JP4426103B2 - 生物流体中のβ−ラクタム環を含む抗生物質を測定するための方法 - Google Patents
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Description
本発明は、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)のβ−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であるレセプターを用いて、生物流体中のβ−ラクタム環を含む抗生物質を測定するための新規、迅速かつセンシティブな方法に関する。本発明は、これらの方法を行うためのキットにも関する。
【0002】
現在、抗生物質は、細菌によって引きおこされる感染性の疾患の治療における治療剤としてばかりでなく、食物を保存するための剤として及び成長を刺激するための動物飼料中の添加物としても極めて広範囲に用いられている。従って、複合生物流体、例えばミルク、尿、血液、血清、唾液、肉抽出物、発酵液又は緩衝化水性媒体中で極めて低い濃度でさえ抗生物質の存在を検出することができる必要性が次第に感じられている。
【0003】
ミルク生産の場合はこの一例である。なぜなら乳牛の特定の感染性疾患を治療するために抗生物質を用いることは公知であるからである。
しかしながら、明らかな医学的理由のため、ヒトの消費を意図したミルクは原則として、いずれの微量の抗生物質も含んではならない。更に、0.005I.V./ml又はそれ未満のペニシリン濃度は、チーズ、ヨーグルト等のようなミルクベースの製品の製造の間に有害な効果を有し得る。
【0004】
いくつかの状況を心に描くことができる。第1の場合、例えばワゴンに移す前に農場で抗生物質の存在を検出するために、極めて迅速(5分未満)かつ簡単なテストが優先される。例えば処理のために用いられている抗生物質が既知である場合、及び更にこのテストが法的基準で問題の抗生物質の検出を許容する場合、このような迅速なテストを用いることを考えることもできる。第2の場合、速度が強調されない場合、法的基準で全てではないがほとんどの抗生物質を検出することが重要である。
【0005】
この理由は、特定の国の法が、極めて特異的な質の基準を強いるからである。例えば、US当局は、以下の6種の抗生物質のミルク中の濃度が極めて特定の値を超えないことを要求とする:ペニシリン、5ppb ;アンピシリン、10ppb ;アモキシシリン、10ppb ;シクロキサシリン、10ppb ;セファピリン、20ppb ;セフチオフル、50ppb 。ヨーロッパ共同体は、以下の質的基準を強いる:ペニシリン、4ppb ;アモキシシリン、4ppb ;アンピシリン、4ppb ;シクロキサシリン、30ppb ;ジシクロキサシリン、30ppb ;オキサシリン、30ppb ;セファピリン、10ppb ;セフチオフル、100ppb ;セフキノン、20ppb ;ナフシリン、30ppb ;セファゾリン、50ppb 。
【0006】
従って、抗生物質のほとんどが検出されるのを許容するであろうテストにアクセスすることが有利であり得る。更に、乳業において、速度、感度及び簡単さの特徴全てを有するテストの欠如下で、これら3つのパラメータの最も優れた組合せを許容するテストが、それらが全体としてカバーされないなら、有利であろうと考えることができる。
【0007】
生物流体中にβ−ラクタム環を含む抗生物質の検出のために種々の型のテストが既に提案されている。
これらのテストは一般に、抗生物質又はこの抗生物質のアナログを特異的に認識する認識剤(レセプター又は抗体)、及びラベリング剤(放射性元素、酵素、蛍光剤等)を用いる検出方法を利用する。ここでこれらの剤は、以後、検出剤と呼ぶ。選択した要素により、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ラジオレセプターアッセイ(RRA)、酵素イムノアッセイ(EIA)等が用いられる。それらの一般的な原理において、これらのテストは、その値が存在する被検体の質を示す結果を得ることを可能にするであろう上述の2つの要素(検出試薬)の最小の組合せを用いる。
【0008】
選択した検出法により、ラベリング剤は、認識剤による認識に関して認識剤に、抗生物質に、又は抗生物質のアナログ物質にかわりに結合させることができることに注意すべきである。認識剤、抗生物質又は抗生物質のアナログ物質は固有的にラベリング剤を含む(例えば放射性標識化被検体)方法もある。
乳製品のために、最も広く記述される被検体検出テストは抗生物質の検出に関する。
【0009】
US特許4,239,852号は、β−ラクタム環を有する抗生物質のミルク中での検出のための微生物学的方法を記載する。この方法によれば、ミルクのサンプルは最初に、抗生物質に対して極めてセンシティブである微生物、特にバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus )の細胞部分の存在下で、そして2番目に放射性元素で又は酵素で標識化(“タグ”)された抗生物質の存在下でインキュベートされる。そのインキュベーションは、サンプル中に存在するなら、抗生物質及び標識化抗生物質が細胞部分に結合するのを許容する条件下で行われる。
【0010】
インキュベーションの後、細胞の部分はその混合物から分離され、次に洗浄される。次に、細胞部分に結合した標識化抗生物質の量が決定され、標準と比較される。細胞部分に結合した標識化抗生物質の量は分析するミルクサンプル中に存在する抗生物質の濃度に逆比例する。
この方法は、特に混合物から細胞部分を分離する段階に、かなりきめ細かい取扱いを要求する。更に、ミルク中に0.01I.V./mlまで及び0.001I.V./mlまでさえのペニシリンGの検出を許容する最もセンシティブな型において、この方法は放射性元素(14C又は 125I)で標識された抗生物質を用いる。この場合において、存在する又はさもなければミルク中に存在する抗生物質の量の測定は、例えばシンチレーションカウンターのような特別の装置の使用を必要とする。更に、極めて小量でさえ放射性物質を取り扱うことは、分析を行う人についての危険性を完全になくさない。
【0011】
欧州特許出願593 112は、ミルク中の抗生物質の検出を許容する別の方法を記載する。この方法は、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus ste arothermophilus )のような抗生物質感受性微生物から単離されたタンパク質を用いる。このタンパク質は、ペルオキシダーゼのような酵素で更に標識される。テストは次の通り行われる:ミルクのサンプルを標識化タンパク質の存在下でチューブ内でインキュベートし;インキュベーションの後、ミルクを、その壁に参照抗生物質が固定されている第2のチューブに移し;第2のインキュベーションを行い、そして次にそのチューブの内容物を除去し;この第2のチューブの壁を洗浄液で3回、洗い、それ自体を除去し、そして次に第2のチューブ中に存在する残留物を吸収性紙の断片に移し;次にその第2のチューブに有色物質を加え、それを再び1回、インキュベートし、そして次にその色の発達を遅らせる溶液を加え;そのチューブの色を抗生物質の標準サンプルで平行に行った同一のテストの色と比較する。支持体上に固定された標識化タンパク質の量、及びそれゆえ色の強度は分析したミルクサンプル中に存在する抗生物質の量に逆比例する。
