JP4427391B2 - 高圧放電ランプおよび高圧放電ランプの製造方法 - Google Patents

高圧放電ランプおよび高圧放電ランプの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばメタルハライドランプのような高圧放電ランプおよび高圧放電ランプの製造方法関する。
高圧放電ランプは、耐火性で透光性の気密容器の内部に形成される放電空間内に一対の電極を封装し、金属蒸気などを主体とする放電媒体を封入している。一対の電極は、気密容器の両端に一体に形成された細長い一対の封止部の内部に気密に埋設した封着金属箔にその基端を溶接により接続し、中間部を封止部に緩く支持させ、先端の電極主部を放電空間内に突出させるなどにより放電空間に臨ませた構造とするのが一般的である。
種々の用途に高圧放電ランプが用いられているが、その中でも自動車前照灯に使用する小形で、高出力形の高圧放電ランプは、気密容器の内容積が小さくて、点灯時の放電媒体の圧力が高く、しかも動作温度が高いという特徴があるため、気密容器の内部に封装ないし封入される各部材から放出される不純物や不純ガスが高圧放電ランプの光束維持率や寿命に与える影響が相対的に大きくなる。
また、自動車前照灯用の高圧放電ランプは、点灯開始直後の光量が所要値より少ないという課題があり、その解決のために点灯開始直後には安定時の数倍の電力を投入するように制御する。このために、点灯開始直後に安定時の数倍の電流を電極間に通流させて、光量増加を加速させるという高圧放電ランプの急速立ち上げを行い、かつ、迅速に安定状態へ移行させるように構成している。
一方、自動車前照灯用やスポット照明用などのメタルハライドランプに用いられている内容積0.1cc以下の高圧放電ランプは、相対向する一対の電極を備えた発光管内に希ガス、発光金属のハロゲン化物および水銀を封入した構成が一般的であり、比較的高効率で、高演色性であるため広く使用されている(以下、便宜上「水銀入りランプ」という。)。しかしながら、環境問題が深刻化してきている現在、照明分野においても、環境負荷が大きい水銀をランプから減少させ、さらに廃絶することは非常に重要なことと考えられている。この課題に対して、メタルハライドランプにおいても、水銀を用いないための提案が既にいくつかなされている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1においては、水銀に代えてZnI2などの蒸気圧の高い物質を発光物質のハロゲン化物、例えばScI3−NaIに加えて封入することにより、水銀入りランプと同等の電気特性と発光特性が得られている。
特開平11−238488号公報
ところが、特許文献1に記載されているような水銀を封入しない高圧放電ランプ(以下、便宜上「水銀フリーランプ」という。)は、上記のように水銀入りランプとほぼ同等の電気特性とはいえ、全く同一というわけではなく、そのランプ電圧が水銀入りランプに比べて低いという傾向があるので、同程度のランプ電力を投入する場合、ランプ電流の値が相当に大きくなる。このため、電極の温度が過剰になって、電極に吸蔵されている不純ガスや電極表面側の酸化物が分解して酸素を多く放出しやすい。
また、自動車前照灯用のメタルハライドランプにおいては、上述したように点灯直後に安定点灯時に比べて非常に大きなランプ電流を通流させる。特に水銀フリーランプにあっては、点灯直後に水銀入りランプよりさらに大きな電流を、しかも数秒間にわたり継続して流すために、電極の温度が一層過剰になりやすい。
本発明者は、自動車前照灯用のように気密容器が小形で、高出力であり、ランプ電流が相対的に大きくて点灯時の内部圧力が大きくて、かつ、温度が高くなるメタルハライドランプにおいて、気密容器が点灯初期に黒化してしまう不具合を低減するための研究開発に取り組む中で、電極から蒸発(飛散)する飛散物質に注目して調査をした結果、電極表面部分の酸化物層の厚さが気密容器の黒化現象に大きく影響することを見出した。すなわち、酸化物層の深さが小さいほど電極からの飛散物質量が少なくなり、外観性の悪化および初期光束の低下を抑制し、光束維持率が改善される。
本発明は、自動車前照灯用のように気密容器が小形で、高出力であり、ランプ電流が相対的に大きくて点灯時の内部圧力が大きくて、かつ、温度が高くなるメタルハライドランプに特に好適であって、気密容器の封止時に発生する初期黒化を抑制して気密容器の白濁、黒化や放電のちらつきなどの不具合発生を防止した高圧放電ランプおよび高圧放電ランプの製造方法提供することを目的とする。
また、本発明は、加えて水銀フリーで自動車前照灯用のメタルハライドランプに好適な高圧放電ランプおよび高圧放電ランプの製造方法提供することを他の目的とする。
請求項1に係る発明の高圧放電ランプは、耐火性で透光性の気密容器と;タングステン(W)を主成分として気密容器の内部に離間対向して封装され、前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化率が20AC%未満となる地点までの酸化層の深さが20nm以下の一対の電極と;気密容器の放電空間内に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
