JP4430687B2 - 車両のドアフレーム構造 - Google Patents

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本発明は、車両のドアフレーム構造に関し、特に、ドア上下方向に延びる立柱サッシュ部材と、ドア上縁部を形成するアッパサッシュ部材の接合構造に関する。
ドアフレームにおけるアッパサッシュ部材と立柱サッシュ部材の接合部に関する生産性向上を図った発明として、例えば特許文献1がある。特許文献1では、アッパサッシュ部材のうち、外観に表れる意匠面については立柱サッシュ部材の上縁部位置まで途切れさせずに延設し、車内側の内側フレーム部分を意匠面よりも短尺に(端部を切除して)形成している。このアッパサッシュ部材の内側フレーム部分の端部と、立柱サッシュ部材の内側フレーム部分の端部とに、互いに正対するように傾斜させた接合端面が形成され、この接合端面を突き合わせてアッパサッシュ部材と立柱サッシュ部材を固定させている。この構成によれば、アッパサッシュ部材の意匠面側に溶接痕が生じず、従来の接合構造で必要とされていた意匠面上の溶接ビードの研削仕上げなどを不要にすることができる。
特開2004−388612
しかしながら、特許文献1のようにアッパサッシュ部材と立柱サッシュ部材の正対する端面同士を突き合わせる接合構造は、特にその接合端面における部材の精度管理を厳密に行う必要があり、生産性に関して改善の余地があった。そこで本発明は、アッパサッシュ部材と立柱サッシュ部材を簡単かつ確実に接合させることが可能で生産性に優れた車両のドアフレーム構造を提供することを目的とする。
本発明は、ドア上下方向に延びる立柱サッシュ部材と、該立柱サッシュ部材とは別部材として形成されドア上縁部を形成するアッパサッシュ部材とを、立柱サッシュ部材の上端部において接合する車両のドアフレーム構造において、アッパサッシュ部材は、その立柱サッシュ部材側の端部が直線状をなしていて、該直線状部に、車両外部に露出する意匠部と、該意匠部より車内側に位置し意匠部より短尺とした中空筒状の内側フレーム部分とを有し、立柱サッシュ部材は、その上端部に、アッパサッシュ部材の中空筒状の内側フレーム部分の内部に挿入されてドアの厚み方向において重なる、プレス成形された椀状の断面形状の挿入重畳接触部を有し、この挿入重畳接触部と内側フレーム部分を重畳させた状態で接合したことを特徴としている。
立柱サッシュ部材は、センターピラーに沿う直線状部の上端にアッパサッシュ部材の直線状部に向けて曲折する円弧状曲折部を有し、この円弧状曲折部に、挿入重畳接触部を形成するとよい。
以上の本発明によれば、アッパサッシュ部材と立柱サッシュ部材を、意匠部より車内側に位置するフレーム部分において互いにドアの厚み方向に重なるように重畳させたため、高度な精度管理を要することなく、簡単かつ確実にアッパサッシュ部材と立柱サッシュ部材を接合させることができる。
まず、図1ないし図10を参照して、本発明の前提となるドアフレーム構造を説明する。図1に示す自動車の側面ドア10は、ドアパネル11と、車両ボディのルーフパネル50(図2に仮想線で示す)のドア開口部に沿うアッパサッシュ(アッパサッシュ部材)12と、ドアパネル11の後部から車両ボディのセンターピラー51(図3に仮想線で示す)に沿って上下方向へ延出されたサイドサッシュ(立柱サッシュ部材)13を備えている。なお、本実施形態のドア10は前部座席用ドアであり、以下の説明で述べられる前後方向は、この前部座席用ドア10を基準とした方向である。但し、本発明は前部座席用ドアに限らず、後部座席用ドアやその他のドアであっても適用が可能である。
図2に示すように、アッパサッシュ12は、ガラスラン52が嵌合保持されるガラスラン保持部(保持溝)20と、ガラスラン保持部20の背面側に位置しウェザストリップ53のリップ部53aを保持するウェザストリップ保持部(保持溝)21とを有し、ガラスラン保持部20とウェザストリップ保持部21の側部に、車外側を向くフランジ状の意匠部22が形成されている。ガラスラン保持部20とウェザストリップ保持部21からは、意匠部22とは反対の車内側に向けて接続腕部23が延設され、この接続腕部23の先に角筒状(袋状)の中空断面のメインフレーム部(内側フレーム部)24が形成されている。接続腕部23上にはクリップ54を用いてウェザストリップ53の中空シール部53bが支持されている。ガラスラン52とウェザストリップ53(リップ部53a及び中空シール部53b)はそれぞれ弾性変形可能なゴム材料などで形成されている。ガラスラン52は、窓ガラス58(図2及び図3に仮想線で示す)を上昇させたときにその上縁部を弾性的に保持する。ウェザストリップ53のリップ部53aと中空シール部53bは、ドア10を閉めた状態でルーフパネル50に当接して弾性変形され、車内側への水滴の浸入を防ぐ。
