JP4428749B2 - カメラボディおよびカメラシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、レンズシャッタを備えた撮影レンズ、この撮影レンズが着脱可能なカメラボディおよびカメラシステムに関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
従来の一眼レフカメラ用のレンズシャッタ装置を備えた撮影レンズ(以下「LSレンズ」という)は、カメラボディのシャッタ動作(絞り込み機構)と機械的に連動する制御されるレンズシャッタを使用しているため、撮影(露出)後レンズシャッタは閉じたままとなり、いわゆるブラックアウトが発生する。このブラックアウトは、撮影者がレンズシャッタのシャッタチャージ操作をしなければ解除されない、という問題があった。
【0003】
また、図6(A)に、ボディ側シャッタのシャッタ速度とレンズシャッタのシャッタ速度との関係をグラフにして示したように、ボディ側シャッタ速度は、レンズシャッタが全開することが必須なので、全開時間に余裕を持たせ、かつ確実を期すために固定速度、例えば1/8秒に固定されていた。しかも、ボディ側のシャッタレリーズ開始に対するレンズ側のシャッタレリーズ開始のタイミングも機械的な遅延装置によってなされていたため、カメラボディのシャッタ動作と撮影レンズのシャッタ動作のタイミングがずれるおそれがあった。さらに、レンズ側のシャッタ速度はレンズ側で設定しなければならないので、設定操作が煩わしかった。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、従来のレンズシャッタ装置を備えた撮影レンズ、カメラボディの問題に鑑みてなされたもので、シャッタレリーズタイミングが正確にとれ、レリーズ後のブラックアウト時間が短く、シャッタ速度の設定操作が容易なレンズシャッタ装置を備えた撮影レンズ、カメラボディおよびカメラシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【発明の概要】
この目的を達成する本発明は、カメラボディとの間で電気的に情報伝達する情報伝達手段と、レンズシャッタ装置と、前記カメラボディから前記情報伝達手段を介して受信したシャッタ速度データに基づいて前記レンズシャッタ装置を作動させるレンズ制御手段とを備えた撮影レンズが着脱可能なカメラボディであって、前記撮影レンズが装着されたときに撮影レンズの情報伝達手段を介して情報伝達する情報伝達手段と、前記撮影レンズに、前記レンズシャッタ装置が制御すべきレンズシャッタ用シャッタ速度データを前記情報伝達手段を介して送信する制御手段とを備え、前記カメラボディ用のシャッタ速度は、前記レンズシャッタ用シャッタ速度がボディシャッタ装置が全開するときの最速全開シャッタ速度よりも高速のときは、この最速全開シャッタ速度よりも遅い第1の所定のシャッタ速度に設定し、前記レンズシャッタ用シャッタ速度が前記最速全開シャッタ速度とこれよりも遅い第2の所定のシャッタ速度との間のときは、式、(レンズシャッタ用シャッタ速度)−(レンズシャッタ用シャッタ速度/2)−(所定値)により求め、前記レンズシャッタ用シャッタ速度が前記第2の所定のシャッタ速度よりも遅いときは、式、(レンズシャッタ用シャッタ速度)−(所定値)により求めること、ただし、前記各式においてレンズシャッタ用シャッタ速度および所定値はアペックス表示値であること、に特徴を有する。
本発明のカメラシステムは、着脱可能な撮影レンズ及びカメラボディを備えたカメラシステムであって、撮影レンズは、カメラボディに装着されたときにカメラボディとの間で電気的に情報伝達する情報伝達手段と、レンズシャッタ装置と、前記カメラボディから前記情報伝達手段を介して受信したシャッタ速度データに基づいて前記レンズシャッタ装置を作動させるレンズ制御手段とを備え、カメラボディは、前記撮影レンズが装着されたときに撮影レンズの情報伝達手段を介して情報伝達する情報伝達手段と、前記撮影レンズに前記レンズシャッタ装置が制御すべきレンズシャッタ用シャッタ速度データを前記情報伝達手段を介して送信する制御手段とを備え、前記カメラボディの制御手段はカメラボディ用のシャッタ速度を、前記レンズシャッタ用シャッタ速度がボディシャッタ装置が全開するときの最速全開シャッタ速度よりも高速のときは、この最速全開シャッタ速度よりも遅い第1の所定のシャッタ速度に設定し、前記レンズシャッタ用シャッタ速度が前記最速全開シャッタ速度とこれよりも遅い第2の所定のシャッタ速度との間のときは、式、(レンズシャッタ用シャッタ速度)−(レンズシャッタ用シャッタ速度/2)−(所定値)により求め、前記レンズシャッタ用シャッタ速度が前記第2の所定のシャッタ速度よりも遅いときは、式(レンズシャッタ用シャッタ速度)−(所定値)により求めること、ただし、前記各式においてレンズシャッタ用シャッタ速度および所定値はアペックス表示値であることに特徴を有する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明を説明する。図1には、本発明を適用した、一眼レフカメラのカメラボディおよびレンズシャッタ装置を備えた撮影レンズ(新LSレンズ51)の一実施の形態の主要部材をブロックで示してある。図2には、新LSレンズ51のレンズシャッタ装置の構成について、より詳細に示してある。新カメラボディ11に着脱可能な新LSレンズ51は、被写体側から、レンズシャッタ装置53、焦点調節レンズ群55を備えている。なお、焦点調節レンズ群55以外にも、撮影に必要なレンズ群を備えている。
【0007】
焦点調節レンズ群55は、ギヤブロック57により光軸に沿って前後動可能に支持されている。このギヤブロック57には、レンズジョイント59を介して新カメラボディ11から駆動力が伝達され、焦点調節レンズ群55を光軸に沿って移動させる。
【0008】
レンズシャッタ装置53は、複数枚のセクタ67の開閉動作によってシャッタ動作する構成である。レンズシャッタ装置53のシャッタ速度はレンズCPU61によって制御されるが、制御するシャッタ速度は、新カメラボディ11の制御手段(ボディCPU21)によって設定され、通信によって伝達される。
【0009】
新LSレンズ51から新カメラボディ11内に入射した被写体光は、メインミラー13で反射され、トラピゾイドプリズム15を透過して、一部は測光IC17に入射し、一部は不図示のファインダルーペ(図示せず)を透過する。メインミラー13に入射した被写体光束のうち、中央部に形成されたハーフミラー部に入射した被写体光束はこのハーフミラー部を透過してサブミラー14で反射されてAF用(CCD)センサユニット19内に入射する。AF用センサユニット19は、公知のいわゆる位相差方式のセンサであって、その出力信号はボディCPU21に入力され、位相差を検知して、AFモータ26の駆動方向および駆動量を求める。そしてボディCPU21は、モータードライブIC25を介してAFモータ26を駆動する。AFモータ26の回転はギアブロック27によって減速され、ボディ側伝達機構29を介して新LSレンズ51のレンズ側伝達機構59に伝達され、ギアブロック57を介して焦点調節レンズ群55が合焦位置方向に移動する。AFモータ26の駆動量は、AFモータ26の回転に連動して発生するパルス数をカウントするエンコーダ31によって検知する。
【0010】
また、測光IC17の出力はDPU23に入力され、A/D変換され、輝度データとしてボディCPU21に出力される。ボディCPU21は、DXコード読取回路33によって読み込んだISOデータと、輝度データと、所定の補正データなどに基づいて、選択された露出モードに対応するアルゴリズムによって露出演算を実行し、適正露出値、シャッタ速度、絞り値を設定する。設定されたシャッタ速度、絞り値や、撮影枚数など所定の情報は、LCD37に表示される。
【0011】
ボディCPU21の入力端子には、電源スイッチ(メインスイッチ)SWMAIN、測光スイッチSWS、レリーズスイッチSWRなど撮影者が操作するスイッチ群、シャッタダイヤルによって設定されたシャッタ情報を入力する4個のシャッタスイッチTV1〜TV4が接続されている。シャッタスイッチTV1〜TV4は、シャッタダイヤルの回転位置に応じてオン/オフするコードスイッチであって、オン/オフの組合せと設定されるシャッタ速度等の関係の一例を表1に示した。
【0012】
【表1】
Figure 0004428749
【0013】
さらにボディCPU21には、撮影に関する所定の情報、たとえば設定された撮影モード、撮影枚数などのデータが書き込まれるEEPROM39が接続されている。
【0014】
また、DPU23には、新LSレンズ51の絞りを設定した絞り値まで絞り込み、停止させる絞り制御機構41、ボディ側シャッタ装置43、メインミラー13を撮影位置から観察位置に移動させるミラーモータ45を駆動するモータドライブIC44が接続されている。シャッタ装置43は、先幕、後幕を備えたフォーカルプレーンシャッタである。レリーズ時には、後幕マグネット47によって後幕が係止され、メインミラー13が撮影位置までアップしたときに先幕、後幕の機械的係止が解除されて先幕のみが走行する。そして、設定されたシャッタ速度(露出時間)経過時に後幕マグネット47への通電が遮断され、後幕が走行してレリーズ動作が完了する。
【0015】
本実施例のミラーモータ45は、メインミラー13を移動させるだけではなく、メインミラー13を観察位置から撮影位置まで移動させるミラーばねをチャージし、シャッタ装置43をチャージするチャージモータ、フィルムを巻き上げるフィルム給送モータとしても機能する。また、レリーズ時には、設定されたレンズ用シャッタ速度が、DPU23から、ボディ側接点ピン群35およびレンズ側接点ピン群75を介してレンズCPU61に、所定のレンズ通信によって伝達される。また、DPU23とボディCPU21は、公知のデータ通信によりお互いに必要なデータのやりとりを行う。
【0016】
レンズシャッタ装置53の構成について、図2を参照して説明する。このレンズシャッタ装置53は4枚のセクタ(シャッタ羽根)67を備えている。セクタ67は、詳細は図示しないが、開放位置、閉鎖位置に移動したときに、セクタ係止機構によって機械的に係止されて開放位置、閉鎖位置に保持される。このセクタ係止機構による係止は、セクタモータ65の正転によって解除される。セクタ67は、セクタモータ65の逆転によって閉鎖位置から開放位置に移動し、同時に、セクタ67を閉鎖する付勢ばね、開放する付勢ばね、およびシャッタ閉動作時にセクタ67を閉鎖するセクタ駆動ばねがチャージされる。この状態がチャージ完了状態である。
【0017】
レンズシャッタ装置53は、チャージ完了状態にあるときに、セクタモータ65が正転してもセクタ駆動ばねが解放されないように一時的にセクタ駆動ばねを保持するセクタマグネット69を備えている。このセクタマグネット69は、通電されたときに、チャージ完了位置にあるセクタ駆動ばねのアーマチュアを吸着してチャージ完了位置に保持する。
レンズCPU61は、セクタ67がチャージ完了状態(開放位置)にあることをセクタ開検知スイッチ(SWSECT)71によって検知し、セクタ駆動ばねのチャージが完了したことをチャージ完了検知スイッチ(SWCRG)73によって検知する。
【0018】
このLSレンズ51の外観を、図3に示した。固定鏡筒外周面には、レンズシャッタ切換えスイッチNORM/LSと連動するレンズシャッタ切換えボタン75、焦点調節モード切換えスイッチAF/MFと連動する焦点調節モード切換えボタン77が設けられている。また、符号79はマニュアル焦点調節用の焦点調節リング、符号81は絞りリング、符号76はレンズシャッタの全開に同期してオンするシンクロターミナルである。
【0019】
次に、新LSレンズ51と新カメラボディ11との間で所定の通信、電力供給するための通信に関する実施の形態について説明する。新LSレンズ51および新カメラボディ11は、マウントよりも内周側にマウントと同心円上に配置した複数のマウントピン群(接点ピン群)35、75を備えている。これらのマウントピン群35、75の接触を介して、電源をカメラボディから新LSレンズに供給し、データ、コマンドなどを通信する構成である。図4には、その要部を示している。本実施の形態では、ボディCPU21は、DPU23を介して、レンズCPU61と通信する。