<気密容器ついて> 気密容器は、耐火性で透光性であり、好ましくは包囲部および一対の封止部を備えている。「耐火性」とは、放電ランプの通常の作動温度に十分耐える意味である。したがって、気密容器は、耐火性を備える材料であり、かつ、放電によって発生した所望波長域の可視光を外部に導出することができれば、どのようなもので作られていてもよいが、好適には石英ガラスなどを用いて形成する。なお、必要に応じて、気密容器の内面に耐ハロゲン性または耐ハロゲン化物性の透明性被膜を形成するか、気密容器の内面を改質することが許容される。
また、包囲部は、その内部に内容積0.1cc以下の適当な形状をなした放電空間、例えば自動車前照灯に用いる高圧放電ランプおいて好適には内容積0.05cc以下、例えば0.025ccで、かつ、放電空間が細長く形成されている。なお、細長い放電空間としては、例えば放電空間を円柱状にすることができる。これにより、アークが水平点灯においては上方へ湾曲しようとするために、放電容器の上側の内面に接近するので、放電容器の上部の温度上昇が早くなる。
さらに、包囲部は、その肉厚を比較的大きくすることができる。すなわち、電極間距離のほぼ中央部の肉厚をその両側の肉厚より大きくすることができる。これにより、放電容器の伝熱が良好になって放電容器の放電空間の下部および側部内面に付着している放電媒体の温度上昇が早まるために、光束立ち上がりが早くなる。
一対の封止部は、包囲部を封止するとともに、電極の軸部がここに支持され、かつ、点灯回路から電流を電極へ気密に導入するのに寄与する手段であり、包囲部の両端から一体に延在している。そして、電極を封装し、かつ、点灯回路から電流を電極へ気密に導入するために、内部に適当な気密封止導通手段、好適には封着金属箔を気密に埋設している。
なお、封着金属箔は、封止部の内部に埋設されて封止部が気密容器の包囲部の内部を気密に維持するのに協働しながら電流導通導体として機能するための手段であり、気密容器が石英ガラスからなる場合、材料としてはモリブデンが最適である。モリブデンは、約350℃になると酸化するので、外部側の端部の温度がこれより温度が低くなるように埋設される。封着金属箔を封止部に埋設する方法は、特段限定されないが、例えば減圧封止法および/またはピンチシール法などを採用することができる。内容積が0.1cc以下、好適には0.05cc以下の小形で、かつ、キセノンなどの希ガスを室温で5気圧以上、さらに好ましくは8気圧以上の圧力で封入する自動車前照灯などに用いる高圧放電ランプの場合は、両者を組み合わせるのと好適である。
<一対の電極について> 一対の電極は、タングステン(W)を主成分とする耐火性で、かつ、導電性の材料により形成され、かつ、前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化率が20AC%未満となる地点までの酸化層の深さが20nm以下、好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下になっている。ここで、酸化層とは、Wの酸化率が20AC%以上の層をいう。なお、Wの酸化率における「AC%」とは、atomic concentrate % の略であり、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光法)により測定され、その結果400×400μmの面積において深さ2〜3nm、より正確には5nmの範囲中に存在する酸化物の原子数のWおよびWの酸化物の総原子数に対する%として得られる数値である。XPSにおいては、アルゴンビームを照射して試料の表面を所望の深さまで掘削してから、X線を試料に照射したときに当該照射部の原子や分子から放出される光電子を測定する。このときに放出される光電子は、原子または分子ごとに特有の結合エネルギー値(binding
energy)(eV)を有しており、この値を測定することで元素の定量および定性の測定が可能になる。なお、分子の場合、結合状態によってもこのエネルギー値は異なった値として測定される。
また、一対の電極は、それぞれ気密容器の両端内部に封装されて電極主部が気密容器内において離間対向している。高圧放電ランプが、その放電空間の内容積が0.1cc以下のように小形の場合には、一対の電極の先端間に形成される空隙の距離であるところの電極間距離が5mm以下に設定される。なお、自動車前照灯用のメタルハライドランプの場合、規格により中心値で4.2mmと規定されている。
さらに、一対の電極は、タングステン(W)を主成分としていればその材質は自由であるが、例えば純W、タングステン−レニウム(W−Re)合金、ドープドタングステンなどの耐火金属製の軸部を備え、その軸部の基端部が封着金属箔に溶接されるなどして封止部に埋設などの手段によって固定され、中間部が好ましくは気密容器の封止部により緩く支持され、中間部の一部および先端部が気密容器の放電空間に臨むように放電空間の両端に離間対向して配設される。ドープドタングステンとしては、例えばトリウム(Th)、スカンジウム(Sc)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)およびケイ素(Si)などのグループから選択された一種または複数種を含有するものを用いることができる。この場合、一般的には、Thは酸化物として1.7質量%以下程度含有される。また、Al、KおよびSiは100ppm程度以下が含有される。