図3に示すように、サイドサッシュ13は立柱ガイド部材35と立柱インナ部材36からなっている。立柱ガイド部材35は、車両前方に向けて開かれた略コ字状の断面形状をなしていて、車外側に面する外側面部35aと、車内側に面する内側面部35bと、外側面部35aと内側面部35bを接続する接続部35cを有している。立柱インナ部材36は、立柱ガイド部材35の外側面部35aと概ね平行に延びる外側面部36aと、センターピラー51に接近するように車内側へ突出形成された内方突出部36bと、外側面部36aと内方突出部36bを接続する接続部36cを有している。立柱ガイド部材35と立柱インナ部材36は、図3に示す符号59の位置(内側面部35bと内方突出部36bの前端部と、接続部35cと接続部36c)をそれぞれスポット溶接して固定される。
サイドサッシュ13においては、立柱ガイド部材35の外側面部35aと内側面部35bと接続部35cとで囲まれる領域がガラスラン保持部(保持溝)30を構成している。このガラスラン保持部30には、窓ガラス58の後縁部を弾性的に保持するガラスラン55が嵌合保持されている。また、立柱ガイド部材35の内側面部35bと立柱インナ部材36の内方突出部36bとで囲まれる領域が、サイドサッシュ13における角筒状(袋状)断面のメインフレーム部31を構成している。このメインフレーム部31を構成する内方突出部36bには、クリップ57を介してウェザストリップ56(中空シール部)が取り付けられている。ウェザストリップ56は、ドア10を閉じたときにセンターピラー51に当接して弾性変形されて、車内側への水滴の浸入を防ぐ。また、立柱ガイド部材35の外側面部35aと立柱インナ部材36の内側面部36aによって、サイドサッシュ13における意匠部32が構成されている。この意匠部32の外面側には、外観飾り部材としてガーニッシュ38(図3に仮想線で示す)が取り付けられる。
図4以下を参照してアッパサッシュ12とサイドサッシュ13の接合部C(図1)の構造を説明する。アッパサッシュ12は、サイドサッシュ13との接合部付近では車両の前後方向に向けて略直線状に延設されている。アッパサッシュ12は金属材料のロール成形品であり、この直線状部分においては基本的に一様な断面形状を有しているが、その末端部(後端部)においてのみ接続腕部23とメインフレーム部24が切除され、ガラスラン保持部20とウェザストリップ保持部21を含めた意匠部22のみが残されている(図5及び図9参照)。すなわちアッパサッシュ12の後端部において、メインフレーム部24及び接続腕部23は、意匠部22とその背後に位置するガラスラン保持部20及びウェザストリップ保持部21よりも短尺に形成されている。この短尺に形成されたメインフレーム部24の末端部は、これより車両前方側に位置するメインフレーム部24の本体領域よりも断面形状(上下方向サイズやドア厚み方向のサイズ)を小さくした断面形状縮小部25として形成されている。詳細には、メインフレーム部24の側面を意匠部22側へ若干量押し潰すことで断面形状縮小部25の断面形状が小さくされている(図8参照)。
サイドサッシュ13の立柱インナ部材36は、ドアパネル11側の下方からアッパサッシュ12との接合部Cである上方に近づくにつれて徐々に幅狭になるようにプレス成形されており、該立柱インナ部材36の上端部には、外側面部36aに連続して、上方に進むにつれて車内側に傾斜する上方傾斜面部36dが形成され、この上方傾斜面部36dの上端部に上縁端部36eが折り曲げ形成されている。立柱インナ部材36の上端部にはさらに、内方突出部36bに連続して、上方に進むにつれて車両前方側へ向くように湾曲される円弧状曲折部36fが形成され、この円弧状曲折部36fの先端部に重畳接触部36gが形成されている。重畳接触部36gは、図8に示すように、アッパサッシュ12の断面形状縮小部25と接続腕部23の外面に対して自身の内面を重ねて覆うような、車外側に向けて開放された椀状(コ字状)の断面形状になっている。車内側から見た状態の図4及び図5では、この椀状の重畳接触部36gの外面(凸面)側が表れている。なお、立柱インナ部材36に沿って立柱ガイド部材35が設けられているのは円弧状曲折部36fよりも低い位置までであり、重畳接触部36gは車外側に向く開口部が立柱ガイド部材35に塞がれることなく露出された状態になっている。そのため、図8に示すように重畳接触部36gと断面形状縮小部25をドアの厚み方向に重ね合わせることができる。
