JP4428481B2 - 神経因性疼痛治療剤 - Google Patents

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Description

本発明は、神経因性疼痛に対して優れた疼痛抑制作用を有する神経因性疼痛治療剤、そのような治療剤を用いる神経因性疼痛の治療方法等に関する。
神経因性疼痛は末梢神経系または中枢神経系の損傷、機能障害などを原因として生じる痛みであり、モルヒネなどのオピオイド受容体作動薬が十分に奏効しない難治性疼痛である。神経因性疼痛を伴う疾患としては、例えば、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経痛、術後や外傷後の遷延痛など、痛覚過敏やアロディニアの症状を呈する疾患を挙げることができる。
従来の薬物療法において使用されてきた鎮痛剤としては、モルヒネに代表される中枢性オピオイド受容体作動薬、インドメタシンに代表される非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)などが知られている。しかし、これらの鎮痛剤は神経因性疼痛に対して一般的に効果が小さく、通常の侵害受容性疼痛に有効である鎮痛剤(特に麻薬性鎮痛薬など)は特に効果が小さいことが知られている。そして、麻薬性鎮痛薬の神経因性疼痛に対する鎮痛効果の不十分さが神経因性疼痛の大きな特徴とされ、場合によってはこの特徴を利用して神経因性疼痛の診断を行なっている。
神経因性疼痛の発生には様々な要素が複雑に関係していると考えられている。これまで、神経因性疼痛の治療法としては、神経ブロックや、脊髄硬膜外電気刺激などの神経外科学的治療、三環系抗うつ薬、バクロフェン等の薬剤の腰部髄腔内投与などが知られている。しかし、これらの治療法には、十分な効果が得られなかったり、副作用を伴うという問題がある。また、外用剤として、カプサイシンクリームが、神経末端から放出される発痛物質サブスタンスPを枯渇させ、疼痛を軽減させることにより、帯状疱疹後神経痛、乳房切除後の疼痛症候群に効果があるという報告もある。しかし、カプサイシンによる灼熱痛を伴うという問題もあるなど、有用性や安全性の面で問題がある。このように、神経因性疼痛は難治性の疾患であり、未だ有効な治療法は確立されていない。
一方、Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物であるウアバイン(G−ストロファンチン)は、従来、心不全治療のための強心薬として利用されてきているもので、東アフリカ地方のウアバイの木から単離された植物活性物質である。ジゴキシン、ジギトキシンなどと共に、強心配糖体と呼ばれるジギタリス一群の中のひとつであり、その代表ともいえる化合物である。
ジギタリスは、古くから使用されてきた循環器病治療薬である。ジギタリスは、最初は、イングランドの民間療法として浮腫の治療に有効なことが知られていた。この化合物は、その後、長い年月を経て、心不全の治療に経験的に用いられるようになり、今日、臨床使用されるに至った。
ジギタリスの強心作用は、Na/K ATPase(Naポンプ)の阻害に基づくという説は多くの薬理学教科書にも記載されているが、これまでは不明な点も多く、決定的な証明はなされていなかった。しかし、最近、カリフォルニア大学のKen Philipson教授のグループが、Na/Ca交換体のノックアウトマウスを用いた解析からウアバインの強心作用には本交換体が必要不可欠であることを示すなどその作用機序を明らかにしている(Reuter H et al.Circ Res.2002;90:305-308[非特許文献1])。さらに、生体内のウアバイン様物質の存在が相次いで報告され、その血中濃度が塩分摂取量等により調節されていること、また、Na/K ATPase(Naポンプ)活性を調節するだけでなく、ホルモン様作用を示すことなども明らかとなった(Eur J Biochem. 2002;269:2440-2448,Ann N Y Acad Sci.2003; 986:685-693)。
ウアバイン(G−ストロファンチン)の作用に関し、例えば、特開平8−99894号公報(特許文献1)においては、ジギタリス群(特にウアバイン)が炎症性サイトカイン分泌抑制剤としてIL−6、IL−8、MCAF、G−CSF、GM−CSFなどのサイトカインの分泌あるいは生産に起因する各種疾患の治療に有効であると記載されている。また、特表平10-502673(特許文献2)においては、持続性の局所麻酔を施すためにジギタリスを増強剤として使用することが記載されている。
Reuter H et al. Circ Res.2002;90:305-308 特許公開平8−99894号 特表平10-502673号