さらにまた、電極は、交流および直流のいずれで作動するように構成してもよい。交流で作動する場合、一対の電極は同一構造とする。また、自動車前照灯に用いるメタルハライドランプの場合、要すれば電極の先端部近傍を軸部より径大にしたり、電極の先端部を半球状にしたり、切頭円錐形状にしたりすることもできる。すなわち、ランプの点滅回数が非常に多くなるとともに、また始動時には定常時より大きな電流を流すので、これに対応して電極全体を径大にすると、電極軸に接触している気密容器の構成材料が点滅のたびに熱応力を受けてクラックを生じやすい。そこで、電極の先端部近傍に径大部を形成することで、電極を点滅に対応させることができるが、軸部は径大になっていないから、クラックを生じにくい。また、電極の先端部を半球状にしたり、切頭円錐形状にしたりすることにより、放電アークの起点が安定しやすくなり、放電のちらつきが低減する。さらに、直流で作動する電極の場合、一般に陽極は温度上昇が激しいから、先端部近傍に径大部を形成すれば、放熱面積を大きくすることができるとともに、頻繁な点滅に対応することができる。これに対して、陰極は必ずしも径大部を形成する必要がない。
<放電媒体について> 本発明において、放電媒体は、一般的には発光物質が金属蒸気およびガス(例えばキセノンランプの場合)のいずれであってもよい。発光金属の金属蒸気源として単体の発光金属、例えば水銀(高圧水銀ランプの場合)を、または発光金属のハロゲン化物(メタルハライドランプの場合)を封入することができる。また、発光金属に加えてランプ電圧形成物質として水銀や蒸気圧が比較的高い金属のハロゲン化物(水銀フリーランプの場合)を封入することができる。さらに、上記の各ランプ共通に始動ガスおよび緩衝ガスとして希ガスを用いることができる。
次に、本発明の高圧放電ランプを実施するのに好適な形態である自動車前照灯用のメタルハライドランプである水銀フリーランプの放電媒体について説明する。この形態における放電媒体は、金属ハロゲン化物およびキセノンを含み、水銀を本質的に含まない。
金属ハロゲン化物は、発光金属およびランプ電圧形成用金属のハロゲン化物を含んでいる。発光金属のハロゲン化物は、特段限定されないが、好適にはナトリウム(Na)およびスカンジウム(Sc)を主成分とするハロゲン化物であり、所望によりインジウム(In)や希土類金属などのハロゲン化物やセシウム(Cs)のハロゲン化物を添加することができる。なお、Inは、発光物質およびランプ電圧形成物質のいずれとしても寄与する。そして、Inの発光は、メタルハライドランプにおける発光の色度調整用としても作用する。また、Csは、アークを太くして、所望の光学特性を得るのに効果的である。
ランプ電圧形成用金属のハロゲン化物は、蒸気圧が比較的高くてランプ電圧を形成するのに効果的に寄与する金属、例えば亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)のグループから選択された一種または複数種のハロゲン化物を用いることができる。これらの金属ハロゲン化物を選択的に適量封入することにより、ランプ電圧を所要範囲に高めることができる。それにより、メタルハライドランプの電気特性を所望に設定できるので、比較的少ないランプ電流で所要のランプ電力を投入することが可能になる。なお、最適にはZnのハロゲン化物である。Znは、蒸気圧が比較的高いとともに、化学的に安全であり、しかも、安価に、かつ、工業的規模で容易に入手することができる物質である。また、Znの発光は、メタルハライドランプの発光色度の調整用としても寄与させることができる。
ハロゲン化物を構成するハロゲンは、反応性に関してハロゲンの中でヨウ素が最も適当であり、少なくとも上記主発光金属は、主としてヨウ化物として封入される。しかし、要すれば、ヨウ化物および臭化物のように異なるハロゲンの化合物を併用することもできる。
キセノン(Xe)は、室温で5気圧以上の圧力で封入する。また、Xeは、始動ガスおよび緩衝ガスとして作用するとともに、上記の圧力で封入することにより、点灯直後において発光金属のハロゲン化物の蒸気圧が高くなっていないときに、発光物質としても作用する。なお、所望により、アルゴン(Ar)またはクリプトン(Kr)などを添加することができる。Xeの封入圧力は、好適には8〜15気圧である。これにより、メタルハライドランプのランプ電圧が高くなり、同一ランプ電流に対してランプ入力を大きくして、光束立ち上がり特性を向上させることができる。光束立ち上がり特性が良好であることは、どのような使用目的であっても好都合である。
本形態において、「本質的に水銀を含まない」とは、水銀を全く封入していないだけでなく、気密容器の内容積1cc当たり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀が存在していることを許容するという意味である。しかし、水銀を全く封入しないことは環境上望ましいことである。従来のように水銀蒸気によって放電ランプの電気特性を維持する場合には、短アーク形においては気密容器の内容積1cc当たり20〜40mg、さらに場合によっては50mg以上封入していたことからすれば、本発明は水銀量が実質的に頗る少ないといえる。