アッパサッシュ12とサイドサッシュ13を接合するときには、図8のように断面形状縮小部25が重畳接触部36gの内側に嵌まるようにアッパサッシュ12とサイドサッシュ13を組み合わせる。図4及び図6は断面形状縮小部25が重畳接触部36gに嵌まった状態を示しており、当該嵌合状態では重畳接触部36gの内面が断面形状縮小部25と接続腕部23の外面にフィットしていて、断面形状縮小部25よりも断面形状が大きいメインフレーム部24の前方領域方向への重畳接触部36gの位置ずれが規制される。そして、断面形状縮小部25と重畳接触部36gの重畳部分を溶接してアッパサッシュ12とサイドサッシュ13が接合される。この接合構造によれば、ドア10の厚み方向に重なる断面形状縮小部25と重畳接触部36gをアッパサッシュ12とサイドサッシュ13の接合部としたため、サッシュの端面を突き合わせるタイプの接合構造に比して接合部分の厳密な精度管理が不要となり、また接合作業も容易であり、生産性に優れている。さらに接合領域を広く取ることができるので強度的にも優れている。
断面形状縮小部25と重畳接触部36gの重畳領域よりも車両後方側では、アッパサッシュ12におけるメインフレーム部24と接続腕部23が切除されているので、メインフレーム部24の延長上に位置するサイドサッシュ13の円弧状曲折部36fに対してアッパサッシュ12が干渉することはない。一方、このメインフレーム部24が切除された後方領域においてアッパサッシュ12の意匠部22は途切れずに形成されており、サイドサッシュ13の上縁端部36eは、この意匠部22よりも車内側にオフセットした位置でガラスラン保持部20の内面に当接するようになっているので、意匠部22の外面上にはサイドサッシュ13との溶接箇所が存在しない。よって意匠面22上の溶接痕を目立たなくする加工などが不要であり、これも生産性の向上に寄与している。
図11ないし図14は、以上で説明した構造を前提とした本発明の実施形態を示している。この実施形態において、図1ないし図10に基づいて既に説明した部分と共通する部分については、重複した説明を省略する。図1ないし図10における構造では、アッパサッシュ12のメインフレーム部24の末端部に本体領域よりも断面形状を小さくした断面形状縮小部25を形成し、この断面形状縮小部25の外面側をサイドサッシュ13の重畳接触部36gが覆う重畳関係であった。これに対し本実施形態では、アッパサッシュ12のメインフレーム部24の末端部には断面縮小加工がなされておらず、代わりにサイドサッシュ13の円弧状曲折部36fの先端部に、重畳接触部36gよりも断面形状を小さくした挿入重畳接触部36hが形成されている。より詳細には、挿入重畳接触部36hは、角筒状断面をなすメインフレーム部24の内部に挿入され、該メインフレーム部24の内面に対してその外面を接するように絞られた断面形状に形成されている。挿入重畳接触部36hは車外側に向けて開放されたコ字状(椀状)の断面形状をなし、車外側から見た状態の図12(及び図11)では、このコ字状の挿入重畳接触部36hの内面(凹面)側が表れている。円弧状曲折部36fの端部にはさらに、断面形状縮小部36hとは別に、円弧状曲折部36fに対して段差を有することなくストレートに前方へ延設された延長押さえ部36iが形成されている。
