JP4430007B2 - 絶縁膜特性測定方法および絶縁膜特性測定装置 - Google Patents

絶縁膜特性測定方法および絶縁膜特性測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4430007B2
JP4430007B2 JP2005376174A JP2005376174A JP4430007B2 JP 4430007 B2 JP4430007 B2 JP 4430007B2 JP 2005376174 A JP2005376174 A JP 2005376174A JP 2005376174 A JP2005376174 A JP 2005376174A JP 4430007 B2 JP4430007 B2 JP 4430007B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
surface potential
film
insulating film
characteristic
theoretical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005376174A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007180222A (ja
Inventor
敏和 北嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Screen Holdings Co Ltd
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Screen Holdings Co Ltd
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Screen Holdings Co Ltd, Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd filed Critical Screen Holdings Co Ltd
Priority to JP2005376174A priority Critical patent/JP4430007B2/ja
Priority to US11/645,766 priority patent/US7488610B2/en
Publication of JP2007180222A publication Critical patent/JP2007180222A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4430007B2 publication Critical patent/JP4430007B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/02Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating impedance
    • G01N27/22Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating impedance by investigating capacitance
    • G01N27/221Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating impedance by investigating capacitance by investigating the dielectric properties
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R31/00Arrangements for testing electric properties; Arrangements for locating electric faults; Arrangements for electrical testing characterised by what is being tested not provided for elsewhere
    • G01R31/26Testing of individual semiconductor devices
    • G01R31/2648Characterising semiconductor materials
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R31/00Arrangements for testing electric properties; Arrangements for locating electric faults; Arrangements for electrical testing characterised by what is being tested not provided for elsewhere
    • G01R31/28Testing of electronic circuits, e.g. by signal tracer
    • G01R31/302Contactless testing
    • G01R31/312Contactless testing by capacitive methods

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)

