JP4427164B2 - ダイアフラム弁の漏洩検知センサー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品工業や医薬品工業等における各種液体配管において、その液体配管の流路を開閉するのに使用されるダイアフラム弁の漏洩検知センサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
この種のダイアフラム弁は、弁ボディ内の弁座と対向する位置に、弁体を形成するダイアフラムが、接液する表面側と背面側とを遮断するように取り付けられ、その背面側中央部に連結された作動軸の軸方向進退駆動により、ダイアフラムの表面側が弁座に対し離接して流路を開閉するようになっている。しかして、このようなダイヤフラム弁にあっては、ダイヤフラムは表面側と作動機構を有する背面側とが周縁部の固定部分で完全に遮断されて常時表面側のみで接液し、且つダイヤフラムの変形のみで弁作動が行われ、他の各種弁の弁軸部のような液洩れを生じ易いような摺接部分が存在せず、弁部での封止性が高いため、特に安全および衛生面での高信頼性が要求される食品や薬品分野で賞用されている。
【0003】
ところで、輸液の製造ライン、即ち純水ライン等で用いられるダイアフラム弁のダイアフラムが、疲労その他の要因によって破損した場合には、不良輸液を製造継続しないためにも、その破損を検知する機能が必要となる。従来では、ダイアフラムが破損しないうちに早目にダイヤフラムを定期交換する手法が採用されているが、このような早期交換ではまだ充分に長期使用に耐え得る状態のダイヤフラムも廃棄されることになって不経済であった。
【0004】
また、ダイアフラム弁に付設される従来の漏洩検知センサーとして、ダイアフラムに導電性ゴム層を設けて、液洩れを電気的に検出するようにしたものが知られているが、医薬品工業における純水ライン等にあっては、純水そのものが、導電性が極めて悪いため、正確な液洩れ検出が行えず、実用性に乏しかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、純水のように導電性の極めて悪い液体の場合でも、その液漏れを確実に検知できるダイアフラム弁の漏洩検知センサーを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の漏洩検知センサーは、弁ボディ11内の弁座13と対向する位置に、弁体を形成するダイアフラム14が、接液する表面側と背面側とを遮断するように取り付けられ、その背面側中央部に連結された作動軸35の軸方向進退駆動により、ダイアフラム14の表面側が弁座13に対し離接して流路を開閉するダイアフラム弁において、外部から内部に液体を通すが内部から外部には通さない浸透膜4を一部に配して形成される密閉ケーシング5の内部に強電解質を封入し且つ一対の電極a,bを対向配置してなるセンサー本体1を、前記浸透膜4がダイアフラム14の背面側に漏れ出た液体と接触する位置に設けると共に、前記密閉ケーシング5内の両電極a,b間の導通状態を検知する検知回路2を設けてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2は、請求項1に記載のダイアフラム弁の漏洩検知センサーにおいて、ダイアフラム14が、フッ素樹脂製の薄い本体膜14aと、これの裏側に重合配置されるゴム製の厚いバックアップ膜14bとからなり、バックアップ膜14bに漏洩報せ孔10を設けてなることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るダイアフラム弁の半縦断面正面図、図2はその底面図である。これらの図において、11は円管状の弁ボディで、この弁ボディ11内の長手方向中央部には凹曲面状の弁座13を形成する堰23が突設されている。12は弁体を形成するダイアフラム14の表面側周縁部を取り付けるためのダイアフラム取付座で、弁ボディ11の側壁部11aに形成され、このダイアフラム取付座12の内側には、堰23を挟んでその両側に形成される出入管部21,22に通じる弁口21a,22aが開口している。
【0009】
ダイアフラム14は、フッ素樹脂製の薄い本体膜14aと、この本体膜14aの裏側に重合配置されるゴム製の厚いバックアップ膜14bとからなるもので、両膜14a,14bはその中心部に取り付けられた連結軸24によって連結されている。図3に示すように、本体膜14aは、フッ素樹脂であるテフロン(登録商標)によって厚さ1mm程度の円板状に形成されていて、その表面の周縁部に断面角形の環状凸部25が条設され、この環状凸部25の内周側に環状突条部19が条設されると共に、この環状突条部19を直径方向につなぐ直線状突条部20が条設されている。バックアップ膜14bは、温度変化に強い合成ゴムによって、厚さが4mm程度で本体膜14aよりも僅かに径大の円板状に形成されている。バックアップ膜14bの背面には金属製のリテーナ26が配置され、このリテーナ26とバックアップ膜14bと本体膜14aとは連結軸24を介して互いに回転しないよう一体的に結合される。
【0010】
図1及び図4に示すように、ダイアフラム取付座12の外周側には、弁操作部15側のブラケット取付用フランジ16とボルト結合する環状台座27がダイアフラム取付座12の座面から所定高さ突出するように周設されている。また、ダイアフラム取付座12の内周側には上向きに突出する環状凸部28が条設され、それによってこの環状凸部28の外周には環状の凹段部29が形成される。この場合、ダイアフラム取付座12の座面とは、実質的に環状凸部28の上面を意味する。
【0011】
また図4に示すように、ブラケット取付用フランジ16にはその内周縁部に環状のダイアフラム押え部30が当該フランジ16と一体に突出形成され、しかしてこのダイアフラム押え部30の下端押え面30aは、環状台座27に当接するブラケット取付用フランジ16の当接面16aから下方へ所定長さα突出した位置にある。このようにダイアフラム押え部30をフランジ16の当接面16aから下方へ突出した環状体に形成することにより、ダイアフラム14の周縁部を有効に圧縮することができる。この押え部30の突出長さαは、所定厚みを有するダイアフラム14の周縁部を図示のようにダイアフラム取付座12に嵌め入れた状態で、環状突条部19が環状凸部28上に十分に密着するように当該周縁部を加圧して圧縮できる長さに設定されるもので、この設定にあたっては、ダイアフラム取付座12の環状突条部19からのダイアフラム取付座12の突出高さ、ダイアフラム14の厚さ及びその弾性力を考慮する。
【0012】
弁操作部15は、図1に示すように、下端部にフランジ16を形成したブラケット18に連結されたエアシリンダからなるもので、このシリンダ15は、シリンダ本体33とピストン(図示省略)とこのピストンと一体に軸方向に往復移動するピストンロッド35とによって構成され、このピストンロッド35がダイアフラム弁の作動軸を形成する。このピストンロッド(作動軸)35の下端部がリテーナ26に連結され、ピストンロッド35の軸方向進退駆動によって、ダイアフラム14が、図1の実線図示のように弁座13に接した閉弁形態と、同図の仮想線図示のように弁座13から離間した開弁形態とに形態変換する。
【0013】
ダイアフラム14を弁ボディ11のダイアフラム取付座12に取り付けるには、先ず、ブラケット18が弁ボディ11から取り外された状態で、外周が環状台座27によって囲繞されているダイアフラム取付座12にダイアフラム14を嵌め入れ、図4に示すように、本体膜14a側の環状凸部25を取付座12側の環状凸部28の外周に形成される凹段部29に係嵌させて、環状突条部19を取付座12の環状凸部28に当接させると共に、直線状突条部20を弁座13に当接させる。この状態から、ブラケット18のフランジ16を環状台座27上に載せながら、ダイアフラム押え部30の下端部を、バックアップ膜14bの背面側に形成された環状溝37に突入係合させ、そして環状台座27のねじ孔(図示せず)からフランジ16のねじ孔(図示せず)にボルト17(図2参照)をねじ込んで締め付け、フランジ16を環状台座27にボルト結合すればよい。これによって、ダイアフラム押え部30がダイアフラム14の周縁部をその全周にわたり一様に圧縮して、本体膜14aの環状突条部19をダイアフラム取付座12の環状凸部28に押し付け、本体膜14aと取付座12の環状凸部28との間を完全にシールすることができる。
【0014】
次に、上記のように構成のダイアフラム弁に設けられる漏洩検知センサーについて説明すると、この漏洩検知センサーは、図1及び図4に示すように、ブラケット18の所要部に設けた開口部31に挿入配備されるセンサー本体1と、このセンサー本体1からブラケット18の外側に引き出して設けられる検知回路2とから構成される。また、ダイアフラム14のバックアップ膜14bには漏洩報せ孔10を設けている。
【0015】
センサー本体1は、図4に示すように、一側面部が開口した箱状のケーシング本体3と、このケーシング本体3の開口面側に配設された浸透膜4とからなる密閉ケーシング5の内部に、強電解質を封入すると共に、陽極と陰極の一対の電極a,bを対向配置することによって構成される。浸透膜4は、密閉ケーシング5の外部からその内部に液体を通過させるが、このケーシング5の内部に入った液体を外部には漏出させないようにケーシング本体3の開口面側に配設された膜である。
【0016】
センサー本体1の密閉ケーシング5内に封入する強電解質としては、NaCl(食塩等として使用される塩化ナトリウム)を使用するが、この他に、NaOH(カセイソーダ、水酸化ナトリウム)等も使用可能である。検知回路2は、図4に示すように、密閉ケーシング5内に配設された電極a,bと、電池からなる電源6と、電流計7と、ランプ8とによって形成される電気回路である。
【0017】
このセンサー本体1をブラケット18の開口部31に取り付けるにあたっては、浸透膜4がブラケット18の内部側に位置する状態、即ち浸透膜4がダイアフラム14の背面側に漏洩した液体と接触するように位置させた状態で、ケーシング本体3をシール材9を介して開口部31に取り付け固定する。
【0018】
上記のように構成される漏洩検知センサーにおいて、いま、このダイアフラム弁が純水ラインに設置されているものとした場合に、ダイアフラム14の本体膜14aが破損すると、本体膜14a表面の破損箇所からその裏面側へ漏れ出た水(純水)は、本体膜14a裏面とバックアップ膜14b表面との間の隙間に浸入して、バックアップ膜14bの漏洩報せ孔10を通り、ブラケット18の内部、即ちダイアフラム14の背面側空間部Sに流入して溜まる。この空間部Sに溜まった漏洩水は、センサー本体1の密閉ケーシング5に配設されている浸透膜4を通過して、密閉ケーシング5内部のNaClと混和する。こうして漏洩水がNaClと混和すると、水の誘電率が大きいため、NaClは、Naイオン(+)とClイオン(−)とに解離する、つまり電離する。しかも、NaClは、強電解質であることから、水中では完全解離(電離しない分子はない)する。
【0019】
上記のようにセンサー本体1の密閉ケーシング5内部に浸入した漏洩水の中でNaClが電離すると、その水の導電率が高まって、ケーシング5内の両電極a,b間が導通状態となる。両電極a,bの導通状態はランプ8の点灯によって検知され、またその導通の度合いは電流計7の表示によって確認される。従って、ダイアフラム14の本体膜14aが破損していることを、この漏洩検知センサーによって知ることができる。
【0020】
この漏洩検知センサーによれば、純水のように導電性の極めて悪い液体の場合でも、本体膜14aからの漏洩を確実に検知することができる。また、ダイアフラム14が、フッ素樹脂製の薄い本体膜14aと、これの裏側に重合配置されるゴム製の厚いバックアップ膜14bとからなるものであって、バックアップ膜14bに漏洩報せ孔10を設けることによって、本体膜14aの破損箇所から漏れ出た水は、この漏洩報せ孔10を通って直ちにダイアフラム14の背面側に出てきて、センサー本体1に接するようになるから、本体膜14aが破損していることを迅速に知ることができる。
【0021】
この実施形態では、純水ラインにおけるダイアフラム14での純水の漏洩検知について説明したが、この漏洩検知センサーは、純水に限らず、純水以外の液体の漏洩も検知することができるものである。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に係る発明の漏洩検知センサーによれば、ダイアフラムが破損した時は、その背面側へ漏れ出た液体がセンサー本体の浸透膜を通ってケーシング内部の強電解質と混和することにより、その強電解質が電離して、その液体の導電率が高まるから、ケーシング内の両電極間の導通状態を検知することによって、ダイアフラムの破損を知ることができ、従ってダイアフラムをその寿命まで出来るだけ長く使用することができる。特に、この漏洩検知センサーによれば、純水のように導電性の極めて悪い液体の場合でも、本体膜の破損による液体の漏洩を確実に検知することができる。
【0023】
請求項2に記載のように、ダイアフラムが、フッ素樹脂製の薄い本体膜と、この裏側に重合配置されるゴム製の厚いバックアップ膜とからなるものであって、バックアップ膜に漏洩報せ孔を設けることによって、本体膜が破損していることを迅速に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る漏洩検知センサーを備えたダイアフラム弁の半断面正面図である。
【図2】 図1に示すダイアフラム弁の底面図である。
【図3】 (A)はダイアフラムの正面図、(B)は(A)のX−X線断面図である。
【図4】 図1に示すダイアフラム弁の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 センサー本体
2 検知回路
3 ケーシング本体
4 浸透膜
5 密閉ケーシング
10 漏洩報せ孔
11 弁ボディ
13 弁座
14 ダイアフラム
15 弁操作部
a,b 電極
Claims (2)
- 弁ボディ内の弁座と対向する位置に、弁体を形成するダイアフラムが、接液する表面側と背面側とを遮断するように取り付けられ、その背面側中央部に連結された作動軸の軸方向進退駆動により、ダイアフラムの表面側が弁座に対し離接して流路を開閉するダイアフラム弁において、外部から内部に液体を通すが内部から外部には通さない浸透膜を一部に配して形成される密閉ケーシングの内部に強電解質を封入し且つ一対の電極を対向配置してなるセンサー本体を、前記浸透膜がダイアフラムの背面側に漏れ出た液体と接触する位置に設けると共に、前記密閉ケーシング内の両電極間の導通状態を検知する検知回路を設けてなるダイアフラム弁の漏洩検知センサー。
- ダイアフラムが、フッ素樹脂製の薄い本体膜と、これの裏側に重合配置されるゴム製の厚いバックアップ膜とからなり、バックアップ膜に漏洩報せ孔を設けてなる請求項1に記載のダイアフラムの漏洩検知センサー。
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