上記のように神経因性疼痛の治療に有効な薬剤は未だ知られていないのが現状であり、そのような薬剤の開発が望まれている。このような状況において、本発明の目的は、神経因性疼痛という難治性疼痛に優れた効果を発揮する新規な神経因性疼痛治療剤を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく独自の発想に基づき研究を進めたところ、難治性神経因性疼痛モデルにおいて、Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物が高い鎮痛効果を示すことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次のような神経因性疼痛治療剤、神経因性疼痛の治療のための医薬組成物、神経因性疼痛の治療方法などを提供する。
(1)Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤。
(2)Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物が、ウアバイン、ジゴキシン、ジギトキシン又はその薬学的に許容し得る塩である上記(1)記載の神経因性疼痛治療剤。
(3)Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物が、ウアバイン又はその薬学的に許容しえる塩である上記(2)記載の神経因性疼痛治療剤。
(4)神経因性疼痛が、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経痛、がん性疼痛、術後や外傷後の遷延痛、痛覚過敏、アロディニア、開胸術後痛、CRPS、多発性硬化症による疼痛、AIDS、視床痛、脊髄障害による対麻痺性疼痛、無知覚性疼痛及び幻肢痛における神経因性疼痛から選択される一以上の症状である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の神経因性疼痛治療剤。
(5)Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物及び薬学的に許容し得る担体を含有する神経因性疼痛治療のための医薬組成物。
(6)Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物の有効量を哺乳動物に投与して神経因性疼痛を治療する方法。
(7)神経因性疼痛治療剤の製造のためのNa/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物の使用。
本発明の神経因性疼痛治療剤は、例えば、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経痛、がん性疼痛、術後や外傷後の遷延痛、痛覚過敏、アロディニア等の症状を呈する神経因性疼痛の治療に有効である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤、Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物及び薬学的に許容できる担体を含有する神経因性疼痛の治療のための医薬組成物、Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物を用いる神経因性疼痛の治療方法、Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用する化合物の混合物を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤、などを提供する。
Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物は種々知られているが、これまでに神経因性疼痛モデルにおいて、これら化合物単独あるいは併用による疼痛抑制効果を検討した報告は一切ない。驚くべきことに、本発明者は、これら化合物が単独で神経因性疼痛に対し治療効果があることを初めて見出したものである。
本明細書中、「Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物」とは、Na/K ATPase(Naポンプ)活性を阻害または抑制する作用を有する物質を意味する。Na/K ATPase(Naポンプ)は全ての動物細胞の細胞膜に存在し、「Na/K ATPase(Naポンプ)活性」とは、ATPの加水分解によって得られたエネルギーを利用してナトリウムイオンを細胞の外へ、カリウムイオンを細胞内に輸送する活性のことであり、細胞内外のナトリウムイオンとカリウムイオンの濃度勾配を形成・維持する。Na/K ATPase(Naポンプ)阻害活性は、J. Kyte et al. Biochemistry 1987; 26: 8350?8360.に記載された方法により測定することができる。