Description

この発明は、半導体基板上に形成された絶縁膜の特性(膜内電荷量、膜厚、比誘電率など)を測定するための方法および装置に関する。
半導体デバイスの製造工程では、半導体基板の上に絶縁膜を含む種々の膜が形成される。絶縁膜の特性は、半導体デバイスの特性に大きな影響を与えるので、半導体デバイスの製造工程における絶縁膜の特性評価は不可欠である。
半導体デバイスの集積技術の進歩によって、使用される絶縁膜の種類や膜厚が変わってきており、それに伴って、絶縁膜の評価方法も変わってきている。たとえば、絶縁膜の膜厚の測定方法として、従来は、光学的な方法(たとえば、エリプソメトリ)が用いられることがあった。しかし、光学的な測定方法は、絶縁膜表面に付着した有機物の影響を受けるため、必ずしも正確ではない。そこで、デバイスの動作に直結した電気的な膜厚測定方法が注目されている。
また、絶縁膜の種類の変化に伴い、絶縁膜の比誘電率が重要なパラメータとなってきており、絶縁膜の比誘電率をより正確に測定することが求められている。
絶縁膜の膜厚は、その表面の電荷量、表面電位および比誘電率が分かれば求めることができ、絶縁膜の比誘電率は、その表面の電荷量、表面電位および膜厚が分かれば求めることができる。したがって、表面の電荷量および表面電位に加えて、膜厚および比誘電率の一方を知ることができれば、他方を求めることができる。
また、品質のよい絶縁膜を安定して形成するために、絶縁膜の膜内電荷量を管理することが重要であり、絶縁膜の膜内電荷量をより正確に測定することが求められている。
絶縁膜の表面に電極を形成して当該絶縁膜の膜厚、比誘電率または膜内電荷量の測定を行う方法がある。しかし、この方法は、破壊試験であり、工程が多くなるので、好ましい測定方法ではない。水銀を電極として使用することも考えられるが、水銀は人体に有害であるため、取り扱いが煩雑になる。しかも、水銀は液体であるため、電極面積が安定せず、正確な測定を行うことができない。さらに、いずれにしても、電極を絶縁膜の表面に形成すると、測定の際に、絶縁膜をリークする電流が発生し、測定が不正確になるおそれがある。
このため、絶縁膜の膜厚、比誘電率または膜内電荷量といった絶縁膜特性を非接触で測定する方法が求められている。このような測定方法として、絶縁膜の表面を帯電させたときの絶縁膜表面の電荷量および表面電位を測定し、これらの測定値から絶縁膜の膜厚または比誘電率を求める技術が提案されている(下記特許文献1)。しかし、膜内電荷量、表面吸着物に起因する表面電位変化、基板キャリヤ濃度といった他の物理量の測定については未提案である。
絶縁層の厚さを測定する他の先行技術は、下記特許文献2に開示されている。しかし、この先行技術では、絶縁膜の比誘電率、膜内電荷量、表面吸着物に起因する表面電位変化または基板キャリヤ濃度を求めることはできない。
近年、半導体デバイスの集積技術の進歩に伴い、絶縁膜表面の有機物吸着が新たな問題となっている。すなわち、クリーンルーム内には、樹脂等から脱離した有機物が多量に存在しており、このような有機物が絶縁膜表面に吸着することによって、様々な工程において問題が生じる。そこで、基板処理装置内で有機物が発生しないように管理することが重要であり、そのためには基板表面の有機物吸着を測定する必要がある。雰囲気内または絶縁膜上の有機物量は、化学分析によって測定することができる。しかし、化学分析による測定には時間がかかるため、特に基板上の絶縁膜表面に付着した有機物の測定に化学分析を適用していては、インラインによる有機物汚染の測定をすることができない。
そのため、絶縁膜上の有機物の吸着を電気的に測定することができる簡便な測定技術が求められている。
絶縁膜の表面電位の測定はケルビンプローブによって行うことができる。しかし、膜内電荷量や絶縁膜表面の電荷量による影響を考慮したうえで、絶縁膜表面に付着した表面吸着物に起因する表面電位変化を測定することは、これまで行われていなかった。
特開2004−111911号公報 特開平8−316280号公報 特開平4−132236号公報 MOS Physics and Technology (1982年、WILEY-INTERSCIENCE社発行)p.487
この発明の目的は、半導体基板の表面に形成された絶縁膜の特性を非接触で正確に測定することができる絶縁膜特性測定方法および絶縁膜特性測定装置を提供することである。
この発明の具体的な目的の一つは、半導体基板の表面に形成された絶縁膜の膜内電荷量を非接触で正確に測定することができる方法および装置を提供することである。
この発明の他の具体的な目的は、半導体基板の表面に形成された絶縁膜の膜厚を非接触で正確に測定することができる方法を提供することである。
また、この発明のさらに他の具体的な目的は、半導体基板の表面に形成された絶縁膜の比誘電率を非接触で正確に測定することができる方法を提供することである。
本発明のさらに他の具体的な目的は、絶縁膜が形成された半導体基板のキャリヤ濃度を非接触で正確に測定することできる方法を提供することである。
この発明のさらに他の具体的な目的は、半導体基板の表面に形成された絶縁膜表面に付着した表面吸着物に起因する表面電位変化を非接触で正確に測定することができる方法および装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、半導体基板の表面に形成された絶縁膜の特性を、この絶縁膜に対して非接触で測定する絶縁膜特性測定方法であって、前記絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の特性である測定表面電位特性を絶縁膜に対して非接触で測定する表面電位特性測定ステップと、膜内電荷量を複数個仮設定する仮設定ステップと、前記仮設定された複数の膜内電荷量に関して、前記絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位(ただし、絶縁膜の表面に表面吸着物がない状態での表面電位)の理論的な特性である理論表面電位特性をそれぞれ計算する理論表面電位特性計算ステップと、各理論表面電位特性に関して、前記測定表面電位特性から求められる表面電位の平均値と、当該理論表面電位特性から求められる表面電位の平均値との差分である平均値差分を求め、この平均値差分を前記絶縁膜の表面に吸着している表面吸着物に起因する表面電位変化(吸着物がない状態の絶縁膜の表面電位と吸着物が付着した状態の絶縁膜の表面電位との差)とするステップと、各理論表面電位特性に関して、当該理論表面電位特性に対して前記表面電位変化による補正を施した補正表面電位特性に対する前記測定表面電位特性の偏差(たとえば標準偏差)を計算するステップと、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜内電荷量の設定値を定める最小偏差設定値決定ステップと、を含む絶縁膜特性測定方法である。
この発明では、絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の特性が、絶縁膜に対して非接触で測定される。一方、上記絶縁膜の膜内電荷量の値を複数個仮設定し、この複数個の膜内電荷量に対して、理論的な表面電位特性(理論表面電位特性)が計算される。そして、測定表面電位特性から得られる表面電位の平均値と、理論表面電位特性から得られる表面電位の平均値との差分(平均値差分)が求められ、この平均値差分に基づき、絶縁膜表面の吸着物に起因する表面電位変化が計算される。この表面電位変化によって理論表面電位特性を補正すると、この補正後の理論表面電位特性は、仮設定した膜内電荷量が真値であれば、測定表面電位特性にほぼ沿うと考えられる。そこで、前記補正後の理論表面電位特性に対する測定表面電位特性の偏差が求められ、この偏差が最小となる理論表面電位特性に対応する膜内電荷量の設定値が見いだされる。こうして、絶縁膜に対する非接触の測定により、当該絶縁膜の膜内電荷量を求めることができる。
請求項2記載の発明は、前記仮設定ステップは、前記絶縁膜の膜厚および膜内電荷量をそれぞれ複数個設定するステップであり、前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の膜厚および複数の膜内電荷量の複数の(好ましくはすべての)組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜厚および膜内電荷量の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法である。
この方法によれば、絶縁膜の膜厚および膜内電荷量がそれぞれ複数個仮設定される。そして、仮設定された複数の膜厚および複数の膜内電荷量の複数の(好ましくはすべての)組み合わせに関して、理論表面電位特性が計算される。この理論表面電位特性の中から、前記測定表面電位特性に対する前記補正後の理論表面電位特性の偏差が最小のものが見いだされ、これに対応する膜厚および膜内電荷量の設定値の組が抽出される。この抽出された膜厚および膜内電荷量の設定値の組は、半導体基板の表面に形成された絶縁膜の真値に対応する。こうして、絶縁膜に対する非接触の測定により、膜厚および膜内電荷量を測定することができる。
請求項3記載の発明は、前記仮設定ステップは、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度をそれぞれ複数個設定するステップであり、前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の膜内電荷量および複数の基板キャリヤ濃度の複数の(好ましくはすべての)組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法である。
この方法によれば、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度がそれぞれ複数個仮設定される。この仮設定された複数の膜内電荷量および複数の基板キャリヤ濃度の複数の(好ましくはすべての)組み合わせに関して、理論表面電位特性が計算される。そして、この理論表面電位特性と測定表面電位特性との各平均値の差分に基づいて、表面電位変化が計算される。この表面電位変化によって補正した理論表面電位特性に対する測定表面電位特性の偏差が求められ、この偏差が最小となる理論表面電位特性が見いだされる。当該理論表面電位特性に対応する膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の設定値は、それらの真値であるとみなせる。このようにして絶縁膜に対する非接触の測定により、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度を測定することができる。
請求項4記載の発明は、前記仮設定ステップは、前記絶縁膜の膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度をそれぞれ複数個設定するステップであり、前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の膜厚、複数の膜内電荷量および複数の基板キャリヤ濃度の複数の(好ましくはすべての)組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法である。