【0020】
DPU23は、グランド端子(GND)の他に、複数個の入出力端子を備えている。新LSレンズ51が装着されたときの各端子の役割は、以下の通りである。端子LENS N/O、CONTLは新LSレンズ51かどうかをチェックするために使用される端子であり、さらにコントロール端子CONTLは、定電圧を新LSレンズ51に供給する電源端子でもある。4個の端子Fmin1/SCK、Fmin2/DATA、Fmin3/RES、LS/ACKはそれぞれ、新LSレンズ51が装着されたときには主にレンズ通信において、シリアルクロック、データ、リセット信号、アクノリッジ信号の通信に使用される端子である。端子VLENS、端子PGNDは、新LSレンズ51のモータ、マグネットなど動力部材へ動力用電源を供給する電源端子である。端子Fmax1、Fmax2は撮影レンズの最小絞りF値(最大Av値)を識別する端子であり、A/M端子は絞りがオートかマニュアルかを識別する絞りオート/マニュアル端子である。
【0021】
一方、新LSレンズ51は、DPU23の端子LENS N/O、CONTL、Fmin1/SCK、Fmin2/DATA、Fmin3/RES、LS/ACKと接続される対応端子Vdd、SCK、DATA、RES、ACKを備えている。なお、モータドライブIC63の電源端子は、DPU23の電源端子VLENS、PGNDと接続される。また、カメラボディ側グランドはボディマウントに接地され、レンズCPU61のグランド(GND)もレンズマウントに接地されており、新カメラボディ11に新LSレンズ51が装着されることにより、カメラボディ側のグランドがレンズCPU61のグランドとともに接地される構成である。
【0022】
これら新カメラボディ11、新LSレンズ51の端子の接続を介して、新カメラボディ11と新LSレンズ51との間で通信が実行される。例えば、ボディCPU21は、DPU23のコントロール端子CONTLのレベルを変化させて端子LENS N/Oのレベル変化をチェックし、変化があれば新LSレンズ51が装着されていると判別する。
新カメラボディ11は、新LSレンズ51が装着されていると判別したときは、コントロール端子CONTLを介して電源電圧VDDを新LSレンズ51に供給し、レンズCPU61を起動する。これによって新カメラボディ11は、新LSレンズ51との間で新通信(第2の通信)の実行が可能になる。
【0023】
レンズCPU61は、起動後、発振子の発振が安定してから初期化プログラムを実行するが、初期化開始時にアクノリッジ端子ACKのレベルを立ち下げ、初期化が終了したらアクノリッジ端子ACKレベルを立ち上げて待機状態をボディCPU21に伝える。ボディCPU21は、アクノリッジ端子ACKレベルによってCPUを備えた撮影レンズであることを判別し、その後、レンズ通信を実行することによって新LSレンズ51であることを判別し、各種の処理を実行する。
【0024】
この新カメラボディ11および新LSレンズ51のシャッタ動作について、図5に示したタイミングチャートを参照して説明する。図において、上段(A)は新カメラボディ11のタイミングチャートであり、下段(B)は新LSレンズ51のタイミングチャートである。なお、レンズシャッタ装置53を動作させるLS用シャッタ速度は、ボディCPU21によって設定され、レリーズの際に通信によって新LSレンズ51に伝達される。ボディ用シャッタ速度は、シャッタ全開時間がLS用シャッタ速度よりも所定時間(α時間)長くなるように設定されている。
【0025】
初めに、測光状態の時には、新カメラボディ11側のシャッタ装置43は、先幕および後幕がシャッタチャージ完了位置まで移動して先幕がアパーチャを閉鎖したシャッタ待機状態にあり、また、レンズシャッタ装置53は、チャージ完了状態、つまりセクタ67が開放位置にセクタ係止機構によって係止され、閉鎖付勢ばね、開放付勢ばねおよびセクタ駆動ばねがチャージ完了状態にある。
【0026】
この状態でレリーズスイッチSWRがオンされると、レンズ通信90によって、ボディCPU21からレンズCPU61に、レンズシャッタ閉口命令(32H(表3))が通信される。このシャッタ閉口命令を受けたレンズCPU61は、セクタマグネット69に通電してセクタ駆動ばねを保持してからセクタモータ65を所定時間正転させてセクタ係止機構を解除し、セクタ67を付勢ばねの付勢力によって閉鎖させる。レンズCPU61は、セクタ67が閉じたことをチャージ完了検知スイッチ(SWCRG)73がONすることによって検知する。
【0027】
所定時間経過後、ボディCPU21はミラーモータ45を逆転駆動してミラーチャージばねの機械的係止を解除し、メインミラー13をミラーチャージばねの付勢力によって撮影位置までアップさせる。メインミラー13が撮影位置まで上昇すると、シャッタ幕の機械的係止が解除されて先幕が走行し、アパーチャが開放される。なお、ボディCPU21は、シャッタ幕の機械的係止が解除されても後幕が走行しないように、ミラーモータ45を逆転させる前に後幕マグネットに通電(ON)して後幕を後幕マグネット47によって保持する。
【0028】
ボディCPU21は、メインミラー13が撮影位置に移動したことをミラースイッチSWTのONによって検知し、先幕の走行が完了したことを、X接点スイッチSWXのONによって検知する。X接点スイッチSWXがONしたら、シャッタ全開なのでレンズ通信によってシャッタ速度データ兼レリーズコマンド(51H)をレンズCPU61に送信する(91)。
【0029】
シャッタ速度データ兼レリーズコマンドを受信したレンズCPU61は、露出を開始すべくセクタモータ65を正転させてセクタ係止機構を解除し、開付勢ばねの付勢力によってセクタ67を開放する。レンズCPU61は、セクタ67が閉鎖位置から移動したことをセクタ閉鎖検知スイッチ71によって検知する。
そしてレンズCPU61は、受信したシャッタ速度データに基づいてシャッタ時間を計時し、シャッタ時間が経過した時にセクタマグネット69への通電を遮断してセクタ駆動ばねを解放し、セクタ駆動ばねの付勢力によってセクタ67を閉鎖させる。このセクタ67の閉鎖によって露出が終了する。
【0030】
一方、新カメラボディ11では、セクタ67閉鎖後に経過するように設定されているボディ用シャッタ時間が経過すると、後幕マグネットへの通電を遮断して後幕を走行させて、シャッタを閉じる。ボディCPU21は、後幕走行完了を巻完スイッチSWEを介して検知したら、ミラーモータ45を正転させて、ミラーを観察位置にダウンさせるとともにシャッタチャージ、フィルム巻上げを実行し、フィルムの巻上げが完了し、シャッタチャージが完了したことを巻完スイッチSWEを介して検知したらミラーモータ45を停止させる。そしてシャッタチャージ命令(31H)をレンズCPU61へ送信する(92)。
【0031】
シャッタチャージ命令を受信したレンズCPU61は、セクタモータ65を逆転させて付勢ばね、セクタ駆動ばねをチャージするとともに、セクタ67を開放位置まで移動させる。そしてレンズCPU61は、セクタ67が開放位置まで移動し、かつセクタ駆動ばねのチャージが完了したことをチャージ完了検知スイッチ(SWCRG)73によって検知してセクタモータ65を停止させ、チャージ完了信号(63H)をボディCPU21に送信する(93)。
【0032】
以上の通り本発明の一実施の形態である新LSレンズ51を新カメラボディ11に装着した一眼レフカメラでは、レリーズ(露出)動作が終了すると、カメラボディ側からの指令によってレンズシャッタが開放動作するので、従来のLSレンズよりもブラックアウト時間が短くなる。
【0033】
なお、レリーズ動作において新カメラボディ11から新LSレンズ51に送信するシャッタチャージ信号は、後幕の走行完了を検知した後、ミラーモータ45を正転駆動する前に送信してもよい。このタイミングによれば、レンズシャッタ装置63のセクタ67がより早く開放位置に戻るので、ブラックアウト時間がより短くなる。
【0034】
本発明の実施の形態によれば、新LSレンズ51のシャッタ速度を新カメラボディ11側で設定し、そのシャッタ速度に応じて新カメラボディ11側のシャッタ速度を設定するので、撮影者は、あたかも一般レンズのシャッタスピードを設定する感覚で新LSレンズ51を使用することができる。図6の(B)には、本発明のレンズシャッタ用シャッタ速度(以下「新LS用シャッタ速度」)と新カメラボディ11のボディ用シャッタ速度との関係を、従来の一眼レフカメラ用のレンズシャッタレンズの場合(A)と対比してグラフで示してある。
【0035】
このグラフから明らかなように、本発明では、ボディ用シャッタ速度を、新LS用シャッタ速度に応じて変更しているので、ボディ用シャッタ速度と新LS用シャッタ速度との差が小さくなり、レリーズ処理に要する時間が短くなる。なお、本実施例のボディシャッタ装置43は、1/60秒でシャッタ全開となるので、シャッタ速度1/30秒で全開時間が1/60秒以上得られる。したがって、レンズ用シャッタ速度が1/60秒よりも高速の場合はボディ用シャッタ速度を1/30秒に設定することも可能であるが、通信時間、通信遅延、誤差等を見越して確実性を高めるために、ボディ用シャッタ速度の最速値(最短露出時間)を1/8秒としてある。
【0036】
このカメラシステムの動作について、さらに図7から図35に示したフローチャート、タイミングチャートを参照して説明する。このカメラシステムは、ボディCPU21によって制御される動作と、レンズCPU61によって制御される動作がある。先ず、図7から図23を参照して、新カメラボディ11側の動作について説明する。図7は、新カメラボディ21と新LSレンズ51との間で実行される通信処理のタイミングチャートの一例であって、(A)は電源投入時およびシングルインストラクション時のタイミングチャート、(B)は1バイトデータ通信時のタイミングチャート、(C)は複数バイトデータ通信時のタイミングチャートである。
【0037】
[スタート処理]
図8は、ボディCPU21によって実行されるスタート(メイン)処理である。このスタート処理には、新カメラボディ11に電池が装填されたときに入る。スタート処理にはいると、まず、ボディCPU21は、システム(内部RAM、入出力端子など)をイニシャライズし(S11)、ボディCPU21の動作を低消費電力モードにセットするパワーダウン処理を実行する(S13)。そして、測光スイッチSWSがオンしたかどうかをチェックし、オンしていなければS13に戻って測光スイッチSWSがオンするのを待つ(S15;N)。
測光スイッチSWSがオンすると、パワーオン処理を実行して低消費電力モードを解除して(S15;Y、S17)、VDDループ処理(S18)に進む。
【0038】
VDDループ(S18)に入ると、VDDループ時間タイマーをスタートさせ(S19)、スイッチ状態をチェックする(S21)。そして、レンズ通信を実行してレンズ情報を入力し(S23)、AE演算処理を実行して適正シャッタ速度、絞り値を設定し(S25)、設定したシャッタ速度、絞り値などの撮影情報をLCDに表示する(S27)。そして、レリーズスイッチSWRがオンしているかどうかをチェックする(S29)。
【0039】
レリーズスイッチSWRがオンしていればレリーズ処理を実行し、巻上げ処理を実行してVDDループに戻る(S29;Y、S31、S33、S18)。
レリーズスイッチSWRがオンしていないときは(S29;N)、AF処理を実行し(S35)、ループ時間が経過したかどうかをチェックして(S37)、ループ時間が経過するのを、AF処理を繰り返し実行して待つ(S37;N、S35)。なお、AF処理は、ボディCPU21により、CCD19から被写体像データを入力してデフォーカス量、AFモータ26の回転方向および駆動量を演算し、AFモータ26を駆動して焦点調節レンズ群55を合焦位置まで移動させる処理である。
【0040】
ループ時間が経過すると(S37;Y)、測光スイッチSWSがオンしているかどうかをチェックし、オンしていたらVDDループに戻る(S39;Y、S18)。測光スイッチSWSがオンしていなければパワーホールド中フラグに“1”がセットされているかどうかをチェックし(S39;N、S41)、セットされていたらS43、S45をスキップしてS47に進み(S41;Y、S47)、セットされていなければパワーホールドタイマーをスタートさせ(S41;N、S43)、パワーホールド中フラグに“1”をセットしてS47に進む(S45、S47)。