なお、ウアバインなどジギタリスによるNa/K ATPase(Naポンプ)阻害は、細胞内ナトリウムイオン濃度を上昇させ、Na/Ca交換体の順方向変換(カルシウムイオンの排出)の抑制や逆交換(カルシウムイオンの流入)の促進により細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させて強心作用などを示す。この細胞内カルシウムイオン濃度上昇は、例えば、Kelly RA, Smith TW. In:Goodman & Gilman's the pharmacological basis of therapeutics. 9th ed. New York :McGraw−Hill ;1996. p.809−38によって確認することができる。
本明細書において用いる「治療」なる用語は、一般的には、ヒト及びヒト以外の哺乳動物の症状を改善させることを意味する。また「改善」なる用語は、例えば、本発明の治療剤を投与しない場合と比較して、疾患の程度が軽減する場合及び悪化しない場合を指し、予防という意味をも包含する。さらに「医薬組成物」なる用語は、本発明において有用な活性成分(ウアバイン、ジゴキシン、ジギトキシン等)と医薬の調製において用いられる担体等の添加物を含有する組成物を意味する。
本発明で用いるNa/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物としては、例えば、ウアバイン、ジゴキシン、ジギトキシン、これらの薬学的に許容し得る塩などが例示される。
これらの化合物はいずれも公知である。例えば、ウアバイン、ジゴキシン及びジギトキシンは、それぞれ、CAS番号630−60−4、20830−75−5及び71−63−6、として登録されている。
ウアバインは、キョウチクトウ科の種子または樹皮から得られる強心配糖体の一種である。ウアバインは、別名G−ストロファンチンといわれる化合物であり、(1β,3β,5β,11α)-3-[(6-デオキシ-α-L-マンノピラノシル)オキシ]-1,5,11,14,19-ペンタヒドロキシカルダ-20(22)-エノリドと称される化合物である。ウアバイン及びそのNa/K ATPase(Naポンプ)阻害作用については種々の文献に記載されている(Reuter H et al. Circ Res.2002;90:305-308;Kelly RA, Smith TW. In:Goodman & Gilman's the pharmacological basis of therapeutics. 9th ed. New York :McGraw−Hill ;1996. p.809−38など参照)。
ジゴキシンは、(3β,5β,12β)-3-[(O-2,6-ジデオキシ-β-D-ribo-ヘキソピラノシル-(1→4)-O-2,6-ジデオキシ-β-D-ribo-ヘキソピラノシル-(1→4)-2,6-ジデオキシ-β-D-ribo-ヘキソピラノシル)オキシ]-12,14-ジヒドロキシカルダ-20(22)-エノリドという化合物名を有する。ジギトキシンは、(3β,5β)-3-[(O-2,6-ジデオキシ-β-D-ribo-ヘキソピラノシル-(1→4)-O-2,6-ジデオキシ-β-D-ribo-ヘキソピラノシル-(1→4)-2,6-ジデオキシ-β-D-ribo-ヘキソピラノシル)オキシ]-14-ヒドロキシカルダ-20(22)-エノリドという化合物名を有する。
ウアバイン、ジゴキシン及びジギトキシンは、メルクインデックス(The Merck Index, 13th Edition(2001))の第1235頁、第557頁及び第556頁にそれぞれ、その化合物名、化学構造、物理化学的性状、関連する主要文献等が記載されている。またジゴキシン、ジギトキシンに関してはThe pharmacological basis of therapeutics 10th Edition, McGraw Hillの日本語版(廣川書店、平成15年発行)の1165頁にも作用機構等が記載されている。これらの化合物の中では、ウアバインが特に好ましい。
なお、本明細書中、「Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物を含有する」という用語は、Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物の医薬的に許容し得る形態(例えば、その塩、エステル、アミド、水和または溶媒和形態、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態等)での使用を全て包含する意味で用いられる。
したがって、本発明において用いられる有効成分としての化合物はフリー体であっても、医薬的に許容される塩であってもよい。このような「塩」は、酸塩と塩基塩を含む。酸塩としては、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、重酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、1,1'−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸)塩などが挙げられる。塩基塩としては、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、N−メチルグルカミン塩などの水溶性アミン付加塩、低級アルカノールアンモニウム塩、薬学的に許容することができる有機アミンの他の塩基から誘導される塩を挙げることができる。