この方法によれば、絶縁膜の膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度がそれぞれ複数個仮設定される。そして、これらの複数の(好ましくはすべての)組み合わせに関して、理論表面電位特性が計算され、このすべての理論表面電位特性に関して、表面電位変化が求められる。そして、この表面電位変化によって補正した理論表面電位特性に対する測定表面電位特性の偏差が最小となる理論表面電位特性に対応する仮設定値の組み合わせが見いだされる。この組み合わせは、測定対象の半導体基板および絶縁膜における真値に対応する。これにより、非接触の測定によって、絶縁膜の膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度を求めることができる。
請求項5記載の発明は、前記仮設定ステップは、前記絶縁膜の比誘電率および膜内電荷量をそれぞれ複数個設定するステップであり、前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の比誘電率および複数の膜内電荷量の複数の(好ましくはすべての)組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する比誘電率および膜内電荷量の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法である。
この方法によれば、絶縁膜の比誘電率および膜内電荷量が複数個仮設定され、それらのすべての組み合わせに関して理論表面電位特性が求められる。さらに、表面電位変化によって補正した理論表面電位特性に対する測定表面電位特性の偏差が最小となる設定値の組み合わせが見いだされる。この設定値の組み合わせは、半導体基板上に形成された絶縁膜の比誘電率および膜内電荷量に相当する。こうして、非接触の測定により、絶縁膜の比誘電率および膜内電荷量を測定することができる。
請求項6記載の発明は、前記仮設定ステップは、前記絶縁膜の比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度をそれぞれ複数個設定するステップであり、前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の比誘電率、複数の膜内電荷量および複数の基板キャリヤ濃度の複数の(好ましくはすべての)組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法である。
この方法によれば、絶縁膜の比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度がそれぞれ複数個仮設定される。これらの複数の(好ましくはすべての)組み合わせに関して理論表面電位特性が計算され、表面電位変化によって補正された理論表面電位特性に対する測定表面電位特性の偏差が求められる。この偏差が最小となる理論表面電位特性に相当する仮設定値の組が、半導体基板および絶縁膜の特性を表す真値であるとみなすことができる。こうして、絶縁膜に対する非接触の測定によって、その比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度を測定することができる。
請求項7記載の発明は、前記最小偏差設定値決定ステップによって定められる設定値に対応する理論表面電位特性に対応して求められた表面電位変化を抽出するステップをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の絶縁膜特性測定方法である。
この方法では、複数の理論表面電位特性の中から、前記偏差が最小となる設定値に対応するものの表面電位変化が抽出される。この表面電位変化は、結局、半導体基板上の絶縁膜における表面吸着物に起因する表面電位変化の真値に相当する。こうして、絶縁膜に対する非接触の測定により、表面吸着物に起因する表面電位変化を測定することができる。
請求項8記載の発明は、半導体基板の表面に形成された絶縁膜の特性を、この絶縁膜に対して非接触で測定する絶縁膜特性測定装置であって、前記絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の特性である測定表面電位特性を絶縁膜に対して非接触で測定する表面電位特性測定手段と、膜内電荷量を複数個仮設定する仮設定手段と、前記仮設定された複数の膜内電荷量に関して、前記絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の理論的な特性である理論表面電位特性をそれぞれ計算する理論表面電位特性計算手段と、各理論表面電位特性に関して、前記測定表面電位特性から求められる表面電位の平均値と、当該理論表面電位特性から求められる表面電位の平均値との差分である平均値差分を求め、この平均値差分を前記絶縁膜の表面に吸着している表面吸着物に起因する表面電位変化とする表面電位変化演算手段と、各理論表面電位特性に関して、当該理論表面電位特性に対して前記表面電位変化による補正を施した補正表面電位特性に対する前記測定表面電位特性の偏差を計算する偏差演算手段と、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜内電荷量の設定値を定める最小偏差設定値決定手段と、を含む絶縁膜特性測定装置である。この構成により、請求項1記載の発明と同様な効果が得られる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る絶縁膜特性測定装置の図解的な正面図である。この絶縁膜特性測定装置20は、半導体基板の一例であるウエハWの表面に形成された絶縁膜の膜厚、比誘電率等を測定するためのもので、帯電処理部1、C−V測定部2および表面電位測定部3をチャンバ9内に備えている。帯電処理部1、C−V測定部2および表面電位測定部3は、この実施形態では、図1の左右方向に沿う直線状に順に配置されている。ウエハWは、帯電処理部1における帯電処理位置、C−V測定部2におけるC−V測定位置および表面電位測定部3における表面電位測定位置の間を、ローダ4によって移動されるようになっている。
チャンバ9内には、チャンバ9内の雰囲気温度を測定するための温度センサ10が取り付けられている。温度センサ10の出力は、コンピュータ(たとえばパーソナルコンピュータ)としての基本形態を有する制御部40に入力されるようになっている。
ローダ4は、ウエハWをほぼ水平に保持するための保持台5と、この保持台5を支持してほぼ水平方向に直線的に案内するレール6と、保持台5をレール6に沿って移動させる移動機構7とを備えている。保持台5は、たとえば、ウエハWの下面を真空吸着することにより、ウエハWを保持するものとすることができる。保持台5のウエハWに接する部分は、電気的導体で形成されており、接触電極として機能する。
帯電処理部1は、コロナ放電によりウエハWを帯電させるためのもので、電圧を印加するためのニードル11を備えている。ニードル11および保持台5は、それぞれ直流電源8に接続されている。帯電処理位置では、ウエハWはニードル11に対向するようになっている。
ウエハWが帯電処理位置にあるとき、直流電源8によりニードル11と保持台5との間に直流電圧を印加することにより、ニードル11とウエハWとの間でコロナ放電を生じさせ、これによってウエハWの表面に形成された絶縁膜を帯電させることができるようになっている。直流電源8は、印加する電圧の極性を反転可能であり、ウエハWを正に帯電させることも負に帯電させることも可能である。
C−V測定部2では、ウエハWの表面電荷量を後述するC−V測定(容量・電圧測定)によって測定することができる。C−V測定部2は、ベース24、ベース24の下部に取り付けられた三角柱状のプリズム25、およびプリズム25の底面25aに取り付けられた測定電極21を備えている。プリズム25は、三角柱形状の一側面が下方に向けられほぼ水平になるように配置されている。以下、この面を、「底面25a」という。測定電極21および保持台5は、それぞれインピーダンスメータ26に接続されており、測定電極21と保持台5との間にバイアス電圧をかけながらこれらの間の合成容量を測定できるようになっている。インピーダンスメータ26は、バイアス電圧の大きさを変化させることができるようになっている。これにより、C−V測定を行える。
ベース24は、圧電アクチュエータ23を介してステッピングモータ22に結合されており、ステッピングモータ22および圧電アクチュエータ23により、上下動されるようになっている。C−V測定位置では、ウエハWは、測定電極21に対向するようになっている。ウエハWがC−V測定位置にあるとき、ウエハWと測定電極21との間隔を、ステッピングモータ22により粗調整し、圧電アクチュエータ23により微調整可能である。圧電アクチュエータ23は、たとえば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる圧電素子を備えたものとすることができる。
ベース24にはレーザ光を出射するレーザ発振器27および受光センサ28が取り付けられている。レーザ発振器27から出射されたレーザ光は、プリズム25の底面25aで全反射されて、受光センサ28で受光されるようになっている。受光センサ28は、光量測定器29に接続されており、受光センサ28で受光されるレーザ光の光量を測定できるようになっている。
光量測定器29で測定される光量は、プリズム25の底面25aで反射されるレーザ光のトンネル効果が反映されたものとなり、これにより、ウエハWと測定電極21との間のギャップdairを測定できるようになっている。このギャップ測定方法の原理については、特許文献3に詳述されているが、一定の場合には、レーザ光の底面25aにおける透過率Rtの対数logRtとギャップdairとは、比例関係にあるとみなすことができる。透過率Rtは、反射率がわかれば求めることができるので、光量測定器29で測定されるレーザ光の光量から反射率が求まれば、ギャップdairを求めることができる。
光量測定器29およびインピーダンスメータ26の出力信号は、制御部40に入力されるようになっている。制御部40は、C−V測定の結果からフラットバンド電圧を求めることができ、さらに、帯電処理前後のフラットバンド電圧およびギャップdairから、帯電処理によって絶縁膜表面に付与された表面電荷量Qを求めることができる。
表面電位測定部3は、電極32を有するケルビンプローブ31を備えている。表面電位測定位置では、ウエハWは、ケルビンプローブ31に対向するようになっている。ケルビンプローブ31は、電極32を上下に振動させ、電極32に電圧をかけることができるようになっている。絶縁膜表面が帯電したウエハWが表面電位測定位置にあるときに、電極32を振動させることにより、電極32にはその振動数で変化する電荷が誘導される。電極32に適当な電圧をかけることにより、この電荷を打ち消すことができる。このときの電圧から、ウエハWの表面電位を求めることができる。ケルビンプローブ31の出力信号は、制御部40に入力されるようになっている。
移動機構7、直流電源8、インピーダンスメータ26、レーザ発振器27およびケルビンプローブ31の動作は、制御部40により制御されるようになっている。
図2は、表面電荷量に対する表面電位の特性の一例を示し、測定された表面電位特性(測定表面電位特性)が曲線L1で示されている。このような測定表面電位特性は、図1に示す構成において、帯電処理部1により、ウエハWに対して様々な表面電荷量を与え、C−V測定部2においてC−V特性を測定するとともに、表面電位測定部3においてウエハWの表面電位(絶縁膜の表面電位)を測定することによって、得ることができる(表面電位特性測定ステップ、表面電位特性測定手段)。すなわち、C−V特性の測定結果に基づいて算出される表面電荷量と、表面電位測定部3による測定結果とを、制御部40において対応付けることにより、上記のような測定表面電位特性を得ることができる。もっとも、帯電処理部1において正確に帯電量を制御できる場合には、表面電荷量の測定は不要であり、制御された帯電量と表面電位測定部3によって測定される表面電位とを対応付けて、測定表面電位特性を求めるようにしてもよい。