S47のステップでは、パワーホールド時間が経過したかどうかをチェックし、経過していなければVDDループに戻り(S47;N)、経過していれば、パワーホールド中フラグに“0”をセットしてパワーダウン処理に戻る(S47;Y、S49、S13)。
【0041】
[レンズ通信処理]
S23のステップで実行されるレンズ通信処理について、図9に示したフローチャートを参照して説明する。このレンズ通信処理では、マウントピン群35を介して、装着された撮影レンズと通信し、その種別を判別する処理である。
また、このレンズ通信処理などで設定、参照されるレンズフラグの種別を、下記表2に示した。この表2において、レンズ種別フラグ(lens_kind)の4ビット目が新LSレンズ51である旨を識別するフラグである。さらに、レンズ状態フラグ(lens_state)フラグの3ビット目が、新LSレンズ51が正常でない旨を識別するフラグである。
【0042】
【表2】
Figure 0004428749
【0043】
レンズ通信処理で通信されるインストラクションの一例を、表3に示した。表3の1は、カメラボディから撮影レンズに通信されるシングルインストラクションの例、表3の2はデータ通信で送信されるインストラクションの例であって、(1)はカメラボディから撮影レンズに送信されるインストラクション、(2)は撮影レンズからカメラボディに送信されるインストラクションの例である。例えば、LSチャージ(31H)は、新LSレンズ51にシャッタチャージさせるコマンドであり、LSクローズ(32H)は新LSレンズ51にシャッタを閉じさせるコマンド(レンズシャッタ閉口)である。LS−TV(51H)は新LSレンズ51のシャッタ速度データを兼ねたレリーズコマンドである。レンズデータ(62H)は開放絞り値、最小絞り値、焦点距離などのレンズデータを通信するコマンドである。
【0044】
【表3】
Figure 0004428749
【0045】
レンズ通信処理に入ると、まず、レンズCPUを備えたレンズかどうかを、その旨を識別するLCPUフラグの状態によってチェックする(S101)。一番最初の状態ではレンズの種類が不明なのでLCPUフラグは“0”であるからS125に進む(S101;N、S125)。
すでにLCPUフラグに“1”がセットされていれば、レンズ通信が可能かどうかを識別するlens NGフラグが“0”かどうかをチェックする(S101;Y、S103)。lens NGフラグが“0”であればS105に進む(S103;Y、S105)。LCPUを備えていないレンズか、備えていてもlens NGフラグに“1”がセットされていたらS125に進む(S101;N、S125、またはS101;Y、S103;N、S125)。
【0046】
S125のステップでは、lens NGフラグに“0”がセットされているかどうかをチェックする。“0”がセットされていない場合はレンズ種別をチェックするlens0処理に進む(S125;N)。“0”がセットされている場合はレンズ種別を示すlens_kindをチェックし(S125;Y、S127)、レンズ種別lens_kindが“0”でないときにはマウントピンチェック処理(check_mount_pin)を実行する(S127;N、S129)。そして、マウント変化フラグに“1”がセットされているかどうかをチェックし(S131)、“1”がセットされていればマウントに変化があったのでlens0処理に進み(S131;Y)、“1”がセットされていなければマウント状態の変化がないので何もせずにリターンする(S131;N)。
【0047】
S105のステップでは、マウントピンチェック処理(check_mount_pin)を実行する。マウントピンチェック処理は、その詳細を図10にフローチャートで示したように、端子Fmax1、Fmax2、A/M、LS/ACKのレベルを入力してマウントピンフラグをセットし(S10501)、端子Fmax1、Fmax2にレベル変化があったかどうかをチェックして(S10503)、変化があればレンズの状態が変化したとしてマウント変化フラグをセット(“1”をセット)し(S10503;Y、S10505)、変化がなければマウント変化フラグをクリア(“0”をセット)してリターンする(S10503;N、S10507)。
【0048】
マウントピンチェック処理から戻ると、マウント変化フラグの状態をチェックし、マウント変化フラグに“1”がセットされている場合(変化があった場合)にはlens0処理に進む(S107;Y)。マウント変化フラグに“1”がセットされていない場合(変化がなかった場合)には、lens NGフラグをクリアして、レンズデータ通信(62H)を実行して通信ができたかどうか(通信OKフラグに“1”がセットされているかどうか)をチェックする(S107;N、S109、S111、S113)。
【0049】
通信OKフラグに“1”がセットされていなければレンズCPUが正常でない旨を識別するLCPU NG フラグに“1”をセットしてLSCPUレンズであるかどうかをチェックする(S113;N、S115、S117)。ここで、LSCPUレンズかどうかの判断は、上記レンズデータ通信(62H)の実行結果に基づいて行われる。すなわち、レンズデータの中にレンズの種類を表すフラグが入っているので、そのフラグによって判断する。レンズシャッタCPUレンズであればLSCPUフラグに“1”をセットし、レンズフラグ通信(63H)を実行してリターンする(S117;Y、S119、S121)。レンズシャッタCPUレンズでなければLSCPUフラグに“0”をセットしてリターンする(S117;N、S123)。
【0050】
lens0処理について、図11に示したフローチャートを参照して説明する。このlens0処理は、図7(A)に示したタイミングチャートのようになる。
lens0処理に入ると、まず、レンズ種別フラグlens_kindに“0”をセットし、レンズ状態フラグlens NGに“0”をセットする(S1001)。そして、マウントピン群35の各状態を入力する(S1003)。マウントピンの状態入力処理では、図13にそのフローチャートを示したように、まず、端子(マウントピン)Fmax1、Fmax2、Fmin1/SCK、Fmin2/DATA、Fmin3/RES、A/M、LS/SCKのレベルを入力してマウントピンフラグにセットする(S10031)。そして、端子Fmax1、Fmax2のレベルに変化があったかどうか、つまり、例えば撮影レンズが着脱されたかどうかをチェックし(S10033)、変化があればマウント変化フラグに“1”をセットし(S10033;Y、S10035)、変化がなければマウント変化フラグに“0”をセットしてリターンする(S10033;N、S10037)。
【0051】
そして、DPU23のコントロール端子CONTLをローレベルに落とす(S1005)。その後、端子lens N/Oがハイレベルかどうかをチェックし、ハイレベルであれば、KAレンズ処理(ka_lens_shori)を実行してメインルーチンにリターンする(S1007;Y、S1021)。
【0052】
KAレンズ処理は、図14にその詳細フローチャートを示したように、まず、マウントピンフラグが全てハイレベルかどうかをチェックし(S10211)、全てハイレベルであれば撮影レンズが装着されていない状態なので撮影レンズが装着されていない状態を識別するNo lensフラグに“1”をセットしてS1021のステップにリターンする(S10211;Y、S10213)。ハイレベルでないマウントピンがあれば、マウントピンフラグの全てがローレベルかどうかをチェックする(S10211;N、S10215)。マウントピンの全てがローレベルであれば、マウントピンを有さない撮影レンズ(K lens)が装着されているので、レンズマウントピンを有さないKレンズが装着されている旨を識別するK lensフラグに“1”をセットしてS1021にリターンし(S10215;Y、S10217)、マウントピンの何れかがローレベルで、何れかがハイレベルの状態であれば、レンズマウントピンを備えた撮影レンズ(A lens)が装着されているので、Aレンズである旨を識別するA lensフラグに“1”をセットしてS1021のステップにリターンする(S10215;N、S10219)。
【0053】
S1007のステップにおいて、端子lens N/Oがハイレベルではなかったときは、リセット端子Fmin3/RESをハイレベルに立ち上げ、コントロール端子CONTLもハイレベルに立ち上げる(S1007;N、S1009、S1011)。そして、レンズ着脱検知端子lens N/Oがハイレベルに立ち上がったかどうかをチェックする。もしもここでLSCPUレンズが装着されていれば、レンズ側マウント端子のLENS N/OとCONTLが接続されているので、カメラボディ側の端子CONTLをハイレベルにして端子LENS N/Oがハイかローレベルかにより、レンズCPUかどうかの判断をすることができる。
【0054】
そこで、もし端子LENS N/Oがハイレベルに立ち上がっていればリセット端子Fmin3/RESをローレベルに落としてデータ端子Fmin2/DATAがハイレベルに立ち上がっているかどうかをチェックする(S1013;Y、S1015、S1017)。本来、この処理に入るのはレンズCPUレンズであり、S1011のステップで端子CONTLがハイレベルに立ち上げられているので、レンズ側に電源電圧が与えられた当初は撮影レンズは発振安定待ち時間なので動作しておらず、端子Fmin2/DATAの状態は不安定である。カメラボディ側はプルアップしているので、正常であればハイレベルとなる。したがって、この判断によりレンズCPUが正常かどうかをチェックする。データ端子Fmin2/DATAがハイレベルに立ち上がっていなかったら、レンズCPUが正常ではないのでlens NGフラグに“1”をセットし、KAレンズ処理を実行して通信処理のS25にリターンする(S1017;N、S1019、S1021)。
【0055】
データ端子Fmin2/DATAがハイレベルに立ち上がっていたら、レンズCPUレンズである旨を識別するLCPUlensフラグに“1”をセットし、リセット端子Fmin3/RESをハイレベルに立ち上げる(S1017;Y、S1023、S1025)。そして、T1タイマーをスタートさせ、アクノリッジ端子LS/ACKがローレベルに立ち下がったかどうかタイマーのチェックを、T1タイマーがタイムアップするまで繰り返す(S1029;N、S1033;N、S1029)。
【0056】
T1タイマーがタイムアップする前にアクノリッジ端子LS/ACKがローレベルに立ち下がったら、T2タイマーをスタートさせて、今度はアクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルに立ち上がるのを、T2タイマーをチェックしながら待つ(S1029;Y、S1031、S1035;N、S1037;N、S1035)。
【0057】
T2タイマーがタイムアップする前にアクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルに立ち上がったら、lens1処理に進む(S1035;Y)。また、アクノリッジ端子LS/ACKのレベルの立ち下がりまたは立ち上がりチェックにおいて、タイマーがタイムアップしてしまったときには、レンズCPUの異常なので、LCPU NGフラグに“1”をセットして通信処理のS25にリターンする(S1033;YまたはS1037;Y、S1039)。
【0058】
次に、S1035のステップから入るlens1処理について、図12に示したフローチャートを参照して説明する。
lens1処理は、lens0処理において、レンズCPUを搭載したレンズであり、かつレンズCPUからアクノリッジ端子LS/ACKを介してアクノリッジ信号を受けたときに入る処理である。つまり、新LSレンズ51が装着されているときに入る処理である。
【0059】
lens1処理に入ると、レンズデータ通信(62H)によってレンズデータをレンズCPUレンズから入力する(S1041)。そして、通信OK(LCPU NGフラグが“0”)かどうかをチェックし(S1043)、通信OKであれば、レンズシャッタおよびCPUを備えた新LSレンズ51であるかどうかをチェックし(S1047)、新LSレンズ51であれば(S1047;Y)、その旨を識別するLS CPUフラグに“1”をセットし、レンズフラグ通信(63H)によって63Hのデータを送信してS25のステップにリターンする(S1049、S1051)。
