の発する基準信号は第2カテゴリー情報として有線路1316より画像表示部1305やスピーカ部1324に伝送される。画像データ、テキストデータまたは音声データは第1カテゴリー情報として無線伝搬路1319を伝搬し受信アンテナ1318にて受信され復調器1307で復調され逆拡散回路1308により逆拡散され多重化を解いて画像信号のみを取り出し、取り出した画像データを表示部記憶回路1310にストアされる。表示記憶回路1310にストアされた画像データは順次読み出され画像表示部1305に内蔵される画像表示装置のスクリーンに表示される。
同様にスピーカ部1324に送られる情報も画像表示部1305内部と同様な構成で複製される。説明は重複するためこれ以上は詳述しない。
ここで、復調のための搬送波は制御回路1323により第2カテゴリー情報として有線伝送されてくる基準信号をもとに逓倍し搬送波発振器1306が発振する。また、逆拡散に用いる多重化コード発生器1322は制御回路により第2カテゴリー情報として送られてくる基準信号に同期し拡散コードを発生する。このような構成を取ることにより搬送波は常に送受双方でトラッキングが取られるため搬送波発振器に要求される周波数精度の高いものを必要としない。また、逆拡散のコードも同期が取れるため逆拡散の回路も著しく簡素化できる。
上記のような構成を取ることにより従来はチューナデコーダ部よりスピーカ部や画像表示部にスター型に配線が必要でかつ並直変換や高速伝送のために複雑なプロトコルを取っていたのが著しく簡素化される。また全ての信号を無線で送する場合に比較しても回路やプロトコルが著しく簡素化され実施上の効果は大きい。
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、例えば電子機器に内蔵するハードディスクドライブなどの記憶装置とCPUとの接続等、幅広い用途に適用できる。
本発明の情報伝送方式の一実施例を示す図。
本発明の電子機器の一実施例を示す図。
本発明の情報伝送方式のより詳細とそれを利用した電子機器の一実施例を示すブロック図。
本発明の情報伝送方式およびそれを使った電子機器の他の実施例を示すブロック図。
本発明にかかる電子機器の実施例3および実施例4の変調器および復調器をより詳述する図。
本発明にかかる実施例5および実施例6を詳述するタイム図。
本発明にかかる他の情報伝送方式および電子機器の実施例の要部のブロック図。
本発明にかかるデータ伝送および電子機器のさらに他の一実施例の要部のブロック図。
本発明にかかるデータ伝送および電子機器のさらに他の実施例の要部のブロック図。
本発明にかかるデータ伝送および電子機器のさらに他の一実施例の要部のブロック図。
従来の液晶表示体を持つ電子機器を説明するブロック図。
従来の液晶表示体を持つ電子機器の動作を説明するタイム図。
本発明にかかるデータ伝送および電子機器のされに他の実施例の用部のブロック図。
符号の説明
107,340,727,827,923,1014,1316…有線路、108,211,329,726,826,922,1015,1319…無線伝播路、301,701,501,518,701,801,918…CPU、302,702,502,517,702,802,917…ビデオメモリ、208,303,703,503,703,803…液晶コントローラ、102,200,308,707,905,1004,1309…変調器、110,209,310,708,810,907,1010,1317…送信アンテナ、111,210,311,709,811,908,1011,1318…受信アンテナ、106,202,314,712,817,912,1008,1307…復調器、805…一次変調器、807,1303…拡散変調器、206…液晶表示体、901…撮像素子、309,502,513,706,906,1304,1306…搬送波発振器、326,507,517,713,904…分周器、315,508,520,715,915…PLL、501,505,515,519,521…乗算器、514,522…+90°移相器、705,716,808,816,1321,1322…拡散コード発生器、704…符号多重化回路、714,1308…逆拡散回路、806,813…パルス発生器、809…パルス整形回路、814…相関器。