一方、制御部40は、ウエハWの表面に形成された絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の特性の理論値(理論表面電位特性。図2中に一例を曲線L2で示す。)を計算によって求める。その際に、制御部40は、理論表面電位特性を計算するために必要なパラメータ(絶縁膜の膜厚および膜内電荷量など)を種々の値に設定し、複数の理論表面電位特性を計算する。この複数の理論表面電位特性のなかで、測定表面電位特性に最も近似する理論表面電位特性が見いだされ、当該理論表面電位特性に対応するパラメータがウエハW上に形成された絶縁膜の特性値(真値)とされる。
絶縁膜の表面電位Vsurfは、次式(1)で表される。
surf=φs+Vins+φref−φsub+φorg ……(1)
ここで、φsは絶縁膜の表面ポテンシャル、Vinsは絶縁膜にかかる電位、φrefは表面電位基準試料の仕事関数、φsubは半導体基板(ウエハW)の仕事関数、φorgは絶縁膜表面に付着した表面吸着物に起因する表面電位変化を表す。
表面ポテンシャルφsは、半導体基板がPタイプの場合、次式(2)によって求めることができる。
Figure 0004430007
ここで、Qsは基板側に誘起する電荷量であり、表面電荷量と膜内電荷量とを足し合わせ、符号を反転させた値である。また、εsは半導体基板の誘電率、kはボルツマン定数、Tは温度、qは電荷素量、LDはデバイ長、niは真性キャリヤ濃度、Nsubは基板キャリヤ濃度、βはq/kTである。また、式(2)内の符号「±」は、Qsの符号に応じて、いずれの符号とするかを決定する。
表面ポテンシャルφsは、上記式(2)が成立する値とする。上記の計算には、ニュートン法等を用いることができる。したがって、上記の方法で、表面電荷量および膜内電荷量に基づき、表面ポテンシャルφsを求めることができる。半導体基板の誘電率εsについては文献値を用いればよい。基板キャリヤ濃度については、入力した値を用いる。
また、膜内電荷量が絶縁膜界面付近に存在していると仮定すると、絶縁膜にかかる電位Vinsは次式(5)で表される。
Figure 0004430007
ここで、dinsは絶縁膜の膜厚、εinsは絶縁膜の誘電率、Qsurfは表面電荷量である。絶縁膜の誘電率εinsは文献値等を用いることもできる。
表面電位基準試料の仕事関数φrefについては、文献値や実験により求めた値を用いることができる。なお、上記式(1)で求められる表面電位は、上記表面電位基準試料を測定した際の表面電位を零とした場合の表面電位である。通常、表面電位計には零点調整機能が搭載されている。そこで、表面基準電位試料を測定した際に零点調整を行うことによって、測定される表面電位は、上記式(1)で表される値となる。
半導体基板の仕事関数φsubについては、次式(6)および(7)で表される。
Figure 0004430007
ここで、χは半導体基板の電子親和力、Egは半導体基板のバンドギャップ、φbはフェルミ準位と真性フェルミ準位との差分を示し、電子親和力χおよびバンドギャップEgについては文献値を用いればよい。
図3は、測定表面電位特性および多数の理論表面電位特性を用いて、ウエハW上に形成された絶縁膜の特性を求める際に制御部40が実行する処理の一例を説明するためのフローチャートであり、膜厚、膜内電荷量および表面吸着物に起因する表面電位変化が未知である場合の処理が示されている。また、図4は、制御部40によって実行される処理のイメージを示す図である。制御部40は、所定のコンピュータプログラムを実行することによって、図3および図4に示された処理を実現する。
制御部40は、複数の理論表面電位特性を求めるための仮設定値として、絶縁膜の膜厚および膜内電荷量に関する複数の仮設定値を設定する(ステップS1。仮設定ステップ、仮設定手段)。膜厚および膜内電荷量に関する仮設定値を定めるためのパラメータとしては、膜厚中心値、膜厚範囲、膜厚刻み値、膜内電荷量中心値、膜内電荷量範囲、および膜内電荷量刻み値が挙げられる。膜厚中心値とは、仮設定される複数の膜厚値の中心値である。膜厚範囲とは、仮設定される膜厚値の範囲を定めるためのパラメータであり、膜厚中心値に膜厚範囲を加算した値および膜厚中心値から膜厚範囲を減じた値の間の範囲で、複数の膜厚値が仮設定される。膜厚刻み値とは、仮設定される複数の膜厚値の間隔を規定するパラメータである。すなわち、膜厚刻み値の間隔で複数の膜厚値が仮設定される。同様に、膜内電荷量中心値とは、仮設定される複数の膜内電荷量の中心値である。また、膜内電荷量範囲とは、仮設定される膜内電荷量の範囲を定めるためのパラメータである。すなわち、膜内電荷量中心値に膜内電荷量範囲を加算した値および膜内電荷量中心値から膜内電荷量範囲を減じた値の間の範囲で、複数の膜内電荷量が仮設定される。膜内電荷量刻み値とは、仮設定される複数の膜内電荷量の間隔を規定するパラメータであり、膜内電荷量刻み値の間隔で複数の膜内電荷量が仮設定される。
制御部40は、最初にステップS1の処理を行うときには、計算対象となる絶縁膜において想定される膜厚および膜内電荷量を、膜厚中心値および膜内電荷量中心値として設定する。たとえば、膜厚中心値として500nm、膜厚範囲として500nm、膜厚刻み値として100nm、膜内電荷量中心値として5×1012/cm2を初期値として設定する。ただし、計算速度を向上するためには、たとえば、測定表面電位特性における蓄積状態または反転状態での表面電荷量に対する表面電位の傾きから絶縁膜の膜厚を求め、これを初期膜厚中心値としてもよい。
上記のようにして仮設定される複数の膜厚値および膜内電荷量のすべての組み合わせに関して、上記の式(1)に従って、理論表面電位特性が計算される(ステップS2。理論表面電位特性計算ステップ、理論表面電位特性計算手段)。理論表面電位の値は、測定表面電位特性(図4(a)の曲線L11)において実データの存在する表面電荷量(図4(a)の曲線L11におけるプロット)に対応する値を求める(図4(a)の曲線L12におけるプロット)。ただし、ここでは、表面吸着物に起因する表面電位変化φorg=0として理論表面電位を計算する。半導体基板の誘電率εsについては文献値を用い、基板キャリヤ濃度については制御部40に対して予め入力した値を用いる。また、絶縁膜の誘電率εinsについては、文献値等を用いる。
次に、制御部40は、ステップS2において求められたすべての理論表面電位特性と、測定表面電位特性とを比較し、絶縁膜の表面吸着物に起因する表面電位変化を全ての理論表面電位特性に関して個々に算出する(ステップS3。表面電位変化演算ステップ、表面電位変化演算手段)。
上記式(1)から、表面吸着物に起因する表面電位変化が存在する場合には、絶縁膜の表面電位は、表面吸着物に起因する表面電位変化φorgだけ変化(シフト)することが分かる。ステップS2において、表面電位変化φorg=0として理論表面電位Vsurfを求めているので、ウエハW上に形成された絶縁膜の実際の特性に相当する理論表面電位特性は、測定表面電位特性に対して、表面電位変化φorgだけ表面電位座標軸方向にずれている。そこで、推定表面電位特性(図4(a)の曲線L12)における表面電位の平均値(全プロットの平均値)を求め、さらに、測定表面電位特性(図4(a)の曲線L11)における表面電位の平均値(全プロットの平均値)を求めて、これらの差分を計算して表面電位変化φorgとする。このような演算を、すべての推定表面電位特性に関して実行する。
制御部40は、さらに、理論表面電位特性と測定表面電位特性とが一致している度合を表すフィッティング指標Fitを計算する(ステップS4。偏差演算ステップ、偏差演算手段)。このフィッティング指標Fitは、測定表面電位特性(曲線L11)の各プロット値(表面電位)から、理論表面電位特性(曲線L12)および表面電位変化φorgの対応するプロット値(表面電位)を差し引いて求めた表面電位差分ΔVsurfの標準偏差σである(図4(c)参照)。換言すれば、理論表面電位特性(曲線L12)を表面電位変化φorgを用いて補正した補正後の理論表面電位特性(図4(b)の曲線L12′)に対する測定表面電位特性(曲線L11)の標準偏差σが、フィッティング指標Fitとして求められることになる。このフィッティング指標Fitが、すべての理論表面電位特性に関して求められる。フィッティング指標Fitが零に近いほど、当該フィッティング指標Fitに対応する理論表面電位特性の演算の基礎とした仮設定値が真値に近いといえる。
そこで、制御部40は、上記複数の理論表面電位特性に関して求められたすべてのフィッティング指標Fitの中から、最小値(フィッティング指標最小値)を求める。そして、このフィッティング指標最小値に対応する設定膜厚および設定膜内電荷量を求める(ステップS5。最小偏差設定値決定ステップ、最小偏差設定値決定手段)。
その後、制御部40は、ステップS1〜S5の処理を所定回数繰り返したかどうかを判断し(ステップS6)、繰り返し回数が当該所定回数に達していなければ、ステップS1からの処理を繰り返す。
このとき、ステップS1では、制御部40は、直前のステップS5で求められた膜厚値および膜内電荷量を、膜厚中心値および膜厚電荷量中心値としてそれぞれ設定する。また、膜厚範囲、膜厚刻み値、膜内電荷量範囲および膜内電荷量刻み値については、直前のステップS1での処理で用いた膜厚範囲、膜厚刻み値、膜内電荷量範囲および膜内電荷量刻み値に対して所定の係数α(<1)を乗じた各値を用いる。係数αは、たとえば、α=0.1とする。これによって、真値が存在する蓋然性の高い範囲で膜厚および膜内電荷量を詳細に仮設定することができる。このようにして、以後のステップS2〜S5の処理を行うことにより、より真値に近似した膜厚および膜内電荷量を求めることができる。
上記繰り返し回数が所定回数に達すると、その直前のステップS5の処理において、フィッティング指標Fitが最小になるとされた理論表面電位特性に対応する表面電位変化φorgが求められる(ステップS7。表面電位変化抽出ステップ)。そして、直前のステップS5で求められた膜厚値および膜内電荷量とともに当該表面電位変化が、ウエハW上の絶縁膜の実際の特性を表す特性値(真値)として出力される(ステップS8)。
図5は、測定表面電位特性および多数の理論表面電位特性を用いて、ウエハW上に形成された絶縁膜の特性を求める際に制御部40が実行する処理の他の例を説明するためのフローチャートであり、膜厚、膜内電荷量および表面吸着物に起因する表面電位変化に加えて基板キャリヤ濃度も未知である場合の処理が示されている。この図5において、前述の図3に示された各ステップに対応するステップは、図3の場合のステップ番号に「10」を加えたステップ番号で示す。
この例では、制御部40は、複数の理論表面電位特性を求める仮設定値として、絶縁膜の膜厚および膜内電荷量に加えて、基板キャリヤ濃度に関する複数の仮設定値を設定する(ステップS11)。膜厚および膜内電荷量ならびに基板キャリヤ濃度に関する仮設定値を定めるためのパラメータとしては、膜厚中心値、膜厚範囲、膜厚刻み値、膜内電荷量中心値、膜内電荷量範囲、膜内電荷量刻み値、基板キャリヤ濃度中心値、基板キャリヤ濃度範囲、および基板キャリヤ濃度刻み値が挙げられる。膜厚および膜内電荷量の仮設定値については、図3の処理の場合と同様に定められる。基板キャリヤ濃度の中心値とは、仮設定される複数の基板キャリヤ濃度の値の中心値である。基板キャリヤ濃度範囲とは、仮設定される基板キャリヤ濃度の範囲を定めるためのパラメータであり、基板キャリヤ濃度中心値に基板キャリヤ濃度範囲を加算した値および基板キャリヤ濃度中心値から基板キャリヤ濃度範囲を減じた値の間の範囲で、複数の基板キャリヤ濃度が仮設定される。