【0060】
S1043のステップにおいて、通信OKでないと判断したときは、レンズCPUが正常か否かを識別するLCPU NGフラグに“1”をセットする(S1043;N、S1045)。S1047のステップにおいて、新LSレンズ51ではないと判断したときは、新LSレンズ51であるか否かを識別するLSCPU lensフラグに“0”をセットしてS25にリターンする(S1047;N、S1053)。
【0061】
S111のレンズデータ通信処理の詳細について、図15に示したフローチャートを参照して説明する。このレンズデータ通信処理では、レンズ通信可能な撮影レンズとの間で、所定のレンズデータを授受する処理である。この処理のタイミングは、図7(C)に示した通りである。
【0062】
レンズデータ処理に入ると、まずアクノリッジ端子LS/ACKがハイレベル(“1”)かどうかをチェックし、ハイレベルであればリセット端子Fmin3/RESをローレベル(“0”)に落として通信用のタイマー(T3)をスタートさせる(S1101;Y、S1103、S1105)。次に、アクノリッジ端子LS/ACKがローレベルに落ちたかどうかのチェックを、タイマー(T3)がタイムアップ(end)するまで繰り返す(S1107;N、S1109;N、S1107)。
【0063】
タイマーがタイムアップする前にアクノレッジ端子LS/ACKがローレベルに落ちたら、まず通信を開始させるためのオペレーションコード(62H)を出力し、通信するデータ数(バイト数)をカウントする変数nをクリアする(S1111、S1113)。なお、本実施例の説明では、32バイトのデータを送信するものとする。
そして、タイマー(T4)をスタートさせ(S1115)、アクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルに立ち上がったかどうかのチェックを、タイマー(T4)がタイムアップ(end)するまで繰り返す(S1117;N、S1119;N、S1117)。
【0064】
タイマー(T4)がタイムアップする前にアクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルに立ち上がると、リセット端子Fmin3/RESをハイレベルに立ち上げ、タイマー(T5)をスタートさせる(S1117;Y、S1121、S1123)。そして、アクノリッジ端子LS/ACKがローレベルに落ちたかどうかのチェックを、タイマー(T5)がタイムアップ(end)するまで繰り返す(S1125;N、S1127;N、S1125)。
【0065】
アクノリッジ端子LS/ACKがローレベルに落ちたら、リセット端子Fmin3/RESをローレベルに落として端子Fmin1/SCKにシリアルクロックを出力してシリアル通信を実行する(S1125;Y、S1129、S1131)。そして、シリアル通信で受信したデータ(1バイト)を変数nに対応したRAMのアドレス(lc(n))に書き込み、変数nに1を加算して、変数nが32になったかどうかをチェックし、変数nが32になるまでS1115からの処理を繰り返す(S1133、S1135、S1137;N、S1115)。S1115からS1135の処理を32回繰り返して変数nが32になったら、LCPU2処理へ進む(S1137;Y)。
【0066】
なお、アクノリッジ端子LS/ACKの立ち下がりまたは立ち上がりチェック処理中にタイマーT3、T4、T5がタイムアップしたときは(S1109;Y、S1119;Y、S1127;Y)、リセット端子をハイレベルに立ち上げ、LCPU NGフラグに“1”をセットしてリターンする(S1139、S1141)。
【0067】
LCPU2処理に入ると(図16参照)、タイマー(T6)をスタートさせてからアクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルになったかどうかのチェックを、タイマー(T6)がタイムアップするまで繰り返す(S1151、S1153;N、S1155;N、S1153)。アクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルに立ち上がると、リセット端子Fmin3/RESをハイレベルに立ち上げてリターンする(S1153;Y、S1159)。一方、タイマー(T6)がタイムアップすると、LCPU NGフラグに“1”をセットしてからリセット端子Fmin3/RESをハイレベルに立ち上げて、レンズ通信のS111にリターンする(S1155;Y、S1157、S1159)。
【0068】
次に、レンズ通信処理のS121ステップで実行されるレンズフラグ通信処理の詳細について、図1タイマー7に示したフローチャートおよび図7(B)のタイミングチャートを参照して説明する。レンズフラグ通信処理は、1バイトデータ通信処理である。
レンズフラグ通信処理に入ると、まず、アクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルであるかどうかをチェックする(S1201)。アクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルであれば、リセット端子Fmin3/RESをローレベルに落としてタイマー(T3)をスタートさせる(1201;Y、S1207、S1209)。そして、アクノリッジ端子LS/ACKがローレベルに落ちたかどうかのレベルチェックを、タイマー(T3)がタイムアップするまで繰り返す(S1211;N、S1213;N、S1211)。
【0069】
アクノリッジ端子LS/ACKがローレベルに落ちると(S1211;Y)、オペレーションコード(63H)を出力し(S1215)、タイマー(T4)をスタートさせる(S1217)。そしてアクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルに立ち上がったかどうかのレベルチェックを、タイマー(T4)がタイムアップするまで繰り返す(S1219;N、S1223;N、S1219)。
オペレーションコード(63H)は、LSレンズ51がレンズシャッタ動作しないモードかレンズシャッタ動作するモードであるかを識別するフラグ(NORM/LS SWフラグ)と、シャッタチャージが完了しているか否かを識別するフラグを含むコードである。
【0070】
アクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルに立ち上がると、リセット端子Fmin3/RESをハイレベルに立ち上げてLCPU3処理に進む(S1219;Y、S1221)。 また、S1201のステップでアクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルではないと判断したときには(S1201;N)、リセット端子Fmin3/RESをハイレベルに立ち上げ、LCPUNGフラグに“1”をセットしてレンズ通信のS121ステップにリターンする(S1203、S1205)。
タイマーチェック処理(S1213、S1223)において、タイマーがタイムアップしていると判断したときは、LCPU4処理に進む(S1213;Y、S1223;Y)。
【0071】
LCPU3、LCPU4処理について、図18に示したフローチャートを参照して説明する。
LCPU3処理に入ると、タイマー(T5)をスタートさせ(S1251)、アクノリッジ端子LS/ACKがローレベルに落ちたかどうかのチェックを、タイマー(T5)がタイムアップするまで繰り返す(S1253;N、S1255;N、S1253)。アクノリッジ端子LS/ACKがローレベルに落ちると、リセット端子Fmin3/RESをローレベルに落としてシリアルクロック端子Fmin1/SCKにシリアルクロックを出力して撮影レンズとの間でシリアル通信を実行してレンズフラグデータを入力し、対応するレンズフラグを設定する(S1253;Y、S1257、S1259、S1261)。
【0072】
そして、タイマー(T6)をスタートさせ(S1263)、アクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルになったかどうかのチェックを、タイマー(T6)がタイムアップするまで繰り返す(S1265;N、S1267;N、S1265)。アクノリッジ端子LS/ACKがハイレベルになったら(S1265;Y)、リセット端子Fmin3/RESをハイレベルに立ち上げてリターンする。
【0073】
一方、LCPU4処理からこの処理入ったとき、およびタイマー(T5、T6)がタイムアップしたとき(S1255;Y、S1267;Y)は、LCPU NGフラグに“1”をセットし、リセット端子Fmin3/RESをハイレベルに立ち上げてリターンする(S1269、S1271)。
【0074】
[AE演算処理]
S25のステップで実行されるAE演算処理の詳細について、図19に示したフローチャートを参照して説明する。
AE演算処理に入ると、まず、AE演算に関係するフラグをクリアする(S201)。そして、露出値Lvdを演算する(S203)。なお、アペックス記号の末尾に“d”が付されたアペックス値は、ボディCPU21内部での演算を容易にするために換算した値である。
【0075】
この演算処理では、露出補正値Xvdを加味したISO感度SXvdを算出し、絞りボリュームAVVRの抵抗値から絞り角度Avvrdを算出し、レンズ種類によって設定されている測光補正値mndを算出し、測光値Bvdを算出し、測光値Bvdと測光補正値mndから露出値Lvd′を算出し、選択された露出モードに対応した測光アルゴリズムに基づいて露出値Lvdを演算する。
【0076】
露出値Lvdを求めたら、実際に作動させる適正シャッタ速度Tvおよび絞り値Avを算出する。(S205)。そして、新LSレンズ51が装着されているかどうかをチェックし、新LSレンズ51が装着されていたら、演算した適正シャッタ速度を新LSレンズ用シャッタ速度として設定し、新LSレンズ51装着時のボディ用シャッタ速度を算出してS213に進む(S207;Y、S209、S211)。新LSレンズ51が装着されていない場合は、S209、S211をスキップしてS213に進む(S207;N)。
【0077】
S213のステップでは、マニュアル露出用の露出メータに表示する値(オーバーまたはアンダー)を算出し、絞りリング81がオート位置以外にあるときに絞りリング81で設定された絞り値を表示するための表示用絞り値を算出し、プログラム露出またはシャッタ速度優先露出モード時における絞り制御用のパルス数(EEパルス数)を算出し、フラッシュ通信用のデータ、TTLフラッシュ用データなどを設定する。
【0078】
そして、測光スイッチSWSがオンしているかどうかをチェックし、オンしていれば測光スイッチSWSオンフラグをセットしてリターンし(S215;Y、S217)、オンしていなければS217をスキップしてリターンする(S215;N)。
【0079】
S205のステップにおけるAE露出演算処理の詳細につて、図20に示したフローチャートを参照して説明する。このAE露出演算処理は、露出モードをチェックし、露出モードに応じてシャッタ速度、絞り値演算処理を実行して、S205のステップに戻る処理である。
【0080】
このAE演算処理に入ると、まず、プログラム露出モードかどうかをチェックし、プログラム露出モードであればプログラム露出演算を実行して演算用シャッタ速度Tvdおよび絞り値Avdを算出する(S2001;Y、S2003)。
シャッタ速度優先露出モードが選択されている場合は、シャッタ速度優先露出演算によって、ユーザーが設定したシャッタ速度に基づいて絞り値Avdをセットする(S2005;Y、S2007)。
【0081】
絞り優先露出モードが選択されている場合は、絞り値Avdには使用者が設定した絞り値をセットし、シャッタ速度Tvdには、使用者が設定した絞り値および露出値Lvdに基づいて絞り優先露出モードによるアルゴリズムによって演算したシャッタ速度をセットする(S2009;Y、S2011)。
マニュアル露出モードが設定されている場合は、シャッタ速度Tvdおよび絞り値Avdともに、使用者が設定したシャッタ速度および絞り値をセットする(S2013;Y、S2015)。