アッパサッシュ12とサイドサッシュ13を組み合わせるときには、図14に示すように、サイドサッシュ13の挿入重畳接触部36hが、中空をなすメインフレーム部24の内部に挿入され、該挿入重畳接触部36hの外面とメインフレーム部24の内面が重ねられる。同時に延長押さえ部36iは、メインフレーム部24内には挿入されずに、アッパサッシュ12における接続腕部23の外面側(車内側の面)に重なる。つまり、挿入重畳接触部36hと延長押さえ部36iでメインフレーム部24と延長押さえ部36iを内外から挟んだ態様になる。そしてこれらの重畳接触部分が溶接などによって固定されてアッパサッシュ12とサイドサッシュ13が組み合わされる。この構成においても、挿入重畳接触部36hと延長押さえ部36iはそれぞれドア10の厚み方向においてメインフレーム部24と重なるため、接合部分の厳密な精度管理が不要で生産性に優れた構造となっている。また、中空筒状のメインフレーム部24に対して挿入重畳接触部36hを接合させるため、接合領域が広く、強度の確保に関しても有利になっている。
以上のように、本実施形態のドアフレーム構造は、アッパサッシュ12とサイドサッシュ13を簡単かつ確実に接合させることができ、高い生産性を得ることができる。但し、本発明は図示した実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて改良や改変が可能である。例えば、図示実施形態では、立柱インナ部材36において内方突出部36bの上端に続けて円弧状曲折部36fを形成し、この円弧状曲折部36fの先端が、アッパサッシュ12との接合部である挿入重畳接触部36h(延長押さえ部36iを含む)になっている。当該構造は、部品点数を増やさずに比較的容易に製造できるというメリットがあるが、円弧状曲折部36fのような曲折部を介さずに挿入重畳接触部36hや延長押さえ部36iに相当する接合部を形成してもよい。
本発明のドアフレーム構造を適用する車両ドアの側面図である。 図1のA−A断面線に沿うアッパサッシュの断面図である。 図1のB−B断面線に沿うサイドサッシュの断面図である。 図1の車両ドアにおけるアッパサッシュとサイドサッシュの接合部付近を車内側から見た斜視図である。 図4に示すアッパサッシュとサイドサッシュの接合部付近の車内側から見た分解斜視図である。 アッパサッシュとサイドサッシュの接合部付近を車内側から見た側面図である。 図6のD−D断面線に沿う断面図である。 図6のE−E断面線に沿う断面図である。 図6のF−F断面線に沿う断面図である。 図6のG−G断面線に沿う断面図である。 本発明の実施形態におけるアッパサッシュとサイドサッシュの接合部付近を車外側から見た斜視図である。 図11に示すアッパサッシュとサイドサッシュの接合部付近の車外側から見た分解斜視図である。 図11及び図12に示すアッパサッシュとサイドサッシュの接合部付近を車内側から見た側面図である。 図13のH−H断面線に沿う断面図である。
符号の説明
10 ドア
11 ドアパネル
12 ルーフ側サッシュ
13 ピラー側サッシュ
20 30 ガラスラン保持部(保持溝)
21 ウェザストリップ保持部(保持溝)
22 32 意匠部
24 31 メインフレーム部(内側フレーム部)
25 断面形状縮小部
35 立柱ガイド部材
36 立柱インナ部材
36f 円弧状曲折部
36g 重畳接触部
36h 挿入重畳接触部
36i 延長押さえ部

Claims (2)

  1. ドア上下方向に延びる立柱サッシュ部材と、該立柱サッシュ部材とは別部材として形成されドア上縁部を形成するアッパサッシュ部材とを、上記立柱サッシュ部材の上端部において接合する車両のドアフレーム構造において、
    上記アッパサッシュ部材は、その立柱サッシュ部材側の端部が直線状をなしていて、該直線状部に、車両外部に露出する意匠部と、該意匠部より車内側に位置し意匠部より短尺とした中空筒状の内側フレーム部分とを有し、
    上記立柱サッシュ部材は、その上端部に、上記アッパサッシュ部材の中空筒状の内側フレーム部分の内部に挿入されてドアの厚み方向において重なる、プレス成形された椀状の断面形状の挿入重畳接触部を有し、この挿入重畳接触部と内側フレーム部分を重畳させた状態で接合したことを特徴とする車両のドアフレーム構造。
  2. 請求項記載の車両のドアフレーム構造において、上記立柱サッシュ部材は、センターピラーに沿う直線状部の上端にアッパサッシュ部材の直線状部に向けて曲折する円弧状曲折部を有し、この円弧状曲折部に、上記挿入重畳接触部が形成されていることを特徴とする車両のドアフレーム構造。
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