最初にステップS11の処理を行うとき、制御部40は、計算対象となる絶縁膜において想定される膜厚および膜内電荷量を、膜厚中心値および膜内電荷量中心値として設定するとともに、計算対象の基板(ウエハW)において想定される基板キャリヤ濃度を基板キャリヤ濃度中心値として設定する。各繰り返し処理におけるステップS11での処理では、制御部40は、直前のステップS15(後述)において求められた膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度をそれらの中心値として用いる。それとともに、前述の図3の処理の場合と同様に、膜厚範囲、膜厚刻み値、膜内電荷量範囲、膜内電荷量刻み値、基板キャリヤ濃度範囲および基板キャリヤ濃度刻み値を、その直前のステップS11での処理に用いられた各範囲および各刻み値のα倍(α<1。たとえばα=0.1)に定める。これにより、繰り返し処理によって、膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の計算値の精度を徐々に高めていくことができる。
ステップS12においては、制御部40は、仮設定された複数の膜厚、複数の膜内電荷量および複数の基板キャリヤ濃度のすべての組み合わせについて、理論表面電位特性を求める。そして、求められたすべての理論表面電位特性に関して、その平均値と、測定表面電位特性の平均値との差分を求め、これを絶縁膜の表面に吸着した表面吸着物に起因する表面電位変化であると推定する(ステップS13)。
ステップS14では、制御部40は、個々の理論表面電位特性およびそれに対応して求められた表面電位変化に基づき、フィッティング指標Fitを求める。このフィッティング指標Fitを求める処理は、前述の図3の場合の処理と同様である。
そして、ステップS15では、制御部40は、フィッティング指標が最小となる理論表面電位特性に対応した膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度を求める。
このような処理が、膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の各中心値を変化させ、さらに、それらの仮設定値の範囲および刻み値を減少させながら、所定回数繰り返される(ステップS16)。
この所定回数の繰り返し処理によってフィッティング指標Fitが最小となる理論表面電位特性が見いだされると、これに対応する表面電位変化が求められる(ステップS17)。そして、最後のステップS15での処理で得られる膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度ならびにステップS17の処理で得られる表面電位変化の各値が、当該ウエハWの特性を表す値として出力される(ステップS18)。
このようにして、図5に示す処理では、ウエハW上に形成された絶縁膜の膜厚、膜内電荷量および表面電位変化(ただし、表面吸着物に起因するもの)の各値に加えて、基板キャリヤ濃度をも測定することができる。
図6は、測定表面電位特性および多数の理論表面電位特性を用いて、ウエハW上に形成された絶縁膜の特性を求める際に制御部40が実行する処理のさらに他の例を説明するためのフローチャートであり、絶縁膜の膜厚が既知であり、その比誘電率、膜内電荷量および表面吸着物に起因する表面電位変化が未知である場合の処理が示されている。この図6において、前述の図3に示された各ステップに対応するステップには、図3の各ステップに付したステップ番号に「20」を加えたステップ番号を付して示す。
絶縁膜の膜厚は、たとえば、別途、光学的測定方法(たとえば、エリプソメトリ)などによって求めておく。具体的には、絶縁膜が一般的なゲート絶縁膜であるような場合には、絶縁膜の膜厚は比較的厚く、比誘電率は高くされている。このように膜厚の厚い絶縁膜については、光学的な方法によって膜厚を正確に測定することができる。このように別途光学的な原理による膜厚測定装置で膜厚を予め測定しておくことにより、その測定値を用いて、絶縁膜の比誘電率を算出することができる。
制御部40は、複数の理論表面電位特性を求める仮設定値として、絶縁膜の比誘電率および膜内電荷量に関する複数の仮設定値を定める(ステップS21)。比誘電率および膜内電荷量に関する仮設定値を定めるためのパラメータとしては、比誘電率中心値、比誘電率範囲、比誘電率刻み値、膜内電荷量中心値、膜内電荷量範囲および膜内電荷量刻み値が挙げられる。膜内電荷量の仮設定値については、図3の処理の場合と同様に定められる。比誘電率中心値とは、仮設定される複数の比誘電率の中心値である。比誘電率範囲とは、仮設定される比誘電率の範囲を定めるためのパラメータであり、比誘電率中心値に比誘電率範囲を加算した値および比誘電率中心値から比誘電率範囲を減じた値の間の範囲で、複数の比誘電率が仮設定される。
最初にステップS21の処理を行うとき、制御部40は、計算対象となる絶縁膜において想定される比誘電率および膜内電荷量を、比誘電率中心値および膜内電荷量中心値として設定する。各繰り返し処理におけるステップS21での処理では、制御部40は、直前のステップS25(後述)において求められた比誘電率および膜内電荷量をそれらの中心値として用いる。それとともに、前述の図3の処理の場合と同様に、比誘電率範囲、比誘電率刻み値、膜内電荷量範囲および膜内電荷量刻み値を、その直前のステップS21での処理に用いられた各範囲および各刻み値のα倍(α<1。たとえばα=0.1)に定める。これにより、繰り返し処理によって、比誘電率および膜内電荷量の計算値の精度を徐々に高めていくことができる。
ステップS22においては、制御部40は、仮設定された複数の比誘電率および複数の膜内電荷量のすべての組み合わせについて、理論表面電位特性を求める。そして、求められたすべての理論表面電位特性に関して、その平均値と、測定表面電位特性の平均値との差分を求め、これを絶縁膜の表面に吸着した表面吸着物に起因する表面電位変化であると推定する(ステップS23)。
ステップS24では、制御部40は、個々の理論表面電位特性およびそれに対応して求められた表面電位変化に基づき、フィッティング指標Fitを求める。このフィッティング指標Fitを求める処理は、前述の図3の場合の処理と同様である。
そして、ステップS25では、制御部40は、フィッティング指標が最小となる理論表面電位特性に対応した比誘電率および膜内電荷量を求める。
このような処理が、比誘電率および膜内電荷量の各中心値を変化させ、さらに、それらの仮設定値の範囲および刻み値を係数αによって減少させながら、所定回数繰り返される(ステップS26)。
この所定回数の繰り返し処理によってフィッティング指標Fitが最小となる理論表面電位特性が見いだされると、これに対応する表面電位変化が求められる(ステップS27)。そして、最後のステップS25での処理で得られる比誘電率および膜内電荷量ならびにステップS27の処理で得られる表面電位変化の各値が、当該ウエハWの特性を表す値として出力される(ステップS28)。
このようにして、図6に示す処理では、ウエハW上に形成された絶縁膜の比誘電率、膜内電荷量および表面電位変化(ただし、表面吸着物に起因するもの)の各値を測定することができる。
この図6の処理に関しても、前述の図5の処理と同様の変形が可能であり、基板キャリヤ濃度を併せて求めることができる。この場合の制御部40の処理を図7に示す。この図7において、前述の図6に示された各ステップに対応するステップには、図6の各ステップに付したステップ番号に「10」を加えたステップ番号を付して示す。
この例では、制御部40は、複数の理論表面電位特性を求める仮設定値として、絶縁膜の比誘電率および膜内電荷量に加えて、基板キャリヤ濃度に関する複数の仮設定値を設定する(ステップS31)。比誘電率および膜内電荷量ならびに基板キャリヤ濃度に関する仮設定値を定めるためのパラメータは、比誘電率中心値、比誘電率範囲、比誘電率刻み値、膜内電荷量中心値、膜内電荷量範囲、膜内電荷量刻み値、基板キャリヤ濃度中心値、基板キャリヤ濃度範囲、および基板キャリヤ濃度刻み値を含む。
最初にステップS31の処理を行うとき、制御部40は、計算対象となる絶縁膜において想定される比誘電率および膜内電荷量を、比誘電率中心値および膜内電荷量中心値として設定するとともに、計算対象の基板(ウエハW)において想定される基板キャリヤ濃度を基板キャリヤ濃度中心値として設定する。各繰り返し処理におけるステップS31での処理では、制御部40は、直前のステップS35(後述)において求められた比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度をそれらの中心値として用いる。それとともに、前述の図6の処理の場合と同様に、比誘電率範囲、比誘電率刻み値、膜内電荷量範囲、膜内電荷量刻み値、基板キャリヤ濃度範囲および基板キャリヤ濃度刻み値を、その直前のステップS31での処理に用いられた各範囲および各刻み値のα倍(α<1。たとえばα=0.1)に定める。これにより、繰り返し処理によって、比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の計算精度が徐々に高まる。
ステップS32においては、制御部40は、仮設定された複数の比誘電率、複数の膜内電荷量および複数の基板キャリヤ濃度のすべての組み合わせについて、理論表面電位特性を求める。そして、求められたすべての理論表面電位特性に関して、その平均値と、測定表面電位特性の平均値との差分を求め、これを絶縁膜の表面に吸着した表面吸着物に起因する表面電位変化であると推定する(ステップS33)。
ステップS34では、制御部40は、個々の理論表面電位特性およびそれに対応して求められた表面電位変化に基づき、フィッティング指標Fitを求める。このフィッティング指標Fitを求める処理は、前述の図3の場合の処理と同様である。
そして、ステップS35では、制御部40は、フィッティング指標が最小となる理論表面電位特性に対応した比誘電率、膜内電荷量基板およびキャリヤ濃度を求める。
このような処理が、比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の各中心値を変化させ、さらに、それらの仮設定値の範囲および刻み値を減少させながら、所定回数繰り返される(ステップS36)。
この所定回数の繰り返し処理によってフィッティング指標Fitが最小となる理論表面電位特性が見いだされると、これに対応する表面電位変化が求められる(ステップS37)。そして、最後のステップS35での処理で得られる比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度ならびにステップS37の処理で得られる表面電位変化の各値が、当該ウエハWの特性を表す値として出力される(ステップS38)。
このようにして、図7に示す処理では、ウエハW上に形成された絶縁膜の比誘電率、膜内電荷量および表面電位変化(ただし、表面吸着物に起因するもの)の各値に加えて、基板キャリヤ濃度をも測定することができる。
以上の処理例では、絶縁膜の膜厚または比誘電率のいずれかが未知である場合を例にとったが、絶縁膜の膜厚および比誘電率の両方が文献等によって既知である場合には、膜厚または比誘電率については仮設定値を定めずに、膜内電荷量についてのみ複数の仮設定値を定めて同様の処理を行ったり、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度についてのみ各複数の仮設定値を定めて同様の処理を行ったりしてもよい。これにより、制御部40が実行する処理を簡単にすることができ、簡便な処理で、膜内電荷量および表面吸着物に起因する表面電位変化(基板キャリヤ濃度について仮設定値を定めるときには、さらに基板キャリヤ濃度)を求めることができる。