【0082】
レンズマニュアルバルブ露出モードが設定されている場合は、シャッタ速度Tvdに1/60秒相当の値をセットし、絞り値Avdにユーザーが設定した絞り値をセットする(S2017;Y、S2019)。ここで、1/60秒は、シャッタが全開するときの最速シャッタ速度である。
【0083】
レンズオートバルブ露出モードが設定されている場合は、シャッタ速度を1/60秒相当の値に設定し、絞り値Avdに最大値(最小絞り値)をセットする(S2021;Y、S2023)。
【0084】
旧レンズシャッタレンズ露出モードが設定されている場合は、シャッタ速度に1/8秒相当の値をセットし、絞り値Avdにユーザーが設定した絞り値をセットする(S2025;Y、S2025)。
以上のいずれの露出モードも設定されていなければ、そのままS205のステップにリターンする。
【0085】
次に、S211のステップで実行される、新LSレンズ51が装着されたときのボディ用シャッタ速度を演算する処理について、図6(B)に示したグラフおよび図21に示したフローチャートを参照して説明する。この処理は、設定された新LSシャッタ速度、つまり露出時間以上、ボディシャッタが全開し、かつできるだけその全開時間を短くするようにボディシャッタ速度(露出時間)を設定する処理である。本実施例のフォーカルプレーンシャッタ装置は、シャッタ幕走行時間が1/60秒弱なので、シャッタが全開するのは1/60秒以下のシャッタ速度(露出時間)のときである。したがって、シャッタ速度を1/30秒よりも低速に設定すれば、1/60秒以上、シャッタが全開する。ここで、シャッタ速度1/30秒が、最速全開シャッタ速度よりも遅い第1の所定のシャッタ速度である。
【0086】
この処理に入ると、まず、新LS用シャッタ速度が1/60秒よりも高速であるかどうか(Tv>6)をチェックし(S2101)、高速であればボディ用シャッタ速度として、全開時間を1/60秒以上確保できる1/8秒のシャッタ速度をセットする(S2101;Y、S2103)。
【0087】
新LS用シャッタ速度が1/60秒(Tv=6)よりも高速でなければ、新LS用シャッタ速度が1秒(Tv=0)よりも速く、1/60秒よりも遅い(0≦Tv≦6)かどうかをチェックする(S2101;N、S2105)。新LS用シャッタ速度がこの数値範囲内にあれば、ボディ用シャッタ速度(Tv)を、アペックスによる下記式、
(新LS用シャッタ速度)−(新LS用シャッタ速度/2)−1/8
によって求める。
ここで、新LS用シャッタ速度1秒(Tv=0)が第2の所定のシャッタ速度である。
【0088】
新LS用シャッタ速度が1秒よりも遅い場合(Tv< 0は、ボディ用シャッタ速度(Tv)を、アペックスによる下記式、
(新LS用シャッタ速度)−1/8
によって求める(S2105;N、S2109)。なお、以上の式における新LS用シャッタ速度はTv値、定数1/8はEv値であって、新LS用シャッタ速度1秒(Tv=0)が第2の所定のシャッタ速度である。
【0089】
また、新LS用シャッタ速度が1秒よりも遅い(露出時間が1秒よりも長い)場合は、ボディ用シャッタ速度を秒単位で、新LS用シャッタ速度(秒)+1/8(秒)と設定すれば、レンズシャッタ装置53がレリーズ動作終了してからボディシャッタ装置43がレリーズ動作終了するまでの遅延時間が1/8秒になる。
【0090】
以上の通り、ボディ用シャッタ速度として、新LSレンズ51のシャッタが開閉動作する間、ボディのシャッタが全開状態を維持し、かつその全開時間を最短にできる値を設定する。本実施例では、シャッタ速度が1秒よりも遅いときには、ボディ用シャッタ速度の方が新LSレンズ用シャッタ速度よりも1/8Ev長くなるように設定することで、新レンズシャッタ装置63が閉じてからボディシャッタ装置43が閉じるまでのタイムラグを小さくしている。なお、このボディ用シャッタ時間は、ボディのシャッタ幕速などの要素に基づいて変動し得る値である。
【0091】
[レリーズ処理]
次に、S31のステップで実行されるカメラボディ側のレリーズ処理について、図22に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。このフローチャートは、装着された撮影レンズが新LSレンズ51の場合のカメラボディ11におけるレリーズ処理を示している。ボディシャッタ装置43は周知のフォーカルプレンシャッタである。レリーズ時には、ミラーモータを逆転させてミラーをアップさせる。ミラーアップ動作に連動する係止解除機構によって、ミラーアップ完了時に、ボディシャッタ装置43の先幕および後幕の機械的な係止が解除されて先幕がばね力によって走行し、露出を開始する。後幕は、係止解除前から通電されている後幕マグネットの電磁力によって、機械的な係止に替わって係止されている。そして、設定されたシャッタ秒時が経過すると、後幕マグネットをオフする。すると、永久磁石の電磁力が消滅し、後幕を係止する力が解除されて後幕がばね力によって走行し、ボディシャッタ装置43はシャッタ(アパーチャ)を閉じる。
【0092】
このレリーズ処理に入ると、まず、後幕マグネット47をオンして、後幕係止機構が解放されても後幕が走行しないように後幕を保持する(S301)。次に、最終的な測光を実行し、測光センサから得た最終的な被写体輝度、絞りボリュームの抵抗値をA/D変換して被写体輝度Bv、絞り値Avを得る(S303)。そして、スイッチ情報を入力し、AE演算を実行して最終的なシャッタ速度Tvおよび絞り値Avを設定し、表示する(S307、S309)。
【0093】
そして新LSレンズ51が装着されているかどうかをチェックし(S311)、装着されていればレンズシャッタ装置63を閉じさせるコマンド(32H)を新LSレンズ51に送信してS315に進み(S311;Y、S313、S315)、装着されていなければ送信せずにS315に進む(S311;N、S315)。コマンド(32H)を受信した新LSレンズ51は、セクタ閉処理を実行する。
【0094】
S315のステップでは、設定されたEEパルスが0かどうか、つまり絞り開放かどうかをチェックし、EEパルスが0であれば絞りが開放位置から閉じないようにEEマグネットをオンしてS319に進み(S315;Y、S317、S319)、EEパルスが0でなければEEマグネットをオンせずにS319に進む(S315;N、S319)。
【0095】
S319のステップではミラーモータを逆転させて、ミラーアップばねの係止を解除する。この解除により、ミラーがミラーアップばねの付勢力によって上昇する。このミラーアップに連動移動する絞りスライド板に連動してEEパルサーから出力されるパルス数を、EEパルスカウンタ(ハードカウンタ)がカウントする。ボディCPU21は、設定されたEEパルスが0または最小絞りに相当する値でなかった場合はEEパルス割込みを許可してS325に進み(S321;Y、S323、S325)、0または最小絞りに相当する値であった場合は絞りを絞り込み途中で停止させる必要がないのでそのままS325に進む(S321;Y、S323)。なお、EEパルス割込みを許可すると、EEパルスカウンタの値が0(S307のステップで設定した絞り値Avに相当する値)になったときにEEマグネットに通電され、絞りスライド板を停止させて絞りを設定絞り値Avに保持する。
【0096】
S325のステップでは、所定のミラー逆転時間(13mS)が経過したかどうかをチェックしてミラー逆転時間が経過するのを待ち、つまり、ミラー係止機構が解除されるのを待ち、ミラー逆転時間が経過したらミラーモータを45停止させる(S325;Y、S327)。
そして絞り値Avが開放に設定されているかどうかをチェックし(S329)、開放であればEEマグネットをオフしてからS333に進み(S329;Y、S331、S333)、絞り値Avが開放に設定されていなければそのままS333に進む(S329;N、S333)。S333のステップでは、絞りスライド板連動時間(60mS)が経過するのを待つ。絞り板スライド連動時間が経過したら、EEパルス割込みを禁止する(S333;Y、S335)。そして、ミラーアップが完了するとオンするミラーアップ検知スイッチSWTの状態をチェックしてミラーアップが完了するのを待つ(S337)。
【0097】
ミラーアップが完了すると、ミラーアップ検知スイッチSWTがONするとともにシャッタ幕の機械的係止が解除されるので、ボディシャッタ装置43の先幕が走行する。そこで、ミラーアップ検知スイッチSWTがONすると(S337;Y)、Tv時間(露出時間)のカウントを開始する(S339)。
シャッタ速度が1/60秒よりも高速に設定されているときは、新LSレンズ51が装着されていない場合であり、かつストロボの発光を禁止するので、Tv時間が経過するのを待つ(S341;Y、S343;N、S343)。Tv時間が経過すると(S343;Y)、後幕マグネット47をオフして後幕を走行させ、後幕の走行が完了する時間だけ待ち、X接点トリガをオフして(S365、S367、S369)、後幕の走行完了を検知してONする巻完スイッチSWEがONするのを待ち(S373;N)、巻完スイッチSWEがONしたらS31にリターンする(S371;Y)。
【0098】
シャッタ速度Tvが1/60秒またはこれよりも低速に設定されている場合は、先幕の走行が完了したときにONするX接点スイッチSWXがONするのを待つ(S341;Y、S345;N)。X接点スイッチSWXがONすると、外部フラッシュを発光させるXトリガ信号を出力する(S345;Y、S347)。
【0099】
そうして、新LSレンズ51が装着されているかどうかをチェックし、新LSレンズ51が装着されている場合はLSレリーズコマンド(51H)を送信する(S349;Y、S351)。LSレリーズコマンド(51H)は、表3に示したように、レリーズ命令を兼ねたシャッタ速度Tv(Tv時間)データである。LSレリーズコマンドを受信した新LSレンズ51は、セクタ67を閉じてからLS用シャッタ速度Tvに基づいてセクタ67を開閉し、露出する。
【0100】
新LSレンズ51であった場合はLSレリーズコマンド(51H)を送信した後(S349;Y、S351)、または新LSレンズ51ではなかった場合(S349;N)はそのままS353に進む。S353のステップでは、15.6ms待機する。15.6msは1/60秒に相当し、シャッタが全開するときの最速シャッタ速度(最短Tv時間)である。つまり、1/60秒よりも長いTv時間(スローシャッタ)のときは、1/60秒単位でTv時間を測定する。設定されたTv時間は、Tvソフトカウンタにセットされる。
【0101】
15.6msが経過したらバルブ(BULB)モードかどうかをチェックする(S355)。バルブモードでなければTvソフトカウンタを1減算して、Tv時間が終了したかどうかをチェックし(S355;N、S359、S361)、Tv時間が終了していなければフィルムバックが開かれたかまたはメインスイッチがオフしたかどうかをチェックし、オフしていなければS353に戻る(S361;N、S363;N、S353)。Tv時間が経過するか(S361;Y)、フィルムバックが開かれるかまたはメインスイッチがオフされると(S363;Y)、S365のステップに進んで後幕マグネットをオフして後幕を走行させる。そして、10ms(後幕が走行完了する時間)待ち(S367)、Xトリガ信号をオフし(S369)、後幕の走行完了に連動してONする後幕走行完了検知スイッチがONするのを待ち(S371)、ONしたら(S371;Y)、S31のステップに戻る。
【0102】
バルブモードであれば(S355;Y)、測光スイッチSWSおよびレリーズスイッチSWRがオフするのを待ち、いずれかがオフしていなければフィルムバックが開かれたかまたはメインスイッチがオフしたかどうかをチェックし、オフしていなければS353に戻る(S357;N、S363;N、S353)。測光スイッチSWSおよびレリーズスイッチSWRがオフするか(S357;Y)、フィルムバックが開かれたかまたはメインスイッチがオフしたら(S363;)、S365のステップに進んで後幕を走行させ、S367〜S371の処理を経てS31のステップに戻る。
【0103】
[巻上げ処理]
レリーズ処理からリターンして実行されるS33の巻上げ処理の詳細について、図23に示したフローチャートを参照して説明する。