<本発明の作用について> 本発明においては、気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化率が20AC%未満となる地点までの酸化層の深さが20nm以下の電極を具備していることにより、タングステン酸化物(WxOy ただし、x、yはWとWO3の中間の状態での価数)からなる不純物が従来に比較して顕著に低減しているので、気密容器の封止時などのランプ製造時に電極からタングステン酸化物が飛散することによって気密容器の内表面に初期黒化が発生することが防止され、高圧放電ランプの光束維持率が改善される。また、初期黒化が発生すると、場合によっては気密容器の内部に熱が蓄積されて気密容器が膨れたり、破裂したりする不都合も生じやすくなるが、本発明によれば、このような不都合も抑制される。
ところで、初期黒化は、電極の主として表面物質が飛散して気密容器の電極近傍部位に付着することによって発生するものであり、Wの酸化率が高いほどスパッタによる飛散量が多くなり、黒化しやすくなることが実験の結果明らかになった。これはWが酸化すると、金属状態のときに比べて蒸発点が低くなり、蒸発(スパッタ)しやすくなるためと考えられる。Wの酸化率は、電極の表面側に近づくにつれて大きくなるものであるため、電極主部の表面におけるWの上記酸化層が20nmを超えて厚く形成されていると、電極物質が蒸発(スパッタ)しやすくなり、その結果電極の飛散物質の量も多くなって黒化が発生する傾向にある。また、黒化が発生すると、放電によって発生した光の気密容器の外部への透過を阻害するので、光束が低下する。さらに、放電のちらつきは、W酸化物の蒸気が影響して発生すると考えられる。
本発明における「酸化層の深さ」とは、上述のようにXPSで測定し、Wの酸化率が20AC%未満となったときの測定用開始地点の表面からの深さである。したがって、表面から20nmの深さまで掘削し、その地点の表面からXPSで2〜3nm、好ましくは5nmの深さにおける酸化率が20AC%未満であるものは、20AC%未満となる酸化層の深さが20nm以下といえるから本発明の範囲に属することになる。
なお、高圧放電ランプが本発明の構成を具備しているか否かは、販売時点において未点灯の高圧放電ランプについて、気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の一部をXPSにより測定して判定するものとする。
<本発明のその他の構成について> 以下に示す構成を選択的に付加することにより、高圧放電ランプの性能が向上したり、機能が増加したりする。
1.外管について 外管は、石英ガラスまたはハイシリケートガラスなどからなり、その内部に発光管の少なくとも主要部をその収納する手段である。そして、発光管から外部へ放射される紫外線を遮断し、機械的に保護し、かつ、発光管の気密容器を手で触れることで人の指紋や脂肪が付いて失透の原因とならないようにしたり、あるいは発光管を保温したりたりする。また、外管の内部は、その目的に応じて外気に対して気密に封止してもよいし、外気と同程度または減圧された空気または不活性ガスが封入されていてもよい。さらに、要すれば、外気に連通していてもよい。さらに、外管の外面または内面に遮光膜を配設することもできる。なお、発光管は、気密容器、一対の電極および放電媒体を備えて形成されている。
また、外管を形成する際に、外管の両端を気密容器の両端から管軸方向に延在する封止部にガラス溶着させることによって外管を気密容器で支持するように構成することができる。
2.口金について 口金は、高圧放電ランプを点灯回路に接続したり、加えて機械的に支持したりするのに機能する。
3.イグナイタについて イグナイタは、高電圧パルス電圧を発生し、これを高圧放電ランプに印加して、その始動を促進する手段であり、所望により口金の内部に収納するなどにより、高圧放電ランプと一体化することができる。
4.始動補助導体について 始動補助導体は、電極近傍における電界強度を高くして、高圧放電ランプの始動を支援する手段であり、その一端を他方の電極と同電位個所に接続し、他端を一方の電極近傍における気密容器の外面に配設する。
<本発明の高圧放電ランプの好適な用途について> 本発明の高圧放電ランプの好適な用途は、自動車前照灯装置に用いる光源である。この場合の自動車前照灯装置は、自動車前照灯装置と;自動車前照灯装置本体に配設された請求項1記載の高圧放電ランプと;高圧放電ランプを点灯する点灯回路と;を具備していることを特徴としている。
本発明において、「自動車前照灯装置本体」とは、例えば自動車前照灯装置から高圧放電ランプおよび点灯回路を除いた残余の全ての部分を意味する。
高圧放電ランプは、水銀入りランプおよび水銀フリーランプのいずれであってもよい。