なお、前述のステップS1,S11,S21,S31では、ステップS5,S15,S25,S35において求まった値に膜厚等の各中心値を変更するようにしているが、仮設定値を定める際の中心値は、制御部40が実行するプログラム中または制御部40に備えられた記憶媒体等(図示せず)に予め記録しておき、繰り返し回数に応じた値を読み込んで用いるようにしてもよい。
次に、C−V測定による絶縁膜表面の電荷量の算出のために制御部40が実行する処理について概説する。
図8は、図1の絶縁膜特性測定装置20により、ウエハWの表面に形成された絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の特性(測定表面電位特性)を測定する際に制御部40が実行する処理を説明するためのフローチャートである。
先ず、保持台5の上に、絶縁膜が形成された面を上にしてウエハWが保持され、制御部40により移動機構7が制御されて、ウエハWがC−V測定位置に移動される。そして、制御部40により、光量測定器29の出力信号に基づくギャップdairがモニタされながら、ステッピングモータ22および圧電アクチュエータ23が制御されて、ギャップdairが所定の値になるように調整される。
その後、制御部40の制御によりインピーダンスメータ26が制御されて、C−V測定、すなわち、バイアス電圧毎に、保持台5と測定電極21との間の合成容量が測定される(ステップU1)。その際、ウエハWと測定電極21とはギャップを有して配されているので、C−V測定はウエハWに対して非接触で行われる。このようにして、バイアス電圧と合成容量との関係、すなわち、C−V曲線CV1が得られる。
図9に、C−V曲線の一例を示す。横軸がバイアス電圧であり、縦軸が合成容量Cを合成容量の最大値CMAXで標準化したもの(以下、「標準化容量」という。)である。標準化容量C/CMAXは、バイアス電圧の負側で1に収束し、バイアス電圧の増加とともに、あるバイアス電圧で大きく減少する。制御部40の演算により、C−V曲線から第1のフラットバンド電圧Vfb1が求められる。
この演算の詳細については、上記非特許文献1に詳述されているが、先ず、第1のフラットバンド電圧Vfb1に対応するフラットバンド容量Cfbが、次式(8)より求められる。
fb=CfbsMAX/(CMAX+Cfbs) ……(8)
ここで、Cfbsはシリコン(ウエハW)のフラットバンド容量であり、次式(9)で表される。
fbs=εs/λp …… (9)
ここで、εsはウエハWの誘電率であり、真空中の誘電率ε0とウエハWの比誘電率εSiとの積に等しい。ウエハWの比誘電率εSiは文献値等を用いることができる。λpはデバイ長であり、次式(10)で表される。
λp={(kTε0εSi)/(q0 2d)}1/2 ……(10)
ここで、kはボルツマン定数であり、q0は電気素量である。Tは半導体ウエハWの温度であるが、温度センサ10で測定されたチャンバ9内の温度で代用することができる。NdはウエハWのキャリヤ濃度であり、必要に応じて、別途測定することにより求めることができる。キャリヤ濃度Ndは、通常は、ウエハW購入時に測定されるので、その値を用いることができる。また、キャリヤ濃度Ndは、C−V曲線の傾きから求めることもできる。
このようにしてフラットバンド容量Cfbが求まると、第1のフラットバンド電圧Vfb1は、C−V曲線CV1において、標準化容量C/CMAXがCfb/CMAXであるときのバイアス電圧の値として求まる(図9参照)。
続いて、制御部40により移動機構7が制御されて、ウエハWが帯電処理位置に移動される。そして、制御部40により直流電源8が制御されて、ニードル11と保持台5との間に所定の電圧が印加さる。これにより、ニードル11とウエハWとの間にコロナ放電が生じ、ウエハW表面に形成された絶縁膜が均一に帯電される(ステップU2)。
この際、予め制御部40に与えられたウエハWの導電型に関する情報に基づいて、制御部40により直流電源8の極性が制御される。これにより、ウエハWがP型半導体である場合は絶縁膜表面が負に帯電され、ウエハWがN型半導体である場合は絶縁膜表面が正に帯電される。
その後、制御部40により移動機構7が制御されて、ウエハWがC−V測定位置に移動され、C−V測定が実施される(ステップU3)。このとき、ギャップdairの大きさは、ステップU1におけるC−V測定時とほぼ同じにされる。これにより、帯電処理後のC−V曲線CV2(図9参照。)が得られる。帯電処理後のC−V曲線CV2は、帯電処理前のC−V曲線CV1をバイアス電圧座標軸の正方向にシフトさせたような形を有している。
続いて、制御部40の演算により、C−V曲線CV2から帯電処理後のフラットバンド電圧(第2のフラットバンド電圧)Vfb2が求められる。
第2のフラットバンド電圧Vfb2は、C−V曲線CV2において、標準化容量C/CMAXがCfb/CMAXであるときのバイアス電圧の値として求まる(図9参照)。
そして、制御部40の演算により、次式(11)に基づいて、第2のフラットバンド電圧Vfb2と第1のフラットバンド電圧Vfb1との差ΔVfb、およびギャップdairから、帯電処理によってウエハW表面に与えられた電荷量Qが求められる(ステップU4)。
ΔVfb=−Qdair/ε0 ……(11)
次に、制御部40により移動機構7が制御されて、ウエハWが表面電位測定位置に移動され、ウエハWの表面電位Vsurfが測定される(ステップU5)。これにより、電荷量Qとそのときの表面電位Vsurfとからなる一組のデータが得られる。C−V測定(ステップU3)および表面電位Vsurfの測定(ステップU5)は、絶縁膜表面の電荷量Qが変化していないとみなせる時間内に行われる。
その後、制御部40により、ウエハWが蓄積状態であるか否か、すなわち、C−V曲線においてゼロバイアス近傍の合成容量Cの変化がほとんどないか否かが判断される(ステップU6)。たとえば、図9において、C−V曲線CV1に係るウエハWは蓄積状態ではなく、C−V曲線CV2に係るウエハWは蓄積状態である。
ウエハWが蓄積状態ではない場合(ステップU6のNO)は、再びステップU2に戻り、帯電処理(ステップU2)、C−V測定(ステップU3)、電荷量Qの計算(ステップU4)、および表面電位Vsurfの測定(ステップU5)が行われる。二度目以降の帯電処理により、ウエハWがP型半導体である場合は、絶縁膜表面が順次負側に大きく帯電されていき、ウエハWがN型半導体である場合は、絶縁膜表面が順次正側に大きく帯電されていく。
電荷量Qの計算(ステップU4)にあたって、第1のフラットバンド電圧Vfb1は最初の帯電処理前のC−V測定(ステップU1)によるものとされ、第2のフラットバンド電圧Vfb2は、直前のC−V測定(直前の帯電処理後)によるものとされる(以下、同じ)。
このようにして、ステップU2からステップU5が実行されるたびに、電荷量Qとそのときの表面電位Vsurfとの組からなるデータが増えていく。
得られる測定表面電位特性においては、蓄積状態および空乏状態、あるいは蓄積状態および空乏状態および反転状態が測定表面電位特性内に存在することが望ましい。
ウエハWが蓄積状態の場合(ステップU6のYES)は、電荷量Qが所定の値以上であるか否かが判断される(ステップU7)。電荷量Qが極端に大きいと、インピーダンスメータ26が印加可能なバイアス電圧の範囲では、ウエハWは蓄積状態しか示さないよう(図8において、C−V曲線CV1,CV2をバイアス電圧座標軸の正方向に極端にシフトさせた状態)になり、フラットバンド電圧を求めることができなくなる。電荷Qの所定の値は、C−V測定によりウエハWのフラットバンド電圧を求めることが可能であるか否かを判断できるように設定されている。
電荷量Qが所定の値より小さい場合(ステップU7のNO)、さらにC−V測定をしてフラットバンド電圧が得られる可能性があるので、ステップU2へと戻り、帯電処理(ステップU2)、C−V測定(ステップU3)、電荷量Qの計算(ステップU4)、表面電位Vsurfの測定(ステップU4)、およびウエハWが蓄積状態か否かの判断(ステップU6)が行われる。
電荷量Qが所定の値以上である場合には(ステップU7のYES)、表面電位特性の測定を終了する。このようにして、電荷量Qに対する表面電位Vsurfの変化(表面電位特性)を得ることができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、仮設定値の全ての組み合わせに対して理論表面電位特性を求め(ステップS2,S12,S22,S32)、その後に、その全ての理論表面電位特性に対して表面電位変化(ステップS3,S13,S23,S33)およびフィッティング指標(ステップS4,S14,S24,S34)を求めるようにしているが、一つの理論表面電位特性を求めるたびに、その理論表面電位特性に対して表面電位変化およびフィッティング指標を求める計算順序としてもよい。
さらに前述の実施形態では、コロナ放電によってウエハW上の絶縁膜を帯電させる構成について説明したが、たとえば、図1の帯電処理部1に代わりに紫外線(UV)照射ユニットを設け、紫外線(たとえば、220nm以上300nm以下の波長)をウエハWに照射することによって、ウエハW表面の絶縁膜を帯電させるようにしてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係る絶縁膜特性測定装置の図解的な正面図である。 測定された表面電荷量に対する表面電位の特性(測定表面電位特性)の例である。 測定表面電位特性および多数の理論表面電位特性を用いて、ウエハ上に形成された絶縁膜の特性を求める際に制御部が実行する処理の一例を説明するためのフローチャートであり、膜厚、膜内電荷量および表面吸着物に起因する表面電位変化が未知である場合の処理が示されている。 絶縁膜の特性を求める際に制御部が実行する処理のイメージを説明するための図である。 制御部が実行する処理の他の例を説明するためのフローチャートであり、膜厚、膜内電荷量および表面吸着物に起因する表面電位変化に加えて基板キャリヤ濃度も未知である場合の処理が示されている。 制御部が実行する処理のさらに他の例を説明するためのフローチャートであり、絶縁膜の膜厚が既知であり、その比誘電率、膜内電荷量および表面吸着物に起因する表面電位変化が未知である場合の処理が示されている。 制御部が実行する処理のさらに他の例を説明するためのフローチャートであり、絶縁膜の膜厚が既知であり、その比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度ならびに表面吸着物に起因する表面電位変化が未知である場合の処理が示されている。 図1の絶縁膜特性測定装置によりウエハの表面に形成された絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の特性(測定表面電位特性)を測定する際に制御部が実行する処理を説明するためのフローチャートである。 C−V測定を説明するための図である。
符号の説明
1 帯電処理部
2 C−V測定部
3 表面電位測定部
4 ローダ
5 保持台
6 レール
7 移動機構
8 直流電源
9 チャンバ
10 温度センサ
11 ニードル
20 絶縁膜特性測定装置
21 測定電極
22 ステッピングモータ
23 圧電アクチュエータ
24 ベース
25 プリズム
25a 底面
26 インピーダンスメータ
27 レーザ発振器
28 受光センサ
29 光量測定器
31 ケルビンプローブ
32 電極
40 制御部