本発明の神経因性疼痛治療剤及び組成物は、神経因性疼痛の治療に有効である。そのような神経因性疼痛の例としては、例えば、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経痛、がん性疼痛、術後や外傷後の遷延痛、痛覚過敏、アロディニア、開胸術後痛、CRPS、多発性硬化症による疼痛、AIDS、視床痛、脊髄障害による対麻痺性疼痛、無知覚性疼痛、幻肢痛における神経因性疼痛などが含まれる。本発明の神経因性疼痛治療剤は、特に、痛覚過敏、アロディニアの治療に有効である。
本発明の神経因性疼痛治療剤の投与形態は特に制限は無く、経口的あるいは非経口的に投与することが出来る。本発明の神経因性疼痛治療剤の有効成分は単独で、あるいは組み合わせて配合されても良いが、これに製薬学的に許容しうる担体あるいは製剤用添加物を配合して製剤の形態で提供することもできる。この場合、本発明の有効成分は、例えば、製剤中、0.1〜99.9重量%含有することができる。
製薬学的に許容しうる担体あるいは添加剤としては、例えば賦形剤、崩壊剤、崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、溶解剤、溶解補助剤、等張化剤、pH調整剤、安定化剤等を用いることが出来る。
経口投与に適する製剤の例としては、例えば散剤、錠剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤、液剤またはシロップ剤等を挙げることが出来る。経口投与の場合、微晶質セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸ジカリウム、グリシンのような種々の賦形剤を、澱粉、好適にはとうもろこし、じゃがいもまたはタピオカの澱粉、およびアルギン酸やある種のケイ酸複塩のような種々の崩壊剤、およびポリビニルピロリドン、蔗糖、ゼラチン、アラビアゴムのような顆粒形成結合剤と共に使用することができる。また、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク等の滑沢剤も錠剤形成に非常に有効であることが多い。同種の固体組成物をゼラチンカプセルに充填して使用することもできる。これに関連して好適な物質としてラクトースまたは乳糖の他、高分子量のポリエチレングリコールを挙げることができる。経口投与用として水性懸濁液および/またはエリキシルにしたい場合、活性成分を各種の甘味料または香味料、着色料または染料と併用する他、必要であれば乳化剤および/または懸濁化剤も併用し、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等、およびそれらを組み合わせた希釈剤と共に使用することができる。
非経口投与に適する製剤としては、例えば注射剤、坐剤等を挙げることが出来る。非経口投与の場合、本発明の有効成分をゴマ油または落花生油のいずれかに溶解するか、あるいはプロピレングリコール水溶液に溶解した溶液を使用することができる。水溶液は必要に応じて適宜に緩衝し(好適にはpH8以上)、液体希釈剤をまず等張にする必要がある。このような水溶液は静脈内注射に適し、油性溶液は関節内注射、筋肉注射および皮下注射に適する。これらすべての溶液を無菌状態で製造するには、当業者に周知の標準的な製薬技術で容易に達成することができる。さらに、本発明の有効成分は皮膚など局所的に投与することも可能である。この場合は標準的な医薬慣行によりクリーム、ゼリー、ペースト、軟膏の形で局所投与するのが望ましい。
本発明の神経因性疼痛治療剤の投与量は特に限定されず、疼痛の種類、患者の年齢や症状、投与経路、治療の目的、併用薬剤の有無等の種々の条件に応じて適切な投与量を選択することが可能である。本発明の神経因性疼痛治療剤の投与量は、例えば、成人(例えば、体重60kg)1日当たり50から2500mg程度、好ましくは90から900mgである。注射剤として投与する場合の投与量は、例えば、成人(例えば、体重60kg)1日当たり10から500mg程度、好ましくは18から180mgである。これらの1日投与量は2回から4回に分けて投与されても良い。
実 施 例
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(使用した実験材料及び一般的実験方法)
(1)モデル動物
実験動物として、6週齢の雄性ラットに、L5/L6脊髄神経に完全結紮を施し作製した疼痛過敏症モデルを用いた。
(2)群分け