【0012】
この特許出願の実施例1によれば、このテストはペニシリンGを5ppb のオーダーの濃度まで検出することを可能にし、アモキシシリン(5ppb )、アンピシリン(10ppb )、セファピリン(5ppb )及びセフチオフル(5ppb )を検出することを可能にする。このテストは、ヨーロッパの規制により強いられるレベルまでペニシリン、アモキシシリン及びアンピシリンの検出を許容せず、他方、このテストはむしろ複雑であり;それは本発明の文脈に見い出される感度及び簡単さの基準を全体的に満足しない。
【0013】
しかしながら、そのテストは特に熟練していない人が行うには極めて面倒である。実際、このテストは、1つの容器から別の容器に液体及び残留物を移すステップ、及びいくつかのゆすぎステップを含む多数のステップを含む。このテストに要求されるステップの数及び型を仮定すれば、信頼できる結果を得ることは、ひどく、作業者の実験上のノウハウに依存する。
【0014】
更に、結果を解釈するには平行して行うべき2つのテストを要求し、これによりその作業を増加させ更に複雑にする。
他の型の酵素的方法も開示されており、それは、アクチノマデュラR39(Actinomadure R39)により生産される特定の酵素、即ち可溶性細胞外D−アラニル−D−アラニンカルボキシペプチダーゼ(以後、“酵素R39”と呼ぶ)の使用に基づく、ミルク内の低濃度の抗生物質を測定することを可能にする(J.M.Frereら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 18(4), 506-510(1980) 、並びに特許EP 85 667及びEP 468 946)。酵素R39は種々のペプチドのD−アラニル−D−アラニン基を加水分解する比活性を有し、特定のチオエステルを加水分解することもできる。
【0015】
更に、酵素R39はβ−ラクタム環を有する抗生物質と反応して、極めて迅速に、不活性かつ実質的に不可逆性である等モルの酵素−抗生物質複合体を形成する。
このテストの最新型(EP 468 946)においては、検査すべき予め決められた容量のサンプルが、予め決められた量の酵素R39と、サンプル中に存在し得るβ−ラクタム抗生物質が酵素と反応して不活性かつ実質的に不可逆性である等モルの酵素−抗生物質複合体を形成するのを許容する条件下でインキュベートされる。
【0016】
次に、予め決められた量のチオエステル型基質が第1段階で得られた産物と、第1のインキュベーションの過程で抗生物質と複合体形成していない残存酵素R39により基質が加水分解される条件下でインキュベートする。これにより形成されたメルカプトアルカン酸は、次にそのメルカプトアルカン酸の遊離SH基との反応により色を形成することができる試薬の助けで比色アッセイにより測定される。その色の強度は既知の量の抗生物質を含むサンプルから事前に確認された標準と比較される。定量的測定は、分光光度計での測定により行うことができ;ミルクの場合、事前にサンプルを浄化することが必要になり得る。
【0017】
特許EP 468,946の実施形態によれば、この方法は、ミルク内で、5分の全インキュベーション時間でペニシリンG 10ppb を、15分の全インキュベーション時間でペニシリンG約2.5ppb を測定することを可能にする。
食品中の抗生物質を検出するための方法のために必要とされる速度、簡単さ及び感度の基準を仮定すれば、その出願人は、生物流体中の抗生物質を検出するための新規なより有効な方法を研究する目的を主張する。特に、出願人は、1回のテストで、ヨーロッパ及びUS当局によりその含有が規制される抗生物質のほとんどを検出するための方法を研究する目的を主張する。更に、その研究した方法は、好ましくは資格のない人が行うことができる限られた数のステップでこの結果を得ることを可能にするはずである。その出願人は、現在の方法より短いインキュベーション時間でこれらの目的を達成するための方法も研究した。
【0018】
本出願人は、これらの目的を注目すべき様式で達成することを許容する、生物流体中のβ−ラクタム環を含む抗生物質を検出するための新規方法を発見した。
従って、本発明は、生物流体中のβ−ラクタム環を含む抗生物質を検出するための新規な方法であって、
a)決められた量の前記生物流体を、所定量の認識剤に接触させ、そして得られた混合物を、前記生物流体中に存在し得る前記抗生物質の前記認識剤との複合体形成を許容する条件下で、インキュベートし;
b)ステップa)で得られた混合物を、支持体上に固定された少くとも1の参照抗生物質と、ステップa)で反応していない量の認識剤との前記参照抗生物質との複合体形成を許容する条件下で接触させ;そして
c)前記支持体に結合した認識剤の量を決定すること
を含み、ここで、前記認識剤が、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)から得られたβ−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であるレセプターを含むことを特徴とする方法に関する。
【0019】
本発明による方法の例外的性能は特定の認識剤の使用に基づき、それは、バチルス・リケニホルミスから得られるβ−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であるレセプター、即ちその単離及びペプチド配列がY.Zhu ら、J.Bacteriol., 1137-1141, (1990) に記載されるBlaRタンパク質、又はその単離及びペプチド配列がB.Joris ら、FEMS Microbiology Letters, 107-114, (1990)に記載されるBlaRのカルボキシ末端領域であるBlaR−CTDポリペプチドを含む。
【0020】
β−ラクタム環を含む抗生物質の検出のための本発明によるBlaR又はBlaR−CTDレセプターの使用は、以前に用いられる認識剤よりかなりの利点を有する。この理由は、BlaR及びBlaR−CTDレセプターは、極めて迅速に極めて多数の抗生物質と複合体を形成することができ、そして既知の認識剤、例えばバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus )から得られるレセプターのために要求されるのより短いインキュベーション時間でそれを行うことができるからである。
【0021】
本発明による方法により検出することができる抗生物質の例としては次の抗生物質がある:ベンジルペニシリン(又はペニシリンG)、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、メチルシリン、クロキサシリン、6−APA、モノラクタム、アズトレオナム、メシリナム、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、ニトロセフィン、セファトキシム、セフオロキシム、セフチオフル、セファピリン、7−ACA。特に、本発明による方法は、US及びヨーロッパ当局により支配される全ての抗生物質を、許容される限界域値上で検出することを可能にする。