Claims (8)

  1. 半導体基板の表面に形成された絶縁膜の特性を、この絶縁膜に対して非接触で測定する絶縁膜特性測定方法であって、
    前記絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の特性である測定表面電位特性を絶縁膜に対して非接触で測定する表面電位特性測定ステップと、
    膜内電荷量を複数個仮設定する仮設定ステップと、
    前記仮設定された複数の膜内電荷量に関して、前記絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の理論的な特性である理論表面電位特性をそれぞれ計算する理論表面電位特性計算ステップと、
    各理論表面電位特性に関して、前記測定表面電位特性から求められる表面電位の平均値と、当該理論表面電位特性から求められる表面電位の平均値との差分である平均値差分を求め、この平均値差分を前記絶縁膜の表面に吸着している表面吸着物に起因する表面電位変化とするステップと、
    各理論表面電位特性に関して、当該理論表面電位特性に対して前記表面電位変化による補正を施した補正表面電位特性に対する前記測定表面電位特性の偏差を計算するステップと、
    前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜内電荷量の設定値を定める最小偏差設定値決定ステップと、を含む絶縁膜特性測定方法。
  2. 前記仮設定ステップは、前記絶縁膜の膜厚および膜内電荷量をそれぞれ複数個設定するステップであり、
    前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の膜厚および複数の膜内電荷量の複数の組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、
    前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜厚および膜内電荷量の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法。
  3. 前記仮設定ステップは、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度をそれぞれ複数個設定するステップであり、
    前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の膜内電荷量および複数の基板キャリヤ濃度の複数の組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、
    前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法。
  4. 前記仮設定ステップは、前記絶縁膜の膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度をそれぞれ複数個設定するステップであり、
    前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の膜厚、複数の膜内電荷量および複数の基板キャリヤ濃度の複数の組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、
    前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜厚、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法。
  5. 前記仮設定ステップは、前記絶縁膜の比誘電率および膜内電荷量をそれぞれ複数個設定するステップであり、
    前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の比誘電率および複数の膜内電荷量の複数の組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、
    前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する比誘電率および膜内電荷量の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法。
  6. 前記仮設定ステップは、前記絶縁膜の比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度をそれぞれ複数個設定するステップであり、
    前記理論表面電位特性計算ステップは、前記仮設定された複数の比誘電率、複数の膜内電荷量および複数の基板キャリヤ濃度の複数の組み合わせに関して、理論表面電位特性をそれぞれ計算するステップであり、
    前記最小偏差設定値決定ステップは、前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する比誘電率、膜内電荷量および基板キャリヤ濃度の設定値の組を定めるステップである、請求項1記載の絶縁膜特性測定方法。
  7. 前記最小偏差設定値決定ステップによって定められる設定値に対応する理論表面電位特性に対応して求められた表面電位変化を抽出するステップをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の絶縁膜特性測定方法。
  8. 半導体基板の表面に形成された絶縁膜の特性を、この絶縁膜に対して非接触で測定する絶縁膜特性測定装置であって、
    前記絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の特性である測定表面電位特性を絶縁膜に対して非接触で測定する表面電位特性測定手段と、
    膜内電荷量を複数個仮設定する仮設定手段と、
    前記仮設定された複数の膜内電荷量に関して、前記絶縁膜の表面電荷量に対する表面電位の理論的な特性である理論表面電位特性をそれぞれ計算する理論表面電位特性計算手段と、
    各理論表面電位特性に関して、前記測定表面電位特性から求められる表面電位の平均値と、当該理論表面電位特性から求められる表面電位の平均値との差分である平均値差分を求め、この平均値差分を前記絶縁膜の表面に吸着している表面吸着物に起因する表面電位変化とする表面電位変化演算手段と、
    各理論表面電位特性に関して、当該理論表面電位特性に対して前記表面電位変化による補正を施した補正表面電位特性に対する前記測定表面電位特性の偏差を計算する偏差演算手段と、
    前記偏差が最も小さくなる理論表面電位特性に対応する膜内電荷量の設定値を定める最小偏差設定値決定手段と、を含む絶縁膜特性測定装置。
JP2005376174A 2005-12-27 2005-12-27 絶縁膜特性測定方法および絶縁膜特性測定装置 Expired - Fee Related JP4430007B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005376174A JP4430007B2 (ja) 2005-12-27 2005-12-27 絶縁膜特性測定方法および絶縁膜特性測定装置
US11/645,766 US7488610B2 (en) 2005-12-27 2006-12-27 Insulator film characteristic measuring method and insulator film characteristic measuring apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005376174A JP4430007B2 (ja) 2005-12-27 2005-12-27 絶縁膜特性測定方法および絶縁膜特性測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007180222A JP2007180222A (ja) 2007-07-12
JP4430007B2 true JP4430007B2 (ja) 2010-03-10