機械刺激テストは、Dynamic Planter Aesthesiometer(37400、ウゴバジル社)、熱刺激テストは、足底熱刺激装置(Planter test 7370、ウゴバジル社)を用いて、モデル動物の足の疼痛閾値をそれぞれ測定し、各実験日の投与前に測定した疼痛閾値が均一になるように前臨床パッケージVersion5.0(SASインスティチュートジャパン)を用いて群分けした。なお、機械刺激では、モデル動物の足の疼痛閾値が8.0g以上の動物は試験から除外し、熱刺激では、モデル足の疼痛閾値が10秒以上の動物は試験から除外した。
(3)被験物質の調製
被験物質については、メノウ製乳鉢および乳棒を用いて、原末を粉砕したのち、媒体である0.5w/v%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)を徐々に加えて均一な懸濁液とした。投与液の濃度調整は、メスシリンダーあるいはメスフラスコを用いて行ない、調整はすべて用時とした。
(4)投与方法
披験物質は、脊髄への直接作用の確認を目的としているが、脳関門を通過することが確認されているため、簡易な投与方法である腹腔内投与とした。注射筒及び注射針を用いて、5ml/kgの容量で腹腔内に投与した。
(ウアバイン・機械刺激方法)
疼痛過敏症モデルの雄性ラット(279.0〜338.2g)を1群5匹使用し、ウアバイン投与前と、投与後30分、60分及び90分に最大圧力:15.0g、最大圧力まで到達する時間:20秒に設定した刺激装置を用いて左足蹠の疼痛閾値を測定した。その結果を図1に示す。
図1に示すように、0.5w/v%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)水溶液を投与した対照群では、投与後の最大疼痛閾値が6.2gを示したのに対し、ウアバインを投与した群では、(a)0.3mg/kg投与の場合、投与後の最大閾値が7.5g、(b)3mg/kg投与の場合、投与後の最大閾値が11.8g、(c)10mg/kg投与の場合、投与後の最大閾値が14.1 gを示した。このようにウアバインの投与は疼痛閾値を有意に上昇させ、神経因性疼痛における鎮痛効果が確認された。上記の疼痛過敏モデルでは、通常痛みと感じられない触刺激を痛みとして感じる異痛(アロディニア)が起こり疼痛閾値は顕著に低下するが、ウアバインの腹腔内投与は疼痛閾値を用量依存的に上昇させ、疼痛過敏を改善することが確認された。しかしながら、機械刺激試験10mg/kgの投与において筋弛緩が観察されたため、熱刺激は最高用量を3mg/kgとして試験を行なった。
(ウアバイン・熱刺激方法)
(熱刺激方法)
疼痛過敏症モデルの雄性ラット(308.3 〜375.9g)を1群5匹使用。ウアバイン投与前と、投与後30分、60分及び90分に熱刺激強度45に設定した足底熱刺激装置を用いて左足蹠の疼痛閾値を測定した。その結果を図2に示す。
図2に示すように、生理食塩液を投与した対照群では、投与後の最大疼痛閾値が7.9秒を示したのに対し、ウアバインを投与した群では、(a)0.3mg/kg投与の場合、投与後の最大閾値が9.0秒、(b)1mg/kg投与の場合、投与後の最大閾値が9.5秒、(c)3mg/kg投与の場合、投与後の最大閾値が9.7秒を示した。このように、ウアバインの投与は、統計学的に有意なものではなかったが、0.3、1mg/kg及び3mg/kgのいずれの投与でも疼痛閾値の上昇傾向はみられた。
(考察)
上記実施例によって、Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤が神経因性疼痛の治療に有効であることを明らかにした。
以上述べたように、Na/K ATPase(Naポンプ)阻害作用を有する化合物を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤が、種々の原因による神経因性疼痛の症状を改善する作用を有するので、神経因性疼痛の治療に有効に用いることができる。
図1は、実施例1の実験結果を示す図であって、疼痛過敏症のラットにウアバインを腹腔内投与し、機械刺激に対する痛覚閾値の変化を示した図である。 図2は、実施例2の実験結果を示す図であって、疼痛過敏症のラットにウアバインを腹腔内投与し、熱刺激に対する痛覚閾値の変化を示した図である。

Claims (3)

  1. ウアバイン又はその薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤。
  2. 神経因性疼痛が、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経痛、がん性疼痛、術後や外傷後の遷延痛、痛覚過敏、アロディニア、開胸術後痛、CRPS、多発性硬化症による疼痛、AIDS、視床痛、脊髄障害による対麻痺性疼痛、無知覚性疼痛及び幻肢痛における神経因性疼痛から選択される一以上の症状である請求項1に記載の神経因性疼痛治療剤。
  3. 神経因性疼痛治療剤の製造のためのウアバイン又はその薬学的に許容し得る塩の使用。
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