【0022】
本発明による方法は、生物流体、例えばミルク、尿、血液、血清、唾液、肉抽出液、発酵液又は緩衝水性媒体中のβ−ラクタム環を含む抗生物質の検出を許容する。
本発明の好ましい実施形態によれば、認識剤はラベリング剤と結合した形態で用いられる。このラベリング剤は、異なる性質のものであってよい。ラベリング剤は、特定の型のもの、例えば金属コロイド粒子(プラチナ、金、銀等)、セレン、炭素、硫黄もしくはテルルのコロイド粒子、又は有色合成ラテックスのコロイド粒子であり得る。ラベリング剤は、蛍光物質、例えば活性化フルオレセイン(Boeringher-Mannheim Biochemicaから利用できる)、フルオレセインイソシアネート、ロダミンテトラメチルイソシアネート又は当業者に知られたいずれかの他の蛍光物質でもあり得る。ラベリング剤は、酵素、例えばβ−ラクタマーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ等であってもよい。この場合、BlaR又はBlaR−CTDレセプターは化学的に又は遺伝学的にこの酵素ラベリング剤と結合されて融合タンパク質を形成する。
【0023】
認識剤は、当業者に知られた慣用的な方法に従ってラベリング剤に結合させることができる。認識剤は、ラベリング剤に直接結合させても、中間複合体の形成を介して結合させてもよい。認識剤とラベリング剤との間の結合は、本発明の方法を行う間の異なる時間に行うことができる。第1の実施形態によれば、認識剤とラベリング剤との間の結合は、認識剤を分析すべき生物流体に接触させる前に行われる。本発明の方法の他の実施形態によれば、認識剤とラベリング剤との間の結合は、認識剤を生物流体のサンプルに接触させる時又はその後に行うことができる。好ましくは、認識剤のラベリングはその認識剤を分析すべきサンプルに接触させる前に行われる。
【0024】
本発明による方法の最初のステップa)は、決められた量の生物流体を所定量の認識剤に接触させ、そして得られた混合物を、生物流体中に存在し得る。抗生物質の認識剤との複合化を許容する条件下でインキュベートすることからなる。
生物流体は、BlaR又はBlaR−CTDレセプターと共に、4〜60℃の温度範囲でインキュベートすることができる。好ましくはこの温度は約47℃である。インキュベーション温度の増加はその継続時間を減少させる効果を有するであろうし、その逆も同じであろう。従って、その温度を増加させることによりその方法の時間を減少させることが常に可能である。
【0025】
本発明による方法の第2のステップb)において、ステップa)で得られた混合物は、支持体上に固定された少くとも1の参照抗生物質と接触させる。
本発明により用いることができる支持体は、極めて多様な型のものであり得る。それらは、固体支持体、例えば参照抗生物質調製物でコートされたチューブ、プレート又はロッドであり得る。それは、膜が結合している固体支持体の形態のテスト装置であって、1又は複数の捕獲物質が決められた検出ゾーンにあるものであり得る。それらは、ゲルを形成することができ、参照抗生物質が固定されている磁石又は非磁石ビーズの形態(アガロース、ポリスチレン等)の支持体であり得る。
【0026】
参照抗生物質は、当業者に知られている方法により、例えば任意にスペーサーを介した支持体への共有結合又は非共有結合吸着により、支持体上に固定することができる。
本発明の特定の実施形態によれば、ステップa)及びb)は同時に行うことができる。
【0027】
本発明による方法のステップc)は、参照抗生物質が固定された支持体に結合したレセプターを測定することからなる。この測定のために用いる方法は、用いるラベリング剤の型に直接、関連する。ラベリング剤が酵素によるなら、測定ステップは、例えば所定の色の形成を伴う、関連するこの酵素に特異的な反応に関するであろう。ラベリング剤が蛍光によるなら、測定は単に支持体の蛍光を測定することにより行われるだろう。金属粒子又は有色ラテックスの場合、支持体に結合したレセプターの存在は、その強度が支持体に結合したレセプターの数に直接、比例する色によって反映される。用いるラベリング剤の型と関係なく、検出するシグナルの強度は、分析するサンプル中に存在する抗生物質の量に逆比例する。
【0028】
本発明は、生物流体中の抗生物質を検出するためのテストキットであって、バチルス・リケニホルミスから得られるβ−ラクタム環を含む抗生物質に対してセンシティブであるレセプターを含む少くとも1の認識剤、及び支持体上に固定された少くとも1の参照抗生物質を含むキットにも関する。
以下の例は本発明を行うための種々の態様及び方法を詳述するが、その範囲を限定するものではない。
【0029】
実施例1.ミルク中のβ−ラクタム環を含む抗生物質の測定
この例は、ヘルス・オーソリティーにより規制されているβ−ラクタム環を含む抗生物質のミルク中での測定を示す。この例に記載されるテストは、ラベリング剤として機能する金のビーズに結合したBlaR−CTDレセプターを用い、膜が結合している固体支持体を含むテスト装置の形態の支持体を用いる。
【0030】
1.1.金のビーズへのBlaR−CTDのカップリング
1.1.1.BlaR−CTDのビオチニル化
6.6mg/mlの濃度を有する認識剤BlaR−CTDの溶液3.79mlをリン酸ナトリウム緩衝液20mM pH7にとる。次にこのBlaR−CTDの溶液に、41.71mlの重炭酸緩衝液(0.1M重炭酸ナトリウム、pH9)及び2.23mg/mlの重炭酸緩衝液を含むN−ヒドロキシスクシニミド6−(ビオチンアミド)カプロン酸エステルの2mlの溶液を加える。この溶液を環境温度で光なしで、2時間、2回転/分の速度で(VEL, Belgiumから利用できる)回転軸上のチューブについてのLABINCOスターラーで静かに撹拌する。2.5mlのTris緩衝液、1M pH8の溶液を30分、同じ条件下で反応混合物と共にインキュベートする。得られた溶液をHNM緩衝液(Hepes 100mM、pH8、NaCl 100mM、MgCl2 50mM)に対して24時間、透析する。この方法において、ビオチニル化BlaR−CTD溶液を得てそれをHNM−BSA緩衝液(Hepes 500mM、pH8、NaCl 500mM、MgCl2 250mM、BSA 10mg/ml)で緩衝液1ml当り250mgのビオチニル化BlaR−CTDの濃度に希釈する。
【0031】
1.1.2.ラベリング剤
ラベリング剤として、ヤギ抗ビオチン抗体が、(British Biocell (Ret. GAB 40)から利用できる)0.1%のアジ化ナトリウムにより安定化したpH7.2のテトラホウ酸ナトリウム水溶液中の懸濁液の形態で析出している40nmの直径を有する金の粒子を用いる。これら懸濁液の520nmでの光学密度は約10でありタンパク質濃度は約24mg/mlである。
【0032】
1.1.3.ビオチニル化BlaR−CTDの金粒子へのカップリング