点灯回路は、高圧放電ランプを点灯する手段であり、電子化されたものが好適であるが、要すればコイルおよび鉄心を主体とするものであってもよい。また、水銀フリーランプの場合、車両用ヘッドライトに用いる点灯回路は、高圧放電ランプ、例えばメタルハライドランプの点灯直後4秒までの最高入力電力を安定時のランプ電力の2〜4倍、好適には2.5〜4倍とすることにより、光束立ち上がりを自動車前照灯装置用として必要な範囲内に入るように早くすることができる。なお、希ガスとしてのキセノン(Xe)の封入圧を5〜15気圧の範囲でX(気圧)とし、メタルハライドランプの点灯直後4秒までの最高入力電力をAA(W)としたとき、AAが下式を満足するように構成することにより、点灯直後4秒までの光束立ち上がりを早めて自動車用ヘッドライトに必要なヘッドライト前面の代表点での光度8000cdを得ることができる。
AA>−2.5X+102.5
上記のようにXe封入圧と最高入力電力とが直線的な関係になるのは、蒸気圧の低い放電媒体のみであるから、始動後4秒後の時点ではXeの発光が圧倒的になっているからである。Xeの発光量は、その封入圧とその時の電力とで決まるので、Xe圧が低ければ、入力電力を多くすればよい。反対に、Xe圧が高ければ、入力電力を少なくすればよい。なお、本発明において、高圧放電ランプの点灯は、交流点灯および直流点灯のいずれであってもよい。
また、点灯回路は、所要により無負荷出力電圧を200V以下に構成することができる。水銀を本質的に封入しない高圧放電ランプ、例えばメタルハライドランプは、一般に水銀封入のメタルハライドランプに比較して、ランプ電圧が低いので、点灯回路の無負荷出力電圧を200V以下にすることができる。これにより、点灯回路の小形化が可能になる。なお、水銀を封入したメタルハライドランプにおいては、400V程度の無負荷出力電圧を必要としている。
請求項2に係る発明の高圧放電ランプは、耐火性で透光性の気密容器と;Wを主成分として気密容器の内部に離間対向して封装され、前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面から深さ5nmにおけるWの酸化率が30AC%以下の一対の電極と;気密容器の放電空間内に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
本発明において、一対の電極は、Wを主成分とする耐火性で、かつ、導電性の材料により形成され、加えて前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面から深さ5nmにおけるWの酸化率が30AC%以下になっている。ここで、「表面からの深さ5nmにおけるWの酸化率」とは、表面から深さ5nm掘削し、現れた表面を上述のXPSにより深さ2〜3nm、好ましくは5nmの深さを測定したときの酸化率(AC%)を意味する。上記の構成であれば、気密容器の電極近傍(主として電極を包囲している接近した部位)に白濁、黒化、放電における明るさのちらつきなどの不具合現象が発生するのを効果的に抑制できることが分かった。これに対して、Wの酸化率が30AC%を超えると、上記の改善効果が少なくなり、また上記の不具合現象が発生および侵入しやすさと深く関係していることから、表面からの深さ方向に指数関数的に減少するように分布している。表面から5nmまでの深さ、例えば2〜3nmに存在する酸化物が不純ガス発生源などとして主に影響するものと考えられる。しかし、この程度の深さであると、深さ方向に酸化物の変化が激しいので測定値に誤差を生じやすいが、深さ5nmにおける酸化率であれば変化率が小さくなっているので、安定した値として正確に測定することができる。なお、電極の表面におけるWの酸化層の深さが20nm以下であれば、本発明の要件を満足しやすくなる。
請求項3に係る発明の高圧放電ランプの製造方法は、耐火性で透光性の気密容器を準備する第1の工程と;タングステン(W)を主成分として気密容器の内部に離間対向して封装され、前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化率が20AC%未満となる地点までの酸化層の深さが20nm以下の一対の電極を気密容器の内部に離間対向して封装して気密容器の内部に放電空間を形成する第3の工程と;気密容器の放電空間内に放電媒体を封入する第4の工程と;を具備していることを特徴としている。
本発明は、不純物の少ない電極を具備した高圧放電ランプの製造方法を規定している。すなわち、第2の工程において、電極素材について還元処理を行うことによって、前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化層の酸化率が20AC%未満となる地点までの深さを20nm以下にするものである。電極素材の還元処理は、H2雰囲気中において、電極材または電極用線材を1400℃以上、好ましくは1900℃以下の高温に所望時間、例えば0.5時間程度以上、好ましくは1時間程度以上の間加熱することによって行うことができる。なお、「電極用線材」とは、電極材として所定寸法に切断する以前の線材を意味する。また、電極材は、これを気密容器に封装することによって電極になる。
本発明において、第1、第3および第4の工程は、既知の工程を採用することができる。
そうして、本発明においては、第2の工程の還元処理を行うことによって電極の前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化率が20AC%未満となる地点までの酸化層を効果的に薄くすることができる。そして、Wの酸化層を20nm以下にした電極を封装して高圧放電ランプを製造するので、電極から放出されるW酸化物による不純物や不純ガスが顕著に低減して、気密容器の初期黒化や放電のちらつきなどの不具合発生が抑制されて初期全光束値が大きい高圧放電ランプを得ることができる。
請求項1の発明によれば、気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化率が20AC%未満となる地点までのWの酸化層の深さが20nm以下であることにより、封止などの製造時に発生する気密容器内面の初期黒化を抑制でき、初期全光束の低下や放電のちらつきなどの不具合発生を防止し、また初期全光束の低下を抑制した高圧放電ランプを提供することができる。
請求項2の発明によれば、気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の電極の表面から深さ5nmにおけるWの酸化率が30AC%以下であることにより、初期全光束の低下や放電のちらつきなどの不具合発生を抑制した高圧放電ランプを提供することができる。
請求項3によれば、電極を還元処理によってWの気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化率が20AC%未満となる地点までの酸化層の深さを20nm以下にした電極を封装して高圧放電ランプを製造することにより、封止などの製造時に発生する気密容器内面の初期黒化を抑制でき、初期全光束の低下や放電のちらつきなどの不具合発生を防止した高圧放電ランプを提供することができる
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
図1および図2は、本発明の高圧放電ランプを実施するための一形態としての自動車前照灯用のメタルハライドランプを示し、図1はランプ全体の正面図、図2は発光管の拡大要部正面図である。本形態において、高圧放電ランプHPDLは、発光管IT、絶縁チューブT、外管OTおよび口金Bからなる。
発光管ITは、気密容器1、一対の電極1b、1b、封着金属箔2、一対の外部リード線3A、3Bおよび放電媒体からなる。
気密容器1は、包囲部1aおよび一対の封止部1a1を備えている。包囲部1aは、中空で外形が紡錘形状に成形されてなり、その両端に一対の細長い封止部1a1を一体に備えているとともに、内部に細長いほぼ円柱状の放電空間1cが形成されている。放電空間1cの内容積は、0.1cc以下である。
電極1bは、純W線からなり、その基端部Ebが封止部1a1に埋設された後述する封着金属箔2に溶接されるとともに、中間部が封止部1a1に緩く支持されることによって所定の位置に配設され、さらに図2に示すように、中間部の一部Emおよび先端部Etが放電空間1c内に臨んでいる。また、電極1bの基端部Ebは、封止部1a1内において、封着金属箔2の一端に溶接されている。
また、電極1bは、その放電空間1c内に臨んでいる中間部の一部Emの酸化層の深さが20nm以下で、かつ、表面から深さ5μmにおけるWの酸化率が30AC%以下になっている。
なお、図1において、下方の封止部1a1を形成した後、封止管1a2が切断されないで封止部1a1の下部から一体に延長していて、口金B内へ延在している。
封着金属箔2は、モリブデン箔からなり、気密容器1の封止部1a1内に気密に埋設されている。
一対の外部リード線3A、3Bは、その先端が気密容器1の両端の封止部1a1内において封着金属箔2の他端に溶接され、基端側が外部へ導出されている。図1において放電容器ITから上方へ導出された外部リード線3Aは、中間部が後述する外管OTに沿って折り返されて後述する口金B内に導入されて図示しない口金端子の一方に接続している。図1において放電容器ITから下方へ導出された外部リード線3Bは、管軸に沿って延在して口金B内に導入されて口金端子の他方に接続している。
気密容器1の包囲部1a内には、放電媒体として発光金属のハロゲン化物、ランプ電圧形成用金属のハロゲン化物および希ガスが封入されている。発光金属は、ナトリウムNaおよびスカンジウムSc、ランプ電圧形成用金属は、亜鉛Znである。
外管OTは、紫外線カット性能を備えており、内部に放電容器ITを収納していて、両端の縮径部4が放電容器ITの封止部1a1にガラス溶着している。しかし、内部は気密ではなく、外気に連通している。
絶縁チューブTは、セラミックスからなり、外部リード線3Aを被覆している。
口金Bは、自動車前照灯用として規格化されているもので、放電容器ITおよび外管OTを中心軸に沿って植立して支持していて、自動車前照灯の背面に着脱可能に装着されるように構成されている。
放電容器IT
気密容器1a:石英ガラス製、球体長7mm、最大外径6mm、
最大内径2.4mm、内容積0.025cc
電極1b :直径0.40mmの純W線、電極間距離4.2mm、
Wの酸化層の深さ20nm、表面から深さ5nmにおける酸化率20CA%
放電媒体
金属ハロゲン化物:ScI3−NaI−ZnI2=0.3mg
希ガス :キセノンXe10気圧
外管OT :外径9mm、内径7mm、内部雰囲気;大気圧(大気)
点灯直後投入電力:85W
点灯直後投入電流:2.8A
安定時ランプ電圧:42V
安定時ランプ電力:35W

次に、本発明の高圧放電ランプの製造方法を実施するための第1の形態としての第2の工程における電極素材の実施例1の還元処理結果について表1を参照して比較例とともに説明する。なお、表中「WxOy」はWの酸化物を示す。試料No.1、2は比較例である。分析結果は、いずれも電極素材の表面から深さ5nmにおけるものである。
(表1)
No. 試料の種類 還元処理条件 分析結果:W(AC%)、WxOy(AC%)
1 未処理品 − 22 88
2 還元処理品 H2雰囲気中,1350℃,1h 68 32
3 還元処理品 H2雰囲気中,1430℃,1h 75 25
4 還元処理品 H2雰囲気中,1600℃,1h 80 20

表1から理解できるように、第1の形態における試料3および4に示すように、本発明によれば、WxOy(AC%)が30以下の電極を得られることを示している。
さらに、表1に示す試料を封装して実施例に示すのと同様な仕様の高圧放電ランプを製造して、点灯548時間における光束維持率を測定した結果について表2を参照して説明する。なお、試料No.は、表1における同一試料No.の試料を用いて製造した高圧放電ランプであることを示している。
(表2)
No. 試料の種類 光束維持率(%)
1 未処理品 83
2 還元処理品 85
3 還元処理品 88
4 還元処理品 91

表2から理解できるように、本発明の試料3、4によれば、光束維持率が比較例より明らかに優れている。
さらに、本発明の高圧放電ランプの製造方法を実施するための第2の形態としての第2の工程における電極素材の還元処理結果の酸化層厚について比較例とともに表3を参照して説明する。なお、資料No.Cの比較例は、強制酸化処理品である。
(表3)
No. 試料の種類 還元処理条件 酸化層厚(nm)
A 比較例 − 50
B 実施例 H2雰囲気中,1600℃,1h 20
C 比較例 大気炉, 600℃, 1min 200

次に、上記第2の形態および比較例の電極を用いて片側(1`st)封止を行い、黒化発生状態を調査した。なお、調査方法として、黒化発生状態は目視により、またW付着量(AC%)は気密容器内表面の黒化部をXPSにて測定した。その結果を表4に示す。なお、試料No.は、表3における同一試料No.の試料を用いて封止した試料であることを示している。
(表4)
No. 試料の種類 黒化発生状態 W付着量(AC%)
A 比較例 小 5
B 実施例 なし <0.1(検出限界以下)
C 比較例 大 90

以上の結果から、封止時に発生する黒化は、Wの酸化層による影響が大きいことが分かる。また、電極還元処理によって酸化層の深さを20nm以下にすることにより、黒化の抑制に顕著な効果のあることが分かる。
上記の資料に基づいて前記実施例に示すような自動車前照灯用のメタルハライドランプ(定格ランプ電力35W、放電媒体:Na−Sc−Zn−I、Xe)を製作し、初期点灯試験を実施し、全光束を測定した。その結果を表5に示す。なお、試料No.は、表3における同一試料No.の試料を用いて製造した高圧放電ランプであることを示している。
(表5)
No. 試料の種類 全光束(lm)
A 比較例 2650
B 実施例 2750

本発明の第2の形態によれば、封止時などのランプ製造時に発生する気密容器内面における初期黒化を抑制して、初期全光束の低下および寿命中における気密容器の膨らみや破裂などの不具合発生防止に効果のあることが分かる。
図3および図4は、本発明の高圧放電ランプを装着した自動車前照灯を示し、図3は前照灯全体の背面斜視図、図4は点灯回路の回路図である。各図において、自動車前照灯HLは、自動車前照灯本体21、高圧放電ランプHPDLおよび2つの点灯回路OCにより構成されている。
自動車前照灯本体21は、前面透過パネル21a、リフレクタ21b、21c、ランプソケット21dおよび取付部21eなどから構成されている。前面レンズ21aは、自動車の外面と合わせた形状をなし、所要の光学的手段、例えばプリズムを備えている。リフレクタ21b、21cは、各高圧放電ランプHPDLに配設されていて、それぞれに要求される配光特性を得るように構成されている。ランプソケット21dは、点灯回路OCの出力端に接続し、高圧放電ランプHPDLの口金21dに装着される。取付部21eは、自動車前照灯本体21を自動車の所定の位置に取り付けるための手段である。
高圧放電ランプHPDLは、図1に示す構造を備えていて、水平点灯される。ランプソケット21dは、口金に装着されて接続する。そうして、2灯の高圧放電ランプHPDLが自動車前照灯本体21に装着されて、4灯式の自動車前照灯が構成される。各高圧放電ランプHPDLの発光部は、自動車前照灯本体21のリフレクタ21b、21cの焦点にほぼ位置する。
2つの点灯回路OCは、それぞれ後述する回路構成を備えていて、金属製容器22内に収納されているとともに、高圧放電ランプHPDLを付勢して点灯させる。
点灯回路OCは、図4に示すように、直流電源11、チョッパ12、制御手段13、ランプ電流検出手段14、ランプ電圧検出手段15、イグナイタ16、高圧放電ランプHPDL、フルブリッジインバータ17により構成されていて、高圧放電ランプHPDLを点灯直後に直流点灯し、その後交流点灯する。
直流電源11は、後述するチョッパ12に対して直流電源を供給する手段であって、バッテリーまたは整流化直流電源が用いられる。自動車の場合には、一般的にバッテリーが用いられる。しかし、交流を整流する整流化直流電源であってもよい。必要に応じて電解コンデンサ11aを並列接続して平滑化を行う。
チョッパ12は、直流電圧を所要値の直流電圧に変換するDC−DC変換回路であって、後述するフルブリッジインバータ17を介して高圧放電ランプHPDLを所要に制御する。直流電源電圧が低い場合には、昇圧チョッパを用い、反対に高い場合には降圧チョッパを用いる。
制御手段13は、チョッパ12を制御する。例えば、点灯直後には高圧放電ランプHPDLに定格ランプ電流の3倍以上のランプ電流をチョッパ22からフルブリッジインバータ17を経由して流し、その後時間の経過とともに徐々にランプ電流を絞っていき、やがて定格ランプ電流にするように制御する。また、制御手段13は、ランプ電流とランプ電圧と相当するそれぞれの検出信号が後述するように帰還入力されることにより、定電力制御信号を発生して、チョッパ22を定電力制御する。さらに、制御手段13は、時間的な制御パターンが予め組み込まれたマイコンが内蔵されていて、点灯直後には定格ランプ電流の3倍以上のランプ電流を高圧放電ランプHPDLに流し、時間の経過とともにランプ電流を絞るようにチョッパ12を制御するように構成されている。
ランプ電流検出手段14は、フルブリッジインバータ17を介してランプと直列に挿入されていて、ランプ電流に相当する電流を検出して制御手段13に制御入力する。
ランプ電圧検出手段15は、同様にフルブリッジインバータ17を介して高圧放電ランプHPDLと並列的に接続されていて、ランプ電圧に相当する電圧を検出して制御手段23に制御入力する。
イグナイタ16は、フルブリッジインバータ17と高圧放電ランプHPDLとの間に介在していて、始動時に約20kV程度の始動パルス電圧を高圧放電ランプHPDLに供給できるように構成されている。
フルブリッジインバータ17は、4つのMOSFETQ1、Q2、Q3およびQ4からなるブリッジ回路、ブリッジ回路17aのMOSFETQ1およびQ3と、Q2およびQ4とを交互にスイッチングさせるゲートドライブ回路28bおよび極性反転回路INVから構成されていて、チョッパ12からの直流電圧を上記スイッチングにより矩形波の低周波交流電圧に変換して、高圧放電ランプHPDLに印加して、高圧放電ランプHPDLを低周波交流点灯させる。なお、点灯直後の直流点灯時には、ブリッジ回路17aの例えばMOSFETQ1およびQ3を継続的にオンさせ、Q2およびQ4をオフさせる。
そうして、点灯回路OCを用いて高圧放電ランプHPDLを最初直流点灯し、その後矩形波の低周波交流で点灯すると、点灯直後から所要の光束を発生する。これにより、自動車用ヘッドライトとして必要な電源投入後1秒後に定格に対して光束25%、4秒後に光束80%の点灯を実現することができる。
本発明の高圧放電ランプを実施するための一形態としての自動車前照灯用のメタルハライドランプを示すランプ全体の正面図 同じく発光管の拡大要部正面図 本発明の高圧放電ランプを装着した自動車前照灯を示し、図3は前照灯全体の背面斜視図 同じく点灯回路の回路図
1…気密容器、1a…包囲部、1a1…封止部、1c…放電空間、1b…電極、Eb…基端部、Em…中間部の一部、Et…先端部、2…封着金属箔、3A、3B…外部リード線、IT…発光管

Claims (3)

  1. 耐火性で透光性の気密容器と;
    タングステン(W)を主成分として気密容器の内部に離間対向して封装され、前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化率が20AC%未満となる地点までの酸化層の深さが20nm以下の一対の電極と;
    気密容器の放電空間内に封入された放電媒体と;
    を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。
  2. 耐火性で透光性の気密容器と;
    タングステン(W)を主成分として気密容器の内部に離間対向して封装され、前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面から深さ5nmにおけるWの酸化率が30AC%以下の一対の電極と;
    気密容器の放電空間内に封入された放電媒体と;
    を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。
  3. 耐火性で透光性の気密容器を準備する第1の工程と;
    タングステン(W)を主成分として気密容器の内部に離間対向して封装され、前記気密容器の放電空間内に露出している先端部を除いた中間部の表面からWの酸化率が20AC%未満となる地点までの酸化層の深さが20nm以下の一対の電極を準備する第2の工程と;
    第1の工程によって準備した一対の電極を気密容器の内部に離間対向して封装して気密容器の内部に放電空間を形成する第3の工程と;
    気密容器の放電空間内に放電媒体を封入する第4の工程と;
    を具備していることを特徴とする高圧放電ランプの製造方法。
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