Family

ID=38194338

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005376174A Expired - Fee Related JP4430007B2 (ja) 2005-12-27 2005-12-27 絶縁膜特性測定方法および絶縁膜特性測定装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US7488610B2 (ja)
JP (1) JP4430007B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100697554B1 (ko) * 2006-02-14 2007-03-21 삼성전자주식회사 임계 치수 측정 방법
JP2009188170A (ja) * 2008-02-06 2009-08-20 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 絶縁膜物理量の算出方法
TWI384227B (zh) * 2009-09-01 2013-02-01 Advanced Semiconductor Eng 主動式非接觸之探針卡
US10969370B2 (en) * 2015-06-05 2021-04-06 Semilab Semiconductor Physics Laboratory Co., Ltd. Measuring semiconductor doping using constant surface potential corona charging
JP6604629B2 (ja) * 2016-02-15 2019-11-13 株式会社Screenホールディングス 検査装置及び検査方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3394317A (en) * 1965-11-12 1968-07-23 Gen Electric Superconductive amplifier devices
JP2802825B2 (ja) 1990-09-22 1998-09-24 大日本スクリーン製造 株式会社 半導体ウエハの電気測定装置
US5485091A (en) 1995-05-12 1996-01-16 International Business Machines Corporation Contactless electrical thin oxide measurements
US6191605B1 (en) 1997-08-18 2001-02-20 Tom G. Miller Contactless method for measuring total charge of an insulating layer on a substrate using corona charge
US6597193B2 (en) 2001-01-26 2003-07-22 Semiconductor Diagnostics, Inc. Steady state method for measuring the thickness and the capacitance of ultra thin dielectric in the presence of substantial leakage current
US6680621B2 (en) 2001-01-26 2004-01-20 Semiconductor Diagnostics, Inc. Steady state method for measuring the thickness and the capacitance of ultra thin dielectric in the presence of substantial leakage current
JP4658458B2 (ja) 2002-07-22 2011-03-23 大日本スクリーン製造株式会社 膜厚測定方法、比誘電率測定方法、膜厚測定装置、および比誘電率測定装置

Also Published As

Publication number Publication date
US7488610B2 (en) 2009-02-10
US20070148795A1 (en) 2007-06-28
JP2007180222A (ja) 2007-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6597193B2 (en) Steady state method for measuring the thickness and the capacitance of ultra thin dielectric in the presence of substantial leakage current
US6335630B2 (en) Contactless method for measuring total charge of an oxide layer on a semiconductor wafer using corona charge
JP4430007B2 (ja) 絶縁膜特性測定方法および絶縁膜特性測定装置
JP4658458B2 (ja) 膜厚測定方法、比誘電率測定方法、膜厚測定装置、および比誘電率測定装置
WO2002059631A1 (en) Steady state method for measuring the thickness and the capacitance of ultra thin dielectric in the presence of substantial leakage current
US7339392B2 (en) Apparatus measuring substrate leakage current and surface voltage and related method
CN111220660B (zh) 用于气体传感器设备的方法和处理设备
KR101206744B1 (ko) 임피던스를 이용한 인시투 박막 두께 측정 장치, 박막 두께 측정 방법 및 그 기록 매체
CN104937402A (zh) 包括原位校准装置的pH值测量设备
JP2021105564A (ja) イオンセンサ装置
JP3506875B2 (ja) 電気特性測定装置
US20040243327A1 (en) Thermoelectric measuring method and thermoelectric measuring apparatus using thereof
US9625557B2 (en) Work function calibration of a non-contact voltage sensor
US20200209189A1 (en) Sensor, sensing system and sensing method based on analysis of relaxation time
Yusof et al. pH sensing characteristics of silicon nitride thin film and silicon nitride-based ISFET sensor
Zeng et al. Low drift reference-less ISFET comprising two graphene films with different engineered sensitivities
JP2007240393A (ja) 表面電位計および表面電位測定方法
Ivliev et al. Determination of concentration of organic contaminants on a silicon dioxide surface by tribometry
US20190187082A1 (en) Ultrasensitive sensor based on a piezoelectric transistor
JP4786140B2 (ja) 比誘電率測定方法および比誘電率測定装置
JP2009188170A (ja) 絶縁膜物理量の算出方法
KR102557583B1 (ko) 산화막 식각률 모니터링 장치 및 그 모니터링 방법
JP2006201006A (ja) 圧電薄膜の伝達インピーダンス評価方法
Guadarrama-Santana et al. Non-destructive measurement of the dielectric constant of solid samples
Nycander Evaluation of ALD Oxides as the Sensing Layer for Ion Sensors

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091210

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091216

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121225

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121225

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121225

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees