JP4426428B2 - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、透明性・柔軟性に優れる熱可塑性エラストマー組成物に関し、特にオイルブリードが少なく、かつ優れた機械強度、成形加工性を有する透明性、柔軟性に優れる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関する。
従来、スチレン系樹脂組成物またはエチレン−プロピレン系樹脂組成物に軟化剤としてオイル、樹脂成分としてオレフィン系樹脂等を添加することにより所定の硬度を有する熱可塑性エラストマー樹脂組成物が得られており、オイルとしてパラフィンオイルがよく用いられている。しかし、オイル添加により、低硬度化は可能となるが、他の樹脂成分に比べて分子量の低いものが使用されるため、耐熱性、耐候性、機械強度、耐摩耗性等の低下が発生する。
また、非常に軟らかい熱可塑性樹脂組成物を得る場合には、成形品表面にオイルブリードが発生するという問題があり、満足のいく熱可塑性樹脂組成物を得ることができない。すなわち、一般に、熱可塑性樹脂組成物が吸収できるオイル量は、オイル量/熱可塑性樹脂組成物量=3倍強という上限があり、それ以上のオイルを添加した場合、オイルのブリードが発生する。また、オイル量/熱可塑性樹脂組成物量=3倍強という上限を超えるとペレット化も困難となる。さらに透明性が必要な場合には、加える熱可塑性樹脂の組み合わせもかなり限定されるため、成形加工性と諸物性のバランスを調整するのが困難になる。
さらに、ゲルエラストマーとして、スチレン系熱可塑性エラストマー類、パラフィン類で構成される組成物が開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、製造時、加熱溶解の際に高温が必要であるため、茶色に着色して成形する際すぐに固まってしまい、ハンドリング性が不十分で扱いずらく、さらにゲルの構成強度が十分でないためか、パラフィン類が染み出し油っぽく感じるという問題もあった。
上記のような問題を解決するため、脂肪酸エステル類のイソプロピルミリスチレート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、イソノニルイソノナノエートを配合し、スチレン系熱可塑性エラストマー類の溶解温度を下げることにより透明性が増し、さっぱりした感触となる発明が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、色相改良の効果は十分に発揮されるものの、依然として、油性感が強く、特にフットケア用途などさらにさっぱりした感触を求められる分野では油っぽさの改良が不十分であった。
このような油性感等を改良するため、脂肪酸エステル類の添加効果を検討し、エステル基を挟んで存在するアルキル基の大きさおよび、分枝の割合が、脂肪酸エステルの添加効果を左右するとし、スチレン系熱可塑性エラストマー類、パラフィン類、脂肪酸エステル(2−エチルへキシル酸セチル)で構成されるゲルエラストマー組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。さらに、衝撃吸収性能を付与したゲル状組成物として、トリブロック型スチレン系エラストマーを軟化剤に膨潤させたゲル状組成物(例えば、特許文献4参照。)、トリブロック型スチレン系エラストマーとジブロック型スチレン系エラストマーと軟化剤とからなるゲル状組成物(例えば、特許文献5及び6参照。)が提案されている。しかしながら、これらのゲル状組成物においても、透明性、オイルブリード、成形性のバランスが著しく劣っているという問題を有していた。
また、上記すべての先行技術では、特に射出成形の際、冷却時間が異常に長く場合によっては25分程度のものもあるのが現状であり、生産性に著しく劣るものであった。
そこで、本発明者らは、柔軟性に富み、耐熱変形特性、機械的強度、耐油性および成形加工性に優れ、ベタツキのない超軟質組成物として、非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤、有機パーオキサイド、架橋助剤、任意成分として熱可塑性樹脂を含む組成物(例えば、特許文献7参照。)やスチレン系熱可塑性エラストマー類、非芳香族炭化水素ゴム用軟化剤、ビニル芳香族系樹脂、水添石油樹脂、アクリル系加工助剤、有機パーオキサイドを含有する組成物(例えば、特許文献8参照。)を提案し、さらに、取り扱いが容易で、オイルブリードがなく、かつ優れた機械強度および耐摩耗性を有する熱可塑性ゲル状組成物として、非芳香族炭化水素ゴム用軟化剤、水添スチレン系熱可塑性エラストマー類、非晶質性ポリオレフィンを含有する熱可塑性ゲル状組成物(例えば、特許文献9参照。)を提案している。しかしながら、これらの組成物よりもさらに、透明性、成形加工性に優れ、かつ、成形加工性と諸物性のバランスの優れた熱可塑性エラストマー組成物は得られていなかった。
さらにまた、石油樹脂等の粘着性樹脂を用いてスチレン系熱可塑性エラストマー類を改良する試みがなされている。例えば、共役ジエン部分が部分的に水素添加されている部分水添ブロック共重合体にテルペン樹脂等の粘着付与剤を配合した粘着剤用組成物(例えば、特許文献10参照。)、スチレン系ブロック共重合体に石油分解により得られる芳香族系石油樹脂を配合する熱溶融型粘着剤組成物(例えば、特許文献11参照。)、スチレン系ブロック共重合体に石油樹脂等からなる粘着性付与剤を配合したホットメルト接着剤(例えば、特許文献12参照。)、スチレン系ブロック共重合体に脂肪族系若しくは脂環族系粘着性樹脂等を配合した粘着剤組成物(例えば、特許文献13参照。)、水素添加されたスチレン系ブロック共重合体、石油樹脂、ポリプロピレン系樹脂からなる食品包装用ストレッチフィルム(例えば、特許文献14〜16参照。)等が開示されている。しかしながら、これらの特許文献に記載の技術はいずれも石油樹脂等の粘着付与性を単に利用したにすぎず、オイルブリードが少なく、かつ優れた機械強度、透明性、柔軟性を有し、成形性に優れたエラストマー樹脂組成物を開示していなかった。
米国特許第4369284号明細書 米国特許第5558872号明細書 特開2000−281850号公報 特開平8−73696号公報 特開2001−151979号公報 特開2001−151980号公報 特開2001−311012号公報 特開2000−34389号公報 特開2003−183506号公報 特開平6−145626号公報 特開平6−271826号公報 特開平8−283685号公報 特公平7−5873号公報 特開平9−156665号公報 特開平9−165491号公報 特開平9−165492号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、オイルブリードが少なく、かつ優れた機械強度、透明性、柔軟性を有し、さらに、押出成形、射出成形、ディッピング成形等の成形加工性を有する透明性、柔軟性に優れる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の粒子径を有し、かつ特定の芳香族ビニル化合物含有量を有する水添及び/または部分水添ブロック共重合体に非芳香族系ゴム用軟化剤を加え、必要に応じて、石油樹脂、テルペン系オイルを配合して加熱処理することにより、ペレット供給が可能で、さまざまな成形加工が可能で、透明で、オイルブリードがなく、非常に軟らかい弾性体である熱可塑性エラストマー組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
請求項1に記載の発明は、
(I)(a)芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%である水添及び/または部分水添ブロック共重合体を、JIS Z 8801に準じてふるい分析して得られる粒径が0.6mm以下にする工程
(II)前記(I)工程で得られた(a)JIS Z 8801に準じてふるい分析して得られる粒径が0.6mm以下であり、かつ芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%である水添及び/または部分水添ブロック共重合体100重量部と、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤75〜400重量部とを配合する工程
を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法である
請求項2に記載の発明は、前記(II)工程が、前記(a)成分100重量部と前記(b)成分75〜400重量部とを溶融混練する工程であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法である
請求項3に記載の発明は、(a)水添及び/または部分水添ブロック共重合体が、芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%の水添及び/または部分水添ブロック共重体100重量部に対し、芳香族ビニル化合物含有量が40重量%未満の水添及び/または部分水添ブロック共重合体20〜500重量部を添加した水添及び/または部分水添ブロック共重合体混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法である
請求項4に記載の発明は、(c)石油樹脂3〜100重量部を更に含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法である
請求項5に記載の発明は、(d)テルペン系オイル1〜100重量部を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法である
本発明の製造方法により得られた熱可塑性エラストマー組成物は、オイルブリードが少なく、かつ優れた機械強度、透明性を有し、押出成形、射出成形等の成形加工性に優れ、透明性、柔軟性に優れる熱可塑性エラストマー組成物である。
本発明を構成する成分、製造方法、用途について以下に詳細に説明する。
1.熱可塑性エラストマー組成物の構成成分
(a)JIS Z 8801に準じてふるい分析して得られた粒径が1.4mm未満であり、かつ芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%の水添及び/または部分水添ブロック共重合体成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いるJIS Z 8801に準じてふるい分析して得られた粒径が1.4mm未満であり、かつ芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%の水添及び/または部分水添ブロック共重合体成分(a)は、ゴム弾性・機械物性を発現するだけでなく、配合時に、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤の吸油効率を向上させ、溶融混練時には分散性、溶融性を向上させる。その結果、成形加工性も向上し、得られた製品の機械特性、透明性が改良される。
水添及び/または部分水添ブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体を挙げることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体成分は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる重合体である。例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加して得られるものである。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体か、芳香族ビニル化合物と50重量%未満の共役ジエン化合物との共重合体であってもよい。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のみからなる重合体か、共役ジエン化合物と50重量%未満の芳香族ビニル化合物の共重合体であってもよい。
水添ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック重合体成分は、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、その水素添加率は任意であるが、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。また、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ブロックBがブタジエン単独で構成される場合、ポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。また、1,2−結合を選択的に水素添加した物であっても良い。ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物から構成される場合、1,2−ミクロ構造が好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より更に好ましくは15%未満である。
ブロックBがイソプレン単独で構成される場合、ポリイソプレンブロックにおいてはイソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
用途により水素添加したブロック共重合体を使用する場合には、好ましくは上記水添物を用途に合わせて適宜使用することが出来る。
また、重合体ブロックAは、成分全体の5〜70重量%の割合で存在するのが好ましい。さらに、成分全体の重量平均分子量は、350,000以下であり、好ましくは30,000〜250,000である。重量平均分子量が350,000を超えると、成形性が悪化する。
水添ブロック重合体成分の具体例としては、スチレン−エチレン・ブタジエン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体;SBBS)、部分水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、部分水添スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体等を挙げることができる。本発明においては、該芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体の製造方法としては、数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。こうしたブロック共重合体の水素添加処理は、公知の方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に行うことができる。
本発明で用いる(a)水添及び/または部分水添ブロック共重合体は、その芳香族ビニル化合物含有量が、40〜70重量%であり、好ましくは50〜65重量%である必要がある。芳香族ビニル化合物含有量が前記上限値を超えると軟化剤のブリードアウトを生じやすく、最終製品の柔軟性、機械的性質、成形性も低下せしめ、前記下限未満では成形性、機械的性質が悪化する。
また、本発明で用いる成分(a)は、成分(a)全体の芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%であれば、芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%の水添及び/または部分水添ブロック共重合体と芳香族ビニル化合物含有量が40重量%未満、特に15重量%以上で40重量%未満、より好ましくは20〜40重量%の水添及び/または部分水添ブロック共重合体との混合物であってもよい。芳香族ビニル化合物含有量が40重量%未満の水添及び/または部分水添ブロック共重合体は、ゴム弾性・機械物性を発現するだけでなく、配合時に(b)非芳香族系ゴム用軟化剤の吸油効率を向上させ、得られる製品の柔軟性、機械特性、透明性を改良する効果を有する。
成分(a)として、芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%の水添及び/または部分水添ブロック共重合体を単体で使用するよりも、芳香族ビニル化合物含有量が40重量%未満の水添及び/または部分水添ブロック共重合体を配合した混合物として用いる方が機械物性の点でより好ましい。
混合物として用いる場合の芳香族ビニル化合物含有量が40重量%未満の水添及び/または部分水添ブロック共重合体の配合割合は、芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%の水添及び/または部分水添ブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは20〜500重量部であり、より好ましくは50〜400重量部である。芳香族ビニル化合物含有量が40重量%未満の水添及び/または部分水添ブロック共重合体の配合量が前記上限値を超えると成形性、機械的性質が悪化する。
なお、芳香族ビニル化合物含有量が40重量%未満の水添及び/または部分水添ブロック共重合体として、共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を用いることもできる。共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては、例えば、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。本発明においては、共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の重量平均分子量は、350,000以下であり、好ましくは30,000〜250,000である。重量平均分子量が350,000を超えると、成形性が悪化する。
本発明で用いる成分(a)は、JIS Z 8801に準じてふるい分析して得られた粒径が1.4mm未満であり、好ましくは45μm〜1mmであることが重要である。
成分(a)をJIS Z 8801に準じてふるい分析して得られた粒径が1.4mm未満であることにより、熱可塑性エラストマー組成物がゴム弾性・機械物性を発現するだけでなく、配合時に(b)非芳香族系ゴム用軟化剤の吸油効率を向上させ、溶融混練時には分散性、溶融性が向上する。その結果、成形加工性も向上し、得られた製品の機械特性、透明性が改良される。JIS Z 8801に準じてふるい分析して得られた粒径が前記上限値を超えると配合時の(b)非芳香族系ゴム用軟化剤の吸油効率、溶融混練時の分散性、溶融性が悪化し、45μm未満では配合時の(b)非芳香族系ゴム用軟化剤の吸油効率、溶融混練時の分散性、溶融性の改良効果が若干低くなり、粉砕効率が若干悪化し、静電気や水分で2次凝集が顕著になる傾向がある。
ここで、JIS Z 8801に準じてふるい分析して得られた粒径が1.4mm未満の成分(a)は、JIS Z 8801に準じてふるい分析して得られた粒径が2〜3mmの通常ペレットを化学粉砕、冷凍粉砕、常温機械粉砕、ダイス径が0.3〜1.0mmのダイスを用い、水中カットによって得られるマイクロペレット化によって得ることができる。中でも常温機械粉砕を用いると、粉砕にかかるエネルギーを低減できるため、粉砕加工費を抑えることが可能になる。
上記常温機械粉砕方法の例としては、例えば、ターボミル、ピンミル、ハンマーミル、ボールミル、ローラミル等の衝撃型粉砕機や遠心力粉砕機、パルベライザー等を用いて微粉砕する方法がある。機械粉砕機の例として、ターボ工業株式会社製ターボミル、TG2450、TG2300、CR300;株式会社セイシン企業製ジェットミル;株式会社セイシン企業製スパイラルミル、SP−400型;株式会社セイシン企業製ボールミル;株式会社セイシン企業製インペラーミル;株式会社セイシン企業製コロイドミル;中央化工機(株)製振動ミル、MB−1型、MC−15型、CH−20型、FVR−20型、FV−20型、FV−50型、ボールミルMR−50型;石川島播磨重工業(株)製スーパーハイブリッドミル、SH−150型;(株)巴川製紙所ジェット粉砕機(分級機内蔵);アルピネ製コロプレックス、160Z型、コロプレックス、250Z型;奈良機械製自由粉砕機M−2型;粉体技研(株)衝撃式凍結粉砕装置;朋来鉄工所製カッターミル;ホソカワミクロン(株)製ACM−10型、ACMパルベライザー、ACM−30型、VP−1型、ビクトリーミル、AP−1型パルベライザー、MJ−3型ミクロンジェット;(株)マキノ製乾・湿両用ボールミルBM−50型、ジェットミルFP−2型、ゼゴミルSM−220−1;丸尾カルシウム(株)製高速衝撃式ハンマー型微粉砕機、高速衝撃渦流式ブレード型微粉砕機;三井鉱山(株)製三井ダイナミックミル(MYD50);(株)奈良機械製作所製サンプルミル等が挙げられる。
その中でも、(株)奈良機械製作所製サンプルミル、スパイラルミル、ダイナミックミルが好ましい。
上記冷凍粉砕方法として、上記ターボミル、ピンミル、ハンマーミル等の衝撃型粉砕機を用いて微粉砕する際、液体窒素を用いて冷凍粉砕する。冷凍粉砕機の例として日本酸素(株)製液体窒素式低温粉砕機(クライオミル、型式CM250−4M)、(株)リキッドガス製超低温粉砕装置リンレックスミル、粉体技研(株)製衝撃式凍結粉砕装置等が挙げられる。
上記粉砕機により得られる粉砕物の平均粒径は、例えば、50%平均粒径45〜1400μmあるいは250〜550μmが挙げられる。また粉砕物の粒度分布は、例えば、10%累積高さ粒径150〜350μm、あるいは200〜300μm、50%累積高さ粒径350〜600μm、400〜500μm、90%累積高さ粒径600〜1000μm、750〜850μmが挙げられる。したがって、上記粉砕機により、容易に粒径が1.4mm未満の水添及び/または部分水添ブロック共重合体成分を得ることができる。
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤(b)は、得られる組成物の硬度を調整する機能及び成形性の改良の機能を果たす成分である。
食品包装用フィルム等の先行技術に見られる組成物と比較して、成分(a)に対し75〜400重量部という多量の成分(b)を添加することにより特に柔軟で透明性に優れる組成物を得ることができる。
成分(b)としては、非芳香族系の鉱物油又は液状、若しくは、低分子量の合成軟化剤が挙げられる。一般にゴム用鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖を組み合わせた混合物であって、飽和炭化水素鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%を占めるものをナフテン系、芳香族炭素数が30%以上を占めるものを芳香族系と呼び区別されている。本発明で用いられるゴム用鉱物油軟化剤は、上記のパラフィン系及びナフテン系が好ましい。芳香族系の軟化剤は、分散性が悪く好ましくない。
非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤として、パラフィン系の鉱物油軟化剤が特に好ましく、パラフィン系のなかでも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
パラフィン系軟化剤を構成している化合物としては、例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられ、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサコンタン、ヘプタコンタン等のn−パラフィン(直鎖状飽和炭化水素)、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、イソノナン、2−メチルノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、イソエイコサン、4−エチル−5−メチルオクタン等のイソパラフィン(分岐状飽和炭化水素)及び、これらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。これらのパラフィンは、混合物で用いられ、室温で液状であるものが好ましい。
室温で液状であるパラフィン系軟化剤の市販品としては、日本油脂株式会社製のNAソルベント(イソパラフィン系炭化水素油)、出光興産株式会社製のPW−90(n−パラフィン系プロセスオイル)、出光石油化学株式会社製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8wt%以上のイソパラフィン)、三光化学工業株式会社製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル)等が挙げられる。
また、非芳香族系炭化水素軟化剤には、少量の不飽和炭化水素及びこれらの誘導体が共存していても良い。不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のエチレン系炭化水素、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン等のアセチレン系炭化水素を挙げることができる。
成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、75〜400重量部であり、好ましくは125〜350重量部である。成分(b)の配合量が前記上限値を超えると軟化剤のブリードアウトを生じやすく最終製品に粘着性を与え、成形体の機械的性質、成形性も低下せしめ、前記下限未満では柔軟性、成形性と透明性が悪化する。
(c)石油樹脂
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、石油樹脂(c)を用いることができる。成分(c)は、得られる組成物のさらなる柔軟性及び黄色味を無くした透明性をもたせること、また機械特性を向上させ、さらにバランスのよい柔軟性と風合いを付与する機能を果たす成分である。
成分(a)に対し、成分(b)を多量に加えることによって柔軟性を付与することはできるが、ブリードや製造性の不具合、ペレット供給の困難であるといった不具合があった。成分(c)により成分(b)の添加量を増やさず柔軟性を付与することができ、さらに透明性の向上にも寄与する。
成分(c)としては、石油精製工業、石油化学工業の各種工程、特にナフサの分解工程で得られる不飽和炭化水素を原料として共重合して得られる樹脂であって、C5留分を原料とした脂肪族系石油樹脂、C9留分を原料とした芳香族系石油樹脂、ジシクロペンタジエンを原料とした脂環族系石油樹脂、並びにテルペン系樹脂およびこれら2種以上が共重合した共重合系石油樹脂、さらにこれらを水素化した水素化石油樹脂などが例示できる。上記した樹脂の水素添石油樹脂は、上記の樹脂を当業者に公知の方法により水素添加して得られる。具体的には、出光石油化学(株)製のアイマーブ(水素化石油樹脂)、荒川化学工業(株)製のアルコン(水素化石油樹脂)、ヤスハラケミカル(株)製のクリアロン(水素化テルペン樹脂)、トーネックス(株)製のエスコレッツ(脂肪族系炭化水素樹脂)、などの市販品を用いることができる。
成分(c)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、3〜100重量部が好ましく、より好ましくは5〜50重量部である。成分(c)の配合量が前記上限値を超えると成形性、柔軟性、透明性、オイルブリード性が悪化し、前記下限未満では透明性、押出成形性が悪化し、機械特性の向上効果がない。
(d)テルペン系オイル
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、テルペン系オイル(d)を用いることができる。テルペン系オイル(d)は、得られる組成物の耐ブリード性、透明性、柔軟性と成形性を向上させる機能を有する。
特に、成分(d)は、成分(a)に対して成分(b)、(c)が多量に含まれる場合、ブリードを抑える機能を有する。
成分(d)としては、主として北米や中国本土に産するアカマツ、クロマツの立木から採取した生松脂を水蒸気蒸留して得られる精油、また同樹のパルプ生産の副生物のテレピン油、あるいはオレンジの皮から抽出される精油またはこれらの精油から異性化反応等により誘導されたオレンジ油等から得られ、具体的には、炭素数10からなるテルペン系炭化水素、テルペンエーテルが挙げられる。
炭素数10からなるテルペン系炭化水素としては、ミルセン(沸点167℃)、カレン(沸点167℃)、オシメン、ピネン(沸点155℃)、リモネン(沸点176℃)、カンフェン(沸点160℃)、テルピノレン(沸点187℃)、トリシクレン(沸点153℃)、テルピネン(沸点170〜180℃)、フェンチェン(沸点150〜155℃)、フェランドレン(沸点170〜175℃)、シルベストレン(沸点175℃)、サビネン(沸点163℃)、P−メンテン−1(カルボメンテン)(沸点176℃)、P−メンテン−3(沸点168℃)、P−サイメン、P−メンタン(沸点168℃)等が挙げられる。そのなかでも特に、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、P−メンテン−1、P−メンテン−3、P−サイメン、P−メンタンが好ましい。
炭素数10からなるテルペンエーテルとしては、1,4−シネオール(沸点173℃)、1,8−シネオール(沸点173℃)、ピノール(沸点180℃)等が挙げられる。その中でも特に、1,4−シネオール、1,8−シネオールから選ばれた少なくとも1種類が好ましい。
成分(d)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、1〜100重量部であり、好ましくは5〜50重量部である。成分(d)の配合量が前記上限値を超えると臭気、耐ブリード性、成形性、柔軟性が悪化し、成形加工時のガス発生が顕著となる。また、前記下限未満では機械特性の向上効果がない。
(e)その他の成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、無機充填剤(アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ウォラストナイト、クレー)、発泡剤(有機系、無機系)、難燃剤(酸化物、水酸化物、水和化合物、赤燐、ポリりん酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン)などを配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
また、発泡剤としては、塩化ビニリデン・アクリロニトリルコポリマーを外殻とし、イソブタンを内包した熱膨張性マイクロカプセルであるエクスパンセル(エクスパンセル社製)が好ましい。
2.熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(c)、又は必要に応じて成分(d)〜(e)等を加えて、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて溶融混練することにより製造することができる。
溶融混練の方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等を使用し得る。例えば、適度なL/Dの二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることにより、上記操作を連続して行うこともできる。ここで、溶融混練の温度は、好ましくは140〜200℃である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、透明で、オイルブリードがなく、非常に軟らかい弾性体であり、かつ、ペレット供給が可能であるので、押出成形、射出成形、ディッピング成形等の公知の成形法によるさまざまな成形加工による成形が可能である。
具体的な用途としては、例えば、防振用(ボルト付き)インシュレーター、ボルト貫通ブッシュ、(凹凸)防振シート、テープ、シール、チップ状等の防振部材、鞄の緩衝材(例えばランドセルの肩掛け部、手提げ部等)、パソコン用アームレストやリストレスト(マウスパットにも応用)、紙送りローラ、オーディオ関係部材(ターンテーブル、インシュレーター、スぺーサー等)、ケース用防振ゴム足、靴エステ用人形の顔(皮膚等)、テニスラケット、断熱用シート、電柱保護用等の防水シート、床ずれ防止マット等、フィルムシーリング品(例えば老人大腿部骨折防止ヒッププロテクター、術後の身体形状補助材)、ライダー用スーツ、ライフルジャケット(例えば肩パット)、スポーツシューズ、ベッド、高温高圧成形機クッション(セラミック成形等)、熱伝導ゲルシート(例えば、放熱用CPUコア外周用等)、ゲーム機の制振パット、ヘルスケア関係、自動車部材(ウインドーパッキンの緩衝材等)、自動車ドアの衝撃吸収材(側面等)、靴の中敷き、靴にあたると痛い外反母趾や巻き爪等による痛みを緩和するためのフットケア用衝撃吸収剤、バンパーやヘルメットの衝撃吸収剤、ベット、マットレス、枕、クッション、座布団などの雑貨、寝具類としての衝撃吸収剤、肘あて、膝あて、鞍による馬の背中の鞍ずれ防止、スキー靴、トォシューズ、グローブ(サッカーのキーパー、ゴルフ、スキー、ライダー用等)のようなスポーツ関係の衝撃吸収剤、荷物の輸送での衝撃吸収剤、骨折、怪我や傷を守り、義足と皮膚がこすれないための医療用衝撃吸収剤、乳がん等で乳房を切り取った人、水着や豊胸用の胸パット、魚つり用等の疑似餌、また、机や椅子、パソコン、本棚、床等の生活用品の埃やゴミを吸着する掃除用品、さらに油剤の徐放性を利用してパック等の化粧品や湿布、芳香剤等に応用が可能である。
中でも、ペングリップ、クッションシート、ディスク型読取・書込記憶装置(CD、DVD装置)などの回転軸受けパッキン、疑似餌、電源ボックッスなどの防水パッキン等への応用が可能である。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例における評価方法及び使用した材料を以下に示す。
1.熱可塑性エラストマー組成物の評価方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを用いて測定を行った。
(2)硬度:JIS K 7215に準拠して測定した。試験片は6.3mm厚プレスシートを用い、デュロメータ硬さ・タイプAにて測定した。
(3)引張強さ、100%モジュラス、伸び:JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型に打ち抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(4)透明性:180℃、予熱4分、加圧2分、圧力50kg/cmの熱プレスで得られた130×160×5mm厚のシートを重ね合わせて10mm厚にしたものを新聞に接触させて、小さな活字の読み取れる程度及び溶融不良ブツを目視で観察し、次の基準で評価した。
○:鮮明に読み取れかつ、溶融不良ブツがない。
△:不鮮明であるがなんとか読み取れ、また、溶融ブツが若干見られる。
×:溶融ブツが極めて多いうえ、不鮮明で読み取れない。
(5)オイルブリード/タック性:180℃、予熱2分、加圧2分、圧力50kg/cmの熱プレスで得られた130×160×2mm厚のシートをクラフト紙に挟んで、直径70mm円盤状の500gの重りをのせ、室温(23℃)で168時間放置後のクラフト紙の状態を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:クラフト紙が容易にシートから剥がれ、オイルブリードの痕跡が認められない。
△:クラフト紙が僅かにシートに密着し、かすかにオイルブリードの痕跡が認められる。
×:クラフト紙がシートに密着し、オイルブリードの痕跡が認められる。
(6)押出成形性:幅50mm×厚さ1mmのシートを押出成形し、特に溶融不良ブツ、ドローダウン性、表面外観や形状を観察し、フローマーク、ヒケ発生の有無を次の基準で評価した。
○:良い(0.3mm以上の溶融不良ブツが0個以下/25cm
△:やや悪い(0.3mm以上の溶融不良ブツが1〜3個/25cm
×:悪い(0.3mm以上の溶融不良ブツが4個以上/25cm
(7)射出成形性:130mm×130mm×2mmのシートを射出成形し、その外観を目視により観察し、フローマーク、ヒケ発生の有無を次の基準で評価した。
○:良い
△:やや悪い
×:悪い
(8)粒径測定:JIS Z 8801に準じて、電磁ふるい振とう器(AS200CONTROL−g、(株)レッチェ製)を用いたふるい分析によって、振動数3000回、振幅2.00mm、振とう時間10分で粒径を測定した。用いたふるいの目開きは2.80mm(6.5メッシュ)、2.00mm(8.6メッシュ)、1.40mm(12メッシュ)、1.00mm(16メッシュ)、850μm(18メッシュ)、500μm(30メッシュ)、250μm(60メッシュ)、150μm(100メッシュ)、75μm(200メッシュ)、45μm(330メッシュ)、32μm(440メッシュ)。
なお、2次凝集しているものは、シリカ(アエロジル200、日本アエロジル(株)製、平均粒径12μm)を1〜2重量%添加して測定した。
2.実施例及び比較例において用いた試料
(a−1)水添ブロック共重合体:粒径600μmのセプトン2104(SEPS)(商標;クラレ株式会社製)、スチレン含有量65重量%、数平均分子量70,000、重量平均分子量91,000、分子量分布1.30、水素添加率90%以上
なお、粒径600μmのセプトン2104は、セプトン2104ペレットをサンプル粉砕機SAM−0((株)奈良機械製作所製、ピン型ローター、回転速度5000〜16000min−1)へ投入して得た粉砕物である。
(a−2)水添ブロック共重合体:粒径250μmのクレイトン1651(SEBS)(商標;クレイトンポリマージャパン株式会社製)、スチレン含有量30重量%、数平均分子量160,000、重量平均分子量200,000、分子量分布1.25、水素添加率90%以上
なお、粒径250μmのクレイトン1651は、クレイトン1651クラム状物にシリカ(アエロジル200、日本アエロジル(株)製、平均粒径12μm)を1重量%添加してを電磁ふるい振とう器にかけて得た粉末状物である。
(a−3)水添ブロック共重合体:粒径250μmのクレイトン1652(SEBS)(商標;クレイトンポリマージャパン株式会社製)、スチレン含有量29重量%、数平均分子量90,000、重量平均分子量120,000、分子量分布1.33、水素添加率90%以上
なお、粒径250μmのクレイトン1652は、クレイトン1652クラム状物にシリカ(アエロジル200、日本アエロジル(株)製、平均粒径12μm)を1重量%添加してを電磁ふるい振とう器にかけて得た粉末状物である。
(a−4)水添ブロック共重合体:粒径250μmのダイナロンDR6201B(CEBS)(商標;JSR株式社製)、スチレン含有量0重量%、数平均分子量180,000、重量平均分子量230,000、分子量分布1.27、水素添加率90%以上
なお、粒径250μmのダイナロンDR6201Bは、ダイナロンDR6201Bペレットを、(株)奈良機械製作所製サンプルミルを使用し、液体窒素を使用して冷凍粉砕した後、電磁ふるい振とう器にかけて得た粉末状物である。
(a−5)(比較物質)水添ブロック共重合体:粒径2.5mmのセプトン2104(SEPS)(商標;クラレ株式会社製)、スチレン含有量65重量%、数平均分子量70,000、重量平均分子量91,000、分子量分布1.30、水素添加率90%以上
(a−6)(比較物質)ポリスチレン(PS):粒径600μmのHRM10(商標;東洋ポリスチレン(株)製)スチレン含有量100重量%、比重1.05、ビカット軟化点102℃
なお、粒径600μmのポリスチレン(PS):HRM10は、HRM10ペレットをサンプル粉砕機SAM−0((株)奈良機械製作所製、ピン型ローター、回転速度5000〜16000min−1)へ投入して得た粉砕物である。
(b)非芳香族系ゴム軟化剤:ダイアナプロセスオイル PW90(パラフィン系)(商標;出光興産(株)製)動的粘度(40℃)95.54cSt、動的粘度(100℃)11.25cSt、COC:270℃
(c)石油樹脂:アイマーブP−140(商標;出光石油化学(株)製))、軟化点:140℃、平均分子量:910、密度:1.03
(d)テルペンオイル:ウッディリバー#10(商標;ヤスハラケミカル(株)製)比重:0.80、粘度(25℃):1.14cP、沸点:167〜170℃、引火点:41.5℃
(e)ヒンダードフェノール/フォスファイト/ラクトン系複合酸化防止剤:HP2215(商標;チバスペシャリティケミカルズ製)
(実施例1〜5、比較例1〜5)
表1及び表2に示す成分比で、L/Dが47の二軸押出機に投入して、混練温度180℃、スクリュー回転数350rpmで溶融混練をして、ペレット化した。次に、得られたペレットを射出成形して試験片を作成し、夫々の試験に供した。評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 0004426428
Figure 0004426428
表1及び2より明らかなように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は良好な特性を有していた(実施例1〜5)。
一方、比較例1及び2は、成分(b)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(b)が少ないと、柔軟性、透明性、(押出)成形性が悪化する。成分(b)が多いと、成形性の悪化、オイルブリードが顕著になる。
比較例3は、成分(a)の粒径を本発明の範囲外にしたものである。粒径が上限を超えると大きいと、溶融が不充分なため柔軟性、透明性、押出成形性が悪化する。
比較例4及び5は、(a)成分中の芳香族ビニル化合物含有量を本発明の範囲外にしたものである。芳香族ビニル化合物含有量が上限を超えるとオイルブリード/タック性、押出成形性、射出成形性が悪化し、芳香族ビニル化合物含有量が下限未満であると機械特性、押出成形性、射出成形性が悪化する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、オイルブリードが少なく、かつ優れた機械強度、透明性、押出・射出成型加工性を有し、透明性・柔軟性に優れる熱可塑性エラストマー組成物であるので、特に、ペングリップ、クッションシート、ディスク型読取・書込記憶装置(CD、DVD装置)などの回転軸受けパッキン、疑似餌、電源ボックッスなどの防水パッキン等への応用が可能である。

Claims (5)

  1. (I)(a)芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%である水添及び/または部分水添ブロック共重合体を、JIS Z 8801に準じてふるい分析して得られる粒径が0.6mm以下にする工程
    (II)前記(I)工程で得られた(a)JIS Z 8801に準じてふるい分析して得られる粒径が0.6mm以下であり、かつ芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%である水添及び/または部分水添ブロック共重合体100重量部と、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤75〜400重量部とを配合する工程
    を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
  2. 前記(II)工程が、前記(a)成分100重量部と前記(b)成分75〜400重量部とを溶融混練する工程であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
  3. (a)水添及び/または部分水添ブロック共重合体が、芳香族ビニル化合物含有量が40〜70重量%の水添及び/または部分水添ブロック共重体100重量部に対し、芳香族ビニル化合物含有量が40重量%未満の水添及び/または部分水添ブロック共重合体20〜500重量部を添加した水添及び/または部分水添ブロック共重合体混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
  4. (c)石油樹脂3〜100重量部を更に含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
  5. (d)テルペン系オイル1〜100重量部を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
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