実施例3.1.1で調製したビオチニル化BlaR−CTD溶液を、HNM−BSA緩衝液(Hepes 500mM、pH8、NaCl 500mM、MgCl2 250mM、BSA 10mg/ml)で114.7倍に希釈する。室温で、この希釈ビオチニル化BlaR−CTD溶液22.5容量部、HNM−BSA緩衝液7.5容量部、ビオチニル化BlaR−CTDを標識するために用いる金の粒子懸濁液9.27容量部、及び参照金粒子懸濁液6容量部を混合する。
【0033】
1.1.4.独立した参照物質
このテストにおいて、その強度がサンプル中に存在する抗生物質の迅速な定量を可能にするバンドを供給する参照物質を用いる。
この目的のために、ヤギ抗ウサギイムノグロブリン抗体が析出している金の40nm粒子を用いた。これらの粒子は0.1%アジ化ナトリウムにより安定化したpH7.2の2mMテトラホウ酸ナトリウム水溶液中の懸濁液の形態でBritish Biocell (Ref. GAR40)から利用できる。これらの懸濁液の520nmにおける光学密度は約3であり、タンパク質濃度は約6mg/mlである。
【0034】
1.2.テスト装置
用いたテスト装置は、第1の端から始まり連続的に結合している第1及び第2の端を有する固体支持体(1)、
分析する流体を精製するための膜(2)、
2種の捕獲物質(参照抗生物質及び独立した参照物質に結合することができる物質)が固定されている膜(3)、及び
吸収膜(4)
を含む。
【0035】
1.2.1.アッセイ装置のアセンブル
300×76.2mmの大きさを有するカードを、まず最初に、以下の方法に従って(BioDot, Inc.から利用できる)Clamshell laminator 型のラミネーターを用いてアセンブルする:
(Adhesive Research から利用できる)型ArCare8565の長方形のプラスチック支持体を300×76.2mmを測定して切断する(固体支持体(1))。次に、300×20mmの大きさの(Pall Gelman Sciencesから利用できる)長方形のLeukosorb LK4膜(膜(2))、300×25mmの大きさの(Millipore から利用できる)長方形のHi−Flow SX膜(膜(3))、300×40mmの大きさの(Whatman から利用できる)長方形の3mmセルロース膜(膜(4))を切断する。
【0036】
続けて、膜(2)及び(4)、次に(3)をラミネーターの下方の鋳型の特定の位置におく。接着剤で包んだ固体支持体(1)を、その部分を、接着剤面が空気に露出するように装置のカバー内に保持する。下側の鋳型においた膜を、ラミネーターを閉じることにより接着支持体に接触させ;その膜を真空ポンプからの空気吸引により正確な場所に保持する。真空をなくした時に、膜(2),(3)及び(4)がその上に固定された固体支持体(1)からなるカードを得る。
【0037】
次に、以下の溶液を膜(3)上に析出させる:近位側:第1の捕獲物質;バンドNo. 1;遠位側:第2の捕獲物質;バンドNo. 2。これらの捕獲物質をBioDot IncからのX-Y Platform Biojet Quanti-3000タイプの“Dispenser”を用いて析出させる。
その析出した溶液を、カード全体を1分間、60℃の熱い強制空気下におくことにより直ちにエバポレートする。
【0038】
アセンブリー後に得られたカードを、ギロチン型装置で、又はロータリー装置でストリップに切断する(BioDot, Kinematic 又はAkzoから利用可)。その端のストリップを除去し、他のストリップを直ちに用いる。
図1はこのようなアッセイ装置を示す。
それらを保護するために、アッセイ装置はデシカント(Silgelac, France)の存在下で不透明な密閉した容器に入れる。
【0039】
1.2.2.第1の捕獲物質、参照抗生物質
炭酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH9)中に213mgのヒトガンマグロブリン(G4386、Sigma )及び8.6mgの2−イミノ−チオランヒドロクロライド(Aldrich 、33056−6)を含む8mlの溶液を25℃で1時間、インキュベートする。
【0040】
更に、炭酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH9)中に119.8mgのセファロスポリンC及び54mgのスルホスクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(sSMCC、22322 Pierce)を含む20mlの溶液を25℃で1時間、インキュベートする。
次に先に調製した2つの溶液を混合する。得られた溶液のpHを3mlのNaH2 PO4 500mMを加えることにより7.1に調節し、その溶液を25℃で2時間、インキュベートする。インキュベーション後に得られた混合物を1Lのリン酸ナトリウム緩衝液(10mM、pH7.5)に対して3回、透析する。得られた溶液を0.22mmフィルターを介してろ過し、次にアリコートに分けて使用まで−20℃で凍結する。
【0041】
使用の時にアリコートを解凍し、析出物の正確な位置及び微量物の質をいつでも示すように、それらを膜上に析出させる前に、それらに食品着色剤を加える。
第1の捕獲物質はサンプル中に存在する抗生物質の量に対して過剰に金粒子に結合したBlaR−CTDを固定することを可能にする。
1.2.3.第2の捕獲物質。独立した参照物質を固定することができる物質
第2の捕獲物質のために、10mMリン酸ナトリウムpH7.5、ヒトガンマグロブリン5mg/ml緩衝液中0.5mg/mlのイムノグロブリン濃度を有するウサギイムノグロブリン溶液(Sigma I 5006)を用いる。この第2の捕獲物質は、液体がアッセイ装置を超えてマイグレートする時に参照物質を停止させる。
【0042】
1.3.ミルク中の抗生物質の測定
1.3.1.3分テスト−迅速テスト
各々0;1;2;3;4;5及び6ppb のペニシリンGを含む新しいミルクの7つのサンプルを調製する。次にこれらの溶液各々を以下の方法で分析する:
ミルクの200μlアリコートサンプル及び実施例1.1.3で調製した45.27μlの溶液をとり、ガラスフラスコに入れる。この混合物を1分間、47℃でインキュベートする。テスト装置をとって、そのテスト装置の第1の端が混合物に接触するように、及び第2の端がガラスフラスコの壁に横たわるように、ガラスフラスコ内に垂直におく。その混合物を、47℃で2分、そのアセンブリーをインキュベートしながらテスト装置上をマイグレートさせる。
【0043】
以下の表1は、テストした7つのサンプルについて得られた結果を要約する。0〜10の範囲の強度値は検出されるバンドに起因し、ここで10の値は最も大きい強度のバンドを与え、0の値は最も小さな強度のバンドを与える。このスケールによれば、6の値は参照バンドに割り当てられる。第1のバンドで観察されたシグナルの強度はサンプル中に存在するペニシリンGの量に反比例する。
【0044】
【表1】
【0045】
この例において、第1のバンドが第2のバンドより小さい強度を有する場合、テストは陽性であると考えられる。表1に示す結果は、このテストが3分で、ミルクのサンプル中の4ppb 未満のペニシリンGの検出を許容することを示す。
同じ条件下でβ−ラクタム環を含む他の抗生物質でもテストを行った。この3分間、行ったテストは、5ppb までのアモキシシリン、5ppb までのアンピシリン、10ppb 未満までのシクロキサシリン、20ppb 未満までのジシクロキサシリン、20ppb 未満までのオキサシリン及び20ppb までのセファピリンのミルクのサンプル中での検出を許容する。
【0046】
1.3.2.5分テスト
各々0;2;4;6;8及び10ppb のシクロキサシリンを含む新しいミルクの6のサンプルを調製する。次に、これらの溶液の各々を以下の方法で分析する:
ミルクの200μlアリコートサンプル及び実施例1.1.3で調製した45.27μlの溶液をとり、ガラスフラスコに入れる。この混合物を3分間、47℃でインキュベートする。テスト装置をとって、そのテスト装置の第1の端が混合物に接触するように、及び第2の端がガラスフラスコの壁に横たわるように、ガラスフラスコ内に垂直におく。その混合物を、47℃で2分、そのアセンブリーをインキュベートしながらテスト装置上をマイグレートさせる。
【0047】
以下の表2は、テストした6つのサンプルについて得られた結果を要約する。0〜10の範囲の強度値は検出されるバンドに起因し、ここで10の値は最も大きい強度のバンドを与え、0の値は最も小さな強度のバンドを与える。このスケールによれば、6の値は参照バンドに割り当てられる。第1のバンドで観察されたシグナルの強度はサンプル中に存在するシクロキサシリンの量に反比例する。
【0048】
【表2】
【0049】
この例において、第1のバンドが第2のバンドより小さい強度を有する場合、テストは陽性であると考えられる。表2に示す結果は、このテストが5分で、ミルクのサンプル中の4ppb 未満のシクロキサシリンの検出を許容することを示す。
同じ条件下でβ−ラクタム環を含む他の抗生物質でもテストを行った。この5分間、行ったテストは、3ppb までのペニシリンG、4ppb までのアモキシシリン、4ppb までのアンピシリン、8ppb までのジシクロキサシリン、8ppb までのオキサシリン、16ppb までのセファピリン、100ppb までのセフチオフル、20ppb 未満までのセフキノン、20ppb までのナフシリン、及び60ppb までのセファゾリンのミルクのサンプル中での検出を許容する。
【0050】
このテストは、ミルクワゴンをサイロに出す前のソーティングテストとして特に適している。
1.3.3.9分テスト
各々0;4;6;8;10及び12ppb のセファピリンを含む新しいミルクの6のサンプルを調製する。次に、これらの溶液の各々を以下の方法で分析する。
【0051】
ミルクの200μlアリコートサンプル及び実施例1.1.3で調製した45.27μlの溶液をとり、ガラスフラスコに入れる。この混合物を7分間、47℃でインキュベートする。テスト装置をとって、そのテスト装置の第1の端が混合物に接触するように、及び第2の端がガラスフラスコの壁に横たわるように、ガラスフラスコ内に垂直におく。その混合物を、47℃で2分、そのアセンブリーをインキュベートしながらテスト装置上をマイグレートさせる。
【0052】
以下の表3は、テストした6つのサンプルについて得られた結果を要約する。0〜10の範囲の強度値は検出されるバンドに起因し、ここで10の値は最も大きい強度のバンドを与え、0の値は最も小さな強度のバンドを与える。このスケールによれば、6の値は参照バンドに割り当てられる。第1のバンドで観察されたシグナルの強度はサンプル中に存在するセファピリンの量に反比例する。
【0053】
【表3】
【0054】
この例において、第1のバンドが第2のバンドより小さい強度を有する場合、テストは陽性であると考えられる。表3に示す結果は、このテストが9分で、ミルクのサンプル中の6ppb 未満のセファピリンの検出を許容することを示す。
同じ条件下でβ−ラクタム環を含む他の抗生物質でもテストを行った。この9分間、行ったテストは、3ppb までのペニシリンG、4ppb までのアモキシシリン、4ppb までのアンピシリン、4ppb までのシクロキサシリン、8ppb 未満までのジシクロキサシリン、8ppb 未満までのオキサシリン、80ppb までのセフチオフル、20ppb 未満までのセフキノン、20ppb 未満までのナフシリン、及び45ppb までのセファゾリンのミルクのサンプル中での検出を許容する。
【0055】
これにより、9分間、行ったこのテストは、ヨーロッパ当局により現在、規制されている全ての抗生物質の、これらの当局により強制される法的限界までの検出を許容する。
1.3.4.20分テスト
各々0;20;30;40;50及び60ppb のセフチオフルを含む新しいミルクの6のサンプルを調製する。次にこれら溶液の各々を以下の方法で分析する。
【0056】
ミルクの200μlアリコートサンプル及び実施例1.1.3で調製した45.27μlの溶液をとり、ガラスフラスコに入れる。この混合物を18分間、47℃でインキュベートする。テスト装置をとって、そのテスト装置の第1の端が混合物に接触するように、及び第2の端がガラスフラスコの壁に横たわるように、ガラスフラスコ内に垂直におく。その混合物を、47℃で2分、そのアセンブリーをインキュベートしながらテスト装置上をマイグレートさせる。
【0057】
以下の表4は、テストした6つのサンプルについて得られた結果を要約する。0〜10の範囲の強度値は検出されるバンドに起因し、ここで10の値は最も大きい強度のバンドを与え、0の値は最も小さな強度のバンドを与える。このスケールによれば、6の値は参照バンドに割り当てられる。第1のバンドで観察されたシグナルの強度はサンプル中に存在するセフチオフルの量に反比例する。
【0058】
【表4】
【0059】
この例において、第1のバンドが第2のバンドより小さい強度を有する場合、テストは陽性であると考えられる。表4に示す結果は、このテストが20分で、ミルクのサンプル中の30ppb までのセフチオフルの検出を許容することを示す。
これにより、20分でのこのテストは、ヨーロッパ及び米国当局により現在規制される全ての抗生物質の、これらの当局により強制される法的限界までの検出を許容する。
【0060】
実施例2.ミルク中の6の抗生物質の測定
この例は、US当局により規制されるβ−ラクタム環を含む6の抗生物質のミルク中での検出を示す。この例に記載されるテストはβ−ラクタマーゼとの融合タンパク質の形態でBlaR−CTDレセプターを用い、磁気ビーズの形態で支持体を用いる。
【0061】
2.1.BlaR−CTD−β−ラクタマーゼ融合タンパク質
BlaR−CTD−β−ラクタマーゼ融合タンパク質を、BlaR−CTDレセプター(B.Joris ら、FEMS Microbiology Letters, 107〜114, 1990 )とバチルス・セレウス(Bacillus cereus )からのZnβ−ラクタマーゼ(M.Hussain ら、1985, J.Bact., 164: 1, 223〜229, 1985 )との間の遺伝子カップリングにより得る。
【0062】
そのカップリングは以下の方法で行われる:
2.1.1.プラスミドの作製:
BlaR−CTDポリペプチド及びβ−ラクタマーゼの遺伝子間で1/1カップリングを行った。β−ラクタマーゼをコードする遺伝子を同時にBlaR−CTD遺伝子の後に導入した。その遺伝子融合を有するプラスミドは、カナマイシンに対する耐性を示す。その融合タンパク質を以後、Fuslと呼ぶ。
【0063】
2.1.2.生産:
株:融合遺伝子を有するプラスミドを大腸菌に導入した。その組換えプラスミドを有するクローンをLB+Km(50μg/ml)上で選択する。
選択:放射性抗生物質での細胞抽出物のラベリング、次の変性ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動は、そのタンパク質のほとんどが、その分子量が約50,000である融合タンパク質の形態で生産されることを示す。しかしながら、翻訳後タンパク質分解が極めて小さい割合(2%)のこれらの分子を2つの別個の活性に解離させるようである。
【0064】
培養:500mlのLB+Km培地(50μg/ml)を−70℃で保存した組換え細胞を用いて接種する。そのプレカルチャーを37℃でインキュベートし、225rpm で一晩、撹拌する。18リッターのLB+Km培地(50μg/ml)に500mlのこのプレカルチャーを接種する。その600nmでの光学密度は4である。その18リッター培養を、光学密度が6の値に達した時に停止させる。
【0065】
2.1.3.抽出:
培養を停止した直後に、細胞をろ過し次に遠心する。粉砕機内で溶解した細胞ペレットからの上清を維持する。それは融合タンパク質FUSIを含む。
2.1.4.精製:
用いる緩衝液:
・緩衝液A:20mM pH8.0 Tris、10%エチレングリコール、50μm DTT;
・緩衝液B:緩衝液A+1M NACl
融合タンパク質を、イオンクロマトグラフィーにより及び分子ふるいで部分精製する。その抽出物を析出させ、緩衝液A中でQSFFカラム(Pharmacia, Upsala )で洗浄した後、FUSIを緩衝液Bの直線勾配で溶出する。次にその活性画分(±0.25M NaCl)を組み合わせG−100分子ふるい(Pharmacia, Upsala )に析出し;それらを緩衝液Aで溶出する。回収したバッチの平均比活性は30%であると評価される。
【0066】
2.1.5.β−ラクタマーゼの阻害:
融合タンパク質(9/10容量)を、37℃で45分、50mM EDTA(1/10容量)と共にインキュベートする。その阻害を、10mM pH6.0カコジル酸緩衝液中ニトロセファイン(nitrocefine )を用いて検査する。Znの存在又は欠如下で、シグナルは各々陽性又は陰性であるはずである。阻害の後、β−ラクタマーゼ活性に基づいて測定した有効な濃度は7.74pmol/μlである。
【0067】
2.2.固体支持体:磁気ビーズ−セファロスポリンC(参照抗生物質)
(AM 4100BとしてDRG Instrument GmbH, Marburg, Germany から利用できる)BioMag 4100粒子を用いる。そのNH2 端は以下の方法でグルタルアルデヒトで活性化されている。
BioMag 4100粒子の開始溶液1容量を5容量の0.01M pH6.0ピリジン緩衝液で4回、ゆすぐ。その粒子をピリジン緩衝液中5%で2.5容量のグルタルアルデヒトにとり、室温で3時間、回転させて撹拌する。次にそれらを2容量の0.01M pH7.0 Kpi緩衝液で10回、ゆすぐ。次にその粒子をKpi緩衝液中0.1MセファロスポリンCの1容量に再度懸濁し、+4℃で一晩、回転させて撹拌する。最後のゆすぎを、セファロスポリンCが0.1M pH7.0 Kpi緩衝液から完全に除去されるまで行う。
【0068】
2.3.ミルク中の6の抗生物質、ペニシリンG、アンピシリン、アモキシシリン、シクロキサシリン、セファピリン及びセルチオフルの測定
2.3.1.用いる溶液:
溶液1:100mM、pH8 Tris、1mg/ml BSA、50mM EDTA、50μm DTT中に凍結乾燥した融合タンパク質700ピコモルを5mlのMilli−Q水で再び水和する。この溶液50μlが測定を行うために必要とされる。
【0069】
溶液2:100%イソプロパノール中実施例1.2で調製したBioMag−セファロスポリンC粒子2ml;測定を行うために20μlが要求される。
溶液3:凍結乾燥し、Milli−Q水500mlで再び水和した10mM、pH6カコジル酸緩衝液。
溶液4:DMF中10mMニトロセファインの400mlを溶液3で40mlに希釈する。検出のために400μlが要求される。
【0070】
2.3.2.検出法:
50μlの溶液1を500mlのドープト(doped)ミルクサンプルに入れ、47℃で2分、インキュベートする。20μlの溶液2をそのミルクに懸濁し、それを47℃で2分、再びインキュベートする。その粒子を常磁性磁石を用いて容器の壁に引きつけながら、上清をチューブからとる。その粒子を溶液3で2回、ゆすぎ、磁石で同じ方法を行う。最後に400μlの溶液4を47℃で3分、その粒子の存在下でインキュベートする。次に、482nmでの残存溶液の吸光度をニトロセファイン(nitrocefine)溶液に対して測定する。
【0071】
この方法は、US当局で示される6種の抗生物質の、当業により強制される基準未満の濃度で、即ちペニシリンを5ppb 、アンピシリンを10ppb 、アモキシシリンを10ppb 、シクロキサシリンを10ppb 、セファピリンを20ppb 及びセフチオフルを50ppb での検出を許容する。
実施例3.ミルク中の3種の抗生物質(ペニシリンG、シクロキサシリン、セフチオフル)の測定
この例はヘルス・オーソリティーにより規制されるμ−ラクタム環を含む3種の抗生物質のミルク中での検出を示す。この例に記載されるテストは、アルカリホスファターゼ及びペルオキシダーゼ各々との2つの融合タンパク質の形態のBlaR−CTDレセプターを用い、マイクロプレートの形態の支持体を用いる。
【0072】
3.1.BlaR−CTD−アルカリホスファターゼ融合タンパク質
BlaR−CTD−アルカリホスファターゼ融合タンパク質を、BlaR−CTDレセプター(B Joris ら、FEMS Microbiology Letters, 107〜114 (1990))とリフェレンス1464752としてBoehringer-Mannheim Biochemicaから利用できる活性化アルカリホスファターゼとの間の化学的カップリングにより得る。
【0073】
カップリングは以下の方法で行った:
3.1.1.コンジュゲーション:BlaR−CTD及びアルカリホスファターゼをpH9.8で100mM炭酸ナトリウム/重炭酸緩衝液中で透析する。15ナノモルのBlaR−CTDを25℃で2時間、100μlの活性化アルカリホスファターゼ(20mg/ml)の存在下でインキュベートする。
【0074】
3.1.2.反応の停止:40μlの2mM、pH8トリエタノールアミン溶液、次に50μlの200mMホウ化水素ナトリウム溶液を加える。その混合物を30分、+4℃でインキュベートする。次に25μlの2mM、pH8トリエタノールアミン溶液を加え、その後、その混合物を+4℃で2時間、再びインキュベートする。
【0075】
3.1.3.カップリングの安定化:10μlの1M、pH7.0グリシン溶液を加える。
3.1.4.保存緩衝液に移す:その反応混合物(約300μl)を3回、8時間、0.5Lの50mM、pH7.6トリエタノールアミン緩衝液、150mM NaCl、1mM MgCl2 、0.5mM ZnCl2 、10mMグリシンに対して+4℃で透析する。
【0076】
3.1.5.最終タイター:カップリングの最終タイターは、溶液1μl当り約50pmolの活性BlaR−CTDである。
3.2.BlaR−CTD−ペルオキシダーゼ融合タンパク質
BlaR−CTD−ペルオキシダーゼ融合タンパク質を、BlaR−CTDレセプター(B.Joris ら、FEMS Microbiology Letters, 107〜114, (1990) )とリファレンス1428861としてBoehringer-Mannheim Biochemicaから利用できる活性化ペルオキシダーゼとの間の化学的カップリングにより得る。
【0077】
カップリングは以下の通り行う:
3.2.1.コンジュゲーション:BlaR−CTD及びペルオキシダーゼを100mM、pH9.8炭酸ナトリウム/重炭酸緩衝液中で透析する。40ナノモルのBlaR−CTDを100μlの活性化ペルオキシダーゼ(16mg/ml)の存在下で2時間、25℃でインキュベートする。
【0078】
3.2.2.反応の停止:40μlの2mM、pH8トリエタノールアミン溶液、次に50μlの200mMホウ化水素ナトリウム溶液を加える。その混合物を30分、+4℃でインキュベートする。次に25μlの2mM、pH8トリエタノールアミン溶液を加え、その後、その混合物を+4℃で2時間、再びインキュベートする。
【0079】
3.2.3.カップリングの安定化:10μlの1M、pH7.0グリシン溶液を加える。
3.2.4.保存緩衝液に移す:その反応混合物(約460μl)を3回、8時間、0.5Lの10mM、pH7.5 リン酸カリウム緩衝液、200mM NaCl、10mMグリシンに対して+4℃で透析する。
【0080】
3.2.5.最終タイター:カップリングの最終タイターは、溶液1μl当り約100pmolの活性BlaR−CTDである。
3.3.固体支持体:マイクロプレート−セファロスポリンC
3.3.1.参照抗生物質溶液の調製
炭酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH9)中に213mgのヒトγ−グロブリン(G4386、Sigma )及び8.6mgの2−イミノチオランヒドロクロライド(Aldrich 、33056−6)を含む8mlの溶液を1時間、25℃でインキュベートする。
【0081】
別個に、炭酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH9)中に119.8mgのセファロスポリン−C及び54mgのスルホスクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(sSMCC、22322 Pierce)を含む20mlの溶液を25℃で1時間、インキュベートする。
次に、先に調製した2つの溶液を一緒に混合する。得られた溶液のpHを、3mlの500mM NaH2PO4を加えることにより7.1に調節し、その混合物を2時間、25℃でインキュベートする。インキュベーション後に得られた混合物を、1Lのリン酸ナトリウム緩衝液(10mM、pH7.5)に対して3回、透析する。得られた溶液を0.22μmフィルターを介してろ過する。
【0082】
3.3.2.参照抗生物質でのマイクロプレートのコーティング
ブランド名NUNK(Immuno Plate: Maxisorp Type )又はブランド名GREINER(microlon 600, reterence 705071)の、高タンパク質吸着のポリスチレンマイクロプレートを用いる。マイクロプレートキュベットを150mM、pH7.2 PBS緩衝液で洗う。次に、実施例3.3.1.で調製した溶液のアリコートを24時間、4℃でそのキュベット中でインキュベートする。インキュベーションの後、そのキュベットを3回、150mM、pH7.2 PBS緩衝液、0.1% Tween−20で洗う。次にチューブを2時間、20℃で150mM、pH7.2 PBS飽和緩衝液、5% BSAで満たす。洗浄液で3回、洗った後、そのチューブを乾燥させ、水分を遠ざけて4℃で保存する。
【0083】
BlaR−CTD−アルカリホスファターゼ認識剤を意図したキュベットのために、用いる洗浄液は1M、pH9.8ジエタノールアミン、0.5mM MgCl2 であり;BlaR−CTD−ペルオキシダーゼ認識剤を意図したキュベットのために、用いる洗浄緩衝液は50mM、pH5リン酸カリウムである。
3.4.ミルク中の3種の抗生物質の測定
1.4ピコモルの標識化認識剤を47℃で5分、100μlのドープトミルクの存在下でインキュベートする。そのミルクをピペットを用いて、実施例2.3.に示すようにプレ処理したキュベットに移す。次にそのミルクを2分、47℃でインキュベートする。ミルクを除去した後、洗浄液で2回、洗い(実施例2.3.2を参照)、その後、顕在化基質を含む300μlの緩衝液を2分、キュベット中でインキュベートする(BlaR−CTD−ペルオキシダーゼ認識剤のための顕在化基質:50mM、pH5リン酸カリウム、9.1mM ABTS、0.002% H2O2;BlaR−CTD−アルカリホスファターゼ認識剤のための顕在化基質:1M、pH9.8ジエタノールアミン、0.5mM MgCl2 、10mM 4−NPP)。次にそのプレートをELISAプレートのための自動分光光度計に入れる。ここでその波長は405nmにセットする。
【0084】
このテストは、US当局により要求される規制域値での3種の抗生物質ペニシリンG、シクロキサシリン及びセフチオフルの検出を許容する(5ppb のペニシリンG、10ppb のシクロキサシリン及び50ppb のセフチオフル)。
実施例4.ミルク中の6種の抗生物質ペニシリンG、アンピシリン、アモキシシリン、シクロキサシリン、セファピリン及びセフチオフルの測定
この例は、US当局により規制されるβ−ラクタム環を含む6種の抗生物質の、これらの当局により現在要求される基準以下までのミルク中での検出を示す。この例に記載するテストは、アルカリホスファターゼ又はペルオキシダーゼとの融合タンパク質の形態のBlaR−CTDレセプターを用い、コートしたチューブの形態の支持体を用いる。
【0085】
4.1.BlaR−CTD−アルカリホスファターゼ融合タンパク質
実施例3.1.を参照のこと。
4.2.固体支持体:参照抗生物質でコートしたチューブ
この例において、ブランド名NVNK(Maxisorp type )の高タンパク質吸着のポリスチレンチューブを用い、それを実施例3.3.2に示すような参照抗生物質溶液で処理する。
【0086】
4.3.ミルク中の6種の抗生物質の測定
7ピコモルの認識剤を、エッペンドルフチューブ内で47℃で5分、500μlのミルクの存在下でインキュベートする。次に、そのミルクをピペットを用いて、実施例3.2に記載されるように処理したチューブに移す。次にそのミルクを47℃で2分、インキュベートする。ミルクを除去した後、チューブを2回、1mLの1M、pH9.8ジエタノールアミン緩衝液、0.5mM MgCl2 で洗う。次に、1M、pH9.8ジエタノールアミン、0.5mM MgCl2 、10mM 4−NPP顕在化基質を含む500μlの緩衝液を加え、その基質を2分、47℃でインキュベートする。次にその上清の吸光度を、405nmに波長を設定した分光光度計を用いて測定する。