巻上げ処理に入ると、まず、ミラーモータをフィルム巻上げ方向に起動(ON)する(S401)。次に、250μSタイマーをスタートさせて、フィルムが有るかどうかをチェックする(S403、S405)。フィルムが有れば(S405;Y)、S407以降のフィルム給送処理を実行し、フィルムがなければフィルム給送以外のチャージ処理などを実行する。250μSタイマーは、フィルムパルスの変化をチェックする間隔を設定するタイマーである。
【0104】
フィルムが有る場合は(S405;Y)、フィルムパルスチャタリング取り処理(待ち処理)を実行し、フィルムパルスエッジを検出したかどうか、つまり、フィルムパルスのレベルが変化したかどうかをチェックする(S407、S409)。フィルムパルスエッジを検出していなければ、S439に進んで、フィルムバックが開いたかどうかをチェックする(S409;N、S439)。フィルムバックが開いていなければ250μSタイマーがタイムオーバーするのを待つ(S439;N、S445;N)。250μSタイマーがタイムオーバーすると、S403に戻る(S445;Y、S403)。つまり、フィルムパルスエッジを検出するまで、S403、S405〜S409、S439、S445の処理を繰り返す。なお、フィルムバックが開いていた場合は、ミラーモータ45を停止し、フィルムバック開処理を実行してS447に進む(S439;Y、S441、S443、S447)。
【0105】
フィルムパルスエッジを検出したら、フィルムパルスカウンタを1加算し、フィルムパルスカウンタが48になったかどうか、つまり、1コマの幅に相当する48個のフィルムエッジを検出したかどうかをチェックする(S409;Y、S413)。48個分カウントしていなければ、S439に進み、S403、S405〜S413、S439、S445の処理を繰り返す。
【0106】
フィルムパルスカウンタの値が48になると、1コマ分のフィルム給送が終了したので、最終コマを巻き上げたのかどうか(フィルムカウンタの値が最終コマの値であるかどうか)をチェックする(S413;Y、S415)。最終コマであれば、フィルムを全て巻き取りスプールに巻き取るフィルム巻き取り処理を実行してからS447に進む(S415;Y、S417、S447)。最終コマを巻き上げたのでなければ、フィルムマグネットに通電し巻き取りスプールの回転を停止させてフィルムの給送を停止させる(S415;N、S419)。そして、巻完スイッチSWEがオフするのを、つまり、シャッタチャージが完了し、シャッタ幕が走行開始位置まで移動するのを待つ(S419、S421)。
巻完スイッチSWEがオフすると、ミラーモータ45を停止させてフィルムマグネットをオフし、フィルムカウンタを1加算してS447に進む(S421;Y、S423、S425、S447)。
【0107】
S447のステップでは、新LSレンズ51が装着されているのかどうかをチェックし、新LSレンズ51が装着されている場合は、レンズシャッタチャージコマンド(31H)を新LSレンズ51に送信する(S447;Y、S449)。そして、新LSレンズ51からレンズ状態フラグ(63H)を受信してレンズシャッタチャージが完了したかどうかをチェックする(S451、S453;N、S451)。レンズシャッタチャージが完了したことを検知したら、S33のステップに戻る(S435;Y)。また、新LSレンズ51が装着されていない場合は、S449〜S453の処理をスキップしてS33に戻る(S447;N)。
【0108】
また、S405のステップでフィルムありと判断できなかった場合(例えば空撮りであった場合)は、メカチャージが完了しているかどうかをチェックし、メカチャージが完了していれば、ミラーモータを停止させ、新レンズが装着されているかどうかをチェックする(S427;Y、S429、S431)。新LSレンズ51が装着されている場合は、レンズシャッタチャージコマンド(31H)を新LSレンズ51に送信する(S431;Y、S433)。そして、新LSレンズ51からレンズ状態フラグ(63H)を受信してレンズシャッタチャージが完了したかどうかをチェックする(S435、S437)。レンズシャッタチャージが完了したことを検知したら、S33のステップに戻る(S437;Y)。S427の処理において、メカチャージが完了していることを検知しない場合は、S439に進む(S405;N、S439)。
【0109】
この巻上げ処理によれば、フィルムの巻上げ、メカチャージが完了すると、新LSレンズ51に対してシャッタチャージ指令を送信し、新LSレンズ51にシャッタチャージを実行させるので、露出後、迅速にレンズシャッタのチャージがなされる。
【0110】
[レンズの動作]
以上は、カメラボディ側の動作であったが、次に、撮影レンズ側の動作について、図24〜図35に示したフローチャートを参照して説明する。図24のLCPU初期化処理は、新LSレンズ51が新カメラボディ11に装着され、電源端子Vddに定電圧が供給されたときに入る。具体的には、図11のlens0処理のS1011で端子Vdd(ボディ側のコントロール端子CONTL)がハイレベルに立ち上げられたときに入る。
【0111】
LCPU初期化処理に入ると、発振子の発振が安定するのを待ってからレンズCPU61をパワーオンし、リセットをかける(S51)。そして、アクノリッジ端子ACKをローレベルに落としてレンズ通信禁止状態をカメラボディ側に通知し、レンズCPU61の内部RAMの初期化、入出力端子の初期化など、ソフト、ハード的に各種初期化処理を実行する(S53、S55)。ここで、アクノリッジ端子ACKがローレベルに落ちているので、ボディCPU21はレンズ通信禁止状態であることを検知し、レンズ通信処理をしない。
【0112】
初期化処理が終了したら、アクノリッジ端子ACKをハイレベルに立ち上げてレンズ通信許可状態をカメラボディ側に通知して通常処理に進む(S57)。以上のLCPU初期化処理は、新LSレンズ51が新カメラボディ11に装着された状態で、電源端子から電源が供給されたときに入るが、その後は、電源が供給されている間、LCPU通常処理を繰り返す。
【0113】
通常処理に入ると、まず、128msタイマーをスタートさせ(S59)、レンズスイッチの切換え操作等による状態、モード変化などを受けて通信データを更新し、スリープモードへの移行、レンズ駆動処理、レンズシャッタ駆動処理などの各種レンズ動作を実行する(S61)。
【0114】
次に、スイッチ状態を入力し、スイッチ状態が変化したらスイッチ関連データを更新してから、128ms経過するのを待つ(S63、S65;Y、S67、S69;N)。そして、128ms経過したら、S59に戻る(S69;Y、S59)。
以上の通常処理中に、下記の割込み処理などを実行する。
【0115】
ボディCPU21によってリセット端子RESがローレベルに落とされて割込みがかかると、図25にフローチャートを示した割込み処理を実行する。
リセット端子がローレベルに落ちると、まず、シリアル通信の準備を実行する(S71)。本実施例では、カメラボディ側からシリアルクロックをクロック端子に入力し、MSBモードを設定する。
次に、オペレーションコードを入力し、入力したオペレーションに応じた処理を実行してから、LCPU通常処理に戻る(S73、S75)。
【0116】
S75で入力したオペレーションコードに応じた各種処理を、図26〜図32に示したフローチャートを参照して説明する。
リセット端子RESの立ち下げによって入る割込み処理について、図26を参照して説明する。この割込み処理に入ると、まず、レンズ通信割込み要求をクリアし、レンズ通信エラーフラグをクリアする(S81、S83)。そして、レンズ通信処理に入り、カメラボディ側からオペレーションコードを入力するオペコード通信を実行する(S85)。
【0117】
図27にオペコード通信の詳細を示した。オペコード通信では、端子SI2、端子、端子SO2、端子SCKを入力モードにし(S501)、アクノリッジ端子ACK、リセット端子RESをハイインピーダンス状態にする(S503)。そして、通信ブレークタイマー(4ms)を起動し(S505)、MSBシリアル通信の準備を実行し(S507)、アクノリッジ端子ACKをローレベルに落とし(S509)、シリアル通信を開始する(S511)。そして、シリアル通信が終了するのを、通信ブレークタイマーがタイムオーバー(シリアル通信タイムオーバー)したかどうかをチェックしながら待つ(S513;N、S515;N、S513)。シリアル通信によって入力したデータは、データレジスタに書き込む。
【0118】
通信ブレークタイマーがタイムオーバー(シリアル通信タイムオーバー)する前にシリアル通信が終了したら、アクノリッジ端子ACKをハイレベルに立ち上げてシリアル通信が終了した旨をカメラボディに伝達し(S513;Y、S519)、レンズ通信割込み要求をクリアし(S521)、データレジスタからシリアルデータを入力してS85のステップにリターンする(S523)。一方、シリアル通信が終了する前に通信ブレークタイマーがタイムオーバーしたときは、レンズ通信エラーフラグをセット(“1”をセット)してからS519のステップに進み(S513;N、S515;Y、S517、S519)、S521、S523の処理を経てレンズ通信処理のS85のステップに戻る。
【0119】
レンズ通信処理に戻ると、オペコード通信OKかどうかをチェックし(S87)、オペコード通信OKであれば通信により受信したオペコードに対応する各種処理を実行する(S87;Y、S89)。各種処理が終了したら、シリアル通信終了処理を実行してリターンする(S91)。
【0120】
シリアル通信で入力したオペコードに応じた処理に関するフローチャートを図28〜図32に示した。レンズCPU61は、定電圧CONTL供給開始でMain関数を入力したときは、レンズCPU初期化処理、つまり、レンズ通信を禁止して、RAM、入出力端子の初期化などを実行する(S531)。初期化が終了したら、レンズ通信割込みを許可し(S533)、128ms毎にスイッチ情報を確認する128ms待機ループ処理を実行する(S535、S537)。この128ms待機ループ処理中は、随時レンズ通信による割込みを受け付けている。
【0121】
シャッタ閉口処理関数を入力したときには、シャッタチャージ完了フラグに“1”セットされているかどうかをチェックし(S541)、“1”がセットされていないときはシャッタ動作できないのでそのままリターンする(S541;N)。“1”がセットされていたときは、セクタマグネット69をONしてセクタ駆動ばねを保持した状態でセクタモータ65を所定時間正転させて係止機構を解除し、セクタ67を閉付勢ばねの付勢力により閉鎖する(S541;Y、S543)。そしてレリーズ許可フラグに“1”をセットして割り込んだステップにリターンする(S545)。
【0122】
レリーズ関数を入力したときは、レリーズ許可フラグに“1”がセットされているかどうかをチェックし(S551;Y)、“1”がセットされていなければセクタ67が閉じていないので割り込んだステップにリターンする(S551;N)。“1”がセットされているときは、露光時間(LS用シャッタ速度Tv)のカウントを開始し、セクタモータ65を所定時間正転させてセクタ係止機構を解除し、セクタ67を開付勢ばねの付勢力によって開放位置まで移動する(S551;Y、S552)。
そして露光時間が経過するのを待って、露光時間が経過したらセクタマグネット69をオフしてセクタ駆動ばねを解放し、セクタ駆動ばねの付勢力によってセクタ67を閉鎖位置に移動させる。そして、シャッタチャージ完了フラグおよびレリーズ許可フラグをクリアして割り込んだステップにリターンする(S553、S554、S555、S556)。
【0123】
シャッタ開口(チャージ)処理関数を入力したときは、シャッタチャージ完了フラグに“1”がセットされているか否かをチェックし(S561)、“1”がセットされていたら割り込んだステップにリターンする(S561;Y)。“1”がセットされていなかったらセクタモータ65を反転させてセクタ67を開放位置に移動させるとともに、セクタ駆動ばねをチャージし、チャージが完了したら、セクタモータ65を停止させる(S561;N、S563)。そして、シャッタチャージ完了フラグに“1”をセットして割り込んだステップにリターンする(S565)。
このシャッタ開口処理によって、レリーズによって閉じたセクタ67が開放されるとともにセクタ駆動ばね、開、閉付勢ばねがチャージされ、レンズシャッタ装置63がチャージ完了状態になる。
【0124】
シャッタチャージ完了チェック関数を入力したときは、シャッタチャージ完了フラグに“1”がセットされているか否かをチェックし(S571)、“1”がセットされていたときは、送信データにチャージ完了データをセットしてシリアル送信処理を実行し(S571;Y、S573、S577)、“1”がセットされていなかったときは送信データにチャージNGデータをセットしてシリアル送信処理を実行する(S571;N、S575、S577)。そして、シリアル送信処理が終了したら、割り込んだステップにリターンする。
【0125】
S577のステップなどで実行されるシリアル送信(1バイト送信)処理について、図33に示したフローチャートを参照して説明する。
この1バイト送信処理に入ると、まず、シリアル通信エラーフラグに“1”がセットされているかどうかをチェックする(S601)。“1”がセットされていればシリアル通信できないのでリターンする(S601;Y)。“1”がセットされていなければ、通信ブレークタイマーを起動し(S601;N、S603)、リセット端子RESがハイレベルに立ち上げられているかどうか、つまりカメラボディ側が通信待機状態であるかどうかをチェックする(S605)。リセット端子RESがハイレベルでなかったら、ハイレベルになるのを、通信ブレークタイマーがタイムオーバーするまで待つ(S605;N、S607;N、S605)。通信ブレークタイマーがタイムオーバーしたら、レンズ通信エラーフラグをセットしてリターンする(S605;N、S607;Y、S609)。
【0126】
リセット端子RESがハイレベルであったときは、送信データをセットし、MSBシリアル通信の準備を実行する(S605;Y、S611、S613)。そして、アクノリッジ端子ACKをローレベルに落としてシリアル通信準備ができたことをカメラボディ11に伝達し、シリアル通信を開始する(S615、S617)。
そして、シリアル通信が終了するのを、通信ブレークタイマーがタイムアップしたかどうかをチェックしながら待つ(S619;N、S621;N、S619)。シリアル通信によって入力したデータは、データレジスタに書き込む。
【0127】
通信ブレークタイマーがタイムオーバーする前にシリアル通信が終了したら、アクノリッジ端子ACKをハイレベルに立ち上げてシリアル通信が終了した旨をカメラボディに伝達し(S619;Y、S625)、レンズ通信割込み要求をクリアし(てリターンする(S627)。一方、シリアル通信が終了する前に通信ブレークタイマーがタイムオーバーしたときは、レンズ通信エラーフラグに“1”をセットしてからS625のステップに進み(S619;N、S621;Y、S623、S625)、S627の処理を経てリターンする。
【0128】
1バイト受信処理について、図34に示したフローチャートを参照して説明する。この1バイト送信処理に入ると、まず、シリアル通信エラーフラグに“1”がセットされているかどうかをチェックする(S701)。“1”がセットされていればシリアル通信できないのでリターンする(S701;Y)。“1”がセットされていなければ、通信ブレークタイマーを起動し(S701;N、S703)、リセット端子RESがハイレベルに立ち上げられているかどうか、つまりカメラボディ側が通信待機状態であるかどうかをチェックする(S705)。リセット端子RESがハイレベルでなかったら、ハイレベルになるのを、通信ブレークタイマーがタイムオーバーするまで待つ(S705;N、S707;N、S705)。通信ブレークタイマーがタイムオーバーしたら、レンズ通信エラーフラグをセットしてリターンする(S705;N、S707;Y、S709)。
【0129】
リセット端子RESがハイレベルであったときは、送信データをセットし、MSBシリアル通信の準備を実行する(S705;Y、S711、S713)。そして、アクノリッジ端子ACKをローレベルに落としてシリアル通信準備ができたことをカメラボディ11に伝達し、シリアル通信を開始する(S715、S717)。
【0130】
そして、シリアル通信が終了するのを、通信ブレークタイマーがタイムアップしたかどうかをチェックしながら待つ(S719;N、S721;N、S719)。シリアル通信によって入力したデータは、データレジスタに書き込む。
【0131】
通信ブレークタイマーがタイムオーバーする前にシリアル通信が終了したら、アクノリッジ端子ACKをハイレベルに立ち上げてシリアル通信が終了した旨をカメラボディ11に伝達し(S719;Y、S725)、レンズ通信割込み要求をクリアし(S727)、レジスタから受信データを入力してリターンする(S729)。一方、シリアル通信が終了する前に通信ブレークタイマーがタイムオーバーしたときは、レンズ通信エラーフラグに“1”をセットしてからS725のステップに進み(S719;N、S721;Y、S723、S725)、S727、S729の処理を経てリターンする。
【0132】
[撮影レンズのレンズシャッタ処理]
レンズ通信においてLSレリーズコマンド(51H)を受信したときの処理について、図5に示したタイミングチャートおよび図35に示したフローチャートを参照して説明する。なお、図29〜図32の処理は、オペコード通信の観点からの説明であって、新LSレンズ51おレンズシャッタレリーズ処理の全体的な流れは、図35に示したフローチャートのようになる。
【0133】
なお、このフローチャートによって制御されるレンズシャッタ装置の構成は、図3に示したレンズシャッタ装置とは異なる構成を含む実施例である。この実施例では、セクタ67を開放方向に付勢する開付勢ばねと、閉鎖方向に付勢する閉付勢ばねおよびセクタ駆動ばねの3組のばねを備えている。これらのばねは、セクタモータ65の逆転によってそれぞれチャージされ、機械的な係止機構に係止される。そして、セクタ67が開放位置にあるときにセクタモータ65が正転すると、閉付勢ばねおよびセクタ駆動ばねの係止が解除され、閉鎖位置にあるときにセクタモータ65が正回転すると、開付勢ばねの係止機構が解除され、セクタ67が開放位置から閉鎖位置、閉鎖位置から開放位置に移動する。また、セクタ駆動ばねは、セクタマグネット69への通電によって、セクタモータ65の正転にかかわらず、係止機構に替わってセクタマグネット69により係止される構成である。
【0134】
レンズシャッタレリーズ処理に入ると、まず、セクタマグネット69をオンして、セクタマグネット69の磁力によってセクタ67を閉鎖駆動するセクタ駆動ばねを係止してから、セクタ67が閉鎖位置まで動作できるようにセクタモータ65を所定時間正転させる(S801、S803)。セクタモータ65の回転により、セクタ開放位置係止機構の係止が解除され、付勢ばねの付勢力によってセクタ67が閉鎖位置まで移動する(S805)。
【0135】
セクタ67が閉じたら、通信NGタイマーをスタートさせ、レンズ通信があったかどうかをチェックし、無かった場合は、通信NGタイマーをチェックしながらレンズ通信があるのを待つ(S807、S809;N、S813;N、S809)。
レンズ通信があったら、データレジスタからデータを読み込み、そのコマンドがレリーズコマンドでなかったらレリーズNG処理を実行してからS81のステップに戻る(S809;Y、S811、S815;N、S817)。また、通信NGタイマーがタイムアップする前にレンズ通信がなかった場合も、レリーズNG処理を実行してからLCPU通常処理に戻る。(S813;Y、S817)。
【0136】
レリーズコマンドを受信した場合は、セクタモータ65を所定時間正転させて開付勢ばねの係止を解除し、セクタ67を付勢ばねの付勢力によって開放位置まで移動させる(S815;Y、S819、S821)。そして、セクタ開検知スイッチ71がセクタ67が開放したことを検知するのを待つ(S823)。
【0137】
セクタ開検知スイッチ71がセクタ67が開放位置まで移動したことを検知したら、Tvカウント、つまり設定されたシャッタ速度Tvに対応するTv時間(露出時間)のカウントをスタートして、Tv時間が経過するのを待つ(S823;Y、S825;N)。
Tv時間が経過したら、セクタマグネット69をオフしてセクタ駆動ばねの付勢力によってセクタ67を閉鎖位置まで移動させて露出を終了する(S827;Y、S829)。
【0138】
そして、通信NGタイマーをスタートさせ、通信NGタイマーをスタートさせ、レンズ通信があるかどうかを、通信NGタイマーをチェックしながらチェックする(S831、S833;N、S837;N、S833)。
レンズ通信があったら、新カメラボディ11からコマンドを入力し、そのコマンドがチャージ要求コマンドでなかったらレリーズNG処理を実行してからS81のステップに戻る(S833;Y、S835、S839;N、S841)。また、通信NGタイマーがタイムアップする前にレンズ通信がなかった場合も、レリーズNG処理を実行してからS61のステップに戻る(S833;Y、S837)。
【0139】
チャージ要求コマンドを受信した場合は、セクタモータ65を逆転させてセクタ駆動ばね、付勢ばねのチャージを開始するとともにセクタ67を開放位置に移動し、チャージ完了スイッチ73がチャージ完了を検知するのを待つ(S839;Y、S843、S845;N))。
チャージ完了検知スイッチ73がチャージ完了を検知したら、セクタモータ65を停止させてセクタを開放位置で停止させ(S845;Y、S847)、レンズシャッタ装置63のチャージが完了した旨を、ボディ間通信によって新カメラボディ11に伝達する(S849)。
【0140】
以上の処理によって、S351のステップにおいて送信されるLSレリーズコマンド(51H)を受けたレンズCPU61はレンズシャッタ装置63を作動させてレリーズするので、カメラボディ11のボディシャッタ装置43の動作と同期したレリーズ動作を実行できる。そして、レリーズ動作が終了した後、S433のステップにおいて送信されるLSチャージコマンド(31H)を受けて、レンズシャッタ装置63をチャージ動作させるので、ブラックアウトが自動的にかつ迅速に解消される。
【0141】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り本発明の撮影レンズは、カメラボディから所定の情報を受信したときにレンズシャッタ装置を作動させるので、シャッタレリーズタイミング制御の自由度が増し、正確なタイミングで動作することが可能になる。そして本発明の撮影レンズは、レンズシャッタ装置がレリーズ動作した後、カメラボディからチャージコマンドを受信したときにシャッタチャージを実行するので、レリーズ後のブラックアウト時間を短くできる。
本発明のカメラボディによれば、撮影レンズのレンズシャッタ装置を、カメラボディの状態が所定の変化をしたときに電気的な情報を送信して制御できるので、シャッタレリーズタイミング制御の自由度が増し、正確なタイミングで動作させることが可能になる。そして本発明のカメラボディの制御手段は、レンズシャッタ用シャッタ速度およびこのレンズシャッタ用シャッタ速度に基づいてボディ用シャッタ速度を設定できるので、撮影者はシャッタ速度設定が容易になる。さらに、カメラボディのシャッタ装置がシャッタ動作を終了した後にチャージ信号を撮影レンズに送信してレンズシャッタ装置をチャージさせるので、レリーズ後のブラックアウト時間が短くなる。
前記撮影レンズおよびカメラボディを備えた本発明のカメラシステムによれば、カメラボディの状態が所定の変化をしたときに電気的な情報を送信して制御できるので、シャッタレリーズタイミング制御の自由度が増し、正確なタイミングで動作させることが可能になる。さらに本カメラシステムは、レンズシャッタ用シャッタ速度の設定およびこのレンズシャッタ用シャッタ速度に基づいてボディ用シャッタ速度を設定できるので、撮影者によってシャッタ速度の設定が容易になる。さらに、カメラボディのシャッタ装置がシャッタ動作を終了した後にチャージコマンドを撮影レンズに送信し、このチャージコマンドを受けた撮影レンズがレンズシャッタ装置をチャージするので、レリーズ後のブラックアウト時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を一眼レフカメラに適用したレンズシャッタレンズ(新LSレンズ)および新カメラボディを備えるカメラシステムの一実施の形態の主要回路構成をブロックで示す図である。
【図2】同カメラシステムの新LSレンズのレンズシャッタ装置の概要を示す図である。
【図3】同カメラシステムの新LSレンズの外観を示す図である。
【図4】同カメラシステムの新カメラボディと新LSレンズとの端子接続状態を示す図である。
【図5】同カメラシステムのレリーズ時のタイミングチャートをカメラボディ側と新LSレンズ側とで対比して示す図である。
【図6】カメラボディ側のシャッタ速度とレンズ側のシャッタ速度との関係をグラフで説明する図であって、(A)は従来の場合を示し、(B)は本発明の場合を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の新LSレンズと新カメラボディとの間の通信関するタイミングチャートを示す図である。
【図8】同新カメラボディにおけるスタート(メイン)処理をフローチャートで示す図である。
【図9】同新カメラボディにおけるレンズ通信処理をフローチャートで示す図である。
【図10】同新カメラボディにおけるマウントピンチェック処理をフローチャートで示す図である。
【図11】同新カメラボディにおけるlens0処理をフローチャートで示す図である。
【図12】同新カメラボディにおけるlens1処理をフローチャートで示す図である。
【図13】同新カメラボディにおけるマウントピン状態入力処理をフローチャートで示す図である。
【図14】同新カメラボディにおけるKA lens処理をフローチャートで示す図である。
【図15】同新カメラボディにおけるレンズデータ通信処理をフローチャートで示す図である。
【図16】同新カメラボディにおけるLCPU2処理をフローチャートで示す図である。
【図17】同新カメラボディにおけるレンズフラグ通信処理をフローチャートで示す図である。
【図18】同新カメラボディにおけるLCPU3、LCPU4処理をフローチャートで示す図である。
【図19】同新カメラボディにおけるAE演算メイン処理をフローチャートで示す図である。
【図20】同新カメラボディにおけるAE露出演算処理をフローチャートで示す図である。
【図21】同新カメラボディにおける新LSレンズ時ボディ用シャッタ速度算出処理をフローチャートで示す図である。
【図22】同カメラボディのレリーズ処理に関するフローチャートを示す図である。
【図23】同カメラボディのワインド処理に関するフローチャートを示す図である。
【図24】同新LSレンズの初期化処理を示す図である。
【図25】同新LSレンズのINIT外部割込み処理をフローチャートで示す図である。
【図26】同新LSレンズの外部割込み処理をフローチャートで示す図である。
【図27】同新LSレンズのオペコード通信処理をフローチャートで示す図である。
【図28】同新LSレンズのMain処理をフローチャートで示す図である。
【図29】同新LSレンズのシャッタ閉口処理をフローチャートで示す図である。
【図30】同新LSレンズのレリーズ処理をフローチャートで示す図である。
【図31】同新LSレンズのシャッタ開口(チャージ)処理をフローチャートで示す図である。
【図32】同新LSレンズのシャッタチャージ完了チェック処理をフローチャートで示す図である。
【図33】同新LSレンズの1バイト送信処理をフローチャートで示す図である。
【図34】同新LSレンズの1バイト受信処理をフローチャートで示す図である。
【図35】同新LSレンズのレンズレリーズ処理をフローチャートで示す図である。
【符号の説明】
11 カメラボディ
21 ボディCPU
23 DPU
43 ボディシャッタ装置
45 ミラーモータ
47 後幕マグネット
51 新LSレンズ
53 レンズシャッタ装置
61 レンズCPU
65 セクタモータ
67 セクタ

Claims (21)

  1. カメラボディとの間で電気的に情報伝達する情報伝達手段と、レンズシャッタ装置と、前記カメラボディから前記情報伝達手段を介して受信したシャッタ速度データに基づいて前記レンズシャッタ装置を作動させるレンズ制御手段とを備えた撮影レンズが着脱可能なカメラボディであって、
    前記撮影レンズが装着されたときに撮影レンズの情報伝達手段を介して情報伝達する情報伝達手段と、
    前記撮影レンズに、前記レンズシャッタ装置が制御すべきレンズシャッタ用シャッタ速度データを前記情報伝達手段を介して送信する制御手段とを備え、
    前記カメラボディ用のシャッタ速度は、
    前記レンズシャッタ用シャッタ速度がボディシャッタ装置が全開するときの最速全開シャッタ速度よりも高速のときは、この最速全開シャッタ速度よりも遅い第1の所定のシャッタ速度に設定し、
    前記レンズシャッタ用シャッタ速度が前記最速全開シャッタ速度とこれよりも遅い第2の所定のシャッタ速度との間のときは、式
    (レンズシャッタ用シャッタ速度)−(レンズシャッタ用シャッタ速度/2)−(所定値)
    により求め、
    前記レンズシャッタ用シャッタ速度が前記第2の所定のシャッタ速度よりも遅いときは、式
    (レンズシャッタ用シャッタ速度)−(所定値)
    により求めること、ただし、前記各式においてレンズシャッタ用シャッタ速度および所定値はアペックス表示値であること、を特徴とするカメラボディ。
  2. 請求項1記載のカメラボディにおいて、前記カメラボディの制御手段は、前記カメラボディが第1の状態から第2の状態に変化したときに、前記撮影レンズに前記レンズシャッタ装置が動作すべきシャッタ速度データを前記情報伝達手段を介して送信するカメラボディ。
  3. 請求項2記載のカメラボディにおいて、前記撮影レンズからレンズシャッタ装置を備えた撮影レンズであることを識別する情報を入力したときに、前記レンズシャッタ装置が制御すべきレンズシャッタ用シャッタ速度データを前記情報伝達手段を介して送信するカメラボディ。
  4. 請求項2記載のカメラボディにおいて、前記第1の状態は測光状態であり、第2の状態はレリーズ状態であるカメラボディ。
  5. 請求項4記載のカメラボディにおいて、前記レンズシャッタ用シャッタ速度データは、前記カメラボディに設けられたシャッタダイヤルにより設定された第1のボディシャッタ用シャッタ速度データまたはカメラボディに設けられた演算手段により演算された第2のボディシャッタ用シャッタ速度データのいずれかであるカメラボディ。
  6. 請求項5記載のカメラボディにおいて、前記第1の状態から前記第2の状態に変化したときに前記カメラボディから前記撮影レンズに送信する情報は、レンズシャッタ用シャッタ速度データ、シャッタ閉コマンドおよびレリーズコマンドであるカメラボディ。
  7. 請求項6記載のカメラボディにおいて、前記カメラボディの制御手段は、前記第1の状態から前記第2の状態に変化したときに、前記シャッタ閉コマンドを送信してから前記ボディシャッタ装置にシャッタ開放動作を開始させ、前記ボディシャッタ装置のシャッタが全開してから前記レンズシャッタ用シャッタ速度データおよびレリーズコマンドを送信するカメラボディ。
  8. 請求項7記載のカメラボディにおいて、前記カメラボディの制御手段は、前記ボディシャッタ装置のシャッタが全閉してから前記撮影レンズにシャッタチャージコマンドを送信するカメラボディ。
  9. 請求項8記載のカメラボディにおいて、前記カメラボディの制御手段は、前記ボディシャッタ装置のシャッタが全閉した後に、前記ボディシャッタ装置にシャッタチャージ動作を開始させるとともに前記シャッタチャージコマンドを送信するカメラボディ。
  10. 着脱可能な撮影レンズ及びカメラボディを備えたカメラシステムであって、
    撮影レンズは、
    カメラボディに装着されたときにカメラボディとの間で電気的に情報伝達する情報伝達手段と、
    レンズシャッタ装置と、
    前記カメラボディから前記情報伝達手段を介して受信したシャッタ速度データに基づいて前記レンズシャッタ装置を作動させるレンズ制御手段とを備え、
    カメラボディは、
    前記撮影レンズが装着されたときに撮影レンズの情報伝達手段を介して情報伝達する情報伝達手段と、
    前記撮影レンズに前記レンズシャッタ装置が制御すべきレンズシャッタ用シャッタ速度データを前記情報伝達手段を介して送信する制御手段とを備え、
    前記カメラボディの制御手段はカメラボディ用のシャッタ速度を、
    前記レンズシャッタ用シャッタ速度がボディシャッタ装置が全開するときの最速全開シャッタ速度よりも高速のときは、この最速全開シャッタ速度よりも遅い第1の所定のシャッタ速度に設定し、
    前記レンズシャッタ用シャッタ速度が前記最速全開シャッタ速度とこれよりも遅い第2の所定のシャッタ速度との間のときは、式
    (レンズシャッタ用シャッタ速度)−(レンズシャッタ用シャッタ速度/2)−(所定値)
    により求め、
    前記レンズシャッタ用シャッタ速度が前記第2の所定のシャッタ速度よりも遅いときは、式
    (レンズシャッタ用シャッタ速度)−(所定値)
    により求めること、ただし、前記各式においてレンズシャッタ用シャッタ速度および所定値はアペックス表示値であること、を特徴とするカメラシステム。
  11. 請求項10記載のカメラシステムにおいて、前記カメラボディの制御手段は、前記カメラボディが第1の状態から第2の状態に変化したときに、前記レンズシャッタ装置が制御すべきレンズシャッタ用シャッタ速度データを前記情報伝達手段を介して前記撮影レンズに送信するカメラシステム。
  12. 請求項11記載のカメラシステムにおいて、前記撮影レンズからレンズシャッタ装置を備えた撮影レンズであることを識別する情報を入力したときに、前記レンズシャッタ装置が制御すべきレンズシャッタ用シャッタ速度データを前記情報伝達手段を介して送信するカメラシステム。
  13. 請求項11記載のカメラシステムにおいて、前記第1の状態は測光状態であり、第2の状態はレリーズ状態であるカメラシステム。
  14. 請求項10記載のカメラシステムにおいて、前記レンズシャッタ用シャッタ速度データは、前記カメラボディに設けられたシャッタダイヤルにより設定された第1のボディシャッタ用シャッタ速度データまたはカメラボディに設けられた演算手段により演算された第2のボディシャッタ用シャッタ速度データのいずれかであるカメラシステム。
  15. 請求項11記載のカメラシステムにおいて、前記第1の状態から前記第2の状態に変化したときに前記カメラボディから前記撮影レンズに、レンズシャッタ用シャッタ速度データ、シャッタ閉コマンドおよびレリーズコマンドを送信するカメラシステム。
  16. 請求項15記載のカメラシステムにおいて、前記カメラボディの制御手段は、前記第1の状態から前記第2の状態に変化したときに、前記シャッタ閉コマンドを送信してから前記ボディシャッタ装置にシャッタ開放動作を開始させ、前記ボディシャッタ装置のシャッタが全開してから前記レンズシャッタ用シャッタ速度データおよびレリーズコマンドを送信するカメラシステム。
  17. 請求項16記載のカメラシステムにおいて、前記カメラボディの制御手段は、前記ボディシャッタ装置のシャッタが全閉してから前記撮影レンズにシャッタチャージコマンドを送信するカメラシステム。
  18. 請求項17記載のカメラシステムにおいて、前記カメラボディの制御手段は、前記ボディシャッタ装置のシャッタが全閉した後に、前記ボディシャッタ装置にシャッタチャージ動作を開始させるとともに前記シャッタチャージコマンドを送信するカメラシステム。
  19. 請求項16記載のカメラシステムにおいて、前記撮影レンズにはレンズ制御手段が備えられ、前記レンズシャッタ装置はチャージ状態では開放するシャッタであって、前記レンズ制御手段は、前記シャッタ閉コマンドを受信したときに前記レンズシャッタ装置を閉動作させるカメラシステム。
  20. 請求項19記載のカメラシステムにおいて、前記レンズ制御手段は、前記レリーズコマンドを受信したときに、前記閉動作させたレンズシャッタ装置を前記レンズシャッタ用シャッタ速度データに基づいて開閉動作させるカメラシステム。
  21. 請求項20記載のカメラシステムにおいて、前記レンズ制御手段は、前記カメラボディからシャッタチャージコマンドを受信したときに前記レンズシャッタ装置にチャージ動作させるカメラシステム。
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