【0087】
この方法は、US当局により要求される基準以下の6種の抗生物質の測定を許容する:5ppb 未満のペニシリンG;10ppb 未満のアンピシリン;10ppb 未満のアモキシシリン;10ppb 未満のシクロキサシリン;20ppb 未満のセファピリン;50ppb 未満のセフチオフル。
【図面の簡単な説明】
【図1】 膜(2),(3)及び(4)が結合した固体支持体(1)を含むテスト装置の型である。本発明により用いることができる支持体の型を示す。図1aはテスト装置の正面図であり、図1bはテスト装置の縦断面図である。
Claims (19)
- 生物流体中のβ−ラクタム環を含む抗生物質を検出するための方法であって、
a)混合物を形成するために、決められた量の前記生物流体を、所定量の認識剤に接触させ、そして得られた混合物を、前記生物流体中に存在し得る前記抗生物質の前記認識剤との複合体形成を許容する条件下で、インキュベートするステップと、
b)ステップa)で得られた混合物を、支持体上に固定された少なくとも1の参照抗生物質と、ステップa)で複合体を形成するように反応していない量の認識剤と前記参照抗生物質との複合体形成を許容する条件下で接触させるステップと、
c)固定された参照抗生物質と複合化され、それによって前記支持体に結合した認識剤の量を決定するステップと、
を含み、ここで、前記認識剤が、β−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であり、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)から得られるBlaRレセプター又はBlaR−CTDレセプターを含み;そして前記抗生物質は5分以内で検出されることを特徴とする方法。 - 前記レセプターが、BlaR−CTDレセプターであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記β−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であるレセプターが、金属コロイド粒子、セレニウム、炭素、硫黄又はテルルのコロイド粒子、及び有色合成ラテックスのコロイド粒子から選択されるラベリング剤に結合していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記β−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であるレセプターが、蛍光物質から選択されるラベリング剤に結合していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記β−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であるレセプターが、酵素から選択されるラベリング剤に結合していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記抗生物質に対して感受性であるレセプターが、化学的又は遺伝学的に酵素ラベリング剤に結合していることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- 前記β−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であるレセプターが、ステップa)の前にラベリング剤に結合されることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一に記載の方法。
- 前記β−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であるレセプターが、ステップa)の間又は後にラベリング剤に結合されることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一に記載の方法。
- ステップa)又はb)を同時に行うことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の方法。
- ステッブb)に用いる支持体が、前記参照抗生物質でコートされたチューブ、プレート又はロッドから選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の方法。
- ステップb)に用いる支持体が、以下:
(i)第1及び第2の端を有する固体支持体(1);
(ii)分析する流体を精製するための膜(2)、ここで該膜(2)は、第1の端で固体支持体(1)に結合されている;
(iii)第2の端で固体支持体(1)に結合された吸収膜(4);及び
(iv)少なくとも1の参照抗生物質が固定された膜(3)、ここで該膜(3)は、膜(2)と膜(4)との間にある固体支持体(1)に結合されている、
を含むテスト装置であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の方法。 - ステップb)に用いる支持体が、磁気又は非磁気ビーズからなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の方法。
- 請求項1〜12のいずれか一に記載の方法により生物流体中の抗生物質を検出するためのテストキットであって、
バチルス・リケニホルミスから得られたβ−ラクタム環を含む抗生物質に対して感受性であるBlaRレセプター又はBlaR−CTDレセプターを含む少なくとも1の認識剤と、
支持体上に固定された少なくとも1の参照抗生物質
とを含み、ここで、該抗生物質を5分以内で検出することができる、前記キット。 - 前記酵素が、アルカリホスファターゼ、ペリオキシダーゼ、β−ラクタマーゼ及びそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- 前記生物流体が、ミルク試料を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 3分以内に4ppb未満の濃度のペニシリンGを検出することができることを特徴とする、請求項1〜12、14及び15のいずれか一に記載の方法。
- 3分以内に、5ppbの濃度のアンピシリン、5ppbの濃度のアモキシシリン及び5ppbの濃度のシクロキサシリンを更に検出することができることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
- 5分以内に3ppbの濃度のペニシリンGを検出することができることを特徴とする、請求項1〜12、14及び15のいずれか一に記載の方法。
- 5分以内に、4ppbの濃度のアンピシリン、4ppbの濃度のアモキシシリン及び4ppb未満の濃度のシクロキサシリンを更に検出することができることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
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